JP2021102869A - 耐震補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存の片持ちスラブを温存し、かつコンクリートの二度打ちを回避して、既設建物を耐震補強することができる耐震補強構造を提供する。【解決手段】耐震補強構造100は、既設建物1の柱部3に対応する位置に配置された補強柱部10と、既設建物1の梁部4に対応する位置に配置された補強梁部20とを備える。補強柱部10と補強梁部20は、その交差部に互いに共有する張出接合部14を有する。補強梁部20は、矩形断面を有し、その高さが幅より小さい幅広扁平梁であり、下端20aが梁部4の下端4aより上方に位置し、かつ片持ちスラブ5の下面5aに接して外方に水平に延びる。さらに張出接合部14は、柱部3より幅が大きく、その幅端部近傍にヒンジ部Hを形成するヒンジリロケーション構造を有する。【選択図】図2A

Description

本発明は、片持ちスラブを有する既設建物の耐震補強構造に関する。
「スラブ」とは、鉄筋コンクリート造の上階住戸と下階住戸の間にある構造床又は屋根を意味する。また、「片持ちスラブ」とは、片持ち梁のようにスラブが外壁から張り出している部分を意味する。片持ちスラブは、集合住宅の共用廊下やバルコニーとして主に用いられる。
鉄筋コンクリート造(RC造)の既設建物を耐震補強する場合、既存の窓からの採光を確保することが強く要望される。この要望を満たす耐震補強構造は、例えば、特許文献1,2に開示されている。
特許文献1の「既設建物の耐震補強構造」は、既設建物の外壁側に位置する柱体と梁体の外面に、柱体や梁体を構成するコンクリートの圧縮強度よりも高い圧縮強度を有するコンクリートで構成される補強体が固着されたものである。
特許文献2の「補強構造物」は、補強柱部と補強梁部と補強交差部とを備える。補強柱部は、既設建物の外壁面側でかつ柱部に対応する位置に配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体からなる。補強梁部は、既設建物の外壁面側でかつ梁部に対応する位置に配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体からなる。補強交差部は、既設建物の外壁面側でかつ交差部に対応する位置に配置され、補強柱部の端部及び補強梁部の端部に接続され、鉄筋が埋設されたポリマーセメントモルタル硬化体からなる。
特開2008−50788号公報 特開2017−20332号公報
特許文献1の耐震補強構造の場合、既存の片持ちスラブ(共用廊下又はバルコニー)を撤去し、既存の梁とほぼ同じ梁せい(梁の高さ)の増設梁を設置する必要がある。そのため、既存の躯体自体の耐震性能が低下し、かつ居住者が許容できない騒音、振動、粉塵などが発生する。
これに対し、特許文献2の補強構造物の場合、既存の片持ちスラブを温存し、既存の躯体自体の耐震性能の低下を防止することができる。
しかし、補強柱部と補強梁部にコンクリート硬化体を用い、補強交差部にポリマーセメントモルタル硬化体を用いることから、コンクリートの二度打ちが必要となり、余分な工数と費用がかかり、かつ異なるコンクリートの接合部強度が不足するおそれがある。
また、下層が鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、上層が鉄筋コンクリート造(RC造)の混合構造(以下、SRC/RC造)の場合、SRC造からRC造に切り替わる部分(中間層)のみの耐震性能が低いことが多い。
しかし、上述した特許文献1,2の補強構造の場合、上層部の鉛直軸力を基礎まで伝達するために、上層部から基礎まで補強構造物を増設する必要がある。そのため、下層部の補強及び基礎工事に余分な工数と費用がかかり、かつ下層部においても騒音、振動、粉塵などが発生する。
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の第1の目的は、既存の片持ちスラブを温存し、かつコンクリートの二度打ちを回避して、既設建物を耐震補強することができる耐震補強構造を提供することにある。また第2の目的は、SRC造からRC造に切り替わる部分(中間層)のみの耐震性能が低いSRC/RC造の既設建物を、下層部の補強及び基礎工事を省略して耐震補強することができる耐震補強構造を提供することにある。
本発明によれば、外壁面に沿って位置する柱部及び梁部と、前記柱部及び前記梁部で片持ち支持され外方に延びる片持ちスラブと、を有する既設建物の耐震補強構造であって、
前記柱部に対応する位置に配置された補強柱部と、
前記梁部に対応する位置に配置された補強梁部と、を備え、
前記補強柱部と前記補強梁部は、その交差部に互いに共有する張出接合部を有しており、
前記補強梁部は、矩形断面を有し、その高さが幅より小さい幅広扁平梁であり、下端が前記梁部の下端より上方に位置し、かつ前記片持ちスラブの下面に接して外方に水平に延び、
前記張出接合部は、前記柱部より幅が大きく、その幅端部近傍にヒンジ部を形成するヒンジリロケーション構造を有する、耐震補強構造が提供される。
上記本発明の構成によれば、補強柱部と補強梁部を備え、補強梁部は幅広扁平梁であり、補強梁部の下端が梁部の下端より上方に位置し、かつ片持ちスラブの下面に接して外方に水平に延びるので、既存の片持ちスラブを撤去せずに温存して耐震補強構造の耐震性能を高めることができる。
さらに、補強柱部と補強梁部が、その交差部に互いに共有する張出接合部を有しており、張出接合部が、既設建物の柱部より幅が大きく、その幅端部近傍にヒンジ部を形成するヒンジリロケーション構造を有する。これにより、補強梁部のスパン長さを既設建物の梁部よりも実質的に短くでき、耐震補強構造の耐震性能をさらに高めることができる。
また、上述した耐震補強構造は、全体として同一のコンクリートを用いることができる。
従って、ヒンジリロケーション構造により、コンクリートの二度打ちを回避して、既設建物を耐震補強することができる。
片持ちスラブを有する既設建物の正面図である。 図1AのA−A矢視図である。 図1AのB−B矢視図である。 図1AのC部拡大図である。 図2AのD−D断面図である。 図2AのE−E断面図である。 図2AのF−F矢視図である。 鉛直柱部、補強梁部、及び補強中間柱の断面図である。 図2AのA部説明図である。 図2AのB部説明図である。 図2AのC部説明図である。 図2Aに相当する部分のアンカー図である。 図5AのB−B断面図である。 柱と梁のアンカー図である。 補強梁部の第2実施形態を示す図である。 補強中間柱の第2実施形態を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1Aは既設建物1の正面図、図1Bは図1AのA−A矢視図、図1Cは図1AのB−B矢視図である。
この例で既設建物1は、9階建の集合住宅(例えばマンション)であり、外壁面2に沿って位置する柱部3及び梁部4と、柱部3及び梁部4で片持ち支持され外方に延びる片持ちスラブ5とを有する。片持ちスラブ5は、共用廊下又はバルコニーである。
柱部3の水平断面形状は、例えば幅が外壁面2において900mm、厚さが650mmの矩形形状である。また、梁部4の鉛直断面形状は、例えば高さが700mm、厚さが450mmの矩形形状である。さらに片持ちスラブ5の鉛直断面形状は、例えば最大高さが230mm、奥行き方向(Y方向)の幅は1400mmの平板形状である。また、片持ちスラブ5は梁部4の上端部と柱部3に連続して片持ち支持されている。
さらに、既設建物1は、床スラブ6、及び窓7を有する。
床スラブ6は、鉄筋コンクリート造の上階住戸と下階住戸の間にある構造床である。また、窓7は、集合住宅の各居室の壁に設けられた採光窓である。
既設建物1は、さらに、左右に隣接する1対の柱部3の間に、上下に隣接する1対の梁部4を鉛直に接続する中間壁8を有する。中間壁8は、柱部3から独立した固定壁である。
図1Cにおいて、5つの居室が隣接する水平方向をX方向、各居室のX方向に直交する水平方向(奥行き方向)をY方向とする。
また、この図において、5つの居室を仕切る壁位置Xを左側から順に壁位置X1,X2,X3,X4,X5,X6とする。この例で壁位置X1、X6は壁の外面位置であり、壁位置X2,X3,X4,X5は壁の中心位置である。隣接する壁位置Xの間隔(X方向間隔)は、例えば、5mから7mである。
また、この図において、正面側の外壁の面位置Yを面位置Y1、背面側の外壁の面位置Yを面位置Y2とする。なお、既設建物1の正面と背面は逆であってもよい。
図1Aと図1Bにおいて、既設建物1は、下層がSRC造、上層がRC造であるSRC/RC造である。下層はこの例では1階から5階(5FLと6FLの中間)まで、下層はこの例では5階(5FLと6FLの中間)から屋上までである。なお、FLとは床位置を意味する。
また図1Aと図1Bにおいて、下層は、SRC造を構成する鉄骨9を有している。鉄骨9は、柱部3に埋設され上層の下端まで鉛直に延びる柱鉄骨9aと、梁部4に埋設され両端が柱鉄骨9aに固定された梁鉄骨9bを有する。鉄骨9は、例えばH型鋼である。
なお、本発明において既設建物1は、SRC/RC造に限定されず、全体がRC造、又はSRC造であってもよい。
図1A〜図1Cにおいて、本発明による耐震補強構造100は、既設建物1の正面側に設けられている。なお、耐震補強構造100は、正面側に限定されず、背面側でも両方でもよい。
この例で耐震補強構造100は、既設建物1の4階の床面(4FL)から7階の床面(7FL)の間であって、壁位置X2から壁位置X5までの仕切壁を含む範囲に設けられている。
なお、この構造は、SRC/RC造のSRC造からRC造に切り替わる部分(中間層)のみの耐震性能が低いことに対応している。しかし、RC造の耐震性能が低いところに適用してもよい。
従って、耐震補強構造100の設置範囲は、この例に限定されず、既設建物1の耐震性能に応じて自由に設定することができる。例えば、耐震補強構造100を壁位置X1から壁位置X6までの範囲に設けてもよい。
図2Aは図1AのC部拡大図、図2Bは図2AのD−D断面図、図2Cは図2AのE−E断面図、図2Dは図2AのF−F矢視図である。
図2A〜図2Dにおいて、耐震補強構造100は、補強柱部10と補強梁部20を備える。
また補強柱部10と補強梁部20は、その交差部に互いに共有する張出接合部14を有する。
補強柱部10は、既設建物1の柱部3に対応する位置に配置されている。補強柱部10は、全体が一体的に形成された鉛直柱部12と張出接合部14を有する。
鉛直柱部12は、既設建物1の柱部3とX方向の幅が同程度であり鉛直に延びる。張出接合部14は、既設建物1の柱部3及び鉛直柱部12よりX方向の幅が大きく、その幅端部近傍にヒンジ部Hを形成するヒンジリロケーション構造を有する。ヒンジリロケーション構造の詳細は後述する。
補強梁部20は、既設建物1の梁部4に対応する位置に配置されている。補強梁部20は、全体が一体的に形成された水平梁部22と張出接合部14を有する。なお上述したように、張出接合部14を補強柱部10が共有している。
水平梁部22のX方向の両端は張出接合部14に接続されている。また図2Bに示すように、補強梁部20の下端20aは、既設建物1の梁部4の下端4aより上方に位置する。また、補強梁部20は片持ちスラブ5の下面5aに接して鉛直柱部12よりも外方まで水平に延びる。補強梁部20の外方端は片持ちスラブ5の外方端より内側であるのがよい。この例で補強梁部20は、矩形断面を有し、その高さが幅より小さい幅広扁平梁である。
また、後述するように、補強梁部20は既設建物1の梁部4に埋設アンカー46を介して一体化されるので、耐震補強構造100の梁の剛性を大幅に高めることができる。
図2Aにおいて、張出接合部14は、水平梁部22と同じ高さに位置する。
また、図2Dに示すように、補強柱部10の鉛直柱部12は、片持ちスラブ5を鉛直に貫通して設けられている。さらに、鉛直柱部12と片持ちスラブ5との間に水平方向の隙間C1が設けられている。隙間C1は、地震時に鉛直柱部12が変位しても片持ちスラブ5へ水平力が伝達されないように設定することが好ましい。隙間C1は、例えば10〜20mmである。
また、後述するように、鉛直柱部12は既設建物1の柱部3に埋設アンカー46を介して一体化されるので、耐震補強構造100の柱の剛性を大幅に高めることができる。
図2A〜図2Dにおいて、耐震補強構造100は、さらに、補強中間柱30を備える。補強中間柱30は、中間壁8に対応する位置に配置され中間壁8の全幅と同程度の幅に設定されている。また補強中間柱30は、上下に隣接する複数の補強梁部20に接続されている。
また、図2Dに示すように、補強中間柱30は、片持ちスラブ5を鉛直に貫通して設けられている。さらに、補強中間柱30と片持ちスラブ5との間に水平方向の隙間C2が設けられている。隙間C2は、地震時に補強中間柱30が変位しても片持ちスラブ5へ水平力が伝達されないように設定することが好ましい。隙間C2は、例えば10〜20mmである。
上述した補強中間柱30の構成により、既存の窓7が補強中間柱30により遮光されないので、既存の窓7からの遮光を十分に確保することができる。
また、補強中間柱30が上下に隣接する複数の補強梁部20に接続されているので、耐震補強構造100の梁の剛性をさらに高めることができる。
なお、補強中間柱30は必須ではなく、耐震補強構造100の梁剛性が確保される限り、これを省略してもよい。
図3は、鉛直柱部12、水平梁部22、及び補強中間柱30の断面図である。この図において、(a)(c)は図2Dの部分拡大図、(b)は図2Bの部分拡大図である。
図3(a)において、鉛直柱部12の幅w1は、柱部3の幅と同程度の幅に設定されている。例えば、柱部3の幅(外壁面2における幅)が900mmの場合、鉛直柱部12の幅は、好ましくは900mmである。
また、鉛直柱部12の厚さb1は、柱部3の厚さと同程度以下に設定されている。例えば、柱部3の厚さが650mmの場合、鉛直柱部12の厚さは、好ましくは550〜600mmである。
さらに、鉛直柱部12は、その内部に軸方向に延びる柱主筋41aと、断面内で柱主筋41aを囲んで環状に延びる環状補強筋42aとを有する。
図3(b)において、補強梁部20の高さh1は、片持ちスラブ5の下面5aから梁部4の下端4aまでの高さと同程度以下に設定されている。例えば、梁部4の高さは700mm、片持ちスラブ5の最大高さが230mmの場合、補強梁部20の高さh1は、好ましくは450〜470mmである。
また、水平梁部22は、その内部に軸方向に延びる梁主筋41bと、断面内で梁主筋41bを囲んで環状に延びる環状補強筋42bとを有する。
図3(c)において、補強中間柱30の幅w2は、中間壁8の幅と同程度の幅に設定されている。例えば、中間壁8の幅が800mmの場合、補強中間柱30の幅w2は、好ましくは800mmである。
また、補強中間柱30の厚さb2は、好ましくは鉛直柱部12の厚さb1と同程度に設定されている。例えば、鉛直柱部12の厚さb1が550mmの場合、補強中間柱30の厚さb2は、好ましくは550mmである。
さらに、補強中間柱30は、その内部に軸方向に延びる間柱主筋41cと、断面内で間柱主筋41cを囲んで環状に延びる環状補強筋42cとを有する。
また、鉛直柱部12、水平梁部22、及び補強中間柱30を構成するコンクリートには、既設建物1のコンクリートより圧縮強度が高いコンクリートを用いている。
上述した構成により、鉛直柱部12、水平梁部22、及び補強中間柱30は、所定の地震荷重において各部分に発生する圧縮、引張、曲げ、せん断、ねじりに対し、十分な強度に設定されている。
図4Aは図2AのA部説明図、図4Bは図2AのB部説明図、図4Cは図2AのC部説明図である。
図4Aにおいて、(a)は図2AのA部拡大図、(b)は(a)のB−B断面図である。
この図において、張出接合部14は、水平梁部22の端部に相当する鉛直断面を有する。また、張出接合部14には、図3(b)に示した補強梁部20の鉄筋(梁主筋41bと環状補強筋42b、図示せず)が同様に配筋されている。
また、張出接合部14は、鉛直柱部12の端部よりも広い水平断面を有する。また、張出接合部14の鉛直柱部12に相当する部分(鉛直部相当部14a)には、図3(a)に示した鉛直柱部12の鉄筋(柱主筋41aと環状補強筋42a、図示せず)が同様に配筋されている。
上述した構成により、張出接合部14は、水平梁部22及び鉛直柱部12よりも圧縮、引張、曲げ、せん断、ねじりに対し、高い強度に設定されている。
図4Aにおいて、ヒンジリロケーション構造は、張出接合部14に埋設され、その幅端部近傍(水平梁部22との接続部近傍)にヒンジ部Hを形成する補強筋44を有する。補強筋44は、例えば、曲げ補強筋44a、コ形補強筋44b、キャップ筋44c、又は拘束筋44dである。
ヒンジ部Hは、図中に△で示す位置に形成される。鉛直柱部12の図で右側面からのヒンジ部Hの水平位置は、鉛直柱部12の幅w1より短いことが好ましく、鉛直柱部12の幅w1が900mmである場合、400〜500mm、好ましくは450mmである。
上述した構成により、張出接合部14の剛性を高め、補強梁部20のスパン長さを既設建物1の梁部4よりも短くでき、耐震補強構造100の耐震性能を高めることができる。
図4Bにおいて、(a)は図2AのB部拡大図、(b)は(a)のB−B断面図である。
この図において、張出接合部14は、水平梁部22の端部に相当する鉛直断面を有する。また、張出接合部14には、図3(b)に示した水平梁部22の鉄筋(梁主筋41bと環状補強筋42b、図示せず)が同様に配筋されている。
また、張出接合部14は、鉛直柱部12の端部よりも広い水平断面を有する。また、張出接合部14の鉛直柱部12に相当する鉛直部相当部14aには、図3(a)に示した鉛直柱部12の鉄筋(柱主筋41aと環状補強筋42a、図示せず)が同様に配筋されている。
上述した構成により、張出接合部14は、補強梁部20及び鉛直柱部12よりも圧縮、引張、曲げ、せん断、ねじりに対し、高い強度に設定されている。この構成は図4Aと同様である。
図4Bにおいて、ヒンジリロケーション構造は、張出接合部14に埋設され、水平梁部22との接続部近傍にヒンジ部Hを形成する補強筋44を有する。この補強筋44は、例えば、曲げ補強筋44a、コ形補強筋44b、及び拘束筋44dを有する。
ヒンジ部Hの位置は、鉛直部相当部14aの図で左右の側面から鉛直部相当部14aの幅w1より短いことが好ましく、鉛直柱部12の幅w1が900mmである場合、400〜500mm、好ましくは450mmである。
上述した構成により、張出接合部14の剛性を高め、補強梁部20のスパン長さを既設建物1の梁部4よりも短くでき、耐震補強構造100の耐震性能を高めることができる。
図4Aでは、張出接合部14の一方(図2Aで右側)のみに水平梁部22が接続されている。図1Aと図2Aにおいて、張出接合部14の一方のみに水平梁部22が接続されている他の部分の構成は、上述した図4Aの構成と同じである。
図4Bでは、張出接合部14の両側に水平梁部22が接続されている。図1Aと図2Aにおいて、張出接合部14の両側に水平梁部22が接続されている他の部分の構成は、上述した図4Bの構成と同じである。
図4Cにおいて、(a)は図2AのC部拡大図、(b)は(a)のB−B断面図である。
この図において、水平梁部22及び補強中間柱30には、図3(b)(c)に示した鉄筋が同様に配筋されている。
また、水平梁部22と補強中間柱30の連結部分には、両者を連結するように、コ形補強筋44bと拘束筋44dが配筋されている。
図1Aと図2Aにおいて、水平梁部22と補強中間柱30が接続されている他の部分の構成は、上述した図4Cの構成と同じである。
上述した構成により、補強中間柱30の端部を水平梁部22の中間部に強固に連結することができる。
図5Aは図2Aに相当する部分のアンカー図、図5Bは図5AのB−B断面図である。
また、図6は柱と梁のアンカー図であり、(a)は6FLの梁のアンカー図、(b)は5FLの柱と梁のアンカー図、(c)は4FLの柱のアンカー図である。
図5A,図5B及び図6において、5FL以上の上方の補強柱部10及び水平梁部22は、それぞれ柱部3及び梁部4に一端部が埋設され水平に延びる埋設アンカー46を有する。
埋設アンカー46は、この例では後施工アンカーである。また、埋設アンカー46は、引張用アンカー46a、せん断用アンカー46b、変動軸力用アンカー46c、又は、脱落防止用アンカー46dである。
上述した埋設アンカー46により、5FL以上の上方において、補強柱部10と柱部3、及び水平梁部22と梁部4とを強固に連結して一体化し、耐震補強構造100の耐震性能を高めることができる。
図5A及び図6(a)において、補強中間柱30は、中間壁8に一端部が埋設され水平に延びる脱落防止用アンカー47を有する。
この構成により、補強中間柱30と中間壁8を強固に連結して一体化し、耐震補強構造100の耐震性能をさらに高めることができる。
図5A及び図6(c)において、補強柱部10は、その下端部に鉄骨9に一端部が溶接され水平に延びる溶接アンカー48を有する。この例で補強柱部10の下端部は、鉛直柱部12であり、この鉛直柱部12とその上(5FL)の張出接合部14に溶接アンカー48が設けられている。
この構成により、耐震補強構造100の補強柱部10に作用する軸力を下層階の鉄骨9に伝達することができ、下層部の補強及び基礎工事を省略して耐震補強することができる。
図5Aにおいて、破線で囲む範囲は同一種の埋設アンカー46、脱落防止用アンカー47、又は溶接アンカー48を示している。
上述した耐震補強構造100は、好ましくは、既設建物1より圧縮強度が高いコンクリートを用い、打ち継ぎのない一発打ちで形成されている。
図7は、補強梁部20の第2実施形態を示す図である。この図において、(a)は補強梁部20の平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
この例で既設建物1の梁部4は、隣接する1対の柱部3の間に、梁部4を水平に貫通する第1貫通穴4bを有している。第1貫通穴4bには、例えば外径150mmの排気スリーブ(図示せず)が埋設されており、室内(例えばキッチン)からの排気を外部に排出するようになっている。
図7において、上述した補強中間柱30はなく、補強梁部20は、その水平梁部22の第1貫通穴4bと対向する位置に第1貫通穴4bと外部とを連通する欠損部24を有する。
欠損部24は、この例では、水平梁部22の側面に設けられた矩形の切欠部(この例では平面視で300mm×300mm)である。欠損部24は水平梁部22の上面から下面まで貫通して設けられ、第1貫通穴4bから欠損部24を介して排気をスムースに外部(水平梁部22の下方)に排出するようになっている。
その他の構成は、図1〜図6の補強梁部20と同様である。
図8は、補強中間柱30の第2実施形態を示す図である。この図において、(a)は、図2Aの部分拡大図に相当する補強中間柱30の正面図である。また、(b)は(a)のB−B矢視図である。
この図において、既設建物1の中間壁8は、中間壁8を水平に貫通する第2貫通穴8a(図示せず)を有する。第2貫通穴8aは、例えば、室内と外部を連通する換気孔、または、空調設備の配管を通すための配管穴(設備開口)である。この例で2つの第2貫通穴8aが設けられているが、1つでも3以上でもよい。
図8において、補強中間柱30は、第2貫通穴8aと整合する位置に第2貫通穴8aと外部とを連通する補強貫通穴32を有する。補強貫通穴32の直径は第2貫通穴8aと同程度以上であることが好ましい。
補強貫通穴32は、この例では、補強中間柱30に設けられた2つの円形穴である。補強貫通穴32の直径は例えば50〜150mmである。
なお、この図に示すように、補強貫通穴32の周囲には、複数のコ形補強筋44bが埋設され、補強貫通穴32を補強していることが好ましい。
上述した本発明の実施形態によれば、補強柱部10と補強梁部20を備え、補強梁部20は幅広扁平梁であり、補強梁部20が片持ちスラブ5の下面5aに接して外方に水平に延びるので、既存の片持ちスラブ5を撤去せずに温存して耐震補強構造の耐震性能を高めることができる。
また、補強柱部10の鉛直柱部12が既設建物1の柱部3より幅が小さく、補強梁部20の下端20aが既設建物1の梁部4の下端4aより上方に位置するので、既存の窓7からの採光を十分に確保することができる。
さらに、補強柱部10と補強梁部20が、その交差部に互いに共有する張出接合部14を有しており、張出接合部14が、既設建物1の柱部3より幅が大きく、その幅端部近傍にヒンジ部Hを形成するヒンジリロケーション構造を有する。この構成により、補強梁部20のスパン長さを既設建物1の梁部4よりも短くでき、耐震補強構造100の耐震性能をさらに高めることができる。
また、上述した耐震補強構造100は、全体として同一のコンクリートを用いることができる。すなわち、耐震補強構造100は、好ましくは、既設建物1より圧縮強度が高いコンクリートを用い、打ち継ぎのない一発打ちで形成されている。
従って、ヒンジリロケーション構造により、コンクリートの二度打ちを回避して、既設建物1を耐震補強することができる。
また、既設建物1が、SRC造からRC造に切り替わる部分(中間層)のみの耐震性能が低いSRC/RC造である場合でも、耐震補強構造100の補強柱部10に作用する軸力を下層階の鉄骨9に伝達することができる。これにより、下層部の補強及び基礎工事を省略して耐震補強することができる。
なお、本発明の範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
X,X1,X2,X3,X4,X5,X6 壁位置、Y,Y1,Y2 面位置、
C1,C2 隙間、H ヒンジ部、1 既設建物、2 外壁面、3 柱部、
4 梁部、4a 下端、4b 第1貫通穴、5 片持ちスラブ、5a 下面、
6 床スラブ、7 窓、8 中間壁、8a 第2貫通穴、
9 鉄骨、9a 柱鉄骨、9b 梁鉄骨、
10 補強柱部、12 鉛直柱部、14 張出接合部、14a 鉛直部相当部、
20 補強梁部、20a 下端、22 水平梁部、24 欠損部、
30 補強中間柱、32 補強貫通穴、
41a,41b,41c 主筋、42a,42b,42c 環状補強筋、
44 補強筋、44a 曲げ補強筋、44b コ形補強筋、44c キャップ筋、
44d 拘束筋、46 埋設アンカー、46a 引張用アンカー、
46b せん断用アンカー、46c 変動軸力用アンカー、
46d,47 脱落防止用アンカー、48 溶接アンカー、
100 耐震補強構造

Claims (11)

  1. 外壁面に沿って位置する柱部及び梁部と、前記柱部及び前記梁部で片持ち支持され外方に延びる片持ちスラブと、を有する既設建物の耐震補強構造であって、
    前記柱部に対応する位置に配置された補強柱部と、
    前記梁部に対応する位置に配置された補強梁部と、を備え、
    前記補強柱部と前記補強梁部は、その交差部に互いに共有する張出接合部を有しており、
    前記補強梁部は、矩形断面を有し、その高さが幅より小さい幅広扁平梁であり、下端が前記梁部の下端より上方に位置し、かつ前記片持ちスラブの下面に接して外方に水平に延び、
    前記張出接合部は、前記柱部より幅が大きく、その幅端部近傍にヒンジ部を形成するヒンジリロケーション構造を有する、耐震補強構造。
  2. 前記ヒンジリロケーション構造は、前記張出接合部に埋設され前記幅端部近傍に前記ヒンジ部を形成する補強筋を有する、請求項1に記載の耐震補強構造。
  3. 前記補強柱部は、前記片持ちスラブを鉛直に貫通して設けられ、前記片持ちスラブとの間に、水平方向の隙間を有する、請求項1に記載の耐震補強構造。
  4. 前記梁部は、隣接する1対の前記柱部の間に、前記梁部を水平に貫通する第1貫通穴を有しており、
    前記補強梁部は、前記第1貫通穴と対向する位置に前記第1貫通穴と外部とを連通する欠損部を有する、請求項1に記載の耐震補強構造。
  5. 前記補強柱部及び前記補強梁部は、それぞれ前記柱部及び前記梁部に一端部が埋設され水平に延びる埋設アンカーを有する、請求項1に記載の耐震補強構造。
  6. 前記既設建物は、隣接する1対の前記柱部の間に、隣接する1対の前記梁部を鉛直に接続する中間壁を有しており、
    前記中間壁に対応する位置に配置され前記中間壁の全幅と同程度の幅の補強中間柱を備え、前記補強中間柱は、隣接する複数の前記補強梁部に接続されている、請求項1に記載の耐震補強構造。
  7. 前記中間壁は、該中間壁を水平に貫通する第2貫通穴を有しており、
    前記補強中間柱は、前記第2貫通穴と整合する位置に前記第2貫通穴と外部とを連通する補強貫通穴を有する、請求項6に記載の耐震補強構造。
  8. 前記補強中間柱は、前記中間壁に一端部が埋設され水平に延びる脱落防止用アンカーを有する、請求項6に記載の耐震補強構造。
  9. 既設建物より圧縮強度が高いコンクリートを用い、打ち継ぎのない一発打ちで形成されている、請求項1に記載の耐震補強構造。
  10. 前記既設建物は、下層がSRC造、上層がRC造であるSRC/RC造であり、
    前記下層は、前記柱部に埋設され前記上層の下端部まで鉛直に延びる鉄骨を有しており、
    前記補強柱部は、その下端部に前記鉄骨に一端部が溶接され水平に延びる溶接アンカーを有する、請求項1に記載の耐震補強構造。
  11. 前記既設建物は、全体がRC造である、請求項1に記載の耐震補強構造。
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