JP5647713B2 - 建物構造 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の主たる構造に鉄骨を採用した建物構造に関する。
現在では鉄骨構造の優位性から特許文献1に開示されているように、建物においても鉄骨構造が使用されるようになっている。この鉄骨構造の建物では、水平荷重に対する耐力を確保するため、一般に、その壁面範囲に階高の全高を対角に結ぶブレースを設けることが行われている。
特開平10−115007号公報
建物構造においては、建物設計の自由度を確保し内部を快適な生活空間とするため、壁面に出入り口、窓及び通気口などの開口をなるべく制限を受けることなく構造設計できる構造であることが望ましい。しかし、構造耐力についての基準を満たすためにはブレース等を具備した耐力壁設定による制限を受けざるを得ない。
本発明の目的は、鉄骨構造の建物において、壁面に形成されていた種々の開口の設定の自由度を確保した上で必要な構造耐力を発現した建物構造を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る建物構造は、形鋼からなる土台又は下層の梁と3000mm以内の範囲で離れたその上層の梁との間に立設された100mm×100mmの断面正方形でかつ肉厚4.5mmの角型鋼管と、前記角型鋼管が土台又は下層若しくは上層の梁に端部が当接した箇所の、土台又は下層若しくは上層の梁と角型鋼管の面同士をボルトにより固定する結合金具であって、L字型の等辺山形状金具と当該等辺山形状金具の幅中央に立設した状態で直角二等辺三角形の短辺が夫々等辺山形状金具に溶接された補助平板からなる結合金具と、角型鋼管の長さ方向に中心側へ570mm寄った位置よりも両端縁に近い位置であって、各端部領域の対向する一対の側面のうちの片側側面に、当該片側側面に設けられた貫通孔を介してボルト/ナットにより固定され、土台又は下層の梁或いは上層の梁に向けて傾斜状に張り出させた方杖であって、両端部を約45度起こされた第1のフラットバーと、当該第1のフラットバーの幅中央に立設した状態で等脚台形状の斜辺と短辺が夫々第1のフラットバーに溶接された第2のフラットバーとからなる方杖とを具備し、前記方杖は土台又は下層の梁或いは上層の梁にボルトにより固定されることを特徴とする。
上記した本発明によれば、壁面に設けられた開口に対して干渉せずに、法定の強度を保った耐力を持たせることが可能となる。また、角型鋼管を用いているため出っ張りが無く、壁厚の中に納めることができ、すっきりとしたプランデザインが企てられる。また、建物の水平耐力を柱1本当りの耐力とその数に基づいて決めることができるため、新築はもちろん増改築における諸官庁手続きが容易である。
柱機材を用いた建物構造の一部を示す図である。 結合金具と方杖を示す図である。 建物の開口を示す図である。 角型鋼管と方杖の態様を示す図である。 被試験体を示す図である。 試験結果を示す図である。 試験の様子を示す図である。 建物の構造を示す図である。
建物では、内部の部屋の役割や、関係法の規定により大小の様々な開口が設けられており、大別すると、これら開口は次の(1)乃至(5)示すものである。
(1)人が出入りする表玄関ドアや、裏口からの勝手口ドア
(2)各部屋へ出入りする引き戸、開き戸、又は、押入れなどの、引き戸、吊り戸又は開き戸
(3)居間やリビングなどの、大窓又は、掃き出し窓
(4)各部屋の明り採り窓(引き違い窓、開き窓)
(5)その他のもの(例えば換気孔や小窓など)
図3は、建物構造の1階の壁面範囲に、上記(1)から(5)の建築機材を取り付けるための種々の開口を示している。コンクリート基礎の上に土台が設置され、例えばその上57mmから130mmのところに一階床(1F)が設けられる。
表玄関ドア、勝手口ドア用の開口10aは、1階床(1F)より300mm乃至400mm程度低位置から、1階床より2000mm程度高い位置までの開口である。
各部屋へ出入りする引き戸、開き戸、又は、押入れなどの、引き戸、吊り戸又は開き戸用の開口10bは、1階床(1F)から、1階床より2000mm程度高い位置までの開口である。
居間、リビングなどの大窓用の開口10cは、1階床(1F)から、1階床より2400mm程度高い位置までの開口である。
居間、リビングなどの掃きだし窓用の開口10dは、1階床(1F)から、1階床より2000mm程度高い位置までの開口である。
各部屋の明り採り窓(引き違い窓、開き窓)用の開口10eは、1階床より700mm程度高い位置から、1階床より2000mm程度高い位置までの開口である。
換気口や小窓などの開口10fは他の開口より小さいため、配置の制約は少ない。
2階梁(或いは平屋建ての場合は屋根梁)の下面と土台の間は2700mmである。大窓用の開口10cを除いた開口についてみれば、開口の上端から2階梁までの間に570mmの間隔が空いている。また、開口10eについてみれば開口の下端から土台まで、830mmの間隔が空いている。
コンクリート基礎100の上の壁面の領域であって、開口以外の斜線領域の範囲内(570mmの範囲内)で構造耐力を十分に発揮させる構造ができれば、建物設計の自由度は格段に向上する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施例に係る建物構造の一部を示しており、図2は該建物構造に使用される基本的な部材を示している。
本実施例の建物構造は、コンクリート基礎100、コンクリート基礎100の天端面上に設置された土台を形成する形鋼200、柱を形成する角型鋼管2と3、及び上層となる2階梁やR階梁を形成する形鋼400と形鋼500を備えている。形鋼200、形鋼400、及び形鋼500はH形鋼である。
コンクリート基礎100は、木造軸組構造の建物に用いられるコンクリート基礎と同様の厚さ高さを有する。多数のアンカーボルト1がコンクリート基礎100に間隔を置いて埋設されている。形鋼200は、例えば高さが100mm、幅が100mmでフランジ厚が8mmでウエッブ厚が6mmである。形鋼200の下側のフランジ200aに形成された貫通孔に、アンカーボルト1が挿通され、ナットを螺着して固定する。
角型鋼管3は形鋼200とその上層の形鋼400の間、角型鋼管2は形鋼400とその上層の形鋼500の間に立設されている。角型鋼管2、3の両端部に結合金具4a、4bと、方杖5a、5bが固定されている。角型鋼管2、3、両端部に固定された結合金具4a、4b、方杖5a、5bにより柱機材を構成する。角型鋼管2、3は、一般構造用角型鋼管(JIS G 3466
STKR)で1辺が100mmの正方形断面であり、角型鋼管2、3の長さは、従来の木造軸組構造に準じ2700mmであり、また各側面の肉厚さは4.5mmである。角型鋼管2、3の両端は形鋼200若しくは形鋼400或いは形鋼500に載せられた状態で当接している。結合金具4a、4bは、角型鋼管2、3と形鋼400或いは形鋼500とが当接した箇所を、夫々上下端で固定している。また、方杖5aは、形鋼200若しくは形鋼400の上400mm上であって、角型鋼管2、3の側面から下に向けて傾斜状に張り出し、角型鋼管2、3の当接箇所より400mm離れた箇所で、形鋼200若しくは形鋼400に固定される。方杖5bは、形鋼400若しくは形鋼500の下400mm下から角型鋼管2、3の側面から上に向けて傾斜状に張り出し、角型鋼管2、3の当接箇所より400mm離れた箇所で、形鋼400若しくは形鋼500に固定される。
図2に、結合金具4a、4b及び方杖5a、5bを示す。結合金具4a、4bは、側面視においてL形型の等辺山形状金具41と、これの幅中央に立設した状態で直角二等辺三角形状の短辺が夫々等辺山形状金具41に溶接された補強平板42からなっており、断面形状はT形である。等辺山形状金具41は一辺の長さが75mm、幅は角型鋼管2、3と同じ100mm、厚さが補強板42と同様に9mmである。結合金具4a、4bは、形鋼200、形鋼400又は500に面接触する第1平面部c1と、角型鋼管2、3の外周面に面接触する第2平面部c2とを具備している。等辺山形状金具41の幅方向各端部のうち、第1平面c1の側にはM16ボルト用の貫通孔b1が形成され、第2平面部c2の側にはM10ボルト用の貫通孔b2が形成されている。結合金具4a、4bの第1平面部c1が、角型鋼管2、3の端面に揃うように配置されたときに第2平面部c2の貫通孔b2が連通する位置に、角型鋼管2、3の外周面に透孔e1(図1)が明けられる。角型鋼管2、3の内側から透孔e1及び結合金具4の貫通孔b2を介してM10ボルトが挿通され、ナットにより結合金具4は角型鋼管2、3の外周面に固定される。
図2において、方杖5a、5bは、厚さが6mmで幅が角型鋼管2、3と同じ100mmの屈曲状の第1フラットバー51と、第1フラットバー51の幅方向に沿う平面状の1つの外表面の幅中央に立設した状態で溶接された、厚さが9mmで幅が65mmの第2フラットバー52とからなっている。第1フラットバー51及び第2フラットバー52はそれぞれの平面状の外表面が直交するように配置されており、断面形状はT形である。
第1フラットバー51の一端部には約45度起こされた状態の垂直面部c3が形成され、他端部には一端部と同様の方向に約45度起こされた状態の水平面部c4を形成されている。垂直面部c3と水平面部c4のなす角度は90度である。方杖5a、5bは、紙面の上下方向長さd1が例えば433mmであり、紙面の左右方向長さd2が例えば370mmである。
そして垂直面部c3の上下方向長さは例えば117.7mmであり、水平面部c4の水平方向長さは例えば89mmである。第2フラットバー52は、等脚台形状であり、短辺の両端の内角は約135度であって、2つの斜辺を夫々、垂直面部c3と水平面部c4に溶接させ、短辺を垂直面部c3と水平面部c4の間の第1フラットバー51に溶接されている。
垂直面部c3にはM10ボルトが挿通される貫通孔b2が形成され、水平面部c4にはM16ボルト用の貫通孔b1が形成されている。貫通孔b2により垂直面部c3が角型鋼管2、3を固定する実質的な位置d3は、d3=390mmである。上下方向長さd1を433mmとしたのは、開口10cを除く開口10a〜fについて梁との間隔の上限(570mm)よりも小さくしたからである。d3は、d1に連動して増加させてよいが、d1を超えることはない。
方杖5a、5bの水平面部c4が、角型鋼管2、3の端面に揃うように配置されたときに垂直面部c3の貫通孔b2が連通する位置に、角型鋼管2、3の外周面に透孔e2(図1)が明けられる。透孔e2が設けられるのは、角型鋼管2、3の対向する一対の側面の内の一方のみである。角型鋼管2、3の内側から透孔e2及び方通5a、5bの貫通孔b2を介してM10ボルトが挿通され、ナットにより方杖5a、5bは角型鋼管2、3の対向する側面の内の一方のみの外周側に固定される。この作業は、角型鋼管2、3を形鋼200又は形鋼400に立設する前に行う。
図1に戻り、角型鋼管2、3は、結合金具4a、4b及び方杖5a、5bが固定された状態で、形鋼200の上面に455mm又は500mmのピッチで木造軸組構造の柱に準じて立設される。形鋼200のフランジ200bは、角型鋼管3の幅以上の水平頂面を有しており、角型鋼管3の端縁がフランジ200bの上に載せられたとき、角型鋼管3の中空は、フランジ200bで塞がれる。
角型鋼管3と形鋼200は溶接を用いずに、結合金具4aの第1平面c1の貫通孔b1を介してボルトナットにより形鋼200に設けられた貫通孔f1を介して結合させる。さらに、角型鋼管3に固定された方杖5aの水平面部c4の貫通孔b1と形鋼200の上側フランジ部200bに設けられた貫通孔f2とを連通してM16ボルトナットにより結合させる。方杖5aの長さd1は450mmなので、角型鋼管3の端縁から長さ方向に中央側へ570mm寄った位置よりも端縁に近い450mmの位置で、方杖5aは角型鋼管3を支える。方杖5aの長さd1の長さを長くしても良いが、570mmを超えては長く出来ない。
角型鋼管3の上に形鋼400の下側のフランジ400aをのせ、フランジ400aに穿孔された貫通孔b1に、結合金具4b及び方杖5bの貫通孔b1を介してM16ボルト/ナットにより結合する。角型鋼管3は形鋼400にも溶接されない。同様に、2階建ての建物であれば、形鋼400の上側のフランジ400b上には、さらに、2階を形成するための角型鋼管2が配列される。間取りなどの関係から、2階の角型鋼管2は1階の角型鋼管3の真上に位置されないこともある。2階の各角型鋼管2は、1階の角型鋼管3と形鋼200との結合の場合と同様に結合金具4aや方杖5aによりM16ボルト/ナットを介して結合されるのであり、溶接による結合は行わない。
最上層の形鋼500の下側のフランジ500aにはM16ボルト用の貫通孔b1が形成され、2階の角型鋼管2の上端に取り付けられた結合金具4bと方杖5bの貫通孔b1と連通した状態でM16ボルト/ナットにより結合されるのであり、溶接による結合は行わない。
図4は角型鋼管2、3と結合金具4a、4b及び方杖5a、5bの結合関係を示す正面図である。一階建の建物構造においては、結合金具4a、4bは、角型鋼管3の対向する側面に夫々配置される。一方、方杖5a又は方杖5bは、図面の左右方向(x方向)において角型鋼管2又は3の上下に一つずつである。図4A(a)に示すように角型鋼管3に対して同じ側にある場合と、図4A(b)に示すように相異なる側にある場合である。図面の表裏の方角においても、同様であり、建物の角端の柱には、隣り合う側面に方杖5a又は方杖5bが設けられることがある。
また2階建の建物構造における方杖5a、5bの配置は、角型鋼管2又は3に対して同じ側にある場合と、相異なる側にある場合の組み合わせであり、例えば図4B(a)から(j)に示すものがある。建物の開口に対して方杖5a、5bが干渉しないように選んで配列すればよい。尚、一階建の建物構造と同様に図面の表裏の方角(y方向)においても、同様であり、建物の角端の柱には、隣り合う側面に方杖5a又は方杖5bが設けられることがある。結合金具4bと方杖5bは、隣り合う側面に夫々配置される(図8参照)。
昭和62年11月10日 建設省告示第1899号によれば「建築物の地上部分について、令第88条第1項に規定する地震力(以下この号において「地震力」という)によって各階に生ずる水平方向の層間変位の当該各階の高さに対する割合が1/200(地震力による構造耐力上主要な部分の変形によって建築物の部分に著しい損傷が生ずるおそれのない場合にあっては、1/120)以内であることを確かめること。」となっている。
1m当り300Kg、建物の延べ床面積が124mの平均的な建物の場合、建物の重量は約37.2トンである。地震力は建物重量の0.3に相当する力が、水平方向(x若しくはy方向)にかかる力であるので、水平力は約11.2トンである。本実施例の建物では、結合金具4a、4b及び方杖5a、5bで固定された角型鋼管2或いは3により、建物を支える構造としており、1階部分の角型鋼管3で11.2トンの水平力を分担して負担することとする。
一方、柱の上側に水平力が加わると、柱の下側に作用するモーメントによる作用は柱の長さにより大きくなる。コンクリート基礎100や地盤は、大きな水平力が加わるとそのモーメントの作用により破損する。本発明では、多数の角型鋼管3により地震時の水平力を分担させ、各1本が分担する水平力は一般的な木造建築におけるコンクリート基礎や地盤の強度を超えないものとする。例えば6m(各層3m)の高さを有する2階建て建物の柱の上側に、水平力として500Kgを加えると、当該柱の直下に位置するコンクリート基礎や地盤には3トン(500×6)のモーメントが作用する。1本当りこの程度の水平力への耐力であれば、コンクリート基礎破壊や地盤沈下は起こさない。
従って、
(1)結合金具4a、4b及び方杖5a、5bで固定された角型鋼管2、3の一本当りの耐力が、各階に生ずる水平方向の層間変位の当該各階の高さに対する割合が1/200を超えない範囲が、水平方向に500kgの力を加えた範囲にあるかどうかを評価し、
(2)結合金具4a、4b及び方杖5a、5bで固定された角型鋼管2、3の本数と、水平方向にかかる力の関係を評価する。本数が増えるに従い水平力への耐力が増加する結果が得られれば、逆に水平力を分散させる本数を計算により求めることができ、構造計算が容易になるからである。
すなわち、仮に、結合金具4a、4b及び方杖5a、5bで固定された角型鋼管2、3の本数(n)に、1本当りの耐力(f)を掛けた数値が建物の耐力であるこということであるならば、式(1)のように地震の際に建物に水平方向にかかる力(F)を超えるように、建物設計の際に本数nを決定して設計すれば良いことになる。

F<n×f
又は
n>F/f −−−式(1)

図5に示す被試験体は、形鋼200、角型鋼管3、及び形鋼400により形成されている。角型鋼管3は、100mm×100mmの断面正方形、長さは2700mm、肉厚さは4.5mmである(JIS G 3466
STKR)。
図5Aに示す題1の被試験体は1本の角型鋼管3を再現したものである。図5Aの右側の角型鋼管3は、結合金具4a、4b及び方杖5a、5bにより形鋼200と形鋼400に固定されている。右側の角型鋼管3は形鋼400を水平に保つためのみに用いられ、下端部では右側の結合金具を省略し、上端部では左側の結合金具を省略した状態として、水平力が形鋼200の長さ方向以外の方向に加わらないようにしてある。
図5Bに示す第2の被試験体は、左右のそれぞれの角型鋼管3は形鋼200及び形鋼400に対し方杖5及び結合金具4を使用して固定している。図5Cに示す被試験体は、角型鋼管3に対して夫々方杖5及び結合金具4を使用して固定している。形鋼400の右端に押圧具h1を介し水平方向の荷重k1を油圧ジャッキにより付与する試験を行う。
図6は交番荷重を付与したときの荷重と変移量の関係を示す試験結果であり、図6Aは第1の被試験体、図6Bは第2の被試験体、図6Cは第3の被試験体の結果を示している。図右側は、荷重を加え続けて塑性変形に至るまでの様子を示しており、図左側は縦横軸を拡大した様子を示している。また、図7は実験の様子を示し、図7Aは第1の被試験体、図7Bは第2の被試験体、図7Cは第3の被試験体の夫々の試験前・後の様子である。
固定台e1の上面から形鋼400の高さ中央点に至るまで階高(層間距離)は2900mmであるから、±14.5mmが規定の1/200の範囲である。図6Aにおいて、第1の被試験体は、ほぼ、4.9kN(500kg)〜5.88kN(600kg)のときに±14.5mmにおさまっていることが確認される。この範囲においては、第1の被試験体は弾性変形の範囲である。塑性変形は10kNを超えたあたりで生じている(交番荷重に追随せずに、変形する状態)。
図6Bに示すように、第2被試験体においては、形鋼400の左右方向の移動量が14.5mmであるときの荷重の大きさは、ほぼ、9.8kN(1000kg)〜11.76kN(1200kg)であった。これは、第1の被試験体の2倍である。図6Cに示すように、第3の被試験体においては、形鋼400の左右方向の移動量が14.5mmであるときの荷重の大きさは、ほぼ、14.7kN(1500kg)〜17.64kN(1800kg)であった。これは、第1の被試験体の3倍である。
図7に示す試験後の状態(図面、右側の様子)から観察されるように、角型鋼管3は、形鋼200及び400との位置関係は変化しておらず、方杖5a、5bと角型鋼管3が結合された間の箇所で、柱が歪んでいることが分かる。一方、形鋼200と方杖5aの間、形鋼400と方杖5bとの間は、垂直を維持している。従って、方杖5a、5bと結合金具4a、4bによる角型鋼管3の固定は十分に強いものであり、角型鋼管3の変形は専ら、方杖5a、5bとの間の長さにおける角型鋼管3の強度によるといえる。結合金具4a、4b及び方杖5a、5bにより、形鋼200及び400の間の角型鋼管3は、水平荷重を受ける長さが実質的に方杖5a、5bの間となることにより短くなり、角型鋼管3の変形の大きさが低減したと考えられる。従って、実験例では、長さ2700mmの角型鋼管3と、長さd1が450mmの方杖5a、5bを使用したが、方杖5a、5bの長さd1を梁との間隔の上限値の570mmまで延ばしたとしても、方杖5a、5bの間の距離が変わらなければ、角型鋼管3は同様の耐力を有すると考えられる。この場合、角型鋼管3は3000mmまでその長さを長くできる。さらに、実験例では、方杖5a、5bが角型鋼管3に対して同じ側である(図4A(a)の構成)が、相互に異なる側(図4B(b)の構成)にあっても、同じ結果が得られると考えられる。
上記したように、第1の被試験体の耐力は、コンクリート基礎100の破壊強度に匹敵する耐力が確保できることが明らかになった。また、第2、第3の被試験体の耐力は、第1の被試験体の2倍、3倍となっており、第1の被試験体における角型鋼管3、結合金具4a、4b及び方杖5a、5bをn個持つことにより、第1の被試験体の耐力のn倍の耐力を持つことが証明できた。
1m当り300Kg、建物の延べ床面積が124mの平均的な建物を設計強度する場合、一階においては、約37.2トンの建物の水平力11.2トンを、22本の角型鋼管3に対して結合金具4a、4b及び方杖5a、5bを設置すれば、角型鋼管3は1本当り500Kgの水平力に対して耐えれば良い事になり、木造建築用のコンクリート基礎100に負荷をかけない。上記は、y方向についても同様である。従って、この際、結合金具4a、4b及び方通5a、5bはx方向及びy方向の合計で44個使用することになる。1本の柱にx方向、y方向に、結合金具4a、4b及び方杖5a、5bを設けても良い。
また、二階の設計強度においては、約37.2トンの半分程度の重量であることから、x方向、y方向に対して、一階の半分の角型鋼管2に対して結合金具4a、4b及び方杖5a、5bを設置すれば良い。
上記のように、建物に必要な開口10a、10b、10c、10d、10e、10fを確保した上で、方杖5a、5bの設置に支障のある箇所を避けて、建物重量を元に計算した必要本数の角型鋼管2、3に対して、結合金具4a、4bと方杖5a、5bを配置してゆけば良い。結合金具4a、4bと方杖5a、5bを設置しない角型鋼管2又は3を設けても良く、これら結合金具4a、4bと方杖5a、5bを設置しない角型鋼管2又は3に対しては結合金具4a、4bにより形鋼、形鋼400、500と結合しても良く、結合金具4a、4bの代わりに補助平板42を有さない市販のL字型金具を用いても良い。
本建物構造を採用する建物を新築或いは増改築する際には、結合金具4a、4bと方杖5a、5bを設置する角型鋼管2及び3の数を、式(1)に従って求めて設計すれば所望の構造耐力を持たせる計算ができる。このため、新築はもちろん増改築における諸官庁手続きが容易である。
方杖5a、5bは、角型鋼管2又は3のx方向又は、y方向の片側だけに設けることで必要な耐力を持たせることができるため、方杖5a、5bを設けない側に大きな開口a乃至fを設けることができる。また、方杖5a、5bの長さd1は433mmであり、大窓を除いた開口については形鋼400まで570mmの余裕があるため、形鋼200と形鋼400の間の間隔の上側には少なくとも方杖5bを配置できる。また、角型鋼管2、3に用いる角型鋼管は、10cm×10cmであり、結合金具4a、4b及び方杖5a、5bも同じ幅である。従って、壁厚の中に納めることができ、室内に柱の出っ張りなどをもたらすものでもない。
次に本発明に係る建物構造のさらに具体的な一実施例について説明する。
図8はこの実施例の建物構造を示す斜視図である。
屋根を形成するために対状の合掌梁9により小屋組が形鋼500の上側に形成されている。合掌梁9、9の最上箇所との間には束柱13が配置されている。
形鋼200、角型鋼管2、3、形鋼400、形鋼500には木材15が固定されており、これら木材15を介して内外の壁面が形成されると共に各階の床組みが行われる。角型鋼管2、3への木材の固定は、テーパーネジを用い、角型鋼管2、3を構成する角型鋼管を貫いて螺着させる。
100 コンクリート基礎
200,400,500 形鋼
3 角型鋼管
4a、ab 結合金具
5a、5b 方杖
10a〜f 開口

Claims (3)

  1. 形鋼からなる土台又は下層の梁と3000mm以内の範囲で離れたその上層の梁との間に立設された100mm×100mmの断面正方形でかつ肉厚4.5mmの角型鋼管と、
    前記角型鋼管が土台又は下層若しくは上層の梁に端部が当接した箇所の、土台又は下層若しくは上層の梁と角型鋼管の面同士をボルトにより固定する結合金具であって、L字型の等辺山形状金具と当該等辺山形状金具の幅中央に立設した状態で直角二等辺三角形の短辺が夫々等辺山形状金具に溶接された補助平板からなる結合金具と、
    角型鋼管の長さ方向に中心側へ570mm寄った位置よりも両端縁に近い位置であって、各端部領域の対向する一対の側面のうちの片側側面に、当該片側側面に設けられた貫通孔を介してボルト/ナットにより固定され、土台又は下層の梁或いは上層の梁に向けて傾斜状に張り出させた方杖であって、両端部を約45度起こされた第1のフラットバーと、当該第1のフラットバーの幅中央に立設した状態で等脚台形状の斜辺と短辺が夫々第1のフラットバーに溶接された第2のフラットバーとからなる方杖とを具備し、
    前記方杖は土台又は下層の梁或いは上層の梁にボルトにより固定されることを特徴とする建物構造。
  2. コンクリート基礎上の土台又は下層の梁として配置されたH形鋼梁と、
    前記土台又は下層の梁の上層の梁として3000mm以内の範囲で離れた位置に配置されたH形鋼梁と、
    前記下層のH形鋼と上層のH形鋼との間であって、夫々のH形鋼のフランジ表面の間に端縁が当接された100mm×100mmの断面正方形でかつ肉厚4.5mmの角型鋼管と、
    前記角型鋼管が土台又は下層若しくは上層の梁に端部が当接した箇所の、土台又は下層若しくは上層の梁と角型鋼管の面同士をボルトにより固定する結合金具であって、L字型の等辺山形状金具と当該等辺山形状金具の幅中央に立設した状態で直角二等辺三角形の短辺が夫々等辺山形状金具に溶接された補助平板からなる結合金具と、
    角型鋼管の長さ方向に中心側へ570mm寄った位置よりも両端縁に近い位置であって、各端部領域の対向する一対の側面のうちの片側側面に、当該片側側面に設けられた貫通孔を介してボルト/ナットにより固定され、土台又は下層の梁或いは上層の梁に向けて傾斜状に張り出させた方杖であって、両端部を約45度起こされた第1のフラットバーと、当該第1のフラットバーの幅中央に立設した状態で等脚台形状の斜辺と短辺が夫々第1のフラットバーに溶接された第2のフラットバーとからなる方杖とを具備し、
    前記方杖は土台又は下層の梁或いは上層のフランジ部にボルトにより固定されることを特徴とする建物構造。
  3. 請求項2記載の建物構造において、前記結合金具と方杖とによりH形鋼に固定される前記角型鋼管の数nは、地震の際に建物に水平方向にかかる力Fを前記角型鋼管1本当りの水平方向耐力fで除した数よりも大きく、前記水平方向耐力fは前記角型鋼管の水平方向の変位と前記角型鋼管の高さに対する割合が1/200以下の変形を起こさせる力であることを特徴とする建物構造。

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