以下、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、図1に示すように、マンション、アパート等の集合住宅のほか、ホテル等の宿泊施設、学校の校舎、病院施設又は介護老人保健施設等の階層構造の板状建築物6に用いられる。
板状建築物6は、例えば、高さ方向Zで地上45m程度の全体高さを有する階層構造として構築されるものであり、図2に示すように、平面視の長手方向を桁行方向Xとするとともに、平面視の短手方向を梁間方向Yとして、住戸、客室、教室又は病室等となる複数の専有部分Pが、階層構造の各階で桁行方向Xに並べられて配置される。
板状建築物6は、主に、桁行方向Xに延びる一対の桁行外周部62が、梁間方向Yの両側で互いに略平行に配置されて、梁間方向Yに延びる一対の梁間外周部63が、桁行方向Xの両側で互いに略平行に配置される。そして、板状建築物6は、平面視を略長方形状等とした建築物外周部61が形成されるものとなる。そして、平面視が略長方形状等の建築物外周部61は、4箇所に隅部61cが形成される。
板状建築物6は、平面視が略長方形状等の建築物外周部61に四方が取り囲まれて、建築物外周部61に取り囲まれた内側が建築物内部60となる。このとき、板状建築物6は、建築物内部60のうち、階層構造の各階における複数の専有部分Pを除いた部分に、第1共用部分S1、及び、第2共用部分S2が設けられる。
板状建築物6は、階層構造の各階において各々の専有部分Pに出入りするための通路Cが、梁間方向Yの片側で第1共用部分S1として設けられる。また、板状建築物6は、必要に応じて、階層構造の各階において各々の専有部分Pから出入りのできるバルコニーBが、梁間方向Yの片側で第1共用部分S1として設けられる。
板状建築物6は、例えば、通路C及びバルコニーBの両方が第1共用部分S1として設けられる場合には、梁間方向Yの一方の片側で北側等に通路Cが配置されるとともに、梁間方向Yの他方の片側で南側等にバルコニーBが配置される。また、板状建築物6は、図3に示すように、例えば、バルコニーBが第1共用部分S1として設けられない場合には、梁間方向Yの一方の片側で北側等にのみ通路Cが配置される。
板状建築物6は、図2に示すように、階層構造の各階において桁行方向Xの端部側に設けられる角部屋の専有部分Pの外側にバルコニーBが、桁行方向Xの両側で東側及び西側等に第2共用部分S2として設けられる。また、板状建築物6は、図3に示すように、例えば、階層構造の各階において桁行方向Xの端部側に設けられる角部屋の専有部分Pの外側にバルコニーBが、桁行方向Xの片側で東側又は西側等に第2共用部分S2として設けられてもよい。なお、図示は省略するが、板状建築物6は、第2共用部分S2としてバルコニーBが設けられずに、通路Cが設けられてもよい。
専有部分Pは、図4に示すように、各々の住戸等の入居者又は利用者等が専有する空間となる。専有部分Pは、梁間方向Yの一方の片側において、通路Cから出入りするために開口した玄関等の出入口Eが設けられる。また、専有部分Pは、バルコニーBが第1共用部分S1として設けられる場合には、梁間方向Yの他方の片側において、バルコニーBに出入りするために開口した窓サッシ等の開口部Aが設けられる。
専有部分Pは、桁行方向Xに隣り合った専有部分Pと、梁間方向Yに延びる戸境壁Dで略全面が隔てられる。そして、戸境壁Dは、例えば、桁行方向Xに300mm程度の壁厚となる。戸境壁Dは、通路C及びバルコニーBの両方が第1共用部分S1として設けられる場合に、通路C及びバルコニーBを除いた部分に設けられて、図5に示すように、バルコニーBが第1共用部分S1として設けられない場合に、通路Cを除いた部分に設けられる。
板状建築物6における桁行方向Xの端部側に設けられる角部屋の専有部分Pは、図6に示すように、第2共用部分S2として設けられたバルコニーBに出入りするために開口した窓サッシ等の開口部Aが設けられる。板状建築物6における桁行方向Xの端部側に設けられる角部屋の専有部分Pは、図2に示すように、外側に第1共用部分S1及び第2共用部分S2がバルコニーBとして設けられることとなる。
第1共用部分S1は、図2に示すように、常時から各々の専有部分Pの出入口Eまで往来することができるように、桁行方向Xに延びる通路Cが設けられる。また、第1共用部分S1は、通路C及びバルコニーBの両方が第1共用部分S1として設けられる場合に、非常時等にのみ往来することができるように、桁行方向Xに延びるバルコニーBが設けられる。
第1共用部分S1は、図7に示すように、主に、転落防止、目隠し等を目的として、床面から1m程度の高さ寸法とした手摺壁等の壁体65が、建築物外周部61に沿って設けられる。また、第1共用部分S1は、必要に応じて、図示しない窓サッシ、手摺り又は目隠しガラス等が、壁体65の上方に設けられる。なお、バルコニーBが第1共用部分S1として設けられない場合には、図8に示すように、専有部分Pに梁間方向Yで隣接させた外壁材66、窓67又は腰壁68等を境界として、建築物内部60の専有部分Pが外部と隔てられる。
第2共用部分S2は、図2に示すように、第1共用部分S1の桁行方向Xの端部S1aに連続して設けられて梁間方向Yに延びるバルコニーBが設けられる。
第2共用部分S2は、図9に示すように、主に、転落防止、目隠し等を目的として、床面から1m程度の高さ寸法とした手摺壁等の壁体65が、建築物外周部61に沿って設けられる。また、第2共用部分S2は、必要に応じて、図示しない窓サッシ、手摺り又は目隠しガラス等が、壁体65の上方に設けられる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、図10に示すように、板状建築物6の建築物外周部61で隔てられた内側に形成される建築物内部60に設けられる1又は複数の内架構2と、建築物外周部61に沿って設けられる外架構3とを備える。
内架構2は、梁間方向Yに延びる内梁間大梁20と、高さ方向Zに延びる複数の壁柱21とを有し、内梁間大梁20が複数の壁柱21に架設されて、戸境壁Dの内部等に配置される。内架構2は、主に、各階に複数の戸境壁Dが設けられる場合に、各々の戸境壁Dの内部に配置されることで、1棟の板状建築物6に複数の内架構2が設けられるものとなる。なお、内梁間大梁20及び壁柱21が戸境壁Dの内部に配置されているが、このときであっても、専有部分Pは、内梁間大梁20及び壁柱21に隣接されて設けられるというものとする。
外架構3は、建築物外周部61における一対の桁行外周部62の各々に沿って配置されるとともに建築物外周部61における一対の梁間外周部63の各々に沿って配置されることで、1棟の板状建築物6に外架構3が設けられ、建築物内部60を囲うものとなる。外架構3は、桁行方向Xに延びる桁行大梁30と、高さ方向Zに延びる複数の外柱31と、梁間方向Yに延びる外梁間大梁32とを有し、桁行大梁30及び外梁間大梁32が複数の外柱31にそれぞれ架設される。
内架構2は、特に、鉄骨梁、鉄筋コンクリート梁又は鉄骨鉄筋コンクリート梁の少なくとも何れかが内梁間大梁20として用いられて、鉄骨柱、鉄筋コンクリート柱又は鉄骨鉄筋コンクリート柱の少なくとも何れかが壁柱21として用いられる。また、外架構3は、特に、鉄骨梁、鉄筋コンクリート梁又は鉄骨鉄筋コンクリート梁の少なくとも何れかが桁行大梁30として用いられて、鉄骨鉄筋コンクリート柱、鉄筋コンクリート柱又は鉄骨柱の少なくとも何れかが外柱31として用いられて、鉄骨梁、鉄筋コンクリート梁又は鉄骨鉄筋コンクリート梁の少なくとも何れかが外梁間大梁32として用いられる。
内梁間大梁20、桁行大梁30及び外梁間大梁32は、図11に示すように、主に、断面略H形状のH形鋼7の鉄骨梁が用いられて、上フランジ71、下フランジ72及びウェブ73を有する。内梁間大梁20のH形鋼7は、図11(a)に示すように、例えば、梁成hを900mm程度、フランジ幅wを250mm程度、ウェブ板厚twを14mm程度、フランジ板厚tfを19mm程度とする。また、桁行大梁30のH形鋼7は、図11(b)に示すように、例えば、梁成hを500mm~700mm程度、フランジ幅wを200mm程度、ウェブ板厚twを9mm程度、フランジ板厚tfを12mm~22mm程度とする。外梁間大梁32のH形鋼7は、図11(c)に示すように、例えば、梁成hを500mm程度、フランジ幅wを200mm程度、ウェブ板厚twを9mm程度、フランジ板厚tfを16mm~19mm程度とする。
内梁間大梁20、桁行大梁30及び外梁間大梁32は、鉄骨梁が用いられるほか、図12(a)に示すように、コンクリート内部に鉄筋が配設された鉄筋コンクリート梁が用いられてもよい。さらに、内梁間大梁20、桁行大梁30及び外梁間大梁32は、図12(b)に示すように、コンクリート内部に鉄筋及びH形鋼7が配設された鉄骨鉄筋コンクリート梁が用いられてもよい。
壁柱21は、図13(a)に示すように、主に、H形鋼7の鉄骨柱が用いられて、一対のフランジ70と、ウェブ73とを有する。壁柱21のH形鋼7は、例えば、部材成hを500mm~900mm程度、フランジ幅wを200mm~300mm程度、ウェブ板厚twを9mm~19mm程度、フランジ板厚tfを25mm~40mm程度とする。
外柱31は、図13(b)、図14(a)及び図14(b)に示すように、主に、コンクリート内部に鉄筋及びH形鋼7が配設された鉄骨鉄筋コンクリート柱が用いられる。コンクリート内部のH形鋼7は、例えば、部材成hを500mm~900mm程度、フランジ幅wを200mm~300mm程度、ウェブ板厚twを9mm~19mm程度、フランジ板厚tfを25mm~40mm程度とする。
外柱31は、図10及び図13(b)に示すように、桁行外周部62に設けられる場合には、桁行方向Xを長辺として、梁間方向Yを短辺とした断面略矩形状等となる。このとき、H形鋼7は、例えば、外柱31の略中央に配置される。外柱31は、図10及び図14(a)に示すように、梁間外周部63に設けられる場合には、桁行方向Xを短辺として、梁間方向Yを長辺とした断面略矩形状等となる。外柱31は、図10及び図14(b)に示すように、建築物外周部61の隅部61cに設けられる場合には、桁行方向Xを長辺として、梁間方向Yを短辺とした断面略矩形状等となる。また、外柱31の桁行方向Xにおける一方の端部31aとし、外柱31の桁行方向Xにおける他方の端部31bとしたとき、H形鋼7は、例えば、外柱31の桁行方向Xの一方の端部31a側又は他方の端部31b側に配置されるが、図13(b)に示すように、外柱31の略中央に配置されてもよい。なお、図示は省略するが、外柱31は、建築物外周部61の隅部61cに設けられる場合には、断面略矩形状ではなく断面略L字状等となってもよい。
壁柱21及び外柱31は、各々に鉄骨柱又は鉄骨鉄筋コンクリート柱が用いられるほか、図15(a)に示すように、コンクリート内部に鉄筋が配設された鉄筋コンクリート柱が用いられてもよい。また、壁柱21及び外柱31は、図13及び図14に示すように、単一のH形鋼7が配設された鉄骨鉄筋コンクリート柱が用いられるほか、図15(b)に示すように、H形鋼7がクロス状に配設された鉄骨鉄筋コンクリート柱が用いられてもよい。
内架構2は、図16に示すように、梁間方向Yに離間させた複数の壁柱21に内梁間大梁20が架設される。内架構2は、例えば、4本の壁柱21が互いに離間させて配置されて、壁柱21と壁柱21との間となる3箇所に内梁間大梁20が架設される。なお、内架構2は、図17に示すように、2本の壁柱21がボルト接合又は溶接接合等させて用いられて、梁間方向Yに離間させた2本1組の壁柱21に内梁間大梁20が架設されてもよい。
内架構2は、主に、梁間方向Yで専有部分Pの両側の出入口E又は開口部Aに近接して壁柱21が配置される。内架構2は、例えば、2階~3階程度ごとに、下階Fdから上階Fuまで高さ方向Zに連続させて壁柱21が設けられて、下階Fdの壁柱21と上階Fuの壁柱21とが、高力ボルト等を使用した高力ボルト摩擦接合等で接合される。
内架構2は、図16に示すように、桁行方向Xの両側面に仕上材等が設置されることで、桁行方向Xに隣り合った専有部分Pを隔てる戸境壁Dの内部に、内梁間大梁20及び壁柱21のフランジ幅全体が収まるように設けられる。内架構2は、内梁間大梁20が壁柱21に架設されたラーメン構造等の構造形式となって、内梁間大梁20及び壁柱21が専有部分Pの室内空間に突出することなく、梁型又は柱型を形成させずに設けられる。
複数の内架構2は、図10に示すように、梁間方向Yに延びる延長面Mとしたとき、全ての延長面M上に、外柱31が配置されるものとなる。延長面Mは、内架構2の桁行方向Xにおける幅寸法で、梁間方向Yに延びるものとなる。
ここで、図18に示すように、複数の内架構2は、梁間方向Yに延びる延長面Mが外柱31の内部に含まれるように、外柱31における一方の端部31aに延長面Mを重複させることで、全ての梁間方向Yに延びる延長面M上に、外柱31が配置されてもよい。このとき、第1共用部分S1のバルコニーBに、外柱31に隣接された空間Qが形成され、空間Qは、外柱31に隣接されることで、板状建築物6の外部から視認されない空間となる。
複数の内架構2は、例えば図19に示すように、梁間方向Yに延びる中心線Lが外柱31の内部に含まれるように、外柱31における一方の端部31aに中心線Lを略一致させることで、全ての梁間方向Yに延びる中心線L上に、外柱31が配置されてもよい。なお、図示は省略するが、複数の内架構2は、梁間方向Yに延びる中心線Lが外柱31の内部に含まれるように、外柱31における他方の端部31bに中心線Lを略一致させることで、全ての梁間方向Yに延びる中心線L上に、外柱31が配置されてもよい。
複数の内架構2は、図20に示すように、梁間方向Yに延びる延長面Mが外柱31の内部に含まれるように、外柱31における一方の端部31aを延長面Mに重複させることで、全ての梁間方向Yに延びる延長面M上に、外柱31が配置されてもよい。また、図示は省略するが、複数の内架構2は、梁間方向Yに延びる延長面Mが外柱31の内部に含まれるように、外柱31における他方の端部31bを全ての延長面Mに重複させることで、全ての梁間方向Yに延びる延長面M上に、外柱31が配置されてもよい。
また、複数の内架構2は、図21に示すように、梁間方向Yに延びる延長面Mが外柱31の内部に含まれるように、桁行方向Xの一方の片側(紙面左側)に設けられる外柱31における一方の端部31aを延長面Mに重複させるとともに、桁行方向Xの他方の片側(紙面右側)に設けられる外柱31における他方の端部31bを延長面Mに重複させることで、全ての梁間方向Yに延びる延長面M上に、外柱31が配置されてもよい。
また、複数の内架構2は、図22に示すように、梁間方向Yに延びる延長面Mが外柱31の内部に含まれるように、第1共用部分S1のバルコニーB側に設けられる外柱31における他方の端部31bを延長面Mに重複させるとともに、第1共用部分S1の通路C側に設けられる外柱31における一方の端部31aを延長面Mに重複させることで、全ての梁間方向Yに延びる延長面M上に、外柱31が配置されてもよい。
内架構2は、図23(a)に示すように、戸境壁Dの内部で各階の上部に内梁間大梁20が配置されて、内梁間大梁20の上フランジ71の上面にコンクリート等の床スラブ41が載置される。内架構2は、これに限らず、図23(b)に示すように、戸境壁Dの内部で各階の下部に内梁間大梁20が配置されて、内梁間大梁20のウェブ73の側方で下フランジ72の上面にコンクリート等の床スラブ41が載置されてもよい。
なお、内架構2は、内梁間大梁20及び壁柱21を有するものについて説明したが、図24に示すように、壁柱21を省略して、互いに梁間方向Yで離間させて配置された2本の外柱31に内梁間大梁20が架設されてもよい。内架構2は、内梁間大梁20が桁行大梁30の下方側に設けられるように高さ方向Zで互いに段違いの状態で、2本の外柱31に内梁間大梁20が架設されることとなる。このとき、内架構2は、内梁間大梁20が外柱31に架設されたラーメン構造等の構造形式となって、内梁間大梁20が専有部分Pの室内空間に突出することなく、梁型又は柱型を形成させずに設けられる。なお、内梁間大梁20は、必要に応じて、内梁間大梁20と略同一の断面形状、断面寸法を有する鉄骨ブレース29が傾斜して設けられて、鉄骨ブレース29の上端及び下端が内梁間大梁20に取り付けられる。
外架構3は、図10に示すように、桁行大梁30が梁間方向Yに離間させて一対となって配置される。梁間方向Yに離間させた一方の桁行大梁30は、桁行方向Xに複数配置され、第1共用部分S1の通路Cに沿って配置され、梁間方向Yに離間させた他方の桁行大梁30は、桁行方向Xに複数配置され、第1共用部分S1のバルコニーBに沿って配置される。第1共用部分S1のバルコニーB及び通路Cは、桁行方向Xの長さが、桁行大梁30の桁行方向Xの長さ以上とされる。第1共用部分S1の桁行方向Xの端部S1aには、第2共用部分S2が連続して設けられる。
外架構3は、外梁間大梁32が桁行方向Xに離間させて一対となって配置される。桁行方向Xに離間させた一方の外梁間大梁32は、梁間方向Yに複数配置され、第2共用部分S2の一方のバルコニーBに沿って配置され、桁行方向Xに離間させた他方の外梁間大梁32は、梁間方向Yに複数配置され、第2共用部分S2の他方のバルコニーBに沿って配置される。
外架構3は、図25に示すように、下階Fdから上階Fuまで高さ方向Zに連続させて外柱31が設けられる。外架構3は、図25(a)に示すように、桁行方向Xに離間させた複数の外柱31に桁行大梁30が架設される。外架構3は、各階の下部に配置された桁行大梁30の両側面に仕上材等が設置されることで、図7に示す手摺壁等の壁体65の内部、又は図8に示す外壁材66若しくは腰壁68の内部に、桁行大梁30のフランジ幅全体が収まるように設けられる。
外架構3は、桁行大梁30が外柱31に架設されたラーメン構造等の構造形式となって、桁行大梁30及び外柱31が専有部分Pの室内空間に突出することなく、専有部分Pに梁型又は柱型を形成させないものとなる。なお、外架構3は、通路C及びバルコニーBの両方が第1共用部分S1として設けられる場合のほか、図8に示すバルコニーBが第1共用部分S1として設けられない場合も、専有部分Pに梁型又は柱型を大きく形成させないものとなる。
また、外架構3は、図25(b)に示すように、梁間方向Yに離間させた複数の外柱31に外梁間大梁32が架設される。外架構3は、各階の下部に配置された外梁間大梁32の両側面に仕上材等が設置されることで、図9に示す手摺壁等の壁体65の内部に、外梁間大梁32のフランジ幅全体が収まるように設けられる。
外架構3は、外梁間大梁32が外柱31に架設されたラーメン構造等の構造形式となって、外梁間大梁32及び外柱31が専有部分Pの室内空間に突出することなく、専有部分Pに梁型又は柱型を形成させないものとなる。
外架構3は、外壁材66、窓67又は腰壁68等の室内空間側の側面と外柱31の室内空間側の外周面とが段差なく略同一平面上に形成されることが好ましい。しかし、外架構3は、石膏ボード、仕上材及び耐火被覆等の資材の厚さの都合又は設計誤差等に起因して、腰壁68等の側面と外柱31の外周面とが室内空間側において厳密に同一平面上に形成されない場合も、専有部分Pに梁型又は柱型が形成されないものとする。
内架構2は、図16、図17に示すように、内梁間大梁20の梁間方向Yの両端部が壁柱21の側面に高力ボルト摩擦接合又は溶接接合等されることで、内梁間大梁20が壁柱21に剛接合又は半剛接合で接合される。また、外架構3は、図25(a)に示すように、桁行大梁30の桁行方向Xの両端部が外柱31のH形鋼7の側面等に高力ボルト摩擦接合又は溶接接合等されることで、桁行大梁30が外柱31に剛接合又は半剛接合で接合される。外架構3は、図25(b)に示すように、外梁間大梁32の梁間方向Yの両端部が外柱31のH形鋼7の側面等に高力ボルト摩擦接合又は溶接接合等されることで、外梁間大梁32が外柱31に剛接合又は半剛接合で接合される。
内架構2及び外架構3は、内梁間大梁20、桁行大梁30又は外梁間大梁32の両端部が壁柱21又は外柱31にピン接合で接合されてもよい。なお、半剛接合とは、壁柱21又は外柱31となる柱に対して、内梁間大梁20、桁行大梁30又は外梁間大梁32となる梁の回転移動をある程度拘束した接合形式をいい、柱と梁との間で伝達できる曲げ応力が、完全な剛接合と比較して小さいものをいう。また、ピン接合とは、柱に対する梁の回転移動を拘束しない接合形式をいい、柱と梁との間で伝達できる曲げ応力が、皆無又は極小であるものをいう。そして、半剛接合、ピン接合及び剛接合の定義は、欧州設計基準(Eurocode3 Part1-8)に準拠するものとする。
内架構2及び外架構3は、図26に示すように、内梁間大梁20が壁柱21と外柱31とに架設されることなく、建築物の荷重を負担させる構造材4が内梁間大梁20又は壁柱21と外柱31とに架設されることで、内架構2と外架構3とが互いに連結される。構造材4は、建築物の第1共用部分S1に設けられる床スラブ41と、床スラブ41の荷重を負担させるCT形鋼等の梁部材40とを有し、床スラブ41が外架構3の桁行大梁30に接続されるとともに、梁部材40が外架構3の外柱31に接合される。
梁部材40は、CT形鋼又は内梁間大梁20と同様のH形鋼7が用いられるほか、例えば、山形鋼又は溝形鋼等が用いられる。このとき、梁部材40は、CT形鋼等の梁成h´を内梁間大梁20の梁成hよりも小さいものとする。そして、梁部材40は、床スラブ41が上方に載置等されることで、床スラブ41の荷重を負担させるものとなる。
梁部材40は、壁柱21及び外柱31のH形鋼7の側面に設けられた添接板45が当接されて高力ボルトが締結されることで、梁間方向Yの両端部が壁柱21及び外柱31に高力ボルト摩擦接合される。また、梁部材40は、梁間方向Yの両端部が壁柱21及び外柱31に溶接接合されてもよい。そして、梁部材40は、梁間方向Yの両端部が壁柱21及び外柱31の各々に高力ボルト摩擦接合等で接合されることで、建築物に作用する水平荷重を負担させるものとなる。
床スラブ41は、鉄筋コンクリート製のRCスラブが用いられる。なお、床スラブ41は、デッキプレートとコンクリートとを併せた合成スラブが用いられてもよいし、プレキャストコンクリートと現場打ちコンクリートとを併せたハーフPCaスラブ等が用いられてもよい。このとき、床スラブ41は、桁行大梁30となるH形鋼7のウェブ73全体を、床スラブ41のコンクリートで梁間方向Yの両側から覆うことのないように設けられる。
床スラブ41は、各階の上部又は下部に配置された内梁間大梁20に載置されることで、内架構2の内梁間大梁20に接続されるとともに、外架構3の桁行大梁30に接続される。
梁部材40と床スラブ41とを有する構造材4は、内架構2の内梁間大梁20及び外架構3の桁行大梁30に床スラブ41が接続されることで、内梁間大梁20と外柱31とに架設されるものとなる。また、梁部材40と床スラブ41とを有する構造材4は、梁部材40の両端部が壁柱21及び外柱31に高力ボルト摩擦接合等で接合されることで、壁柱21と外柱31とに架設されるものとなる。
なお、構造材4は、梁部材40と床スラブ41とを有するものについて説明したが、図27に示すように、梁部材40が省略されて床スラブ41のみを有するものであってもよい。このとき、構造材4は、建築物の荷重を負担させるものとして、内梁間大梁20又は壁柱21と外柱31とに架設されることで、内架構2と外架構3とを互いに連結するものとなる。
また、床スラブ41は、図28に示すように、高さ方向Zの下方側に設けられる内架構2及び支持部材5にその荷重を負担させるものとなる。支持部材5は、建築物内部60の桁行方向Xの端部側に設けられる角部屋の専有部分Pと、第2共用部分S2との間に設けられる。支持部材5は、図29に示すように、梁間方向Yに延びる横材50と、高さ方向Zに延びて複数の縦材51とを有し、横材50が複数の縦材51に架設される。支持部材5は、例えば、梁間方向Yに離間させた2本の縦材51に横材50が架設される。
横材50は、内梁間大梁20と同様のH形鋼7が用いられるほか、例えば、CT形鋼、山形鋼又は溝形鋼等が用いられる。このとき、横材50は、図28に示すように、H形鋼7等の梁成h1を内梁間大梁20の梁成hよりも小さいものとする。そして、横材50は、床スラブ41が上方に載置等されることで、床スラブ41の荷重を負担させるものとなる。
縦材51は、角形鋼管が用いられるほか、例えば、円形鋼管、コンクリート充填鋼管、H形鋼、CT形鋼、山形鋼又は溝形鋼等が用いられる。このとき、縦材51は、図29に示すように、角形鋼管等の部材成h2を壁柱21の部材成hよりも小さいものとする。
このため、横材50と縦材51とを有する支持部材5は、専有部分Pに横材50又は縦材51を大きく形成させずに設けられるものとなる。
支持部材5は、主に、梁間方向Yで角部屋の専有部分Pの両側の出入口E又は開口部Aに近接して縦材51が配置される。支持部材5は、例えば、2階~3階程度ごとに、下階Fdから上階Fuまで高さ方向Zに連続させて縦材51が設けられて、下階Fdの縦材51と上階Fuの縦材51とが、ピン接合される。
支持部材5は、図28に示すように、周囲に仕上材等が設置されることで、角部屋の専有部分P及び第2共用部分S2の境界となる内装材59の内部に、縦材51及び横材50の幅全体が収まるように設けられる。支持部材5は、図29に示すように、横材50及び縦材51に囲われた部分に、窓サッシ等の開口部Aが設けられることとなる。内装材59は、例えば、開口部A及びバルコニーBを除いた部分に設けられる。
横材50は、図30に示すように、縦材51の角形鋼管の側面に設けられた添接板54を当接させてボルト等が締結されることで、梁間方向Yの両端部が縦材51にピン接合される。縦材51は、高さ方向Zで隣接する縦材51と、添接板55を当接させて高力ボルトが締結されることで、高さ方向Zで隣接する縦材51にピン接合される。
このように、横材50と縦材51とを有する支持部材5は、横材50と縦材51とがピン接合される。また、下階Fdの縦材51と上階Fuの縦材51とが、ピン接合される。このとき、横材50と縦材51とを有する支持部材5は、床スラブ41を負担させるものとなり、梁間方向Yに作用する水平荷重を負担させないものとなる。即ち、支持部材5は、横材50が2本の縦材51に架設されるものであるが、梁間方向Yに作用する水平荷重を負担させる構面として機能しないものとなる。
支持部材5は、横材50と縦材51とを有するものについて説明したが、図31に示すように、横材50が省略されて1又は複数の縦材51のみを有するものであってもよい。このとき、支持部材5は、例えば、2本の縦材51で床スラブ41の荷重を負担させるものとなり、梁間方向Yに作用する水平荷重を負担させないものとなる。即ち、支持部材5は、単に縦材51で床スラブ41の荷重を負担させるものとなり、梁間方向Yに作用する水平荷重を負担させる構面として機能しないものとなる。
支持部材5は、図32に示すように、梁間方向Yに延びる延長面N上に、隅部61cに配置される外柱31が配置されてもよい。延長面Nは、支持部材5の桁行方向Xにおける幅寸法で、梁間方向Yに延びるものとなる。隅部61cに配置される外柱31は、例えば、桁行方向Xに延びる断面略矩形状に形成され、図10に示す隅部61cに配置される外柱31の桁行方向Xに向けて延びた部分を、桁行方向Xに向けてさらに延長させて形成される。このとき、支持部材5は、横材50と縦材51とがピン接合されて床スラブ41の荷重を負担させてもよいし、横材50と縦材51とが半剛接合されて床スラブ41の荷重を負担させてもよいし、横材50と縦材51とが剛接合されて床スラブ41の荷重を負担させてもよい。即ち、支持部材5は、梁間方向Yに延びる延長面N上に外柱31が配置される場合には、梁間方向Yに作用する水平荷重を負担させるものとなり、構面として機能するものであってもよい。
支持部材5は、図33に示すように、梁間方向Yに延びる延長面N上に、隅部61cに配置される外柱31とは異なる外柱31が配置されてもよい。このとき、支持部材5は、横材50と縦材51とがピン接合されて床スラブ41の荷重を負担させてもよいし、横材50と縦材51とが半剛接合されて床スラブ41の荷重を負担させてもよいし、横材50と縦材51とが剛接合されて床スラブ41の荷重を負担させてもよい。即ち、支持部材5は、梁間方向Yに延びる延長面N上に外柱31が配置される場合には、梁間方向Yに作用する水平荷重を負担させるものとなり、構面として機能するものであってもよい。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、図10に示すように、建築物内部60に内架構2が設けられ、建築物外周部61に沿って外架構3が設けられる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、下階Fdの内梁間大梁20と上階Fuの内梁間大梁20とが壁柱21で互いに連結されて、板状建築物6の梁間方向Yに作用する水平荷重を壁柱21に負担させることができる。そして、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、梁間方向Yに作用する水平荷重を内架構2に負担させることで、板状建築物6に要求される梁間方向Yの水平耐力を十分に確保することが可能となる。また、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、桁行方向X及び梁間方向Yに作用する水平荷重を外架構3に負担させることで、板状建築物6に要求される桁行方向X及び梁間方向Yの水平耐力を十分に確保することが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、支持部材5が床スラブ41の荷重を負担させるものとして設けられ、梁間方向Yに作用する水平荷重を負担させないものとなるが、内架構2及び外架構3により梁間方向Yに作用する水平荷重を負担させることで、支持部材5に梁間方向Yに作用する水平荷重を負担させなくとも、板状建築物6に要求される梁間方向Yの水平耐力を十分に確保することが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、特に、外架構3により囲われる建築物内部60のうち、内梁間大梁20に隣接されて設けられる専有部分Pを除いた部分に、桁行方向Xに延びる第1共用部分S1、及び、第1共用部分S1の桁行方向Xの少なくとも一方の端部S1aに連続して設けられて梁間方向Yに延びる第2共用部分S2が設けられ、外梁間大梁32は、第2共用部分S2に沿って配置される。このため、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、板状建築物6に要求される桁行方向X及び梁間方向Yの水平耐力を十分に確保するものとしながら、板状建築物6における桁行方向Xの端部側に設けられる角部屋の専有部分Pの外側に、第1共用部分S1及び第2共用部分S2がバルコニーBとして設けられることで、いわゆる回りバルコニー等が設けられることとなり、角部屋の専有部分Pの機能性や美観性が向上し、マンション、ホテル又は病院等の板状建築物6の付加価値を高めることが可能となる。
また、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、横材50及び縦材51を有する支持部材5が床スラブ41を支持するものとして角部屋の専有部分Pに設けられるものとなるが、縦材51の梁成h1が内梁間大梁20の梁成hよりも小さく、縦材51の部材成h2が壁柱21の部材成hよりも小さいため、角部屋の専有部分Pに横材50又は縦材51を大きく形成させずに設けられるものとなる。このため、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、角部屋の専有部分Pの室内空間が広く確保されて、角部屋の専有部分Pの機能性や美観性を向上させることで、マンション、ホテル又は病院等の板状建築物6の付加価値を高めることが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、特に、図10に示すように、建築物内部60に複数の内架構2が設けられる。このとき、複数の内架構2は、各々の内梁間大梁20が壁柱21と外架構3の外柱31とに架設されることなく、構造材4が各々の内梁間大梁20又は壁柱21と外柱31とに架設されることで、全ての内架構2が外架構3と互いに連結される。
ここで、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、図16、図17に示すように、内架構2の内梁間大梁20が、壁柱21と外柱31とに架設されないため、通路C又はバルコニーBとなる第1共用部分S1に設けられないものとなる。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、第1共用部分S1の通路C又はバルコニーBが内梁間大梁20で塞がれることなく、また、通路C又はバルコニーBの足元に内梁間大梁20による段差を形成させないことが可能となる。
また、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、外架構3の桁行大梁30及び外梁間大梁32が各階の下部に配置されることで、各階の上方から桁行大梁30及び外梁間大梁32が垂れ壁のように設けられないものとなる。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、第1共用部分S1となる通路C又はバルコニーBの手摺壁等の壁体65の内部に桁行大梁30を設けることができ、第2共用部分S2となるバルコニーBの手摺壁等の壁体65の内部に外梁間大梁32を設けることができるため、住戸等の利用者等の視界を遮ることなく、桁行大梁30及び外梁間大梁32を複数の外柱31にそれぞれ架設することが可能となる。
また、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、第1共用部分S1となる通路C又はバルコニーBで、内梁間大梁20の設置を省略して、図26に示すCT形鋼等の梁部材40のみを設置するものとなる。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、梁部材40の梁成h´が内梁間大梁20の梁成hよりも小さいため、第1共用部分S1となる通路C又はバルコニーBが梁部材40で塞がれることなく、また、第1共用部分S1の足元に梁部材40による段差を形成させないものとして、第1共用部分S1での円滑な通行を実現することが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、図4に示すように、通路C及びバルコニーBの両方が第1共用部分S1として設けられる場合には、通路C及びバルコニーBの両方の第1共用部分S1において、内梁間大梁20の設置が省略されて、図26に示す梁部材40のみが設置される。また、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、図5に示すように、通路Cのみが第1共用部分S1として設けられる場合には、通路Cとなる第1共用部分S1において、内梁間大梁20の設置が省略されて、図26に示す梁部材40のみが設置される。なお、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、1又は複数の内架構2の通路C側及びバルコニーB側の両方が梁部材40で外架構3に連結されるほか、各々の内架構2の通路C側及びバルコニーB側の片方のみが梁部材40で外架構3に連結されてもよい。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、内架構2の内梁間大梁20並びに外架構3の桁行大梁30及び外梁間大梁32の梁型が専有部分Pに形成されないことで各階の階高を高くしなくても、第1共用部分S1が内梁間大梁20で塞がれないとともに、第1共用部分S1の足元に段差を形成させないものとなる。そして、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、桁行大梁30及び外梁間大梁32で住戸等の利用者等の視界が遮られないものとしながら、通路Cから出入りするための出入口E、及びバルコニーBに出入りするための開口部Aで、十分な開口高さを確保することができる。
このとき、従来の建築物の柱梁構造は、出入口E及び開口部Aで十分な開口高さを確保等するために、各階の階高を最低でも3m程度確保することが必要となっていたのに対して、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1では、板状建築物6の各階の階高を2.7m程度確保すれば十分となる。そして、例えば、45m程度の全体高さを有する建築物では、従来の建築物によると最大で15階建であったものが、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1を用いた板状建築物6によると16階建程度のものとなる。このように、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、板状建築物6の各階の階高を高くしなくても、住戸等の利用者等の視界が遮られないものとしながら、出入口E及び開口部Aで十分な開口高さを確保して、同一の全体高さの範囲内で階層を増大させることで、1棟の板状建築物6で供給することのできる専有部分Pの数量を著しく増大させることが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、専有部分Pの室内空間に桁行大梁30の梁型を形成させないものとなる。また、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、専有部分Pの室内空間に外梁間大梁32の梁型を形成させないものとなる。また、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、戸境壁Dの内部に内梁間大梁20のフランジ幅全体が収まるように設けられて、専有部分Pの室内空間に内梁間大梁20の梁型を形成させないものとなる。このように本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、各々の専有部分Pに内梁間大梁20、桁行大梁30及び外梁間大梁32の梁型を形成させないものとなる。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、専有部分Pの室内空間が広く確保されて、各々の専有部分Pの機能性や美観性を向上させることで、マンション、ホテル又は病院等の板状建築物6の付加価値を高めることが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、鉄骨梁が内梁間大梁20として用いられて、鉄骨柱が壁柱21として用いられる。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、梁間方向Yに水平耐力を確保するものとしながら、内梁間大梁20及び壁柱21を構築する際にコンクリートの打設作業を伴わないため、施工期間を短縮することが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、鉄骨梁が桁行大梁30及び外梁間大梁32として用いられて、鉄骨鉄筋コンクリート柱が外柱31として用いられる。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、桁行方向X及び梁間方向Yの水平耐力を確保するものとしながら、桁行大梁30及び外梁間大梁32を構築する際に、コンクリートの打設作業を伴わないため、施工期間を短縮することが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、鉄筋コンクリート梁が桁行大梁30及び外梁間大梁32として用いられて、鉄骨鉄筋コンクリート柱が外柱31として用いられる。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、桁行方向X及び梁間方向Yの水平耐力を確保するものとしながら、桁行大梁30及び外梁間大梁32の鉄筋コンクリートにより耐火性を向上させることが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、鉄骨梁が桁行大梁30及び外梁間大梁32として用いられて、鉄骨柱が外柱31として用いられる。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、桁行方向X及び梁間方向Yに水平耐力を確保するものとしながら、桁行大梁30、外梁間大梁32及び外柱31を構築する際に、コンクリートの打設作業を伴わないため、施工期間を短縮することが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、図18に示すように、桁行外周部62に設けられる外柱31の一方の端部31a又は他方の端部31bを、内架構2の梁間方向Yに延びる全ての延長面Mに重複させる。これにより、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、専有部分Pから第1共用部分S1のバルコニーB側を見たとき、開口部Aにおける桁行方向Xの両側に外柱31が視認されることなく、開口部Aにおける桁行方向Xの片側にのみ外柱31が視認されるものとなるため、住戸等の利用者等の視界が遮られないものとなる。このため、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、各々の専有部分Pの機能性や美観性を向上させることで、マンション、ホテル又は病院等の板状建築物6の付加価値を高めることが可能となる。
また、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、第1共用部分S1のバルコニーBにおいて、桁行外周部62に設けられる外柱31に隣接されて板状建築物6の外部から視認されない空間Qが形成される。これにより、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、この空間Qを各々の専有部分Pに設けられる空調等の室外機等を設置する空間として利用したり、物置として利用することができる。このため、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、各々の専有部分Pの機能性や美観性を向上させることで、マンション、ホテル又は病院等の板状建築物6の付加価値を高めることが可能となる。
本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、図24に示すように、壁柱21を省略して、互いに梁間方向Yで離間させて配置された2本の外柱31に内梁間大梁20が架設されてもよい。このとき、内架構2は、内梁間大梁20が外柱31に架設されたラーメン構造等の構造形式となって、内梁間大梁20が専有部分Pの室内空間に突出することなく、梁型又は柱型を形成させずに設けられる。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、専有部分Pの室内空間が広く確保されて、各々の専有部分Pの機能性や美観性を向上させることで、マンション、ホテル又は病院等の板状建築物6の付加価値を高めることが可能となる。
なお、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、図2に示すように、桁行大梁30が第1共用部分S1に沿って配置される形態について説明したが、図34に示すように、桁行大梁30が第1共用部分S1と梁間方向Yで離間されて配置されてもよい。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、第1共用部分S1の梁間方向Yの両側に専有部分Pがそれぞれ設けられ、第1共用部分S1の桁行方向Xの両方の端部S1aに連続して設けられて梁間方向Yに延びる第2共用部分S2がそれぞれバルコニーBとして設けられる。このとき、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、板状建築物6における桁行方向Xの端部側に設けられる角部屋の専有部分Pの外側に、第2共用部分S2がバルコニーBとして設けられることで、角部屋の専有部分Pの機能性や美観性が向上し、ホテル、病院又はマンション等の板状建築物6の付加価値を高めることが可能となる。なお、図示は省略するが、本発明を適用した板状建築物の柱梁構造1は、桁行大梁30から梁間方向Yで離間させた第1共用部分S1が設けられる場合、第1共用部分S1の桁行方向Xの両方の端部S1aに第2共用部分S2が設けられるのではなく、第1共用部分S1の桁行方向Xの少なくとも一方の端部S1aに第2共用部分S2が設けられるものであってもよい。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。