JP4989280B2 - ユニット式建物 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載のユニット式建物では、下屋を構成する建物ユニットと、建物本体を構成する建物ユニットとは同じ大きさであり、建物ユニット自体の大きさに下屋バルコニの広さが対応することになる。従って、下屋部居室および下屋バルコニを広くするには、下屋を構成する建物ユニットの個数を増やさなければならない。
すなわち、図面を参照して説明すると、本発明のユニット式建物は、柱11、天井梁12および床梁13から骨組みが形成される建物ユニット10,20を複数組み合わせて建物本体2,2Aと下屋4,4A,4Bとをそれぞれ施工し、この下屋4,4A,4Bの上に梁51と床部52とを有するバルコニユニット50を設けたユニット式建物において、建物本体2,2Aを構成する下階建物ユニット10および上階建物ユニット20に対して、下屋4,4A,4Bを構成する下階建物ユニット10およびバルコニユニット50を所定寸法Waだけ離し置きし、バルコニユニット50の梁51から、このバルコニユニット50に隣接配置された上階建物ユニット20の床梁13までに亘って設けられて、バルコニユニット50と建物本体2,2Aとの隙間を覆う板材61を配置し、この板材61の上方にバルコニユニット50の床部52と上面が略一致する面材62を配置したことを特徴とする。
本発明によれば、建物本体に対して下屋およびバルコニユニットが所定寸法だけ離し置きされ、バルコニユニットから上階建物ユニットまでに亘って板材が設けられ、この板材によってバルコニユニットと建物本体との隙間が覆われ、当該板材の上方に面材が配置されているので、建物本体とバルコニユニットとの隙間を板材および面材の上下2層構造で埋めることができる。従って、下屋に下階建物ユニットを追加しなくても、バルコニユニット、板材、面材によって構成される下屋バルコニによって、建物を敷地制限の範囲内で最大限に広げることができ、敷地を有効利用することができる。
また、板材が、バルコニユニットの梁から上階建物ユニットの床梁までに亘って設けられ、バルコニユニットと建物本体との隙間を覆っているので、板材の面剛性によって、上階建物ユニットとバルコニユニットとを強固に連結することができる。
さらに、面材の上面が、バルコニユニットの床部の上面と略一致するように配置されているので、バルコニの表面を段差なく形成できるとともに、バルコニユニットの床部と面材とを連続する水勾配を容易に形成することができ、下屋バルコニ上の雨水等の排水性を確保できる。
本発明によれば、面材とバルコニユニットの床部とに防水用シートが連続して設けられているので、面材とバルコニユニットとの隙間が防水用シートで覆われ、隙間から内部への雨水等の漏水を防止できる。また、面材の上面と床部の上面とが略一致しているので、各上面の段差をなくす処理が不要となって、防水用シートを容易に敷設できる。
ここで、連結梁は、少なくともバルコニユニットの梁と、これに対向する上階建物ユニットの床梁とを連結していればよく、梁と床梁の両端同士を連結していてもよく、両端以外の部分を連結していてもよい。
本発明によれば、バルコニユニットの梁と上階建物ユニットの床梁とが連結梁で連結されているので、上階建物ユニットとバルコニユニットとを一層強固に連結することができる。
本発明によれば、板材および面材の少なくともいずれか一方が、耐火材料で形成されているので、上下2層構造の板材および面材のうち、少なくとも一方の耐火材料によってバルコニユニットと上階建物ユニットとの隙間を覆うことができる。従って、隣接する建物等の火災が、隙間部分を介して、当該建物に延焼するのを防止できる。
本発明によれば、板材と面材との間に軟質耐火材が設けられているので、前述と同様の効果が得られ、隣接する建物等の火災が、当該建物に延焼するのを一層防止できる。
なお、後述する第2実施形態以降において、以下に説明する第1実施形態での構成部材と同じ構成部材および同様な機能を有する構成部材には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
図1は、本実施形態のユニット式建物1の斜視図である。図2は、建物ユニット10,20の斜視図である。図3は、二階建物ユニット20とバルコニユニット50との連結構造60を示す部分斜視図である。図4および図5は、連結構造60を示す断面図および側面図である。
ユニット式建物1は、二階部分を有する建物本体2と、この建物本体2上の切妻屋根構造の屋根3と、この屋根3の棟に直交する方向(妻方向)に張り出し、一階部分を有する下屋4と、この下屋4上に設けられた下屋バルコニ5とを備えて構成される。
一階建物ユニット10および二階建物ユニット20は、図2に示されるように、四隅に立設された四本の柱11と、各柱11の上端間および下端間に架け渡された各四本の天井梁12および床梁13とで構成された骨組みを備えている。各柱11と、天井梁12および床梁13とは、接合部材14により各々接続されている。
下屋バルコニ5は、下屋4を構成する2個の一階建物ユニット10上に積み重ねられた2個のバルコニユニット50と、当該バルコニユニット50および建物本体2の二階建物ユニット20とを連結する連結構造60とを有し、二階建物ユニット20に設けられた窓サッシ21を介して建物本体2の二階部分から下屋バルコニ5へ出入り可能に構成されている。
窓サッシ用フレーム22は、天井梁12および床梁13間に立設される左右一対の縦材23と、これらの縦材23間に架設される上下一対の横材24とで構成されている。縦材23の下端部は、床梁13に固定され、縦材23の上端部は、天井梁12に固定されている。上下一対の横材24の両端部は、左右一対の縦材23に固定されている。下側の横材24の下方には、当該横材24を支持する支持材25が設けられている。
図4に示すように、横材24の下部には、立上り部27を固定する複数のブラケット26が設けられている。立上り部27は、窓サッシ21の下側かつ横材24の室外側に配置されている。この立上り部27は、立上り下地部材28と、下地仕上げ部材29とを有し、下地仕上げ部材29の室外側の下部は、防水用シート54で覆われている。立上り下地部材28の下部には、面材受けブラケット66が固定されている。なお、立上り下地部材28と、その下方の床梁13との間には、隙間が形成されている。
ここで、窓サッシ21は、予め工場等において窓サッシ用フレーム22に固定された状態で建設現場に搬送されるか、建設現場において窓サッシ用フレーム22に固定されてからクレーン等で吊り上げ設置されるようになっている。
連結構造60は、板材としての複数の合板61と、面材としての耐火性を有した硬質木片セメント板62と、軟質耐火材としてのグラスウール(glass wool)63と、連結梁67とを有して構成されている。
合板61は、略矩形に形成され、バルコニユニット50の梁51上面から対向する二階建物ユニット20の床梁13上面までに亘って設けられている。合板61の建物本体2側の端部は、床梁13と立上り部27との隙間に挿通され、床梁13に釘64で固定されている。合板61のバルコニユニット50側の端部は、梁51に釘64で固定されている。
以上のように、建物本体2と離し置きされたバルコニユニット50との隙間が合板61および硬質木片セメント板62の上下2層構造で覆われている。
連結梁67の下方には、下屋4および建物本体2の各一階建物ユニット10における天井梁12同士を連結する連結部材68が設けられている。また、連結梁67の上方には、手摺部53の手摺フレーム55に沿って設けられた連結部用手摺フレーム69が立設されている。
まず、基礎上に建物本体2および下屋4を構成する一階建物ユニット10を設置する。この際、下屋4の一階建物ユニット10を、建物本体2の一階建物ユニット10に対して、所定間隔(所定寸法Wa)だけ離し置きする。これらの一階建物ユニット10同士の隙間部分に、床部材、壁部材、天井部材を設置する。
次に、二階建物ユニット20を建物本体2の一階建物ユニット10に積み重ねるとともに、バルコニユニット50を下屋4の一階建物ユニット10に積み重ねる。
次に、合板61をバルコニユニット50から二階建物ユニット20までに亘って配置する。この際、合板61の建物本体2側の端部を、床梁13と立上り部27との隙間に挿通して、床梁13上面に釘止めするとともに、合板61の下屋4側の端部を、梁51上面に釘止めする。
次に、硬質木片セメント板62を面材受けブラケット66と支持部材65に固定する。
最後に、予めALC床パネル52に敷設された防水用シート54の建物本体2側に張り出した端部を、硬質木片セメント板62の上面に敷設する。
このようにして、バルコニユニット50と、建物本体2の二階建物ユニット20との隙間部分を連結構造60で連結し、下屋バルコニ5を施工することができる。
建物本体2Aは、第1実施形態の建物本体2に対して、建物ユニット10,20が各1ユニット分だけ妻方向に張り出して配置され、平面視略L字状に構成されている。下屋4Aは、二方向が略L字状の建物本体2によって囲まれた位置に配置されている。
下屋バルコニ5Aは、下屋4の上に設けられた1つのバルコニユニット50と、このバルコニユニット50と隣接する二階建物ユニット20とを連結する連結構造60とから構成されている。
(1)建物本体2に対して下屋4およびバルコニユニット50が所定寸法Waだけ離し置きされ、バルコニユニット50から二階建物ユニット20までに亘って合板61が設けられ、この合板61によってバルコニユニット50と建物本体2との隙間が覆われ、当該合板61の上方に硬質木片セメント板62が配置されているので、隙間を合板61および硬質木片セメント板62の上下2層構造で埋めることができる。従って、下屋4に一階建物ユニット10を追加しなくても、下屋バルコニ5を拡張して敷地制限の範囲内で最大限に広げることができ、敷地を有効利用することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係るユニット式建物1Bについて図7に基づいて説明する。図7は、ユニット式建物1Bを示す斜視図である。
本実施形態のユニット式建物1Bは、第1実施形態と略同様に配置された建物ユニット10,20から構成される建物本体2と、1つの一階建物ユニット10を有して構成される第1実施形態の下屋4の半分の大きさの下屋4Bとを備えている。
また、バルコニユニット50の桁方向には、片持ちバルコニユニット70が取り付けられている。この片持ちバルコニユニット70は、矩形状に枠組みされた4本の梁と、その上側に固定されたALC床パネル71と、手摺部72とを有して構成され、バルコニユニット50の梁51および二階建物ユニット20の床梁13に接合されて、バルコニユニット50および建物本体2の二階部分から片持ち状に突出して取り付けられている。
また、片持ちバルコニユニット70のALC床パネル71は、バルコニユニット50のALC床パネル52と互いの上面同士が連続するように設けられており、これらの上面に防水用シート(不図示)が連続して設けられて下屋バルコニ5Bの床面が構成されている。
例えば、前記各実施形態では、連結梁67が、バルコニユニット50の梁51の両端と、これに対向する二階建物ユニット20の床梁13の両端とをそれぞれ連結する説明をしたが、本発明の連結梁としては、少なくともバルコニユニットの梁と、上階建物ユニットの床梁とを連結するものであればよく、各梁の両端以外の部分を連結するものであってもよい。なお、本発明の建物ユニットには、連結梁を備えていないものも含まれる。
また、前記各実施形態では、防水用シートによって防水処理された下屋バルコニを説明したが、本発明の下屋バルコニとしては、防水用シートを備えていなくてもよく、例えば、防水材を塗布して防水層が形成されたものでもよい。
また、前記各実施形態では、軟質耐火材としてグラスウールを設ける説明をしたが、これに限らず、軟質耐火材としては、ロックウール等でもよい。なお、本発明では、軟質耐火材が設けられていないものも含まれる。
また、前記各実施形態では、建物本体の二階部分に連通する下屋バルコニを説明したが、本発明の下屋バルコニとしては、三階以上の部分を有する建物本体の三階以上の部分に連通するものであってもよい。
従って、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
2,2A…建物本体
4,4A,4B…下屋
10…一階建物ユニット(下階建物ユニット)
11…柱
12…天井梁
13…床梁
20…二階建物ユニット(上階建物ユニット)
50…バルコニユニット
51…梁
52…ALC床パネル(床部)
54…防水用シート
61…合板(板材)
62…硬質木片セメント板(面材)
63…グラスウール(軟質耐火材)
67…連結梁
Wa…所定寸法。
Claims (5)
- 柱、天井梁および床梁から骨組みが形成される建物ユニットを複数組み合わせて建物本体と下屋とをそれぞれ施工し、この下屋の上に梁と床部とを有するバルコニユニットを設けたユニット式建物において、
前記建物本体を構成する下階建物ユニットおよび上階建物ユニットに対して、前記下屋を構成する下階建物ユニットおよび前記バルコニユニットを所定寸法だけ離し置きし、
前記バルコニユニットの梁から、このバルコニユニットに隣接配置された前記上階建物ユニットの床梁までに亘って設けられて、前記バルコニユニットと前記建物本体との隙間を覆う板材を配置し、
この板材の上方に前記バルコニユニットの床部と上面が略一致する面材を配置したことを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1に記載のユニット式建物において、
前記面材と前記バルコニユニットの床部との上面に防水用シートを連続して設けることを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1または請求項2に記載のユニット式建物において、
前記バルコニユニットの梁と上階建物ユニットの床梁とが連結梁で連結されることを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載のユニット式建物において、
前記板材および前記面材の少なくともいずれか一方は、耐火材料で形成されていることを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のユニット式建物において、
前記板材と前記面材との間に軟質耐火材が設けられていることを特徴とするユニット式建物。
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