JP4307762B2 - バルコニ、バルコニの施工方法およびユニット式建物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物に付設されるバルコニ、そのバルコニの施工方法およびそのバルコニを採用したユニット式建物に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、工場にて製造された複数の直方体状の建物ユニットを建築現場にて組み合わせて形成されるユニット式建物が利用されている(特開平7−286367号、特開平8−165720号等)
ユニット式建物においてバルコニを付設する場合にも、予め工場にて複数のバルコニユニットを製造した後、建築現場へ輸送し、各バルコニユニットが互いに隣接するように、建物ユニット上で組み合わせてバルコニを形成している。
【0003】
具体的には、工場にてベースフレーム上に、バルコニユニット上面を形成する軽量気泡コンクリート等の床材を設置してバルコニユニットを製造し、これらのバルコニユニットを建築現場へ輸送する。建築現場において、バルコニユニットを隣接配置し、その隣接するバルコニユニット間に支持部材を配置した後、バルコニユニットとその間の支持部材全体を覆うように、防水シートを貼り付けている。この際、床材は調整材を介して排水溝に向けて下方に傾斜を持って配置され、雨水等はその傾斜に沿って排水溝に流れて排水されるようになっている。ちなみに、排水構造に関しては例えば特願平6−210613号および特願平7−163643号に紹介されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構造では、互いに隣接するバルコニユニットの接合部において、各バルコニユニットの間に介在する支持部材上面と床材上面が同じ高さレベルにあるので、複数の防水シートをバルコニ上面全体を覆うように連結して貼り付ける場合に、防水シートの重ね合わされた端部に沿って段差が形成されることになる。
【0005】
近年のバルコニの多様化および大型化から、複数の防水シートを従来のように連続するように重ねて配置すると、それに伴い多数の段差が生じ、外観上好ましくないとともに、降り注いだ雨水等がその段差に滞留し排水がスムーズに行えないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、防水シートをバルコニユニットに貼り付けてバルコニを構成する場合に、その段差部を目立たなくかつスムーズに排水できるバルコニ、バルコニの施工方法およびユニット式建物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のバルコニは、図面を参照して説明すると、少なくとも2つのバルコニユニット21を支持部材222Aを介して隣接配置したバルコニ20であって、支持部材222A上面は、バルコニユニット21の床材212上面より下方に位置され、各バルコニユニット21の上面に貼り付けられる防水シート23A、23Bが支持部材222A上面において互いに上下に重ね合わされた状態で略直線的に連続した面を形成するように貼り付けられていることを特徴とするものである。
【0008】
このような本発明において、互いに隣接した少なくとも2つのバルコニユニット間に介在する支持部材の上面は、バルコニユニットの床材上面より下方に位置しているので、隣接するバルコニユニット間の防水処理を目的としてバルコニ上面に貼り付けられる防水シートは、以下のようにバルコニユニットの床材上面と支持部材上面とにおける段差を利用して貼り付けることができ、バルコニ上面には段差のない略直線的に連続した面を形成することができる。
すなわち、隣接するバルコニユニットの一方側のバルコニユニットの床材上面に防水シートを貼り付けるとともに、その端縁を支持部材上面まで延長させる。そして、隣接するバルコニユニットの他方側のバルコニユニットの床材上面に防水シートを貼り付けるとともに、その端縁を前記一方側のバルコニユニットに配置された防水シートの端縁の上に重なるように貼り付ける。ここで、他方側のバルコニユニットに配置された防水シート端縁を、一方側のバルコニユニットに配置された防水シート端縁の、床材と支持部材との段差による屈曲部に当接させ、2つの防水シート上面を段差のない略直線的に連続した面に形成する。
したがって、バルコニ上面は段差のない略直線的に連続した面で形成され、外観上好ましく、降り注がれた雨水等がバルコニ上面で滞留することなく、スムーズな排水が行われるようになり、本発明の目的が達成される。
【0009】
ここで、支持部材222A上面は、バルコニユニット21の床材212上面から防水シート23A、23Bの厚み分下方に位置されていることが望ましい。
このような構成では、支持部材上面がバルコニユニットの床材上面から防水シートの厚み分下方に位置しているので、少なくとも2つのバルコニユニットを支持部材を介して隣接配置した後に、防水シートを貼り付けるだけで、各防水シートの重ね合わされた接合部と支持部材との間に他の部材を介在させなくても、2つの防水シート上面は段差のない略直線的に連続した面を形成することができるから、余分な部材を省略することができ、コスト削減および作業効率の向上に繋がる。
【0010】
さらに、隣接するバルコニユニット21の互いに対向する端面には、支持部材222Aを保持する受材221が取り付けられていることが望ましい。
このような構成では、バルコニユニットの床材端面に受材が取り付けてあるので、各バルコニユニットを隣接配置する際、その間に支持部材を配置するだけで、支持部材が受材に支持される。従って、取付に必要な特別な治具等は不要になり、作業効率の向上に繋がる。
【0011】
また、バルコニユニット21と支持部材222A上面の角隅部のうち少なくとも一方には弾性部材223が載置されていることが望ましい。
このような構成では、隣接配置されたバルコニユニット間において、防水シートと支持部材の間に弾性部材が介在するので、床材と支持部材との段差による防水シートの屈曲部は、床材の角部に接することなく、弾性部材と接することになる。このため、防水シートの屈曲部に対する外力の影響を十分に緩和し、防水シートの破損に伴う浸水を防止することができる。
【0012】
本発明のバルコニ20の施工方法は、少なくとも2つのバルコニユニット21を互いに隣接するように配置する第1工程と、隣接するバルコニユニット21の間に支持部材222Aを前記バルコニユニット21の床材212上面より下方に位置するように配置する第2工程と、隣接するバルコニユニット21の一方側のバルコニユニット21の床材212上面に防水シート23Aを貼り付けるとともにその端縁を支持部材222A上面まで延長させて貼り付ける第3工程と、隣接するバルコニユニット21の他方側のバルコニユニットの床材212上面に防水シート23Bを貼り付けるとともに、その端縁を一方側の防水シート23Aの端縁に重なるように、かつ、上下に重ね合わされた状態で略直線的に連続した面を形成するように、貼り付ける第4工程とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
このような構成では、建築現場にて(1)各バルコニユニットを隣接配置し、(2)その間に支持部材を配置した後、(3)隣接するバルコニユニットの一方側のバルコニユニットの床材上面に防水シートを貼り付けるとともに、その端縁を支持部材上面まで延長させる。(4)そして、隣接するバルコニユニットの他方側のバルコニユニットの床材上面に防水シートを貼り付けるとともに、その端縁を前記一方側のバルコニユニットに配置された防水シートの端縁の上に重なるように貼り付ける。ここで、他方側のバルコニユニットに配置された防水シート端縁は、一方側のバルコニユニットに配置された防水シート端縁を、床材と支持部材との段差による屈曲部に当接させる。以上のように貼り付けることで、各バルコニユニット上面とその間の支持部材上面を覆うことができ、バルコニ上面には段差のない略直線的に連続した面を形成することができる。したがって、このような作業工程により、容易な作業でバルコニを形成することができ、また、バルコニ上面には段差がなくかつスムーズな排水が行われるようになり、本発明の目的が達成される。
【0014】
ここで、第1工程では、バルコニユニット21を隣接配置する前に、各バルコニユニット21の互いに対向する端面に、前記支持部材222Aを保持する受材221を取り付けることが望ましい。
このような構成では、バルコニユニットを隣接配置する前に、予めバルコニユニットの互いに対向する端面に受材を取り付けておくことで、受材を含むバルコニユニットを隣接配置した後に支持部材を載置するだけで、支持部材は受材に支持される。従って、建築現場での作業を容易に行い、作業効率の向上に繋がる。
【0015】
なお、第2工程において、バルコニユニットと支持部材上面の角隅部のうち少なくとも一方に弾性部材を取り付けるようにしてもよい。この取付作業は、作業性を向上させる為に、支持部材を隣接するバルコニユニット間に配置した後で行ってもよいし、或いは予め工場で支持部材に艤装してもよい。
【0016】
一方、本発明のユニット式建物1は、複数の直方体状建物ユニット11で構成される建物本体10と、互いに隣接した少なくとも2つのバルコニユニット21から成るバルコニ20とで構成されるユニット式建物1であって、バルコニ20は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載のバルコニ20を備えていることを特徴とするものである。
このような本発明によれば、前述のバルコニを備えることで、前述したように本発明の目的が達成されるうえ、前述の他の作用効果をも同様に奏する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には本実施形態に係るバルコニ付きユニット式建物1が示されている。このバルコニ付きユニット式建物1は、一階部分および二階部分を有する建物本体10と、この建物本体10の一階部分上面に設けられ、外周に手摺りを備えたバルコニ20と、建物本体10の二階部分上に設けられた、屋根30とを備えて構成されている。
【0018】
建物本体10は、予め工場において製造された複数の建物ユニット11によって構成されている。建物ユニット11は、図2に示されるように、四角形の四隅に立設された柱12と、これら柱12の上端間および下端間に掛け渡された上梁13および下梁14とで構成される骨組みを備える。骨組みには、床面材(図示省略)、天井面材(図示省略)、壁材(図示省略)等が取り付けられる。
【0019】
屋根30は、建物ユニット11の二階部分上に形成される小屋組み(図示省略)と、その小屋組み(図示省略)に取り付けられる複数の屋根パネル(図示省略)とを備えて構成されている。ここで、屋根30は、上記パネル式屋根に限らず、予め工場等において製造された屋根ユニットを、建築現場にて建物ユニット上で組み立てるユニット式屋根を採用してもよい。
【0020】
バルコニ20は、図3〜図5に示すように、建物本体10の一階部分の上に互いに隣接配置された4つのバルコニユニット21と、その隣接するバルコニユニット21間の接続部22A、22Bと、バルコニユニット21上面と接続部22A、22B上面を覆うように貼り付けられる4枚の合成樹脂製の防水シート23とを備えて構成される。
【0021】
バルコニユニット21は、図3に示すように、一階建物ユニット11の上に固定される矩形枠状のベースフレーム211と、そのベースフレーム211上に取り付けられた軽量気泡コンクリートからなる床材212とを含んで形成されている。ここで、ベースフレーム211の短辺両端部には断面L字状の固定板211Aが設けられており、その固定板211A上に床材212が載置され固定されている(図5参照)。また、床材212はベースフレーム211に調整材213を介して建物本体10から離れる方向に従って下方へ傾斜しているとともに、その傾斜方向先端部には排水溝(図示省略)が設けられている。つまり、この傾斜勾配により雨水等を導き、傾斜方向先端部に設けられた排水溝(図示省略)を通じて外部に排水し、雨仕舞を確保できるようになっている。
【0022】
接続部22Aは、隣接する4つのバルコニユニット21間の傾斜方向直交部分(前後のバルコニユニット21間)に位置し、図4に示すように、隣接するバルコニユニット21の床材212の対向する端面にそれぞれ釘で固定された受材221と、セメントで形成された支持部材222Aと、弾性部材223を備えて構成される。
【0023】
ここで、支持部材222Aは、バルコニ20の傾斜方向に直交するとともに、その長辺の長さ寸法がバルコニ20の長辺と同じ長さを有する。支持部材222Aの両端面は、隣接するバルコニユニット21の床材212の端面と当接し、かつ支持部材222A上面は床材212の上面から防水シート23の厚み分、下方に位置するように、受材221の上に載置される。
また、弾性部材223は、床材212と支持部材222A上面との角隅部に支持部材222Aの長辺に沿って位置し、その高さ寸法は防水シート23の厚み分に等しい。
【0024】
一方、接続部22Bは、隣接する4つのバルコニユニット21間の傾斜方向(左右のバルコニユニット21間)に位置し、図5に示すように、各ベースフレーム211の対向する短辺端部に設けられた断面L字上の固定板211Bと、セメントで形成された2つの支持部材222Bと、調整材224を備えて構成される。
【0025】
ここで、支持部材222Bは、その長辺の長さ寸法がバルコニユニット21の短辺と同じ長さを有する。支持部材222Bのそれぞれ両端面は、隣接するバルコニユニット21の床材212の端面と当接し、かつ支持部材222B上面は床材212の上面と同じ高さレベルに位置するように、調整材224を介して固定板211B上に載置される。
【0026】
防水シート23は、バルコニユニット21の床材212よりやや大きいサイズを有し、バルコニ20の傾斜方向下端側に位置する2枚の防水シート23Aとバルコニ20の傾斜方向上端側に位置する2枚の防水シート23Bとで構成されている。これら4枚の防水シート23A、23Bが支持部材222Aの上面で重ね合わせるように連結して貼り付けられ、バルコニ20上面を全て覆うように形成される。
【0027】
したがって、バルコニ20の施工方法としては、予め工場等にて
a)各ベースフレーム211の短辺両端部に断面L字状の固定板211Aを、また、一方の短辺端部に断面L字上の固定板211Bを設けるとともに、その固定板211B上面に調整材224を固定する。ここで、載置する支持部材222B上面が床材212上面と同じ高さレベルに位置するように調整材224を固定する。
b)各ベースフレーム211にバルコニ20の傾斜に合わせて調整材213を固定する。
【0028】
c)各床材212の一方の長辺端面に受材221をそれぞれ釘で固定する。ここで、載置する支持部材222A上面が床材212上面より防水シート23の厚み分下方に位置するように受材221を固定する。
d)固定板211A、211Bおよび調整材224、213を含む各ベースフレーム211上に受材221を含む各床材212を固定板211Aに載せて固定し、各バルコニユニット21を形成する。
e)支持部材222Aの両端部上面にその長辺方向に沿って弾性部材223を貼り付ける。
【0029】
以上を施しておき、建築現場にて
f)各バルコニユニット21をその傾斜に合わせて各1階建物ユニット11上に固定する。
g)隣接する各バルコニユニット21の接続部22Aに、弾性部材223を含んだ支持部材222Aを受材221に載置し、接続部22Bに支持部材222Bを上面に調整材224を固定した固定板211B上に載置する。
【0030】
h)2枚の防水シート23Aを傾斜方向下側に配置された2つのバルコニユニット21上面それぞれに貼り付け、支持部材222B上面にて重ね合わせて貼り付けるとともに、それら防水シート23Aの上端部端縁を傾斜方向下端側に配置された一方の弾性部材223の長辺角部で屈曲させ、支持部材222A上面に延長し、傾斜方向上端側に配置された他方の弾性部材223端縁に当接させる。
【0031】
i)2枚の防水シート23Bを傾斜方向上側に配置された2つのバルコニユニット21上面それぞれに貼り付け、支持部材222B上面にて重ね合わせて貼り付けるとともに、それら防水シート23Bの下端部端縁を前記防水シート23Aの上端部端縁に重ねるように貼り付ける。ここで、防水シート23Bの下端部端縁は、防水シート23Aの上端部の屈曲部に当接するように貼り付ける。以上のような工程によりバルコニ20を施工することができる。
【0032】
以上のような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1) 支持部材222A上面部は床材212の上面部から防水シート23の厚み分、下方に位置しているので、傾斜方向下端側に配置された防水シート23Aの上端部端縁と傾斜方向上端側に配置された防水シート23Bの下端側端縁とを支持部材222A上面において重ねて貼り付けた場合に、防水シート23Aの上端部端縁の支持部材222Aと床材212上面との段差による屈曲部の高さが防水シート23の厚み分と等しくなり、屈曲部と防水シート23Bの下端部端縁を当接するように貼り付けることで、段差のない略直線的に連続した面を形成することができる。
したがって、バルコニ20上面は段差のない略直線的に連続した面で形成され、外観上好ましく、降り注がれた雨水等はバルコニ20上面にて滞留することなく、スムーズな排水が行われるようになる。
【0033】
(2) 予め工場等にて、上記a)、b)、c)、d)が施され、各バルコニユニット21が形成されていることにより、各々が運搬し易い大きさとなるので、工場から建築現場への搬送における荷扱いを容易にでき、建築現場にて容易に隣接配置できる。
さらに、a)各ベースフレーム211の一方の短辺端部に固定板211Bが設けられるとともに、その上面に調整材224が固定され、c)各床材212の一方の長辺端面に受材221がそれぞれ固定されているので、各バルコニユニット21を1階建物ユニット11の上に隣接配置するとともに固定した後、支持部材222Aを受材221に載置し、支持部材222Bを調整材224を介して固定板211Bに載置するだけで、支持部材222A、222Bは受材221および固定板211Bに支持される。
したがって、建築現場にて作業を容易に行え、取付に必要な特別な治具等は不要になり、作業効率の向上に繋がる。
【0034】
(3) 各バルコニユニット21間の接続部22Aにおいて、防水シート23A、23Bの接合部と支持部材222A上面の間に弾性部材223が介在するので、床材212上面と支持部材222A上面との段差による防水シート23Aの屈曲部は、床材212角部と接することなく、弾性部材223と接している。このため、防水シート23Aの屈曲部に対する外力の影響を十分に緩和し、防水シート23Aの破損に伴う浸水を防止することができる。
【0035】
(4) 建築現場にて、f)4つの各バルコニユニット21をその傾斜に合わせて各1階建物ユニット11上に固定した後に、g)隣接する各バルコニユニット21間の接続部22A、22Bに支持部材222A、222Bを配置するだけで、支持部材222A、222Bは受材221および固定板211Bに支持される。
また、h)、i)各バルコニユニット21上面と接続部22A、22B上面を覆うように、4枚の防水シート23A、23Bを支持部材222A上面にて重ねるように貼り付けるだけで、バルコニ20上面には段差のない略直線的に連続した面を形成することができる。
したがって、このような作業工程により、容易な作業でバルコニ20を形成することができ、また、バルコニ20上面には段差がなくかつスムーズな排水が行われるようになる。
【0036】
(5) 上記e)の工程で、支持部材222Aの両端部上面にその長辺方向に沿って弾性部材223を貼り付けているので、支持部材222A、222Bを隣接する各バルコニユニット21間の接続部22A、22Bに載置した後に、防水シート23をバルコニ20上面を覆うように貼り付けることができ、作業を容易に行え、作業効率の向上に繋がる。
【0037】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、バルコニユニット21の床材212は、ベースフレーム211に調整材213を介して、建物本体10から離れる方向に従って下方へ傾斜している場合を説明したが、この傾斜方向は、それと直交する方向でもよく、また、バルコニ20を、バルコニ20上面の建物本体10から離れる方向、若しくはそれと直交する方向に形成された接続部を境に2つの領域に区画し、領域毎にそれぞれ異なる方向に傾斜を持たせた構成でもよい。
【0038】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、互いに隣接した少なくとも2つのバルコニユニット間に介在する支持部材の上面は、バルコニユニットの床材上面より下方に位置しているので、隣接するバルコニユニット間の防水処理を目的としてバルコニ上面に貼り付けられる防水シートは、バルコニユニットの床材上面と支持部材上面とにおける段差を利用して貼り付けることができ、バルコニ上面には段差のない略直線的に連続した面を形成することができるという効果がある。
【0039】
請求項2に記載の発明によれば、支持部材上面がバルコニユニットの床材上面から防水シートの厚み分下方に位置しているので、少なくとも2つのバルコニユニットを支持部材を介して隣接配置した後に、防水シートを貼り付けるだけで、各防水シートの重ね合わされた接合部と支持部材との間に他の部材を介在させなくても、2つの防水シート上面は段差のない略直線的に連続した面を形成することができるという効果がある。
したがって、余分な部材を省略することができ、コスト削減および作業効率が向上するという効果がある。
【0040】
請求項3に記載の発明によれば、バルコニユニットの床材端面に受材が取り付けてあるので、各バルコニユニットを隣接配置する際、その間に支持部材を配置するだけで、支持部材が受材に支持されるという効果がある。
したがって、取付に必要な特別な治具等は不要になり、作業効率が向上するという効果がある。
【0041】
請求項4に記載の発明によれば、隣接配置されたバルコニユニット間において、防水シートと支持部材の間に弾性部材が介在するので、床材と支持部材との段差による防水シートの屈曲部は、床材の角部に接することなく、弾性部材と接することになる。このため、防水シートの屈曲部に対する外力の影響を十分に緩和し、防水シートの破損に伴う浸水を防止することができるという効果がある。
【0042】
請求項5に記載の発明によれば、建築現場にて(1)各バルコニユニットを隣接配置し、(2)その間に支持部材を配置した後、(3)隣接するバルコニユニットの一方側のバルコニユニットの床材上面に防水シートを貼り付けるとともに、その端縁を支持部材上面まで延長させる。(4)そして、隣接するバルコニユニットの他方側のバルコニユニットの床材上面に防水シートを貼り付けるとともに、その端縁を前記一方側のバルコニユニットに配置された防水シートの端縁の上に重なるように貼り付ける。以上のように貼り付けることで、各バルコニユニット上面とその間の支持部材上面を覆うことができ、バルコニ上面には段差のない略直線的に連続した面を形成することができるという効果がある。
したがって、このような作業工程により、容易な作業でバルコニを形成することができ、また、バルコニ上面には段差がなくかつスムーズな排水が行われるようになるという効果がある。
【0043】
請求項6に記載の発明によれば、バルコニユニットを隣接配置する前に、予めバルコニユニットの互いに対向する端面に受材を取り付けておくことで、受材を含むバルコニユニットを隣接配置した後に支持部材を載置するだけで、支持部材は受材に支持されるという効果がある。
したがって、建築現場での作業を容易に行い、作業効率が向上するという効果がある。
【0044】
請求項7に記載の発明によれば、前述のバルコニを備えることで、前述したように本発明の目的が達成されるうえ、前述の他の作用効果をも同様に奏するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るユニット式建物を上方から見た全体斜視図である。
【図2】前記ユニット式建物を構成する建物ユニットを上方から見た全体斜視図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図3に示したIV部分の拡大図である。
【図5】図1におけるV−V線断面図である。
【符号の説明】
1 ユニット式建物
11 建物ユニット
20 バルコニ
21 バルコニユニット
212 床材
221 受材
222A 支持部材
223 弾性部材
23,23A,23B 防水シート
Claims (7)
- 少なくとも2つのバルコニユニットを支持部材を介して隣接配置したバルコニであって、
前記支持部材上面は、前記バルコニユニットの床材上面より下方に位置され、
前記各バルコニユニットの上面に貼り付けられる防水シートが前記支持部材上面において互いに上下に重ね合わされた状態で略直線的に連続した面を形成するように貼り付けられていることを特徴とするバルコニ。 - 請求項1に記載のバルコニにおいて、
前記支持部材上面は、前記バルコニユニットの床材上面から前記防水シートの厚み分下方に位置されていることを特徴とするバルコニ。 - 請求項1または請求項2に記載のバルコニにおいて、
前記隣接するバルコニユニットの互いに対向する端面には、前記支持部材を保持する受材が取り付けられていることを特徴とするバルコニ。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバルコニにおいて、
前記バルコニユニットと前記支持部材上面の角隅部のうち少なくとも一方には弾性部材が載置されていることを特徴とするバルコニ。 - 少なくとも2つのバルコニユニットを互いに隣接するように配置する第1工程と、
隣接するバルコニユニットの間に支持部材を前記バルコニユニットの床材上面より下方に位置するように配置する第2工程と、
隣接するバルコニユニットの一方側のバルコニユニットの床材上面に防水シートを貼り付けるとともにその端縁を前記支持部材上面まで延長させて貼り付ける第3工程と、
隣接するバルコニユニットの他方側のバルコニユニットの床材上面に防水シートを貼り付けるとともに、その端縁を前記一方側の防水シートの端縁に重なるように、かつ、上下に重ね合わされた状態で略直線的に連続した面を形成するように貼り付ける第4工程とを備えることを特徴とするバルコニの施工方法。 - 請求項5に記載のバルコニの施工方法において、前記第1工程では、バルコニユニットを隣接配置する前に、各バルコニユニットの互いに対向する端面に、前記支持部材を保持する受材を取り付けることを特徴とするバルコニの施工方法。
- 複数の直方体状建物ユニットで構成される建物本体と、互いに隣接した少なくとも2つのバルコニユニットから成るバルコニとを備えるユニット式建物であって、前記バルコニは、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載のバルコニを備えていることを特徴とするユニット式建物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001186382A JP4307762B2 (ja) | 2001-06-20 | 2001-06-20 | バルコニ、バルコニの施工方法およびユニット式建物 |
Applications Claiming Priority (1)
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