JP3739236B2 - ユニット建物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ユニット建物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工場で量産したほぼ箱型の建物ユニットを建築現場で複数接合させてユニット建物を構築するユニット工法が行われている。
【0003】
このようなユニット工法は、建築現場での施工工数を少なくすることができるので、施工期間の短縮を図る上で非常に便利であり、しかも、コストを抑えることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなユニット建物では、各建物ユニットごとに独立した壁パネルが設けられているので、建物ユニット間の継目に必ず壁パネルの継目ができてしまうという問題がある。また、複数の建物ユニットに跨がる窓などの開口を形成することができないという問題がある。
【0005】
また、複数の建物ユニットに跨がる渡り壁パネルを設け、この渡り壁パネルに複数の建物ユニットに跨がる大きな開口を設けた場合、開口の上部に梁材などが設けられるが、この梁材を支持するのに、補強柱が必要になるなどの問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解消し、複数の建物ユニットに跨がる渡り壁パネルを取付けることによって生じる問題を解消することのできるユニット建物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、壁と床とからなる建物ユニットを複数接合させて構成するユニット建物において、上階部と下階部にそれぞれ3つ以上建物ユニットが並設されると共に上階部の壁と下階部の壁とがジョイントボルトによって接合され、そのうち隣接する2つ以上の建物ユニットは、同一直線上に並ぶ位置に側面に壁のない領域を有し、これら建物ユニットの壁のない領域に跨がって外形側面視が四角形の面形状の渡り壁パネルが設けられ、上階部の渡り壁パネルと下階部の渡り壁パネルとは、その側端位置が平面視で異なると共にジョイントボルトによって接合されることを特徴としている。
【0008】
このように構成された請求項1にかかる発明によれば、壁のない領域が同一直線上に並ぶように隣接配置された2つ以上の建物ユニットの壁のない領域に跨がって外形側面視が四角形の面形状の渡り壁パネルを設けることにより、2つ以上の建物ユニットに跨がる大きな開口を形成することが可能となる。
【0009】
そして、前記上階部の渡り壁パネルと下階部の渡り壁パネルとの側端位置が平面視で異なるようにすることにより、上記開口の位置の自由度を拡大することができる。
【0010】
請求項2に記載された発明では、前記上階部の渡り壁パネルに2つ以上の建物ユニットに跨がる開口が形成されていることを特徴とする。
【0011】
このように構成された請求項2にかかる発明によれば、上階部の渡り壁パネルに大きな窓などを形成することができる。
【0012】
請求項3に記載された発明では、壁と床とからなる建物ユニットを複数接合させて構成するユニット建物において、側面に壁のない領域が設けられる建物ユニットを上階部に2つ以上有し、それら建物ユニットは、壁のない領域が同一直線上に並ぶように隣接配置され、それら建物ユニットの壁のない領域に跨がって外形側面視が四角形の面形状の渡り壁パネルが設けられ、上階部の渡り壁パネルの上部には渡り壁パネルの端部へ達する長尺の梁材が設けられ、この梁材の両端は上記渡り壁パネル両端の枠材によって支持され、この枠材の下端が下階部の建物ユニットの壁端部の枠材によって支持されることを特徴としている。
【0013】
このように構成された請求項3にかかる発明によれば、前記梁材を渡り壁パネルの端部まで延長し、上階部の渡り壁パネルおよび下階部の壁端部の枠材で支持することにより、別途、補強柱を設けて開口の上部に設けられる梁材を支持させる必要をなくすことができる。
【0014】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の具体的な実施の形態1について、図示例と共に説明する。
【0015】
図1〜図3は、この発明の実施の形態1を示すものである。
【0016】
まず、構成を説明すると、この実施の形態1のユニット建物1は、2階建てで、下階部2(1階部分)が3つの建物ユニット3〜5で構成され、上階部6(2階部分)が3つの建物ユニット7〜9で構成され、屋根部分10が3つの建物ユニット11〜13で構成されている。そのため、図1の2箇所の位置にユニット分割線14が形成されている。
【0017】
下階部2の建物ユニット3は、床15、一方の桁壁16、一方の妻壁17で構成されている。下階部2の建物ユニット4は、床15、一方の妻壁17で構成されている。下階部2の建物ユニット5は、床15、他方の桁壁18、両方の妻壁17,19で構成されている。これらの建物ユニット3〜5は、工場で製造され、建築現場へ搬送されて、建築現場で図示しない基礎の上に据え付けられる。
【0018】
この際、建物ユニット3〜5を連続して設置することにより、下階部2には1つの大きな空間が形成される。また、建物ユニット3,4の他方の妻側の位置(図中手前側に位置)に壁のない領域20が同一直線上(或いは同一面上)に並ぶように形成される。この建物ユニット3,4の壁のない領域20に、建築現場で建物ユニット3,4に跨がる面形状の渡り壁パネル21が取付けられる。
【0019】
この渡り壁パネル21には建物ユニット3,4に跨がる大きな窓などの開口22が形成されている。また、この開口22の上部には、まぐさなどの梁材23が設けられる。
【0020】
更に、上記建物ユニット3〜5のコーナー部には、吊り金具24としてのジョイントボルトが取付けられる。また、前記梁材23には、上方へ延びる2本のジョイントボルト25が突設される。
【0021】
上階部6の建物ユニット7は、床15、一方の桁壁16、両方の妻壁17,19で構成されている。上階部6の建物ユニット8は、床15、一方の妻壁17で構成されている。上階部6の建物ユニット9は、床15、他方の桁壁18、一方の妻壁17で構成されている。これらの建物ユニット7〜9は、工場で製造され、建築現場へ搬送されて、建築現場で下階部2の建物ユニット3〜5の上に吊り金具24としてのジョイントボルトや梁材23のジョイントボルト25を利用して据え付けられる。
【0022】
この際、建物ユニット7〜9を連続して設置することにより、上階部6には1つの大きな空間が形成される。また、建物ユニット8,9の他方の妻側の位置に壁のない領域20が同一直線上(或いは同一面上)に並ぶように形成される。この建物ユニット8,9の壁のない領域26に、建築現場で建物ユニット8,9に跨がる面形状の渡り壁パネル27が取付けられる。そして、上階部6の渡り壁パネル21と下階部2の渡り壁パネル27とは、その側端位置が平面視で異なっている。
【0023】
この渡り壁パネル27には建物ユニット8,9に跨がる大きな窓などの開口28が形成されている。また、この開口28の上部には、まぐさなどの梁材29が設けられる。
【0024】
更に、上記建物ユニット7〜9のコーナー部には、吊り金具24としてのジョイントボルトが取付けられる。また、前記梁材29には、上方へ延びる2本のジョイントボルト30が突設される。
【0025】
ここで、下階部2の建物ユニット3〜5と上階部6の建物ユニット7〜9とを構成する床15は、枠材に面材を貼り付けてなる床パネルによって構成されている。同様に、下階部2の建物ユニット3〜5と上階部6の建物ユニット7〜9とを構成する壁(桁壁16,18、妻壁17,19)は、枠材に面材を貼り付けてなる壁パネルによって構成されている。なお、渡り壁パネル21,27も枠材に面材を貼り付けてなるパネル構造を有している。
【0026】
なお、下階部2の渡り壁パネル21の上部に設けた梁材23の2本のジョイントボルト25は、上階部6の渡り壁パネル27と、上階部6の建物ユニット7の他方の妻壁19とを固定するのにそれぞれ利用されている。
【0027】
次に、この実施の形態1の作用について説明する。
【0028】
壁のない領域26が同一直線上に並ぶように隣接配置された2つ以上の建物ユニット7〜9の壁のない領域26に跨がって面形状の渡り壁パネル27を設けることにより、上階部6に2つ以上の建物ユニット8,9に跨がる大きな開口28を形成することが可能となる。このように、上階部6に2つ以上の建物ユニット8,9に跨がる大きな開口28を形成することにより、上階部6に広いリビングを有する間取りに対応させることができる。
【0029】
そして、前記上階部6の渡り壁パネル27と下階部2の渡り壁パネル21との側端位置が平面視で異なるようにすることにより、上記開口22,28の位置の自由度を拡大することができる。
【0030】
【発明の実施の形態2】
図4は、この発明の実施の形態2を示すものである。なお、前記実施の形態1と同一ないし均等な部分については、同一の符号を付して説明する。
【0031】
この実施の形態2のユニット建物1は、2階建てで、下階部2(1階部分)が2つの建物ユニット31,32で構成され、上階部6(2階部分)が2つの建物ユニット33,34で構成され、屋根部分10が2つの建物ユニット35,36で構成されている。そのため、図1の1箇所の位置にユニット分割線37が形成されている。
【0032】
そして、上階部6の建物ユニット33,34は、他方の妻側の位置(図中手前側の位置)に、側面に壁のない領域38が同一直線上(或いは同一面上)に並ぶように隣接配置されている。
【0033】
それら建物ユニット33,34の壁のない領域38に跨がって面形状の渡り壁パネル39が設けられている。この、上階部6の渡り壁パネル39には、建物ユニット33,34に跨がる大きな窓などの開口40が形成されている。
【0034】
この渡り壁パネル39の上部には渡り壁パネル39の端部へ達する長尺のまぐさなどの梁材41が設けられ、この梁材41の両端は上記渡り壁パネル39両端の枠材42によって支持され、この枠材42の下端が下階部2の建物ユニット31,32の壁パネル(妻壁19)端部の枠材43によって支持されている。
【0035】
この実施の形態2によれば、梁材41を渡り壁パネル39の端部まで延長し、上階部6の渡り壁パネル39および下階部2の壁パネル端部の枠材42,43で支持することにより、枠材42,43は建物ユニット33,34を吊るために十分な強度を持っているので、別途、補強柱を設けて開口40の上部に設けられる梁材41を支持させる必要をなくすことができる。
【0036】
上記以外の部分については、前記実施の形態1と同様の構成を備えており、同様の作用・効果を得ることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、壁のない領域が同一直線上に並ぶように隣接配置された2つ以上の建物ユニットの壁のない領域に跨がって外形側面視が面形状の渡り壁パネルを設けることにより、2つ以上の建物ユニットに跨がる大きな開口を形成することが可能となる。
【0038】
そして、前記上階部の渡り壁パネルと下階部の渡り壁パネルとの側端位置が平面視で異なるようにすることにより、上記開口の位置の自由度を拡大することができる。
【0039】
請求項2の発明によれば、上階部の渡り壁パネルに大きな窓などを形成することができる。
【0040】
請求項3の発明によれば、梁材を渡り壁パネルの端部まで延長し、上階部の渡り壁パネルおよび下階部の壁端部の枠材で支持することにより、別途、補強柱を設けて開口の上部に設けられる梁材を支持させる必要をなくすことができる、という実用上有益な効果を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のユニット建物の正面図である。
【図2】図1のユニット建物の分解斜視図である。
【図3】図1の梁材の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2のユニット建物の正面図である。
【符号の説明】
1 ユニット建物
2 下階部
3〜5 建物ユニット
6 上階部
7〜9 建物ユニット
15 床
16,18 桁壁(壁)
17,19 妻壁(壁)
20,26 壁のない領域
21,27 渡り壁パネル
35.36 建物ユニット
38 壁のない領域
39 渡り壁パネル
41 梁材
42,43 枠材

Claims (3)

  1. 壁と床とからなる建物ユニットを複数接合させて構成するユニット建物において、
    上階部と下階部にそれぞれ3つ以上建物ユニットが並設されると共に上階部の壁と下階部の壁とがジョイントボルトによって接合され、そのうち隣接する2つ以上の建物ユニットは、同一直線上に並ぶ位置に側面に壁のない領域を有し、これら建物ユニットの壁のない領域に跨がって外形側面視が四角形の面形状の渡り壁パネルが設けられ、上階部の渡り壁パネルと下階部の渡り壁パネルとは、その側端位置が平面視で異なると共にジョイントボルトによって接合されることを特徴とするユニット建物。
  2. 前記上階部の渡り壁パネルには2つ以上の建物ユニットに跨がる開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のユニット建物。
  3. 壁と床とからなる建物ユニットを複数接合させて構成するユニット建物において、
    側面に壁のない領域が設けられる建物ユニットを上階部に2つ以上有し、それら建物ユニットは、壁のない領域が同一直線上に並ぶように隣接配置され、それら建物ユニットの壁のない領域に跨がって外形側面視が四角形の面形状の渡り壁パネルが設けられ、
    上階部の渡り壁パネルの上部には渡り壁パネルの端部へ達する長尺の梁材が設けられ、この梁材の両端は上記渡り壁パネル両端の枠材によって支持され、この枠材の下端が下階部の建物ユニットの壁端部の枠材によって支持されることを特徴とするユニット建物。
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