JP7323407B2 - 外壁構造、及びその改修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建物の外壁構造、及びその改修方法に関する。
従来、鉄骨造の骨組みを有する工業化住宅などの建物の外壁は、並べて隣接配置された複数の外壁パネルによって形成されている。外壁パネルは、例えば軽量気泡コンクリート(ALC)パネル等で構成され、上下または左右に隣接する各外壁パネル同士の間の目地部には、雨水等の侵入を防ぐためにシーリングが施される。
また、建物のベランダや屋上等に設けられ、外壁に直交する外部床と、当該外部床に接する外壁面との交差部には、防水工事が施される。例えば、特許文献1には、当該交差部に沿って外壁面側に設けられた防水構造の一例が開示されている。具体的には、外部床から外壁の表面に沿って立ち上がる防水金物や防水シート等の防水部材からなる防水立上がり部の上端部を、外壁パネルの外表面に形成した水平方向に延びる溝内に入れ込んだ状態で、外側からシーリングを打設(充填)した防水構造が開示されている。
特開2002-276107号公報
ところで、上記のような外壁構造において、例えば外部床が設けられた外壁パネルに破損等の不具合が発生したり、外観意匠を変更したりするために、外壁パネル自体の交換が必要になった場合、外壁パネルを取り外すために外壁パネルの外表面から防水立上がり部の防水部材を剥がす必要がある。この場合、改修工事中の降雨による下階漏水を防止するために、仮防水等の処置を施して、外壁パネルから防水部材を剥がすことで損なわれた防水性を補う必要がある。また、新たな外壁パネルを取り付けた後は、再び防水工事を施す必要があるため、改修工事全体として手間が掛かるという問題がある。
それゆえ、本発明は、外壁に直交する外部床が設けられた外壁構造において、外壁パネルの交換作業を効率的に行うことが可能な外壁構造、およびその改修方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の外壁構造は、建物の外壁に直交する外部床から立ち上がる防水立上がり部と、該防水立上がり部の直上の外壁の外表面を構成する外壁パネルと、を備え、
外壁の外表面を構成する前記防水立上がり部の外表面の上端よりも、前記外壁パネルの下端が上方に位置することを特徴とするものである。
なお、本発明の外壁構造にあっては、前記外壁パネルと前記防水立上がり部の間の隙間を塞ぐ隙間閉塞材を備えることが好ましい。
また、本発明の外壁構造にあっては、前記外壁パネルは、躯体に固定された嵩上げ材に設置されることが好ましい。
また、本発明の外壁構造にあっては、前記嵩上げ材は、前記躯体を構成する梁のフランジに固定される水平板部と、該水平板部から立ち上がり、前記外壁パネルの内表面に沿って配置される鉛直板部と、該鉛直板部から水平方向に突出し、前記外壁パネルの下面を支持する支持板部と、を備えることが好ましい。
また、本発明の外壁構造にあっては、前記嵩上げ材には、前記防水立上がり部の下地となる防水下地材が設置されることが好ましい。
また、本発明の外壁構造にあっては、前記防水下地材は、前記外壁パネルの下方に間隔を空けて配置されていることが好ましい。
また、本発明の改修方法は、上記何れかの外壁構造の改修方法であって、
前記外壁パネルと前記防水立上がり部の間の隙間を塞ぐ隙間閉塞材の少なくとも一部を除去する工程と、
前記防水立上がり部の直上に位置する前記外壁パネルを取り外す工程と、
前記外壁パネルを取り外した位置に新たな外壁パネルを取り付ける工程と、
前記新たな外壁パネルと前記防水立上がり部との隙間を隙間閉塞材で塞ぐ工程と、を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、外壁に直交する外部床が設けられた外壁構造において、外壁パネルの交換作業を効率的に行うことが可能な外壁構造、およびその改修方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る建物の外壁構造を示す側面視での断面図である。 図1の外壁構造に設けられた嵩上げ材を単独で示す側面図である。 本発明の他の実施形態に係る外壁構造を示す側面視での断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る建物の外壁構造10を示す断面図である。
なお、建物は、例えば、鉄骨造の骨組みを有する工業化住宅とすることができる。なお、工業化住宅としては例えば、鉄筋コンクリート造の基礎などの下部構造体と、柱や梁などの部材で構成される架構を有し、下部構造体の上方に設けられた上部構造体と、で構成される。なお、下部構造体は、地盤上に設置され、上部構造体を支持する。また、架構を構成する部材は、予め規格化(標準化)されたものとすることができ、その場合、予め工場にて製造された後、建築現場に搬入されて組み立てられる。
建物は、所定の平面モジュールに基づいて構築されている。平面モジュールとは、建築において設計上の基準となる基本寸法を意味し、建物は、隣り合う柱の中心間距離などの平面寸法が平面モジュールの整数倍となるように構成されている。つまり、基礎の基礎梁、上部構造体の柱及び梁は、平面視において、この平面モジュールに等しいピッチで格子状に配された仮想基準線(以下、単に「基準線」と記載する。)上の所定位置に、各部材の中心位置が一致するように配置されている。なお、外壁構造10を構成する外壁パネル20を支持する躯体の設置基準Mは、基本的に上記平面モジュールに基づく躯体(パネル材を支持する構造部材)の基準線に一致する。
建物の外壁1(外周壁)を構成する本実施形態の外壁構造10は、上下、左右に並べて配置された矩形板状(パネル状)の複数の外壁パネル20を備えている。なお、上下、左右に隣接する2枚の外壁パネル20の間には目地部が形成され、当該目地部には、隣接する外壁パネル20間の隙間を埋めるためのシーリングが打設される。ここで、外壁パネル20としては、例えば軽量気泡コンクリート(ALC)パネル、PCコンクリートパネル、及び押出成型セメント板などを用いることができるが、これに限定されない。なお、外壁1を構成する複数の外壁パネル20の形状は全て共通であることが好ましいが、異なる形状の外壁パネル20を組み合わせて使用してもよい。
図1は、例えばベランダやルーフバルコニー等のように外壁1に直交する外部床30が設けられた外壁構造10を示している。外部床30は、外壁1の外表面1aから屋外側に突出しており、基本的に水平方向に延在している。
外部床30は、例えば、床パネル31と、床パネル31の上面に重ねて配置されたパネル材32と、パネル材32の上部(外部床30の最外層)に設けられた防水層33とを有している。防水層33の上面が、外部床30の最上面(最外面)となる。なお、床パネル31としては、例えばALCパネル、PCコンクリートパネル、及び押出成型セメント板などを用いることができるが、これに限定されない。また外部床30は、その上面を構成する防水層33を有していれば、床パネル31及びパネル材32の構成は適宜変更可能であり、防水層33の下方に他の部材を有していてもよい。
ここで、本例の床パネル31は、図1に示す梁11に直交する梁(図示省略)によって支持される構成としているが、図1に示す梁11に支持される構成としてもよい。その場合、例えば梁11に固定された鋼板からなる接続金物等の部材を用いて間接的に、床パネル31を梁11に設置することができる。また、本例では床パネル31を、防水下地材40の外表面41に突き当てるように(所謂「壁勝ち」の状態で)配置しているが、床パネル31の上面で防水下地材40の下面44を支持するように(所謂「床勝ち」の状態で)配置してもよい。
防水層33は、外部床の上面(略水平面)を構成する略平坦な防水底部34と、防水底部34の外縁部から上方に向けて突出する防水立上がり部35と、を備える。
防水層33は、防水性を有する防水鋼板36、37及び防水シート38等の防水部材によって構成されている。
図1に示す防水層33は、断面がL字状の第1防水鋼板36と、同様に断面がL字状の第2防水鋼板37と、第1防水鋼板36及び第2防水鋼板37を外側(屋外側)から覆う防水シート38とで構成されている。
第1防水鋼板36は、防水下地材40に対してビス39aで固定されている。第1防水鋼板36は、鉛直方向に延びる平坦な縦板部36aと、縦板部36aの上端部に連なり水平方向に延びる平坦な横板部36bとを有する。第1防水鋼板36は、縦板部36aを防水下地材40の外表面41(屋外側表面)に沿って配置し、横板部36bを防水下地材40の上面43側に差し込むように配置した状態で、ビス39aによって縦板部36aを防水下地材40に固定することによって設置される。なお、本例の第1防水鋼板36の横板部36bは、防水下地材40の上面43から上方に間隔を空けて配置されているが、上面43に接していてもよい。また、第1防水鋼板36の横板部36bの先端側は、さらにシーリングポケット61の底面(嵩上げ材50の下向きフランジ54)に沿うように折り曲げられていてもよい。
第2防水鋼板37は、防水下地材40に対してビス39bで固定され、且つ、床パネル31に対してもビス39cで固定されている。第2防水鋼板37は、鉛直方向に延びる平坦な縦板部37aと、縦板部37aの下端部に連なり水平方向に延びる平坦な横板部37bとを有する。第2防水鋼板37の縦板部37aは、防水下地材40の外表面41に沿って配置され、ビス39bによって防水下地材40に固定される。また、第2防水鋼板37の横板部37bは、パネル材32の上面に沿って配置され、ビス39cによって床パネル31に固定される。ビス39cは、第2防水鋼板37の横板部37b及びパネル材32を貫通して床パネル31に固定される。
防水シート38は、防水鋼板36、37を固定するビス39a~39cを外側から覆うように配置される。第2防水鋼板37には予め、第2防水鋼板37よりも面積の大きい防水シート38が溶着されており、その防水シート38は施工の現場において第1防水鋼板36の外面に溶着される。また、パネル材32の上面を覆う防水シート38は、第2防水鋼板37(及び第2防水鋼板37と一体の防水シート38)の上に重ねるように配置され、溶着されている。
防水下地材40としては、例えばALCパネル、PCコンクリートパネル、及び押出成型セメント板等のパネル部材とすることができるが、これに限られず、鋼材等の金属板であってもよい。また、防水立上がり部35自体が自立可能な強度を有している場合には、防水下地材40を省略することも可能である。防水下地材40は、嵩上げ材50に設置されている。
ここで、図2は、嵩上げ材50を単独で示す断面図である。嵩上げ材50は、水平板部51と、鉛直板部52と、支持板部53と、を備える。嵩上げ材50は、鋼板等の金属製の板を折り曲げたり、溶接等により接合したりすることにより形成された部材とすることができるが、これに限られない。
水平板部51は、矩形の長尺板状である。図1に示すように、梁11の上側フランジ11aの上面に水平板部51を載せた状態で、当該水平板部51と上側フランジ11aとをボルト結合することにより、嵩上げ材50は梁11の上側に固定される。梁11はH形鋼で構成され、上側フランジ11aの上面にしている。
鉛直板部52は、水平板部51の上面中央部から垂直に立ち上がる平坦な板で構成される。鉛直板部52は、図1に示すように、外壁パネル20の内表面22(屋内側表面)及び防水下地材40の内表面42(屋内側表面)に沿って配置される。
支持板部53は、鉛直板部52の中間高さから水平方向に突出し、その上面が外壁パネル20の下面23に当接して、外壁パネル20を下方から支持する。支持板部53の先端部(鉛直板部52から遠い側の端部)には、下方に延在する下向きフランジ54が設けられている。下向きフランジ54は、シーリング剤を充填するシーリングポケット61の底面(最深部)を構成している。すなわち、下向きフランジ54は、シーリングポケット61にシーリング剤を充填する際に、下向きフランジ54よりもシーリング剤が屋内側へ移動することを阻止する。
また、図2に示すように、嵩上げ材50は、嵩上げ材50の延在方向(長手方向)に対して垂直に延在する第1補強板部55及び第2補強板部56を有する。第1補強板部55は、水平板部51の上面、鉛直板部52の屋外側面、及び支持板部53の下面に連結されている。第2補強板部56は、水平板部51の上面及び鉛直板部52の屋内側面に連結されている。第1補強板部55及び第2補強板部56を設けることにより嵩上げ材50の強度を高めることができ、水平板部51、鉛直板部52、及び支持板部53の相対的な位置関係が変化するような変形を防止している。
なお、嵩上げ材50の形状や躯体への固定方法は図示例に限定されず、適宜変更可能である。例えば、支持板部53は鉛直板部52の中間高さではなく鉛直板部52の上端部に設けてもよい。また、水平板部51を梁11の下側フランジ等に固定するようにしてもよい。
防水下地材40は、嵩上げ材50の水平板部51と支持板部53の間で、鉛直板部52に沿って配置されている。また、防水下地材40は、例えばボルト及びナット等の締結部材45を用いて鉛直板部52に対して締結固定されている。なお、防水下地材40の固定方法は適宜変更可能であり、例えば梁11等の躯体に対して直接固定してもよい。
防水立上がり部35の直上に位置する外壁パネル20は、嵩上げ材50の支持板部53の上面に載置された状態で設置され、鉛直板部52によって屋内側から支持される。外壁パネル20の内表面22に沿って配置された鉛直板部52の上部を、当該内表面22と板状の固定具25とで挟み込むことで、外壁パネル20の前後方向(厚み方向)の移動が規制される。なお、板状の固定具25は、外壁パネル20の内部に埋め込まれたナット26(又はボルト)にボルト27(又はナット)を締結すること等により外壁パネル20に締結される。
外壁パネル20の外表面21側の下端部には面取り部24が形成されていることが好ましい。このような構成により、シーリング60の打設が容易となる。また、改修時にシーリング60を除去する作業も容易となる。
外壁パネル20と防水立上がり部35の間の隙間(シーリングポケット61)には、当該隙間を塞いで、外壁1の外表面1a側の防水性を確保するための隙間閉塞材(シーリング60)が打設されている。本例では、外壁パネル20の下面23、嵩上げ材50の下向きフランジ54及び第1防水鋼板36の横板部36bによって区画形成されたシーリングポケット61に、湿式のシーリング60が打設されている。なお、隙間閉塞材として乾式のガスケット部材を用いて隙間を埋めるようにしてもよい。
ここで、シーリング60は、上下、左右に隣接する外壁パネル20間の目地部に打設されるシーリングと共通であることが好ましい。このような構成により、建物の外壁1全体としてのシーリング施工の効率を高めることができる。また、躯体を構成する梁11の設置基準Mからシーリング60の打設位置までの外壁パネル20の厚さ方向の距離が、外壁パネル20間の目地部に打設されるシーリングと同様であることが好ましい。
上記のように、外壁構造10は、外壁1の外表面1aを構成する防水立上がり部35と当該防水立上がり部35の直上に位置する外壁パネル20とを備える。
外壁パネル20は、躯体としての梁11に固定された嵩上げ材50を介して間接的に梁11に設置され、支持されている。なお、外壁パネル20の躯体への取付け方法は図示例に限定されるものではない。例えば、嵩上げ材50とは異なる形状の金物部材等を介して外壁パネル20を間接的に躯体に設置する構成としてもよいし、外壁パネル20を直接的に躯体に設置する構成としてもよい。また、本例の梁11はH形鋼であるが、これに限定されるものではない。
外壁パネル20の外表面21(屋外側表面)及び防水立上がり部35の外表面35aは、外壁1の外表面1aを構成している。つまり、図1に示す外壁パネル20の外表面21は、防水立上がり部35の直上の外壁1の外表面1aを構成する。防水立上がり部35は、外部床30の上面から外壁1に沿って垂直に立ち上がり、外壁1の外表面1aを構成する。
本実施形態の外壁構造10にあっては、外壁1の外表面1aを構成する防水立上がり部35の外表面35aの上端35bよりも、外壁パネル20の下端23(本例では外壁パネル20の下面)が上方に位置する。
以下に、本実施形態に係る外壁構造10の改修方法について説明する。外壁構造10の改修方法は、外壁パネル20と防水立上がり部35の間の隙間(シーリングポケット61)を塞ぐ隙間閉塞材(シーリング60)の少なくとも一部を除去する工程S1と、防水立上がり部35の直上に位置する外壁パネル20を取り外す工程S2と、外壁パネル20を取り外した位置に新たな外壁パネル20を取り付ける工程S3と、新たな外壁パネル20と防水立上がり部35との隙間(シーリングポケット61)をシーリング60(隙間閉塞材)で塞ぐ工程S4と、を含む。
外壁パネル20と防水立上がり部35の間の隙間(シーリングポケット61)を塞ぐシーリング60の少なくとも一部を除去する工程S1では、外壁パネル20の下面に付着するシーリング60を切り離し、外壁パネル20を取り外し可能な状態にする。その際、外壁パネル20に接するシーリング60の上部のみを除去すればよいが、シーリング60全体を除去してもよい。また、外壁パネル20を取り外すために、防水底部34及び防水立上がり部35を構成する、第1防水鋼板36、第2防水鋼板37、及び防水シート38は、二点鎖線で示すように引き剥がしたり切断したりする必要はないため、外壁パネル20の改修の間、防水層33による外部床30の防水構造を維持することができる。なお、シーリング60の少なくとも一部を除去する工程S1においては、シーリングポケット61内に位置する第1防水鋼板36及び防水シート38を部分的に除去してもよく、その場合でも再度、シーリング60を打設することによって防水性は十分に確保される。
防水立上がり部35の直上に位置する外壁パネル20を取り外す工程S2では、シーリング60を除去したことで取り外し可能となった外壁パネル20を取り外す。その際、ボルト27を緩めて、嵩上げ材50の鉛直板部52に対して係合させた固定具25の係合状態を解除しておく。
外壁パネル20を取り外した位置に新たな外壁パネル20を取り付ける工程S3では、新たな外壁パネル20を嵩上げ材50の水平板部51に載せ、固定具25を鉛直板部52に係合させてボルト27を締めることにより外壁パネル20を嵩上げ材50に設置する。
新たな外壁パネル20と防水立上がり部35との隙間(シーリングポケット61)をシーリング60で塞ぐ工程S4では、新たな外壁パネル20と防水立上がり部35との間に形成されたシーリングポケット61にシーリング60を充填する。これにより、外壁パネル20の交換(外壁1の改修)が完了する。
以上の通り、本実施形態の外壁構造10にあっては、外壁パネル20と直交する外部床30の防水立上がり部35において、外壁パネル20の下端23を防水立上がり部35の外表面35aの上端35b直上で納めることにより、外壁パネル20の素材、厚さ、凹凸、表面化粧の違いが防水立上がり部35へ影響せず、防水部材を簡潔にすることができる。
また、本実施形態の外壁構造10にあっては、外壁パネル20の交換を伴う改修の施工性を向上させることができる。すなわち、例えば外壁パネル20に破損等の不具合が発生したり、外観意匠を変更したりするために、外壁パネル20自体の交換が必要になった場合であっても、防水立上がり部35を構成する防水部材を剥がす必要がない。そのため、改修工事中の降雨による下階漏水を防止するための仮防水等の処置が不要となる。また改修期間中の降雨による下階漏水がなくなるので、漏水対応の為の無駄な工期とコストを削減することができる。また、新たな外壁パネル20を取り付けた後に、再び防水工事を施す必要がないため、改修工事全体としての手間を大幅に削減することができる。
このように、本発明によれば、外壁1に直交する外部床30が設けられた外壁構造10において、外壁パネル20の交換作業を効率的に行うことが可能となる。
また、外壁パネル20を設置する嵩上げ材50は梁11等の躯体に直接設置され、防水層33と分離されていることが好ましい。このような構成により、防水層33に影響を与えずに、嵩上げ材50の交換等の改修が可能となる。すなわち、外壁構造10の改修をより効率的に行うことが可能となる。
また、防水下地材40は嵩上げ材50に直接固定され、外壁パネル20と分離されていることが好ましい。このような構成により、防水施工に適した部材を外壁パネル20の素材によらずに選択できる。また、防水下地材40に影響を与えることなく外壁パネル20の交換を行うことができる。当該観点から、特に、防水下地材40は、外壁パネル20の下方に間隔を空けて配置されていることが好ましい。
また、本実施形態の外壁構造10にあっては、現場で外壁パネル20の外表面21に溝を形成する防水溝加工が不要になるので、溝と外壁パネル20の内部に設けた鉄筋との干渉を考慮する必要がなくなり、当該鉄筋位置を自由に決定することができる。また、化粧溝と現場で形成する溝の間の残存量による破損の可能性がなくなるので、化粧目地位置を自由に決定できる。このように、本実施形態によれば、外壁パネル20の設計負荷を軽減することができる。
また、本実施形態の外壁構造10にあっては、現場で外壁パネル20の外表面21に溝を形成する防水溝加工が不要になるので、施工の手間自体を軽減することができる。また、外壁パネル20の施工を待たずに防水施工が出来るため施工手順の制限が解消される。このように、本発明によれば、施工負荷を軽減することができる。
また、本実施形態の外壁構造10にあっては、外壁パネル20と防水立上がり部35とを分離することで、異なる素材、厚さ、形状(凹凸)、表面化粧の外壁パネル20を並列で設置することができる。このように、本発明によれば、外壁1の外観意匠の自由度を向上させることができる。
以下に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と基本的な機能が同一である部分は、図中、同一の符号を付して説明を省略する。図3は、本発明の他の実施形態に係る外壁構造12を示す断面図である。本実施形態では、外部床30の床パネル31の上面で、防水下地材40の下面44を支持する、所謂「床勝ち」の構成としている。このような構成により、躯体としての梁11に近接する位置に床パネル31を配置し易くなり、梁11または梁11に固定した接続部材(図示省略)等を介して床パネル31を支持し易くなる。なお、床パネル31は、梁11に直交する梁に支持されるようにしてもよい。
また、本実施形態では、外壁パネル20を支持する嵩上げ材50が、コ字状の断面を有する接続部材57aと、接続部材57aの上面に設けられた水平板部57bと、垂直板部57cとで構成されている。接続部材57aは、梁11の上面に載置した状態で、ボルト等で締結固定される。また、接続部材57aは、梁11の設置基準Mよりも屋外側に位置している。
外壁パネル20は、嵩上げ材50の水平板部57bの上面に載置されることで下方から支持され、外壁パネル20の内表面22に当接する垂直板部57cによって屋内側から支持される。また、接続部材57aの上側フランジの下面には、断面L字状の支持金物58が固定されている。支持金物58は、防水下地材40の内表面42に当接し、防水下地材40を屋内側から支持する。支持金物58は、防水下地材40に締結される例えばボルト及びナット等の締結部材59a、及び板状の固定具59bを用いて防水下地材40に締結固定されている。なお、防水下地材40の設置方法は図示例に限定されない。
本実施形態の外壁構造12にあっては、先の実施形態と同様に、外壁1の外表面1aを構成する防水立上がり部35の外表面35aの上端35bよりも、外壁パネル20の下端23(本例では外壁パネル20の下面)が上方に位置する。このような構成により、外壁パネル20の素材、厚さ、凹凸、表面化粧の違いが防水立上がり部35へ影響せず、防水部材を簡潔にすることができる。また、外壁パネル20の交換が必要になった場合であっても、防水立上がり部35を構成する防水部材を剥がす必要がない。そのため、改修工事中の降雨による下階漏水を防止するための仮防水等の処置が不要となり、また改修期間中の降雨による下階漏水がなくなるので、漏水対応の為の無駄な工期とコストを削減することができる。また、新たな外壁パネル20を取り付けた後に、再び防水工事を施す必要がないため、改修工事全体としての手間を大幅に削減することができる。
また、本実施形態の外壁構造12にあっては、現場で外壁パネル20の外表面に溝を形成する防水溝加工が不要になるので、鉄筋位置、化粧目地を自由に決定することができる。また、化粧溝と現場で形成する溝の間の残存量による破損の可能性がなくなるので、化粧目地位置を自由に決定できる。また、本実施形態の外壁構造12にあっては、施工の手間自体を軽減することができ、さらに施工手順の制限が解消され、さらに、外壁1の外観意匠の自由度を向上させることができる。
本発明に係る入隅壁構造は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲で記載された内容を逸脱しない範囲で、様々な構成により実現することが可能である。例えば、上記実施形態では防水層33が、防水鋼板36、37及び防水シート38で構成されているが、例えば防水シート38の代わりに、防水性を有する塗装材料を塗布することにより形成された塗膜等で構成してもよい。
1:外壁
1a:外壁の外表面
10:外壁構造
11:梁(躯体)
11a:上側フランジ
20:外壁パネル
21:外壁パネルの外表面(屋外側表面)
22:内表面(屋内側表面)
23:外壁パネルの下端(下面)
24:面取り部
25:固定具
26:ナット
27:ボルト
30:外部床
31:床パネル
32:パネル材
33:防水層
34:防水底部
35:防水立上がり部
35a:防水立上がり部の外表面
35b:防水立上がり部の外表面の上端
36:第1防水鋼板
36a:縦板部
36b:横板部
37:第2防水鋼板
37a:縦板部
37b:横板部
38:防水シート
39a、39b、39c:ビス
40:防水下地材(下地パネル)
41:外表面(屋外側表面)
42:内表面(屋内側表面)
43:上面
44:下面
45:締結部材
50:嵩上げ材
51:水平板部
52:鉛直板部
53:支持板部
54:下向きフランジ
55:第1補強板部
56:第2補強板部
57a:接続部材
57b:水平板部
57c:垂直板部
58:支持金物
59a:締結部材
59b:固定具
60:シーリング(隙間閉塞材)
61:シーリングポケット(隙間)
M:躯体の設置基準

Claims (5)

  1. 建物の外壁に直交する外部床から立ち上がる防水立上がり部と、該防水立上がり部の直上の外壁の外表面を構成する外壁パネルと、を備え、
    外壁の外表面を構成する前記防水立上がり部の外表面の上端よりも、前記外壁パネルの下端が上方に位置し、
    前記外壁パネルは、躯体に固定された嵩上げ材に設置され、
    前記嵩上げ材は、前記躯体を構成する梁のフランジに固定される水平板部と、該水平板部から立ち上がり、前記外壁パネルの内表面に沿って配置される鉛直板部と、該鉛直板部から水平方向に突出し、前記外壁パネルの下面を支持する支持板部と、を備えることを特徴とする外壁構造。
  2. 前記外壁パネルと前記防水立上がり部の間の隙間を塞ぐ隙間閉塞材を備える、請求項1に記載の外壁構造。
  3. 前記嵩上げ材には、前記防水立上がり部の下地となる防水下地材が設置される、請求項に記載の外壁構造。
  4. 前記防水下地材は、前記外壁パネルの下方に間隔を空けて配置されている、請求項に記載の外壁構造。
  5. 請求項に記載の外壁構造の改修方法であって、
    前記外壁パネルと前記防水立上がり部の間の隙間を塞ぐ隙間閉塞材の少なくとも一部を除去する工程と、
    前記防水立上がり部の直上に位置する前記外壁パネルを取り外す工程と、
    前記外壁パネルを取り外した位置に新たな外壁パネルを取り付ける工程と、
    前記新たな外壁パネルと前記防水立上がり部との隙間を隙間閉塞材で塞ぐ工程と、を含むことを特徴とする改修方法。
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