JP6801322B2 - 柱梁接合部の設計方法 - Google Patents

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本発明は、鉄筋コンクリートで構成される梁の柱との接合部における柱梁接合部の設計方法に関する。
従来、大地震を想定した設計において、柱梁接合部は、曲げモーメントが大きくなる梁の材端部において主筋の降伏を許容するように設計されている。そして、梁の主筋が降伏した後には、所定の変形性能を確保する必要がある。
梁の材端部において主筋が降伏するように設計する場合、梁の途中に先端が位置したカットオフ筋を用いる構造も知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
この非特許文献1には、梁の材端部における主筋の降伏よりもカットオフ筋先端位置の主筋の降伏を先行させないために、カットオフ筋の定着長(長さarp)は、カットオフ筋が計算上不要となる検定断面を越えて有効せい以上延長することが記載されている。このカットオフ筋の定着長について、以下、図21を用いて説明する。
図21(b)は、従来の柱梁接合部60の模式図を示しており、図21(a)は、この柱梁接合部60の梁70に地震時に加わる外力による曲げモーメント分布Mp(x)を示している。この柱梁接合部60においては、梁70の端部が柱80に接合している。梁70は、鉄筋コンクリート梁であって、梁主筋71、カットオフ筋72及び図示しないせん断補強筋等を埋設したコンクリート75によって構成されている。梁主筋71は、梁70の全長に渡って埋設されている通し筋である。カットオフ筋72は、先端が梁70の途中に位置して梁70に埋設されたカットオフ筋であって、梁主筋71よりも梁70の中立面側に配置されている。
この梁70においては、仕口面における外力の曲げモーメントM0pが、外力の曲げモーメントの最大値となる。そこで、従来の梁70は、仕口面において梁主筋71とカットオフ筋72が降伏した場合には、最大値となる仕口面における曲げモーメントM0pが、梁主筋71、カットオフ筋72が埋設された材端部における終局曲げ耐力Maupと等しくなる(M0p=Maup)ように設計される。
図22(a)には、図21(b)に示した22A−22A線断面を示している。材端部における終局曲げ耐力Maupは、以下の式によって表される。
aup=0.9・σy・(D1P・at1p+D2p・at2p
この式において、σyは、梁主筋(鉄)の降伏強度、D1Pは梁主筋71の有効せい、at1pは梁主筋71の総断面積、D2pはカットオフ筋72の有効せい、at2pはカットオフ筋72の総断面積である。
図21(a)に示すように、材端部の曲げモーメントM0pが材端部の終局曲げ耐力Maupと等しくなる時(M0p=Maup)の外力の曲げモーメント分布Mp(x)において、カットオフ筋がない場合の梁70の終局曲げ耐力Mbupと等しい曲げモーメントMsの位置における断面が、カットオフ筋が計算上不要となる検定断面である。すなわち、検定断面においては、Ms=Mbupとなる。
そして、非特許文献1によれば、梁の材端部における主筋の降伏よりもカットオフ筋先端位置の主筋の降伏を先行させないために、カットオフ筋は、この検定断面から、有効梁せい分長くした長さ以上(定着長)に設定することが定められている。なお、図21においては、有効梁せいとして、梁70の梁せいDpを用いている。
ここで、図22(b)には、図21(b)に示した22B−22B線断面を示している。検定断面における終局曲げ耐力Mbupは、以下の式によって表される。
bup=0.9・σy・D1P・at1p
図21(c)及び図21(d)には、梁70における梁主筋71、カットオフ筋72の応力分布を示している。これら梁主筋71、カットオフ筋72は、梁70の仕口面において材料(鉄)の降伏強度σyとなり、梁70に加わる曲げモーメントをそれぞれ負担している。
従って、従来のカットオフ筋の定着長(長さarp)は、以下の2式を満足する値である。
bup=Mp(x)
(ただし、この式においては、x=(arp−Dp))
かつM0p=Maup
なお、図21(e)に示すように、この梁70では、材端部が降伏した時には、柱80の仕口面の位置に塑性ヒンジが形成される。従って、図21(f)に示すように、梁70の両端における終局曲げ耐力が同じ場合には、この梁70の保有水平耐力Qupは、この梁70が降伏する仕口面における終局曲げ耐力Maupを用いて、以下の式によって表される。
up=2・Maup/Lp
ここで、Lpは内法スパンである。
更に、梁の材端部において主筋が降伏するように設計する場合、柱梁接合部における柱の断面積(太さ)は、柱が負担する応力(軸方向力、曲げモーメント、せん断力)ではなく、柱梁仕口部(柱梁接合部)の体積によって決まることが多い。具体的には、梁の主筋の柱梁仕口部(柱梁接合部)の定着長を確保するために柱梁仕口部を大きくした場合、これに伴って柱断面が大きくなる。この場合、この柱の断面積(柱梁仕口部)は、柱が負担する応力から決まる断面積よりも大きくなることが多い。
そこで、柱の断面積を小さくした場合においても、梁主筋の柱梁仕口部(柱梁接合部)の定着長を確保するための梁接合部の構造が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の柱梁接合部の鉄筋構造は、柱の仕口面から突出して設けられ、柱と接合されるコンクリート製の梁に埋設されるカットオフ筋と、カットオフ筋の端部に設けられ、梁を構成するコンクリートとの定着力を上げる定着部材と、を有している。これにより、補強筋が配置された梁の接合端部は非塑性ヒンジ領域となり、この外側に隣接した部位(カットオフ筋端部位置)が塑性ヒンジ領域となる。従って、柱の仕口面の主筋及びカットオフ筋を降伏させないことで、梁の鉄筋の定着長を確保できる。これにより、柱梁仕口部を大きくする必要がなく、柱の断面積を小さくすることができる。
また、柱と梁の接合作業の煩雑さを軽減するために、定着部材を取り付けて、カットオフ筋の長さを短くする技術も検討されている(例えば、特許文献2参照。)。
図23を用いて、カットオフ筋92の先端に定着部材94を設け、この定着部材94の位置において降伏する場合の構成について説明する。図23(b)には、カットオフ筋92の先端に定着部材94を設けた柱梁接合部65の模式図を示しており、図23(a)は、この柱梁接合部65の梁90に地震時に加わる外力による曲げモーメント分布Mp(x)を示している。この柱梁接合部65においては、梁90の端部が柱80に接合している。梁90は、鉄筋コンクリート梁であって、梁主筋91、カットオフ筋92及び図示しないせん断補強筋等を埋設したコンクリート95によって構成されている。梁主筋91は、梁90の全長に渡って埋設されていた通し筋である。カットオフ筋92は、先端が梁90の途中に位置して梁90に埋設されたカットオフ筋であって、梁主筋91よりも梁90の中立面側に配置されている。そして、カットオフ筋92の先端には、定着部材94が固定されている。
この梁90においては、定着部材94の位置において降伏が生じるため、定着部材94の位置における梁主筋91の応力が材料(鉄)の降伏強度σyと等しくなる。ここで、定着部材94の位置における外力の曲げモーメントMsと、22B−22B線断面における終局曲げ耐力Mbupとが等しくなる(Ms=Mbup)ように設計される。このため、図23(c)及び図23(d)に示すように、柱80の仕口面における梁主筋91、カットオフ筋92の応力σ1p、σ2pは、材料の降伏強度σyより小さくなる。このようにカットオフ筋先端に定着部材94を設けることで、塑性ヒンジを、外力の曲げモーメントが最大値となる材端部ではなく、カットオフ筋先端位置に形成させている(ヒンジリロケーション)。
なお、開口を梁の柱際に寄せて配置しても、所定の変形性能を確保するための柱梁接合部の鉄筋コンクリート構造が検討されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2014−163082号公報 特開2015−17442号公報 特願2015−103824号公報
一般社団法人 日本建築学会 「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」、第8版第2刷、2010年6月、p198−201
カットオフ筋の先端に定着部材を設けたコンクリート構造においては、定着部材の取り付けの手間や費用負担が大きくなる。また、これら特許文献1,2においては、定着部材を設けたカットオフ筋の端部で降伏する場合、定着部材の位置に大きな応力が発生し、その部分のコンクリートに損傷が集中し、梁の変形性能が損なわれる場合があった。
また、鉄筋コンクリート造のマンション等においては、設備配管用の開口を梁に設け、開口の位置から大梁端部までの範囲を「下がり天井」で構成することもある。ここで、梁の主筋が降伏した後は、回転変形が梁の材端部に集中する。このため、材端部に開口を設ける場合には、開口による断面欠損が変形性能を著しく劣化させることが知られている。そこで、従来、所定の変形性能を確保するために、材端部に塑性ヒンジを計画する場合には、材端部より梁せい以上離して開口を配置する。また、通常、開口の周囲には、開口補強金物が配置される。例えば、特許文献1には、梁の内部に配置された開口補強金物が記載されている。
しかしながら、上述した変形性能の確保のために、開口を、材端部より梁せい以上離すと、「下がり天井」が大きくなり、室内空間を圧迫することになっていた。また、開口の周囲に補強金物を設ける場合には、施工の手間やコストが増加することになった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、施工性を維持しながら、十分な耐力と変形性能を実現することができる柱梁接合部の設計方法を提供することにある。
・上記課題を解決する柱梁接合部の鉄筋コンクリート構造は、柱と接合されるコンクリート製の梁に埋設され、前記梁の強度を保持する梁主筋と、前記柱の仕口面から突出させ、先端が前記梁の途中に位置して前記梁に埋設され、前記先端には、前記梁を構成するコンクリートとの定着力を上げる定着部材を固定しない補強筋とを設け、前記柱の仕口面から前記補強筋の先端までの長さを、カットオフ筋の定着に必要な定着長よりも短く、前記梁の梁せいの1/2以上の長さにする。これにより、補強筋の付着すべりを生じさせることにより、柱の仕口面における降伏応力と補強筋先端における応力をほぼ同じにすることができるため、柱の仕口面〜補強筋先端の間の広範囲に降伏領域が確保でき、可撓長さが長くなることで優れた変形性能が確保できる。従って、この降伏領域全体を概ね同時期に降伏させることができるので、定着部材を設けずに高い施工性を維持しながら、十分な耐力と変形性能とを実現できる。更に、「梁せいの1/2」以上とすることにより、柱の仕口面近傍に開口部を設けた場合においても、同様に、十分な変形性能が確保できる。
・上記柱梁接合部の鉄筋コンクリート構造において、前記梁において、前記柱の仕口面から前記補強筋の先端の領域に、貫通する開口部を設けることが好ましい。これにより、梁の材端部に開口を設けた場合、開口補強金物を用いずとも、十分な耐力と変形性能を確保することができる。
・上記柱梁接合部の鉄筋コンクリート構造において、前記補強筋の前記長さは、前記補強筋の直径の20倍〜27倍であることが好ましい。これにより、十分な耐力と変形性能を確保することができる。
・上記柱梁接合部の鉄筋コンクリート構造において、前記補強筋の前記長さは、前記梁の梁せいの0.94倍〜1.25倍であることが好ましい。これにより、十分な耐力と変形性能を確保することができる。
・上記課題を解決する柱梁接合部の設計方法は、梁主筋と補強筋とを埋設し、柱と接合されるコンクリート製の梁の柱梁接合部の設計方法であって、前記補強筋は、先端が前記梁の途中に位置するカットオフ筋であって、前記補強筋の先端には、前記梁を構成するコンクリートとの定着力を上げる定着部材を設けず、前記柱の仕口面から前記補強筋の先端までの前記梁の領域に加わる応力を分散させて、前記領域が降伏領域となる前記補強筋の長さを決定する。これにより、十分な耐力と変形性能とを実現できる。
・上記課題を解決する柱梁接合部の設計方法は、梁主筋と補強筋とを埋設し、柱と接合されるコンクリート製の梁の柱梁接合部の設計方法であって、前記補強筋は、直線定着させて先端前記梁の途中に位置させ、前記補強筋の先端には、前記梁を構成するコンクリートとの定着力を上げる定着部材を設けず、前記梁に加わる想定荷重から、前記梁における曲げモーメント分布を算出し、算出した前記曲げモーメント分布を用いて、前記柱の仕口面及び前記補強筋の先端において、同時期に降伏するように、前記補強筋の長さを決定する。これにより、柱の仕口面〜補強筋先端の間の広範囲に降伏領域が確保できるので、高い施工性を維持しながら、十分な耐力と変形性能とを実現できる。
・上記柱梁接合部の設計方法において、前記梁主筋及び前記補強筋を含む梁の終局曲げ耐力が、前記曲げモーメント分布から算出される前記柱の仕口面における第1曲げモーメント以上で、前記第1曲げモーメントに対する上限強度以下となり、前記梁主筋を含む梁の終局曲げ耐力が、前記曲げモーメント分布から算出される前記補強筋の先端における第2曲げモーメント以上で、前記第2曲げモーメントに対する上限強度以下となるように、前記補強筋の長さを決定する。これにより、柱の仕口面及び前記補強筋の先端において、同時期に降伏するように、補強筋の長さを決定することができる。
本発明によれば、施工性を維持しながら、十分な耐力と変形性能を実現することができる。
本実施形態における柱梁接合部の構成を説明する図。 本実施形態におけるカットオフ筋の長さの決定方法を説明する説明図であり、(a)は曲げモーメント分布、(b)は(a)に対応した柱梁接合部の正面図、(c)は梁主筋の応力分布、(d)は補強筋の応力分布を示す。 本実施形態における柱梁接合部の断面における鉄筋の配置を説明する説明図であり、(a)は図2の3A−3A線断面図、(b)は図2の3B−3B線断面図。 本実施形態における補強筋の下限値を説明する説明図。 本実施形態における設計方法を説明する流れ図。 本実施形態における保有水平耐力の算出を説明する説明図であり、(a)は保有水平耐力を示す図、(b)は梁の塑性ヒンジ部の位置を示す図。 本実施形態の柱梁接合部の実験装置の概略説明図。 本実施形態の柱梁接合部の試験架構の説明図であって、(a)は試験架構の全体図、(b)は試験架構に作用する力の関係を説明する説明図。 本実施形態の実験で用いる試験体及び比較例の試験体の諸元値を示した表。 本実施形態の実験による試験体の説明図であって、(a)はケースC1の試験体、(b)はケースC2の試験体。 本実施形態の実験によるケースC1,C2の試験体の説明図であって、(a)は図10における11A−11A線断面図、(b)は図10における11B−11B線断面図、(c)は図10における11C−11C線断面図。 本実施形態の実験による試験体の説明図であって、(a)はケースC3の試験体、(b)はケースC4の試験体。 本実施形態の実験によるケースC3,C4の試験体の説明図であって、(a)は図12における13A−13A線断面図、(b)は図12における13B−13B線断面図、(c)は図12における13C−13C線断面図。 本実施形態の実験による試験体と比較する定着部材を備えた従来のケースC5の試験体の説明図。 従来のケースC5の試験体の説明図であって、(a)は図14における15A−15A線断面図、(b)は図14における15B−15B線断面図、(c)は図14における15C−15C線断面図。 ケースC1の試験体の梁せん断力−層間変形角の関係を示す図。 ケースC2の試験体の梁せん断力−層間変形角の関係を示す図。 ケースC3の試験体の梁せん断力−層間変形角の関係を示す図。 ケースC4の試験体の梁せん断力−層間変形角の関係を示す図。 従来のケースC5の試験体の梁せん断力−層間変形角の関係を示す図。 従来における一般的なカットオフ筋の長さを説明する説明図であって、(a)は曲げモーメント分布、(b)は(a)に対応した柱梁接合部の正面図、(c)は梁主筋の応力分布、(d)はカットオフ筋の応力分布、(e)は梁の回転支持部の長さ、(f)は保有水平耐力を示す。 従来における断面における耐力を説明する説明図であって、(a)は図21の22A−22A線断面図、(b)は図21の22B−22B線断面図。 従来の定着部材を設けたカットオフ筋の長さを説明する説明図であって、(a)は曲げモーメント分布、(b)は(a)に対応した柱梁接合部の正面図、(c)は梁主筋の応力分布、(d)はカットオフ筋の応力分布を示す。
以下、図1〜図20を用いて、柱梁接合部の設計方法の一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態の柱梁接合部15は、梁20の端部が柱30に接合されている。この柱30は、鉄筋コンクリートで構成されている。
梁20は、梁主筋21、補強筋22及びせん断補強筋(図示せず)等を埋設したコンクリート25によって構成されている。本実施形態の梁20は、断面における配筋が上下対称となる構造を有している。また、本実施形態においては、梁主筋21、補強筋22には異形鉄筋を用いる。
梁20の梁主筋21は、梁20の全長に渡って埋設された通し筋であって、梁20の上下端部側に配置された1段目鉄筋である。
梁20の補強筋22は、先端が梁20の途中に位置して梁20に埋設された補強筋であって、梁主筋21よりも梁20の中立面(中心面)側に配置された2段目鉄筋である。この補強筋22は、柱の接合端部(仕口面)から長さarの長さを有している。この補強筋22の長さarは、梁20の梁せいDの半分以上であって、従来のカットオフ筋の定着長より短くする。ここで、非特許文献1の鉄筋コンクリート構造計算規準(RC規準)によれば、カットオフ筋の定着長は、検定断面から有効せいより長くした長さである。本実施形態の補強筋22の長さarの決定方法の詳細は、後述する。
更に、図4に示すように、梁20には、梁20の軸方向とは異なる水平方向に延在する貫通孔27を設けることも可能である。この場合、特許文献3に記載されているように、貫通孔27の上下方向のへりあき長さh1,h2は、梁せいDの1/3以上であり、貫通孔27の中心が梁20の高さ方向中心に重ねることが好ましい。
また、梁20の柱際(柱際とは端のこと)から貫通孔27の中心までの距離Lcが梁せいD以下であり、次の条件(A)と条件(B)のどちらか一方又は両方を満足することが好ましい。
条件(A):貫通孔27の中心が直角二等辺三角形状の拘束領域hraの内側に位置し、梁20の柱際から貫通孔27の中心までの距離Lcが梁せいDの1/2以下である。より望ましくは、貫通孔27の全体が拘束領域hraの内側に配置され、特に貫通孔27が柱際から最大限離れていたものとしても、貫通孔27が拘束領域hraを規定する直角二等辺三角形の二等辺に内接している。ここで、拘束領域hraとは、梁20を側面から見た場合に、梁20の柱際を斜辺とした直角二等辺三角形によって定義される範囲である。
条件(B):梁20の柱際から貫通孔27までのへりあき長さLeが梁せいDの1/3、より好ましくは1/4以下である。ここで、へりあき長さLeは、貫通孔27の柱際側の縁から柱際までの距離である。特に、へりあき長さLeが短いほど良く(例えば、へりあき長さLeが20〜50mmである。)、貫通孔27の縁が柱際に接することとしてもよい。
(柱梁接合部の設計方法)
次に、図2を用いて、柱梁接合部15の設計方法について説明する。図2(a)は、梁の長さ方向における曲げモーメント分布、(b)は柱梁接合部15の正面図、(c)は通し筋である梁主筋21の応力分布、(d)は補強筋22の応力分布を示す。
図2(c)に示すように、本実施形態では、大地震を想定した設計において、梁20における柱30の仕口面から補強筋22の先端までの範囲における梁主筋21(1段目鉄筋)の応力分布が降伏領域となるように、梁20を設計する。この降伏領域は、「梁主筋21の降伏応力σ=鉄筋の降伏強度σ」となる領域である。
図2(a)は、梁20の端部における地震時に加わる想定荷重(外力)による曲げモーメント分布M(x)を示している。曲げモーメント分布M(x)は、直線で近似している。ここで、柱30の仕口面における梁20の外力による曲げモーメント(第1曲げモーメント)をM、補強筋22の先端位置における外力による曲げモーメント(第2曲げモーメント)をM(ar)で示す。
図2(b)に示すように、梁主筋21のみが埋設されている梁20の断面(3B−3B線断面)における終局曲げ耐力Mbuが、補強筋22の先端における曲げモーメントM(ar)と等しくなるように設計する。この場合、梁20の材端部において、梁主筋21、補強筋22が埋設されている3A−3A線断面における終局曲げ耐力Mauは、柱30の仕口面における梁20の外力による曲げモーメントM以上となるように設計する。
更に、仕口面において、終局曲げ耐力Mauが、梁20の外力による曲げモーメントM以上(等しい値(1.0倍)以上)〜曲げモーメントMに対する上限強度(1.2倍)以下(1≦Mau/M≦1.2)となるように設定する。これにより、図2(d)に示すように、補強筋22には、付着すべりが生じ、梁20において仕口面から補強筋22の先端までの領域全体を降伏領域とすることができる。この場合、補強筋22の応力σ2が鉄筋の降伏強度σyよりも小さくなる。
(柱梁接合部における終局曲げ耐力)
次に、図3を用いて、本実施形態の柱梁接合部における終局曲げ耐力Mau、Mbuについて説明する。
図3(a)に示すように、梁主筋21、補強筋22が埋設されている梁20の断面(図2(b)の3A−3A断面)における終局曲げ耐力Mauは、式(1)で算出される。更に、この式(1)において、at1,at2は、それぞれ梁主筋21、補強筋22の総断面積である。「σ」は、梁主筋21(鉄)の降伏強度であり、「σau」は、補強筋22の降伏強度である。本実施形態においては、補強筋22には、付着すべりが生じているため、補強筋22の降伏強度σauは、材料(鉄)の降伏強度σより低くなる。この補強筋22の降伏強度σauは、式(2)で示される。この降伏強度σauは、材料(鉄)の降伏強度σと、付着力から算出される降伏強度のうちの小さい値である。付着力から算出される降伏強度は、補強筋22の付着強度、周長(総計)φ、長さar、総断面積at2から算出される。ここで、付着強度fbuは、例えば後述する設計指針等により算定される。
また、図3(b)に示すように、3B−3B断面において、梁主筋21の終局曲げ耐力Mbuは、式(3)により算出される。
(補強筋の長さの下限値)
次に、図4を用いて、補強筋である補強筋22の長さの下限値(D/2)について説明する。
本実施形態においては、補強筋22の長さは、梁せいDの半分以上に設定する。梁20の材端部には、上述したように柱30の拘束領域hraが存在している。この拘束領域hraは、梁20の中心面Cpに対して直角二等辺三角形をなす領域である。このため、この補強筋22の長さarが、拘束領域hraの最長距離D/2以上の場合には、補強筋22に付着すべりが生じても、所定の付着強度を期待することができる。そこで、補強筋22の長さの下限値を、梁せいDの半分(D/2)以上とする。
(柱梁接合部の設計方法の実現方法)
次に、図5を用いて、上述した柱梁接合部15の設計方法の実現方法について説明する。
この設計方法には、設計端末を用いる。この設計端末は、設計処理を実行する制御部、キーボードやポインティングデバイス等の入力部、ディスプレイ等の出力部を備えるコンピュータ端末である。更に、この設計端末は、設計に必要な計算式及び材料物性値や、使用可能な鉄筋の径や形状に関する鉄筋候補情報等を記憶する記憶部を備えている。
まず、設計端末の制御部は、設定条件の取得処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部は、設定条件入力画面をディスプレイに表示する。この設定条件入力画面には、内法スパンL0、想定荷重、梁せいD、梁主筋21の直径d1及び本数N1、梁主筋21の有効せいD1に関する情報を入力する入力欄が設けられている。設計者は、これらの条件値を入力して、計算開始の指示を入力する。
次に、設計端末の制御部は、外力の曲げモーメント分布M(x)の算出処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部は、入力された想定荷重と、記憶している計算式及び材料物性値に応じて、地震時に梁20に加わる外力の曲げモーメント分布M(x)を算出する。
次に、設計端末の制御部は、梁主筋21の終局曲げ耐力Mbuの算出処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部は、取得した梁主筋21の直径d1及び本数N1から、梁主筋21の総断面積at1を算出する。そして、制御部は、記憶している梁主筋21の材料(鉄)の降伏強度σy、入力された梁主筋21の有効せいD1及び算出した梁主筋21の総断面積at1を式(3)に代入する。
次に、設計端末の制御部は、補強筋22の長さarを算出する(ステップS1−4)。ここでは、外力の曲げモーメント分布を用いて、算出した補強筋22の先端における終局曲げ耐力Mbuと等しくなる外力の曲げモーメント(Mbu=M(ar))となる長さarを算出する。具体的には、制御部は、算出した補強筋22の長さarが梁20の梁せいDの半分より小さく、式(4)を満たさないと判定した場合には、メッセージをディスプレイに表示する。このメッセージには、補強筋22の長さが短くなるため、設定条件を変更する必要がある旨のメッセージを含める。
一方、制御部は、算出した補強筋22の長さarが梁20の梁せいDの半分以上と判定した場合(式(4)を満たす場合)には、長さarの補強筋22の直径d2、本数N2、有効せいD2の決定処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部は、取得した梁せいD、梁主筋21の有効せいD1、算出した補強筋22の先端における外力の曲げモーメントM(ar)、補強筋22の長さarを用いて、上述した式(1)、式(2)、式(5)及び式(6)を満たす補強筋22の直径d2、本数N2、有効せいD2を決定する。
ここで、式(5)は、仕口面において、終局曲げ耐力Mauが梁20の外力による曲げモーメントM以上(等しい値(1.0倍)以上)、かつ曲げモーメントMに対する曲げ上限強度(1.2倍)以下となる条件式である。
なお、制御部は、直径d2として、記憶部に記録されている鉄筋候補情報のいずれかを用いる。また、本数N2は整数である。更に、設計指針から算出される付着強度fbuは、例えば、図5に示す式(6)を用いることができる。この式(6)は、日本建築学会の「鉄筋コンクリート造建物の靱性保証型耐震設計指針・同解説(1999年版)」の第176頁〜第177頁に記載されている。
そして、設計端末の制御部は、決定した補強筋22の情報の出力処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部は、補強筋22の直径d2、長さar、本数N2、有効せいD2をディスプレイに表示する。
(柱梁接合部の保有水平耐力)
次に、図6を用いて、本実施形態の柱梁接合部15においても、従来のカットオフ筋と同等な保有水平耐力Qu1を有していることについて説明する。
図6(a)に示すように、本実施形態の梁20では、補強筋22の先端における終局曲げ耐力Mbuを用いて、保有水平耐力Qu1が算定される。ここでは、従来の梁70と同様に、梁20の両端における終局曲げ耐力が同じ場合の保有水平耐力Qu1を示している。
この場合、図6(b)に示すように、補強筋22の先端間の距離L1は、内法スパンL0から両端の補強筋22の長さarを減算した値になる。従って、保有水平耐力Qu1の算出に用いる終局曲げ耐力は小さくなる(Maup→Mbu)が、算出に用いる距離も小さくなる(Lp→L1)。このため、一般的な従来のカットオフ筋を用いて材端部に塑性ヒンジを形成させる構成と同等な保有水平耐力Qu1を得ることができる。
(試験体による実験)
次に、上述した柱梁接合部の構造を具体化した試験体(ケース「C1」〜「C4」)を用いた実験について説明する。
(実験装置の説明)
まず、図7及び図8を用いて、試験体を実験した実験装置を説明する。
図7に示すように、本実施形態の実験では、実験装置として二軸試験装置40を用いる。この二軸試験装置40は、台41上に、1対の軸力用アクチュエータ42を、間隔をおいて配置する。更に、これら軸力用アクチュエータ42の上に、L字部材43の長辺部を配置し、L字部材43の垂下した短辺部に、水平用アクチュエータ44を取り付ける。そして、これら軸力用アクチュエータ42の間に、建物の骨組みの一部分を抜き出した十字型部分架構50を設置する。
図8(a)に示すように、十字型部分架構50は、四角柱形状の柱部51と、柱部51から対向する両方向に延在する梁部とから構成されている。この梁部には、試験体である梁20が配置される。柱部51の柱頭には、長期軸力に相当する鉛直力を載荷し、地震力に相当する水平力を載荷する。
図8(b)に示すように、柱部51の上部には柱頭クレビス52が設けられ、柱部51の下部には柱脚クレビス53が設けられている。この柱脚クレビス53は、台41に対して、回転の動きのみ許容するピン支持53aによって支持されている。
梁20の両端には、梁端クレビス54,55が設けられている。この梁端クレビス54,55は、回転及び水平移動を許容するピン・ローラ支持54a,55aによって支持されている。
試験体である梁20の縮尺は、実大の約1/2とした。各試験体には、柱の近傍に開口が設けられている。この開口の開口径は、梁せいDの1/4とした。
また、実験におけるコンクリートの設計規準強度は、柱がFc60、梁がFc36である。更に、梁主筋21及び補強筋22は、異形鉄筋D19のSD490を用いた。
次に、各試験体について説明する。
図9には、梁20の試験体(ケース「C1」〜「C4」)の諸元値を示している。いずれの試験体(ケース)においても、定着部材を設けておらず、コンクリート強度、梁断面形状、梁の鉄筋構造は同じである。
ケース「C1」の補強筋22の長さ(先端位置)arは、補強筋22の直径d2の20倍で、梁せいDの0.94倍(376mm)である。ケース「C1」の試験体は、図10(a)に示している。また、図10(a)中の11A−11A線断面図、11B−11B線断面図、11C−11C線断面図は、それぞれ、図11(a)、図11(b)及び図11(c)に示している。なお、図中における23a,23b,23cは、せん断補強筋である。
ケース「C2」の補強筋22の長さ(先端位置)arは、補強筋22の直径d2の25倍(475mm)である。ケース「C2」の試験体は、図10(b)に示している。また、図10(b)中の11A−11A線断面図、11B−11B線断面図、11C−11C線断面図は、それぞれ、図11(a)、図11(b)及び図11(c)に示している。
ケース「C3」の補強筋22の長さ(先端位置)arは、梁せいDの1.25倍(500mm)で補強筋22の直径d2の26.3倍である。ケース「C3」の試験体は、図12(a)に示している。また、図12(a)中の13A−13A線断面図、13B−13B線断面図、13C−13C線断面図は、それぞれ、図13(a)、図13(b)及び図13(c)に示している。
ケース「C4」の補強筋22の長さ(先端位置)arは、梁せいDの0.95倍(380mm)で補強筋22の直径d2の20倍である。ケース「C4」の試験体は、図12(b)に示している。また、図12(b)中の13A−13A線断面図、13B−13B線断面図、13C−13C線断面図は、それぞれ、図13(a)、図13(b)及び図13(c)に示している。
ケース「C3」及び「C4」は、ケース「C1」の梁20における補強筋22の定着長を変更した試験体である。また、ケース「C1」〜「C4」の試験体は、端部に開口(貫通孔27)を有しているが、開口の周囲には開口補強金物は設けられていない。
また、図9には、更に、定着部材(定着板)を設けた比較例のケース「C5」の試験体の諸元値を示している。このケース「C5」の試験体は、従来技術の梁90に貫通孔97を設けた構造をしており、定着板の有無及び降伏時梁せん断力以外は、ケース「C1」と同じ値になっている。ケース「C5」の試験体は、図14に示しており、ケース「C1」「C4」と同じ位置に取り付けて実験した。また、図14中の15A−15A線断面図、15B−15B線断面図、15C−15C線断面図は、それぞれ、図15(a)、図15(b)及び図15(c)に示している。なお、図中における93a,93b,93cは、せん断補強筋である。
図16〜図19には、それぞれ、ケース「C1」〜「C4」の試験体における実験結果による梁せん断力と層間変形角との関係を示している。
また、図20には、比較例として、カットオフ筋の先端に定着板を設けた従来技術の試験体(ケース「C5」)における実験結果による梁せん断力と層間変形角との関係を表示している。図20から明らかなように、カットオフ筋の先端に定着板を設けたケース「C5」の試験体は、定着板部分に損傷が集中し、R=1/25以降において急激に梁せん断力が低下した。一方、図16〜図19から明らかなように、ケース「C1」〜「C4」の試験体においては、すなわち本実施形態における梁20を具体化した試験体では、層間変形角Rが大きくなっても、梁せん断力が急激に低下することがなく、変形性能の向上を図ることができる。また、材端部に開口を設けた構造において、開口補強金物を用いなくても、変形性能を確保でき、優れた構造性能を確保できる。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、梁20は、梁20の全長に渡って埋設される通し筋である梁主筋21と、先端が梁20の途中に位置して梁20に埋設された補強筋22とを備える。補強筋22の長さarを、従来のカットオフ筋の定着に必要な定着長よりも短く、梁20の梁せいDの1/2以上に設定する。これにより、補強筋22を定着させずに付着すべりを生じさせて、柱30の仕口面における降伏応力と補強筋22先端における降伏応力をほぼ同じにすることができる。この結果、柱の仕口面〜補強筋先端の間の広範囲において降伏領域が確保できる。従って、この降伏領域全体を同時期に降伏させることにより、定着部材を設けずに施工性を維持しながら、十分な耐力と変形性能とを実現することができる。
(2)本実施形態においては、補強筋22の長さarを、梁20の梁せいDの1/2以上とする。これにより、柱30の仕口面近傍に貫通孔27を設けた場合においても、降伏領域が確保でき、開口を補強する鉄筋を配置しない場合においても、十分な耐力と変形性能を確保することができる。
(3)本実施形態においては、梁20の拘束領域hraに内接するように、貫通孔27を設ける。これにより、開口である貫通孔27が梁20の柱際に寄って配置されることになるため、柱30の拘束効果によって、貫通孔27の周囲が変形し難く、貫通孔27の周囲のせん断ひび割れを抑制することができ、開口補強金物を不要にすることができる。
(4)本実施形態においては、試験体の実験結果から、補強筋22の長さarを、補強筋22の直径d2の20倍〜27倍にした場合には、十分な耐力と変形性能を確保することができる。
(5)本実施形態においては、試験体の実験結果から、補強筋22の長さarを、梁20の梁せいDの0.94倍〜1.25倍にした場合には、十分な耐力と変形性能を確保することができる。
(6)本実施形態では、設計処理において、梁20における外力による曲げモーメント分布M(x)を用いて、梁主筋21のみの終局曲げ耐力Mbuと等しくなる梁の降伏領域端部位置を特定する。更に、この降伏領域端部位置に先端が位置するように補強筋22の長さarを特定する。そして、終局曲げ耐力Mauが、柱30の仕口面における曲げモーメントM0u以上で、かつ曲げモーメントMに対する曲げ上限強度(1.2倍)以下(1≦Mau/M≦1.2)となるように、補強筋22の直径d2、本数N2及び有効せいD2を決定する。これにより、補強筋22の付着力を低下させて補強筋22を定着させないため、柱30の仕口面における梁主筋21の応力と、補強筋22先端における梁主筋21の応力をほぼ同じにすることができ、柱の仕口面〜補強筋先端の間の広範囲において降伏領域が確保できる。従って、この降伏領域全体を同時期に降伏させることにより、定着部材を設けずに施工性を維持しながら、十分な耐力と変形性能とを実現することができる。
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態においては、補強筋22の直径d2、本数N2、有効せいD2の決定処理において用いる補強筋22の付着強度fbuを、上述した式(6)を用いて算出した。補強筋22の付着強度fbuは、他の設計指針によって算出してもよい。
・上記実施形態においては、補強筋22として異形鉄筋を用いた。上記(1)〜(5)式を満たすことができれば、補強筋22の形状は、異形鉄筋に限定されない。例えば、丸鋼を用いてもよい。
・上記実施形態において、補強筋22の長さarを、カットオフ筋の定着に必要な定着長さより短くし、この定着長さとして、現在のRC規準における定着長さを用いた。補強筋22の長さは、現在のRC規準における定着長さに限定されるものではなく、付着すべりが発生する長さであればよい。
・上記実施形態の設計処理において、設計端末の制御部は、補強筋22の長さar、直径d2、本数N2、有効せいD2を決定した。上記(1)〜(5)式を満足するように設計する方法であれば、補強筋22を設計する場合に限られない。例えば、本数N2や長さarを予め定め、梁せいDや梁主筋21、補強筋22の直径d1,d2、有効せいD1,D2等を決定してもよい。
・上記実施形態においては、補強筋22の先端における終局曲げ耐力Mbuと等しくなる外力の曲げモーメント(Mbu=M(ar))となる長さarを算出する。そして、梁20の仕口面において、終局曲げ耐力Mauが梁20の外力による曲げモーメントMに対して等しい値(1.0倍)以上、かつ曲げ上限強度(1.2倍)以下を満たすように、梁20の設計を行なった。梁20の仕口面から補強筋22の先端までの領域が同時期に降伏する降伏領域となるように設計できればよい。従って、補強筋22の先端において、Mbu=M(ar)となる条件の代わりに、終局曲げ耐力Mbuが、梁20の外力による曲げモーメントM(ar)以上(等しい値(1.0倍)以上)で、曲げモーメントM(ar)に対する曲げ上限強度(1.2倍)以下を満たす(1.0≦Mbu/M(ar)≦1.2)なるようにしてもよい。
更に、梁20の外力による曲げモーメントに対する終局曲げ耐力の上限値は、曲げ上限強度に限られず、例えば曲げ信頼強度を用いてもよく、梁20の仕口面から補強筋22の先端において、同時期に降伏する降伏領域となるように設計できればよい。
・上記実施形態において、梁20の通し筋である梁主筋21よりも内側に、先端が梁の途中にある補強筋22を配置した。先端が梁の途中にある補強筋22の配置位置は、これに限定されない。例えば、通し筋である梁主筋21と同じ有効せいの位置に配置してもよい。また、この補強筋22は、通し筋である梁主筋21と同じ本数としたが、本数は限定されるものではない。ここで、多くの本数を配置する場合には、異なる有効せいで複数段に配置してもよい。
σau…補強筋22の降伏強度、σy…鉄筋の降伏強度、σ1,σ1p,σ2,σ2p…応力、φ…周長(総計)、ar…補強筋22の長さ、arp…カットオフ筋72の長さ、at1…梁主筋21の総断面積、at1p…梁主筋71の総断面積、at2…補強筋22の総断面積、at2p…梁主筋71の総断面積、Cp…中心面、D,Dp…梁せい、D1…梁主筋21の有効せい、D1P…梁主筋71の有効せい、D2…補強筋22の有効せい、D2p…カットオフ筋72の有効せい、d1…梁主筋21の直径、d2…補強筋22の直径、fbu…付着強度、hra…拘束領域、h1,h2…貫通孔27のへりあき長さ、Lc…梁20の柱際から貫通孔27の中心までの距離、Le…へりあき長さ、L0,Lp…内法スパン、L1…補強筋22の先端間の距離、Mau…梁主筋21及び補強筋22による終局曲げ耐力、Maup…梁主筋71及びカットオフ筋72による終局曲げ耐力、Mbu…梁主筋21のみの終局曲げ耐力、Mbup…梁主筋71のみの終局曲げ耐力、M(ar)…補強筋22の先端における曲げモーメント、Ms…検定断面における曲げモーメント、M0,0p…曲げモーメント、M(x),Mp(x)…曲げモーメント分布、N1…梁主筋21の本数、N2…補強筋22の本数、Qu1,Qup…保有水平耐力、15,60,65…柱梁接合部、20,70,90…梁、21,71,91…梁主筋、22…補強筋、23a,23b,23c,93a,93b,93c…せん断補強筋、25,75,95…コンクリート、27…貫通孔、28…開口部、30,80…柱、72,92…カットオフ筋、94…定着部材。

Claims (2)

  1. 梁主筋と補強筋とを埋設し、柱と接合されるコンクリート製の梁の柱梁接合部の設計方法であって、
    前記補強筋は、直線定着させて先端前記梁の途中に位置させ、
    前記補強筋の先端には、前記梁を構成するコンクリートとの定着力を上げる定着部材を設けず、
    前記梁に加わる想定荷重から、前記梁における曲げモーメント分布を算出し、
    算出した前記曲げモーメント分布を用いて、前記柱の仕口面及び前記補強筋の先端において、同時期に降伏するように、前記補強筋の長さを決定することを特徴とする柱梁接合部の設計方法。
  2. 前記梁主筋及び前記補強筋を含む梁の終局曲げ耐力が、前記曲げモーメント分布から算出される前記柱の仕口面における第1曲げモーメント以上で、前記第1曲げモーメントに対する上限強度以下となり、
    前記梁主筋を含む梁の終局曲げ耐力が、前記曲げモーメント分布から算出される前記補強筋の先端における第2曲げモーメント以上で、前記第2曲げモーメントに対する上限強度以下となるように、前記補強筋の長さを決定することを特徴とする請求項に記載の柱梁接合部の設計方法。
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