JPH0722401Y2 - 柱または梁と梁との接合構造 - Google Patents

柱または梁と梁との接合構造

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JPH0722401Y2
JPH0722401Y2 JP2116588U JP2116588U JPH0722401Y2 JP H0722401 Y2 JPH0722401 Y2 JP H0722401Y2 JP 2116588 U JP2116588 U JP 2116588U JP 2116588 U JP2116588 U JP 2116588U JP H0722401 Y2 JPH0722401 Y2 JP H0722401Y2
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久義 石橋
奎子 斎藤
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Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案は、プレキャストコンクリート製の柱または梁
と、プレキャストコンクリート製または現場打ちコンク
リート製の梁との接合構造に関する。
(従来の技術) たとえば、プレキャストコンクリート製の柱を現場にお
いて、プレキャストコンクリート製または現場打ちコン
クリート製の梁と水平方向で接合しようとする場合、柱
の梁との接合面から突出する梁主筋を、梁の梁主筋と接
合する。この場合、柱は、梁主筋が梁との接合面から長
手方向に直交する方向へ突出するように工場で製作され
る。その結果、柱に設けられる接合面が2個以上の複数
である場合、梁主筋はそれぞれの接合面から突出するこ
ととなる。
同様に、プレキャストコンクリート製の第1の梁を現場
において、プレキャストコンクリート製または現場打ち
コンクリート製の第2の梁と水平方向で接合しようとす
る場合、第1の梁の第2の梁との接合面から突出する梁
主筋を、第2の梁の梁主筋と接合する。この場合、第1
の梁は、梁主筋が第2の梁との接合面から長手方向に直
交する方向へ突出するように工場で製作される。その結
果、第1の梁に設けられる接合面が2個以上の複数であ
る場合、梁主筋はそれぞれの接合面から突出することと
なる。
ところで、梁または柱に作用する曲げモーメントが大き
くなって引っ張り側の鉄筋が降状すると、曲げ変形がそ
の箇所に集中する現象が起こる。これを梁についてみる
と、地震時の曲げモーメントは梁端部で最も大きくな
り、通常、梁端部の鉄筋が降状する。そして、一度鉄筋
が降状すると、水平力がそれ以上増しても、梁端部の降
状している部分の変形が増えるのみで、抵抗力はほとん
ど上がらないようになる。この現象は、プラスチックヒ
ンジの状態またはヒンジが発生した状態といわれる。
鉄筋の降状現象は、鉄筋上のある一点で起こるのではな
く、ある程度の長さをもった範囲で起こることから、梁
端部が繰り返しの正負の水平力を経時的に受けると、梁
端部の被りコンクリートがはく離するなど、梁端部に、
ある長さにわたる破壊ゾーンが形成される。この破壊ゾ
ーンはヒンジ域と呼ばれ、接合面から水平方向へ梁成の
1〜1.5倍程度の範囲にわたる。
(考案が解決しようとする課題) 梁主筋の接合面からの突出長さは、プレキャストコンク
リート製の柱または梁を工場から現場まで運搬する車両
の大きさとか、道路交通法等による規制とかによる制約
を受け、その突出長さを大きくすることが限られる。そ
のため、プレキャストコンクリート製の柱または梁の梁
主筋を現場で、別の梁の梁主筋と接合したとき、その接
合箇所、いわゆる継手が完成された梁の端部に位置する
こととなり、前述のヒンジ域に入る可能性がある。特
に、高層の建物用の柱幅が大きい柱の場合には、接合面
から突出する梁主筋の長さが、全幅との兼合いから小さ
くなるため、前記可能性が高くなる。
ところが、ヒンジ域の梁主筋は、前述のように地震時に
大きな引っ張り、圧縮の繰返し応力を受け、降状するお
それがあることから、継手をヒンジ域外に位置させるこ
とが好ましい。その理由は、継手がヒンジ域にある場
合、たとえば、ねじ継手のような機械式継手のあるもの
では、鉄筋の引っ張り降状を越えた正負繰返し応力を受
けると、荷重がゼロ付近になったとき、すべる性状を呈
したり、また圧縮継手では、フラットと呼ばれる不良な
内部欠陥やわれと呼ばれる外部欠陥を発生したりする
が、この継手の性状や欠陥等がそのまま、梁の構造、性
能、耐力等に影響を及ぼすおそれがあるからである。
本考案の目的は、プレキャストコンクリート製の柱また
は梁の梁主筋の継手をヒンジ域外にもたらすことを可能
にする、プレキャストコンクリート製の柱または梁と、
プレキャストコンクリート製または現場打ちコンクリー
ト製の梁との接合構造を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本考案は、プレキャストコンクリート製の柱と、プレキ
ャストコンクリート製または現場打ちコンクリート製の
梁との接合構造である。前記柱は、前記梁に接合される
接合面と、該接合面から実質的に水平方向へ突出する梁
主筋と、前記接合面から実質的に水平方向へ突出する補
強筋であって前記梁主筋の水平突出長さより長い水平突
出長さを有する補強筋とを備える。前記梁は、前記梁主
筋に接合される梁主筋を有する。
本考案はまた、プレキャストコンクリート製の第1の梁
と、プレキャストコンクリート製または現場打ちコンク
リート製の第2の梁との接合構造である。前記第1の梁
は接合部を備え、該接合部は、前記第2の梁に接合され
る第1の接合面と、該第1の接合面から実質的に水平方
向へ突出する梁主筋と、前記第1の接合面から実質的に
水平方向へ突出する補強筋であって前記梁主筋の水平突
出長さより長い水平突出長さを有する補強筋と、前記第
1の接合面と実質的に直交し、柱に接合される第2の接
合面とを有する。前記第2の梁は、前記梁主筋に接合さ
れる梁主筋を有する。
前記第1の梁の前記接合部は、前記柱から上方向へ突出
する柱主筋を貫通させるシース管を備えることができ
る。
(作用および効果) 柱の梁との接合面または梁の梁との接合面から梁主筋に
加えて補強筋を突出した場合、前記接合面から梁成の1
〜1.5倍の範囲にわたっていたヒンジ域が、補強筋の端
近傍から梁成の1〜1.5倍の範囲に移動することが知ら
れている(ニュージーランド コンクリート デザイン
コード[3])。
ヒンジ域が補強筋の端から梁成の1〜1.5倍の範囲に移
動することと、プレキャストコンクリート製の柱または
梁の接合面から突出する梁主筋の水平突出長さが、補強
筋の水平突出長さより短いことから、プレキャストコン
クリート製の柱または梁の接合面から突出する梁主筋
と、プレキャストコンクリート製または現場打ちのコン
クリート製の梁の梁主筋との継手は、ヒンジ域よりも接
合面に近い箇所に位置し、ヒンジ域から外れる。
プレキャストコンクリート製の柱または梁の運搬上の制
約を少なくできるばかりでなく、継手をヒンジ域外に位
置させることにより、ヒンジ域にある継手によって生ず
るおそれのある事態の発生を抑えるため、プレキャスト
コンクリート製の柱または梁の大幅な採用が可能とな
る。これは、特に高層建物において、現場管理の困難な
高強度コンクリートを使用する場合の品質管理を容易に
する。
(実施例) 第1図に示す接合構造10は、工場で製作されたプレキャ
ストコンクリート製の柱12と梁14とを接合するものであ
る。
柱12は、梁14に接合される接合面13と、接合面13から実
質的に水平方向へ突出する梁主筋16と、接合面13から実
質的に水平方向へ突出する補強筋18とを備える。梁主筋
16の水平突出長さL1は、補強筋18の水平突出長さL2より
短い。
図示の実施例では、柱12は、水平方向へ間隔をおいた2
つの平行な接合面13を有し、複数の上下の梁主筋16が2
つの接合面13を貫通して配置されている。一方、補強筋
18は、正面形状がコの字状に形成された2本の鉄筋19
a、19bを、正面視において閉断面にするべく、2つの接
合面13を貫通させて配置し、柱12の外部で2つの鉄筋19
a、19bを重ね合せて形成されている。このように形成さ
れた補強筋18の複数が、紙面に垂直な方向へ間隔をおい
て配置される。柱12から鉛直に複数の柱主筋20が突出し
ている。
梁14は、プレキャストコンクリート製または現場におけ
る先組鉄筋にコンクリートを打設して形成される。図示
の実施例では、梁14はプレキャストコンクリート製であ
る。梁14は、柱12の梁主筋16と同数の梁主筋22を有す
る。各梁主筋22は、対向する柱12の梁主筋16に継手部材
24を介し、または介さずに接合される。
第2図および第3図に示す接合構造30は、プレキャスト
コンクリート製の梁32と、プレキャストコンクリート製
の梁34とを接合するものである。
梁32は接合部36を備え、この接合部36は、梁34に接合さ
れる接合面33と、接合面33から実質的に水平方向へ突出
する梁主筋38と、接合面33から実質的に水平方向へ突出
する補強筋40と、接合面33と実質的に直交し、柱12に接
合される接合面41とを有する。梁主筋38の水平突出長さ
は、補強筋40の水平突出長さより短い。
図示の実施例では、梁32は、水平方向へ間隔をおいた2
つの平行な接合面33を接合部36に有し、梁主筋38と補強
筋40とが前記実施例と同じように、2つの接合面33を貫
通して配置されている。接合部36には、柱12の柱主筋20
を貫通させる、柱主筋20と同数のシース管42が埋設され
ている。柱主筋20をシース管42に通し、すきまにモルタ
ルを注入して、接合部36は柱12の上方に定着される。
梁34は、梁32の梁主筋38と同数の梁主筋42を有する。各
梁主筋42は対向する梁主筋38に接合される。
プレキャストコンクリート製の柱12がプレキャストコン
クリート製または現場打ちコンクリート製の梁に水平方
向で接合される場合、柱12はその使用箇所に応じて、第
4図に示すような形態に形成される。すなわち、柱12が
1つの接合面13と、この接合面13からそれぞれ突出する
梁主筋16および補強筋18とを有するもの(同図a)、柱
が3つの接合面13と、各接合面13からそれぞれ突出する
梁主筋16および補強筋18とを有するもの(同図b)、さ
らに、柱が4つの接合面13と、各接合面13からそれぞれ
突出する梁主筋16および補強筋18とを有するもの(同図
c)である。補強筋18の突出長さは、形態毎に、プレキ
ャストコンクリート製の柱12を運搬する車両や法規等に
よる規制を勘案して定めることができる。
プレキャストコンクリート製の梁32がプレキャストコン
クリート製または現場打ちコンクリート製の梁に水平方
向で接合される場合、梁32はその使用箇所や大きさを勘
案して、第5図に示すような形態に形成される。すなわ
ち、梁32が2つの接合部36を所定のスパンで有し、各接
合部36が2つの間隔をおいた接合面33と、各接合面33か
らそれぞれ突出する梁主筋38および補強筋40とを有する
もの(同図a)、梁32が2つの接合部36を所定のスパン
で有し、各接合部36が3つの接合面33と、各接合面33か
らそれぞれ突出する梁主筋38および補強筋40とを有する
もの(同図b)である。
柱12または梁32の補強筋18(40)は、第6図に示すよう
に、1本の鉄筋を折り曲げてループ状としたり(同図
a)、2本の鉄筋のそれぞれの端部にアンカプレート44
を取り付けたり(同図b)の形態に形成されうる。
柱12と梁14とを接合するには、第7図に示すように、プ
レキャストコンクリート製の柱12を所定の位置に定着し
た後、または定着する前に、所定数のあばら筋50を束ね
て梁主筋16に組み付けておく。プレキャストコンクリー
ト製の梁14をワイヤ52で吊り上げて柱12に対向させ、梁
14の各梁主筋22を柱12の対向する梁主筋16とねじ継手、
溶接継手等それ自体公知の方法で接合する。その後、束
ねておいたあばら筋50を所定の間隔に配置し、結束して
から、型枠で囲み、コンクリートを打設して、柱12と梁
14とを一体化し、完成した梁とする。
第8図に示すように、補強筋18がない場合には、ヒンジ
域Aは接合面13から梁成Hの1〜1.5倍の範囲にわたっ
ていたのに対し、柱12の接合面13から梁主筋16に加えて
補強筋18を突出した結果、ヒンジ域Bは補強筋18の端近
傍から梁成Hの1〜1.5倍の範囲に移動する。そのた
め、柱12の梁主筋16と梁14の梁主筋22との接合部である
継手54がヒンジ域Bより接合面13に近い箇所となり、ヒ
ンジ域Bから外れることとなる。
完成された梁に地震時の曲げモーメントが働いたとき、
第9図に示すように、ヒンジ域Bにおいて降状ヒンジ56
が発生する可能性はあるが、この降状ヒンジ56は継手54
から離れた箇所であるため、継手54の性状や欠陥の影響
を受けることが少なく、梁14の構造や耐力で対処でき
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に係る柱と梁との接合構造を示す正面
図、第2図は本考案に係る梁と梁との接合構造を示す平
面図、第3図は第2図の側面図、第4図a、b、cは柱
の形態を示す平面図、第5図a、bは梁の形態を示す平
面図、第6図a、bは補強筋の形態を示す正面図、第7
図は柱と梁とを接合する状態を示す模式図、第8図およ
び第9図は本考案に係る接合構造の作用、効果を説明す
る模式図である。 10、30:接合構造 12:柱 13、33、41:接合面 14、34:梁 16、22、38、42:梁主筋 18、40:補強筋 36:接合部 42:シース管

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】プレキャストコンクリート製の柱と、プレ
    キャストコンクリート製または現場打ちコンクリート製
    の梁との接合構造であって、前記柱は、前記梁に接合さ
    れる接合面と、該接合面から実質的に水平方向へ突出す
    る梁主筋と、前記接合面から実質的に水平方向へ突出す
    る補強筋であって前記梁主筋の水平突出長さより長い水
    平突出長さを有する補強筋とを備え、前記梁は、前記梁
    主筋に接合される梁主筋を有する、柱と梁との接合構
    造。
  2. 【請求項2】プレキャストコンクリート製の第1の梁
    と、プレキャストコンクリート製または現場打ちコンク
    リート製の第2の梁との接合構造であって、前記第1の
    梁は接合部を備え、該接合部は、前記第2の梁に接合さ
    れる第1の接合面と、該第1の接合面から実質的に水平
    方向へ突出する梁主筋と、前記第1の接合面から実質的
    に水平方向へ突出する補強筋であって前記梁主筋の水平
    突出長さより長い水平突出長さを有する補強筋と、前記
    第1の接合面と実質的に直交し、柱に接合される第2の
    接合面とを有し、前記第2の梁は、前記梁主筋に接合さ
    れる梁主筋を有する、梁と梁との接合構造。
  3. 【請求項3】前記接合部は、前記柱から上方向へ突出す
    る柱主筋を貫通させるシース管を有する、請求項(2)
    に記載の梁と梁との接合構造。
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