JPH07247632A - プレストレスト・プレキャストコンクリート梁及び同梁と柱の接合構造 - Google Patents
プレストレスト・プレキャストコンクリート梁及び同梁と柱の接合構造Info
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- JPH07247632A JPH07247632A JP2265094A JP2265094A JPH07247632A JP H07247632 A JPH07247632 A JP H07247632A JP 2265094 A JP2265094 A JP 2265094A JP 2265094 A JP2265094 A JP 2265094A JP H07247632 A JPH07247632 A JP H07247632A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 梁の製作が容易となるとともに小さな梁断面
であっても充分に長期荷重及び短期荷重に抵抗すること
が可能なプレストレスト・プレキャストコンクリート梁
及び同梁と柱の接合構造を提供することを目的とする。 【構成】プレストレスト・プレキャスト梁１０の長手方
向に沿って直線状に緊張力が付与されてアンボンドＰＣ
鋼棒１１が埋設されている。そして、柱との接合位置ま
で延在するように梁１０の長手方向の端面２ａから所定
長さだけアンボンドＰＣ鋼棒１１のアンカー部１１ｂが
突出している。このアンカー部を、接合位置に打設され
た接合部コンクリートＡ内部に定着されている。また、
接合部コンクリート内部に定着されたアンカー部の所定
位置には、アンカー部の水平方向の移動を拘束する突状
部１２が一体的に設けられている。
であっても充分に長期荷重及び短期荷重に抵抗すること
が可能なプレストレスト・プレキャストコンクリート梁
及び同梁と柱の接合構造を提供することを目的とする。 【構成】プレストレスト・プレキャスト梁１０の長手方
向に沿って直線状に緊張力が付与されてアンボンドＰＣ
鋼棒１１が埋設されている。そして、柱との接合位置ま
で延在するように梁１０の長手方向の端面２ａから所定
長さだけアンボンドＰＣ鋼棒１１のアンカー部１１ｂが
突出している。このアンカー部を、接合位置に打設され
た接合部コンクリートＡ内部に定着されている。また、
接合部コンクリート内部に定着されたアンカー部の所定
位置には、アンカー部の水平方向の移動を拘束する突状
部１２が一体的に設けられている。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、プレストレスト・プ
レキャストコンクリート梁及び同梁と柱の接合構造に関
する。
レキャストコンクリート梁及び同梁と柱の接合構造に関
する。
【０００２】
【従来の技術】近年、プレストレストコンクリート（以
下、ＰＣと略称する。）部材のプレキャスト（以下、Ｐ
Ｃａと略称する。）化は積極的に進められており、それ
に関係する工法も、建物用途、施工条件に応じて各種開
発されてきている。図９に示すものは、ボンド付きポス
トテンショニング方式により製作された従来のＰＣ・Ｐ
Ｃａ梁を示すものである。
下、ＰＣと略称する。）部材のプレキャスト（以下、Ｐ
Ｃａと略称する。）化は積極的に進められており、それ
に関係する工法も、建物用途、施工条件に応じて各種開
発されてきている。図９に示すものは、ボンド付きポス
トテンショニング方式により製作された従来のＰＣ・Ｐ
Ｃａ梁を示すものである。
【０００３】すなわち、この従来のＰＣ・ＰＣａ梁１
は、プレキャスト梁２の上部側の長手方向に沿って上端
主筋３が埋設され、下部側の長手方向に沿って下端主筋
４が埋設されているとともに、中央部に向かうに従い下
端側に位置するように曲線配置されたシース管が埋設さ
れている。そして、このシース管内にＰＣ鋼材５が挿入
されて矢印Ｔ方向の緊張力が付与された後、シース管内
部にグラウト剤が注入されることにより、プレキャスト
梁２にプレストレスが導入されたＰＣ・ＰＣａ梁として
製作される。ここで、緊張力が付与されているＰＣ鋼材
５の端部は、プレキャスト梁２の端面２ａと略面一で位
置する固定部５ａによって固定されている。
は、プレキャスト梁２の上部側の長手方向に沿って上端
主筋３が埋設され、下部側の長手方向に沿って下端主筋
４が埋設されているとともに、中央部に向かうに従い下
端側に位置するように曲線配置されたシース管が埋設さ
れている。そして、このシース管内にＰＣ鋼材５が挿入
されて矢印Ｔ方向の緊張力が付与された後、シース管内
部にグラウト剤が注入されることにより、プレキャスト
梁２にプレストレスが導入されたＰＣ・ＰＣａ梁として
製作される。ここで、緊張力が付与されているＰＣ鋼材
５の端部は、プレキャスト梁２の端面２ａと略面一で位
置する固定部５ａによって固定されている。
【０００４】そして、このＰＣ・ＰＣａ梁１は、長手方
向の両端部が鉄筋コンクリート柱（以下、ＲＣ柱と略称
する。）６、６の上端部に載置され、且つ一点鎖線で囲
まれた部分にコンクリートが打設されることにより、上
端主筋３の端部３ａ及び下端主筋４の端部４ａがアンカ
ー部として接合部コンクリートＡに定着されてＰＣ・Ｐ
Ｃａ梁と柱の接合構造が得られる。
向の両端部が鉄筋コンクリート柱（以下、ＲＣ柱と略称
する。）６、６の上端部に載置され、且つ一点鎖線で囲
まれた部分にコンクリートが打設されることにより、上
端主筋３の端部３ａ及び下端主筋４の端部４ａがアンカ
ー部として接合部コンクリートＡに定着されてＰＣ・Ｐ
Ｃａ梁と柱の接合構造が得られる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】ところで、建築物に
は、積載及び固定荷重等の長期荷重、地震荷重等の短期
荷重が作用する。そして、図９で示すＰＣ・ＰＣａ梁１
では、長期荷重が作用する場合にはＰＣ梁として機能
し、即ち、長期荷重に対して主にＰＣ鋼材５が抵抗し、
下端筋４はプレキャストコンクリート部２の亀裂防止の
みの機能を果たすようになっている。また、地震荷重等
の短期荷重が作用する場合には、図８で示すＰＣ・ＰＣ
ａ梁１はＲＣ梁として機能し、即ち、地震荷重等の短期
荷重に対しては上端筋３及び下端筋４が抵抗するように
なっている。
は、積載及び固定荷重等の長期荷重、地震荷重等の短期
荷重が作用する。そして、図９で示すＰＣ・ＰＣａ梁１
では、長期荷重が作用する場合にはＰＣ梁として機能
し、即ち、長期荷重に対して主にＰＣ鋼材５が抵抗し、
下端筋４はプレキャストコンクリート部２の亀裂防止の
みの機能を果たすようになっている。また、地震荷重等
の短期荷重が作用する場合には、図８で示すＰＣ・ＰＣ
ａ梁１はＲＣ梁として機能し、即ち、地震荷重等の短期
荷重に対しては上端筋３及び下端筋４が抵抗するように
なっている。
【０００６】しかしながら、従来のＰＣ・ＰＣａ梁１を
長期荷重及び短期荷重に対して同時に耐力が増大する梁
とするには、長期荷重と短期荷重に対して異なるメカニ
ズムで同時に抵抗させるために、上端筋３、下端筋４及
びＰＣ鋼材５の梁筋量を増大させた梁断面の大きな梁と
して製作しなければならない。したがって、従来のＰＣ
・ＰＣａ梁１は、その製作時間と製作コストの面で問題
があるとともに、大きな梁断面となることにより重量が
増大し、柱との接合の際の組立の際に多大な労力が費や
されているのが現状である。
長期荷重及び短期荷重に対して同時に耐力が増大する梁
とするには、長期荷重と短期荷重に対して異なるメカニ
ズムで同時に抵抗させるために、上端筋３、下端筋４及
びＰＣ鋼材５の梁筋量を増大させた梁断面の大きな梁と
して製作しなければならない。したがって、従来のＰＣ
・ＰＣａ梁１は、その製作時間と製作コストの面で問題
があるとともに、大きな梁断面となることにより重量が
増大し、柱との接合の際の組立の際に多大な労力が費や
されているのが現状である。
【０００７】この発明は、上記事情に鑑みてなされたも
のであり、梁の製作が容易となるとともに小さな梁断面
であっても充分に長期荷重及び短期荷重に抵抗すること
が可能なプレストレスト・プレキャストコンクリート梁
及び同梁と柱の接合構造を提供することを目的とする。
のであり、梁の製作が容易となるとともに小さな梁断面
であっても充分に長期荷重及び短期荷重に抵抗すること
が可能なプレストレスト・プレキャストコンクリート梁
及び同梁と柱の接合構造を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】この発明に係るプレスト
レスト・プレキャストコンクリート梁は、アンボンドＰ
Ｃ鋼棒がプレキャスト梁内部の少なくとも下端部に位置
し、且つ長手方向に沿って直線状に埋設され、当該アン
ボンドＰＣ鋼棒の緊張により前記プレキャスト梁に対し
てプレストレスが導入されているとともに、プレキャス
ト梁の長手方向の端面には、埋設されている前記アンボ
ンドＰＣ鋼棒の端部を所定長さだけ突出させたアンカー
部が設けられていることを特徴とする梁である。
レスト・プレキャストコンクリート梁は、アンボンドＰ
Ｃ鋼棒がプレキャスト梁内部の少なくとも下端部に位置
し、且つ長手方向に沿って直線状に埋設され、当該アン
ボンドＰＣ鋼棒の緊張により前記プレキャスト梁に対し
てプレストレスが導入されているとともに、プレキャス
ト梁の長手方向の端面には、埋設されている前記アンボ
ンドＰＣ鋼棒の端部を所定長さだけ突出させたアンカー
部が設けられていることを特徴とする梁である。
【０００９】また、このプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁は、プレキャスト梁の端面から突出する
アンカー部の所定位置に、突状部が一体的に設けられて
いることが望ましい。一方、この発明のプレストレスト
・プレキャストコンクリート梁と柱の接合構造は、プレ
ストレスト・プレキャストコンクリート梁と、この梁が
載置される柱の上端部との接合位置にコンクリートを打
設して接合されるプレストレスト・プレキャストコンク
リート梁と柱の接合構造において、プレストレスト・プ
レキャスト梁の長手方向に沿って直線状に緊張力が付与
されて埋設されているアンボンドＰＣ鋼棒を、前記柱と
の接合位置まで延在するように前記梁の長手方向の端面
から所定長さだけアンカー部として突出させ、当該アン
カー部を、接合位置に打設されたコンクリート内部に定
着させてなることを特徴とする構造である。
コンクリート梁は、プレキャスト梁の端面から突出する
アンカー部の所定位置に、突状部が一体的に設けられて
いることが望ましい。一方、この発明のプレストレスト
・プレキャストコンクリート梁と柱の接合構造は、プレ
ストレスト・プレキャストコンクリート梁と、この梁が
載置される柱の上端部との接合位置にコンクリートを打
設して接合されるプレストレスト・プレキャストコンク
リート梁と柱の接合構造において、プレストレスト・プ
レキャスト梁の長手方向に沿って直線状に緊張力が付与
されて埋設されているアンボンドＰＣ鋼棒を、前記柱と
の接合位置まで延在するように前記梁の長手方向の端面
から所定長さだけアンカー部として突出させ、当該アン
カー部を、接合位置に打設されたコンクリート内部に定
着させてなることを特徴とする構造である。
【００１０】また、この発明のプレストレスト・プレキ
ャストコンクリート梁と柱の接合構造は、接合部のコン
クリート内部に定着されたアンカー部の所定位置に、当
該アンカー部の水平方向の移動を拘束する突状部が一体
的に設けられていることが望ましい。
ャストコンクリート梁と柱の接合構造は、接合部のコン
クリート内部に定着されたアンカー部の所定位置に、当
該アンカー部の水平方向の移動を拘束する突状部が一体
的に設けられていることが望ましい。
【００１１】
【作用】この発明に係るプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁によれば、アンボンドＰＣ鋼棒がプレキ
ャスト梁内部の少なくとも下端部に位置し、且つ長手方
向に沿って直線状に埋設され、このアンボンドＰＣ鋼棒
の緊張により前記プレキャスト梁に対してプレストレス
が導入されて製作されており、従来のボンド付きポスト
テンショニング方式によるプレストレスト・プレキャス
トコンクリート梁の製作と比較して、シース管挿入作
業、シース管内へのグラウト剤の注入作業等が低減され
るので、梁の製作時間が大幅に短縮される。
コンクリート梁によれば、アンボンドＰＣ鋼棒がプレキ
ャスト梁内部の少なくとも下端部に位置し、且つ長手方
向に沿って直線状に埋設され、このアンボンドＰＣ鋼棒
の緊張により前記プレキャスト梁に対してプレストレス
が導入されて製作されており、従来のボンド付きポスト
テンショニング方式によるプレストレスト・プレキャス
トコンクリート梁の製作と比較して、シース管挿入作
業、シース管内へのグラウト剤の注入作業等が低減され
るので、梁の製作時間が大幅に短縮される。
【００１２】また、このプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁は、長期荷重及び短期荷重に対して同時
に耐力を増大するために、埋設されているアンボンドＰ
Ｃ鋼棒の端部をプレキャスト梁の長手方向の端面から所
定長さだけ突出するアンカー部を設けただけの構造なの
で、プレキャスト梁に埋設される梁筋量も増大せず、梁
断面も大型化しない。
コンクリート梁は、長期荷重及び短期荷重に対して同時
に耐力を増大するために、埋設されているアンボンドＰ
Ｃ鋼棒の端部をプレキャスト梁の長手方向の端面から所
定長さだけ突出するアンカー部を設けただけの構造なの
で、プレキャスト梁に埋設される梁筋量も増大せず、梁
断面も大型化しない。
【００１３】一方、この発明に係るプレストレスト・プ
レキャストコンクリート梁と柱の接合構造によれば、プ
レストレスト・プレキャストコンクリート梁の内部に直
線状に埋設され、且つ長手方向の端面から所定長さだけ
突出させたＰＣ鋼棒からなるアンカー部を、接合部コン
クリート内部に定着させることにより、プレキャスト梁
に埋設されている他の梁筋と同様に、ＰＣ鋼棒も地震荷
重時に梁の曲げ耐力を増大させる機能を持つ。したがっ
て、梁筋量が増大せず、梁断面も大型化しないプレスト
レスト・プレキャストコンクリート梁とすることができ
るとともに、長期荷重及び短期荷重に対して充分に抵抗
することが可能なプレストレスト・プレキャストコンク
リート梁と柱の接合構造が得られる。
レキャストコンクリート梁と柱の接合構造によれば、プ
レストレスト・プレキャストコンクリート梁の内部に直
線状に埋設され、且つ長手方向の端面から所定長さだけ
突出させたＰＣ鋼棒からなるアンカー部を、接合部コン
クリート内部に定着させることにより、プレキャスト梁
に埋設されている他の梁筋と同様に、ＰＣ鋼棒も地震荷
重時に梁の曲げ耐力を増大させる機能を持つ。したがっ
て、梁筋量が増大せず、梁断面も大型化しないプレスト
レスト・プレキャストコンクリート梁とすることができ
るとともに、長期荷重及び短期荷重に対して充分に抵抗
することが可能なプレストレスト・プレキャストコンク
リート梁と柱の接合構造が得られる。
【００１４】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。なお、図９に示した構成と同一部分には、同一
符号を付してその説明を省略する。図１に示すように、
本実施例のＰＣ・ＰＣａ梁１０は、アンボンドＰＣ鋼棒
１１が、プレキャスト梁２内部の少なくとも下端部に位
置しているとともに、その長手方向に沿って直線状に埋
設されている。そして、アンボンドＰＣ鋼棒１１に、矢
印Ｔ方向の緊張力が付与されることにより、プレキャス
ト梁２に対してプレストレスが導入されている。
明する。なお、図９に示した構成と同一部分には、同一
符号を付してその説明を省略する。図１に示すように、
本実施例のＰＣ・ＰＣａ梁１０は、アンボンドＰＣ鋼棒
１１が、プレキャスト梁２内部の少なくとも下端部に位
置しているとともに、その長手方向に沿って直線状に埋
設されている。そして、アンボンドＰＣ鋼棒１１に、矢
印Ｔ方向の緊張力が付与されることにより、プレキャス
ト梁２に対してプレストレスが導入されている。
【００１５】ここで、プレキャスト梁２の長手方向の端
面２ａには、緊張力が付与されたアンボンドＰＣ鋼棒１
１を固定している固定部１１ａが配設されているととも
に、アンボンドＰＣ鋼棒１１は、端面２ａから所定長さ
Ｌだけ突出してアンカー部１１ｂとして配設されてい
る。そして、このアンカー部１１ｂの先端部には、ナッ
ト（突状部）１２が一体的に配設されている。具体的に
は、アンカー部１１ｂの先端部外周に雄ねじが形成さ
れ、この雄ねじにナット１２が螺合されている。
面２ａには、緊張力が付与されたアンボンドＰＣ鋼棒１
１を固定している固定部１１ａが配設されているととも
に、アンボンドＰＣ鋼棒１１は、端面２ａから所定長さ
Ｌだけ突出してアンカー部１１ｂとして配設されてい
る。そして、このアンカー部１１ｂの先端部には、ナッ
ト（突状部）１２が一体的に配設されている。具体的に
は、アンカー部１１ｂの先端部外周に雄ねじが形成さ
れ、この雄ねじにナット１２が螺合されている。
【００１６】なお、アンカー部１１ｂに水道管用のシー
ルテープを巻いた後、ナット１２を螺合させて固定する
ことにより、後述する接合部コンクリートＡの打設時に
は、アンカー部１１ｂからナット１２が脱却しない。次
に、上記構成のＰＣ・ＰＣａ梁１０とＲＣ柱６との接合
構造を、図２から図４を参照して説明する。
ルテープを巻いた後、ナット１２を螺合させて固定する
ことにより、後述する接合部コンクリートＡの打設時に
は、アンカー部１１ｂからナット１２が脱却しない。次
に、上記構成のＰＣ・ＰＣａ梁１０とＲＣ柱６との接合
構造を、図２から図４を参照して説明する。
【００１７】図２及び図３に示すように、ＰＣ・ＰＣａ
梁１０は、端面２ａから突出するアンカー部１１ｂを接
合部コンクリートＡの打設位置に対応させてＲＣ柱６、
６の上端部に載置される。そして、一点鎖線で囲まれた
部分にコンクリートが打設されることにより、上端主筋
３の端部３ａ及び下端主筋４の端部４ａがアンカー部と
されて、接合部コンクリートＡ内部に定着される。それ
とともに、アンボンドＰＣ鋼棒１１のアンカー部１１ｂ
も接合部コンクリートＡ内部に定着された状態で、ＰＣ
・ＰＣａ梁１０とＲＣ柱６との接合構造が得られる。
梁１０は、端面２ａから突出するアンカー部１１ｂを接
合部コンクリートＡの打設位置に対応させてＲＣ柱６、
６の上端部に載置される。そして、一点鎖線で囲まれた
部分にコンクリートが打設されることにより、上端主筋
３の端部３ａ及び下端主筋４の端部４ａがアンカー部と
されて、接合部コンクリートＡ内部に定着される。それ
とともに、アンボンドＰＣ鋼棒１１のアンカー部１１ｂ
も接合部コンクリートＡ内部に定着された状態で、ＰＣ
・ＰＣａ梁１０とＲＣ柱６との接合構造が得られる。
【００１８】ここで、接合部コンクリートＡ内に定着さ
れたアンカー部１１ｂの突出長さＬは、以下のように設
定されている。すなわち、図４は、ＰＣ鋼棒が定着され
ているコンクリートの破壊状況を示す模式図である。Ｐ
Ｃ鋼棒が地震荷重により過大に水平方向に引っ張られる
と、図４に示すようにシアコーン破壊が生じる。シアコ
ーン破壊が起こる場合のＰＣ鋼棒の引張力は、破壊面が
４５度方向に進展するとした時のシアコーンの投影面積
（Ａｅ）によって決まる。コンクリート内に埋め込まれ
たスタッドなどの設計では、引き抜き耐力をこのＡｅに
√σB （σB ：コンクリートの圧縮強度）を乗じた値と
している。
れたアンカー部１１ｂの突出長さＬは、以下のように設
定されている。すなわち、図４は、ＰＣ鋼棒が定着され
ているコンクリートの破壊状況を示す模式図である。Ｐ
Ｃ鋼棒が地震荷重により過大に水平方向に引っ張られる
と、図４に示すようにシアコーン破壊が生じる。シアコ
ーン破壊が起こる場合のＰＣ鋼棒の引張力は、破壊面が
４５度方向に進展するとした時のシアコーンの投影面積
（Ａｅ）によって決まる。コンクリート内に埋め込まれ
たスタッドなどの設計では、引き抜き耐力をこのＡｅに
√σB （σB ：コンクリートの圧縮強度）を乗じた値と
している。
【００１９】この模式図で示した破壊形式を、本実施例
の接合部コンクリートＡに定着されたアンカー部１１ｂ
に適用してみると、計算上仮定するアンカー部１１ｂの
引張り力を鋼棒の降伏点荷重の１．５倍とすると、コン
クリート強度（σB ＝２４０〜６００kgf/cm2 ）や鋼棒
の降伏点及び直径によって異なるが、接合部コンクリー
トＡ内のアンカー部１１ｂの突出長さＬは、２００〜６
００mm程度に設定される。
の接合部コンクリートＡに定着されたアンカー部１１ｂ
に適用してみると、計算上仮定するアンカー部１１ｂの
引張り力を鋼棒の降伏点荷重の１．５倍とすると、コン
クリート強度（σB ＝２４０〜６００kgf/cm2 ）や鋼棒
の降伏点及び直径によって異なるが、接合部コンクリー
トＡ内のアンカー部１１ｂの突出長さＬは、２００〜６
００mm程度に設定される。
【００２０】次に、上述した構成のＰＣ・ＰＣａ梁１０
の作用と、このＰＣ・ＰＣａ梁１０とＲＣ柱との接合構
造の作用について説明する。先ず、本実施例のＰＣ・Ｐ
Ｃａ梁１０は、アンボンドＰＣ鋼棒１１がプレキャスト
梁２内部の少なくとも下端部に位置し、且つ長手方向に
沿って直線状に埋設され、このアンボンドＰＣ鋼棒１１
の緊張によりプレキャスト梁２に対してプレストレスが
導入されることにより製作され、図８で示した従来のボ
ンド付きポストテンショニング方式によるＰＣ・ＰＣａ
梁１と比較して、シース管挿入作業、シース管内へのグ
ラウト剤の注入作業等が低減されるので、梁の製作時間
が大幅に短縮される。
の作用と、このＰＣ・ＰＣａ梁１０とＲＣ柱との接合構
造の作用について説明する。先ず、本実施例のＰＣ・Ｐ
Ｃａ梁１０は、アンボンドＰＣ鋼棒１１がプレキャスト
梁２内部の少なくとも下端部に位置し、且つ長手方向に
沿って直線状に埋設され、このアンボンドＰＣ鋼棒１１
の緊張によりプレキャスト梁２に対してプレストレスが
導入されることにより製作され、図８で示した従来のボ
ンド付きポストテンショニング方式によるＰＣ・ＰＣａ
梁１と比較して、シース管挿入作業、シース管内へのグ
ラウト剤の注入作業等が低減されるので、梁の製作時間
が大幅に短縮される。
【００２１】また、本実施例のＰＣ・ＰＣａ梁１０は、
長期荷重及び短期荷重に対して同時に耐力を増大するた
めに、プレキャスト梁２内部に直線状に埋設されている
アンボンドＰＣ鋼棒１０の端部を端面２ａから所定長さ
Ｌだけ突出するアンカー部１１ｂを設けただけの構造と
しているので、プレキャスト梁２に埋設される上端主筋
３及び下端主筋４の梁筋量も増大せず、梁断面も大型化
しない。
長期荷重及び短期荷重に対して同時に耐力を増大するた
めに、プレキャスト梁２内部に直線状に埋設されている
アンボンドＰＣ鋼棒１０の端部を端面２ａから所定長さ
Ｌだけ突出するアンカー部１１ｂを設けただけの構造と
しているので、プレキャスト梁２に埋設される上端主筋
３及び下端主筋４の梁筋量も増大せず、梁断面も大型化
しない。
【００２２】一方、本実施例のＰＣ・ＰＣａ梁１０とＲ
Ｃ柱６の接合構造によれば、ＰＣ・ＰＣａ梁１０内部に
直線状に埋設され、且つ端面２ａから所定長さＬだけ突
出させたアンボンドＰＣ鋼棒１１からなるアンカー部１
１ｂを、接合部コンクリートＡ内部に定着させることに
より、プレキャスト梁２に埋設されている上端主筋３及
び下端主筋４のと同様に、アンボンドＰＣ鋼棒１１も地
震荷重時に梁の曲げ耐力を増大させる機能を持つので、
長期荷重及び短期荷重に対して充分に抵抗することが可
能なＰＣ・ＰＣａ梁と柱の接合構造が得られる。
Ｃ柱６の接合構造によれば、ＰＣ・ＰＣａ梁１０内部に
直線状に埋設され、且つ端面２ａから所定長さＬだけ突
出させたアンボンドＰＣ鋼棒１１からなるアンカー部１
１ｂを、接合部コンクリートＡ内部に定着させることに
より、プレキャスト梁２に埋設されている上端主筋３及
び下端主筋４のと同様に、アンボンドＰＣ鋼棒１１も地
震荷重時に梁の曲げ耐力を増大させる機能を持つので、
長期荷重及び短期荷重に対して充分に抵抗することが可
能なＰＣ・ＰＣａ梁と柱の接合構造が得られる。
【００２３】また、図５に示すものは、本発明の他の実
施例である。この実施例によれば、アンカー部１１ｂに
一体的に設けられているナット１２に、円板状の定着板
１３が固着されている。このようにナット１２に固着さ
れ定着板１３が、接合部コンクリートＡ内に定着される
ことにより、接合部コンクリートＡに対する支圧面積が
大きくなり、アンカー部１１ｂの接合部コンクリートＡ
からの抜け出しが防止される。
施例である。この実施例によれば、アンカー部１１ｂに
一体的に設けられているナット１２に、円板状の定着板
１３が固着されている。このようにナット１２に固着さ
れ定着板１３が、接合部コンクリートＡ内に定着される
ことにより、接合部コンクリートＡに対する支圧面積が
大きくなり、アンカー部１１ｂの接合部コンクリートＡ
からの抜け出しが防止される。
【００２４】したがって、本実施例のＰＣ・ＰＣａ梁と
柱の接合構造は、さらにアンボンドＰＣ鋼棒１１が地震
荷重時に梁の曲げ耐力を増大させる構造となり、長期荷
重及び短期荷重に対して充分に抵抗することができる。
なお、ＲＣ造、ＰＣ造、ＳＲＣ（鉄骨鉄筋コンクリー
ト）造の中低層建物の場合には、柱幅は、６００〜１４
００mm程度に設定されている。これにより、プレストレ
スレベルの小さいプレストレス鉄筋コンクリート（ＰＲ
Ｃ）造の梁などでは、柱幅の半分にアンカー部１１ｂの
突出長さＬを抑えることが十分可能となる。したがっ
て、図６に示すように、対向配置されたＰＣ・ＰＣａ梁
１０、１０の端部２ａから突出するアンカー部１１ｂは
相互にラップせず、ＰＣ・ＰＣａ梁１０の設置、組立を
容易とすることができる。
柱の接合構造は、さらにアンボンドＰＣ鋼棒１１が地震
荷重時に梁の曲げ耐力を増大させる構造となり、長期荷
重及び短期荷重に対して充分に抵抗することができる。
なお、ＲＣ造、ＰＣ造、ＳＲＣ（鉄骨鉄筋コンクリー
ト）造の中低層建物の場合には、柱幅は、６００〜１４
００mm程度に設定されている。これにより、プレストレ
スレベルの小さいプレストレス鉄筋コンクリート（ＰＲ
Ｃ）造の梁などでは、柱幅の半分にアンカー部１１ｂの
突出長さＬを抑えることが十分可能となる。したがっ
て、図６に示すように、対向配置されたＰＣ・ＰＣａ梁
１０、１０の端部２ａから突出するアンカー部１１ｂは
相互にラップせず、ＰＣ・ＰＣａ梁１０の設置、組立を
容易とすることができる。
【００２５】また、図７及び図８に示すように、プレキ
ャスト梁２の軽量化のために角形鋼管１４等の鋼管を埋
設したＰＣ・ＰＣａ梁１５であっても、上述した作用を
得ることができる。
ャスト梁２の軽量化のために角形鋼管１４等の鋼管を埋
設したＰＣ・ＰＣａ梁１５であっても、上述した作用を
得ることができる。
【００２６】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係るプ
レストレスト・プレキャストコンクリート梁によれば、
アンボンドＰＣ鋼棒がプレキャスト梁内部の少なくとも
下端部に位置し、且つ長手方向に沿って直線状に埋設さ
れ、このアンボンドＰＣ鋼棒の緊張により前記プレキャ
スト梁に対してプレストレスが導入されて製作されてお
り、従来のボンド付きポストテンショニング方式による
プレストレスト・プレキャストコンクリート梁の製作と
比較して、シース管挿入作業、シース管内へのグラウト
剤の注入作業等が低減されるので、梁の製作時間が大幅
に短縮される。
レストレスト・プレキャストコンクリート梁によれば、
アンボンドＰＣ鋼棒がプレキャスト梁内部の少なくとも
下端部に位置し、且つ長手方向に沿って直線状に埋設さ
れ、このアンボンドＰＣ鋼棒の緊張により前記プレキャ
スト梁に対してプレストレスが導入されて製作されてお
り、従来のボンド付きポストテンショニング方式による
プレストレスト・プレキャストコンクリート梁の製作と
比較して、シース管挿入作業、シース管内へのグラウト
剤の注入作業等が低減されるので、梁の製作時間が大幅
に短縮される。
【００２７】また、このプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁は、長期荷重及び短期荷重に対して同時
に耐力を増大するために、埋設されているアンボンドＰ
Ｃ鋼棒の端部をプレキャスト梁の長手方向の端面から所
定長さだけ突出するアンカー部を設けただけの構造なの
で、プレキャスト梁に埋設される梁筋量も増大せず、梁
断面も大きくならず、梁の軽量化を図ることができる。
コンクリート梁は、長期荷重及び短期荷重に対して同時
に耐力を増大するために、埋設されているアンボンドＰ
Ｃ鋼棒の端部をプレキャスト梁の長手方向の端面から所
定長さだけ突出するアンカー部を設けただけの構造なの
で、プレキャスト梁に埋設される梁筋量も増大せず、梁
断面も大きくならず、梁の軽量化を図ることができる。
【００２８】一方、この発明に係るプレストレスト・プ
レキャストコンクリート梁と柱の接合構造によれば、プ
レストレスト・プレキャストコンクリート梁の内部に直
線状に埋設され、且つ長手方向の端面から所定長さだけ
突出させたアンボンドＰＣ鋼棒からなるアンカー部を、
接合部コンクリート内部に定着させることにより、プレ
キャスト梁に埋設されている他の梁筋と同様に、ＰＣ鋼
棒も地震荷重時に梁の曲げ耐力を増大させる機能を持つ
ので、梁筋量を低減させ、梁断面も小さくして梁の軽量
化を図るとともに、長期荷重及び短期荷重に対して充分
に抵抗することが可能なプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁と柱の接合構造を得ることができる。
レキャストコンクリート梁と柱の接合構造によれば、プ
レストレスト・プレキャストコンクリート梁の内部に直
線状に埋設され、且つ長手方向の端面から所定長さだけ
突出させたアンボンドＰＣ鋼棒からなるアンカー部を、
接合部コンクリート内部に定着させることにより、プレ
キャスト梁に埋設されている他の梁筋と同様に、ＰＣ鋼
棒も地震荷重時に梁の曲げ耐力を増大させる機能を持つ
ので、梁筋量を低減させ、梁断面も小さくして梁の軽量
化を図るとともに、長期荷重及び短期荷重に対して充分
に抵抗することが可能なプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁と柱の接合構造を得ることができる。
【図１】この発明に係るプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁を示す正面図である。
コンクリート梁を示す正面図である。
【図２】この発明に係るプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁と柱の接合構造の内柱と梁の接合を示す
図である。
コンクリート梁と柱の接合構造の内柱と梁の接合を示す
図である。
【図３】この発明に係るプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁と柱の接合構造の外柱と梁の接合を示す
図である。
コンクリート梁と柱の接合構造の外柱と梁の接合を示す
図である。
【図４】この発明に係るＰＣ鋼棒が定着されているコン
クリートの破壊状況を示す模式図である。
クリートの破壊状況を示す模式図である。
【図５】この発明に係る他の実施例を示す図である。
【図６】この発明に係るプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁と柱の接合構造を中低層建物に適用した
場合を示す図である。
コンクリート梁と柱の接合構造を中低層建物に適用した
場合を示す図である。
【図７】この発明に係るプレストレスト・プレキャスト
コンクリート梁の他の実施例を示す正面図である。
コンクリート梁の他の実施例を示す正面図である。
【図８】図７において示したプレストレスト・プレキャ
ストコンクリート梁の側面図である。
ストコンクリート梁の側面図である。
【図９】従来のプレストレスト・プレキャストコンクリ
ート梁と柱の接合構造を示す正面図である。
ート梁と柱の接合構造を示す正面図である。
２ プレキャスト梁 ２ａ プレキャスト梁の長手方向の端面 ３ 上端筋 ３ａ 上端筋のアンカー部 ４ 下端筋 ４ａ 下端筋のアンカー部 １０ プレストレスト・プレキャストコンクリート梁 １１ アンボンドＰＣ鋼棒 １１ａ 固定部 １１ｂ アンボンドＰＣ鋼棒のアンカー部 １２ ナット（突状部） １３ 定着板 Ａ 接合部コンクリート Ｌ アンカー部の突出長さ
Claims (4)
- 【請求項１】 アンボンドＰＣ鋼棒がプレキャスト梁内
部の少なくとも下端部に位置し、且つ長手方向に沿って
直線状に埋設され、当該アンボンドＰＣ鋼棒の緊張によ
り前記プレキャスト梁に対してプレストレスが導入され
ているとともに、プレキャスト梁の長手方向の端面に
は、埋設されている前記アンボンドＰＣ鋼棒の端部を所
定長さだけ突出させたアンカー部が設けられていること
を特徴とするプレストレスト・プレキャストコンクリー
ト梁。 - 【請求項２】 請求項１記載のプレストレスト・プレキ
ャストコンクリート梁において、 プレキャスト梁の端面から突出するアンカー部の所定位
置には、突状部が一体的に設けられていることを特徴と
するプレストレスト・プレキャストコンクリート梁。 - 【請求項３】 プレストレスト・プレキャストコンクリ
ート梁と、この梁が載置される柱の上端部との接合位置
にコンクリートを打設して接合されるプレストレスト・
プレキャストコンクリート梁と柱の接合構造において、 プレストレスト・プレキャスト梁の長手方向に沿って直
線状に緊張力が付与されて埋設されているアンボンドＰ
Ｃ鋼棒を、前記柱との接合位置まで延在するように前記
梁の長手方向の端面から所定長さだけアンカー部として
突出させ、当該アンカー部を、接合位置に打設されたコ
ンクリート内部に定着させてなることを特徴とするプレ
ストレスト・プレキャストコンクリート梁と柱の接合構
造。 - 【請求項４】 請求項３記載のプレストレスト・プレキ
ャストコンクリート梁と柱の接合構造において、 接合部のコンクリート内部に定着されたアンカー部の所
定位置に、当該アンカー部の水平方向の移動を拘束する
突状部が一体的に設けられていることを特徴とするプレ
ストレスト・プレキャストコンクリート梁と柱の接合構
造。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2265094A JPH07247632A (ja) | 1994-01-19 | 1994-02-21 | プレストレスト・プレキャストコンクリート梁及び同梁と柱の接合構造 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP427694 | 1994-01-19 | ||
| JP6-4276 | 1994-01-19 | ||
| JP2265094A JPH07247632A (ja) | 1994-01-19 | 1994-02-21 | プレストレスト・プレキャストコンクリート梁及び同梁と柱の接合構造 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07247632A true JPH07247632A (ja) | 1995-09-26 |
Family
ID=26338026
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2265094A Pending JPH07247632A (ja) | 1994-01-19 | 1994-02-21 | プレストレスト・プレキャストコンクリート梁及び同梁と柱の接合構造 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07247632A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100373908B1 (ko) * | 2000-11-28 | 2003-02-26 | 현대산업개발 주식회사 | 외력을 받는 프리캐스트 콘크리트 디본딩 외벽 시스템 |
| JP2010150796A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Fuji Ps Corp | Ｐｃ梁接合部構造 |
| WO2014023948A1 (en) * | 2012-08-07 | 2014-02-13 | Laing O'rourke Plc | Joints between precast concrete elements |
| JP2016023533A (ja) * | 2014-07-24 | 2016-02-08 | 大成建設株式会社 | 接合構造 |
-
1994
- 1994-02-21 JP JP2265094A patent/JPH07247632A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100373908B1 (ko) * | 2000-11-28 | 2003-02-26 | 현대산업개발 주식회사 | 외력을 받는 프리캐스트 콘크리트 디본딩 외벽 시스템 |
| JP2010150796A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Fuji Ps Corp | Ｐｃ梁接合部構造 |
| WO2014023948A1 (en) * | 2012-08-07 | 2014-02-13 | Laing O'rourke Plc | Joints between precast concrete elements |
| JP2016023533A (ja) * | 2014-07-24 | 2016-02-08 | 大成建設株式会社 | 接合構造 |
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