JP2762906B2 - Ｒｃ架構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ＲＣ構造の柱を所定
間隔に構成し、この柱の仕口部にＲＣ構造の仕口ばりを
それぞれ突設し、かつこの仕口ばり間にＲＣ構造の大ば
りを架け渡すことにより構成されるＲＣ架構に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
大スパン建築物が盛んに建設されるようになり、これに
伴ってＲＣ構造の柱間に架け渡されるＲＣ構造の大ばり
として、大スパン化が可能な、いわゆるプレストレスト
コンクリート梁（以下「ＰＳ梁」という）が盛んに使用
されている。

【０００３】従来、この種のＰＳ梁は、梁のコンクリー
ト中に梁主筋とは別に、高強力鋼線を挿通し、これを緊
張して梁にプレストレスを導入することによって構成さ
れている。従来のＰＳ梁は以上説明したように構成さ
れ、特に梁にプレストレスを導入するために、梁主筋と
は別に高強力鋼線が挿通されているので、施工が煩雑に
なりやすく、特に定着部では高強力鋼線と梁主筋とが錯
綜して納まりが複雑になり、困難な施工を強いられる等
の課題があった。

【０００４】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、特に施工の省力化を可能にしたＲＣ架
構を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明に係るＲＣ架構
は、ＲＣ構造の柱を所定間隔に構成し、この柱の仕口部
にＲＣ構造の仕口ばりをそれぞれ突設し、かつこの仕口
ばり間にＲＣ構造の大ばりを架け渡すことにより構成さ
れるＲＣ架構に関し、前記仕口ばりの引っ張り側と圧縮
側、前記大ばりの引っ張り側と圧縮側に高強度異形ネジ
鉄筋からなる主筋をそれぞれ配筋すると共に、引っ張り
側の前記主筋を緊張し、その両端部を前記仕口ばりの端
部、前記大ばりの端部に充填式ねじ定着金具によってそ
れぞれ定着することにより前記仕口ばりおよび大ばりの
引っ張り側にプレストレスをそれぞれ導入し、かつ引っ
張り側の前記主筋と圧縮側の前記主筋とを前記仕口ばり
と前記大ばりとの接合部において継ぎ手金具によって接
合することにより構成されている。

【０００６】

【実施例】実施例１． 図１〜図４は、この発明の一実施例を示し、図におい
て、符号１はＲＣ構造の大ばり、２はこの大ばり１の両
端部に構成されたＲＣ構造の柱、３はこの柱２の仕口部
にそれぞれ突設され、大ばり１の端部を接合するＲＣ構
造の仕口ばり、４と５は大ばり１と仕口ばり３のコンク
リート中に引っ張り側と圧縮側にそれぞれ位置して配筋
された主筋、６はこの主筋４と５の端部を大ばり１の両
端部と仕口ばり３の両端部にそれぞれ定着する定着金
具、７は大ばり１と仕口ばり３との接合部において主筋
４と５を接合する継ぎ手金具、そして、符号８は主筋４
と５の周囲に配筋された剪断補強筋である。

【０００７】大ばり１と仕口ばり３は、完全な現場打ち
コンクリートで構成されているか、あるいは図３(a),
(b) に図示するような一部がプレキャストコンクリート
で構成された大ばりによって構成され、また主筋４と５
には高強度異形ネジ鉄筋が使用され、かつこの主筋４と
５のうち、引っ張り側に配筋された主筋４と５、すなわ
ち、大ばり１においては下端側主筋４（図１において
「実線で図示した主筋４」）、仕口ばり３においては上
端側主筋５（図１において「実線で図示した主筋
５」）、にそれぞれ緊張力が導入されることによって大
ばり１と仕口ばり３に所定大のプレストレスがそれぞれ
導入されている。

【０００８】この場合、大ばり１と仕口ばり３に作用す
る外力に対して、主筋４および５の引張力と、大ばり１
および仕口ばり３に導入されたプレストレスとで抵抗す
るように設計されるが、その分担する割合は建物の規模
や施工条件などを参酌して適宜決められる。したがっ
て、引っ張り側主筋４と５の全てが緊張される場合もあ
り、またその一部を緊張すればよい場合もある。

【０００９】また、図３(a),(b) に図示するようなプレ
キャストコンクリートからなる大ばりが使用される場
合、プレキャストコンクリートで成形された以外の部分
は現場打ちコンクリートによって構成されている。

【００１０】なお、大ばり１と仕口ばり３にプレストレ
スを導入するには、従来から一般に行われているプレテ
ンション方式、ポストテンション方式のいずれの方式で
も可能である。また、ポストテンョン方式の場合、主筋
４と５の端部を定着する定着金具６には、いわゆる充填
式ねじ定着金具が使用され、必要に応じて主筋４と５の
全長にわたってシース９が被着され、さらにこのシース
９に主筋４および５と大ばり１との一体化を図るために
モルタル等のグラウト材10が充填されている（図２参
照）。

【００１１】なお、定着金具６として、従来のナット・
定着板方式でもよいが、ゆるみ止め等の管理が必要であ
る。

【００１２】

【発明の効果】この発明は以上説明した構成からなり、
特に仕口ばりの引っ張り側と大ばりの引っ張り側に高強
度鉄筋からなる主筋をそれぞれ配筋し、この引っ張り側
の主筋を緊張すると共にその両端部を仕口ばりの端部、
大ばりの端部に充填式ねじ定着金具によってそれぞれ定
着して仕口ばりおよび大ばりの引っ張り側にプレストレ
スを導入することにより、仕口ばりと大ばりをＰＳコン
クリートばりとすることができ、かつ仕口ばりの圧縮側
と大ばりの圧縮側にも高強度鉄筋からなる主筋をそれぞ
れ配筋すると共に、この圧縮側の主筋と引っ張り側の主
筋とを継ぎ手金具によって接合することにより、仕口ば
りと大ばりとが一体に連続する鉄筋コンクリートばりと
もすることもでき、さらに引っ張り側の主筋と圧縮側の
主筋は大ばりと仕口ばりとの接合部において、継ぎ手金
具を介して接合されているので、主筋の接合部を曲げ応
力が０になる反曲点に設けることにより、ＲＣ構造とす
るための主筋とプレストレス構造とするための高強力鋼
線とを兼用させる等して無駄のないきわめて合理的な構
造設計ができ、また主筋端部の定着を充填式ねじ定着金
具で行う等することによりきわめて合理な施工が可能な
ＲＣ架構を提供できる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るＲＣ架構の一実施例を示す一部
側面図である。

【図２】図１におけるＡ部拡大図である。

【図３】(a) 及び(b) は図２におけるａ−ａ線断面図で
ある。

【図４】(a) は充填式ねじ定着金具の設置状態を示す定
着部の縦断面図、(b) は(a) における側面図である。

【符号の説明】 １…大ばり、２…柱、３…仕口ばり、4,5 …主筋、６…
定着金具、７…継ぎ手金具、8 …剪断補強筋、９…シー
ス、10…グラウト材。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＲＣ構造の柱を所定間隔に構成し、この
   柱の仕口部にＲＣ構造の仕口ばりをそれぞれ突設し、か
   つこの仕口ばり間にＲＣ構造の大ばりを架け渡すことに
   より構成されるＲＣ架構において、前記仕口ばりの引っ
   張り側と圧縮側、前記大ばりの引っ張り側と圧縮側に高
   強度異形ネジ鉄筋からなる主筋をそれぞれ配筋すると共
   に、引っ張り側の前記主筋を緊張し、その両端部を前記
   仕口ばりの端部、前記大ばりの端部に充填式ねじ定着金
   具によってそれぞれ定着することにより前記仕口ばりお
   よび大ばりの引っ張り側にプレストレスをそれぞれ導入
   し、かつ引っ張り側の前記主筋と圧縮側の前記主筋とを
   前記仕口ばりと前記大ばりとの接合部において継ぎ手金
   具によって接合してなることを特徴とするＲＣ架構。