JP7438065B2 - 柱構造 - Google Patents
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Description
特許文献1には、主筋とフープ筋とを備える柱が示されている。主筋は、機械式継手で接合される第1主筋と、柱の中央部分にて端部が突き合わされた第2主筋と、からなる。第1主筋は、第2主筋に比べて太径となっている。
特許文献2には、継手部で端部が突き合わされた状態で配される主筋と、2種類のせん断補強筋と、を備える柱が示されている。主筋は、機械式継手で接合される第1主筋と、機械式継手で接合されない第2主筋と、からなる。柱の継手部は、中子筋のみでせん断補強され、継手部以外の一般部は、フープ筋でせん断補強される。
第1の発明の柱構造は、プレキャストコンクリート造の柱構造(例えば、後述の柱梁架構1)であって、鉛直方向に延びるプレキャストコンクリート造の第1柱部材(例えば、後述の第1柱部材20A)と、前記第1柱部材の下端に接合されて鉛直方向に延びるプレキャストコンクリート造の第2柱部材(例えば、後述の第2柱部材20B)と、を備え、前記第1柱部材と前記第2柱部材とは、階高(例えば、後述の階高h)の略中間高さ位置で接合され、前記第1柱部材は、鉛直方向に延びる柱部(例えば、後述の柱部30)と、前記柱部の仕口部(例えば、後述の仕口部31)から水平方向に延びる梁部(例えば、後述の梁部40)と、を備え、前記柱部の仕口部には、前記梁部の内部を貫通してPC鋼材(例えば、後述のPC鋼材53)が挿通される貫通孔(例えば、後述のシース管50)が設けられることを特徴とする。
また、一部の柱主筋を自由端とした場合には、この自由端となる柱主筋は、床スラブに直交する方向に延びる鋼材として、柱部材の変形に抵抗できる。
また、第1柱部材の仕口部から梁部が延びていることで、建設現場ではなくPC工場等で仕口部にコンクリートが打設することで、仕口部と梁部との間に接合面を設けることなく、一体成型できる。よって、PC工場等の品質管理のもとで仕口部にコンクリートを打設して、高品質な柱構造を構築できる。
また、第1柱部材を略T字形状とした場合には、仕口部の上下に接合面がないので、接合箇所数を削減でき、柱構造の短工期化および高品質化が可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るプレキャストコンクリート造の柱構造が適用された鉄筋コンクリート造の建物の柱梁架構1を模式的に示す側面図である。
柱梁架構1は、柱10、梁11、および床12を含んで構成されている。この柱梁架構1は、鉛直方向に延びるプレキャストコンクリート造の第1柱部材20A、鉛直方向に延びるプレキャストコンクリート造の第2柱部材20B、プレキャストコンクリート造の梁部材21、およびプレキャストコンクリート造の床版22が複数連結されて構築されている。
第1柱部材20Aは、鉛直方向に延びる柱部30と、柱部30の中間高さに位置する仕口部31から水平方向に延びる梁部40と、を備える。この第1柱部材20Aは、仕口部31が中間高さに設けられており、側面視で略T字形状となっている。
柱部30の内部には、柱主筋32および帯筋33が設けられている。柱部30の下端面には、柱主筋32が接合される継手部34が設けられている。また、柱主筋32の上端部は、柱部30の上端面から上方に突出しており、柱主筋32の下端部は、継手部34に接合されている。
また、梁部40の内部には、貫通孔としてのシース管50が埋設されている。このシース管50の一端側は、柱部30の仕口部31の側面に形成された凹部51に連通しており、シース管50の他端側は、梁部40の先端面に連通している。
また、柱部30の側面には、梁部材21が係止するための顎部35が設けられている。
プレキャストコンクリート造の梁部材21は、水平方向に延びており、第1柱部材20Aの梁部40と同様の構成であるが、シース管は設けられていない。
すなわち、図5にも示すように、PC鋼材53を、柱部材20A、20Bのシース管50に挿通するとともに、支圧板54を柱部材20A、20Bの凹部51の底面に配置しておく。次に、PC鋼材53に緊張力を導入し、この状態で、PC鋼材53の両端部にナット55を締め付けて、このナット55および支圧板54を介して、PC鋼材53の両端部を凹部51の底面に係止させる。これにより、PC鋼材53に導入した緊張力が維持されて、互いに対向する第1柱部材20Aの梁部40と第2柱部材20Bの梁部40とが圧着接合される。
これにより、上下に位置する第1柱部材20Aの柱部30と第2柱部材20Bの柱部30とが一体化されて、柱梁架構1の柱10となる。よって、第1柱部材20Aの柱部30と第2柱部材20Bの柱部30とが連結されて柱が形成されるとともに、第1柱部材20Aの梁部40と第2柱部材20Bの梁部40とがPC鋼材53を介して圧着されて、プレストレスト梁が形成される。
なお、第1柱部材20Aと第2柱部材20Bとは、階高hの略中間の高さ位置で接合されている。階高の略中間の高さ位置では、曲げモーメントが小さくなるため、全ての柱主筋32を継手で接合する必要がない。よって、一部の柱主筋32Aは、階高の略中間の高さ位置で切断されており、自由端となっている(図3(b)中×印で示す)。
(1)プレキャストコンクリート造の第1柱部材20Aと第2柱部材20Bとを、階高hの略中間高さ位置で接合した。階高hの略中間高さ位置では、柱に作用する曲げモーメントが小さくなるため、柱主筋32を全て継手接合する必要がなく、一部の柱主筋32Aを継手接合されない自由端とすることができ、設計自由度の高い鉄筋コンクリート造の柱梁架構1を構築できる。
また、自由端となる柱主筋32Aは、床12に直交する方向に延びる鋼材として、柱部材20Aの変形に抵抗できる。
また、第1柱部材20Aの仕口部31から梁部40が延びており、建設現場ではなくPC工場等で仕口部31と梁部40に同時にコンクリートを打設することで、仕口部31と梁部40との間に接合面を設けることなく、一体に成型できる。また、建設現場ではなくPC工場等で仕口部31にコンクリートを打設するから、仕口部31内のコンクリート材料のばらつきを低減して、仕口部31が高品質となる。よって、高品質な柱梁架構1を構築できる。
図6は、本発明の第2実施形態に係る第1柱部材60の斜視図である。
本実施形態では、第1柱部材60が上下に二分割されている点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、第1柱部材60は、仕口部31が上端に設けられて側面視で略L字形状の下側部材61と、下側部材61の仕口部31の上面に接合されて鉛直方向に延びる上側部材62と、で構成される。
下側部材61は、鉛直方向に延びる柱部30と、柱部30の上端に位置する仕口部31から水平方向に延びる梁部40と、を備える。上側部材62は、第1実施形態の柱部30と同様の構成である。
本実施形態によれば、上述の(1)と同様の効果がある。
図7は、本発明の第3実施形態に係る第1柱部材70の斜視図である。
本実施形態では、第1柱部材70に第2梁部71が設けられている点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、第1柱部材70は、鉛直方向に延びる柱部30と、柱部30の中間高さに位置する仕口部31から水平方向に延びる梁部40と、柱部30の仕口部31から梁部40と交差する方向に延びるプレキャストコンクリート造の第2梁部71と、を備える。この第2梁部71は、梁部40と同様の構成である。
(3)第1柱部材70の仕口部31の側面に、梁部40と交差する方向に延びるプレキャストコンクリート造の第2梁部71を設けた。よって、第1柱部材70の仕口部31に複数の梁部40、71を容易に設けることができる。
〔第4実施形態〕
図8は、本発明の第4実施形態に係る第1柱部材80の斜視図である。
本実施形態では、第1柱部材80に接続鉄筋81が設けられている点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、第1柱部材80は、鉛直方向に延びる柱部30と、柱部30の中間高さに位置する仕口部31から水平方向に延びる梁部40と、柱部30の仕口部31から梁部40と交差する方向に突出する接続鉄筋81と、を備える。この接続鉄筋81は、図示しない梁に接続される。
本実施形態によれば、上述の(1)~(3)と同様の効果がある。
例えば、上記の各実施形態では、第1柱部材20Aの梁部40のシース管50にPC鋼材53を挿入し、このPC鋼材53に緊張力を導入してプレストレスト梁としたが、PC鋼材53に緊張力を導入せず、PC鋼材53を梁主筋とする鉄筋コンクリート梁としてもよい。この場合、第1柱部材の仕口部内では、支圧板54の代わりに、支圧板54と同位置に定着板を設置する。
20A、60、70、80…第1柱部材 20B…第2柱部材
21…梁部材 22…床版
30…柱部 31…仕口部 32、32A…柱主筋 33…帯筋
34…継手部 35…顎部
40…梁部 41…梁主筋 42…あばら筋 43…定着板
50…シース管(貫通孔) 51…凹部 53…PC鋼材
54…支圧板 55…ナット
61…下側部材 62…上側部材 71…第2梁部 81…接続鉄筋
Claims (3)
- プレキャストコンクリート造の柱構造であって、
鉛直方向に延びるプレキャストコンクリート造の第1柱部材と、前記第1柱部材の下端に接合されて鉛直方向に延びるプレキャストコンクリート造の第2柱部材と、を備え、
前記第1柱部材と前記第2柱部材とは、階高の略中間高さ位置で接合され、
前記第1柱部材は、鉛直方向に延びる柱部と、前記柱部の仕口部から水平方向に延びる梁部と、を備え、
前記梁部の梁主筋の一端側は、定着板が設けられて、前記仕口部内に定着され、
前記梁部の梁主筋の他端側は、定着板が設けられて、前記梁部の先端部に定着され、
前記柱部の仕口部および前記梁部には、貫通孔が設けられ、
互いに突き合わせて配置された前記第1柱部材の梁部同士は、前記貫通孔にPC鋼材が挿通されて、前記PC鋼材に緊張力が導入されることで、圧着接合されることを特徴とするプレキャストコンクリート造の柱構造。 - 前記柱部の仕口部の側面には、前記梁部と交差する方向に延びるプレキャストコンクリート造の第2梁部、または、外側に突出する接続鉄筋が設けられることを特徴とする請求項1に記載の柱構造。
- 前記第1柱部材は、前記仕口部が中間高さに設けられて側面視で略T字形状である、または、前記仕口部が上端に設けられて側面視で略L字形状の下側部材と、前記下側部材の仕口部の上面に接合されて鉛直方向に延びる上側部材と、で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の柱構造。
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