JP2021004403A - めっき鋼材、およびめっき鋼材の製造方法 - Google Patents

めっき鋼材、およびめっき鋼材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】めっき層として表層めっき層及び中間めっき層を有するめっき鋼材であって、過酷な耐食性環境に対する耐食性に優れためっき鋼材およびその製造方法を提供すること。【解決手段】鋼材と、鋼材の表面上に配され、Fe濃度が3質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される表層めっき層と、前記鋼材と前記表層めっき層との間に配され、Fe濃度が3質量%以上30質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される、層厚が3μm以上の中間めっき層と、を含むめっき層と、を有し、表層めっき層及び中間めっき層の合計の層厚が、3μm以上300μm未満であり、めっき層の平均化学組成が所定の平均化学組成、中間めっき層のMg量が所定のMg量を有するめっき鋼板およびその製造方法。【選択図】図1

Description

本開示は、めっき鋼材、およびめっき鋼材の製造方法に関する。
例えば、土木・インフラ分野においては、鋼構造物が使用される。鋼構造物は、海岸地域、融雪塩を散布する地域等、腐食環境が厳しい環境に曝される。そのため、長期に渡り腐食を抑え、鋼構造物を維持するために、ステンレス鋼材が使用されている。
一方、ステンレス鋼材は、Cr、Ni等の高コスト合金元素を使用する。そのことから、ステンレス鋼材を利用した鋼構造物の設置は、高コストであることが課題である。そのため、ステンレス鋼材の代用としてプレめっき製品(例えば、Zn−Al−Mg系めっき鋼材)が使用されるようになってきている。
しかし、大型の鋼構造物、パイプ形状の鋼構造物等は、1)溶接によりめっき層が消失すること、2)切断端面部からの腐食等により、めっき層が消失する部分が存在すること、3)ボルト、ワッシャー等の鋼材部品等はそもそも板材からの製造が困難である。
そのことから、このような部材については、後めっき処理(いわゆる、どぶ漬けめっき処理)が施される。
後めっき処理としては広く、溶融Znめっき処理が使用されているが、耐食性を向上させるため、Zn−Al−Mg系めっき処理も使用されるようになっている。
一方、Zn以外の溶融めっき処理による後めっき処理(Zn−Al−Mg系めっき処理等)は、Al、Mg等のめっき成分が、フラックスとの反応性の阻害、何らかの密着性不良が引き起こされるため、1段目に、鋼材に溶融Znめっき処理を施した上で、2段目に、Zn−Al−Mg系めっき浴に鋼材を浸漬して、後めっきする2段めっき法が採用される。
例えば、特許文献1〜3等に示される2段めっき手法などは、現在、主に使用されるZn−Al−Mg系めっきの代表的な2段めっき手法である。
特開昭61−295361号 特開平11−117052号 特開2017−8390号
ここで、2段めっき法の長所は、通常のめっき法(1段めっき法)と比較すると、2段目のめっき処理に使用されるめっき浴の成分制約が少なくなり、様々なめっき浴を試行錯誤することが可能となることである。
一方、2段めっき法の短所は、1段目のめっき処理に形成しためっき層が何らかの形で、2段目のめっき処理時のめっき層形成反応に関与することである。それにより、めっき層の成分バランス、組織の作り込みの判断が、単純な1段めっきとは異なる。そして、総合的に優れためっき層の構造を確認する必要があると共に、その作り込むための製造方法を明らかにしなければならない。
このような背景から、Zn−Al−Mg系めっき浴の2段目のめっき処理においても、反応が複雑になることを回避するため、1段目のめっき処理と比較的成分の近いめっき浴を採用され、Al、Mgといった合金成分濃度も低く抑えられることが多い。
そのため、2段めっき法による後めっき鋼材(つまり、表層めっき層及び中間めっき層を有するめっき鋼材)では、耐食性の改善の余地があり、市場で要求される、過酷な耐食性環境(海岸地域、融雪塩等を散布する地域等)に対する耐食性の向上が求められているのが現状である。
そこで、本発明の課題は、めっき層として表層めっき層及び中間めっき層を有するめっき鋼材であって、過酷な耐食性環境に対する耐食性に優れためっき鋼材を提供することである。
上記課題を解決する手段は、次の態様を含む。
(1)鋼材と、
前記鋼材の表面上に配され、Fe濃度が3質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される表層めっき層と、前記鋼材と前記表層めっき層との間に配され、Fe濃度が3質量%以上30質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される、層厚が3μm以上の中間めっき層と、を含むめっき層と、 を有し、
前記表層めっき層及び前記中間めっき層の合計の層厚が、8μm以上300μm未満であり、
前記めっき層の平均化学組成が、質量%で、
Zn:65.00%超、
Al:6.5%超〜22.5%未満、
Mg:3.0%超〜12%未満、
Sn:0%〜4.00%未満、
Bi:0%〜0.30%未満、
In:0%〜0.30%未満、
Ca:0.05%〜1.00%未満、
Y :0%〜0.30%未満、
La:0%〜0.30%未満、
Ce:0%〜0.30%未満、
Si:0%〜1.00%未満、
Cr:0%〜0.25%未満、
Ti:0%〜0.25%未満、
Ni:0%〜0.25%未満、
Co:0%〜0.25%未満、
V :0%〜0.25%未満、
Nb:0%〜0.25%未満、
Cu:0%〜0.25%未満、
Mn:0%〜0.25%未満、
Fe:0%〜15.0%未満、
Sr:0%〜0.50%未満、
Sb:0%〜0.50%未満、
B :0%〜0.50%未満、及び
不純物からなり、
前記中間めっき層のMg濃度が、質量%で3.0%超である、めっき鋼材。
(2)Cu−Kα線を使用し、X線出力が40kV及び150mAである条件で測定した、前記表層めっき層の表面のX線回折像において、
強度和I(Zn)=I(36.30°強度(cps))+I(38.99°強度(cps))+I(43.23°強度(cps))+I(54.34°強度(cps))+I(70.06°強度(cps))、
強度和I(Al)=I(38.47°強度(cps))+I(44.74°強度(cps))+I(65.14°強度(cps))、
強度和I(MgZn)=I(19.67°強度(cps))+I(20.79°強度(cps))+I(22.26°強度(cps))+I(40.47°強度(cps))+I(41.31°強度(cps))+I(45.378°強度(cps))、
強度和Io=I(Zn)+I(Al)+I(MgZn
としたとき、下記式1〜下記式3を満たす(1)に記載のめっき鋼材。
式1:I(Zn)/Io≦0.70、
式2:0.05≦I(Al)/Io≦0.30
式3:0.25≦I(MgZn)/Io≦0.70
(3)前記表層めっき層のSn濃度が、質量%で、0.03〜2.00%未満であり、
Cu−Kα線を使用し、X線出力が40kV及び150mAである条件で測定した、前記表層めっき層の表面のX線回折像において、強度I(Mg−Sn金属間化合物)=I(22.8°強度(cps))が、1000cps以上、又は回折ピークのない11°〜12°における平均強度をバックグラウンド強度(cps)とした際に、対し500cps以上高い、(1)又は(2)に記載のめっき鋼材。
(4)前記めっき層は、前記鋼材と前記中間めっき層との間に配され、Fe濃度が30質量%以上85質量%未満)で、層厚1μm以上のAl−Fe合金層から構成される界面合金層を有する、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のめっき鋼材。
(5)請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のめっき鋼材の製造方法であって、
質量%で、
Zn:65.0%超、
Al:12.0%超〜25.0%、
Mg:5.0%超〜8.0%未満、
Sn:0〜5.00%未満、
Bi:0%〜1.0%未満、
In:0%〜0.50%未満、
Ca:0.10%〜3.00%未満、
Y :0%〜0.50%未満、
La:0%〜0.50%未満、
Ce:0%〜0.50%未満、
Si:0%〜1.00%未満、
Cr:0%〜0.25%未満、
Ti:0%〜0.25%未満、
Ni:0%〜0.25%未満、
Co:0%〜0.25%未満、
V :0%〜0.25%未満、
Nb:0%〜0.25%未満、
Cu:0%〜0.25%未満、
Mn:0%〜0.25%未満、
Fe:0%〜5.0%未満、
Sr:0%〜0.50%未満、
Sb:0%〜0.50%未満、
B :0%〜0.50%未満、及び
不純物からなる化学組成を有し、かつ浴温度が浴融点+20℃(ただし、少なくとも420℃超)〜520℃の溶融Zn−Al−Mg合金めっき浴に、層厚30μm以上のめっき層を有するめっき鋼基材であって、Znめっき鋼基材、Zn−Al合金めっき鋼基材、及びZn−Al−Mg合金めっき鋼基材から選択されるめっき鋼基材を、20秒以上240秒未満浸漬した後、引き上げる工程と、
前記めっき鋼基材を前記溶融Zn−Al−Mg合金めっき浴から引き上げた直後から380℃まで、60秒以内で冷却する工程と、
を有するめっき鋼材の製造方法。
(6)前記めっき鋼基材のめっき層が、Fe濃度が3質量%以上80質量%未満で、層厚10μm以上のZn−Fe合金層から構成される界面合金層を有する、(5)に記載のめっき鋼材の製造方法。
本発明によれば、めっき層として表層めっき層及び中間めっき層を有するめっき鋼材であって、過酷な耐食性環境に対する耐食性に優れためっき鋼材を提供できる。
本発明のめっき鋼材のめっき層の断面の一例を示すSEMの反射電子像(倍率100倍)を示す。 本発明のめっき鋼材の中間めっき層の断面の一例を示すSEMの反射電子像(倍率500倍)を示す。なお、図2は、図1に示すめっき層のうち、中間めっき層の白線で囲まれた領域の拡大断面写真である。 従来のめっき鋼材のめっき層の断面の一例を示すSEMの反射電子像(倍率2000倍)を示す。
以下、本発明の一例について説明する。
なお、本明細書において、化学組成の各元素の含有量の「%」表示は、「質量%」を意味する。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
「〜」の前後に記載される数値に「超」または「未満」が付されている場合の数値範囲は、これら数値を下限値または上限値として含まない範囲を意味する。
化学組成の元素の含有量は、元素濃度(例えば、Zn濃度、Mg濃度等)と表記することがある。
「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
「X%又はX+元素記号(例えば19%Al、又は19Al)」との表記は、対象となる元素濃度がX%(例えばAl濃度が19%)であることを示す。なお、「X%又はX+元素記号」と共に表記されているZn濃度は、残部濃度である。例えば、「Zn−10Al−5.1Mg−0.1Ca」又は「Zn−10%Al−5.1%Mg−0.1%Ca」と表記されている場合、Al濃度=10%、Mg濃度=5.1%、Ca濃度=0.1%、Zn濃度=残部を意味する。
「層の断面」とは、層を厚さ方向に沿って切断した断面を示す。
「層の表面」とは、層の厚さ方向に対向する面であって、鋼板外側を向いている面を示す。
本発明のめっき鋼材は、鋼材と、めっき層と、を有する。
めっき層は、鋼材の表面上に配され、Fe濃度が3質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される表層めっき層と、鋼材と表層めっき層との間に配され、Fe濃度が3質量%以上30質量%未満で、Al−Fe金属間化合物相を含むZn−Al−Mg合金層から構成される、層厚が3μm以上の中間めっき層と、を含む。
そして、表層めっき層及び中間めっき層の合計の層厚は、8μm以上300μm未満であり、表層めっき層及び中間めっき層を合わせた平均化学組成、並びに、表層めっき層の平均化学組成は、後述する所定の平均化学組成とし、中間めっき層のMg濃度が、質量%で3%超としている。
本発明のめっき鋼材は、上記構成により、めっき層として表層めっき層及び中間めっき層を有するめっき鋼材であって、過酷な耐食性環境(海岸地域、融雪塩等を散布する地域等)に対する耐食性に優れためっき鋼材となる。
ここで、本発明のめっき鋼材は、次の知見により見出された。
従来、2段めっき法による後めっき鋼材(つまり、めっき層として表層めっき層及び中間めっき層を有するめっき鋼材)としては、めっき層の厚みを増大させた溶融Zn後めっき鋼材、2段目のめっき処理により、Zn−Al−Mg系めっき層(例えば、Zn−5%Al−1%Mgのめっき層)を形成した後めっき鋼材が使用されてきた。
これらの後めっき鋼材の耐食性を評価するためには、一般的に塩水噴霧試験(SST)腐食促進試験が使用されている。市場の評価としては、めっき層の層厚50μmで10000時間を耐久することが高耐食性の一つの指標となっている。めっき層の耐食性が高ければ、めっき層を薄くでき、また、めっき層を厚くすれば、より長期間の防錆期間を得ることができる。
そして、より高い耐食性を有するめっき層の成分構成および構造を、後めっき処理(2段目のめっき処理)で付与できれば、Zn−Al−Mg系めっき処理による後めっき鋼材の適用先を拡張することが可能でとなる。それにより、これら後めっき鋼材が、従来、ステンレス鋼材等が使用されてきた部分等にも適用でき、ひいてはコスト低減を実現できることになる。
そこで、発明者らが、過酷な耐食性環境(海岸地域、融雪塩等を散布する地域等)に対する耐食性について検討したところ、次の知見を得た。
なお、発明者らは、過酷な耐食性環境(海岸地域、融雪塩等を散布する地域等)に対する、後めっき鋼材の最低限の耐久するレベルとして、層厚25μm以内で6000時間、層厚50μm以内で11000時間、層厚100μm以内で21000時間以上(すなわち、めっき厚み×200時間+1000時間)のSSTにおいて赤錆発生無を合格達成基準に基づいて検討した。
まず、2段めっき法を実施するための条件として、少なくとも、層厚10μm以上のめっき層(例えば、どぶ漬け溶融Znめっき層(ζ相として5μm以上))を1段目のめっき処理で形成する必要がある。
1段目のめっき層の厚みが十分でないと、2段めっき処理後に、不めっきを生じる。または、2段めっき法により、めっき層全体、又は、中間めっき層が十分な厚みで形成できない。ζ相が、中間めっき層へ変化するため、1段目のめっき層には、あらかじめ、ζ相が形成していた方が好ましい。
そのため、めっき層の化学成分又は組織が適合しても、下記合格条件に至らない後めっき鋼材になる。ただし、めっき層全体の厚さが厚すぎると、2段目のめっき処理の成分が変化しやすくなり、所定のめっき成分内に収まらない場合や、2段目のめっき処理後の外観が極端に悪くなりやすくなるため、下記合格条件に至らない後めっき鋼材になる。
つまり、2段目のめっき処理は、1段目のめっき層(例えば溶融Znめっき層)との反応が関与することから、浸漬時間、浸漬温度を適切に管理し、2段目のめっき処理で、めっき層全体の厚さを適切な範囲としつつ、1段目のめっき層の痕跡を適切に残すようにする。
具体的には、1段目のめっき層の痕跡として、Al−Fe金属間化合物を含む層厚3μm以上のZn−Al−Mg合金層から構成される中間めっき層を層厚3μm以上で形成すると共に、めっき層全体の厚さ(表層めっき層及び前記中間めっき層の合計の層厚)を8μm以上300μm未満とすることで、過酷な耐食性環境に対する耐食性が高まる。
つまり、2段めっき法によるめっき層として、表層めっき層として、2段目のめっき浴に由来した組織のZn−Al−Mg合金層と、中間めっき層として、Al−Fe金属間化合物を含む組織としたZn−Al−Mg合金層と、からなり、かつ適切な層厚の複合層とすることで、最表めっき層および中間めっき層ともに高い耐食性を発揮できる。
一方、2段めっき法によるめっき層のうち、表層めっき層の化学組成は、1段目のめっき層(例えば、どぶ漬けZnめっき層)と、2段目のめっき処理で使用するめっき浴(以下「2段目のめっき浴」とも称する)の化学成分との影響を受ける。すなわち、1段目のめっき層が形成されためっき鋼基材として、めっき層が厚いめっき鋼基材を使用すると、2段目のめっき浴の化学成分よりも、めっき層全体の化学組成は、Zn濃度が高くなる。また、鋼材(地鉄)よりFeが最大15%程度拡散するため、Al、Mgといった主要元素濃度は低くなる傾向にある。
また、例えば、1段目のめっき層として溶融Znめっき層が形成された溶融Znめっき鋼基材を2段目のめっき浴に浸漬すると、溶融Znめっき層の表層のη相が溶解すると同時に、溶融Znめっき層の下層(ζ相、δ相)は残存し、表層のη相が2段目のめっき浴の組成のめっき層に置き換わる。それにより、2段目のめっき層を形成することが可能である。2段目のめっき層の表層めっき層は、2段目のめっき浴の浴組成に近いめっき層となるが、浸漬時に、溶融Znめっき層の下層(ζ相、δ相)も変性して、2段目のめっき浴中のAl、地鉄から拡散するFeと反応を繰り返し、中間めっき層へと変化する。中間めっき層は、Alと地鉄成分が反応することから、表層めっき層よりも、これらの成分濃度が高い
それらの傾向からすると、2段めっき法によるめっき層では、Zn濃度の変動はあまり見られず、Al、Mg等の主要元素濃度は、2段目のめっき浴の成分より最低10%程度の濃度減少が起こり、最大50%程度の成分減少が起こりうる。
したがって、めっき層全体の化学組成においては、2段目のめっき浴として、Al濃度およびMg濃度が高いめっき浴を用いたとしても、めっき層全体としてみれば、Al濃度およびMg濃度が低い場合がある。また、いうまでもなく、めっき層の表層の化学組成の方が、2段目のめっき浴の化学組成に近く、鋼材(地鉄)の界面に近いほど、Fe成分が多く、2段目のめっき浴の化学組成と異なり、組成分布の差が大きいめっき層となる。つまり、表層めっき層と中間めっき層とで、化学組成が異なり、組成分布の差が大きいめっき層となる。
これらの成分差を生じることで、本来、1段めっき鋼材、単層のめっき鋼材では発揮できない、めっき層の厚み、複雑な腐食パスを有する高い耐食性が付与できる。
そして、従来、Zn−Al−Mg系めっき浴の2段目のめっき処理では、反応が複雑になることを回避するため、1段目のめっき処理と比較的成分の近いめっき浴を採用し、Al、Mgといった合金成分濃度も低く抑えられる。それに対して、従来の2段目のめっき処理に使用するZn−Al−Mg系めっき浴に比べ、Al濃度およびMg濃度が比較的高い成分系にした方が、耐食性が高まる。
つまり、2段めっき法によるめっき層全体の組成(表層めっき層及び中間めっき層を合わせた平均化学組成)を、従来の2段めっき法によるめっき層全体の組成に比べ、Al濃度およびMg濃度が比較的高い成分系にした方が、過酷な耐食性環境に対する耐食性が高まる。
2段めっき法によるめっき層のうち、一般腐食環境では、耐食性の主体は、Zn濃度が低く、Al濃度、Mgの濃度が高い最表めっき層が担い、腐食量を抑制しつつ、さらに、過酷な腐食環境下では、中間めっき層においても比較的高いMg濃度とすると、MgZn相が相当量存在させることができるため、さらなる高い耐食性を発揮できる
以上から、本発明のめっき鋼材は、めっき層として表層めっき層及び中間めっき層を有するめっき鋼材であって、過酷な耐食性環境(海岸地域、融雪塩等を散布する地域等)に対する耐食性に優れためっき鋼材となることが見出された。
また、発明者らは、過酷な耐食性環境に対する耐食性が付与された、表層めっき層及び中間めっき層の化学組成及び組織についても、詳細に検討した。
まず、図1に、本発明のめっき鋼材のめっき層の断面の一例を示すSEMの反射電子像(倍率100倍)を示す。また、図2に、本発明のめっき鋼材の中間めっき層の断面の一例を示すSEMの反射電子像(倍率500倍)を示す。なお、図2は、図1に示すめっき層のうち、中間めっき層の白線で囲まれた領域の拡大断面写真である。
一方、図3に、従来のめっき鋼材のめっき層の断面の一例を示すSEMの反射電子像(倍率2000倍)を示す。
図1〜図3中、SLは表層めっき層、MLは中間めっき層、ILは界面合金層、Stは鋼材(地鉄)、ZnはZn相、AlはAl相、MgZnはMgZn相、Al−ZnはAl−Zn二元系共晶相、Al−FeはAl−Fe金属間化合物相、Zn(MgSn)は、Zn相中に存在するMg−Sn金属間化合物相(例えばMgSn相)を示す。
また、図3中、表層めっき層において、白色を呈する領域がZn相、灰色を呈する領域がAl相及びMgZn相の少なくとも一方が存在する領域である。
図1に示すめっき鋼材は、めっき鋼基材としてJIS H 8641:2007で規格化されたHDZ45(溶融Znめっき鋼板)に、めっき浴(Zn−Al−Mg合金めっき浴)による2段目のめっき処理を施しためっき鋼材(以下「開発材2段めっき鋼材」とも称する)である。
一方、図3に示す比較めっき鋼材は、めっき鋼基材としてJIS H 8641:2007で規格化されたHDZ45(溶融Znめっき鋼板)に、めっき浴(組成:Zn−5%Al−1%Mg)による2段目のめっき処理を施しためっき鋼材(以下「比較2段めっき鋼材」とも称する)である。この比較2段めっき鋼材は、市場で最も高耐食性とされるめっき鋼材である。
開発2段めっき鋼材は、比較2段めっき鋼材に比べ、表層めっき層のZn濃度が低く、Al濃度、Mgの濃度が高い。つまり、Zn相の割合が低く、Al相およびMgZn相(特にMgZn相)が多い。
開発2段めっき鋼材は、1段目のめっき層(溶融Znめっき層)の痕跡を残す中間めっき層にも、Mg濃度が高く、MgZn相が相当量含まれる。その結果、開発2段めっき鋼材のめっき層全体としては、比較2段めっき鋼材に比べ、Zn相の割合が低く、Al相およびMgZn相(特にMgZn相)の割合が多い。
開発2段めっき鋼材は、めっき層にSnが含有するため、Mg−Sn金属間化合物相(例えばMgSn相)が生成されている。
さらに、開発2段めっき鋼材は、中間めっき層と地鉄(鋼材)との間に、Al−Fe合金層で構成された界面合金層が形成されている。この中間めっき層には、比較2段めっき鋼材にないMgが高濃度に含有されている。
そして、中間めっき層の成分・構造により、開発材2段めっき鋼材は、同程度のめっき層の層厚で、比較2段めっき鋼材の耐食性(めっき層の層厚50μmで10000時間を耐久する耐食性)よりも、さらに高い耐食性を示すと考えられる。
これらのことから、次の知見を得た。
1)2段めっき法によるめっき層のうち、表層めっき層は、従来の2段めっき法によるめっき層に比べ、Zn相の割合を低くし、Al相およびMgZn相といった合金成分に起因する相を大幅に含有させた方が、さらなる高い耐食性を発揮できる。
具体的には、表層めっき層の組織、Zn相、Al相、MgZn相を有する組織とし、Zn相の比率をX線回折で測定される強度(体積分率に相当)で70%未満とし、Al相およびMgZn相の比率を30%以上とすると、さらなる高い耐食性を発揮できる。
2)表層めっき層にSnを含有すると、Mg−Sn金属間化合物相(例えばMgSn相)が生成し腐食の進展方向が複雑化することから、さらなる高い耐食性を発揮できる。
3)鋼材(地鉄)と中間めっき層との間に、Al−Fe合金層から構成される界面合金層を形成すると、この層がある程度の耐食性を有することから、さらなる高い耐食性を発揮できる。また、めっき層全体の厚みを増大させることができ、肉厚化による耐食性を得ることができる。また地鉄とめっき層と間での原子の相互拡散により、一定のめっき密着性を確保できる。
これら知見から、本発明のめっき鋼材は、例えば、次の態様を有していることが好ましいことが見出された。
−態様(1)−
Cu−Kα線を使用し、X線出力が40kV及び150mAである条件で測定した、表層めっき層の表面のX線回折像において、
強度和I(Zn)=I(36.30°強度(cps))+I(38.99°強度(cps))+I(43.23°強度(cps))+I(54.34°強度(cps))+I(70.06°強度(cps))、
強度和I(Al)=I(38.47°強度(cps))+I(44.74°強度(cps))+I(65.14°強度(cps))、
強度和I(MgZn)=I(19.67°強度(cps))+I(20.79°強度(cps))+I(22.26°強度(cps))+I(40.47°強度(cps))+I(41.31°強度(cps))+I(45.378°強度(cps))、
強度和Io=I(Zn)+I(Al)+I(MgZn
としたとき、下記式1〜下記式3を満たす。
式1:I(Zn)/Io≦0.70
式2:0.05≦I(Al)/Io≦0.30
式3:0.25≦I(MgZn)/Io≦0.70
−態様(2)−
表層めっき層のSn濃度は、質量%、0.03〜2.00%未満であり、
Cu−Kα線を使用し、X線出力が40kV及び150mAである条件で測定した、表層めっき層表面のX線回折像において、強度I(Mg−Sn金属間化合物)=I(22.8°強度(cps))は、1000cps以上、又は11°〜12°におけるバックグラウンド強度(cps)に対し500cps以上高い。
−態様(3)−
めっき層は、鋼材と前記中間めっき層との間に配され、Fe濃度が30質量%以上85質量%未満)で、層厚1μm以上のAl−Fe合金層から構成される界面合金層を有する。
以下、本発明のめっき鋼材の詳細について説明する。
(鋼材)
めっきの対象となる鋼材(以下、「めっき原材」とも称することがある)について説明する。
鋼材の形状には、特に制限はない、鋼材は、鋼板の他、鋼管、土木建築材(柵渠、コルゲートパイプ、排水溝蓋、飛砂防止板、ボルト、金網、ガードレール、止水壁等)、家電・自動車部品材(小型ボルト、複雑形状の筐体、パンチングメタル)、など、成形加工された鋼材が挙げられる。成形加工は、例えば、プレス加工、ロールフォーミング、曲げ加工などの種々の塑性加工手法が利用できる。
鋼材の材質には、特に制限はない。鋼材は、例えば、一般鋼、Niプレめっき鋼、Alキルド鋼、極低炭素鋼、高炭素鋼、各種高張力鋼、一部の高合金鋼(Ni、Cr等の強化元素含有鋼等)などの各種の鋼材が適用可能である。
鋼材は、鋼材の製造方法、鋼板の製造方法(熱間圧延方法、酸洗方法、冷延方法等)等の条件についても、特に制限されるものではない。
鋼材は、プレめっきされたプレめっき鋼材でもよい。プレめっき鋼材は、例えば、電解処理方法または置換めっき方法により得られる。電解処理方法では、種々のプレめっき成分の金属イオンを含む硫酸浴又は塩化物浴に、めっき原材を浸漬して電解処理することにより、プレめっき鋼材が得られる。置換めっき方法では、種々のプレめっき成分の金属イオンを含み、硫酸でpH調整した水溶液に、めっき原材を浸漬して、金属を置換析出させて、プレめっき鋼材が得られる。
プレめっき鋼材としては、Niプレめっき鋼材が代表例として挙げられる。
すなわち、めっき原材が鋼材であれば、どぶ漬けめっきは可能であり、表面状態、形状には規定がない。
(めっき層)
次に、めっき層について説明する。
めっき層は、Fe濃度が3質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される表層めっき層と、鋼材と表層めっき層との間に配され、Fe濃度が3質量%以上30質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される中間めっき層と、を含む。
めっき層は、表層めっき層と中間めっき層に加え、Al−Fe合金層から構成される界面合金層を有してもよい。界面合金層(Al−Fe合金層)は、鋼材と中間めっき層との間に有する。
なお、めっき層の表面(つまり、表層めっき層の表面)にめっき層構成元素の酸化被膜が50nm程度形成しているが、めっき層全体の厚さに対して厚さが薄くめっき層に該当しないと見なす。
次にめっき層の化学組成について説明する。
溶融めっき法における、Al−Fe合金層から構成される界面合金層の形成はめっき浴内で反応が完了しているため、Al−Fe合金層形成によるめっき層全体のAl成分、Zn成分の減少は通常、僅かである。
そして、過酷な耐食性環境に対する耐食性を実現するために、めっき層の平均化学組成は、次の通りとする。
ただし、Sn、Bi、In、Ca、Y、La、Ce、Si、Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、Cu、Mn、Fe、Sr、Sb、及びBは、選択元素であり、任意成分である。つまり、これら元素は、下限の含有量が0%であり、めっき層中に含まなくてもよい。これら任意成分を含む場合、任意元素の各含有量は、後述する範囲が好ましい。
なお、めっき層の平均化学組成とは、界面合金層(Al−Fe合金層)を有さない場合、表層めっき層及び中間めっき層を合わせた平均化学組成を示し、界面合金層(Al−Fe合金層)を有する場合、表層めっき層、中間めっき層およびAl−Fe合金層を合わせた平均化学組成を意味する。
・Zn:65.00%超(めっき層全体)
Znは、めっき層の主体を構成する元素である。本発明においては、2段めっき手法を採用するため、1段目のめっき層との親和性を有するのに必要な元素である。Zn濃度が少なすぎると、第2元素である、Al濃度が高くなって、Feとの反応性の制御、ならびに、1段めっきとの濡れ性の確保や、本発明の主体である中間めっき層の形成が制御できなくなる。
よって、Zn濃度は、65.00%超とする。Zn濃度は68.00%以上が好ましく、71.00%以上がより好ましい。
なお、Zn濃度の上限は、Znを除く元素及び不純物以外の残部となる濃度である。
・Al:6.5%超〜22.5%未満(めっき層全体)
Alは、めっき層中で中間めっき層を形成するために必須の元素である。
Al濃度が少なすぎると、地鉄からのFe成分の供給が少なくなり、中間めっき層を形成しなくなる。
Al濃度が多すぎると上記のように、Feとの反応性が活発となり、中間めっき層の制御ができなくなる。また過剰なAlは、同時にAl相、Al−Fe相の形成量を増やし、中間めっき層に必須のMgZn相を減らすことになる。その結果、耐食性バランスが崩れて、期待される耐食性を発揮することができなくなる。
よって、Al濃度は、6.5%超〜22.5%未満とする。
Al濃度の下限は、10.0%以上が好ましく、15.0%以上がより好ましい。
Al濃度の上限は、21.0%以下が好ましく、20.0%以下がより好ましい。
・Mg:3.0%超〜7.2%未満(めっき層全体)
Mgは、中間めっき層を構成するMgZn相を形成するのに必須の元素である。特に多量の元素が含有されることで、中間めっき層中にMgZn2相を多量に形成することができ、従来耐久できなかった腐食環境下での耐食性を得ることができる。
Mg濃度が少なすぎると、中間めっき層中のMg成分が不足して、従来材の2段めっきと似た構造になる。このような場合、過酷な腐食環境では耐食性が得られない。
Mg濃度が多すぎると、Mgは1段目のめっき層との濡れ性が悪くなり、2段めっきを形成すること自体が困難となる。また過剰なMgはMgZn相の形成を促し、同時にAl相の形成量を減らすことになる。その結果、耐食性バランスが崩れて、期待される耐食性を発揮することができなくなる。
よって、Mg濃度は、3.0%超〜7.2%未満とする。
Mg濃度の下限は、3.5%以上が好ましく、4.0%以上がより好ましい。
Mg濃度の上限は、7.0%以下が好ましく、6.3%以下がより好ましい。
・Sn:0〜4.00%未満、Bi:0%〜0.30%未満、In:0%〜0.30%未満(めっき層全体)
Sn、BiおよびInは、それ自体が耐食性を向上させる元素ではない。むしろ、耐食性の低く、溶けやすいMgSn相、MgIn相等の形成を促し、耐食性が劣化するする元素である。
Sn、BiおよびInの各濃度が多すぎると、これらの形成が活発化して、耐食性が悪化する。
よって、Sn濃度は0〜4.00%未満とし、BiおよびInの各濃度は0%〜0.30%未満とする。
ただし、MgSn相、MgIn相等の金属間化合物相がめっき層中に分散すると腐食パスに変化をもたらすことができる。すなわち、通常腐食は、1点を中心に奥行方向に表面から進行するが、より腐食しやすい場所を敢えてめっき層中に含有させることで、一点突破型の腐食を防ぐことができる。その結果として、腐食経路が複雑となって、腐食が中間めっき層、並びに界面合金層に到達する期間を長くできる。仮に腐食が、中間めっき層、界面合金層に到達すると、犠牲防食作用が周囲に働くため、一気に腐食が進行しやすくなるため、できる限りこれらの界面に腐食を到達させないのが高耐食化のポイントである。垂直方向に部材が置かれた際には、このような腐食を考慮することはほとんど不要であるが、平置き状態に置かれた際には、この腐食経路が重要な要素となる。そのため、めっき層にある程度のSn、Bi、In等を含ませ、これらの相を微細分散させることで、達成することができる。
つまり、Sn、BiおよびInは、適量含有が好ましい。一方、MgSn相、MgIn相等等の金属間化合物相は、硬いため、めっき多量に形成するとめっき層の密着性等に悪影響を及ぼす。
よって、Sn濃度の下限は、0%超えが好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.10%以上がさらに好ましい。
BiおよびInの各濃度の下限は、0%超えが好ましく、0.10%以上が好ましい。
Sn濃度の上限は、3.00%以下が好ましく、1.00%以下がより好ましい。
BiおよびInの各濃度の上限は、0.25%以下が好ましい。
・Ca:0.05%〜1.00%未満(めっき層全体)
Caは、めっき浴の濡れ性を確保するのに必要な元素である。
Ca濃度が少なすぎると、すなわち、本発明のめっき層を形成するためのめっき浴のように、高濃度のMgを含有するめっき浴では、Mgの酸化被膜が多量に形成してしまい、2段めっき浴浸漬時の1段めっき浴との濡れ性確保をすることができなくなり、めっき層を形成すること自体が困難となる。
Ca濃度が多すぎるとめっき層中に硬い金属間化合物を多量に形成して、めっき層が脆くなり、鋼材との密着性確保することが困難となる。
よって、Ca濃度は、0.05%〜1.00%未満とする。
Ca濃度の下限は、0.10%以上が好ましい。
Ca濃度の上限は、0.50%以下が好ましい。
・Y :0%〜0.30%未満、La:0%〜0.30%未満、Ce:0%〜0.30%未満(めっき層全体)
Y、LaおよびCeは、Caと同じ働きをする元素である。
Y、LaおよびCeの各濃度が多すぎると、これらも金属間化合物を形成する。
よって、Y、LaおよびCeの各濃度は0%〜0.30%未満とする。
Y、LaおよびCeの各濃度の下限は、0%超えが好ましく、0.05%以上がより好ましい。
Y、LaおよびCeの各濃度の上限は、0.25%以下が好ましい。
・Si:0%〜1.00%未満(めっき層全体)
Siは、めっき層の耐食性を向上させる元素である。めっき層中に耐食性の高い、Mg−Si系化合物、Ca−Si系化合物を形成する。
Si濃度が多すぎると、めっき層のめっき密着性が悪化し、さらには、Feのめっき浴中への拡散を抑制するため、中間めっき層も形成しづらくなる。
よって、Si濃度は0%〜1.00%未満とする。
Si濃度の下限は、0%超えが好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.10%以上がさらに好ましい。
Si濃度の上限は、0.50%以下が好ましく、0.40%以下がより好ましい。
・Cr:0%〜0.25%未満、Ti:0%〜0.25%未満、Ni:0%〜0.25%未満、Co:0%〜0.25%未満、V :0%〜0.25%未満、Nb:0%〜0.25%未満、Cu:0%〜0.25%未満、Mn:0%〜0.25%未満(めっき層全体)
Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnは、めっき浴に添加することが可能な元素である。これら元素がめっき浴中に含有されると、めっき層を構成する相に置換状態で、存在するか、又は微細な金属間化合物を形成し、これらの作用によって、わずかながら耐食性に変化をもたらすことができる元素である。
Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnの各濃度が多すぎると、金属間化合物の形成が多くなり、めっき層本来の構造及び耐食性を発揮できなくなる。
よって、Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnの各濃度は0%〜0.25%未満とする。
Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnの各濃度の下限は、0%超えが好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上がさらに好ましい。
・Fe:0%〜15.0%未満(めっき層全体)
溶融めっき法によって、めっき層を形成する場合、表層めっき層(Zn−Al−Mg合金層)、中間めっき層(Al−Fe金属間合物を含むZn−Al−Mg合金層)および界面合金層(Al−Fe合金層)に一定のFe濃度が含有される。
Fe濃度が15.0%未満までは、2段めっき法によるめっき層に含まれても性能に悪影響がないことが確認されている。Feの多くは、Al−Fe合金層に含まれていることが多いため、この層の厚みが大きいと一般的にFe濃度は大きくなる。
・Sr:0%〜0.50%未満、Sb:0%〜0.50%未満、B :0%〜0.50%未満(めっき層全体)
Sr、SbおよびBも、上記の元素と同じく、添加可能な元素で、同じ作用をもたらすが、Zn、およびAlとの親和性が高いため、前記元素より、多量の濃度を含有させることができる元素である。
Sr、SbおよびBの各濃度が多すぎると効果が飽和するだけでなく、ドロスが増加し作業性が低下する。
よって、Sr、SbおよびBの各濃度は0%〜0.50%未満とする。
Sr、SbおよびBの各濃度の下限は、0%超えが好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上がさらに好ましい。
Sr、SbおよびBの各濃度の上限は、0.40%以下が好ましく、0.30%以下がより好ましい。
・不純物(めっき層全体)
不純物は、原材料に含まれる成分、または、製造の工程で混入する成分であって、意図的に含有させたものではない成分を指す。例えば、めっき層には、鋼材(地鉄)とめっき浴との相互の原子拡散によって、不純物として、Fe以外の成分も微量混入することがある。
(表層めっき層)
表層めっき層は、Fe濃度が3質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される。
表層めっき層の平均化学組成は、一般的な耐食性環境に対する耐食性を実現するために、次の平均化学組成とする。
ここで、一般的な腐食環境とは、通常の屋外、田園環境、SOx濃度の低い腐食環境、海岸地域でも直接、海水飛沫が当たらない環境などを指す。なお2段めっき鋼材における過酷な腐食環境とは、例えば、海岸地域等で直接、海水飛沫の接触に晒されるような領域や、融雪塩の散布環境で常時水濡れ環境にあるような状態を想定している。
表層めっき層のめっき成分は、すなわち、2段めっき浴に用いるめっき浴成分に必ず、1段目の成分Zn、Feが含有されたものである。すなわち、Zn、Feについては、2段めっき浴の成分に影響を与え、これらの成分は、通常、表層めっき層で多くなる。一方、他の元素については、これらの元素が増加した分、相対的に低くなる傾向にある。例えば、Znはめっき浴より、0〜+10%の範囲で、表層めっき層で高くなる可能性があり、Feは1%前後まで含有される場合がある。一方、表層めっき層で減少する元素の代表として、Alがあり、これは中間めっき層へ移動するため、表層めっき層で元の2段めっき浴の成分の1/5程度まで下がる場合がある。他の成分については増減が定められないが、Al成分の減少が、Zn、Fe成分の増加に比べて大きいときは、相対的に高くなり、Al成分の減少が小さいときは、その他の元素も低下する。
具体的には、めっき層の平均化学組成で説明した限定理由と同様な理由で、表層めっき層の平均化学組成は、
Zn:70.00%超、
Al:3.0%超〜25.0%未満、
Mg:5.0%超〜12.0%未満、
Sn:0%〜5.00%未満、
Bi:0%〜0.30%未満、
In:0%〜0.30%未満、
Ca:0.05%〜1.00%未満、
Y :0%〜0.30%未満、
La:0%〜0.30%未満、
Ce:0%〜0.30%未満、
Si:0%〜1.00%未満、
Cr:0%〜0.25%未満、
Ti:0%〜0.25%未満、
Ni:0%〜0.25%未満、
Co:0%〜0.25%未満、
V :0%〜0.25%未満、
Nb:0%〜0.25%未満、
Cu:0%〜0.25%未満、
Mn:0%〜0.25%未満、
Fe:0%〜3.0%未満、
Sr:0%〜0.50%未満、
Sb:0%〜0.50%未満、
B :0%〜0.50%未満、及び
不純物からなる平均化学組成とする。
次に、表層めっき層の構成相について説明する。
表層めっき層は、Zn相、Al相およびMgZn相を有することがよい。そして、耐食性向上の観点から、Zn相の割合を低くし、Al相およびMgZn相の割合を高めることが好ましい。
ここで、Zn相、Al相およびMgZn相の存在及び割合は、Cu−Kα線を使用したX線回折(XRD)により確認することができる。
通常、XRDで、Znの回折ピークであれば、例えば、JCPDSカード:PDF#00−004−0831が代表される。表層めっき層(Zn−Al−Mg合金層)において、Zn相を同定するのに最適な回折ピークは、36.30°、38.99°、43.23°54.34°および70.06°である。
また、XRDで、Alの回折ピークであれば、例えば、JCPDSカード:PDF#00−004−0787が代表される。表層めっき層(Zn−Al−Mgめっき層)において、Al相を同定するのに最適な回折ピークは、38.47°、44.74°、および65.14°である。
また、XRDで、MgZnの回折ピークであれば、例えば、JCPDSカード:PDF#00−034−0457、が代表される。表層めっき層(Zn−Al−Mgめっき層)において、MgZn相を同定するのに最適な回折ピークは、19.67°、20.79°、22.26°、41.31°、および45.378°である。
そして、Cu−Kα線を使用し、X線出力が40kV及び150mAである条件で測定した、表層めっき層の表面のX線回折像において、
強度和I(Zn)=I(36.30°強度(cps))+I(38.99°強度(cps))+I(43.23°強度(cps))+I(54.34°強度(cps))+I(70.06°強度(cps))、
強度和I(Al)=I(38.47°強度(cps))+I(44.74°強度(cps))+I(65.14°強度(cps))、
強度和I(MgZn)=I(19.67°強度(cps))+I(20.79°強度(cps))+I(22.26°強度(cps))+I(40.47°強度(cps))+I(41.31°強度(cps))+I(45.378°強度(cps))、
強度和Io=I(Zn)+I(Al)+I(MgZn
としたとき、下記式1〜下記式3を満たすことが好ましい。
下記式1を満たすと、従来の2段めっき法によるめっき層に比べ、Zn相の割合が低く、例えば、Zn相が体積分率70%未満で有することを示している。
一方、式2〜式3を満たすと、従来の2段めっき法によるめっき層に比べ、Al相およびMgZn相の割合が多く、例えば、Al相およびMgZn相が体積分率30%以上で有することを示している。
そして、下記式1〜下記式3を満たすことにより、さらなる高い耐食性が発揮される。なお、耐食性向上の観点から、下記式1−2〜式3−2を満たすことがより好ましい。
式1:I(Zn)/Io≦0.70
式2:0.05≦I(Al)/Io≦0.30
式3:0.25≦I(MgZn)/Io≦0.70
式1−2:I(Zn)/Io≦0.60
式2−2:0.10≦I(Al)/Io≦0.25
式3−2:0.30≦I(MgZn)/Io≦0.50
次に、表層めっき層において、防食性を向上させるための「Sn含有効果」について説明する。
表層めっき層にSnを含むと、Mgとの間で、MgZn相に比べ、Mg−Sn金属間化合物相を形成する。そのため、表層めっき層にMg−Sn金属間化合物相が存在すると、さらなる高い耐食性が発揮される。
そして、高い耐食性を発揮するには、Mg−Sn金属間化合物相を形成するには、表層めっき層のSn濃度は、0.03〜2.00%未満が好ましい。
ここで、Mg−Sn金属間化合物相は、下記(1)〜(5)に該当する金属間化合物相を包含する。なお、Mg−Sn金属間化合物相は、Si等の元素を侵入型固溶していてもよい。
(1)MgSn相
(2)MgSn
(3)Snの一部にBi、In、Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、Cu、及びMnの少なくとも1種が置換した置換MgSn相およびMgSn相(MgSn相およびMgSn相の置換体の相)
(4)Mgの一部にCa、Y、La及びCeの少なくとも1種が置換した置換MgSn相およびMgSn相(MgSn相およびMgSnの置換体の相)
(5)Mgの一部にCa,Y,La及びCeの少なくとも1種が置換し、かつSnの一部にBi、In、Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、Cu、及びMnの少なくとも1種が置換した置換MgSn相およびMgSn相(MgSn相およびMgSnの置換体の相)
なお、これらMgSn相およびMgSnの置換体の相を「MgSnの置換体の相と総称する場合がある。
表層めっき層にMg−Sn金属間化合物相が存在は、Cu−Kα線を使用したX線回折(XRD)により確認することができる。
通常、XRDでMgSnの回折ピークであれば、例えば、JCPDSカード:PDF#00−007−0274、#00−006−0190、#00−002−1087で代表される。しかし、表層めっき層(Zn−Al−Mg合金層)において、Mg−Sn金属間化合物相を同定するのに最適な回折ピークは、Zn相、MgZn相、Al相と回折ピークが重複しない22.8°である。Mg−Sn金属間化合物相を同定するのに用いる回折ピークは、22.8°の他、23.3°、及び24.2°が他のめっき層の構成相と重なりあわず、Zn−Al−Mg合金を同定するのに都合のよい回折ピークである。
具体的には、Cu−Kα線を使用し、X線出力が40kV及び150mAである条件で測定した、前記表層めっき層表面のX線回折像において、強度I(Mg−Sn金属間化合物)=I(22.8°強度(cps))が、1000cps以上、又は11〜12°におけるバックグラウンド強度(cps)に対し500cps以上高いと、表層めっき層にMg−Sn金属間化合物相が十分な量で存在している指標となる。
強度I(Mg−Sn金属間化合物)が1000cps以上又は11〜12°におけるバックグラウンド強度(cps)に対し500cps強度であれば、表層めっき層に分散する程度のMg−Sn金属間化合物が入っていることの指標になり、強度が高いほど多量に含有されていることを示す。
ただし、強度I(Mg−Sn金属間化合物)が5000cpsを超えるような強度であると、耐食性が悪化することから好ましくない。
なお、バックグラウンドの強度の算出方法として、近年はバックグラウンド除去等をおこなうことができるソフトウェアがあるが、得られた回折ピーク強度のデータから、2θと強度(cps)グラフを作成し、11〜12°で確認される平坦部の近似線(直線)を作成する。本開示のめっき層表面からは、15°、25°に回折ピークはあらわれないため、単純に、11°、12°の強度cpsの平均値をとれば、11〜12°におけるバックグラウンド強度が判明する。
(中間めっき層)
次に、中間めっき層について説明する。
中間めっき層は、Fe濃度が3質量%以上30質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される。
中間めっき層の平均化学組成は、特に制限はないが、Mg濃度は3.0%超とする。Mg濃度は3%超であると、耐食性を有するMgZn相が増加する。そのため、さらなる高い耐食性が発揮される。そして、Mg濃度は、3.0%超〜15.0%未満が好ましい。
Mg濃度の下限は、3.2%、3.5%、4.0%であってもよい。
Mg濃度の上限は、10.0%、8.0%、6.0%であってもよい。
次に、Zn−Al−Mg合金層の構成相について説明する。
中間めっき層は、Feを3質量%以上30質量%未満で含有する。そして、中間めっき層中のFeは、Alとの反応により、例えば、Al−Fe金属間化合物相として含む。
Al−Fe金属間化合物相は、AlFeが主体の相である。Al−Fe金属間化合物相は、AlFe以外にも、AlFe、AlFe、AlFeなどが含まれる場合もある。
Al−Fe金属間化合物相は、めっき層にSiが含有する場合、Al−Fe−Si金属間化合物相となることがある。同定されるAl−Fe−Si金属間化合物相としては、AlFeSi相があり、異性体として、α、β、q1,q2−AlFeSi相等が存在する。
AlとFeの配合比は、上記以外も考えられるが、AlFe比率変化による耐食性変化はほとんどなく、Al:Fe=1:1〜5:2の範囲で、これらの相割合での性能変化は小さく、めっき層全体の耐食性に影響を与えるほどではない。すなわち、Al−Fe金属間化合物は、FeよりもAlとの結合作用にあって、Feに対して一定の犠牲防食性を有し(従って、Al−Fe金属間化合物相が消滅するまで地鉄は腐食しない)、金属間化合物であるため、いかなる環境でも絶縁性が高く腐食しにくい物質であり(一方で、Feが腐食するとやや黄色の酸化物(Fe)が形成することがある、ただし周囲に多量のMg成分があれば、この黄色錆は殆ど目立たない)、めっき層の丈夫な骨組み(柱)として作用を有する。
また、中間めっき層は、Al−Fe金属間化合物相以外に、Al−Fe金属間化合物の間を、例えば、MgZn相、Zn−Al相(または成分濃度によっては、Al−Zn相)、MgSn相、Zn−Al−MgZn三元共晶組織、Zn相、MgSi相を有していてもよい。また、中間めっき層には、その他の金属間化合物相として少量ではあるが、Al−Ca−Si金属間化合物相、Al−Ca金属間化合物相、Mg−Ca−Si金属間化合物相、Zn−Al−Mg系めっき浴に添加された、Sn、Bi、In、B元素と、Zn、Al、Mg原子を取り込んで結合した化合物相を有していてもよい。
これらの相は、基本的には、表層めっき層と同様の性質を有しており、腐食することで白錆を生み出す。また微量の金属間化合物相を除き、Al−Fe金属間化合物相よりも、必ず卑な電気化学的関係にあるため、腐食時にAl−Fe金属間化合物相より腐食が先行する。
そして、中間めっき層にこれら複数の相が取り込まれるのは、本発明のめっき鋼材の特徴で、従来のZn−Al−Mg系めっき鋼材では、中間めっき層にMgを取り込むことはほぼ不可能である、そのため、従来のZn−Al−Mg系めっき鋼の中間めっき層の多くは、Zn、Fe又はAl、すなわち、Zn−Fe相、Al−Fe相のみが、ほぼ100%近い状態で存在している。これは、Zn、Alとは異なり、本来MgはFeとの反応性が低いため、めっき時に界面側に移動することができず、めっき層表面で凝固してしまうためである。
本発明のめっき鋼材においては、高濃度のMg、及びAl、Zn、その他の元素の濃度範囲を適切に管理することでMgをめっき中間めっき層に取り込むことが可能となった。
めっき層の中間めっき層は、これらの化合物相から構成されるが、中間めっき層は、如何なる腐食環境においても耐食性が安定している。Zn、Al、Mgのみから構成される金属層は、一般的な腐食環境、大気環境下などでは、高い耐食性を示すが、水中、海水中等では、比較的早く腐食してしまう。これは、地鉄との電位差が大きいため、過度の犠牲防食性が働くことと推定している。
一方、Al−Fe金属間化合物相はFeとの電位差が小さく、過度の犠牲防食性が働くことが少ないことから、水中、海水中など、液体が接した状態、これらの水しぶきがかかるような状態でも腐食速度が安定している。そして、Al−Fe金属間化合物相間を占める、上記、Zn,Al、Mgから成る金属間化合物相が、Al−Fe腐食による黄色錆を目立たなくし、さらに、Al−Fe金属間化合物相の腐食順位を遅くすることで単純な金属層だけのめっき層では達成できない耐食性を発揮できる。
これには、Mgの濃度が大きくかかわっており、めっき浴、及び中間めっき層内でのこの元素の割合を高めることで、Zn,Al、Feのみから構成された場合は、Al−Fe金属間化合物相間の腐食も早く、Al−Fe金属間化合物相の腐食も早い。さらに赤錆が目立つようになってしまう。
(界面合金層)
界面合金層は、Fe濃度が30質量%以上85質量%未満のAl−Fe合金層から構成される。
界面合金層(Al−Fe合金層)は、組織としてAlFe相が主相の層である。Al−Fe合金層は、地鉄(鋼材)並びに1段目及び2段目のめっき浴の相互の原子拡散によって形成する。製法として溶融めっき法を用いた場合、Al元素を含有するめっき層では、Al−Fe合金層が形成され易い。少なくとも、2段目のめっき浴中に一定濃度以上のAlが含有されることから、AlFe相が最も多く形成する。しかし、原子拡散には時間がかかり、また、地鉄に近い部分では、Fe濃度が高くなる部分もある。そのため、界面合金層は、部分的には、AlFe相、AlFe相、AlFe相などが少量含まれる場合もある。また、めっき浴中にZnも一定濃度含まれることから、Al−Fe合金層には、Znも少量含有される。
耐食性においては、AlFe相、AlFe相、AlFe相、およびAlFe相のいずれの相であっても大差がない。ここでいう耐食性とは、溶接の影響を受けない部分での耐食性である。めっき層中に占める、界面合金層の厚みは小さく、また表層めっき層(Zn−Al−Mg合金層)及び中間めっき層と比較しても耐食性は低いため、めっき層全体における耐食性は、これらの相の比率が代わったとしても大差がない。
ここで、めっき層中にSiを含有する場合、Siは、特に界面合金層(Al−Fe合金層)中に取り込まれ易く、Al−Fe金属間化合物相はAl−Fe−Si金属間化合物相となることがある。同定される金属間化合物相としては、AlFeSi相があり、異性体として、α、β、q1,q2−AlFeSi相等が存在する。そのため、Al−Fe合金層は、これらAlFeSi相等が検出されることがある。これらAlFeSi相等を含むAl−Fe合金層をAl−Fe−Si合金層とも称する。
なお、Al−Fe−Si合金層も表層めっき層(Zn−Al−Mg合金層)及び中間めっき層の合計の厚さに対し、厚みは小さいため、めっき層全体における耐食性において与える影響は小さい。
Al−Fe金属間化合物の構成は、中間めっき層とほぼ同じようなものだが、中間めっき層は、針状、柱状、枝状等の形態を呈するのに対し、界面合金層は層状に形成する違いがある。すなわち、界面合金層において、Al−Fe金属間化合物は、めっき層の厚み方向に平行に成長しやすく、さらに全面に広がってから、めっき表面へ成長する。
また、めっき原材(めっき原板など)に各種プレめっき鋼材を使用した場合、プレめっきの付着量により、界面合金層(Al−Fe合金層)の構造が変化することがある。具体的には、Al−Fe合金層周囲に、プレめっきに用いた純金属層が残存する場合、表層めっき層(Zn−Al−Mg合金層)、又は1段目のめっき処理によるめっき層の構成成分とプレめっき成分が結合した金属間化合物相(例えば、AlNi相等)が合金層を形成する場合、Al原子およびFe原子の一部が置換したAl−Fe合金層が形成する場合、または、Al原子、Fe原子およびSi原子の一部が置換したAl−Fe−Si合金層を形成する場合等がある。いずれにせよ、これらの合金層も表層めっき層(Zn−Al−Mg合金層)及び中間めっき層の合計の厚さに対し、界面合金層そのものは、中間めっき層、金属層に比べると厚みは小さいため、めっき層全体における耐食性において与える影響は小さい。
また、界面合金層(Al−Fe合金層)には、表層めっき層(Zn−Al−Mg合金層)を構成する相(Zn相、MgZn相等)も、一部取り込まれることもある。
つまり、界面合金層(Al−Fe合金層)とは、AlFe相を主体とする合金層以外に、上記種々の態様の合金層を包含する層である。
なお、各種プレめっき鋼材のうち、Niプレめっき鋼材にめっき層を形成した場合、界面合金層(Al−Fe合金層)として、Al−Ni−Fe合金層が形成されることになる。Al−Ni−Fe合金層も、表層めっき層(Zn−Al−Mg合金層)及び中間めっき層の合計の厚さに対し、厚みは小さいため、めっき層全体における耐食性において与える影響は小さい。
界面合金層(Al−Fe合金層)はAlFe相が主構成となる場合が多いので、Al−Fe合金層の化学組成は、Fe:30〜85%、Al:15〜75%、Zn:10%以下、および残部:不純物を含む組成が例示できる。
(めっき層の層厚)
次に、めっき層の層厚について説明する。
めっき層表層めっき層及び中間めっき層の合計の層厚が8μm未満であると、高い耐食性が発揮され難くなる。
どぶ漬け2段めっきの製法から判断して、通常、少なくとも5μm以上はめっき層厚を得ることが多い。一方、ネジ山部など凹凸形状によって極端に薄くなる部位があり、この部分で、薄いもので8μm程度である。遠心分離などのタレ切りを実施すれば、特殊部位では3〜5μmともなりうるが、耐食性劣化の部位となるため、少なくとも8μm以上あった方が好ましい。
そのため、表層めっき層及び中間めっき層の合計の層厚は、8μm以上とする。表層めっき層及び中間めっき層の合計の層厚は、10μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。
一方、表層めっき層及び中間めっき層の合計の層厚が300μm超えになると、凝固時の熱収縮などの歪が過大となり、めっき層にクラックが発生し、かえって耐食性が劣化する可能性があるため、表層めっき層及び中間めっき層の合計の層厚は、300μm未満とする
なお、表層めっき層及び中間めっき層の合計の層厚の上限は、厚い方が耐食性に有利である。通常、どぶ漬けめっきでは、100μm前後のめっき製品がつくられることが多いが、凹凸形状の部位によっては100μm狙いのものであってもタレ発生し、部分的に300μm前後までめっき層の厚みが増す場合がある。タレ形状、外観悪化、突起物などになるため、外観重視の場合は、150μm以下にした方が好ましい。
表層めっき層の層厚も、薄すぎると、高い耐食性が発揮され難くなる。そのため、表層めっき層の層厚は、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。
一方、表層めっき層の層厚が厚すぎると、めっき外観が劣化するとなることがある。そのため、表層めっき層の層厚は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
中間めっき層の層厚が3μm未満であると、高い耐食性が発揮され難くなる。すなわち、腐食が、容易に地鉄界面に到達しやすい構造となる。そのため、中間めっき層の合計の層厚は、3μm以上とする。中間めっき層の層厚は、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。
一方、中間めっき層の合計の層厚が厚すぎると、亀裂が入りやすくなり、何らかの衝撃で剥離しやすい構造になる。そのため、中間めっき層の層厚は、175μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。
中間めっき層は、めっき層、及び地鉄の原子拡散によって生じる層である。通常、平板のめっき鋼材であれば、めっき層の全厚の1/5〜2/3範囲が適切な厚みで形成されることが多い。すなわち、2μm〜200μmの範囲で形成する。部材形状によって、部分的には、形成量が変化することがあり、下限値が全厚の1/50〜1/5となる場合も存在する。
界面合金層(Al−Fe合金層)は、上層の表層めっき層および中間めっき層が溶出および錆化しても界面合金層のみが残存し、地鉄(鋼材)を防食する場合がある。これは、電気化学的に、界面合金層を構成するAl−Fe合金層が表層めっき層および中間めっき層を構成するZn−Al−Mg層より貴になるが、地鉄(鋼材)より卑に位置するためである。そのため、界面合金層(Al−Fe合金層)も一定の耐食性を有している。ただし、耐食性効果は、微量である程度の厚みが必要である。また、上層の中間めっき層と地鉄(鋼材)との密着性も高める。
そのため、界面合金層(Al−Fe合金層)が形成されている場合、界面合金層の層厚は、1μm以上が好ましい。
一方、界面合金層(Al−Fe合金層)の層厚が厚すぎると、上層の表層めっき層および中間めっき層のAl成分が不足し、さらに、めっき層の密着性、加工性が極端に悪化する傾向にある。そのため、界面合金層の層厚は、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。
(めっき層の特性に関する各種測定方法)
次に、めっき層の特性に関する各種測定方法について説明する。
−めっき層の平均化学組成−
めっき層の平均化学組成は、次の方法により測定する。
まず、地鉄(鋼材)の腐食を抑制するインヒビターを含有した酸でめっき層を剥離溶解した酸液を得る。次に、得られた酸液をICP分析で測定することで、めっき層の化学組成を得ることができる。酸種は、めっき層を溶解できる酸であれば、特に制限はない。
−めっき層の構成層の各平均化学組成−
めっき層の構成層(つまり、表層めっき層、中間めっき層、および界面合金層)の各平均化学組成は、例えば、GDS(高周波グロー放電分光分析)を利用する。具体的には、例えば、次の通り測定する。
まず、GDS(高周波グロー放電分光分析)で各元素の定量分析の検量線を得る。その後、対象とする層の深さ方向の化学成分を測定する。例えば、作製しためっき鋼材のサンプルから30mm角を数枚採取し、GDS用サンプルとする。めっき層の表面に対してアルゴンイオンスパッタを実施し、深さ方向の元素強度プロットを得る。
一方、各元素純金属板等の標準試料を作製し、あらかじめ元素強度プロットを得る。
そして、GDSによる元素強度プロットを、標準試料による元素強度プロットから濃度換算することで、各元素濃度を算出する。
この操作を、10回以上実施し、各々の場所における成分の平均値を採用する。
なお、スパッタ速度は、例えば、約0.04〜0.1μm/秒の範囲とする。
具体的な測定条件としては、例えば、次の通りである、
測定装置としては、例えば、堀場製作所製のマーカス型高周波グロー放電発行分析装置(GD−Profiler2)を利用する。
測定条件は、例えば、放電面積4mmφ、RF出力35W、アルゴン圧600Paとする。
測定間隔は、例えば、初期60秒を0.02秒間隔、以降を0.5秒間隔とする。
表層めっき層の平均化学組成を測定する場合、各々のGDS分析点において、表面からFe元素強度が全体の元素分析の3%未満(つまり、Fe濃度が3質量%以上30質量%未満)までの領域を表層めっき層とし、表層めっき層の層厚に対応する幅の元素強度プロットを得る。この得られた元素強度プロットから求められる各元素濃度の成分平均値を採用する。ただし、最表層の酸化層の影響を除去するために、表面から深さ1μmまでの元素強度プロットを無視する。
また、中間めっき層の平均化学組成を測定する場合、各々のGDS分析点において、Fe元素強度が全体の元素分析の3%以上30%未満(つまり、Fe濃度が3質量%以上30質量%未満)となる領域を中間めっき層とし、中間めっき層の層厚に対応する幅の元素強度プロットを得る。この得られた元素強度プロットから求められる各元素濃度の成分平均値を採用する。
また、界面合金層の平均化学組成を測定する場合は、各々のGDS分析点において、Fe元素強度が全体の元素分析の30%以上85%未満(つまり、Fe濃度が30質量%以上85質量%未満)となる領域を界面合金層とする。界面合金層の層厚に対応する幅の元素強度プロットを得る。この得られた元素強度プロットから求められる各元素濃度の成分平均値を採用する。
ここで、GDS分析において、中間めっき層と界面合金層と界面付近で、Fe元素強度が30%以上(つまり、Fe濃度が30質量%以上)に達した後、Fe元素強度(つまりFe濃度)が一時的に30%未満に減少する箇所(具体的には界面合金層の表層部分)が現れる場合があるが、その個所の元素強度プロットは無視する。そして、再度、Fe元素強度が30%以上(つまり、Fe濃度が30質量%以上)に達した時点から、界面合金層とみなす。
なお、EPMAやSEM−EDSによる元素分析値から、表層めっき層、中間めっき層、界面合金層の個別の化学組成を得ることもできる。
−X線回折(XRD)の測定条件−
X線回折(XRD)の強度は、線源には、Cu、Co等用いることが可能だが、最終的にはCu線源に合わせた回折角度に計算、変更する必要がある。X線出力は、40kV、150mAとする。測定範囲は、5°〜90°、ステップは、0.01°程度が好ましい。特定の回折角度での強度(cps)を得るためには、前後±0.05°の平均値を得る。すなわち23.3°の強度は、22.25°〜22.35°の平均値を得る。なお強度の平均値算出前にピークを明瞭化するためのバックグランド除去等の措置は講じないことでそれぞれの強度指標を得る必要がある。
なお、最表層の酸化層の影響を除去するために、表面から深さ1μmまで切削後の表層めっき層の表面に対して、X線回折(XRD)の強度測定を実施する。
具体的な測定条件は、例えば、次の通りである。
測定装置としては、例えば、リガク社製X線回折装置(RINT1500)、RINT1000広角ゴニオメーターを使用する。
測定条件は、例えば、X線出力40kV−150mA、スキャンスピード2°/min、ステップ0.01°、スキャン範囲5〜90°、入射スリット1°、受光スリット1°、0.15mmとする。
−めっき層の層厚−
めっき層の各層の層厚は、次の通り測定する。
めっき層の各層の平均化学組成を測定するときに、GDS分析点におけるFe元素強度(つまり、Fe濃度)により設定された領域幅を、各層(表層めっき層、中間めっき層、界面合金層)の層厚として求める。
そして、このGDSを10個所で実施した各領域幅の平均値を、各層(表層めっき層、中間めっき層、界面合金層)の層厚とする。
(めっき鋼材の製造方法)
次に、本発明のめっき鋼材の製造方法の一例について説明する。
本発明のめっき鋼材は、めっき原材(めっき原板など)の表面(つまり、片面又は両面)に、2段めっき法(具体的には、2段溶融めっき法)によりめっき層を形成することで得られる。
具体的には、本発明のめっき鋼材の製造方法としては、
浴温度が浴融点+20℃(ただし、少なくとも420℃超)〜520℃の溶融Zn−Al−Mg合金めっき浴に、層厚30μm以上のめっき層を有するめっき鋼基材を、20秒以上240秒未満浸漬した後、引き上げる工程と、
めっき鋼基材を溶融Zn−Al−Mg合金めっき浴から引き上げた直後から380℃まで、60秒以内で冷却する工程を有するめっき鋼材の製造方法が例示できる。
ここで、溶融Zn−Al−Mg合金めっき浴は、Zn:65.0%超、Al:12.0%超〜25.0%、Mg:5.0%超〜8.0%未満、Sn:0〜5%未満、Bi:0%〜1%未満、In:0%〜0.5%未満、Ca:0.10%〜3.00%未満、Y :0%〜0.5%未満、La:0%〜0.5%未満、Ce:0%〜0.5%未満、Si:0%〜1.0%未満、Cr:0%〜0.25%未満、Ti:0%〜0.25%未満、Ni:0%〜0.25%未満、Co:0%〜0.25%未満、V :0%〜0.25%未満、Nb:0%〜0.25%未満、Cu:0%〜0.25%未満、Mn:0%〜0.25%未満、Fe:0%〜5%未満、Sr:0%〜0.5%未満、Sb:0%〜0.5%未満、B :0%〜0.5%未満、及び不純物からなる化学組成が例示できる。
一方、めっき鋼基材(つまり、1段目のめっき処理されためっき鋼材)は、Znめっき鋼基材、Zn−Al合金めっき鋼基材、及びZn−Al−Mg合金めっき鋼基材から選択されるめっき鋼基材が例示できる。
これらの中でも、めっき鋼基材としては、Znめっき鋼基材が好適である。Znめっき鋼基材としては、JIS H 8641:2007で規格化されたHDZ(HDZ45、55等)などが代表的なめっき鋼基材として例示できる。
本発明のめっき鋼材の製造方法において、めっき鋼基材として、層厚30μm以上のめっき層を有するめっき鋼基材を適用し、2段目のめっき処理として、上記所定のめっき浴温、浸漬時間、冷却時間の条件のめっき処理を適用することで、めっき層全体の厚さを適切な範囲としつつ、1段目のめっき層の痕跡を適切に残すことができる。
つまり、所定のめっき層の平均化学を有し、1段目のめっき層の痕跡として、Al−Fe金属間化合物を含む層厚3μm以上のZn−Al−Mg合金層から構成される中間めっき層を層厚3μm以上で形成される共に、めっき層全体の厚さ(表層めっき層及び前記中間めっき層の合計の層厚)を8μm300μm未満であるめっき鋼材が得られる。
また、上記条件で、2段目のめっき処理を実施することで、一段目のめっき層と二段目のめっき浴が反応し、中間めっき層が形成される。そのため、上述した所定の相構成の表層めっき層および中間めっき層を有するめっき鋼材が得られる。
ここで、本発明のめっき鋼材の製造方法において、2段目のめっき処理の前処理として、1段目のめっき層の表面の洗浄を目的として、希塩酸処理、フラックス処理(例えば、塩化アンモニウム水溶液、ZnCl水溶液等のフラックスにめっき鋼基材を浸漬、乾燥する処理)を施してもよい。
また、本発明のめっき鋼材の製造方法では、既に1段目のめっき層が形成され基材温度が下がっためっき鋼基材に、2段目のめっき処理を施す方法を説明したが、鋼材に対して、1段目、2段目のめっき処理を間をおかずに連続的に実施する方法でもよい。
以下、本発明のめっき鋼材に適用できる後処理について説明する。
本発明のめっき鋼材には、めっき層上に皮膜を形成してもよい。皮膜は、1層または2層以上を形成することができる。めっき層直上の皮膜の種類としては、例えば、クロメート皮膜、りん酸塩皮膜、クロメートフリー皮膜が挙げられる。これら皮膜を形成する、クロメート処理、りん酸塩処理、クロメートフリー処理は既知の方法で行うことができる。
クロメート処理には、電解によってクロメート皮膜を形成する電解クロメート処理、素材との反応を利用して皮膜を形成させ、その後余分な処理液を洗い流す反応型クロメート処理、処理液を被塗物に塗布し水洗することなく乾燥して皮膜を形成させる塗布型クロメート処理がある。いずれの処理を採用してもよい。
電解クロメート処理としては、クロム酸、シリカゾル、樹脂(りん酸、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、酢酸ビニルアクリルエマルション、カルボキシル化スチレンブタジエンラテックス、ジイソプロパノールアミン変性エポキシ樹脂等)、および硬質シリカを使用する電解クロメート処理を例示することができる。
りん酸塩処理としては、例えば、りん酸亜鉛処理、りん酸亜鉛カルシウム処理、りん酸マンガン処理を例示することができる。
クロメートフリー処理は、特に、環境に負荷なく好適である。クロメートフリー処理には、電解によってクロメートフリー皮膜を形成する電解型クロメートフリー処理、素材との反応を利用して皮膜を形成させ、その後、余分な処理液を洗い流す反応型クロメートフリー処理、処理液を被塗物に塗布し水洗することなく乾燥して皮膜を形成させる塗布型クロメートフリー処理がある。いずれの処理を採用してもよい。
さらに、めっき層直上の皮膜の上に、有機樹脂皮膜を1層もしくは2層以上有してもよい。有機樹脂としては、特定の種類に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はこれらの樹脂の変性体等を挙げられる。ここで変性体とは、これらの樹脂の構造中に含まれる反応性官能基に、その官能基と反応し得る官能基を構造中に含む他の化合物(モノマーや架橋剤など)を反応させた樹脂のことを指す。
このような有機樹脂としては、1種又は2種以上の有機樹脂(変性していないもの)を混合して用いてもよいし、少なくとも1種の有機樹脂の存在下で、少なくとも1種のその他の有機樹脂を変性することによって得られる有機樹脂を1種又は2種以上混合して用いてもよい。また有機樹脂皮膜中には任意の着色顔料や防錆顔料を含んでもよい。水に溶解又は分散することで水系化したものも使用することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
表1〜表2に示す化学組成となるように、所定量の純金属インゴットを使用して、真空溶解炉で、インゴットを溶解した後、大気中で、2段目のめっき処理のめっき浴を建浴した。めっき鋼板の作製には、バッチ式溶融めっき装置を使用した。そして、2段目のめっき処理を実施し、めっき鋼材を作製した。
2段目のめっき処理を施す対象のめっき鋼基材(1段目のめっき処理が施されためっき鋼材)としては、次の鋼板、又はボルトを使用した。
1)どぶ漬け亜鉛めっき鋼板(JIS H 8641:2007で規格化されたHDZ45相当する、200mm×150mm×4.5mmの溶融亜鉛めっき鋼板)
2)どぶ漬け亜鉛めっき六角ボルト(JIS H 8641:2007で規格化されたHDZ35相当する、長さ100mm、直径M16で、めっき層の層厚はネジ山部で100μm相当の六角ボルト半ネジ)。
そして、2段目のめっき処理は、下記の3通りを実施した。なお、めっき鋼基材の一部のめっき層を削って、Kタイプ熱電対を付け、めっき処理中の温度管理を実施した。
・製法A:設定めっき浴温度を浴融点+40℃と設定し、めっき鋼基材をフラックス(ZnCl/NaCl/SnCl=220g/20g/10g/L)に80℃で30秒浸漬した後、150℃の乾燥炉で十分に乾燥させた。その後、めっき鋼基材を、大気中でめっき浴に240秒浸漬した後、めっき浴から引き揚げた。そして、圧縮空気ガスの吹付等にて、めっき浴からめっき鋼基材を引き上げ直後から380℃まで、60秒以内で冷却し、その後室温まで自然放冷した。
・製法B:設定めっき浴温度を浴融点+40℃と設定し、めっき鋼基材をフラックス(ZnCl/NaCl/SnCl=220g/20g/10g/L)に80℃で30秒浸漬した後、150℃の乾燥炉で十分に乾燥させた。その後、めっき鋼基材を大気中でめっき浴に240秒浸漬した後、めっき浴から引き揚げた。そして、めっき鋼基材を400℃以上に設定された大気炉に入れて、めっき浴からめっき鋼基材を引き上げ直後から380℃まで60秒超で冷却し、その後室温まで自然放冷した。
・製法C:設定めっき浴温度を浴融点+10℃と設定し、めっき鋼基材をフラックス(ZnCl/NaCl/SnCl=220g/20g/10g/L)に80℃で30秒浸漬した後、150℃の乾燥炉で十分に乾燥させた。その後、めっき鋼基材を大気中でめっき浴に20秒浸漬した後、めっき浴から引き揚げた。そして、引き揚げ後、直ちにめっき鋼基材を遠心分離機にかけて、タレ切りを行った。遠心分離は380℃以上の温度域にて完了した。遠心分離機からめっき鋼基材を取り出し後、約380℃に到達してから、水温25℃の100L水に水没した。なお、めっき浴からめっき鋼基材を引き上げ直後から380℃までの冷却は、60秒以内で完了した。
(評価)
−各種の測定−
得られためっき鋼板から試料を切り出した。そして、既述の方法にしたがって、下記事項を測定した。
・めっき層の平均化学組成および層厚(表中「厚さ」と表記)
・中間めっき層の平均化学組成(Mg濃度)および層厚(表中「厚さ」と表記)
・界面合金層の層厚(表中「厚さ」と表記)
・表層めっき層の表面のX線回折像における和強度比(I(Zn)/Io、I(Al)/Io、I(MgZn)/Io)
・表層めっき層の表面のX線回折像における、強度I(Mg−Sn金属間化合物)(表中、I(Mg2Sn)と表記)、および強度I(Mg−Sn金属間化合物)と11°〜12°におけるバックグラウンド強度との差分(表中「BG差分」と表記)
なお、表中、強度I(Mg−Sn金属間化合物)(表中、I(Mg2Sn)と表記)の欄において、
「〇」は、強度I(Mg−Sn金属間化合物)が1000cps以上であること、
「−」は、意図的にSnが添加されておらず、めっき層中にMg−Sn金属化合物の回折ピーク位置で明瞭な回折ピークが得られないこと
「×」は、 BG差分が100未満で判定であることを示す。
また、実施例相当の鋼板の、表層めっき層のFe濃度は3質量%未満であり、中間めっき層のFe濃度は3質量%以上30質量%未満であり、界面合金層のFe濃度は30質量%以上85質量%未満であることが確認した。
−耐食性(SST)−
耐食性の評価方法は、塩水噴霧試験(JIS Z 2371:2015に規格される耐食性試験)を実施した。サンプル数N=10個で実施して、全てのサンプルが、めっき鋼材のめっき層表面の赤錆抑制時間として(めっき層の厚み×200時間+1000時間)を超えたものをS評価とした。サンプル数N(=10個)のうち、6サンプル以上が上記基準を満たした場合(つまりめっき層表面の赤錆発生が4サンプル以内であった場合)は、A評価とした。赤錆発生したサンプルが5サンプル以上であった場合、B評価とした。
なお、めっき鋼材がボルトの場合、ネジ山部の耐食性を立掛けて評価し、その他の部位は塗装して、ネジ山部のみの赤錆発生時間を評価した。
−ハンマ試験−
ハンマ試験は、JIS H0401:2013に規定された方式の試験で実施した。 サンプルは50mm角の厚さ4.5mmのサンプルをめっき鋼板から採取して、これを利用した。
打撃は、4mm間隔で平行に5点行い、その打痕間の剥離、及び浮き上がりを調べた。 ただし、角または端から10mm以内は試験対象外とし、また同一箇所を2回以上叩かない。
ハンマ試験を行った結果、打痕間に連続した浮きあがり、または剥離がない場合は、合格とする。
なお、めっき鋼材がボルトの場合、同評価の代わりに目視による評価方法を実施した。具体的には、ルーペを使用した目視により、ネジ山部の不めっき箇所を確認し、明瞭な不めっき箇所0.3mmφ以上の不めっき部分が存在しないことを合格条件とした。
上記結果から、本発明のめっき鋼材に該当する実施例は、比較例に比べ、過酷な耐食性環境に対する耐食性を有することがわかる。
本発明のめっき鋼材に該当する実施例は、ハンマ試験も合格しており、めっき層の密着性も高いことがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (6)

  1. 鋼材と、
    前記鋼材の表面上に配され、Fe濃度が3質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される表層めっき層と、前記鋼材と前記表層めっき層との間に配され、Fe濃度が3質量%以上30質量%未満のZn−Al−Mg合金層から構成される、層厚が3μm以上の中間めっき層と、を含むめっき層と、を有し、
    前記表層めっき層及び前記中間めっき層の合計の層厚が、8μm以上300μm未満であり、
    前記めっき層の平均化学組成が、質量%で、
    Zn:65.00%超、
    Al:6.5%超〜22.5%未満、
    Mg:3.0%超〜12%未満、
    Sn:0%〜4.00%未満、
    Bi:0%〜0.30%未満、
    In:0%〜0.30%未満、
    Ca:0.05%〜1.00%未満、
    Y :0%〜0.30%未満、
    La:0%〜0.30%未満、
    Ce:0%〜0.30%未満、
    Si:0%〜1.00%未満、
    Cr:0%〜0.25%未満、
    Ti:0%〜0.25%未満、
    Ni:0%〜0.25%未満、
    Co:0%〜0.25%未満、
    V :0%〜0.25%未満、
    Nb:0%〜0.25%未満、
    Cu:0%〜0.25%未満、
    Mn:0%〜0.25%未満、
    Fe:0%〜15.0%未満、
    Sr:0%〜0.50%未満、
    Sb:0%〜0.50%未満、
    B :0%〜0.50%未満、及び
    不純物からなり、
    前記中間めっき層のMg濃度が、質量%で3.0%超である、めっき鋼材。
  2. Cu−Kα線を使用し、X線出力が40kV及び150mAである条件で測定した、前記表層めっき層の表面のX線回折像において、
    強度和I(Zn)=I(36.30°強度(cps))+I(38.99°強度(cps))+I(43.23°強度(cps))+I(54.34°強度(cps))+I(70.06°強度(cps))、
    強度和I(Al)=I(38.47°強度(cps))+I(44.74°強度(cps))+I(65.14°強度(cps))、
    強度和I(MgZn)=I(19.67°強度(cps))+I(20.79°強度(cps))+I(22.26°強度(cps))+I(40.47°強度(cps))+I(41.31°強度(cps))+I(45.378°強度(cps))、
    強度和Io=I(Zn)+I(Al)+I(MgZn
    としたとき、下記式1〜下記式3を満たす請求項1に記載のめっき鋼材。
    式1:I(Zn)/Io≦0.70、
    式2:0.05≦I(Al)/Io≦0.30
    式3:0.25≦I(MgZn)/Io≦0.70
  3. 前記表層めっき層のSn濃度が、質量%で、0.03〜2.00%未満であり、
    Cu−Kα線を使用し、X線出力が40kV及び150mAである条件で測定した、前記表層めっき層の表面のX線回折像において、強度I(Mg−Sn金属間化合物)=I(22.8°強度(cps))が、1000cps以上、又は回折ピークのない11°〜12°における平均強度をバックグラウンド強度(cps)とした際に、対し500cps以上高い、
    請求項1又は請求項2に記載のめっき鋼材。
  4. 前記めっき層は、前記鋼材と前記中間めっき層との間に配され、Fe濃度が30質量%以上85質量%未満)で、層厚1μm以上のAl−Fe合金層から構成される界面合金層を有する、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のめっき鋼材。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のめっき鋼材の製造方法であって、
    質量%で、
    Zn:65.0%超、
    Al:12.0%超〜25.0%、
    Mg:5.0%超〜8.0%未満、
    Sn:0〜5.00%未満、
    Bi:0%〜1.0%未満、
    In:0%〜0.50%未満、
    Ca:0.10%〜3.00%未満、
    Y :0%〜0.50%未満、
    La:0%〜0.50%未満、
    Ce:0%〜0.50%未満、
    Si:0%〜1.00%未満、
    Cr:0%〜0.25%未満、
    Ti:0%〜0.25%未満、
    Ni:0%〜0.25%未満、
    Co:0%〜0.25%未満、
    V :0%〜0.25%未満、
    Nb:0%〜0.25%未満、
    Cu:0%〜0.25%未満、
    Mn:0%〜0.25%未満、
    Fe:0%〜5.0%未満、
    Sr:0%〜0.50%未満、
    Sb:0%〜0.50%未満、
    B :0%〜0.50%未満、及び
    不純物からなる化学組成を有し、かつ浴温度が浴融点+20℃(ただし、少なくとも420℃超)〜520℃の溶融Zn−Al−Mg合金めっき浴に、層厚30μm以上のめっき層を有するめっき鋼基材であって、Znめっき鋼基材、Zn−Al合金めっき鋼基材、及びZn−Al−Mg合金めっき鋼基材から選択されるめっき鋼基材を、20秒以上240秒未満浸漬した後、引き上げる工程と、
    前記めっき鋼基材を前記溶融Zn−Al−Mg合金めっき浴から引き上げた直後から380℃まで、60秒以内で冷却する工程と、
    を有するめっき鋼材の製造方法。
  6. 前記めっき鋼基材のめっき層が、Fe濃度が3質量%以上80質量%未満で、層厚10μm以上のZn−Fe合金層から構成される界面合金層を有する、
    請求項5に記載のめっき鋼材の製造方法。
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