JP7356076B1 - 溶融めっき鋼材 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2022年2月21日に日本に出願された特願2022-024940号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
前記めっき層の平均化学組成が、質量%で、
Al:22.5%超、50.0%以下、
Mg:3.0%超、15.0%以下、
Sn:0%以上、0.7%以下、
Bi:0%以上、0.3%以下、
In:0%以上、0.3%以下、
Ca:0.03%以上、0.6%以下、
Y :0%以上、0.30%以下、
La:0%以上、0.30%以下、
Ce:0%以上、0.30%以下、
Si:0.03%以上、1.0%以下、
Cr:0%以上、0.25%以下、
Ti:0%以上、0.25%以下、
Ni:0%以上、0.25%以下、
Co:0%以上、0.25%以下、
V :0%以上、0.25%以下、
Nb:0%以上、0.25%以下、
Cu:0%以上、0.25%以下、
Mn:0%以上、0.25%以下、
Fe:2.0%以上、25%以下、
Sr:0%以上、0.50%以下、
Sb:0%以上、0.50%以下、
Pb:0%以上、0.50%以下、
B :0%以上、0.50%以下、
Li:0%以上、0.50%以下、
Zr:0%以上、0.50%以下、
Mo:0%以上、0.50%以下、
W :0%以上、0.50%以下、
Ag:0%以上、0.50%以下、
P :0%以上、0.50%以下、
残部がZnおよび不純物からなり、
Sn、BiおよびInの合計量ΣAが0%以上、0.7%以下であり、
Ca、Y、LaおよびCeの合計量ΣBが0.03%以上、0.60%以下であり、 Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnの合計量ΣCが0%以上、0.25%以下であり、
Sr、Sb、Pb、B、Li、Zr、Mo、W、AgおよびPの合計量ΣDが0%以上、0.50%以下であり、
下記式(1)~(3)を満たし、
Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Al0.5Fe1.5のX線回折ピークから求められるI1を式(A-1)で定義した場合に、式(A-2)を満足し、
Zn、Al及びMgZn2のX線回折ピークから求められるI2を式(B-1)で定義した場合に、式(B-2)を満足する、溶融めっき鋼材。
Sn≦Si …(1)
15≦Mg/Si …(2)
1.0≦Si/Ca≦5.0 …(3)
[2] Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、MgZn2のX線回折ピークから求められるI3を式(C-1)で定義した場合に、式(C-2)を満足する、[1]に記載の溶融めっき鋼材。
[3] Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Ca(Al2Si2)O8のX線回折ピークから求められるI4を式(D-1)で定義した場合に、式(D-2)を満足する、[1]または[2]に記載の溶融めっき鋼材。
本発明者らが、水中・水濡れ用途での耐食性を最適化すべく鋭意検討したところ、水濡れ時に最も腐食しにくい後めっきのめっき構造、及び含有物質の見出すに至った。本発明においては、めっき層の水濡れにおける耐食性を十分にあげることができ、溶融めっき鋼材のライフサイクルコストの低減をもって産業の発展に貢献することができる。
15≦Mg/Si …(2)
1.0≦Si/Ca≦5.0 …(3)
鋼材の素材は鋼板である。鋼板のサイズに特に制限はない。通常の溶融亜鉛めっき工程のめっき原板として用いられる鋼板であって、連続溶融亜鉛めっきライン(CGL)やバッチ式どぶ漬け亜鉛めっき工程など、溶融金属に浸漬させて表面にめっき層を凝固させることが可能な鋼板であればよい。このような鋼板を単独で、または複数の鋼板を組合せて、様々な加工(溶接を含む)を施すことで、様々な形状の鋼材が得られる。本実施形態において適用するどぶ漬けめっき方法の性格上、鋼材の形状に特に制限はなく、鋼板を加工したもの、鋼板を溶接し接合したものであってもよい。
一方で、本発明の合金層部分を鑑みてFeを取り除いた元素間の成分比率濃度は、めっき浴成分とほぼ一致するようになる。
Alは、めっき層の主体を構成する元素である。Zn-Al-Mg系めっきにおいて、Alは、めっき層中で主にAl相を形成する。Al含有量が22.5%以下であると、めっき層の凝固過程において、Zn相と、Zn相を含む三元共晶組織(Zn相、Al相、MgZn2相を含むZn/Al/MgZn2三元共晶組織)とが形成する。Zn相は、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性が低く、三元共晶組織に含まれるZn相も同様である。よって、Zn相および三元共晶組織を可能な限り晶出させないために、Al含有量は22.5%超とする。一方、Al含有量が50.0%を超えると、めっき浴の融点が上昇し、これにより、Al-Fe合金層の成長が活発となり、Al-Fe合金層の生成反応が安定せず、多くのFeがめっき層に含有されるようになり、所望のAl-Fe合金層が得られず、めっき層の性能が損なわれる。従って、Al含有量は50.0%以下とする。
Mgは、Al、Znと同様に、めっき層の主体を構成する元素である。Mgが不足すると、塩分を含む水中での耐食性が低くなる傾向にあることから、Mg含有量は3.0%超とする。一方、Mg含有量が15.0%超では、めっき層の健全性に問題があり、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性の確保が困難である。よってMg含有量は15.0%以下とする。
Sn:0%以上、0.7%以下
Bi:0%以上、0.3%以下
In:0%以上、0.3%以下
Sn、BiおよびInの合計量ΣA:0%以上、0.7%以下
元素群A(Sn、Bi、In)の各元素は、任意に含有できる元素であるので、それぞれの含有量を0%以上とする。Snを含有させると、めっき層中にMg9Sn5が形成する傾向にある。Biは、Mg3Bi2、InはMg3Inなども形成する。これにより塩水中での耐食性が向上する。
なお、これらの元素は界面合金層の反応に影響しないが、Mgと結合する傾向があるため、表層で濃度がやや高くなる傾向にあり、Mgと似た成分分布を示す。
Ca:0.03~0.6%
Y :0~0.30%
La:0~0.30%
Ce:0~0.30%
Ca、Y、LaおよびCeの合計量ΣB:0.03%以上、0.60%以下
これらの元素は、めっき原板に対するどぶ漬けめっきにおいて、Siと共に、めっき層の反応速度を制御するために必要な元素であり、また、めっき浴中でのFe拡散を制御するために必要な元素である。更に、地鉄と界面合金層との間における、これらの元素を含む金属間化合物の形成反応が、地鉄とAl-Fe合金層との密着性を確保するために必要になる。元素群Bの元素(特にCa)がないと、めっき密着性およびめっき成分の分布を制御できない。
Siは、めっき層中で、必要な金属間化合物を形成させるために必要な元素である。本実施形態においては、めっき浴温が500℃を超える場合が多い。この温度域のめっき浴に鋼板を浸漬させると、過剰にAl-Fe合金化反応が進み、めっき層のFe濃度が高くなり、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))における耐食性が悪化する傾向にある。従って、めっき層にはSiを0.03%以上含有させる必要がある。めっき層中にSiが含有されると、Al-Ca-Si系化合物が形成して、過剰なAl-Fe反応が抑制される傾向になる。なお、前述のようにAl-Ca-Si系の化合物の形成は、本実施形態で開示する製法と密接なかかわりがある。この化合物などは界面付近に集積し、Fe拡散を抑制するとともに、めっき層中の組織が凝固過程に従った適切な組織を形成することができるようになる。
Cr:0%以上、0.25%以下
Ti:0%以上、0.25%以下
Ni:0%以上、0.25%以下
Co:0%以上、0.25%以下
V :0%以上、0.25%以下
Nb:0%以上、0.25%以下
Cu:0%以上、0.25%以下
Mn:0%以上、0.25%以下
Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnの合計量ΣC:0%以上、0.25%以下
元素群Cの元素は、めっき層における含有可能な金属元素であり、含有させてもよい。これらの金属元素は、めっき層中でAl、Znなどと置換して、めっき層の電位を貴に移動させる傾向があり、この濃度範囲の含有で水中(特に模擬酸性雨中)での耐食性が改善する傾向にある。しかし、これらの元素の過剰な含有は、これらの元素からなる金属間化合物を形成するため、水中での耐食性が悪化する。従って、Cr、Ti、Co、V、Nb、Cu、Mnの含有量はそれぞれ0.25%以下とする。更に、元素群Cの元素の合計量が過剰になっても水中での耐食性が悪化するので、元素群Cの元素の合計量は0.25%以下とする。
本実施形態の溶融めっき鋼材は、めっき原板をどぶ漬けめっきすることにより製造されるため、どぶ漬けめっきの際に、めっき原板に備えられていた鋼材及び界面合金層(Fe-Zn系合金層)から、Zn-Al-Mg合金層にFeが拡散する場合がある。このため、めっき層全体の中にFeが最大25%まで含有することがあるが、この元素の含有による耐食性変化は確認されていない。よって、めっき層のFe含有量は2.0~25%とする。なお、めっき層の表層側のZn-Al-Mg合金層におけるFe濃度は2.0%未満となることがほとんどであり、また、そのFe濃度はめっき浴成分に近いものとなる。また、Feを除くめっき層の化学成分は、めっき浴成分にほぼ一致する。
Sr:0%以上、0.50%以下
Sb:0%以上、0.50%以下
Pb:0%以上、0.50%以下
B :0%以上、0.50%以下
Li:0%以上、0.50%以下
Zr:0%以上、0.50%以下
Mo:0%以上、0.50%以下
W :0%以上、0.50%以下
Ag:0%以上、0.50%以下
P :0%以上、0.50%以下
Sr、Sb、Pb、B、Li、Zr、Mo、W、AgおよびPの合計量ΣD:0%以上、0.50%以下
元素群Dの元素は、めっき層に含有させてもよい。これらの元素は、先に説明した元素群Cの元素と同様の効果があり、元素群Cよりも比較的含有させやすい元素である。よって、元素群Dの各元素の含有量はそれぞれ、0~0.50%とする。また、元素群Dの元素の合計量が過剰になると水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性が悪化するので、元素群Dの元素の合計量は0~0.50%とする。
残部にはZnを含有することが好ましい。本実施形態の溶融めっき鋼材は、汎用性の高いZn系めっき鋼材であり、犠牲防食性を確保する目的で一定量以上のZnを含有させることで、鋼材に適切な犠牲防食性を付与することなどができる。塩分濃度が低い水中における耐食性に関しては、Alの含有量が多い方が好ましいが、海水中など塩分が比較的多く含まれる水中では、耐食性を確保するためにはMgZn2などのZn-Mg系の金属間化合物を含有させることで耐食性を確保する必要がある。よって、Zn-Mg系の金属間化合物の必要量を確保するため、残部はZnとする。
15≦Mg/Si …(2)
1.0≦Si/Ca≦5.0 …(3)
Si含有量は、Sn含有量以上にする必要がある。Si含有量がSn含有量未満になると、鋼材からめっき層中に過剰なFeが拡散して、目的とする金属間化合物の形成が困難になる。
さらに、Si含有量については、15≦Mg/Siを満たす必要がある。これにより、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性が向上する。Mg含有量に対するSi含有量が高くなり、Mg/Siが15未満になると、めっき層中にMg2Siが多量に形成するようになり、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性を十分に発揮することができなくなる。好ましくは、20≦Mg/Siを満足するとよい。Mg/Siが20以上になることで、塩水中の耐食性がより向上する。
Si及びCaは、相互に結合しやすく化合物を形成しやすい。また、Y、LaまたはCeとSiも同様に結合しやすい。Si/Caが1.0未満では、Ca-Al-Zn系化合物が多く形成し、めっき層と鋼材との界面付近にAl-Ca-Si系化合物が形成しにくくなり、めっき層が水中で剥離しやすくなり、水中での耐食性が著しく損なわれる。また、Si/Caが5.0を超えると、めっき層中でのCaの含有効果が小さくなり、Mg2Siが多く形成し、Al-Ca-Si系化合物が形成しなくなり、水中での耐食性が著しく損なわれる。従って、この指標を管理指標として導入する。1.0≦Si/Ca≦5.0を満たす場合は、塩水中の耐食性が向上する。より好ましくは、1.0≦Si/Ca≦3.0を満たすとよい。これにより、塩水中の耐食性が更に向上する。
Zn相は、めっき層中に存在し、三元共晶組織(Zn/Al/MgZn2三元共晶組織)として主に存在している。三元共晶組織に含まれないZn相もある。Zn相およびZn相を含む三元共晶組織は、水中では耐食性が低く、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))に浸漬させると短期間のうちに消失するため、これらのZn相を可能な限り少なくさせる必要がある。本実施形態ではZn相の含有を厳しく制限し、めっき層中に含まれるZnはAl相に固溶させるか、Al-Zn相とするか、MgZn2相として金属間化合物とする。これにより水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))でのめっき層の耐食性を確保できる。
Al相は、めっき層中にAl初晶として塊状に存在する。本実施形態のめっき層には一定量のZnが含有されるが、塊状に存在するAl相には最大で35%程度のZnが含有されるようになる。このため、塊状のAl初晶は、厳密には、Al-Zn相である。Al-Zn相は、極微細な結晶粒の集まりであり、結晶サイズで確認すると数nm~約3μmの細かい結晶粒が集合した組織である。X線回折や、TEMなどにより、微細なAl相およびZn相を含む組織の集合体として確認される場合があり、本発明ではこのような微細な組織をもAl相と称する。
MgZn2相は、めっき層中に存在し、MgZn2相として塊状に存在するほか、Al相と共にAl-MgZn2共晶線上で凝固した際に形成したデンドライト状組織や、三元共晶組織(Zn/Al/MgZn2三元共晶組織)中に、微細な結晶粒として一定量含有される。MgZn2相は、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))の耐食性が良好であり、模擬雨水・塩水中の両方で耐食性が高い。一方で、MgZn2相の耐食性には粒径依存性があり、三元共晶組織中に含有されるMgZn2などはカップリング反応などで腐食しやすい傾向にある。三元共晶組織中に含有されるMgZn2は、X線回折測定において(102)面の回折ピークを示す。従って、(102)面の方位を示すMgZn2相を減らすことで、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))の耐食性が向上する傾向にある。
上記のように、めっき浴中に一定濃度以上のAlが含有されることから、めっき原板をどぶ漬けめっきする際に、めっき原板に備えられていたZn-Fe合金層が、Al-Fe合金層に置き換わる。Al-Fe合金層に含まれうる金属間化合物として、AlFe相、Al0.5Fe1.5(AlFe3)相、Al5Fe2相、Al13Fe4などが挙げられる。また、めっき浴中にはZnが一定濃度含まれることから、Al-Fe合金層の結晶形態を変えるほどではないが、Alの一部がZnに置換した金属間化合物も存在する。また、Siを含む金属間化合物も含有される場合もある。
Al0.5Fe1.5は、Al-Fe合金層において模擬酸性雨、および海水(塩水)中の耐食性を確保できる。Al0.5Fe1.5は、データベース番号(ICDD-JCPDS粉末回折データベース)01-077-6757で示される物質である。表記は、(AlFe3)0.5と表記された物質で、Al0.5Fe1.5と同等である。この金属間化合物に検出するのに都合の良い回折角度は、2θで43.95°((110)面)である。
Znは、データベース番号(ICDD-JCPDS粉末回折データベース)00-004-0831で示される物質である。本実施形態のめっき組成範囲で、Znを検出するのに都合の良い角度は、1つの角度がある。すなわち、回折角度2θで、36.30°((002)面)である。
本実施形態のめっき組成範囲で、Alを検出するのに都合の良い角度は、1つの角度がある。すなわち、回折角度2θで、38.47°((111)面)である。
本実施形態のめっき組成範囲で、この金属間化合物に検出するのに都合の良い角度は、1つの角度がある。すなわち、回折角度2θで、19.67°((100)面)である。
めっき層の表面に形成される場合がある酸化被膜は、Ca(Al2Si2)O8を含む。Ca(Al2Si2)O8は、データベース番号(ICDD-JCPDS粉末回折データベース)00-051-0064で示される物質である。本実施形態のめっき層の組成範囲で、この金属間化合物に検出するのに都合の良い回折角度は、2θで23.41°((102)面)である。
Imax(38.00~39.00°)は回折角度38.00~39.00°の間におけるX線回折強度の最大値であり、Alの(111)面の回折強度に対応する。
Imax(19.20~20.00°)は回折角度19.20~20.00°の間におけるX線回折強度の最大値であり、MgZn2の(100)面の回折強度に対応する。
Imax(19.20~20.00°)は回折角度19.20~20.00°の間におけるX線回折強度の最大値であり、MgZn2の(100)面の回折強度に対応する。
Imax(20.58~20.98°)は回折角度20.58~20.98°の間におけるX線回折強度の最大値であり、MgZn2の(002)面の回折強度に対応する。
Imax(22.06~22.45°)は回折角度22.06~22.45°の間におけるX線回折強度の最大値であり、MgZn2の(101)面の回折強度に対応する。
本実施形態の溶融めっき鋼材は、どぶ漬け二段めっき法よって製造できる。鋼材表面をフラックス処理した後に、めっき浴に浸漬する一段のどぶ漬けめっき法では、めっき浴中のMgと反応したフラックスの残渣が残りやすく、また所望のAl-Fe合金層を形成できないため、どぶ漬け二段めっき法が適切である。
Zn-Fe合金層の平均厚さに対するζ相の厚みの平均厚さの比(ζ相の厚みの平均厚さ/Zn-Fe合金層の平均厚さ)を0.75以上にするためには、どぶ漬けめっき法における浸漬時間を60~600秒、好ましくは120~300秒とする。また、めっき浴の温度を420~520℃、好ましくは430~470℃とする。めっき浴から引き上げ後、鋼板温度が300℃以上、好ましくは350℃以上の温度から水冷する。
本実施形態の製造方法では、上記のめっき原板を、溶融めっき浴に浸漬させてから引き上げる。めっき層の成分は、建浴するめっき浴の成分によってこれを制御することが可能である。めっき浴の建浴は、純金属を所定量混合することで、例えば不活性雰囲気下の溶解法によって、めっき浴成分の合金を作製する。
酸性雨水中の耐食性は、模擬酸性雨耐食性試験により評価する。この試験は、大気中の酸性雨が流れ込む状況を想定した試験である。模擬酸性雨として、イオン交換水にNaCl,HNO3,H2SO4を加え、NaOHにてpHを調整することにより、Cl-:10ppm,NO3-:20ppm,SO4 2-:40ppm,pH5.0±0.2に調整された試験水を用意する。60Lの試験水を、一辺50cmの立方体形状の容器に入れる。ステンレス製軸(φ25mm)の先端に、ジグおよびボルトによってめっき鋼板試験片を取り付ける。試験片は、直径130mmの円板とする。円板の中心に穴を設け、この穴にステンレス製軸の先端を嵌め込ませて固定する。試験片を試験水中に浸漬させ、試験片の外周速度が2.2m/sとなるように試験片を高速で回転させる。試験片とジグが触れる部分はテープシール等で絶縁処理をする。pHの監視は常時行い、pH5.0±0.2の範囲から外れた場合は、希塩酸もしくはNaOH水溶液でpH5.0に戻す。水温は23~25℃の範囲に保つ。250時間おきに試験液は交換する。1000時間経過後、試験片を取り出し、30%クロム酸(VI)水溶液に15分間浸漬して、浸漬前後の重量差を測定し、腐食減量(g/m2)を求める。試験片については端面部を開放状態とし、中央の穴部分は評価外とする。評価基準は下記の通りとする。
腐食減量が5~15g/m2未満:模擬酸性雨中の耐食性「A」
腐食減量が15~30g/m2未満:模擬酸性雨中の耐食性「B」
腐食減量が30~50g/m2未満:模擬酸性雨中の耐食性「C」
腐食減量が50~75g/m2未満:模擬酸性雨中の耐食性「D」
腐食減量が75g/m2以上:模擬酸性雨中の耐食性「E」
塩水中の耐食性は、塩水水溶液における耐食性試験により評価する。この試験は、試験水を5%NaCl水溶液とすること以外は、模擬酸性雨耐食性試験と同様にして行う。1000時間経過後、30%クロム酸(VI)水溶液に15分間浸漬し、浸漬前後の腐食減量を求める。評価基準は下記の通りとする。
腐食減量が30~40g/m2未満:塩水中の耐食性「A」
腐食減量が40~60g/m2未満:塩水中の耐食性「B」
腐食減量が60~80g/m2未満:塩水中の耐食性「C」
腐食減量が80~100g/m2未満:塩水中の耐食性「D」
腐食減量が100g/m2以上:塩水中の耐食性「E」
めっき後の溶融めっき鋼材を20mm角に切断し、高角X線回折装置Rigaku社製(型番RINT-TTR III)を用い、X線出力50kV、300mA、銅(Cu)ターゲット、ゴニオメーターTTR(水平ゴニオメーター)、Kβフィルターのスリット幅0.05mm、長手制限スリット幅2mm、受光スリット幅8mm、受光スリット2開放とし、測定条件としてスキャンスピード5deg./min、ステップ幅0.01deg、スキャン軸2θ(5~90°)として測定を実施し、各角度でのcps強度を得た。
酸性雨水中の耐食性は、模擬酸性雨耐食性試験により評価した。この試験は、大気中の酸性雨が流れ込む状況を想定した試験である。模擬酸性雨として、イオン交換水にNaCl,HNO3,H2SO4を加え、NaOHにてpHを調整することにより、Cl-:10ppm,NO3-:20ppm,SO4 2-:40ppm,pH5.0±0.2に調整された試験水を用意した。60Lの試験水を、一辺50cmの立方体形状の容器に入れた。ステンレス製軸(φ25mm)の先端に、ジグおよびボルトによってめっき鋼板試験片を取り付けた。試験片は、直径130mmの円板とした。円板の中心に穴を設け、この穴にステンレス軸の先端を嵌め込ませて固定した。試験片を試験水中に浸漬させ、試験片の外周速度が2.2m/sとなるように試験片を高速で回転させた。試験片とジグが触れる部分はテープシール等で絶縁処理をした。pHの監視は常時行い、pH5.0±0.2の範囲から外れた場合は、希塩酸もしくはNaOH水溶液でpH5.0に戻す。水温は23~25℃の範囲に保った。250時間おきに試験液は交換した。1000時間経過後、試験片を取り出し、30%クロム酸(VI)水溶液に15分間浸漬して、浸漬前後の重量差を測定し、腐食減量(g/m2)を求めた。試験片については端面部を開放状態とし、中央の穴部分は評価外とした。評価基準は下記の通りとした。
腐食減量が5~15g/m2未満:模擬酸性雨中の耐食性「A」
腐食減量が15~30g/m2未満:模擬酸性雨中の耐食性「B」
腐食減量が30~50g/m2未満:模擬酸性雨中の耐食性「C」
腐食減量が50~75g/m2未満:模擬酸性雨中の耐食性「D」
腐食減量が75g/m2以上:模擬酸性雨中の耐食性「E」
塩水中の耐食性は、塩水水溶液における耐食性試験により評価した。この試験は、試験水を5%NaCl水溶液とすること以外は、模擬酸性雨耐食性試験と同様にして行った。1000時間経過後、30%クロム酸(VI)水溶液に15分間浸漬し、浸漬前後の腐食減量を求めた。評価基準は下記の通りとした。
腐食減量が30~40g/m2未満:塩水中の耐食性「A」
腐食減量が40~60g/m2未満:塩水中の耐食性「B」
腐食減量が60~80g/m2未満:塩水中の耐食性「C」
腐食減量が80~100g/m2未満:塩水中の耐食性「D」
腐食減量が100g/m2以上:塩水中の耐食性「E」
Claims (3)
- 鋼材表面に、めっき層を有するめっき鋼材であって、
前記めっき層の平均化学組成が、質量%で、
Al:22.5%超、50.0%以下、
Mg:3.0%超、15.0%以下、
Sn:0%以上、0.7%以下、
Bi:0%以上、0.3%以下、
In:0%以上、0.3%以下、
Ca:0.03%以上、0.6%以下、
Y :0%以上、0.30%以下、
La:0%以上、0.30%以下、
Ce:0%以上、0.30%以下、
Si:0.03%以上、1.0%以下、
Cr:0%以上、0.25%以下、
Ti:0%以上、0.25%以下、
Ni:0%以上、0.25%以下、
Co:0%以上、0.25%以下、
V :0%以上、0.25%以下、
Nb:0%以上、0.25%以下、
Cu:0%以上、0.25%以下、
Mn:0%以上、0.25%以下、
Fe:2.0%以上、25%以下、
Sr:0%以上、0.50%以下、
Sb:0%以上、0.50%以下、
Pb:0%以上、0.50%以下、
B :0%以上、0.50%以下、
Li:0%以上、0.50%以下、
Zr:0%以上、0.50%以下、
Mo:0%以上、0.50%以下、
W :0%以上、0.50%以下、
Ag:0%以上、0.50%以下、
P :0%以上、0.50%以下、
残部がZnおよび不純物からなり、
Sn、BiおよびInの合計量ΣAが0%以上、0.7%以下であり、
Ca、Y、LaおよびCeの合計量ΣBが0.03%以上、0.60%以下であり、 Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnの合計量ΣCが0%以上、0.25%以下であり、
Sr、Sb、Pb、B、Li、Zr、Mo、W、AgおよびPの合計量ΣDが0%以上、0.50%以下であり、
下記式(1)~(3)を満たし、
Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Al0.5Fe1.5のX線回折ピークから求められるI1を式(A-1)で定義した場合に、式(A-2)を満足し、
Zn、Al及びMgZn2のX線回折ピークから求められるI2を式(B-1)で定義した場合に、式(B-2)を満足する、溶融めっき鋼材。
Sn≦Si …(1)
15≦Mg/Si …(2)
1.0≦Si/Ca≦5.0 …(3)
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