JP7356076B1 - 溶融めっき鋼材 - Google Patents

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Abstract

鋼材表面にめっき層を有し、めっき層が、Al:22.5%超50.0%以下、Mg:3.0%超15.0%以下、Ca:0.03~0.6%、Si:0.03~1.0%、Fe:2~25%、残部Znおよび不純物からなり、Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Al0.5Fe1.5のX線回折ピークから求められるI1が1.1以上であり、Zn、Al及びMgZn2のX線回折ピークから求められるI2が0.25以下である、溶融めっき鋼材。

Description

本発明は溶融めっき鋼材に関する。
本願は、2022年2月21日に日本に出願された特願2022-024940号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
めっき鋼材には、製法の違いにより、後めっき製品と、プレめっき製品とに分類される。後めっき製品は、鋼板を加工して所定の形状の鋼材とし、次いで、鋼材を溶融亜鉛めっき浴に浸漬させる方法(どぶ漬けめっき法)によって製造される。一方、プレめっき製品は、鋼板を連続的に溶融めっき浴に浸漬させることで溶融めっき鋼板とし、次いで、溶融めっき鋼板を所定の形状に加工することによって製造される。JIS H 8641:2007には、後めっき製品について種類、記号、めっき品質、外観、付着量が定められている。例えば、記号HDZ35のめっきは、付着量が350g/m以上とされており、記号HDZ55のめっきに至っては、付着量が550g/m以上とされている。
このようなめっき鋼材は、様々な分野で用いられるが、特に腐食環境が厳しい条件として水中での用途がある。このようなめっき鋼材の使用用途として例えば、鋼製水路・集水樋などが想定される。一般社団法人 日本溶融亜鉛鍍金協会のホームページ「亜鉛めっきについて」によれば、水中における亜鉛の腐食速度は30~100g/mに達する。これが意味するところは、めっき厚さが比較的厚い記号HDZ35~55に相当する後めっき製品であっても、早いもので3~5年でめっき層の寿命を終えてしまうことになる。
従って、水中環境での用途や水濡れが起きうる用途では、めっきの厚さが分厚いことが必要であり、こうした用途には、どぶ漬け法により製造される後めっき製品が多用される。ところで、一般的なZnめっき層は、水浸漬環境において、Znめっき層中のZnがイオン化して徐々に水中に溶出する。Znめっき層表面のZn相(η相)が消失すると、めっき層と鋼材との界面にある界面合金層(Zn-Fe合金層)が腐食する。この界面合金層がさらに腐食し続けると、地鉄の腐食が進行する。このため、従来から、めっき層の表層にあるZn相及び界面合金層の耐食性を高めることで、めっき層の寿命を長くすることが検討されている。例えば、特許文献1は、めっき表層のZn相の代わりにZn-Al―Mgめっき層が適用された例であり、特許文献2は、さらにZn相に合金元素を加えて耐食性が高められた例である。しかしながら、水中や水に濡れる環境下での耐食性をさらに向上できれば、池・川・海岸等で使用されるめっき鋼材として、後めっき製品をより幅広く採用されることが期待できる。
日本国特開2010-070810号公報 日本国特開2021-004403号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、水中や水濡れが起こり得る常時水濡れ環境下において高い耐食性を示すことが可能な、溶融めっき鋼材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 鋼材表面に、めっき層を有するめっき鋼材であって、
前記めっき層の平均化学組成が、質量%で、
Al:22.5%超、50.0%以下、
Mg:3.0%超、15.0%以下、
Sn:0%以上、0.7%以下、
Bi:0%以上、0.3%以下、
In:0%以上、0.3%以下、
Ca:0.03%以上、0.6%以下、
Y :0%以上、0.30%以下、
La:0%以上、0.30%以下、
Ce:0%以上、0.30%以下、
Si:0.03%以上、1.0%以下、
Cr:0%以上、0.25%以下、
Ti:0%以上、0.25%以下、
Ni:0%以上、0.25%以下、
Co:0%以上、0.25%以下、
V :0%以上、0.25%以下、
Nb:0%以上、0.25%以下、
Cu:0%以上、0.25%以下、
Mn:0%以上、0.25%以下、
Fe:2.0%以上、25%以下、
Sr:0%以上、0.50%以下、
Sb:0%以上、0.50%以下、
Pb:0%以上、0.50%以下、
B :0%以上、0.50%以下、
Li:0%以上、0.50%以下、
Zr:0%以上、0.50%以下、
Mo:0%以上、0.50%以下、
W :0%以上、0.50%以下、
Ag:0%以上、0.50%以下、
P :0%以上、0.50%以下、
残部がZnおよび不純物からなり、
Sn、BiおよびInの合計量ΣAが0%以上、0.7%以下であり、
Ca、Y、LaおよびCeの合計量ΣBが0.03%以上、0.60%以下であり、 Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnの合計量ΣCが0%以上、0.25%以下であり、
Sr、Sb、Pb、B、Li、Zr、Mo、W、AgおよびPの合計量ΣDが0%以上、0.50%以下であり、
下記式(1)~(3)を満たし、
Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Al0.5Fe1.5のX線回折ピークから求められるIを式(A-1)で定義した場合に、式(A-2)を満足し、
Zn、Al及びMgZnのX線回折ピークから求められるIを式(B-1)で定義した場合に、式(B-2)を満足する、溶融めっき鋼材。
Sn≦Si …(1)
15≦Mg/Si …(2)
1.0≦Si/Ca≦5.0 …(3)
Figure 0007356076000001
ただし、式(1)~(3)において、Sn、Si、Mg、Caは前記めっき層における各元素の含有量(質量%)であり、式(A-1)及び式(B-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値であり、式(A-1)におけるImax(n°)は回折角度n°におけるX線回折強度であり、k、m、nはそれぞれ式(A-1)及び式(B-1)中に示される回折角度である。
[2] Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、MgZnのX線回折ピークから求められるIを式(C-1)で定義した場合に、式(C-2)を満足する、[1]に記載の溶融めっき鋼材。
Figure 0007356076000002
ただし、式(C-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値であり、k、mはそれぞれ式(C-1)中に示される回折角度である。
[3] Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Ca(AlSi)OのX線回折ピークから求められるIを式(D-1)で定義した場合に、式(D-2)を満足する、[1]または[2]に記載の溶融めっき鋼材。
Figure 0007356076000003
ただし、式(D-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値であり、Imax(n°)は回折角度n°におけるX線回折強度であり、k、m、nはそれぞれ式(D-1)中に示される回折角度である。
本発明によれば、水中(模擬酸性雨中もしくは海水のような塩水)や水濡れが起こり得る常時水濡れ環境下において高い耐食性を示すことが可能な溶融めっき鋼材を提供できる。なお、以下の説明では、「模擬酸性雨中」を塩分濃度が比較的低い水中と言う場合があり、「海水(塩水)」を塩分濃度が比較的高い水中と言う場合がある。
式(A-1)を説明するための模式図。 式(D-1)を説明するための模式図。
本発明者らは、Al、Mg及びZnを含有するめっき層を備え、どぶ漬け式の溶融亜鉛めっき法により製造される溶融めっき鋼材について、常時水濡れ環境下における耐食性を向上させるため鋭意検討した。
本発明者らが、水中・水濡れ用途での耐食性を最適化すべく鋭意検討したところ、水濡れ時に最も腐食しにくい後めっきのめっき構造、及び含有物質の見出すに至った。本発明においては、めっき層の水濡れにおける耐食性を十分にあげることができ、溶融めっき鋼材のライフサイクルコストの低減をもって産業の発展に貢献することができる。
めっき層中にZnが含有されると、めっき層の組織中にZn相が形成される場合がある。Zn相は水中で腐食されやすく、Zn相が消失するまで腐食が進行するので、これをめっき層の主相としてはならない。Al、Mg及びZnを含有するめっき層には、様々な金属間化合物相が確認されるが、本発明では、Zn相の相量を制限するために、その化学成分を調整し、特にAl量を増量させる。
Al量を増量させると、めっき層の組織中にAl相が多く形成される。軟水・硬水・酸性雨など塩分濃度が比較的低い水中では、Al相は耐食性に優れるので、Alをめっき層中に含有してもよい。Al相が耐水性に優れる理由は、Alの表面にAlのようなアルミナ被膜が形成されるためと考えられる。
また、二段めっき法及びどぶ漬けめっき法を併用する方法(以下、どぶ漬け二段めっき法という)、すなわち、Zn系めっき鋼材よりなるめっき原板を、溶融めっき浴に浸漬させてから引き上げる方法では、めっき層を有しない鋼材をめっき原板としてどぶ付けめっきする場合に比べて、比較的厚いめっき層を得ることが可能になることを見出した。例えば、めっき原板として、めっき層と地鉄との間に界面合金層を有する合金化Zn系めっき鋼材を用いてどぶ漬けめっきを行うと、めっき原板の界面合金層の上に新たな溶融めっき層が形成し、界面合金層を含むめっき層全体の厚みを厚くすることが可能になる。そこで、常時水濡れ環境下における耐食性を向上させるべく、本発明者らが、水に溶出しにくい界面合金層の構造を検討した結果、(AlFe0.5(以下、Al0.5Fe1.5と表記)が、周囲のめっき層と地鉄との電位差が小さく、最も溶出しにくい構造をもち、高い耐食性を示すことを見出した。
一方、塩分を含有する海水等においては、Alは腐食されやすいため、Alの含有量を制限せざるを得なくなる。Al量を高くしたままで海水等に対する耐食性を向上するためには、金属間化合物のような複雑な結晶構造を有するものの割合を高くすることが好ましく、例えばMgZn相をめっき層中に多く含有させることが好ましい。ただし、MgZn相を多く含有させる場合は、三元共晶組織中に含まれるような特定の面方位のMgZn相を少なくして、粗大結晶粒の(例えば粒径3μm超の)MgZn相を大きく成長させる必要がある。Zn相、Al相などとともに三元共晶組織中に存在するMgZn相の多くは腐食しやすいためである。その原因は、周囲の組織によるカップリング反応が盛んなことと、特定のMgZn相の方位がこの三元共晶組織中に存在すること、にあると考えられる。三元共晶組織中に含まれるような特定の面方位のMgZn相を制限することで、海水中でも極めて高い耐食性を発揮させることが可能になる。
さらに、めっき層の耐食性を向上させるためには、めっき層表面に、バリア性の高い酸化被膜を形成させることがより好ましい。このバリア性に適した酸化物は、Ca(AlSi)Oであり、これを表面に形成させることで、水濡れ耐食性を大幅に向上させることができることを本発明者らが見出した。
また、どぶ漬け二段めっき法において、界面合金層を有するめっき原板を用いるとともに、2段目の溶融めっき浴としてAlを多く含有するZn-Al-Mg系のめっき浴を用いた場合、めっき原板の界面合金層に含まれる鉄とめっき浴中のAlとが反応してFe-Al系化合物が生成し、このFe-Al系化合物を含む新たな界面合金層が、鋼材と新たなめっき層との間に形成される。このとき、新たに形成されるFe-Al系化合物は、Al0.5Fe1.5である必要がある。本発明者らが鋭意検討したところ、Al0.5Fe1.5を含む界面合金層を形成するためには、めっき原板に含まれる界面合金層を最適化するとともに、めっき浴への浸漬条件を最適化する必要があることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の実施形態に係るめっき鋼板について説明する。
本発明の実施形態の溶融めっき鋼材は、鋼材表面に、めっき層を有するめっき鋼材であって、めっき層の平均化学組成が、質量%で、Al:22.5%超、50.0%以下、Mg:3.0%超、15.0%以下、Sn:0%以上、0.7%以下、Bi:0%以上、0.3%以下、In:0%以上、0.3%以下、Ca:0.03%以上、0.6%以下、Y:0%以上、0.30%以下、La:0%以上、0.30%以下、Ce:0%以上、0.30%以下、Si:0.03%以上、1.0%以下、Cr:0%以上、0.25%以下、Ti:0%以上、0.25%以下、Ni:0%以上、0.25%以下、Co:0%以上、0.25%以下、V:0%以上、0.25%以下、Nb:0%以上、0.25%以下、Cu:0%以上、0.25%以下、Mn:0%以上、0.25%以下、Fe:2.0%以上、25%以下、Sr:0%以上、0.50%以下、Sb:0%以上、0.50%以下、Pb:0%以上、0.50%以下、B:0%以上、0.50%以下、Li:0%以上、0.50%以下、Zr:0%以上、0.50%以下、Mo:0%以上、0.50%以下、W:0%以上、0.50%以下、Ag:0%以上、0.50%以下、P:0%以上、0.50%以下残部がZnおよび不純物からなり、Sn、BiおよびInの合計量ΣAが0%以上、0.7%以下であり、Ca、Y、LaおよびCe合計量ΣBが0.03%以上、0.60%以下であり、Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnの合計量ΣCが0%以上、0.25%以下であり、Sr、Sb、Pb、B、Li、Zr、Mo、W、AgおよびPの合計量ΣDが0%以上、0.50%以下であり、下記式(1)~(3)を満たし、Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Al0.5Fe1.5のX線回折ピークから求められるIを式(A-1)で定義した場合に、式(A-2)を満足し、Zn、Al及びMgZnのX線回折ピークから求められるIを式(B-1)で定義した場合に、式(B-2)を満足する。
Sn≦Si …(1)
15≦Mg/Si …(2)
1.0≦Si/Ca≦5.0 …(3)
Figure 0007356076000004
ただし、式(1)~(3)において、Sn、Si、Mg、Caはめっき層における各元素の含有量(質量%)であり、式(A-1)及び式(B-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値であり、式(A-1)におけるImax(n°)は回折角度n°におけるX線回折強度であり、k、m、nはそれぞれ式(A-1)及び式(B-1)中に示される回折角度である。
以下の説明において、化学組成の各元素の含有量の「%」表示は、「質量%」を意味する。また、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、「~」の前後に記載される数値に「超」または「未満」が付されている場合の数値範囲は、これら数値を下限値または上限値として含まない範囲を意味する。
また、「耐食性」とは、めっき層自体の腐食し難い性質を示す。Zn系めっき層は、鋼材に対して犠牲防食作用があるため、鋼材が腐食する前にめっき層が腐食し白錆化して、白錆化しためっき層が消滅した後、鋼材が腐食し赤錆を生じるのがめっき鋼板の腐食過程である。
めっきの対象となる鋼材について説明する。
鋼材の素材は鋼板である。鋼板のサイズに特に制限はない。通常の溶融亜鉛めっき工程のめっき原板として用いられる鋼板であって、連続溶融亜鉛めっきライン(CGL)やバッチ式どぶ漬け亜鉛めっき工程など、溶融金属に浸漬させて表面にめっき層を凝固させることが可能な鋼板であればよい。このような鋼板を単独で、または複数の鋼板を組合せて、様々な加工(溶接を含む)を施すことで、様々な形状の鋼材が得られる。本実施形態において適用するどぶ漬けめっき方法の性格上、鋼材の形状に特に制限はなく、鋼板を加工したもの、鋼板を溶接し接合したものであってもよい。
鋼材の素材となる鋼板の材質には、特に制限はない。例えば、一般鋼、Alキルド鋼、極低炭素鋼、高炭素鋼、各種高張力鋼、一部の高合金鋼(Ni、Cr等の耐食性強化元素含有鋼等)などの各種の鋼板が適用可能である。また、鋼板は、鋼板の製造方法(高炉材、電炉材)、鋼板の製造方法(熱間圧延方法、酸洗方法、冷延方法等)等の条件についても、特に制限されるものではない。
なお、後述するように、本実施形態のめっき原板としては、一例として、あらかじめ、上記の鋼材の表面に溶融Znめっき層が形成されためっき鋼材(例えばJIS H 8641:2007)などを使用することが好ましい。本実施形態の溶融めっき鋼材に備えられるめっき層を形成するためには、めっき原板としてめっき鋼材を使用する必要があり、めっき鋼材のめっき層には特定範囲の厚さをもつZn-Fe合金層(界面合金層)を含む必要がある。
次に、本実施形態の溶融めっき鋼材に備えられるめっき層について説明する。本実施形態に係るめっき層の主体は、表層側のZn-Al-Mg系合金層と、地鉄との界面に存在するAl-Fe合金層(界面合金層)とに分けられる。また、めっき層には、Zn-Al-Mg系合金層上に形成された、酸素を含む厚み不定形の酸化被膜が含まれる場合もある。
Zn-Al-Mg系合金層は、Zn-Al-Mg系合金よりなる。Zn-Al-Mg系合金とは、Zn、Al及びMgを含む三元系合金を意味する。Zn-Al-Mg系合金層は、地鉄(鋼材)から離れて位置している。Zn-Al-Mg系合金層は、めっき原板においてZn層またはZn合金層であった部分が、どぶ漬けめっき時にめっき浴中で溶解された後に、めっき浴の溶融金属に置換されたことによって形成されたものである。従って、Zn-Al-Mg系合金層は、めっき浴とほぼ同成分の合金層であり、耐食性に優れるとともに、Zn、Mg成分を多く含むことから犠牲防食性にも富んでいる。
Al-Fe合金層は、鋼材とZn-Al-Mg合金層との間にある界面合金層である。Al-Fe合金層は地鉄側に存在するため、めっき原板をどぶ漬けめっきする際に地鉄側からFeが拡散する。従って、Al-Fe合金層は、めっき浴中のAlと、めっき時に地鉄から拡散されたFeの両方を含む層とされる。実際にAl-Fe合金層の断面を拡大すると、棒状に存在するAlFe系金属間化合物の集合体と、表層のZn-Al-Mg合金層に含まれる構成相との混合相が存在する。
また、Al-Fe合金層は、めっき原板をどぶ漬けめっきした際に、めっき原板に備えられていたZn-Fe合金よりなる界面合金層(前述のZn-Fe合金層)であった部分が、どぶ漬けめっきのめっき浴中のAlと反応することによって形成された層でもあり、水中環境(模擬酸性雨、および海水(塩水))において極めて高い耐食性を示す。
溶融めっき鋼材のAl-Fe合金層は、鋼材表面(具体的には、鋼材とZn-Al-Mg合金層との間)に形成されており、Al-Fe合金層は、地鉄(鋼材)およびめっき浴の相互の原子拡散によって形成する。製法として溶融めっき法を用いた場合、Al元素を含有するめっき層では、Al-Fe合金層が形成され易い。本実施形態に係るAl-Fe合金層は、Al0.5Fe1.5を含有する。Al0.5Fe1.5については後述する。
本実施形態に係るめっき層にはSiが含有される。Siは、特にAl-Fe合金層中に取り込まれ易く、Al-Fe-Si金属間化合物相となることがある。この金属間化合物は、めっき原板のどぶ漬けめっきの際に、地鉄(鋼材)とAl-Fe合金層の間に1μm未満の厚みで形成する金属間化合物である。同定される金属間化合物相としては、AlFeSi相があり、異性体として、α、β、q1,q2-AlFeSi相等が存在する。そのため、Al-Fe合金層は、これらAlFeSi相等が検出されることがある。
一般に、めっき層の最表面には、めっき層の構成元素の酸化物を含む酸化被膜が形成する場合がある。本実施形態においては、10μm以下、あるいは1μm未満の厚みを有する酸化被膜が部分的に形成する場合がある。通常、めっき層に含有される元素はめっき層表面で酸素と結合する。本実施形態に係るめっき層に酸化被膜が備えられる場合、XPS(X線分光分析)などの表面分析によって、Zn-O、Mg-O、Al-O、Si-O、Ca-Oなどの結合、またはMg-Al-O、Al-Si-O、Ca-Al-Si-Oなどの結合が確認される。このような酸化被膜は、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))で高い耐食性を確保するために有用な被膜である。
めっき層全体の厚みは、めっき条件や形状に左右されるため、めっき層全体の厚みの上限及び下限については特に限定されるものではない。例えば、片面当たりの厚みとして、めっき層全体の厚みは50~120μm程度でもよい。Al-Fe合金層及びZn-Al-Mg合金層の厚みは特に制限されないが、例えば、Al-Fe合金層の厚みは10~100μmであってもよく、めっき層の全体の厚みの20%~80%を占めてもよい。また、界面合金層上のZn-Al-Mg合金層が少なくとも全体の厚みの20%以上を占めており、その厚みは例えば15~100μmであってもよい。ただし、この厚みは一般的な、めっき鋼板の平面部における厚みであって、例えば端面部、角部等の形状が複雑な個所などは、めっき垂れ、溜まりが形成するため、1mm程度の厚みに、部分的に至ることもある。
次に、めっき層の平均化学組成について説明する。めっき層全体の平均化学組成は、Al-Fe合金層及びZn-Al-Mg合金層の合計の平均化学組成である。
めっき原板としてZn系めっき鋼材を使用してどぶ漬けめっきを行う場合、最終的に鋼材表面に付着するZn-Al-Mg合金層の化学組成は、ほぼめっき浴と同等になる。これは、めっき原板のZn系めっき層が界面合金層を除いてほとんど残らないこと、めっき原板のZn系めっき層の付着量に対してどぶ漬けめっきのめっき浴量が圧倒的に多いことによる。
一方、Al-Fe合金層は、めっき原板に備えられていたZn-Fe合金相を含む界面合金層が、どぶ漬けめっき時の反応によってAl-Fe合金層に変化したものであるから、Al-Fe合金層のAl濃度およびFe濃度は、どぶ漬けめっきのめっき浴組成よりも高い傾向にある。一方、Al-Fe合金層のZn濃度は、めっき原板に備えられていたZn-Fe合金相中のZnが僅かに残存する場合があるために、どぶ漬けめっきのめっき浴組成よりも高くなる場合がある。その他の成分はどぶ漬けめっきのめっき浴組成に比べて低くなる場合がある。
一方で、本発明の合金層部分を鑑みてFeを取り除いた元素間の成分比率濃度は、めっき浴成分とほぼ一致するようになる。
以下、めっき層に含まれる元素について説明する。これらの成分は、本発明の所定のめっき構造・性能を発揮するための前提条件であり、この範囲外で本実施形態のめっき層を製造することは困難である。
Al:22.5%超、50.0%以下
Alは、めっき層の主体を構成する元素である。Zn-Al-Mg系めっきにおいて、Alは、めっき層中で主にAl相を形成する。Al含有量が22.5%以下であると、めっき層の凝固過程において、Zn相と、Zn相を含む三元共晶組織(Zn相、Al相、MgZn相を含むZn/Al/MgZn三元共晶組織)とが形成する。Zn相は、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性が低く、三元共晶組織に含まれるZn相も同様である。よって、Zn相および三元共晶組織を可能な限り晶出させないために、Al含有量は22.5%超とする。一方、Al含有量が50.0%を超えると、めっき浴の融点が上昇し、これにより、Al-Fe合金層の成長が活発となり、Al-Fe合金層の生成反応が安定せず、多くのFeがめっき層に含有されるようになり、所望のAl-Fe合金層が得られず、めっき層の性能が損なわれる。従って、Al含有量は50.0%以下とする。
また、Al含有量は、Al-Fe合金層の構造に大きな影響を与える。詳細は後述するが、Al含有量が35.0%超になると、めっき層中のZn相の量が少なくなり、水中(模擬酸性雨・塩水中)における耐食性をより高めることができるようになる。従って、Al含有量は、好ましくは35.0%超である。
Mg:3.0%超、15.0%以下
Mgは、Al、Znと同様に、めっき層の主体を構成する元素である。Mgが不足すると、塩分を含む水中での耐食性が低くなる傾向にあることから、Mg含有量は3.0%超とする。一方、Mg含有量が15.0%超では、めっき層の健全性に問題があり、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性の確保が困難である。よってMg含有量は15.0%以下とする。
また、MgはFeとは反応しにくいため、めっき層の厚み方向におけるMgの分布は、地鉄との界面付近やAl-Fe合金層近傍でMg濃度が低く、めっき層の表層でMg濃度が高くなる傾向にある。めっき層中のMg含有量が5.0%超になると、めっき層中のZn相の量が少なくなり、水中(模擬酸性雨・塩水中)における耐食性をより高めることができるようになる。従って、Mg含有量は、好ましくは5.0%超である。
元素群A
Sn:0%以上、0.7%以下
Bi:0%以上、0.3%以下
In:0%以上、0.3%以下
Sn、BiおよびInの合計量ΣA:0%以上、0.7%以下
元素群A(Sn、Bi、In)の各元素は、任意に含有できる元素であるので、それぞれの含有量を0%以上とする。Snを含有させると、めっき層中にMgSnが形成する傾向にある。Biは、MgBi、InはMgInなども形成する。これにより塩水中での耐食性が向上する。
これらの元素の含有は、少量であれば水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性への影響は小さいが、過剰に含有されると極端に模擬酸性雨・塩水中での耐食性が悪化するので、その含有量の上限を制限する必要がある。どの元素も同じような作用効果を示すので、元素群Aとしてその合計量で管理する必要がある。元素群Aの合計は0.7%以下とする必要がある。
なお、これらの元素は界面合金層の反応に影響しないが、Mgと結合する傾向があるため、表層で濃度がやや高くなる傾向にあり、Mgと似た成分分布を示す。
元素群B
Ca:0.03~0.6%
Y :0~0.30%
La:0~0.30%
Ce:0~0.30%
Ca、Y、LaおよびCeの合計量ΣB:0.03%以上、0.60%以下
これらの元素は、めっき原板に対するどぶ漬けめっきにおいて、Siと共に、めっき層の反応速度を制御するために必要な元素であり、また、めっき浴中でのFe拡散を制御するために必要な元素である。更に、地鉄と界面合金層との間における、これらの元素を含む金属間化合物の形成反応が、地鉄とAl-Fe合金層との密着性を確保するために必要になる。元素群Bの元素(特にCa)がないと、めっき密着性およびめっき成分の分布を制御できない。
めっき層にCaが含まれる場合に、針状のAl-Ca-Si系化合物が、地鉄付近に集積して形成することがある。これが、地鉄とAl-Fe合金層とのアンカー効果を生みだして、密着性に優れためっき層となる。このAl-Ca-Si系化合物は、SiとCaが特定の成分範囲にあるときのみ形成する。従って、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性を確保するためには、地鉄とAl-Fe合金層の界面付近にAl-Ca-Si系の化合物を形成させる必要がある。特にCaはSiと結合する傾向にあり、Al-Ca-Si系の化合物は、1.0≦Si/Ca≦5.0の成分範囲が満たされる際に形成する傾向にある。
Ca含有量が比較的高い場合は、Al-Ca-Si系化合物の他に、Al2.15Zn1.85Caなども形成する。これらの化合物は、模擬酸性雨・塩水中に対する耐食性が高い。これらの化合物は、特にSiと結合して地鉄付近の界面合金層の周囲に形成するため、めっき密着性の確保をすると共に、界面付近での地鉄の水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での防食に寄与すると推測される。なお、この化合物の界面付近の形成を調整するためには、本実施形態の溶融めっき鋼材の製法との密接なかかわりがある。水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))で耐食性を確保する前提として、Ca、Siの成分比率を厳密に管理する必要がある。以上のことから、Ca含有量は0.03%~0.6%とする。
また、めっき層にCaを含む場合は、Caを含むCa-Al-Si-O酸化被膜を、めっき表面に形成させることができる。
Caと同様の役割を果たす元素として、Y、La、Ceがある。これらの元素は、任意添加元素であり、含有される際には、Ca元素と置換する傾向にある。ただし、Caが含まれない場合に、Y、La、Ceを含有させても、十分な性能が発揮されない。Y、La、Ceは、それぞれ0.30%以下の範囲で含有されることにより、互いに相互置換体を形成して、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))でのCaと同様の働きをする。しかし、Y、La、Ceがそれぞれ0.30%を超えると、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性が極端に悪化する。よって、Y、La、Ceの含有量はそれぞれ、0.30%以下とする。
また、元素群Bの元素の合計量が過剰になっても水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性が悪化するので、Ca、Y、LaおよびCeの合計量ΣBは0.03%以上、0.60%以下とする。
Si:0.03%以上、1.0%以下
Siは、めっき層中で、必要な金属間化合物を形成させるために必要な元素である。本実施形態においては、めっき浴温が500℃を超える場合が多い。この温度域のめっき浴に鋼板を浸漬させると、過剰にAl-Fe合金化反応が進み、めっき層のFe濃度が高くなり、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))における耐食性が悪化する傾向にある。従って、めっき層にはSiを0.03%以上含有させる必要がある。めっき層中にSiが含有されると、Al-Ca-Si系化合物が形成して、過剰なAl-Fe反応が抑制される傾向になる。なお、前述のようにAl-Ca-Si系の化合物の形成は、本実施形態で開示する製法と密接なかかわりがある。この化合物などは界面付近に集積し、Fe拡散を抑制するとともに、めっき層中の組織が凝固過程に従った適切な組織を形成することができるようになる。
また、Siは、Caと極めて結合しやすい元素であり、例えばCaAlSi、AlCaSi、CaAlSi、CaAlSi等、様々なAl-Ca-Si化合物を形成しやすく、いずれも針状の形状を示す。しかし、過剰量のSiは、めっき層の水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))の耐食性を損なう。
また、めっき層にSiを含有することで、Siを含むCa-Al-Si-O酸化被膜をめっき表面に形成させることもできる。以上のことから、Si含有量は0.03~1.0%とする。
元素群C
Cr:0%以上、0.25%以下
Ti:0%以上、0.25%以下
Ni:0%以上、0.25%以下
Co:0%以上、0.25%以下
V :0%以上、0.25%以下
Nb:0%以上、0.25%以下
Cu:0%以上、0.25%以下
Mn:0%以上、0.25%以下
Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnの合計量ΣC:0%以上、0.25%以下
元素群Cの元素は、めっき層における含有可能な金属元素であり、含有させてもよい。これらの金属元素は、めっき層中でAl、Znなどと置換して、めっき層の電位を貴に移動させる傾向があり、この濃度範囲の含有で水中(特に模擬酸性雨中)での耐食性が改善する傾向にある。しかし、これらの元素の過剰な含有は、これらの元素からなる金属間化合物を形成するため、水中での耐食性が悪化する。従って、Cr、Ti、Co、V、Nb、Cu、Mnの含有量はそれぞれ0.25%以下とする。更に、元素群Cの元素の合計量が過剰になっても水中での耐食性が悪化するので、元素群Cの元素の合計量は0.25%以下とする。
Fe:2.0%以上、25%以下
本実施形態の溶融めっき鋼材は、めっき原板をどぶ漬けめっきすることにより製造されるため、どぶ漬けめっきの際に、めっき原板に備えられていた鋼材及び界面合金層(Fe-Zn系合金層)から、Zn-Al-Mg合金層にFeが拡散する場合がある。このため、めっき層全体の中にFeが最大25%まで含有することがあるが、この元素の含有による耐食性変化は確認されていない。よって、めっき層のFe含有量は2.0~25%とする。なお、めっき層の表層側のZn-Al-Mg合金層におけるFe濃度は2.0%未満となることがほとんどであり、また、そのFe濃度はめっき浴成分に近いものとなる。また、Feを除くめっき層の化学成分は、めっき浴成分にほぼ一致する。
元素群D
Sr:0%以上、0.50%以下
Sb:0%以上、0.50%以下
Pb:0%以上、0.50%以下
B :0%以上、0.50%以下
Li:0%以上、0.50%以下
Zr:0%以上、0.50%以下
Mo:0%以上、0.50%以下
W :0%以上、0.50%以下
Ag:0%以上、0.50%以下
P :0%以上、0.50%以下
Sr、Sb、Pb、B、Li、Zr、Mo、W、AgおよびPの合計量ΣD:0%以上、0.50%以下
元素群Dの元素は、めっき層に含有させてもよい。これらの元素は、先に説明した元素群Cの元素と同様の効果があり、元素群Cよりも比較的含有させやすい元素である。よって、元素群Dの各元素の含有量はそれぞれ、0~0.50%とする。また、元素群Dの元素の合計量が過剰になると水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性が悪化するので、元素群Dの元素の合計量は0~0.50%とする。
残部:Znおよび不純物
残部にはZnを含有することが好ましい。本実施形態の溶融めっき鋼材は、汎用性の高いZn系めっき鋼材であり、犠牲防食性を確保する目的で一定量以上のZnを含有させることで、鋼材に適切な犠牲防食性を付与することなどができる。塩分濃度が低い水中における耐食性に関しては、Alの含有量が多い方が好ましいが、海水中など塩分が比較的多く含まれる水中では、耐食性を確保するためにはMgZnなどのZn-Mg系の金属間化合物を含有させることで耐食性を確保する必要がある。よって、Zn-Mg系の金属間化合物の必要量を確保するため、残部はZnとする。
不純物は、原材料に含まれる成分、または、製造の工程で混入する成分であって、意図的に含有させたものではない成分を指す。例えば、めっき層には、鋼材(地鉄)とめっき浴との相互の原子拡散によって、不純物として、Fe以外の成分も微量混入することがある。
また、本実施形態に係るめっき層は、下記式(1)~(3)を満たす必要がある。式(1)~(3)におけるSn、Si、Mg、Caは、めっき層における各元素の含有量(質量%)である。
Sn≦Si …(1)
15≦Mg/Si …(2)
1.0≦Si/Ca≦5.0 …(3)
Sn≦Si
Si含有量は、Sn含有量以上にする必要がある。Si含有量がSn含有量未満になると、鋼材からめっき層中に過剰なFeが拡散して、目的とする金属間化合物の形成が困難になる。
15≦Mg/Si
さらに、Si含有量については、15≦Mg/Siを満たす必要がある。これにより、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性が向上する。Mg含有量に対するSi含有量が高くなり、Mg/Siが15未満になると、めっき層中にMgSiが多量に形成するようになり、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性を十分に発揮することができなくなる。好ましくは、20≦Mg/Siを満足するとよい。Mg/Siが20以上になることで、塩水中の耐食性がより向上する。
1.0≦Si/Ca≦5.0
Si及びCaは、相互に結合しやすく化合物を形成しやすい。また、Y、LaまたはCeとSiも同様に結合しやすい。Si/Caが1.0未満では、Ca-Al-Zn系化合物が多く形成し、めっき層と鋼材との界面付近にAl-Ca-Si系化合物が形成しにくくなり、めっき層が水中で剥離しやすくなり、水中での耐食性が著しく損なわれる。また、Si/Caが5.0を超えると、めっき層中でのCaの含有効果が小さくなり、MgSiが多く形成し、Al-Ca-Si系化合物が形成しなくなり、水中での耐食性が著しく損なわれる。従って、この指標を管理指標として導入する。1.0≦Si/Ca≦5.0を満たす場合は、塩水中の耐食性が向上する。より好ましくは、1.0≦Si/Ca≦3.0を満たすとよい。これにより、塩水中の耐食性が更に向上する。
めっき層の平均化学組成の同定には、地鉄(鋼材)の腐食を抑制するインヒビターを含有した酸でめっき層を剥離溶解した酸液を得る。次に、得られた酸液をICP発光分光分析法またはICP-MS法で測定することで化学組成を得ることができる。酸種は、めっき層を溶解できる酸であれば、特に制限はない。剥離前後の面積と重量を測定しておけば、めっき付着量(g/m)も同時に得ることができる。
次に、めっき層に含有される金属間化合物について説明する。先に、Zn-Al-Mg系合金層に含まれる金属間化合物について説明する。なお、以下に説明する金属間化合物は、Al-Fe合金層に含まれる場合もある。
Zn相
Zn相は、めっき層中に存在し、三元共晶組織(Zn/Al/MgZn三元共晶組織)として主に存在している。三元共晶組織に含まれないZn相もある。Zn相およびZn相を含む三元共晶組織は、水中では耐食性が低く、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))に浸漬させると短期間のうちに消失するため、これらのZn相を可能な限り少なくさせる必要がある。本実施形態ではZn相の含有を厳しく制限し、めっき層中に含まれるZnはAl相に固溶させるか、Al-Zn相とするか、MgZn相として金属間化合物とする。これにより水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))でのめっき層の耐食性を確保できる。
Al相
Al相は、めっき層中にAl初晶として塊状に存在する。本実施形態のめっき層には一定量のZnが含有されるが、塊状に存在するAl相には最大で35%程度のZnが含有されるようになる。このため、塊状のAl初晶は、厳密には、Al-Zn相である。Al-Zn相は、極微細な結晶粒の集まりであり、結晶サイズで確認すると数nm~約3μmの細かい結晶粒が集合した組織である。X線回折や、TEMなどにより、微細なAl相およびZn相を含む組織の集合体として確認される場合があり、本発明ではこのような微細な組織をもAl相と称する。
最大で35%程度のZnを含みうるAl相は、表面にAlなどの安定な酸化被膜が形成され、特に水中(模擬酸雨)での水中耐食性が高い。この酸化被膜にはAl濃度が35%超必要であると推測される。一方、塩分が含まれるような水中では、Alが安定的に存在することができず、極端に耐食性が悪化する。
なお、めっき層の凝固過程においては、Al濃度が30%以下で残部がZnである相も形成するが、これは、水中での耐食性は悪いため、本実施形態ではZn相として扱う。
MgZn
MgZn相は、めっき層中に存在し、MgZn相として塊状に存在するほか、Al相と共にAl-MgZn共晶線上で凝固した際に形成したデンドライト状組織や、三元共晶組織(Zn/Al/MgZn三元共晶組織)中に、微細な結晶粒として一定量含有される。MgZn相は、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))の耐食性が良好であり、模擬雨水・塩水中の両方で耐食性が高い。一方で、MgZn相の耐食性には粒径依存性があり、三元共晶組織中に含有されるMgZnなどはカップリング反応などで腐食しやすい傾向にある。三元共晶組織中に含有されるMgZnは、X線回折測定において(102)面の回折ピークを示す。従って、(102)面の方位を示すMgZn相を減らすことで、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))の耐食性が向上する傾向にある。
次にAl-Fe合金層に含まれる金属間化合物について説明する。
上記のように、めっき浴中に一定濃度以上のAlが含有されることから、めっき原板をどぶ漬けめっきする際に、めっき原板に備えられていたZn-Fe合金層が、Al-Fe合金層に置き換わる。Al-Fe合金層に含まれうる金属間化合物として、AlFe相、Al0.5Fe1.5(AlFe)相、AlFe相、Al13Feなどが挙げられる。また、めっき浴中にはZnが一定濃度含まれることから、Al-Fe合金層の結晶形態を変えるほどではないが、Alの一部がZnに置換した金属間化合物も存在する。また、Siを含む金属間化合物も含有される場合もある。
一般的には、上記の金属間化合物のうち、AlFeが主に生成しやすい。AlFeは、Al-Fe合金層中に形成する。また、AlFeは、Al-Fe合金層と鋼材との界面に形成する場合もある。
しかしながら、本実施形態では、本発明に係るめっき成分からなるめっき浴を用いたどぶ漬け二段めっき方法を適用することで、Feの拡散を抑制して、比較的Al比率の高いAl13Feや、Al0.5Fe1.5を形成する。これにより、めっき層全体に対する、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))における耐食性が極めて改善する。Feの拡散を適切に制御しない場合は、AlFe相を主体とするAl-Fe合金層や、AlFe相を含むAl-Fe合金層となり、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性が低下する。
どぶ漬け二段めっき法を適用して、例えば、50μm以上の分厚いめっき層を形成した場合、Al-Fe合金層の厚みが30μm前後、Zn-Al-Mg合金層の厚みが20μm前後となる。水中腐食では、Al-Fe合金層とZn-Al-Mg合金層との電位差が大きいと、どちらかの層の腐食が極端に進行する傾向にある。各層の自然電位は、Fe成分の含有量が多いと卑、少ないと貴になる傾向にある。Al-Fe合金層中のFe量が多くなって自然電位が卑になる場合は、Al-Fe合金層の腐食の進行が早くなり、めっき層が崩落してしまう傾向にある。一方、Al-Fe合金層中のFe量が少なくなって自然電位が貴になる場合は、Zn-Al-Mg合金層とAl-Fe層との界面で腐食が進行しやすくなり、Zn-Al-Mg合金層が崩落してしまう傾向にある。Al-Fe合金層の主体の相をAl13Fe、Al0.5Fe1.5とすることで、めっき層の崩落を防ぐことができ、例えば厚み50μmの分厚いめっき層において耐食性を確保することができ、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))の耐食性を確保できる。
上述したように、発明者らが、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))の耐食性の確保を目的にめっき層の改良を図った結果、特定の金属間化合物の形成により、水中の耐食性が確保できることが判明した。めっき層への特定の金属間化合物の含有を判断するためには、X線回折法を使用することが好ましい。この検出方法は、SEM観察、TEM観察などに比べてめっき層の平均情報が得られ、測定箇所(視野)選択性が少なく定量化に優れている。また測定条件を規定すれば、特定の金属間化合物が存在する場合、同じ角度(2θ)で回折ピーク強度が決まった割合で得られるため、簡単にめっき層の内部構造を推測することが可能である。
X線回折像を得る条件は下記の通りとする。
X線源として、CuをターゲットとするX線回折法が、めっき層における構成相の平均的な情報を得られるため、最も都合がよい。測定条件の一例として、X線の条件を電圧50kV、電流300mAとする。X線回折装置としては特に制限はないが、例えば、株式会社リガク製の試料水平型強力X線回折装置RINT-TTR IIIを用いることができる。
以下、X線回折測定において測定対象となる物質について説明する。測定対象となる物質は、Al0.5Fe1.5、Zn、Al、MgZn、Ca(AlSi)Oである。
Al0.5Fe1.5
Al0.5Fe1.5は、Al-Fe合金層において模擬酸性雨、および海水(塩水)中の耐食性を確保できる。Al0.5Fe1.5は、データベース番号(ICDD-JCPDS粉末回折データベース)01-077-6757で示される物質である。表記は、(AlFe0.5と表記された物質で、Al0.5Fe1.5と同等である。この金属間化合物に検出するのに都合の良い回折角度は、2θで43.95°((110)面)である。
Zn
Znは、データベース番号(ICDD-JCPDS粉末回折データベース)00-004-0831で示される物質である。本実施形態のめっき組成範囲で、Znを検出するのに都合の良い角度は、1つの角度がある。すなわち、回折角度2θで、36.30°((002)面)である。
Al
本実施形態のめっき組成範囲で、Alを検出するのに都合の良い角度は、1つの角度がある。すなわち、回折角度2θで、38.47°((111)面)である。
MgZn
本実施形態のめっき組成範囲で、この金属間化合物に検出するのに都合の良い角度は、1つの角度がある。すなわち、回折角度2θで、19.67°((100)面)である。
Ca(AlSi)O
めっき層の表面に形成される場合がある酸化被膜は、Ca(AlSi)Oを含む。Ca(AlSi)Oは、データベース番号(ICDD-JCPDS粉末回折データベース)00-051-0064で示される物質である。本実施形態のめっき層の組成範囲で、この金属間化合物に検出するのに都合の良い回折角度は、2θで23.41°((102)面)である。
上述した回折角度における回折ピークは、めっき層の主要の結晶構造の回折ピークが重ならないことから、定量化と含有量の見極めに都合が良い。すなわちこれらの回折角度において回折強度が一定量を超える回折ピークが得られれば、目的とする物質が確実に含有されているといえる。
Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Al0.5Fe1.5のX線回折ピークから求められるIを式(A-1)で定義する。この場合に、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))における溶融めっき鋼材の耐食性を確保するためには、式(A-2)を満足する必要がある。
Figure 0007356076000005
ただし、式(A-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値であり、Imax(n°)は回折角度n°におけるX線回折強度であり、k、m、nはそれぞれ式(A-1)中に示される回折角度である。
すなわち、Imax(43.45~44.45°)は回折角度43.45~44.45°の間におけるX線回折強度の最大値であり、Al0.5Fe1.5の(110)面の回折強度に対応する。I(43.45°)、I(44.45°)はそれぞれ、回折角度43.45°、44.45°におけるX線回折強度であって、Al0.5Fe1.5の(110)面の回折ピークのバックグラウンド強度に対応する。
式(A-1)の分子(Imax(43.45~44.45°))は、Al0.5Fe1.5の2θ=43.95°((110)面)の回折ピークに相当する強度であって、バックグラウンド強度を含む回折ピークの最大回折強度である。X線回折の測定誤差により、(110)面の回折角度が43.95°から外れる場合があるため、43.45~44.45°の間の最大値を取得することにしている。
式(A-1)の分母は、回折角度43.95°におけるバックグラウンド強度を、43.45°および44.45°における回折強度から計算によって求めたものである。すなわち、図1に示すように、43.45°における回折線と44.45°における回折線とを結ぶ直線を引く。この直線が回折ピークのベースラインになる。次に、I(43.45°)-I(44.45°)を求める。また、回折角度43.45°と44.45°との差分(1.00°)に対する、回折角度43.45°と43.95°との差分(0.50°)の比(0.50/1.00=0.50)を求める。そして、回折角度43.95°におけるバックグラウンド強度を、上記式(A-1)の分母に記載した数式により計算する。
以上のようにして式(A-1)を設定することで、測定条件の違いによって、測定誤差やバックグラウンドの変動が生じたとしても、Al0.5Fe1.5の2θ=43.95°((110)面)の回折ピークの強度を精度よく測定可能になる。
式(A-2)に示したように、Iが1.10以上であることにより、めっき層のAl-Fe合金層に十分な量のAl0.5Fe1.5が含まれることになり、水中での耐食性を確保することができる。すなわち、模擬雨水中、塩水中での耐食性が向上する。Iは大きい数値であることが好ましく、2.0以上がより好ましい。Iが2.0以上になると、Al-Fe合金層の大部分がAl0.5Fe1.5になり、その他のAl―Fe化合物は見られなくなる。Iが1.10~2.00の場合は、Al0.5Fe1.5のほかにAl13Feが確認される場合がある。Iが1.10未満では、Al0.5Fe1.5、Al13Fe以外のAlFe化合物が存在するようになる。どぶ漬けめっきにおいて、浸漬時間を20秒未満にすることにより、式(A-2)を満足するようになる。Iの上限は特に限定する必要はないが、2.50以下であってもよい。
また、溶融めっき鋼材の水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性を確保するためには、Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Zn、Al及びMgZnのX線回折ピークから求められるIを式(B-1)で定義した場合に、式(B-2)を満足する必要がある。
Figure 0007356076000006
ただし、式(B-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値である。
すなわち、式(B-1)におけるImax(36.00~36.60°)は回折角度36.00~36.60°の間におけるX線回折強度の最大値であり、Znの(002)面の回折強度に対応する。
Imax(38.00~39.00°)は回折角度38.00~39.00°の間におけるX線回折強度の最大値であり、Alの(111)面の回折強度に対応する。
Imax(19.20~20.00°)は回折角度19.20~20.00°の間におけるX線回折強度の最大値であり、MgZnの(100)面の回折強度に対応する。
よって、式(B-1)で定義されるIは、Zn、Al及びMgZnの回折強度の合計に対する、Znの回折強度の比率を表すものであって、Iが小さいほどめっき層中のZn相が少ないことを意味する。本実施形態では、Iを0.25以下とする。これにより、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性を確保することが可能である。すなわち、めっき層において、Zn相の比率が低いことが水中の耐食性の向上につながり、模擬雨水中・塩水中での耐食性が向上し、めっき層を水中で維持することが可能となる。めっき層中のAl含有量を30%超とし、Mg含有量を5.0%超とすることで、Zn相を少なくできる。また、Zn相の量は、Al-Fe合金層の形成挙動の影響を受け、AlFe、AlFeが多量に形成する場合は、Zn相が多くなる傾向にあるので、式(A-2)、(B-2)の両方を満たす必要がある。Iは好ましくは0.10未満がよい。Iの下限は特に限定する必要はないが、0以上であってもよい。
次に、本実施形態のめっき層の組成範囲においては、MgZn相が晶出する。MgZn相は、本来、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性が高いが、周囲が微細なAl相やZn相に囲まれると、これらの相間でのカップリング反応により腐食が促進される。また、MgZn相は、Zn相よりも腐食の電位が低い。このため、Al相やZn相に囲まれるMgZn相は、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))において早期に溶出する。このようなMgZn相としては、めっき層中の三元共晶組織に含まれるMgZn相が挙げられる。従って、本実施形態では、三元共晶組織に含まれるMgZn相を少なくすることが好ましく、ひいては、三元共晶組織を少なくすることが好ましい。
この三元共晶組織に含まれるMgZn相をX線回折によって検出するのに都合のよい回折角度としては、1つの角度がある。三元共晶組織に含まれるMgZn相は、ほとんど(102)面の回折強度が強い。すなわち、回折角度2θで、28.73°(102)面における回折強度に現れる回折ピークは、めっき層の主要な結晶構造と回折ピークが重ならないことから、定量化と含有量の見極めに都合がよい。すなわちこれらの回折角度で回折強度が一定量を超える回折ピークが得られれば、目的とする相が確実に含有されていることがいえる。
(102)面以外の結晶方位を示すMgZn相は、Al相を包晶反応で覆うような粗大なMgZn相であるか、三元共晶反応以外で析出した粗大なMgZn相であり、水中(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性は高い。これら、水中での耐食性に優れるMgZn相は、上述した回折角度2θで、19.67°((100)面)以外に、20.78°((002)面)、22.26°((101)面)の回折強度を示す。これらの回折角度に現れる回折ピークは、めっき層の主要な結晶構造と回折ピークが重ならないことから、定量化と含有量の見極めに都合がよい。
めっき層中に含まれるMgZn相の大部分は、上記の4つの回折ピークのいずれかを示すことが多い。そこで、本実施形態の溶融めっき鋼材では、Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、めっき層表面のX線回折パターンにおいて、MgZnのX線回折ピークから求められるIを式(C-1)で定義した場合に、式(C-2)を満足することが好ましい。
Figure 0007356076000007
ただし、式(C-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値であり、k、mはそれぞれ式(C-1)中に示される回折角度である。
すなわち、式(C-1)におけるImax(28.52~28.92°)は回折角度28.52~28.92°の間におけるX線回折強度の最大値であり、MgZnの(102)面の回折強度に対応する。このMgZnは、三元共晶組織に含まれるMgZn相に相当する。
Imax(19.20~20.00°)は回折角度19.20~20.00°の間におけるX線回折強度の最大値であり、MgZnの(100)面の回折強度に対応する。
Imax(20.58~20.98°)は回折角度20.58~20.98°の間におけるX線回折強度の最大値であり、MgZnの(002)面の回折強度に対応する。
Imax(22.06~22.45°)は回折角度22.06~22.45°の間におけるX線回折強度の最大値であり、MgZnの(101)面の回折強度に対応する。
よって、式(C-1)で定義されるIは、めっき層中に含まれるMgZnの回折強度の合計に対する、三元共晶組織に含まれるMgZn相の回折強度の比率を表すものであって、Iが小さいほど、三元共晶組織に含まれるMgZn相が、ひいては三元共晶組織が少ないことを意味する。本実施形態では、Iを0.03以下とする。これにより、三元共晶組織として存在するMgZn相がほとんどなくなり、模擬酸性雨・塩水中の耐食性がより向上する。Iの下限は特に限定する必要はないが、0以上であってもよい。Iを制御するには、どぶ漬け二段めっき法においてめっき浴への浸漬時間を制御するとよい。
次に、本実施形態の溶融めっき鋼材のめっき層の表面には、Ca(AlSi)Oを含む酸化被膜が形成される場合がある。Ca(AlSi2)Oは、模擬雨水中・塩水中におけるめっき層の耐食性を向上させるので、Ca(AlSi)Oを含む酸化被膜が形成されることが好ましい。そこで、本実施形態の溶融めっき鋼材では、Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Ca(AlSi)OのX線回折ピークから求められるIを式(D-1)で定義した場合に、式(D-2)を満足することが好ましい。
Figure 0007356076000008
ただし、式(D-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値であり、Imax(n°)は回折角度n°におけるX線回折強度であり、k、m、nはそれぞれ式(D-1)中に示される回折角度である。
すなわち、式(D-1)におけるImax(22.91°~23.91°)は回折角度22.91°~23.91°の間におけるX線回折強度の最大値であり、Ca(AlSi)Oの(102)面の回折強度に対応する。I(22.91°)、I(23.91°)はそれぞれ、回折角度22.91°、23.91°におけるX線回折強度であって、Ca(AlSi)Oの(102)面の回折ピークのバックグラウンド強度に対応する。
式(D-1)の分子(Imax(22.91~23.91°))は、Ca(AlSi)Oの2θ=23.41°((102)面)の回折ピークに相当する強度であって、バックグラウンド強度を含む回折ピークの最大回折強度である。X線回折の測定誤差により、(102)面の回折角度が23.41°から外れる場合があるため、22.91°~23.91°の間の最大値を取得することにしている。
式(D-1)の分母は、回折角度23.41°におけるバックグラウンド強度を、22.91°及び23.91°における回折強度から計算によって求めたものである。すなわち、図2に示すように、22.91°における回折線と23.91°における回折線とを結ぶ直線を引く。この直線が回折ピークのベースラインになる。次に、I(22.91°)-I(23.91°)を求める。また、回折角度22.91°と23.91°との差分(1.00°)に対する、回折角度22.91°と23.41°との差分(0.50°)の比(0.50/1.00=0.50)を求める。そして、回折角度23.41°におけるバックグラウンド強度を、上記式(D-1)の分母に記載した数式により計算する。
以上のようにして式(D-1)を設定することで、測定条件の違いによって、測定誤差やバックグラウンドの変動が生じたとしても、Ca(AlSi)Oの2θ=23.41°((102)面)の回折ピークの強度を精度よく測定可能になる。
式(D-2)に示したように、Iが1.1以上であることにより、模擬雨水・塩水中での耐食性が確保することができる。I数値が大きいほど厚く酸化被膜が形成していることを示し、耐食性確保の点からは好ましい。Iの上限は特に制限する必要はないが、例えば、1.5以下であってもよい。また、式(D-2)を満足するには、めっき層の化学組成が本発明範囲を満たすとともに、製造方法において適切なめっき製造方法や熱処理、雰囲気制御が行われる必要がある。具体的には、めっき浴表面に予め酸化被膜を形成しておく必要がある。
次に、本実施形態の溶融めっき鋼材の製造方法について説明する。
本実施形態の溶融めっき鋼材は、どぶ漬け二段めっき法よって製造できる。鋼材表面をフラックス処理した後に、めっき浴に浸漬する一段のどぶ漬けめっき法では、めっき浴中のMgと反応したフラックスの残渣が残りやすく、また所望のAl-Fe合金層を形成できないため、どぶ漬け二段めっき法が適切である。
本実施形態の溶融めっき鋼材は、界面合金層を備えためっき鋼材をめっき原板とし、このめっき原板を溶融めっき浴に浸漬させ、所定の浸漬時間の経過後にめっき原板を引き上げ、次いで冷却することによって製造する。また、必要に応じて、めっき浴に対してバブリングを行う。以下、製造条件を詳細に説明する。
めっき原板は、一例として、あらかじめ、鋼材の表面に溶融Znめっき層が形成されためっき鋼材(例えばJIS H 8641:2007)などを使用する。めっき鋼材のめっき層には、特定範囲の厚さをもつZn-Fe合金層(界面合金層)を含む必要がある。めっき原板となるめっき鋼材は、どぶ漬けめっき法により製造することが好ましい。一般的に連続溶融亜鉛めっきラインで製造される溶融めっき鋼板などはこれらの界面合金層が存在しないか存在したとしても十分な厚みではないため、連続溶融めっき法は、めっき原板となるめっき鋼材の製造には適さない。
めっき原板であるめっき鋼材に備えられる溶融Znめっき層は、厚みが30μm超であることが好ましい。溶融Znめっき層は、Zn層(η相)と、Zn-Fe合金層とを含む。Zn-Fe合金層は、Zn層と鋼材の間に形成された界面合金層であり、ζ相、δ相、Γ相、Γ1相を含む。これらの相は、鋼材側から、Γ相・Γ1相、δ相、ζ相の順に積層されており、ζ相の上にη相であるZn層がある。Zn-Fe合金層は、めっき原板をどぶ付けめっきのめっき浴の浸漬することによって、Al-Fe合金層に置き換わる。従って、所望のAl-Fe合金層を得るためには、めっき原板(めっき鋼材)に備えられる界面合金層(Zn-Fe合金層)の金属組織を適切なものにすることが重要になる。なお、Zn層は、どぶ付けめっきのめっき浴に浸漬した際に溶解して、Zn-Al-Mg合金層に置き換わる。
本発明者らが、好ましいZn-Fe合金層を検討した結果、Zn-Fe合金層に含まれる各相の厚みを制御することが必要になることが分かった。好ましいZn-Fe合金層を備えためっき原板を用いることで、溶融めっき鋼材のAl―Fe合金層にAl0.5Fe1.5を含有させることができ、また、Al13Feを含有させることもできる。この範囲外の合金層を用いると、AlFe相が形成してしまう。
Zn-Fe合金層に含まれるζ相はFe濃度2~6%のFeZn13であり、δ相はFe濃度7~12%のFeZnであり、Γ相はFe濃度21~27%のFeZn10であり、Γ1相はFeZn21である場合が多い。めっき鋼材(めっき原板)をどぶ漬けめっき(一段目のめっき)により製造する際のめっき浴に対する浸漬時間が長い程、Γ相やδ相の割合が多くなり、浸漬時間が短くなるとζ相を形成する。このうち、めっき原板に対するどぶ漬けめっき時(二段目のめっき時)に、Al0.5Fe1.5やAl13Feに変化するものはζ相である。他方、δ相はAlFeに変化し、Γ相、Γ1相はAlFeなどに変化する。このため、めっき鋼材(めっき原板)において、Zn-Fe合金層を構成する各相のうち、ζ相を比較的多く含むことが好ましい。δ相、Γ相、Γ1相が比較的多い場合は、水中環境(模擬酸性雨、および海水(塩水))での耐食性に優れた溶融めっき層を形成できない。
具体的には、Zn-Fe合金層の平均厚さに対するζ相の厚みの平均厚さの比(ζ相の厚みの平均厚さ/Zn-Fe合金層の平均厚さ)を0.75以上にする。この指標は、めっき原板において、事実上、δ相を極力薄くし、Γ相、Γ1相をほとんど形成させないことを意味する。なお、Γ相は、δ相が所定の割合に成長すると形成することが判明しており、δ相の厚みの平均厚さ/Zn-Fe合金層の平均厚さが0.20を超えると、Γ相が形成してくる。Γ相が増加すると、本実施形態に係る溶融めっき層の密着性が低下してしまうため、好ましくない。よって、δ相の厚みの平均厚さ/Zn-Fe合金層の平均厚さは0.20以下とすることが好ましい。Zn-Fe合金層の平均厚さは30μm以上とする。
Zn-Fe合金層の平均厚さに対するζ相の厚みの平均厚さの比(ζ相の厚みの平均厚さ/Zn-Fe合金層の平均厚さ)を0.75以上にするためには、どぶ漬けめっき法における浸漬時間を60~600秒、好ましくは120~300秒とする。また、めっき浴の温度を420~520℃、好ましくは430~470℃とする。めっき浴から引き上げ後、鋼板温度が300℃以上、好ましくは350℃以上の温度から水冷する。
Zn-Fe合金層および各相の厚みは、めっき層を研磨後にナイタール等でエッチングしてから光学顕微鏡による断面観察することで、容易に確認できる。
なお、JIS H 8641に準拠する溶融Znめっき層には、上記の条件を満たすものもあれば、満たさないものもあるので、一概にどのようなZnめっき鋼材をめっき原板に用いてもよい訳ではない。上記条件を厳守するとともに、溶融Znめっき層表層のZn層(η相)の厚みが30μm以上であるとよい。めっき原板のめっき付着量(Zn-Fe合金層を含む)は、片面当たり300g/m以上であるとよい。
次に、どぶ漬けめっきの条件を説明する。
本実施形態の製造方法では、上記のめっき原板を、溶融めっき浴に浸漬させてから引き上げる。めっき層の成分は、建浴するめっき浴の成分によってこれを制御することが可能である。めっき浴の建浴は、純金属を所定量混合することで、例えば不活性雰囲気下の溶解法によって、めっき浴成分の合金を作製する。
浸漬前に、めっき原板を加熱する必要はない。めっき原板を加熱すると、めっき浴の浸漬時にAl-Fe反応が活発になりすぎてしまい、所望のAl-Fe合金層が得られないためである。
めっき浴の温度は、Al濃度が35%以下の場合は530℃以上600℃以下とし、Al濃度が35%超の場合は570℃以上630℃以下とする。
また、所望のAl-Fe合金層を得るためには、めっき浴に対するめっき原板の浸漬時間を制御する必要がある。めっき浴への浸漬時間は、2秒以上、20秒未満の範囲とする。好ましくは3~10秒の範囲とする。浸漬時間が10秒以上になると、Al0.5Fe1.5よりもAl13Feが多く形成するようになる。浸漬時間が20秒以上になると、Al-Fe合金層内においてAlFe、及びAlFeが多く形成し、Al0.5Fe1.5が少なくなり、上記式(A-2)を満足できなくなる。また、MgZnの結晶の配向を制御してZn相を少なくするためには、浸漬時間を2秒以上にする必要がある。よって、めっき浴への浸漬時間は2秒以上、20秒未満とする。
めっき浴から引き上げた後は、めっき浴の引き上げ時から、付着した溶融金属(めっき層)の表面温度が450℃に到達した時までの所要時間を、5秒以内となるように冷却する。これは、地鉄からのFeの拡散をできる限り抑制するためである。めっき層の温度が450℃未満になるとFeの拡散がほぼ収束するので、450℃までの所要時間を制御する。
また、めっき層の表面に酸化被膜を形成させる場合は、大気バブリング等によってめっき浴を循環させることが好ましい。大気バブリングを行うことにより、めっき浴の表面に酸化被膜が形成される。この酸化被膜が、めっき原板の引き上げ時に持ち上げられて溶融金属(めっき浴)の表面に付着するようになる。めっき浴への浸漬時と引き上げ時におけるめっき原板の侵入・引上速度が速過ぎると、酸化被膜が破れてめっき層表面全体に酸化被膜を形成できなくなる場合があるので、めっき原板の侵入・引上速度を好ましくは10cm/秒以内に調整するとよい。ただし、侵入・引上速度は、めっき原板の形状にも依存する可能性があるため、前記の条件はあくまで目安である。
大気バブリングを行わず酸化被膜を形成する場合は、めっき浴を静置したまま長期間保持することでめっき浴表面に酸化被膜を形成させ、その後に、めっき原板を浸漬させてもよい。ただし、バブリング無しでめっき浴表面に酸化被膜を形成するためには長時間を要するので、複数のめっき原板を連続して浸漬させる場合は不向きである。
界面合金層としてZn-Fe合金層を有するめっき鋼材をめっき原板として、どぶ漬けめっきを行うと、めっき浴中において、めっき原板の表層のZn層が溶解してZn-Al-Mg系合金層に置き換わる。また、めっき原板のZn-Fe合金層に含まれる鉄と、めっき浴中のAlとが反応してFe-Al系化合物が生成し、このFe-Al系化合物を含む新たなAl-Fe合金層が、鋼材とZn-Al-Mg系合金層との間に形成される。Al-Fe合金層には、Al0.5Fe1.5が多く含まれるようになる。
どぶ漬けめっき後は、各種化成処理、塗装処理を行ってもよい。めっき表面の凹凸状の模様を利用し、さらにCr、Ni、Auなどのめっき層を付与し、更に塗装して意匠を付与することも可能である。また、さらなる防食性を高めるため、溶接部、加工部などにおいては、補修用タッチアップペイント、溶射処理などを実施してもよい。
本実施形態のめっき鋼材には、めっき層上に皮膜を形成してもよい。1層または2層以上の皮膜を形成することができる。めっき層直上の皮膜の種類としては、例えば、クロメート皮膜、りん酸塩皮膜、クロメートフリー皮膜が挙げられる。これら皮膜を形成する、クロメート処理、りん酸塩処理、クロメートフリー処理は既知の方法で行うことができる。
クロメート処理には、電解によってクロメート皮膜を形成する電解クロメート処理、素材との反応を利用して皮膜を形成させ、その後余分な処理液を洗い流す反応型クロメート処理、処理液を被塗物に塗布し水洗することなく乾燥して皮膜を形成させる塗布型クロメート処理がある。いずれの処理を採用してもよい。
電解クロメート処理としては、クロム酸、シリカゾル、樹脂(りん酸、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、酢酸ビニルアクリルエマルション、カルボキシル化スチレンブタジエンラテックス、ジイソプロパノールアミン変性エポキシ樹脂等)、および硬質シリカを使用する電解クロメート処理を例示することができる。
りん酸塩処理としては、例えば、りん酸亜鉛処理、りん酸亜鉛カルシウム処理、りん酸マンガン処理を例示することができる。
クロメートフリー処理は、特に、環境に負荷なく好適である。クロメートフリー処理には、電解によってクロメートフリー皮膜を形成する電解型クロメートフリー処理、素材との反応を利用して皮膜を形成させ、その後、余分な処理液を洗い流す反応型クロメートフリー処理、処理液を被塗物に塗布し水洗することなく乾燥して皮膜を形成させる塗布型クロメートフリー処理がある。いずれの処理を採用してもよい。
さらに、めっき層直上の皮膜の上に、有機樹脂皮膜を1層もしくは2層以上有してもよい。有機樹脂としては、特定の種類に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はこれらの樹脂の変性体等を挙げられる。ここで変性体とは、これらの樹脂の構造中に含まれる反応性官能基に、その官能基と反応し得る官能基を構造中に含む他の化合物(モノマーや架橋剤など)を反応させた樹脂のことを指す。
このような有機樹脂としては、1種又は2種以上の有機樹脂(変性していないもの)を混合して用いてもよいし、少なくとも1種の有機樹脂の存在下で、少なくとも1種のその他の有機樹脂を変性することによって得られる有機樹脂を1種又は2種以上混合して用いてもよい。また有機樹脂皮膜中には任意の着色顔料や防錆顔料を含んでもよい。これら有機樹脂は、水に溶解又は分散することで水系化したものも使用することができる。
なお、本実施形態において、酸性雨水中の耐食性、塩水中の耐食性、以下のようにして測定し、評価する。酸性雨水中の耐食性および塩水中の耐食性の評価がともに「E」の場合を不合格とし、それ以外を合格とする。
(酸性雨水中の耐食性)
酸性雨水中の耐食性は、模擬酸性雨耐食性試験により評価する。この試験は、大気中の酸性雨が流れ込む状況を想定した試験である。模擬酸性雨として、イオン交換水にNaCl,HNO,HSOを加え、NaOHにてpHを調整することにより、Cl:10ppm,NO3-:20ppm,SO 2-:40ppm,pH5.0±0.2に調整された試験水を用意する。60Lの試験水を、一辺50cmの立方体形状の容器に入れる。ステンレス製軸(φ25mm)の先端に、ジグおよびボルトによってめっき鋼板試験片を取り付ける。試験片は、直径130mmの円板とする。円板の中心に穴を設け、この穴にステンレス製軸の先端を嵌め込ませて固定する。試験片を試験水中に浸漬させ、試験片の外周速度が2.2m/sとなるように試験片を高速で回転させる。試験片とジグが触れる部分はテープシール等で絶縁処理をする。pHの監視は常時行い、pH5.0±0.2の範囲から外れた場合は、希塩酸もしくはNaOH水溶液でpH5.0に戻す。水温は23~25℃の範囲に保つ。250時間おきに試験液は交換する。1000時間経過後、試験片を取り出し、30%クロム酸(VI)水溶液に15分間浸漬して、浸漬前後の重量差を測定し、腐食減量(g/m)を求める。試験片については端面部を開放状態とし、中央の穴部分は評価外とする。評価基準は下記の通りとする。
腐食減量が5g/m未満:模擬酸性雨中の耐食性「S」
腐食減量が5~15g/m未満:模擬酸性雨中の耐食性「A」
腐食減量が15~30g/m未満:模擬酸性雨中の耐食性「B」
腐食減量が30~50g/m未満:模擬酸性雨中の耐食性「C」
腐食減量が50~75g/m未満:模擬酸性雨中の耐食性「D」
腐食減量が75g/m以上:模擬酸性雨中の耐食性「E」
(塩水中の耐食性)
塩水中の耐食性は、塩水水溶液における耐食性試験により評価する。この試験は、試験水を5%NaCl水溶液とすること以外は、模擬酸性雨耐食性試験と同様にして行う。1000時間経過後、30%クロム酸(VI)水溶液に15分間浸漬し、浸漬前後の腐食減量を求める。評価基準は下記の通りとする。
腐食減量が30g/m未満:塩水中の耐食性「S」
腐食減量が30~40g/m未満:塩水中の耐食性「A」
腐食減量が40~60g/m未満:塩水中の耐食性「B」
腐食減量が60~80g/m未満:塩水中の耐食性「C」
腐食減量が80~100g/m未満:塩水中の耐食性「D」
腐食減量が100g/m以上:塩水中の耐食性「E」
表1A~表4Cに示すめっき鋼材を製造し、性能評価した。各種、めっき浴の調合には純金属を調合して建浴した。めっき浴温度は、Al濃度が35%以下の場合は550℃とし、Al濃度が35%超の場合は600℃とした。めっき原板の加熱は行わなかった。めっき原板は、下記表5に示すA1~C3とし、どぶ漬けめっきの条件は下記表6のD1~E6とし、大気バブリングの有無は下記表7の通りとした。めっき原板のめっき層の厚みはいずれも30μm超、η相の厚みは30μm以上であった。表5のZnFe合金層の厚みは平均厚みである。比較例条件は、原板についてはA3、B3、C3とし、どぶ漬けめっきの条件はD6、E1~E6とした。
X線の強度は、以下のように測定した。
めっき後の溶融めっき鋼材を20mm角に切断し、高角X線回折装置Rigaku社製(型番RINT-TTR III)を用い、X線出力50kV、300mA、銅(Cu)ターゲット、ゴニオメーターTTR(水平ゴニオメーター)、Kβフィルターのスリット幅0.05mm、長手制限スリット幅2mm、受光スリット幅8mm、受光スリット2開放とし、測定条件としてスキャンスピード5deg./min、ステップ幅0.01deg、スキャン軸2θ(5~90°)として測定を実施し、各角度でのcps強度を得た。
模擬酸性雨水中、塩水中での耐食性は、以下のようにして測定し、評価した。結果を表4A~表4Cに示す。酸性雨水中の耐食性および塩水中の耐食性の評価がともに「E」の場合を不合格とし、それ以外を合格とした。
(酸性雨水中の耐食性)
酸性雨水中の耐食性は、模擬酸性雨耐食性試験により評価した。この試験は、大気中の酸性雨が流れ込む状況を想定した試験である。模擬酸性雨として、イオン交換水にNaCl,HNO,HSOを加え、NaOHにてpHを調整することにより、Cl:10ppm,NO3-:20ppm,SO 2-:40ppm,pH5.0±0.2に調整された試験水を用意した。60Lの試験水を、一辺50cmの立方体形状の容器に入れた。ステンレス製軸(φ25mm)の先端に、ジグおよびボルトによってめっき鋼板試験片を取り付けた。試験片は、直径130mmの円板とした。円板の中心に穴を設け、この穴にステンレス軸の先端を嵌め込ませて固定した。試験片を試験水中に浸漬させ、試験片の外周速度が2.2m/sとなるように試験片を高速で回転させた。試験片とジグが触れる部分はテープシール等で絶縁処理をした。pHの監視は常時行い、pH5.0±0.2の範囲から外れた場合は、希塩酸もしくはNaOH水溶液でpH5.0に戻す。水温は23~25℃の範囲に保った。250時間おきに試験液は交換した。1000時間経過後、試験片を取り出し、30%クロム酸(VI)水溶液に15分間浸漬して、浸漬前後の重量差を測定し、腐食減量(g/m)を求めた。試験片については端面部を開放状態とし、中央の穴部分は評価外とした。評価基準は下記の通りとした。
腐食減量が5g/m未満:模擬酸性雨中の耐食性「S」
腐食減量が5~15g/m未満:模擬酸性雨中の耐食性「A」
腐食減量が15~30g/m未満:模擬酸性雨中の耐食性「B」
腐食減量が30~50g/m未満:模擬酸性雨中の耐食性「C」
腐食減量が50~75g/m未満:模擬酸性雨中の耐食性「D」
腐食減量が75g/m以上:模擬酸性雨中の耐食性「E」
(塩水中の耐食性)
塩水中の耐食性は、塩水水溶液における耐食性試験により評価した。この試験は、試験水を5%NaCl水溶液とすること以外は、模擬酸性雨耐食性試験と同様にして行った。1000時間経過後、30%クロム酸(VI)水溶液に15分間浸漬し、浸漬前後の腐食減量を求めた。評価基準は下記の通りとした。
腐食減量が30g/m未満:塩水中の耐食性「S」
腐食減量が30~40g/m未満:塩水中の耐食性「A」
腐食減量が40~60g/m未満:塩水中の耐食性「B」
腐食減量が60~80g/m未満:塩水中の耐食性「C」
腐食減量が80~100g/m未満:塩水中の耐食性「D」
腐食減量が100g/m以上:塩水中の耐食性「E」
表1A~表4Cに示すように、No.1及び8は、Al含有量が本発明範囲から外れ、これによりIおよびIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。
No.9及び14は、Mg含有量が本発明範囲から外れ、これによりIおよびIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。
No.17、19、21、24は、元素群Aの元素が本発明範囲から外れ、これによりIおよびIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。
No.25、32、33、49、51、53、54は、元素群Bの元素が本発明範囲から外れ、これによりIおよびIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。
No.35~47および96~108は、製造条件が好ましい範囲から外れたことにより、IおよびIが発明範囲から外れてしまい、水中での耐食性が低下した。
No.55、61は、Si含有量が本発明範囲から外れ、これによりIおよびIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。
No.57はMg/Si比が本発明範囲から外れ、これによりIおよびIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。
No.63、65、67、69、71、73、75、77、79、80は、元素群Cの元素が本発明範囲から外れ、これによりIおよびIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。
No.78は、Feが本発明範囲から外れ、これによりIおよびIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。No.115は、Feが本発明範囲から外れ、これによりIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。No.116は、Feが本発明範囲から外れかつ、式(1)が本発明範囲から外れ、これによりIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。
No.82、84、86、88、90、92、94、110、112、114は、元素群Dの元素が本発明範囲から外れ、これによりIおよびIが発明範囲から外れたため、水中での耐食性が低下した。
一方、表1A~表4Cに示すように、上記以外の溶融めっき鋼材は、めっき層の化学成分、IおよびIが発明範囲を満足し、水中での耐食性に優れていた。これらの溶融めっき鋼材のめっき層の厚みは、片面当たりの厚みとして、70~90μmの範囲であり、Al-Fe合金層の厚みは50~60μmの範囲であり、Zn-Al-Mg合金層の厚みは20~30μmの範囲であった。
Figure 0007356076000009
Figure 0007356076000010
Figure 0007356076000011
Figure 0007356076000012
Figure 0007356076000013
Figure 0007356076000014
Figure 0007356076000015
Figure 0007356076000016
Figure 0007356076000017
Figure 0007356076000018
Figure 0007356076000019
Figure 0007356076000020
Figure 0007356076000021
Figure 0007356076000022
Figure 0007356076000023
本発明によれば、水中(模擬酸性雨中もしくは海水のような塩水)や水濡れが起こり得る常時水濡れ環境下において高い耐食性を示すことが可能な溶融めっき鋼材を提供できるため、本発明は産業上の利用可能性が高い。

Claims (3)

  1. 鋼材表面に、めっき層を有するめっき鋼材であって、
    前記めっき層の平均化学組成が、質量%で、
    Al:22.5%超、50.0%以下、
    Mg:3.0%超、15.0%以下、
    Sn:0%以上、0.7%以下、
    Bi:0%以上、0.3%以下、
    In:0%以上、0.3%以下、
    Ca:0.03%以上、0.6%以下、
    Y :0%以上、0.30%以下、
    La:0%以上、0.30%以下、
    Ce:0%以上、0.30%以下、
    Si:0.03%以上、1.0%以下、
    Cr:0%以上、0.25%以下、
    Ti:0%以上、0.25%以下、
    Ni:0%以上、0.25%以下、
    Co:0%以上、0.25%以下、
    V :0%以上、0.25%以下、
    Nb:0%以上、0.25%以下、
    Cu:0%以上、0.25%以下、
    Mn:0%以上、0.25%以下、
    Fe:2.0%以上、25%以下、
    Sr:0%以上、0.50%以下、
    Sb:0%以上、0.50%以下、
    Pb:0%以上、0.50%以下、
    B :0%以上、0.50%以下、
    Li:0%以上、0.50%以下、
    Zr:0%以上、0.50%以下、
    Mo:0%以上、0.50%以下、
    W :0%以上、0.50%以下、
    Ag:0%以上、0.50%以下、
    P :0%以上、0.50%以下、
    残部がZnおよび不純物からなり、
    Sn、BiおよびInの合計量ΣAが0%以上、0.7%以下であり、
    Ca、Y、LaおよびCeの合計量ΣBが0.03%以上、0.60%以下であり、 Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、CuおよびMnの合計量ΣCが0%以上、0.25%以下であり、
    Sr、Sb、Pb、B、Li、Zr、Mo、W、AgおよびPの合計量ΣDが0%以上、0.50%以下であり、
    下記式(1)~(3)を満たし、
    Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Al0.5Fe1.5のX線回折ピークから求められるIを式(A-1)で定義した場合に、式(A-2)を満足し、
    Zn、Al及びMgZnのX線回折ピークから求められるIを式(B-1)で定義した場合に、式(B-2)を満足する、溶融めっき鋼材。
    Sn≦Si …(1)
    15≦Mg/Si …(2)
    1.0≦Si/Ca≦5.0 …(3)
    Figure 0007356076000024
    ただし、式(1)~(3)において、Sn、Si、Mg、Caは前記めっき層における各元素の含有量(質量%)であり、式(A-1)及び式(B-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値であり、式(A-1)におけるImax(n°)は回折角度n°におけるX線回折強度であり、k、m、nはそれぞれ式(A-1)及び式(B-1)中に示される回折角度である。
  2. Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、MgZnのX線回折ピークから求められるIを式(C-1)で定義した場合に、式(C-2)を満足する、請求項1に記載の溶融めっき鋼材。
    Figure 0007356076000025
    ただし、式(C-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値であり、k、mはそれぞれ式(C-1)中に示される回折角度である。
  3. Cu-Kα線を使用し、X線出力が50kV及び300mAである条件で測定した、前記めっき層表面のX線回折パターンにおいて、Ca(AlSi)OのX線回折ピークから求められるIを式(D-1)で定義した場合に、式(D-2)を満足する、請求項1または請求項2に記載の溶融めっき鋼材。
    Figure 0007356076000026
    ただし、式(D-1)におけるImax(k~m°)は回折角度k~m°の間におけるX線回折強度の最大値であり、Imax(n°)は回折角度n°におけるX線回折強度であり、k、m、nはそれぞれ式(D-1)中に示される回折角度である。
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