本明細書で用いる「一(a、an)」という用語は、特定の要素の少なくとも1つを示すように意図され、「〜を含む」という用語は、限定されないが〜を含む、という意味であり、「〜を含んでいる」という用語は、限定されないが〜を含んでいる、という意味であり、「〜に基づき」という用語は、少なくとも部分的には〜に基づく、という意味である。
本開示の一例による印刷装置は、飛行時間(time-of-flight)センサ(以下、センサという)を用いて、媒体ビン(media bin, 媒体収容部)上の印刷媒体の存在、又は、媒体ビンが空であるときを検出する。一例では、センサは、光送受信器(optical transceiver)とすることができる。すなわち、センサは、第1の放出器と受信器とを有する。第2の放出器は、上記センサに向けて光子を送ることができる。一例では、第2の放出器は、赤外線LEDとすることができる。一例では、第2の放出器は、媒体ビン上でセンサと向かい合うようにして配置することができる。媒体ビン上に印刷媒体があると、その印刷媒体は第2の放出器からの光子を散乱させ、センサの受信器により受信される光子の数(カウント)が減る。印刷装置は、印刷媒体シートが媒体ビン上にあるときにセンサにより受信された光子の数と、印刷媒体が媒体ビン上にないときにセンサにより受信された光子の数とを比較することによって、印刷媒体の存在を検出することができる。
センサの第1の放出器以外の任意の光源に関してセンサの受信器により受信される光子は、雑音又は周囲雑音(ambient noise)として説明できる場合がある。第2の放出器から放出され、センサの受信器により受信される光子は、誘導雑音(induced noise)として説明できる場合がある。第1の放出器から放出され、センサの受信器によって受信される光子は、信号として説明できる場合がある。第1の放出器及び第2の放出器以外の光源から放出される光子は、印刷装置を収容する環境内の照明から受信される光子のような大気雑音として説明できる場合がある。
一例では、センサは、誘導雑音と大気雑音とを区別できない場合がある。一例では、センサは、信号と雑音とを区別できるが、誘導雑音と大気雑音とを区別できない場合がある。言い換えると、センサは、当該センサの第1の放出器から受信した光子を識別することができ、他の任意の受信した光子を、誘導雑音及び大気雑音を含む雑音として識別することができる。雑音又は周囲雑音の発信源は、「第1の放出器以外の光源」、「センサの第1の放出器以外の光源」、又は「第1のセンサ以外の光源」として説明できる場合がある。第1の放出器以外の光源は、第2の放出器を含みうる。また、印刷媒体は、1シートの用紙とすることもできるし、2シート以上の用紙とすることもできる。
一例では、センサは、第1の放出器以外の光源から放出され、センサの受信器により受信された光子の数(カウント)等の雑音の数を求めることができる。この雑音の数は、媒体ビン上に印刷媒体があるときは、減る可能性がある。一例として、媒体ビンに印刷媒体があるときにセンサにより受信される雑音数の98%〜102%を閾値とすることができる。
一例では、センサは、光センサとすることができる。一例では、センサの方向に向けられた放出器は、光放出器とすることができる。また、センサは、媒体ビンの方向に向けられるように媒体ビンアセンブリに配置することができ、放出器は、センサの方向に向けられるように媒体ビンアセンブリに配置することができる。例えば、センサは、媒体ビンに向けて光子を放出することができる。センサは、例えば、光がセンサの送信機からセンサの受信器に移動するのに要する時間を測定することによって、自己と、センサと向かい合った表面との距離を測定する。一例では、単一のセンサの同じ平面及び/又は部分に配置する等、送信機及び受信器を同じ場所に配置することができる。本開示の一例によれば、測定された距離が閾値内にあるとき、センサは、当該センサと向かい合った第2の送信機を用いて、センサの受信器において単位時間当たりに受信される光子の数を求めることができる。単位時間当たりに受信される光子の数が閾値内にあるとき、印刷装置は、媒体ビンに印刷媒体が存在すると判断することができる。
一例では、媒体ビン(media bin, 媒体収容部)は、単一シート若しくは複数シートの用紙又は他のタイプの印刷媒体が含まれうる印刷媒体を保持する容器(receptacle)とすることができる。一例では、媒体ビンは、印刷装置がテキスト及び/又は画像を印刷媒体上に生成した後に印刷媒体が集められる出力媒体ビン等のトレイとすることができる。一例では、媒体ビンは、異なるサイズの印刷媒体を保持することができる。一例では、媒体ビンは、特定のグラム毎平方メートルの厚さ(GSM)を有する印刷媒体を保持することができる。別の例では、媒体ビンは、無地の用紙、光沢用紙、写真用紙等の異なるタイプの印刷媒体を保持することができる。別の例では、媒体ビンは、印刷前の印刷媒体を保持する入力媒体ビンとすることができる。
一例では、センサは、当該センサと、媒体ビンが空である場合の媒体ビンの対向表面又は媒体ビン上の印刷媒体の表面等の当該センサと向かい合った表面との間の距離を求める光学式飛行時間(time-of-flight)センサとすることができる。距離は、センサから送信された光子が、センサと向かい合った表面から反射してセンサに戻るのに要する時間に基づいて測定される。センサは、アナログ式飛行時間センサとすることもできるし、デジタル式飛行時間センサとすることもできる。光子の飛行時間に基づいて距離を測定することに加え、センサは、単位時間当たりに受信した光子の数も測定することができる。一例では、センサにより受信された光子は、センサと向かい合った表面から反射した光子を含む。別の例では、センサは、センサから送信された光子の数及びセンサにより受信されたそれらの光子の数等の、表面から単位時間当たりに反射した光子の数を測定することができる。センサは、センサから送信された光子とセンサから送信されていない光子とを区別するために、光の特定の波長を用いることもできるし、特定のパターンで光子を送信することもできる。一例では、透過度(translucency value)は、センサ以外の光源から送信され、印刷媒体を通ってセンサにより単位時間当たりに検出される光子の数とすることができる。印刷媒体が存在しないときの透過度は、センサ以外の光源から送信され、センサにより単位時間当たりに検出される光子の数とすることができる。一例では、センサは、周囲光検出器を備えることができる。一例では、透過度は、この周囲光検出器を用いて測定することができる。センサは、光送信機及び光受信器を備えることができる。
センサに関連した技術的問題は、媒体ビン上の印刷媒体の厚さが、センサの距離測定によって正確に求めることができる最小厚さに関連した閾値未満であるときに、媒体ビンに印刷媒体があるのか否かをどのようにして判断するのかである。例えば、センサが距離測定に基づいて正確に測定することができる媒体ビン上の印刷媒体の最小厚さが5ミリメートル(mm)であり、単一シートの80GSM用紙が0.1mm(通常は約0.10mm)である場合、単一シートの80GSM用紙は、センサの距離測定によって検出することができない場合がある。例えば、印刷装置が、センサによって測定された距離が5mmに関連した閾値内にあると判断した場合、印刷装置は、最初に、媒体ビン上の印刷媒体の厚さが5mm未満であるときに媒体ビンが空であるとみなす可能性がある。本開示の例に従って以下で更に詳細に説明される印刷装置は、単位時間当たりの雑音の光子のカウントに基づいて媒体ビン上の少なくとも単一シート又は複数シートの用紙の存在を正確に判断することができる。したがって、距離測定に基づいて測定可能な最小厚さ未満の厚さを有する単一シートの用紙又は複数シートの用紙が媒体ビン上にある場合、印刷装置は、媒体ビン上のそれらの単一シートの用紙又は複数シートの用紙を検出可能とすることができる。別の例では、印刷装置は、以下で説明するような較正閾値外の透過度を有する複数シートの用紙を検出することができない場合がある。
さらに、印刷装置は、媒体ビン上の検出された印刷媒体に基づいて、以下で更に説明する印刷装置の動作を制御可能とすることができる。もう1つの技術的問題は、接触型センサ又は機械式センサを用いて、媒体ビン上の印刷媒体の存在を判断することに関連したものである。接触型センサ又は機械式センサは、印刷媒体に損傷を与える可能性がある。また、接触型センサ又は機械式センサは、印刷媒体が媒体ビンに戻されるときに損傷を受けやすく、例えば、印刷媒体が戻されるか又はプットバックされるときに、接触型センサ又は機械式センサの機械フラグが破損することがある。以下の例で説明する飛行時間センサを有する印刷装置は、接触型センサ又は機械式センサを用いることなく、印刷媒体の存在を判断することができる。また、以下で説明する例における印刷装置のセンサは、印刷媒体が媒体ビンから取り除かれ、再び媒体ビンに配置されるときに損傷を受けることはない。さらに、印刷装置は、印刷媒体が媒体ビンから取り除かれ、再び媒体ビン上に配置されたことを判断することができる。
図1Aに、本開示の一例による印刷装置100(以下、装置100という)のブロック図を示す。装置100は、印刷媒体110を保持する媒体ビン106を備えることができる。装置100は、センサ112を制御するコントローラ104を備えることができる。センサ112は、媒体ビン106に向けることができる。例えば、センサ112の第1の放出器113は、媒体ビン106に向けて、送信光子141として示される光子を放出し、センサ112の受信器115が反射光子143を受信することができる。反射光子については、以下で更に説明する。一例では、第1の放出器113から送信され、センサ112により受信される光子は、信号として説明される場合がある。図1Aに示すように、媒体ビン106は、印刷媒体110を保持し、送信光子141は、媒体ビン106上の印刷媒体110の表面等の表面120に向けて送られる。以下で説明する他の例では、媒体ビン106が空であるとき、表面120は、媒体ビン106の対向表面108とすることができる。対向表面108は、センサ112に向いており、以下に述べるように、媒体ビン106が空であるときに、送信光子141を反射させることができる。対向表面108を他の表面と区別する隆起部を有する対向表面108が示されているが、対向表面108は平坦とすることもできる。
装置100は、第2の放出器117を備えることができる。一例では、第2の放出器117は、媒体ビン106上にあり、センサ112の方向に向けることができる。別の例では、第2の放出器117は、媒体ビン106の表面の下にあり、センサ112の方向に向けることができる。例えば、第2の放出器117は、センサ112に向けて光子を放出することができる。これらの光子は、送信光子145として示され、センサ112の受信器115により受信される。装置100は、第1の放出器113以外の光源156a、156b等から光子を受信することができる。一例では、光源156aは、大気雑音として説明できる場合がある環境内の照明からの光子とすることができる。一例では、光源156aは、誘導雑音として説明できる場合があるセンサ112の受信器115により受信される第2の放出器117からの光子とすることができる。
印刷媒体110の存在を判断するために、コントローラ104は、センサ112によって測定される光子のカウント152が閾値128内にあるか否かを判断することができる。例えば、閾値128は、単一シートの印刷媒体の光子のカウントである。例えば、閾値は、標準的な単一シートの白紙の用紙の透過度に基づいて決定することができる。標準的な用紙は、例えば、80GSMである。例えば、80GSMは、第2の放出器117から放出された光子のうちの幾つかを散乱させ、それにより、センサ112により受信される光子の数が減る。閾値128は、図3Eに関して以下に更に述べるように、単一シートの最大透過度及び最小透過度に基づくことができる。したがって、閾値128は、ある範囲とすることができる。光子のカウントが閾値128内といった範囲内に含まれる場合に、コントローラ104は、印刷媒体が媒体ビン106上に存在すると判断する。一例では、所定の厚さの印刷媒体(例えば、単一シートの80GSM用紙)が媒体ビン106上に存在するとき、閾値128は、光子のカウントの98%〜102%とすることができる。
一例では、媒体ビン106は、装置100が画像及び/又はテキストを印刷媒体110上に印刷する前に、印刷媒体110を保持することができる。一例では、媒体ビン106は、装置100が画像及び/又はテキストを印刷媒体110上に印刷した後に、印刷媒体110を保持することができる。一例では、媒体ビン106は、印刷媒体110のスタック(複数シート)を保持することができる。
一例では、センサ112は、飛行時間センサとすることができる。一例では、センサ112は、レーザ送信機と、表面120からの反射後にセンサ112上のレーザ受信器により受信されるレーザの飛行時間とを用いて、表面120までの距離を求めることができる。一例では、センサ112は、ある期間にわたって積分されるセンサ112から送信された光子の数及びセンサ112により受信された光子の数を用いて距離を求めることができる。一例では、センサ112は、無線周波数搬送波を用いて変調された光子からなる送信機113によって送信される出射ビームを用い、その後、表面120からの反射後にセンサ112の受信器115によって受信されたその搬送波の位相シフトを測定することで距離を求めることができる。一例では、センサ112は、光子が出射するレートと同じレートで開閉するレンジゲートイメージャ(range gated imager)を用いて距離114を求めることができる。レンジゲートイメージャでは、戻った光子の一部は、到着時刻に従ってブロックされる。したがって、受信される光子の数は、光子が移動した距離に関係する。この移動した距離は、式z=R(S2−S1)/2(S1+S2)+R/2を用いて計算することができる。ここで、Rは、光パルスの往復によって決まるセンサレンジであり、S1は、受信される光パルスの量であり、S2は、ブロックされる光パルスの量である。一例では、センサ112は、単一のレーザパルスがセンサ112から出射し、反射してセンサ112の焦平面アレイ上に戻る飛行時間を直接測定することができる。センサ112は、980nm〜1600nmの波長のレーザパルスを撮像することが可能なInGaAsのアバランシェフォトダイオードアレイ又はアバランシェ光検出器アレイを用いることができる。一例では、センサ112は、シーンを照明する照明ユニットと、反射光を集光する光ユニットと、光が照明ユニットから物体まで進み、焦平面アレイに戻るのに要した時間の測定値をピクセルが示す画像センサと、ドライバ電子機器とを備えることができる。一例では、照明ユニットは、レーザダイオード又は赤外線LEDを含むことができる。一例では、センサ112の光ユニットは、照明ユニットと同じ波長を有する光を通過させて、関連のない光を抑制するとともに受信光の雑音を低減する光バンドパスフィルタを含むことができる。一例では、センサ112は、センサ112によって受信されるセンサ112からの送信光と、センサ112によって受信される周囲光との間の信号対雑音比を求める周囲光センサを含むことができる。
一例では、コントローラ104は、データ記憶装置130を備えることができる。データ記憶装置130は、光子のカウント152及び閾値128のうちの少なくとも一方を記憶することができる。コントローラ104については、図5に関して更に図示及び説明する。
図1Bに、媒体ビン106が印刷媒体110を有しない場合の例を示す。したがって、同図は、光子が媒体ビン106上の印刷媒体によって散乱されない場合を示している。
一例では、印刷媒体110の高さによって、印刷媒体が媒体ビン上に存在するか否かが判断される。例えば、図1Cに示す距離114及び116を用いて、印刷媒体が媒体ビン上に存在するか否かを判断することができる。距離測定に基づいて、媒体ビンが空であると判断された場合、上述した光子のカウント152を用いて、ビンが空であるか否かを確認することができる。図1Cを参照すると、この図は、複数シートの印刷媒体110が媒体ビン106上にあり、距離114を測定して印刷媒体110を検出することができる場合の一例を示している。一例では、コントローラ104は、センサ112から送信され、表面120からの反射後にセンサ112に戻って受信された光子の飛行時間に基づいて距離114を求めることができる。例えば、反射光子143は、送信光子141のうち、反射されてセンサ112に戻った光子である。コントローラ104は、センサ112と表面120との間で測定された距離114が距離閾値124内にあるか否かを判断することができる。一例では、距離閾値124は、センサ112と対向表面108との間の対向距離116に基づくものとすることができる。例えば、距離閾値は、対向距離116の98%〜102%とすることができる。距離114が距離閾値124内にあるとき、コントローラ104は、媒体ビン106が空であるとみなすことができる。媒体ビン106が空であるか否かを確認するために、コントローラ104は、光子のカウント154が閾値128内にあるか否かを判断することができる。
図2A及び図2Bに示すように、媒体ビン106は、延長位置202と後退位置202との間で横方向に移動可能とすることができる。例えば、図2Aは、延長位置202にある媒体ビン106を示している。コントローラ104は、印刷媒体110が媒体ビン106へ印刷されるとき、媒体ビン106を延長位置202に進めることができる。図2Bは、後退位置204にある媒体ビン106を示している。コントローラ104は、印刷媒体110が媒体ビン106から取り除かれると、媒体ビン106を後退位置204に後退させることができる。媒体ビン106は、フィニッシャトレイとすることができ、センサ112によって測定された印刷媒体110の透過度192が透過度閾値194内にあるか否かに基づいて、延長位置202と後退位置204との間で横方向に移動させることができる。一例では、印刷媒体110を持ち上げて媒体ビン106上に再び戻し、媒体ビン106が後退位置204に後退するのを防止することができる。一例では、コントローラ104は、媒体ビンが延長位置202にあるフィニッシャトレイであるとき等、媒体ビン106が空でないときにアラートを通知することができる。別の例では、コントローラ104は、媒体ビン106が入力ビンであるとき等、媒体ビン106が空であるときにアラートを通知することができる。
図2Cを参照すると、この図は、センサ112の受信器115がフィルタ119を備えることができる場合の一例を示している。フィルタ119の例は、光子が出射するレートと同じレートで開閉するレンジゲートイメージャを含むことができる。レンジゲートイメージャの場合、戻った光子の一部は、到着時刻に従ってブロックされる。別の例では、フィルタ119は、光波長に基づいて光子をフィルタリングする。例えば、フィルタ119は、特定の波長を有する光子143を通過させ、光子143と異なる波長を有する光子145及び154を阻止することができる。
一例では、フィルタ119は、第1の放出器113以外の光源からの光子を除去することができる。別の例では、フィルタ119は、第1の放出器113からの光子を除去することができる。別の例では、コントローラ104は、光子の信号対雑音比158を計算することができ、ここで、信号は、第1の放出器113から受信された光子の第1のカウント154であり、雑音は、第2の放出器117以外の光源156a、156b等から受信された光源156からの光子の第2のカウント157である。別の例では、光源156bは、第2の放出器117を含むことができる。信号対雑音比158が信号対雑音閾値170外にあるとき、コントローラ104は、図に示すように、印刷媒体110が媒体ビン106上に存在しないと判断することができる。別の例では、信号対雑音比158が信号対雑音閾値170内にあるとき、コントローラ104は、印刷媒体110が媒体ビン106上に存在すると判断することができる。印刷媒体が媒体ビン106上に存在しないとの判断に応じて、コントローラ104は、図2A及び図2Bを参照して上述したように、媒体ビンを横方向に、すなわち、延長位置202から後退位置204に又は後退位置202から延長位置204に移動させることができる。一例では、コントローラ104は、媒体ビンが延長位置202にあるとき、媒体ビン106が空であるか否かを判断することができる。別の例では、コントローラ104は、媒体ビンが後退位置204にあるとき、媒体ビン106が空であるか否かを判断することができる。
図2Dを参照すると、この図は、センサ112の受信器115がフィルタ119を備えることができる場合の一例を示している。一例では、装置100は、第1の放出器113から受信器115において受信された光子に基づいて、センサ112の受信器115において受信される光子の第1のカウントを求めることができる。一例では、コントローラ104は、第1の放出器113以外の任意の光源から受信器115において受信された光子に基づいて、センサ112の受信器115において受信される光子の第2のカウント157を求めることができる。コントローラ104は、光子の第1のカウント及び光子の第2のカウントに基づいて、光子の信号対雑音比を求めることができる。例えば、信号対雑音比は、光子の第1のカウント/光子の第2のカウントとして表すことができる。ここで、光子の第1のカウント及び光子の第2のカウント157は、同じ単位時間の間センサ112によって測定される。
センサ112は、センサ112の受信器115と第2の放出器117との間に配置された物体の透過度192を測定することができる。例えば、印刷媒体110の透過度は、センサ112の第1の放出器113以外の光源からセンサ112の受信器115において受信された光子のカウントとすることができる。別の例では、透過度は、光源156aが静的なものであるとき、第2の放出器117から放出されて受信器115において受信された光子のカウントに基づいて表すことができる。一例では、透過度閾値194は、印刷媒体110が媒体ビン106上に存在するときの、ある範囲の透過度とすることができる。例えば、透過度閾値194は、第1の放出器以外の光源から受信器115において受信された光子の数について、透過度の98%〜102%とすることができる。
一例では、コントローラ104は、装置100が初期化されたときに、第2の放出器117を較正し、第2の放出器117の較正された電力レベル181を求めることができる。別の例では、センサ112は、印刷媒体110が媒体ビン106上に最初に配置されたときに、較正を行い、第2の放出器117の較正された電力レベル181を求めることができる。
図3Aは、一例による印刷装置100の側面図である。図3Bは、一例による印刷装置100の等角投影図である。図3Aは、符号106a及び106bを有する2つの媒体ビンを示している。媒体ビン106aは、媒体ビン106bへのアクセスを容易にするために、上述したように後退可能とすることができる。一例では、図2A、図2B、図3C及び図3Dに示すように、媒体ビン106aを延長位置202から後退位置204に移動させることができる。媒体ビン106aをセンサ112から対向距離116の位置に配置することができる。一例では、図3Bに関して、媒体ビン106aを図3BのY−Y軸に沿って延長位置202から後退位置204に移動させることができる。別の例では、図3Bに関して、媒体ビン106aを図3BのX−X軸に沿って移動させることができる。別の例では、図3Bに関して、媒体ビン106aを図3BのX−X軸に沿って移動させることができる。別の例では、図3Bに関して、媒体ビン106aを、図3BのX−X軸及びY−Y軸を組み合わせた軸に沿って移動させることができる。一例では、媒体ビン106aは、印刷後の印刷媒体110を保持することができる。一例では、コントローラ104は、媒体ビン106aが空でないとき、媒体ビン106aを延長位置202に放置しておくことができる。別の例では、コントローラ104は、媒体ビン106aが空であるとき、媒体ビン106aを後退させることができる。
図3Eは、本開示の例による印刷媒体110の透過度のヒストグラムを示している。一例では、このヒストグラムは、センサ112と向かい合った印刷媒体110の透過度182を示している。一例では、印刷媒体110は、光沢、無地、写真等のタイプ、製造業者、テキスト、写真、パワーポイントスライドからの単色で塗りつぶされたエリア等の印刷された内容等に基づいて異なる透過度を有する場合がある。一例では、媒体ビン106上の印刷媒体110は、ヒストグラムに示すように、最大透過度340及び最小透過度342を有することができる。一例では、最大透過度340は、印刷媒体110の透過度を表すことができる。一例では、最小透過度342は、印刷媒体110の透過度を表すことができる。一例では、センサ112によって測定された透過度192が、最大透過度340と最小透過度342の間にあるとき、コントローラ104は、媒体が媒体ビン106上に存在する(352)と判断することができる。別の例では、センサ112によって測定された透過度192が、印刷媒体110の最小透過度342未満であるとき、又は、印刷媒体110の最大透過度340よりも大きいとき、コントローラ104は、媒体が媒体ビン106上に存在しない(354)と判断することができる。
一例では、印刷媒体110が存在しないとき、センサ112は、媒体が存在しないことに対応する透過度344を測定することができる。この透過度は、印刷媒体110の最大透過度340よりも高いものとすることができる。一例では、コントローラ104は、印刷媒体110の媒体存在(352)を判断することができる。別の例では、コントローラ104は、透過度192に基づいて、媒体が印刷媒体110上に存在しない(354)と判断することができる。別の例では、コントローラ104は、センサ112によって測定された透過度192に基づいて、透過度346を有するカード用紙の存在(356)、又は、印刷媒体110の透過度348を有する2シート以上の存在(356)を判断することができる。一例では、コントローラ104は、透過度192を透過度閾値194と比較することができる。一例では、透過度閾値194は、最小透過度342から最大透過度340に及ぶ範囲とすることができる。光源156a、156bから受信された光子の数に基づいてセンサ112によって測定された透過度192が閾値内にあるとき、コントローラ104は、上述したように、媒体ビン106を延長位置202に保持することができる。別の例では、コントローラ104は、センサ112によって測定された透過度192が閾値外にあるとき、上述したように、媒体ビン106を延長位置204から後退位置202に後退させることができる。
一例では、印刷媒体110は、無地の用紙、写真用紙、光沢用紙、カード用紙、異なる厚さ又はGSMの用紙等の異なるタイプのものとすることができる。異なるタイプの印刷媒体110は、異なる透過度を有する場合がある。別の例では、印刷媒体110は、同じタイプの媒体ではあるが、異なる製造業者によって製造されたものについては、異なる透過度を有する場合がある。別の例では、印刷媒体110は、テキスト、写真、パワーポイントスライドからの単色で塗りつぶされたエリア等の印刷された内容に基づいて異なる透過度を有する場合がある。一例では、コントローラ104は、異なるタイプの印刷媒体110の所定の媒体透過度ルックアップテーブルを有することができる。
一例では、コントローラ104は、最後に印刷された印刷媒体110の媒体透過度を記憶することができる。最後に印刷された印刷媒体110の媒体透過度は、最後に印刷された印刷媒体110が取り除かれ、その後、媒体ビン106に再び戻されたか否かを判断するのに用いることができる。
図4に方法400の一例を示している。方法400は、装置100によって実行され、放出器、例えば、媒体ビン106の下に配置された第2の放出器117を、或る特定の厚さの印刷媒体110を貫通する光子を放出する較正された電力レベル181を用いて較正することができ、光子が、センサ112、例えば、光送受信器において受信されるようにする。センサ112、例えば、光送受信器は、上述したように、放出器113、例えば光送受信器の放出器と、受信器115、例えば光送受信器の受信器とを備えることができる。別の例では、方法400は、印刷媒体110が存在しないときに光子を放出する較正された電力レベル181を用いて、第2の放出器117を較正することができる。方法400は、装置100によって実行される例として説明されるが、他の装置によって実行することもできる。方法400及び本明細書に記載された他の方法は、当該方法を具現化する機械可読命令を実行する少なくとも1つのプロセッサを備える任意の印刷装置によって実行することができる。例えば、図2Dに示す装置100及び/又はコントローラ104は、これらの方法を具現化する機械可読命令をデータ記憶装置130に記憶することができ、コントローラ104内のプロセッサは、それらの機械可読命令を実行することができる。また、方法400のステップ及び本明細書に記載された他の方法のステップのうちの1つ以上は、図示した順序と異なる順序で又は実質的に同時に実行することもできる。
符号402において、装置100は、或る電力レベルを用いて放出器(例えば、図2C及び図2Dにおける第2の放出器117)を起動する。例えば、図2C及び図2Dに関して、装置110は、媒体ビン106上に配置された第2の放出器117を、電力レベル180を用いて起動する。一例では、コントローラ104は、電力レベル180をデータ記憶装置130からの事前に較正された電力レベルに初期化することができる。
符号404において、装置100は、光送受信器(例えば、図2C及び図2Dに関するセンサ112)を用いて、媒体ビン106上の放出器によって放出された光子と、光送受信器によって放出され、光送受信器に向けて反射されて戻った光子とを含む光子を受信することができる。例えば、図2C及び図2Dに関して、センサ112は、センサ112の第1の放出器及び第2の放出器117からの光子を受信することができる。
符号406において、装置100は、光送受信器によって送信され、光送受信器において受信された光子をフィルタリングして、放出器によって送信された光子を識別することができる。例えば、図2C及び図2Dに関して、センサ112は、図2Cに関して論述したように、センサ112の送信機113によって送信された光子をフィルタリングして、センサ112以外の光源からセンサ112において受信された光子を識別することができる。一例では、センサ112は、必要とされる光子をフィルタリングする特定の波長の光子でない全ての光子をフィルタリングすることができる。
符号408において、装置100は、放出器によって放出され、406において受信された光子に基づいて、単位時間当たりの光子のカウント152を求めることができる。例えば、図1A及び図2Cに関して論述したように、光源156a、すなわち第1の放出器113以外の光源からの光子を伴う第2の放出器117によって放出された光子を用いて、光送受信器112において受信される単位時間当たりの光子のカウントを求めることができる。
符号410において、装置100は、光子のカウント152が較正閾値196内にあるか否かを判断することができる。例えば、較正閾値196は、図3Cに関して論述したように、印刷媒体110の最大透過度340及び最小透過度342の範囲に基づくことができる。例えば、較正閾値196は、光送受信器112において受信された光子のカウントであり、このカウントは、最大透過度の印刷媒体110が暗室に置かれたときの光子のカウントを上回るものである。別の例では、この較正閾値196は、光源156a等の大気雑音について調整することができる。一例では、受信器115において受信された光子のカウントが、最大透過度の印刷媒体110が媒体ビン106上に配置された場合にセンサ112において受信された光子のカウントの96%〜104%であるときに、光子のカウント152は、大気雑音について調整された較正閾値196内にある。光子のカウント152が較正閾値196内にあるとき、実行は414に移動する。光子のカウント152が較正閾値196外にあるとき、実行は412に移動する。別の例では、閾値196は、印刷媒体110の最大透過度及び最小透過度に基づくことができる。
符号412において、装置100は、電力レベルを調整することができ、実行は404に移動する。
符号414において、装置100は、較正された電力レベル181を記録し、較正された電力レベル181をデータ記憶装置130に記憶することができる。一例では、較正された電力レベル181を用いて、媒体ビン106上の印刷媒体110の存在を判断することができる。
図5は、本開示の一例による媒体ビン106を備える印刷装置100のブロック図を示している。装置100は、印刷媒体110を収容する媒体ビン106を備える。一例では、装置100は、印刷媒体110の幾つかのスタックを収容することができる。別の例では、装置100は、印刷媒体110の幅にわたる印刷バー522を備えることができる。別の例では、装置100は、非ページ幅アレイの印刷ヘッドを備えることができる。装置100は、印刷バー522に関連したフローレギュレータ504、媒体搬送機構506、印刷流体又は他の吐出流体の供給部502、及びコントローラ104を更に備えることができる。2D印刷装置が本明細書において説明され、添付図に図示されているが、本明細書において説明されるこれらの例の態様は、3D印刷装置においても適用することができる。
コントローラ104は、機械可読命令590、少なくともプロセッサ177、少なくとも関連したデータ記憶デバイス130、並びに、印刷バー522を含む、印刷ヘッド532の噴射及び動作を含む装置100の動作要素を制御するのに用いられる電子回路部及び構成要素を代表することができる。コントローラ104は、集積回路、例えばマイクロプロセッサ等のハードウェアである。他の例では、コントローラ104は、特定のタスクを実行するように設計された特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ又は他のタイプの集積回路を含むことができる。コントローラ104は、単一のコントローラ又は複数のコントローラを含むことができる。データ記憶装置130は、メモリ及び/又は他のタイプの揮発性若しくは不揮発性のデータ記憶デバイスを含むことができる。データ記憶装置130は、コントローラ104によって実行可能な機械可読命令590を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。一例では、コントローラ104は、機械可読命令590をデータ記憶装置130から取り出し、これらの命令を実行することができる。582において、コントローラ104は、センサ112の第1の放出器113から受信された光子の第1のカウント154を求めることができる。これらの光子は、信号として記載される場合がある。584において、コントローラ104は、第1の放出器113以外の光源からの光子の第2のカウント157、152を求めることができる。これらの光子は、雑音として記載される場合がある。586において、コントローラは、光子の第1のカウント154及び光子の第2のカウント157に基づく信号対雑音比である信号対雑音比158を求めることができる。588において、信号対雑音比158が信号対雑音閾値170外にあるとき、コントローラ104は、印刷媒体110が媒体ビン106上に存在しないと判断することができる。印刷媒体110が存在しないとの判断に応じて、コントローラ104は、フィニッシャアセンブリ508を制御し、図3A及び図3Bに関して説明したように、媒体ビン106を移動させることができる。
さらに、コントローラ104は、印刷中に装置100内で媒体を搬送通過させるとともに印刷媒体110を媒体ビン106に搬送するのに用いられる媒体搬送機構506を制御する。一例では、コントローラ104は、媒体ビン106の幾つかの機能を制御することができる。1つの例では、コントローラ104は、印刷媒体110を移動可能ビンフロア等の媒体ビン106に提供する際に、媒体ビン106の幾つかの機能を制御することができる。さらに、コントローラ104は、フィニッシャアセンブリ508の機能を制御して、印刷媒体110の幾つかのスタックを、出力エリア内の幾つかの異なる位置間で移動させる。
媒体搬送機構506は、印刷媒体110を媒体ビン(図示せず)から搬送し、用紙を印刷装置100内に供給し、印刷媒体110の収集、位置合わせ及び/又は仕上げに用いられる出力アセンブリ520に供給することができる。一例では、出力アセンブリ520上に収集された印刷媒体110は、生成されたテキスト及び/又は画像を有する印刷媒体110のうちの少なくとも1つを含む。一例では、印刷媒体110の収集が完了したものは、装置100が処理する印刷ジョブを表すことができる。
装置100は、画像を印刷媒体110上に再現する任意のタイプのデバイスとすることができる。1つの例では、装置100は、特に、インクジェット印刷デバイス、レーザ印刷デバイス、トナーベース印刷デバイス、ソリッドインク印刷デバイス、昇華型印刷デバイスとすることができる。本印刷装置100は、本明細書ではインクジェット印刷デバイスとして説明されているが、任意のタイプの印刷装置を、本明細書に記載されたシステム、デバイス、及び方法とともに用いることができる。その結果、本明細書に関して説明されたインクジェット印刷装置100は、一例として理解されることが意図されており、限定であることは意図されていない。
本明細書に記載し例示したことは、幾つかの変形を伴う本開示の一例である。本明細書で使用した用語、記載及び図は、単に例として示されており、限定するものとして意図されていない。特許請求の範囲によって定義されるように意図されている本開示及びそれらの均等物の範囲内で多くの変形が可能であり、そこでは、全ての用語は、別段の指示がない限り、それらの最も広い妥当な意味で意図されている。