以下、本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図3に、第1の実施形態の鉄骨造の耐火構造の一例を示す。第1の実施形態の鉄骨造の外壁耐火構造は、垂直に長い複数の軽量鉄骨1と、軽量鉄骨1の表面に、正面視で長方形の第1の石膏ボード2と、正面視で長方形の第2の石膏ボード3と、正面視で長方形の外壁材5とをこの順で備える。表面とは、鉄骨造の耐火構造の外側の面を意味する。また、正面視とは、鉄骨造の耐火構造を表面側から厚み方向に見ることを意味する。
軽量鉄骨1は、長尺の胴縁である。軽量鉄骨1の断面形状は、例えば、角パイプのように矩形状でもよく、図2のように、C型状でもよい。軽量鉄骨1の断面とは、長尺方向と垂直な方向の断面を意味する。軽量鉄骨1は、1つの胴縁から形成されていてもよく、複数の胴縁を組み合わせて1つの軽量鉄骨1が形成されていてもよい。第1の実施形態では、軽量鉄骨1は、基礎材の表面に、垂直に長い、すなわち上下方向に長尺である縦胴縁として設置される。軽量鉄骨1は、所定の間隔をあけて、左右方向に並設されている。軽量鉄骨1を設置する間隔は、適宜設定され、例えば、図2のように等間隔であってよい。軽量鉄骨1は、第1の石膏ボード2の縦辺25、26と、第2の石膏ボード3の縦辺35、36と、外壁材5の短辺55、56が配置される位置、及び外壁材5を支持する留め具6が配置される位置に設置される。なお、本明細書では、上下方向又は縦方向とは、鉛直方向を意味し、左右方向又は横方向とは、水平方向を意味する。すなわち、縦辺とは、鉛直方向の辺を意味し、横辺とは、水平方向の辺を意味する。また、厚み方向とは、第1及び第2の石膏ボード、外壁材の厚み方向を意味する。
第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3は、正面視で長方形の石膏ボードである。石膏ボードとしては、例えば、JIS A 6901で規定される強化石膏ボードが挙げられる。更には、強化石膏ボードの芯の石膏に、撥水材などにより防水加工が施されていることが好ましく、雨水や湿気などによって強化石膏ボードの強度や耐久性などが低下するのを抑制することができるものである。第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3の厚みは、必要な耐火性能に応じて選択され、例えば、15〜27mmの範囲内である。また、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3の大きさは、特に限定されないが、例えば、短辺が600〜1220mmの範囲、長辺が1200〜3030mmの範囲である。図1では、縦辺が短辺であり、横辺が長辺となるように、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3が配置されているが、この配置に限定されない。図18のように、縦辺が長辺であり、横辺が短辺となるように、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3の両方が配置されていてもよい。あるいは、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3のいずれか一方の縦辺が長辺及び横辺が短辺(すなわち横長方向の施工)であり、他方の縦辺が短辺及び横辺が長辺(すなわち縦長方向の施工)となるように配置されていてもよい。なお、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3の大きさとは、正面視での大きさを意味する。
第1の石膏ボード2と第2の石膏ボード3は、大きさが同じであることが好ましい。図1では、第1の石膏ボード2の縦辺25、26と第2の石膏ボード3の縦辺35、36は同じ長さであり、第1の石膏ボード2の横辺27、28と第2の石膏ボード3の横辺37、38は同じ長さである。第1の石膏ボード2と第2の石膏ボード3の大きさが同じであり、第1の石膏ボード2と第2の石膏ボード3の長辺及び短辺の向きが同じになるように施工されている場合、第1の石膏ボード2の横辺と第2の石膏ボード3の横辺と外壁材5の長辺とが、厚み方向で重ならないように施工しやすくなる。なお、第1の石膏ボード2と第2の石膏ボード3の大きさは異なっていてもよい。また、第1の石膏ボード2と第2の石膏ボード3の厚みは、同じでもよく、異なっていてもよい。
第2の石膏ボード3の表面側には、透湿防水シート4が設けられていることが好ましい。透湿防水シート4は、水分の浸入を防止し、湿気(水蒸気)を透過する性質を有する。透湿防水シート4により、湿気が表面側に放出され、耐火構造内での結露の発生が抑制されやすくなる。また、外壁材5から雨水等の水分が浸入した場合であっても、第2の石膏ボード3側への水分の浸入が防止しやすくなる。透湿防水シート4は、第2の石膏ボード3の表面全体に設けられていてよい。
外壁材5は、正面視で長方形の窯業サイディングである。窯業サイディングの大きさ及び厚みは、適宜設定され、例えば、短辺が300〜1000mmの範囲、長辺が1000〜3600mmの範囲、厚みが12〜40mmの範囲である。
図4〜図7に、第1の実施形態の鉄骨造の外壁耐火構造の施工工程の一例を示す。図4は、第1の実施形態の第1の石膏ボード2の施工構造の一例である。第1の実施形態では、第1の石膏ボード2は、複数の軽量鉄骨1に渡って設置されている。第1の石膏ボード2の2つの縦辺25、26は、軽量鉄骨1に位置する。本明細書では、第1の石膏ボード2の縦辺25、26が位置する軽量鉄骨1を、第1の軽量鉄骨11ともいう。上下左右方向に複数の第1の石膏ボード2が並べて設置されている場合、全ての第1の石膏ボード2の縦辺25、26が、軽量鉄骨1に位置する。第1の石膏ボード2は、固定部材により、軽量鉄骨1に固定されている。固定部材としては、例えば、ビス、釘、ネジが挙げられる。
図4のように、複数の第1の石膏ボード2が上下方向に隣り合っている場合、第1の石膏ボード2は、横辺同士が突き合わされて隣り合う。第1の石膏ボード2の横辺同士が突
き合わされた部分が、突き合わせ部7である。すなわち、図4のように、上の第1の石膏ボード21の下の横辺281と、下の第1の石膏ボード22の上の横辺272とが突き合わされている。
また、図4のように、複数の第1の石膏ボード2が左右方向に隣り合っている場合、第1の石膏ボード2は、縦辺同士が突き合わされて隣り合う。第1の石膏ボード2の縦辺同士が突き合わされた部分が、突き合わせ部8である。すなわち、図4のように、右の第1の石膏ボード23の左の縦辺263と、左の第1の石膏ボード24の右の縦辺254とが突き合わされている。
図5に、第1の実施形態の第2の石膏ボード3の施工構造の一例を示す。第1の実施形態では、第2の石膏ボード3は、複数の軽量鉄骨1に渡って、第1の石膏ボード2の表面に設置されている。第2の石膏ボード3の2つの縦辺35、36は、第1の石膏ボード2の縦辺25、26が位置する軽量鉄骨1とは異なる軽量鉄骨1に位置する。本明細書では、第2の石膏ボード3の縦辺35、36が位置する軽量鉄骨1を、第2の軽量鉄骨12ともいう。図5のように、上下左右方向に複数の第2の石膏ボード3が並べて設置されている場合、全ての第2の石膏ボード3の縦辺35、36が、第1の軽量鉄骨11とは異なる軽量鉄骨1に位置する。第2の石膏ボード3は、第1の石膏ボード2を介して、固定部材により、軽量鉄骨1に固定されている。固定部材としては、例えば、ビス、釘、ネジが挙げられる。
図5のように、複数の第2の石膏ボード3が上下方向に隣り合っている場合、第2の石膏ボード3は、横辺同士が突き合わされて隣り合う。第2の石膏ボード3の横辺同士が突き合わされた部分が、突き合わせ部9である。すなわち、図5のように、上の第2の石膏ボード31の下の横辺381と、下の第2の石膏ボード32の上の横辺372とが突き合わされている。
また、図5のように、複数の第2の石膏ボード3が左右方向に隣り合っている場合、第2の石膏ボード3は、縦辺同士が突き合わされて隣り合う。第2の石膏ボード3の縦辺同士が突き合わされた部分が、突き合わせ部10である。すなわち、図5のように、右の第2の石膏ボード33の左の縦辺363と、左の第2の石膏ボード34の右の縦辺354とが突き合わされている。
第2の石膏ボード3の2つの横辺37、38と、第1の石膏ボード2の2つの横辺27、28とは、上下方向にずれて位置している。すなわち、第1の石膏ボード2と第2の石膏ボード3の最も近接している横辺同士は、厚み方向において重ならず、上下方向に離れて位置している。図5のように、複数の第2の石膏ボード3が上下方向に隣り合っている場合、最も近接している、第2の石膏ボード3の横辺同士の突き合わせ部9と、第1の石膏ボード2の横辺同士の突き合わせ部7とは、上下方向にずれて位置する。第2の石膏ボード3の横辺同士の突き合わせ部9と、第1の石膏ボード2の横辺同士の突き合わせ部7とが、厚み方向において重ならないことにより、火災の際に、第2の石膏ボード3が収縮し、第2の石膏ボード3の横辺同士の突き合わせ部9に隙間が形成された場合であっても、第2の石膏ボード3の横辺同士の突き合わせ部9の裏面側には第1の石膏ボード2が存在するため、耐火性能が低下しにくくなる。
第1の石膏ボード2と第2の石膏ボード3の最も近接している横辺同士の上下方向の距離は、適宜設定される。例えば、第1の石膏ボード2と第2の石膏ボード3の縦辺の長さが同じ場合、第1の石膏ボード2と第2の石膏ボード3の最も近接している横辺同士の上下方向の距離は、第1の石膏ボード2の縦辺25、26の長さの1/2の長さにすることができる。第2の石膏ボード3の横辺同士の突き合わせ部9と、第1の石膏ボード2の横
辺同士の突き合わせ部7との距離が、第1の石膏ボード2の縦辺25、26の長さの約1/2の長さであると、石膏ボード2、3の横辺同士の突き合わせ部7、9が等間隔で存在することになるので、外壁材5の長辺同士の突き合わせ部15と石膏ボード2、3の横辺同士の突き合わせ部7、9とが重ならないように、外壁材5の大きさの選択や、外壁材5の配置がしやすくなる。
図6のように、ジョイナー14が、第2の石膏ボード3の表面側において、外壁材5の短辺同士の突き合わせ部16と重なる所定の位置に配置され、軽量鉄骨1に固定されている。ジョイナー14としては、例えば、ハット型ジョイナーが挙げられる。
また、留め具6が、第2の石膏ボード3の表面において、外壁材5の長辺同士の突き合わせ部15と重なる所定の位置に、固定されている。留め具6は、固定部材により、軽量鉄骨1に固定されている。固定部材としては、例えば、ビス、釘、ネジが挙げられ、複数種を併用してもよい。留め具6の形状及び大きさは、適宜選択される。
図8Aに、留め具6の一例を示す。図8Aの留め具6は、留め具6自体を第2の石膏ボード3に接して固定するための固定部61と、外壁材5を保持するための保持部62と、突出片63とを備える。留め具6の使用時に、固定部61において、上の外壁材5側の端部を上端部61a、下の外壁材5側の端部を下端部61bとする。
固定部61には、固定部材を挿入するための固定用孔610が設けられている。保持部62は、第1片621と第2片622と第3片623とから構成されている。第1片621は、固定部61の上下方向の略中央から前方に突出して設けられている。第2片622は、第1片621の前端から固定部61の上端部61a側に向かって突出して設けられ、上端部61aの前側に取り付けられる上の外壁材5を支持する。図8Aでは、第2片622は、分断することなく、第1片621の左右方向の略全長に亘って連続して設けられている。第2片622は、分断されて設けられていてもよい。第3片623は、第1片621の前端から固定部61の下端部61b側に向かって突出して設けられ、下端部61bの前側に取り付けられる下の外壁材5を支持する。図8Aでは、第3片623は、2つに分断して設けられているが、第2片622と同様に連続して設けられていてもよい。なお、留め具6の上下方向及び左右方向とは、留め具6の使用時に、鉄骨造の外壁耐火構造の正面視における留め具6の上下方向及び左右方向を意味する。
突出片63は、第1片621の突出長さよりも短い長さとなるように、固定部61の左右両端から前方に突出して設けられている。突出片63によって、図8Bに示すように外壁材5と第2の石膏ボード3との間に通気スペースを形成することができる。突出片63は、前端から左右に突出している内向き片631及び外向き片632を有していてもよい。
内向き片631は、突出片63の前端から固定部61と略平行に、かつ固定部61の内側に延出して設けられている。突出片63において内向き片631は、第1片621よりも固定部61の下端部61b側に設けられ、左右両側の突出片63に設けられた内向き片631の上端縁を第1片621の下面に接して第1片621を支持している。このように、第1片621に対して略垂直な内向き片631で第1片621を支持することによって、第1片621が変形しにくくなる。外向き片632は、突出片63の前端から固定部61と略平行に、かつ固定部61の外側に延出して設けられている。外向き片632によって、突出片63の変形をより抑制することができる。
留め具6は、鋼板等の金属板を適宜切断したり折り曲げたりして加工することによって得ることができる。第1片621、第2片622、第3片623、突出片63、内向き片631、外向き片632は、固定部61の一部を切り起こして形成することができる。
図8Aでは、留め具6の上下方向の長さと左右方向の長さは略同じであるが、これに限定されない。留め具6の左右方向の長さは、適宜設定されるが、外壁材5の長辺57、58の長さと略同じであることが好ましい。略同じであるとは、厳密な意味で同じである必要はなく、多少短くてもよいという意味を含む。例えば、留め具6は、ジョイナー14と重ならないように、外壁材5の長辺57、58よりも短くてよい。留め具6が左右方向に長尺であれば、留め具6の施工が容易になると共に、外壁材5が留め具6によってより支持されやすくなる。留め具6が長尺である場合、固定用孔610は、軽量鉄骨1の配置間隔に合わせて適宜設けられていてよい。
また、図6では、1枚の外壁材5を固定するために、6個の留め具6を用いているが、留め具6の個数は、留め具6の形状等に応じて適宜設定される。なお、留め具6としては、左右の長さが外壁材5の長辺の1/2の長さよりも短いものを複数並べてもよい。
図7に、第1の実施形態の外壁材5の施工構造の一例を示す。第1の実施形態では、外壁材5は横長方向に施工されている。すなわち、外壁材5は、縦辺が短辺、横辺が長辺となるように配置されている。外壁材5は、複数の軽量鉄骨1に渡って、留め具6及びジョイナー14を介して、第2の石膏ボード3の表面に設置されている。外壁材5の2つの短辺55、56は、軽量鉄骨1に位置する。外壁材5が固定されている軽量鉄骨1は、第1の軽量鉄骨11又は第2の軽量鉄骨12と同じでもよく、異なっていてもよい。図7のように、上下左右方向に複数の外壁材5が並べて設置されている場合、全ての外壁材5の短辺55、56は、ジョイナー14と接し、軽量鉄骨1に位置する。外壁材5は、第1の石膏ボード2、及び第2の石膏ボード3を介して、留め具6により、軽量鉄骨1に固定されている。
図7のように、複数の外壁材5が上下方向に隣り合っている場合、外壁材5は、留め具6を介して、横辺同士が突き合わされて隣り合う。外壁材5の長辺同士が突き合わされた部分が、突き合わせ部15である。すなわち、図7のように、上の外壁材51の下の横辺581と、下の外壁材52の上の横辺572とが、留め具6を介して、突き合わされている。
また、図7のように、複数の外壁材5が左右方向に隣り合っている場合、外壁材5は、ジョイナー14を介して、縦辺同士が突き合わされて隣り合う。外壁材5の短辺同士が突き合わされた部分が、突き合わせ部16である。すなわち、図7のように、右の外壁材53の左の短辺563と、左の外壁材54の右の短辺554とが突き合わされている。外壁材5の短辺同士の突き合わせ部16には、隙間を塞ぐために、シーリング材17が充填されていることが好ましい。シーリング材17としては、例えば、シリコン系樹脂が挙げられる。
図7のように、横長方向に施工される外壁材5の2つの長辺57、58は、第1の石膏ボード2の2つの横辺27、28及び第2の石膏ボード3の2つの横辺37、38と、厚み方向で重ならないように配置される。なお、外壁材5の2つの短辺55、56の位置は、第1の石膏ボード2の2つの縦辺25、26及び第2の石膏ボード3の2つの縦辺35、36と厚み方向に一致していてもよく、一致していなくてもよい。
図7のように、複数の外壁材5が上下方向に隣り合っている場合、外壁材5の長辺同士の突き合わせ部15と、第1の石膏ボード2の横辺同士の突き合わせ部7と、第2の石膏ボード3の横辺同士の突き合わせ部9とは、重ならない。これにより、火災の際に、外壁材5が収縮し、外壁材5の長辺同士の突き合わせ部15に隙間が形成された場合であっても、外壁材5の長辺同士の突き合わせ部15の裏面側には第2の石膏ボード3が存在するため、耐火性能が低下しにくくなる。
第1の石膏ボード2と第2の石膏ボード3の縦辺の長さは、外壁材5の短辺の長さの2倍であることが好ましい。また、第2の石膏ボード3の横辺と、第1の石膏ボード2の横辺とは、上下方向に、外壁材5の短辺の長さと同じ長さずれて位置していることが好ましい。同じ長さとは、厳密な意味で同じである必要はなく、略同じであるという意味を含む。これにより、外壁材5の長辺同士の突き合わせ部15と、第1の石膏ボード2の横辺同士の突き合わせ部7と、第2の石膏ボード3の横辺同士の突き合わせ部9とが、重ならないように配置しやすくできる。外壁材5の2つの長辺は、第1の石膏ボード2の横辺と第2の石膏ボード3の横辺との上下方向の間の略中央に位置していることがさらに好ましい。略中央とは、厳密な意味で中央(真ん中)である必要はなく、多少上下にずれていてもよいという意味を含む。例えば、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3として、サブロク板(大きさ3尺×6尺、910×1820mm)を用いた場合、それぞれ横長方向に設けると共に、上下方向に縦辺の寸法の1/2、すなわち1.5尺ずらして配置することができる。そして、大きさが1.5尺×10尺(455×3030mm)である外壁材5を用い、横長方向に設けると共に、外壁材5の長辺を、第1の石膏ボード2の横辺及び第2の石膏ボード3の横辺との上下方向の間の略中央に位置させることができる。この場合、第1の石膏ボード2の横辺と、第2の石膏ボード3の横辺と、外壁材5の長辺とが、厚み方向で重ならないように配置されやすく、例えば、第1の石膏ボード2の横辺と、第2の石膏ボード3の横辺と、外壁材5の長辺とは、約0.75尺ずつ離れて配置される。
上述のような鉄骨造の外壁耐火構造は、図15のように、柱部分の外壁の耐火構造として用いることができる。図15では、土台107の上に、垂直に長い複数の軽量鉄骨1が設置されている。角形鋼管の柱100と第1の石膏ボード2の間に、ラス下地101が設けられている。柱100とラス下地101の外面は、耐火性の材料を吹き付ける方法などで耐火性の材料102で被覆されていることが好ましい。耐火性の材料102としては、例えば、ロックウールが挙げられる。柱100と第1の石膏ボード2との間には、断熱層103が設けられていてもよい。断熱層103の材料としては、例えば、ロックウール板が挙げられる。なお、柱100としては、角形鋼管に限られるものではない。
また、図16のように、出隅部分の外壁の耐火構造として用いることができる。図16において、図15と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。出隅部分には、外壁材として、L字状のコーナー用外壁材50が用いられる。コーナー用外壁材50は、左右方向に隣り合う外壁材5と、ジョイナー14を介して突き合わされる。コーナー用外壁材50は、留め具6を介して、第2の石膏ボード3に固定される。軽量鉄骨1と柱100とは、例えば、プレート106で連結されて固定されている。
また、図17のように、梁部分の外壁の耐火構造として用いることができる。図17において、図15と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。図17では、H型鋼の梁104の上に床板105が設けられている。梁104と第1の石膏ボード2の間、及び床板105と第1の石膏ボード2との間に、ラス下地101が設けられている。梁104とラス下地101の外面は、耐火性の材料102を吹き付ける方法などで耐火性の材料102で被覆されていることが好ましい。軽量鉄骨1と梁104とは、例えば、プレート106で連結して固定されている。なお、梁104としては、H型鋼に限られるものではない。
(第2の実施形態)
図9、及び図10は、第2の実施形態の鉄骨造の外壁耐火構造の一部を示している。第2の実施形態は、第1の実施形態と第1の石膏ボード2の横辺同士の突き合わせ部7が異なっており、それ以外は同様の構成である。すなわち、第2の実施形態の鉄骨造の外壁耐火構造は、第1の実施形態と同様に、複数の軽量鉄骨1と、軽量鉄骨1の表面に、正面視で長方形の第1の石膏ボード2と、正面視で長方形の第2の石膏ボード3と、正面視で長方形の外壁材5とをこの順で備える。第1の石膏ボード2、第2の石膏ボード3、及び外壁材5の配置方法は、第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。第2の石膏ボード3の表面には、透湿防水シート4が設けられていてもよい。
第2の実施形態では、図9のように、横辺281、272が突き合わされて隣り合う第1の石膏ボード21、22の表面の突き合わせ部7には、金属製テープ18が設けられている。金属製テープ18は、上の石膏ボード21の下の横辺281と、下の石膏ボード22の上の横辺272とにまたがって、横辺同士の突き合わせ部7を覆うように設けられていることが好ましい。横辺同士の突き合わせ部7において、第1の石膏ボード21、22の横辺281、272の略全長に渡って金属製テープ18が設けられていることが好ましい。金属製テープ18は、第2の実施形態の外壁耐火構造の左右方向の略全長に渡って設けられていることが好ましい。略全長とは、厳密な意味で全長である必要はなく、多少長くても短くてもよいという意味を含む。金属製テープ18の幅は、第1の石膏ボード2の横辺同士の突き合わせ部7が覆れていればよく、特に限定されない。
金属製テープ18の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄鋼などが挙げられる。金属製テープ18としては、アルミニウムテープが好ましい。アルミニウムは、金属の中で、熱放射率が比較的高いため、火災の際に、突き合わせ部7から石膏ボード2、3に熱がより伝わりにくくなり好ましい。また、アルミニウムは、金属の中で、比較的安価であるため好ましい。火災の際に、第1の石膏ボード2が収縮し、横辺同士の突き合わせ部7に隙間が形成された場合であっても、金属製テープ18によりこの隙間は覆われているため、耐火性能が低下しにくくなる。また、第1の石膏ボード2の縦辺同士の突き合わせ部8にも、金属製テープ18が設けられていてもよく、耐火性能がより向上する。なお、第1の石膏ボード2の縦辺同士の突き合わせ部8は、裏面側に軽量鉄骨1が存在するため、金属製テープ18が設けられていなくてもよい。
図10に示す第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3の厚みは、上記の通り、15〜27mmの範囲内である。第2の実施形態では、第1の石膏ボード21、22の表面の突合せ部7に金属製テープ18が設けられることにより耐火性能が向上しているため、例えば、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3の厚みが、いずれも15mmであってもよい。この場合でも、耐火性能を十分に確保することができる。更に、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3の厚みが15mmであると、15mmより大きい厚みを有する石膏ボードよりも軽量であるため、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3を容易に施工することができる。
また、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3の厚みが15mmである場合に、第1の石膏ボード21、22の表面の突合せ部7に、金属製テープ18としてアルミニウムテープを設けた耐火構造の耐火性能と、金属製テープ18を設けていない耐火構造の耐火性能との比較を行った。具体的には、ISO834で定められる標準加熱曲線に従って、加熱炉内で二つの耐火構造を外壁材5側から加熱し、加熱開始時から60〜75分経過した際の、第1の石膏ボード2の裏面(軽量鉄骨1が設けられる側の面)の温度を測定した。その結果を表1に示す。
表1より、第1の石膏ボード21、22の表面の突合せ部7に、金属製テープ18を設けていない耐火構造では、炉内の温度が上昇するにつれ、第1の石膏ボード2の裏面の温度が急激に上昇している。
これに対して、第1の石膏ボード21、22の表面の突合せ部7に金属製テープ18を設けた耐火構造では、炉内の温度が上昇しても、第1の石膏ボード2の裏面の温度が急激に上昇していない。
また、第2の石膏ボード3の厚みが15mm以上であると、突合せ部7に設けられた本来660℃程度で溶融してしまうアルミニウムテープが、第2の石膏ボード3の遮熱効果により、炉内の温度が900℃を超えても溶融していない。
すなわち、第1の石膏ボード2及び第2の石膏ボード3の厚みが、いずれも15mmである場合でも、第1の石膏ボード21、22の表面の突合せ部7に金属製テープ18を設けることにより、第1の石膏ボード2の裏面の温度上昇を低減することができると共に、突合せ部7を保護することができる。これにより、耐火構造の耐火性能を十分に確保することができる。
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態の鉄骨造の外壁耐火構造を示している。第3の実施形態と第1の実施形態とは、第2の石膏ボード3と外壁材5との間の構成が異なっており、それ以外は同様の構成である。すなわち、第2の実施形態の鉄骨造の外壁耐火構造は、第1の実施形態と同様に、複数の軽量鉄骨1と、軽量鉄骨1の表面に、正面視で長方形の第1の石膏ボード2と、正面視で長方形の第2の石膏ボード3と、正面視で長方形の外壁材5とをこの順で備える。第1の石膏ボード2、及び第2の石膏ボード3の配置方法は、第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。第2の石膏ボード3の表面には、透湿防水シート4が設けられていてもよい。
第3の実施形態では、図11のように、横辺381、372が突き合わされて隣り合う第2の石膏ボード31、32の表面に、略水平方向に、すなわち第2の石膏ボード31、32の横辺381、372と略平行に、金属製補助材19が設けられている。略水平とは、厳密な意味で水平である必要はなく、多少傾いていてもよいという意味を含む。金属製補助材19は、透湿防水シート4を介して第2の石膏ボード3に設けられていてもよい。
金属製補助材19は、少なくとも固定部191を有する。固定部191は、金属製補助材19自体を、第2の石膏ボード3に固定するための部分である。固定部191には、固定部材を挿入するための固定用孔190が適宜設けられていてよい。金属製補助材19により、表面側から第2の石膏ボード3を押さえることができる。第2の石膏ボードの表面に金属製補助材19を設けることにより、表面側から第2の石膏ボード3を押さえることができるため、強熱時の収縮による第2の石膏ボード3の脱落や反り返りが抑制されやすくなり、鉄骨造の外壁耐火構造の耐火性がより向上する。金属製補助材19が設けられる場所は適宜選択され、例えば、第2の石膏ボード31、32の表面の横辺同士の突き合わせ部9付近であってもよい。第2の石膏ボード3の横辺同士の突き合わせ部9は、強熱時に、収縮したり、反り返ったりするおそれがあるため、金属製補助材19により、第2の石膏ボード3の脱落を抑制することができる。固定部191の大きさは、第2の石膏ボード3や外壁材5の大きさ等に応じて、適宜設定される。
金属製補助材19は、図12A及び図12Bのように、固定部191と突出部192とを備えていることが好ましい。突出部192は、固定部191から前方に突出した形状を有する。突出部192により、金属製補助材19の強度を向上させることができ、このような金属製補助材19を用いることによって、より強固に第2の石膏ボード3を押さえることができる。突出部192の固定部191からの突出高さLは、第2の石膏ボード3と外壁材5との間の長さ以下であり、同じであってよく、短くてもよい。突出部192の固定部191からの突出高さLが、第2の石膏ボード3と外壁材5との間の長さと同じである場合、突出部192の最も前にある前端部193が外壁材5と接する。この場合、突出部192は、金属製補助材19の強度を向上させる効果に加えて、風圧などの外壁材5の厚み方向の力に対して、外壁材5を保持することもできる。金属製補助材19の突出部192の断面形状は、適宜選択され、例えば、角を有するC字状や、L字状である。
以下、図12A及び図12Bの金属製補助材19について説明するが、金属製補助材19の形状は、図12A及び図12Bの形状に限定されない。金属製補助材19は、固定部191のみから形成され、平板状であってもよい。また、図12A及び図12Bのように、金属製補助材19は、固定部191の下端に突出部192を備えていてもよく、固定部191の上端に突出部192を備えていてもよく、固定部191の上下方向の途中に突出部192を備えていてもよい。なお、金属製補助材19の上下方向及び左右方向とは、金属製補助材19の使用時に、鉄骨造の外壁耐火構造の正面視における金属製補助材19の上下方向及び左右方向を意味する。
図12Aの金属製補助材19について説明する。突出部192は、第1片195と第2片196とから構成されている。第1片195は、固定部191の下端から前方に突出して設けられている。固定部191と第1片195の間の角度は、90度より大きく180度未満であればよく、適宜選択される。第2片196は、第1片195の前端から後方に向かって突出している。第1片195と第2片196の間の角度は、180度未満であればよく、適宜選択される。第2片196の後端は、固定部191の延長線上に存在する。すなわち、第2片196の後端は、第2の石膏ボード3に接する。図12Aでは、金属製補助材19の突出部192の断面形状はL字状であり、第1片195と第2片196とのつなぎ目である上辺197が、金属製補助材19の前端部193である。図12Aでは、上辺197が外壁材5の裏面と接している。金属製補助材19は、第2片196の後端から、固定部191と平行に延びている外向き片194を備えていてもよい。外向き片194によって、第2片196の変形が抑制されやすくなる。
次に図12Bの金属製補助材19について説明する。突出部192は、第1片198、第2片199、第3片200とから構成されている。第1片198は、固定部191の下端から前方に略垂直に突出して設けられている。第2片199は、第1片198の前端から、固定部191と略平行に下方へ突出している。第3片200は、第2片199の下端から略垂直に後方へ突出している。第3片200の後端は、固定部191の延長線上に存在する。すなわち、第3片200の後端は、第2の石膏ボード3に接する。図12Bでは、金属製補助材19の突出部192の断面形状は、C字状であり、第2片199が、金属製補助材19の前端部193である。図12Bでは、第1片198と第3片200の長さは、突出部192の突出長さLと同じであり、第2片199が外壁材5の裏面と接している。金属製補助材19は、鋼板等の金属板を適宜切断したり折り曲げたりして加工することによって得ることができる。
金属製補助材19は、本実施形態の鉄骨造の外壁耐火構造の水平方向全長に渡って設けられていることが好ましい。これにより、より強固に第2の石膏ボード3を表面側から押さえることができる。また、金属製補助材19は、左右方向に隣り合う複数の第2の石膏ボード3にまたがって設けられていることが好ましい。金属製補助材19が複数の第2の石膏ボード3にまたがって設けられていることにより、金属製補助材19によって、複数の第2の石膏ボード3が表面側から安定して押さえられているので、第2の石膏ボード3の脱落が防止されやすくなる。
金属製補助材19の左右方向の長さは適宜設定されるが、図12A、図12Bのように、金属製補助材19は長尺であることが好ましい。第2の石膏ボード3より外壁材5の長辺が長い場合、金属製補助材19の左右方向の長さは、第2の石膏ボード3の横辺37、38よりも長いことが好ましく、外壁材5の長辺57、58の長さと同じであることがより好ましい。同じであるとは、厳密な意味で同じである必要はなく、多少短くてもよく、略同じであるという意味を含む。例えば、本実施形態では、ジョイナー14を介して外壁材5が施工されているため、金属製補助材19は、ジョイナー14と重ならないように、外壁材5の長辺57、58よりも短くてよい。なお、金属製補助材19としては、左右の長さが外壁材5の長辺の長さの1/2の長さよりも短いものを複数並べてもよい。
金属製補助材19は、留め具6であることが好ましい。金属製補助材19が留め具6であるとは、金属製補助材19が、留め具6の機能、すなわち外壁材5を係止固定する機能を有していることを意味する。留め具6と金属製補助材19は、一体となっていることが好ましい。すなわち、留め具6と金属製補助材19の両方の機能を持つ支持部材20が用いられることが好ましい。図14に、支持部材20の一例を示す。また、図13に、支持部材20を用いた鉄骨造の外壁耐火構造の一例を示す。支持部材20は、支持部材20自体を第2の石膏ボード3に固定するための固定部201と、外壁材5を保持するための第1の保持部202及び第2の保持部203とを備える。第1の保持部202及び第2の保持部203は、固定部201から前方に突出している形状を有する。第2の保持部203の固定部201からの突出高さLは、第2の石膏ボード3と外壁材5との間の長さと略同じである。これにより、外壁材5と第2の石膏ボード3との間に、通気スペースを形成することができる。
支持部材20において、第1の保持部202及び第2の保持部203が留め具6の役割を担い、固定部201が金属製補助材19の役割を担う。すなわち、支持部材20の第1の保持部202で外壁材5を係止固定し、第2の保持部203で通気スペースを形成し、固定部201で第2の石膏ボード3を表面側から押さえることができる。固定部201、第1の保持部202、及び第2の保持部203の大きさは、第2の石膏ボード3や外壁材5の大きさや重量等に応じて、適宜設定される。支持部材20の使用時に、固定部201において、上の外壁材5側の端部を上端部201a、下の外壁材5側の端部を下端部201bとする。以下、図14の支持部材20について説明するが、支持部材20の形状は図14の形状に限定されない。また、図14のように、支持部材20は、固定部201の下端に第1の保持部202を備え、固定部201の上端に第2の保持部203を備えていてもよい。あるいは、固定部201の上端に第1の保持部202を備え、固定部201の下端に第2の保持部203を備えていてもよい。あるいは、固定部201の上下方向の途中に第1の保持部202を備え、固定部201の上端又は下端に第2の保持部203を備えていてもよい。
固定部201には、固定部材を挿入するための固定用孔210が適宜設けられている。第1の保持部202は、第1片221、第2片222、第3片223、第4片224、第5片225、及び第6片226から構成されている。第6片226は、固定部201の下端部201bから前方に突出して設けられている。第5片225は、第6片226の前端から下方に向かって突出して設けられている。第4片224は、第5片225の下端から上方に向かって突出して設けられ、第5片225の表面と平行に設けられている。第1片221は、第4片224の上端から前方に向かって突出して設けられている。第2片222は、第1片221の前端から固定部201の上端部201a側に向かって突出して設けられ、上端部201aの前側に取り付けられる上の外壁材5を支持する(図13参照)。図14では、第2片222は、分断することなく、第1片221の左右方向の略全長に亘って連続して設けられている。第3片223は、第1片221の前端から下方に向かって突出して設けられ、第4片224の前側に取り付けられる下の外壁材5を支持する。図14では、第3片223は、複数に分断して設けられている。なお、第2片222は、第3片223と同様に分断して設けられていてもよい。また、第3片223は、第2片222と同様に連続して設けられていてもよい。第4片224は、支持部材20の使用時に、下の外壁材5の裏面に接し、第3片223と共に下の外壁材5を支持する(図13参照)。なお、第1片221の後端が固定部201の下端部201bと連結していてもよく、第1片221と第6片226が連続して一体となった一枚の平板であり、その下面から第4片224が突出していてもよい。第4片224と第5片225も一体となった一枚の平板であってもよい。
図14では、第2の保持部203は、第1片231と第2片232と第3片233から構成されている。第2の保持部203の第1片231は、第1の保持部202の第1片221と第6片226とを合わせた突出長さよりも短い長さとなるように、固定部201の上端から前方に突出して設けられている。第2の保持部203の第1片231は、第1の保持部202の第6片226と略同じ突出長さにすることができる。すなわち、第1片231は、固定部201の上端部201aから前方に突出して設けられている。第2片232は、第1片231の前端から上方に向かって突出している。第3片233は、第2片232の上端から後方に向かって突出している。図14では、第1片231と第3片233の長さは、第2の保持部203の突出長さLと同じである。第2片232が外壁材5の裏面と接し、外壁材5と第2の石膏ボード3との間に通気スペースが形成され、また、外壁材5の厚み方向の力に対し、外壁材5を支持することができる(図13参照)。支持部材20は、第3片233の後端から、固定部201と平行に延びている外向き片234を備えていてもよい。外向き片234によって、第3片233の変形が抑制されやすくなる。
支持部材20は、鋼板等の金属板を適宜切断したり折り曲げたりして加工することによって得ることができる。図14では、例えば、第1の保持部202において、第6片226は固定部201を折り曲げて形成することができ、第5片225は第6片226を折り曲げて形成することができ、第4片224は第5片225を折り曲げて形成することができ、第1片221は第4片224を折り曲げて形成することができ、第2片222及び第3片223は、第1片221の一部を切り起こして形成することができる。また、第2の保持部203において、第1片231、第2片232、第3片233とは、固定部201の一部を折り曲げて形成することができる。留め具6と金属製補助材19とが一体となった支持部材20を用いることにより、施工が容易になり、1つの部材で留め具6と金属製補助材19の両方の機能を得ることができるためより効率がよく、好ましい。支持部材20の形状及び大きさは、適宜選択される。
支持部材20の左右方向の長さは適宜設定されるが、図14のように、支持部材20は長尺であることが好ましい。第2の石膏ボード3より外壁材5の長辺が長い場合、支持部材20の左右方向の長さは、第2の石膏ボード3の横辺37、38よりも長いことが好ましく、外壁材5の長辺57、58の長さと略同じであることがより好ましい。略同じであるとは、厳密な意味で同じである必要はなく、多少短くてもよいという意味を含む。例えば、支持部材20は、ジョイナー14と重ならないように、外壁材5の長辺57、58よりも短くてよい。これにより、表面側から第2の石膏ボード3をより安定して押さえることができる。なお、支持部材20としては、左右の長さが外壁材5の長辺の長さの1/2の長さよりも短いものを複数並べてもよい。
以下、図14に示した支持部材20の変形例について、図19A、図19B、及び図19Cを参照しながら説明する。
この支持部材20は、固定部201の下端に第1の保持部202を備え、固定部201の上端に第2の保持部203を備えている(図19A参照)。
固定部201には、固定部材を挿入するための固定用孔210が適宜設けられている(図19A、図19B参照)。
第1の保持部202は、図19Aに示すように、第1片221、第2片222、第3片223、第4片224、及び第6片226から構成されている。
第6片226は、固定部201の下端部201bから前方に突出している。第6片226には、通気孔212が複数設けられている(図19A、図19C参照)。通気孔212の形状は、例えば、楕円形である。
第4片224は、第6片226の前端から上方に向かって突出している。
第1片221は、第4片224の上端から前方に向かって突出している。
第2片222は、第1片221の前端から斜め上方に向かって突出している。
第3片223は、第1片221の前端から前方に向かって突出し、且つその前端が下方に折れ曲がっている。
この支持部材20では、第2片222と第3片223とが、第1片221の前端に交互に並んで設けられている(図19A、図19B、及び図19C参照)。すなわち、第1片221の前端における第2片222の両隣には、第3片223が設けられている。
第2の保持部203は、図19Aに示すように、第1片231、第2片232、及び第3片233から構成されている。
第1片231は、固定部201の上端部201aから前方に向かって突出している第1片231の突出長さは、第1の保持部202の第6片226の突出長さと略同じである。。第1片231には、通気孔212が複数設けられている(図19A参照)。この通気孔212の形状は、例えば、楕円形である。
第2片232は、第1片231の前端から上方に向かって突出している。
第3片233は、第2片232の上端から、後方に向かって突出している。第3片233の突出長さは、第1片231の突出長さよりも短い。
続いて、図19に示す支持部材20を設置した鉄骨造の外壁耐火構造の一例を、図20を参照しながら説明する。
図20に示すように、ビス等の固定部材を、固定部201の固定用孔210を通って、透湿防水シート4、第2の石膏ボード3、及び第1の石膏ボード2を貫通して、軽量鉄骨1まで挿入することにより、支持部材20が第2の石膏ボード3上に固定されている。
第1の保持部202の第2片222は、上の外壁材5を支持している(図20参照)。
第1の保持部202の第3片223の折れ曲がった部分と、第1の保持部202の第4片224とで、下の外壁材5を挟んで保持している(図20参照)。
第2の保持部203の第2片232が上の外壁材5の裏面と接していると共に、第2片232が第1片231を介して固定部201と繋がっている。また、第2の保持部202の第4片224が下の外壁材5の裏面と接していると共に、第4片224が第6片226を介して固定部201と繋がっている。このため、上の外壁材5及び下の外壁5と、第2の石膏ボード3との間には、図20に示すように、通気スペースが形成されている。
また、第1の保持部202の第6片226に通気孔212が設けられていると共に、第2の保持部203の第1片211に通気孔211が設けられている。通気孔212と通気孔211とは、空気が通過することができる。また、第2の保持部203の第3片233の突出長さが、第1片231の突出長さよりも短いことから、第1片231に設けられた通気孔211を通る空気の流れが遮られにくい。このため、図20に示す鉄骨造の外壁耐火構造では、図19に示す支持部材20を設置することにより、外壁材5と第2の石膏ボード3との間の通気スペースの通気性を十分に確保することができる。