JP6432493B2 - 鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法 - Google Patents

鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄骨柱の耐火構造に関し、特に、横張りした壁材をその被覆材の一部として活用する鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法に関するものである。
建築物は、建築基準法およびその関連法令によって、規模、部位などに応じて要求耐火時間が定められている。鉄骨造建築物においては、鋼材は加熱によって耐力が低下するため、その要求耐火時間で一定の耐力を発揮できるように、吹付けロックウールに代表される耐火被覆を行って鋼材温度の上昇を抑制している。
吹付けロックウールを用いた既往の鉄骨柱の耐火構造認定において、吹付けロックウールの被覆厚さは、例えば1時間耐火では25mm(非特許文献1を参照)、2時間耐火では45mm(非特許文献2を参照)と、要求耐火時間ごとに被覆厚さが異なっている。
一方、鉄骨柱が壁材に近接して配置される場合において、壁材と対向する部分の耐火被覆の施工が困難なため、耐火性を有する壁材を上記耐火被覆の一部として活用した鉄骨柱の合成被覆耐火構造がある。壁材と鉄骨柱の離隔距離が概ね200mm以下で多用され、離隔部について、鉄骨柱の側面から壁材に向けて耐火被覆材を延長して配設し、離隔部内の耐火被覆施工を省略するものである。壁材としては、ALC板(高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート板)、PC板(プレキャストコンクリート板)、押出成形セメント板、珪酸カルシウム板、石膏ボードなどが用いられる。
非特許文献3は、ALC壁パネル・吹付けロックウール合成被覆鉄骨柱であり、吹付けロックウールとあわせて、耐火性を有する壁材であるALC板を鉄骨柱の耐火被覆の一部として活用するものである。この構造は、鉄骨柱と壁材とは間隔が空いており、鉄骨柱から壁材に向けて掛け渡した鉄筋からなる力骨にラス網を取付けて耐火被覆の下地材とし、吹付けロックウールを施工するものである。この構造は、非特許文献1および2と同じく、所定の条件に基づいて実施される性能評価試験により性能を確認し、建築基準法第2条第七号に規定される国土交通大臣の認定を受けたものである。
上記の非特許文献3における鉄骨柱の合成被覆耐火構造が抱える問題点について説明する。本構造の性能評価試験方法は、加熱炉内に試験体を設置し、柱の長期荷重を載荷した状態で規定の加熱を行ない、構造安全性を検証するものである。試験では、柱の全側面(ALC壁パネル屋外面と吹付けロックウールの全表面)が加熱される。ALCパネルが屋外面から加熱された際には、ALCパネルの屋外面側と屋内面側に配される内部鉄筋に温度差が生じ、その熱膨張差によって生じる加熱側に凸の曲げ変形が支配的である。その変形によってALCパネルと吹付けロックウールとの境界部に隙間が生じ、当該部分からの熱の流入により、構造安定性を保持できなくなる場合がある。そのため、壁材と耐火被覆材の境界部には、必要に応じて、耐火補強材となるバックアップ材を配置している。また、ALCパネルを横張りとした場合には、横目地が所定の標準寸法(例えば高さ600mm)ごとに配置されるため、当該目地部が耐火上の弱点となることが指摘されている。
上記の非特許文献3にはALC板を横張りにする場合の下地構造は具体的に示されていないが、類似の形態として、非特許文献4の横張りにした押出成形セメント板と吹付けロックウールからなる合成被覆鉄骨柱の認定構造に詳細が示されている。この構造では、外壁の取付け下地材は、離隔部内、すなわち、壁材と耐火被覆材と鉄骨柱で囲まれた内部空間に配置されており、当該取付け下地材の耐火被覆施工も省略されている。押出成形セメント板の内部には鉄筋が配されていないため、大きな反りは発生しないと考えられ、ALCパネルで採用されるバックアップ材の記載はない。
鉄骨柱のその他の合成被覆耐火構造として、例えば特許文献1、2に記載の耐火構造柱が知られている。
特許文献1の鉄骨柱の合成被覆耐火構造は、熱膨張性耐火シートを鉄骨柱に巻きつけ、熱膨張性耐火シートの端部と壁材の接合部全体にわたって可燃固定補助板で固定したものである。火災曝露時に可燃固定補助板が焼失することによって接合部に緩みが生じ、その緩みによって熱膨張性耐火シートの膨張を妨げることなく、発生する隙間を充填するものである。しかしながら、この耐火構造は、高価な熱膨張性耐火シートを耐火被覆材として組み合わせによって実現できるもので、最も一般的でコストが低い吹付けロックウールに当該可燃固定補助板と組み合わせても、発生した隙間を埋めることはできない。
特許文献2の鉄骨柱の合成被覆耐火構造は、ボード状の耐火被覆材を鉄骨柱から間隔を空けて独立して設置したものである。この構造では、精度が良いだけでなく、各接合部は強固に構成されるので、加熱による変形を拘束する効果も期待できる。しかしながら、吹付けロックウールのように自立困難で引張り強度が期待できない材料では、壁材に位置決め材を高さ方向の全長にわたって配置したとしても、壁材の加熱側に凸となる変形が生じると、吹付けロックウールの中間部に亀裂が生じてしまうため、そのまま援用することは困難である。
次に、非特許文献3に基づく従来の鋼管柱の合成被覆耐火構造の一例とその問題点について、まず、用いる部材等について説明する。
(鉄骨柱)
鉄骨柱については、寸法形状は限定しないが、以下では□−300×300×9(単位:mm、以下同じ)の角形鋼管柱(以下、鋼管柱)を例に説明する。また、鋼管柱の壁材に向く面を前面、鋼管柱の壁材の面に直交する方向の面を側面と定義する。
(壁材)
壁材は、ALC板であり、厚さは限定しないが、厚さ100mmを例に説明する。壁材の取り付け方法は、柱あるいは間柱にファスナーを用いて固定する横張工法である。以下の説明では、壁材の鋼管柱に向く面を屋内面と定義する。
(耐火被覆材)
耐火被覆材は、吹付けロックウールであり、被覆厚さは限定しないが、被覆厚さ25mmを例に説明する。
(壁下地材)
壁下地材は、柱高さの全長に亘らせたアングル部材(以下、定規アングルという。)を用いる。構造耐力上必要な断面寸法以上であれば任意の形状寸法を選択できるが、L−50×50×6(単位mm、以下同じ)の定規アングルを例に説明する。
(連結材)
連結材は、鋼管柱と定規アングルとを連結するためのものであり、下地鋼材を用いる。この下地鋼材の一端は、鋼管柱の前面に取り付けられ、他端は定規アングルに取り付けられ、定規アングルを支持する。下地鋼材は、鋼管柱と壁材の離隔距離に応じて寸法形状、取り付け形態を任意に設定できるが、[−75×40×5×7(単位:mm、以下同じ)を例に説明する。
(ファスナー)
ファスナーは、壁材を定規アングルに固定するためのものである。ファスナーとしては、例えば、L型のフックボルトを用いて壁材を貫通して固定する方法と、壁材にボルトナットで固定した鋼製プレート(通称イナズマプレート)によって定規アングルを挟持する方法があり、任意に選択できるが、イナズマプレートを例に説明する。
(力骨)
力骨は、後述するラスを固定する下地となるものである。力骨としては、通常はφ9程度の鉄筋が用いられ、鋼管柱の側面から壁材に亘らせるように、鋼管柱の高さ方向に概ね450〜500mm間隔を標準として配置固定する。
(耐火被覆下地材)
耐火被覆下地材は、鋼管柱と壁材の離隔部分の耐火被覆材の下地であり、網状のラスを用いる。ラスは、力骨に結束線等を用いて固定される。
図8は、従来の鋼管柱の合成被覆耐火構造の一例を示した部分透視斜視図であり、図9は、水平断面図である。この従来例では、角形鋼管柱1(鉄骨柱)の一面から100mm離隔した距離に横張りの壁材2が配されており、残りの三面には吹付けロックウールからなる耐火被覆材3が配されている。ここで、鋼管柱1の壁材2に向く面を前面(前面1a)と定義し、鋼管柱1の壁材2の面に直交する方向の面を側面(側面1b)と定義する。壁材2については、鋼管柱1に向く面を屋内面(屋内面2a)、これとは反対の面を屋外面(屋外面2b)と定義する。また、壁材2の屋内面2aと鋼管柱1の前面1aとその側面1bの延長線で囲まれる範囲を離隔部10と定義する。なお、上記の非特許文献3にあるバックアップ材は必要に応じて配置されるが、ここでは図示していない。
鋼管柱1と壁材2の離隔距離は、通常25mm以上であるが、図8、図9の形態での離隔距離は、定規アングル4のせい以上で採用されるもので、例えば50mm以上が適用可能な範囲である。壁材2の取付下地となる定規アングル4は、鋼管柱1の前面1aに取付けた溝形鋼からなる下地鋼材5([−75×40×5×7、長さ80mm)によって支持されている。壁材2は、定規アングル4にファスナー6で固定される。
鋼管柱1の両側面1bから壁材2にわたらせるように、力骨7が鋼管柱1に概ね450〜500mm間隔を標準として配置され、さらにラス8が鉄線などで力骨7に結束され、離隔部10側面の耐火被覆材3の下地を構成する。一般に、ラス8の目が細かいほうが、耐火被覆材3のロスが少なく、また、強度も高くなり非損傷性上有利になる。
耐火被覆材3は鋼管柱1の前面1aを除く外周面と離隔部10の側面に配置されたラス8に吹付け施工される。定規アングル4は離隔部10の範囲内に設置することで、耐火被覆の施工を省略している。壁材2の縦目地91内部には耐火バックアップ材93が配置されるが、横目地94内部には一般に耐火バックアップ材は配置しない。
国土交通大臣認定書 FP060CN−9460(吹付けロックウール被覆鉄骨柱) 国土交通大臣認定書 FP120CN−9463(吹付けロックウール被覆鉄骨柱) 国土交通大臣認定書 FP060CN−9408(ALCパネル/吹付けロックウール合成被覆/鉄骨柱) 国土交通大臣認定書 FP060CN−0539(押出成形セメント板/吹付けロックウール合成被覆/鉄骨柱)
特開2013−234459号公報 特開平9−100587号公報
従来の鉄骨柱の合成被覆耐火構造においては、加熱によって壁材2が屋外面2b側に凸に変形するため、離隔部10側面の耐火被覆材3と壁材2に隙間が生じるおそれがあり、特に鋼管柱1の外形寸法が大きくなるほどALC板の屋外面側と屋内面側の温度差が大きくなるとともに、支点からの距離が大きくなることから、その程度が大きくなる。そして、ここから入り込んだ火炎や熱気による鋼材温度の上昇によって鉄骨柱の耐力が低下するおそれがあった。
図10は、120分加熱後のALCパネル(壁材2)の横目地の屋外面側(加熱側)の状況を示した写真である。この写真に示すように、横目地はALC素材の熱収縮によって屋外面側から変形、開口していくため、所定の高さごとに配置される横目地部分でも耐火性能が低下するおそれがあった。このため、最も一般的でコストが低い吹付けロックールを用い、横張りの壁材が加熱側に凸に変形しても耐火被覆材の延長部と壁材との境界部に隙間が生じることがなく、横目地の耐火性能を向上した高性能な鉄骨柱の合成被覆耐火構造の開発が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、壁材が加熱側(屋外側)に凸に加熱変形することを拘束することにより、耐火被覆材の延長部と壁材との境界部に隙間が生じることがなく、さらに、横目地の耐火性能を向上させた鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造は、鉄骨柱に近接する壁材と、その壁材と鉄骨柱の対向範囲外の部分に吹付け材からなる耐火被覆材を配し、かつ、当該耐火被覆材を、鉄骨柱から壁材まで延長配置した鉄骨柱の合成被覆耐火構造において、鉄骨柱から壁材に向けて延長配置する耐火被覆材の壁材側の端部には、壁材を固定する壁下地材が高さ方向に延在配置されており、当該部分を壁材の固定部としたことを特徴とする。
また、本発明に係る他の鉄骨柱の合成被覆耐火構造は、上述した発明において、壁下地材と鉄骨柱とを連結するために双方間に架設される連結材と、壁下地材と鉄骨柱で構成される空間部を被覆して配される網状体からなる耐火被覆下地材と、この耐火被覆下地材および壁材の鉄骨柱の対向面の目地部に設けられた吹付け材からなる耐火被覆材とを備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る他の鉄骨柱の合成被覆耐火構造は、上述した発明において、耐火被覆下地材の網目は菱形状であり、この菱形状の対角線の寸法はそれぞれ32±3mm以上および16±3mm以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法は、上述した鉄骨柱の合成被覆耐火構造を施工する方法であって、吹付け材からなる耐火被覆材の吹付け施工に際し、鉄骨柱から壁材に向けて延長配置する耐火被覆下地材の網目を通して、吹付け材を壁材の鉄骨柱の対向範囲内の少なくとも横目地に吹付けることを特徴とする。
本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造は、鉄骨柱に近接する壁材と、その壁材と鉄骨柱の対抗範囲外の部分に吹付け材からなる耐火被覆材を配し、かつ、当該耐火被覆材を、鉄骨柱から壁材まで延長配置した鉄骨柱の合成被覆耐火構造において、鉄骨柱から壁材に向けて延長配置する耐火被覆材の壁材側の端部には、壁材を固定する壁下地材を高さ方向に延在して備え、当該部分で壁材を固定した。このため、加熱時に生じる壁材の反りを拘束し、耐火被覆材との境界部分に開口は発生せず、火炎や熱の流入を防止する。また、壁下地材と鉄骨柱とを連結するために双方間に架設される連結材と、壁下地材と鉄骨柱で構成される空間部を被覆して配される網状体からなる耐火被覆下地材を備え、耐火被覆下地材および、壁材の鉄骨柱の対向面の少なくとも目地部に、吹付け材からなる耐火被覆材を備えた。このため、壁材の鉄骨柱の対向範囲内に吹付けにより配置される耐火被覆材によって横目地部分が保護される。以上により、鉄骨柱の合成被覆耐火構造における耐火性能をより確実に担保することができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の実施の形態1を示す部分透視斜視図である。 図2は、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の実施の形態1を示す水平断面図である。 図3は、ラス裏面側への吹付けロックウール通過確認のための検証試験状況を示す写真図である。 図4は、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の実施の形態2を示す部分透視斜視図である。 図5は、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の実施の形態2を示す水平断面図である。 図6は、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の実施例1を示す水平断面図である。 図7は、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の実施例2を示す水平断面図である。 図8は、従来の鋼管柱の合成被覆耐火構造の一例を示す部分透視斜視図である。 図9は、従来の鋼管柱の合成被覆耐火構造の一例を示す水平断面図である。 図10は、ALC板を横張りした合成被覆耐火構造の120分加熱後の屋外側の横目地の状況を示す写真図である。
以下に、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施の形態1]
次に、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は、本実施の形態1の鉄骨柱の合成被覆耐火構造の部分透視斜視図であり、図2は、水平断面図である。これらの図に示すように、この合成被覆耐火構造は、鋼管柱1と壁材2と耐火被覆材3と定規アングル4を備える。離隔部10における鋼管柱1と壁材2の離隔距離は100mmとしている。
連結材としての下地鋼材5は、L形鋼(例えばL−50×50×6(単位:mm))からなるアングルピース51とブラケット52とからなる。アングルピース51は、鋼管柱1のコーナー部に所定の高さ間隔(例えば900mm)を標準間隔として複数配置される。ブラケット52は、アングルピース51と定規アングル4とを接合するために双方間に架設される。定規アングル4は、鋼管柱1の側面1bの延長線上の壁材2の屋内面2aに沿って横目地94を跨ぐ態様で上下に延在している。壁材2はファスナー6で定規アングル4に固定される。図1、図2では、ファスナー6としてフックボルトを用いた例を示している。フックボルトは締結後に定規アングル4に溶接して固定するが、このようにする代わりに、従来例の図8および図9に示すように、イナズマプレートを用いてもよい。なお、壁材2の縦目地91内部には耐火バックアップ材93が配置されるが、横目地94内部には耐火バックアップ材は配置していない。
耐火被覆材3は、鋼管柱1の前面1aを除く外周面と離隔部10の側面に力骨7を介して配置されたラス8に吹付け施工される。ここで、ラス8への吹付けに際しては、その網目を通して横目地94を含む壁材2の屋内面2aにも吹付ける(図示せず)。ラス8の網目は小さいほうが耐火性能上(被覆材の非損傷性上)有利であるが、本実施の形態においては、網目を通した壁材2の屋内面2aへの吹付けのため、所定の強度を有する範囲で大きいほうがよい。壁材2の屋内面2aに吹付ける耐火被覆材3の被覆厚さは特に規定しないが、吹付けロックウールは、袋入りの粒状ロックウールをほぐしてセメントスラリーとともに吹き付けるため、菱形状の網目の対角線の長さがそれぞれ32±3mm以上および16±3mm以上とすると、通常施工においても一定量のロックウールを通過させることができる。例えば、図3に示す検証試験では、壁材2の屋内面2aに吹付けロックウールを10mm程度以上積層することができた。
このように、本実施の形態によれば、定規アングル4が鋼管柱1の側面1bの延長線上、すなわち、ラス8を下地とした耐火被覆材3と一体となり、かつ、当該部分で壁材2をファスナー6によって固定しているので、加熱時に壁材2が屋外面2b側に凸に変形しようとする力が作用しても、当該部分で開きを生じることがない。したがって、別途バックアップ材を壁材2に配置しなくても、離隔部10内部に火炎および熱気が直接侵入してくることはない。
さらに、内部に耐火バックアップ材を施工しない横目地94に開きが生じても、壁材2の屋内面2aの横目地94に積層した吹付けロックウールが火炎や熱気の流入を防止する耐火バックアップ材となるため、横目地部分の耐火性能を向上することができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図4は、本実施の形態2の鉄骨柱の合成被覆耐火構造の部分透視斜視図であり、図5は、水平断面図である。これらの図に示すように、この合成被覆耐火構造は、鋼管柱1と壁材2と耐火被覆材3と定規アングル4を備える。離隔部10における鋼管柱1と壁材2の離隔距離は100mmとしている。
連結材としての下地鋼材5は、鋼板(例えば170×75×9(単位:mm、以下同じ))からなるブラケット521で構成される。ブラケット521は、鋼管柱1の側面1bと定規アングル4とを接合するために双方間に架設され、所定の高さ間隔(例えば900mm)を標準間隔として複数配置される。定規アングル4は、鋼管柱1の側面1bの延長線上の壁材2の屋内面2aに沿って横目地94を跨ぐ態様で上下に延在している。壁材2はファスナー6で定規アングル4に固定される。図では、ファスナー6としてフックボルトを用いた例を示している。フックボルトは締結後に定規アングル4に溶接して固定するが、このようにする代わりに、従来例の図8および図9に示すように、イナズマプレートを用いてもよい。また、ブラケット521は、上記の実施の形態1と同じく、鋼管柱1のコーナー部に配したアングルピース51に取り付けてもよい。
耐火被覆材3は、鋼管柱1の前面1aを除く外周面と離隔部10の側面に力骨7を介して配置されたラス8に吹付け施工される。ここで、ラス8への吹付けに際しては、その網目を通して横目地94を含む壁材2の屋内面2aにも吹付ける(図示せず)のは、上記の実施の形態1と同じであるので、以降の説明は省略する。
このように、本実施の形態によれば、上記の実施の形態1と同様、定規アングル4が鋼管柱1の側面1bの延長線上、すなわち、ラス8を下地とした耐火被覆材3と一体となり、かつ、当該部分で壁材2をファスナー6によって固定しているので、加熱時に壁材2が屋外面2b側に凸に変形しようとする力が作用しても、当該部分で開きを生じることがない。したがって、別途バックアップ材を壁材2に配置しなくても、離隔部10内部に火炎および熱気が直接侵入してくることはない。
さらに、内部に耐火バックアップ材を施工しない横目地94に開きが生じても、壁材2の屋内面2aの横目地94に積層した吹付けロックウールが火炎や熱気の流入を防止する耐火バックアップ材となるため、横目地部分の耐火性能を向上することができる。
[実施例1]
次に、本発明に係る実施例1について図6を参照しながら説明する。
本実施例は、上記の実施の形態1の変形例であり、鋼管柱1としてφ−267.4×12.7(単位:mm)の円形鋼管を用いている。なお、円形鋼管の代わりに角形鋼管を使用する場合にも準用することができる。以下の説明では上記の実施の形態1と同じ部材等については、説明を省略する。
本実施例は、図8、図9に示した従来例と同様に、鋼管柱1の前面1aに下地鋼材5を配置し、定規アングル4を支持させるものである。ここで、下地鋼材5は、図8、図9で示した溝形鋼53([−75×40×5×7、長さ80mm)の先端に、壁材2の屋内面2aに沿うアングル部材54(L−50×50×6)を平面視で直交配置してT形状とし、アングル部材54の両端で定規アングル4を支持する構成としている。図6に示す左右の定規アングル4は離隔部10の耐火被覆材3の延長線上に位置しており、左右の定規アングル4の離間距離は、鋼管柱1の外形寸法と略同じである。定規アングル4は離隔部10の耐火被覆材3の延長線上にあればよく、下地鋼材5の構成方法、断面寸法は限定するものではない。
[実施例2]
次に、本発明に係る実施例2について図7を参照しながら説明する。
本実施例は、上記の実施の形態2の変形例であり、上記の実施例1と同じく鋼管柱1としてφ−267.4×12.7の円形鋼管を用いている。なお、円形鋼管の代わりに角形鋼管を使用する場合にも準用することができる。以下の説明では上記の実施の形態2と同じ部材等については、説明を省略する。
図7に示すように、連結材としてのブラケット55(下地鋼材5)が鋼管柱1の左右両側端点から壁材2の屋内面2aに対して垂直になる方向に配置される。ブラケット55は、鋼板220×75×9(単位:mm)からなる。ブラケット55の先端部には定規アングル4が取り付けられ、定規アングル4は離隔部10の耐火被覆材3の延長線上に位置している。定規アングル4は離隔部10の耐火被覆材3の延長線上にあればよく、ブラケット55の構成方法、断面寸法は限定するものではない。
以上説明したように、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造は、鉄骨柱に近接する壁材と、その壁材と鉄骨柱の対抗範囲外の部分に吹付け材からなる耐火被覆材を配し、かつ、当該耐火被覆材を、鉄骨柱から壁材まで延長配置した鉄骨柱の合成被覆耐火構造において、鉄骨柱から壁材に向けて延長配置する耐火被覆材の壁材側の端部には、壁材を固定する壁下地材を高さ方向に延在して備え、当該部分で壁材を固定した。このため、加熱時に生じる壁材の反りを拘束し、耐火被覆材との境界部分に開口は発生せず、火炎や熱の流入を防止する。また、壁下地材と鉄骨柱とを連結するために双方間に架設される連結材と、壁下地材と鉄骨柱で構成される空間部を被覆して配される網状体からなる耐火被覆下地材を備え、耐火被覆下地材および、壁材の鉄骨柱の対向面の少なくとも目地部に、吹付け材からなる耐火被覆材を備えた。このため、壁材の鉄骨柱の対向範囲内に吹付けにより配置される耐火被覆材によって横目地部分が保護される。以上により、鉄骨柱の合成被覆耐火構造における耐火性能をより確実に担保することができる。
1 鋼管柱(鉄骨柱)
1a 前面
1b 側面
10 離隔部
2 壁材
2a 屋内面
2b 屋外面
3 耐火被覆材
4 定規アングル(壁下地材)
5 下地鋼材(連結材)
51 アングルピース
52,521,55 ブラケット
53 溝形鋼
54 アングル部材
6 ファスナー
7 力骨
8 ラス(耐火被覆下地材)
91 縦目地
92 シーリング材
93 バックアップ材
94 横目地

Claims (4)

  1. 鉄骨柱に近接する横張りの壁材と、その壁材と鉄骨柱の対向範囲外の部分に吹付け材からなる耐火被覆材を配し、かつ、当該耐火被覆材を、鉄骨柱から壁材まで延長配置した鉄骨柱の合成被覆耐火構造において、
    鉄骨柱から壁材に向けて延長配置する耐火被覆材の壁材側の端部には、壁材を固定する壁下地材が壁材の横目地を跨ぐ態様で高さ方向に延在配置されており、当該部分を壁材の固定部としたことを特徴とする鉄骨柱の合成被覆耐火構造。
  2. 鉄骨柱に近接する壁材と、その壁材と鉄骨柱の対向範囲外の部分に吹付け材からなる耐火被覆材を配し、かつ、当該耐火被覆材を、鉄骨柱から壁材まで延長配置した鉄骨柱の合成被覆耐火構造において、
    鉄骨柱から壁材に向けて延長配置する耐火被覆材の壁材側の端部には、壁材を固定する壁下地材が高さ方向に延在配置されており、当該部分を壁材の固定部としたものであり、
    壁下地材と鉄骨柱とを連結するために双方間に架設される連結材と、壁下地材と鉄骨柱で構成される空間部を被覆して配される網状体からなる耐火被覆下地材と、この耐火被覆下地材および壁材の鉄骨柱の対向面の目地部に設けられた吹付け材からなる耐火被覆材とを備えたことを特徴とする鉄骨柱の合成被覆耐火構造。
  3. 耐火被覆下地材の網目は菱形状であり、この菱形状の対角線の寸法はそれぞれ32±3mm以上および16±3mm以上であることを特徴とする請求項2に記載の鉄骨柱の合成被覆耐火構造。
  4. 請求項2または3に記載の鉄骨柱の合成被覆耐火構造を施工する方法であって、
    吹付け材からなる耐火被覆材の吹付け施工に際し、鉄骨柱から壁材に向けて延長配置する耐火被覆下地材の網目を通して、吹付け材を壁材の鉄骨柱の対向範囲内の少なくとも横目地に吹付けることを特徴とする鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法。
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