JP2004316171A - 表面被覆施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工厚さの管理が容易であり、振動衝撃による表面被覆層の致命的な脱落防止が的確になされる表面被覆施工方法を提供する。
【解決手段】表裏方向に貫通した多数の開口を全面にわたって連続的に形成した面状保持部材を、施工対象物の表面との間に規定寸法の間隔を置いて張り渡し、施工対象物の適所に固定した定着部材の先端部に面状保持部材を連結し、面状保持部材の前記開口を通して所要の表面被覆施工を面状保持部材の表面にまで実施し、規定寸法に形成された表面被覆層を面状保持部材によって保持する。
【選択図】 図1
【解決手段】表裏方向に貫通した多数の開口を全面にわたって連続的に形成した面状保持部材を、施工対象物の表面との間に規定寸法の間隔を置いて張り渡し、施工対象物の適所に固定した定着部材の先端部に面状保持部材を連結し、面状保持部材の前記開口を通して所要の表面被覆施工を面状保持部材の表面にまで実施し、規定寸法に形成された表面被覆層を面状保持部材によって保持する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は躯体や構造体の表面に規定厚さの表面被覆層を施工する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築物の天井や壁、梁、柱、トンネルの天井や側壁、煙突や煙道の内壁等といった各種の施工対象物に対して表面仕上げ材や表面補修材、耐火被覆材あるいは耐火補強材等の表面被覆施工を行なう場合、施工対象物である躯体や構造体にスタッドボルトやアンカー部材を取り付け、該スタッドボルトやアンカー部材に金網やラスを固縛し、該金網やラスが隠れるように材料を吹付けたり塗り付けたりして、表面被覆層を躯体や構造体に保持させている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
このような表面被覆施工においては、施工厚さの管理のために別に厚さ確認用のゲージを取り付けたり、施工後に厚さゲージを差し込んで厚さの管理を行わなければならないため、作業工程が煩雑であった。
【0004】
また、前記網やラスが表面被覆層の表層部に存在するのではなく、比較的内部深くに位置しているため、振動衝撃や地震力等が施工対象物に作用して、金網やラスと表面被覆層間の界面に亀裂や剥離が発生したとき、表面被覆層の損壊が深くまで及ぶことになり、施工対象物の天井部や梁下面から多量の表面被覆層が広範に脱落し、表面被覆層の本来の性能・機能が一気に喪失してしまう危険性がある。
例えば表面被覆層が耐火被覆であるときには、地震後に発生した火災によって施工対象物、構造的強度が劣化したり変形歪曲する危険に直接曝されることになる。
【0005】
【特許文献1】特公平7−81383号公報
【特許文献2】特開2003−13528号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目的は、施工厚さの管理が容易に行なえるとともに、衝撃振動や地震災害等による被覆施工層の致命的な脱落を的確に防止できる表面被覆施工方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために本発明の表面被覆施工方法では、表裏方向に貫通した多数の開口4を全面にわたって連続的に形成した面状保持部材2を、施工対象物1の表面との間に規定寸法の間隔を置いて張り渡し、施工対象物1の適所に固定した定着部材3の先端部に面状保持部材2を連結し、面状保持部材2の前記開口4を通して所要の表面被覆施工を面状保持部材の表面に至るまで実施し、規定寸法に形成された表面被覆層5を面状保持部材2によって保持するものである。
【0008】
【発明の実施の態様】本発明において表面被覆施工とは、土木・建築分野あるいは各種工業用炉の煙突・煙道分野等において、表面仕上げ、表面補修、耐火被覆あるいは耐震補強等の目的にしたがって施工対象物1の表面を表面仕上げ材、表面補修材、耐火被覆材あるいは耐震補強材等といった表面被覆材によって被覆することである。
これらの表面被覆材料の施工手段としては、材料の性状や施工場所、雰囲気温度などの諸条件にしたがって吹付け、塗り込み、あるいは流し込み等といった公知の手法が適宜選択して使用される。
【0009】
面状保持部材2としては、図1と図2に示したように一般的には金網やラスが使用されるが、一面に展開した部材の全面にわたって多数の開口4が表裏方向に貫通して形成されているものであれば、編み上げ、あるいは打ち抜きなどの形成方法の如何は問わない。面状保持部材2は、表面被覆層5を施工対象物1に固定保持するのに必要充分な機械的強度と、施工対象物への取付作業に必要な程度の可撓性を有するのが望ましい。
【0010】
定着部材3としては、躯体や構造体といった施工対象物1に基端部が固着されるスタッドボルトやアンカー部材等が使用される。定着部材3は基本的には施工対象物1の表面に対して直角に固着され、この固着手段としては、定着部材の性状、施工場所などの諸条件にしたがって、第3図に示したようにアンカー部の打ち込み拡開方式、第4図に示したようにスタットボルトの突き合せ溶接方式といったように公知の手法が適宜選択して使用される。
【0011】
面状保持部材2は、図3と図4に示したように定着部材3に取り付けられる部分を予め凹型に加工して置き、面状保持部材2の主体部分の表面が定着部材3の先端面と同じになるようにナット6やワイヤーなどによって接合固定する。
面状保持部材2と定着部材3の材質としては、外気等に曝される条件のため、錆や腐食の起こりにくい材質を選定するのが望ましい。
図3に示した適用例では、定着部材3はコンクリート製構造体1に植設されたスタッドボルトであり、図4に示した適用例では、定着部材3は鉄製構造体1に溶接されたスタッドボルトである。
【0012】
定着部材3の施工対象物表面からの突出寸法は、形成しようとする表面被覆層の厚さの規定寸法と同じにするか、該規定寸法より少し短めの寸法とする。
定着部材3の突出寸法が表面被覆層5の規定寸法よりも長過ぎると、仕上げ面より定着部材3の先端部が飛び出し美観の点で劣ることになる。他方、定着部材3の突出寸法が表面被覆層5の規定寸法よりも短過ぎると、面状部材2の固定がし難いことになり、また、時間経過と共に定着部材3の表面側部分における表面被覆層の脱落が起こり易く、美観上も良くない。
【0013】
定着部材3の太さ寸法は、表面被覆材の施工厚さと比重、並びに面状保持部材2の形状寸法と重量等を考慮し、これらによる重量負荷に充分耐え得る強度を持つように選定される。
定着部材3の施工対象物1に対する取付けピッチは、表面被覆材の施工厚さと比重、並びに面状保持部材2の形状寸法と重量等を考慮し、これらによる重量負荷に充分耐え得る強度を持つように決定される。
【0014】
面状保持部材2として金網やラスを使用する場合、溶接金網、クリンプ金網、織金網、亀甲金網、エキスパンドラス等、その種類は問わないが、縦横線の目動きの少ない形状の網を選定することが望ましい。
【0015】
面状保持部材2を金網やラスとする場合の線径は材質にもよるが、SUS304で0.8mmを最小径とし、鉄で1.0mmを最小径とし、目開きは20mmから300mmにするのが適当である。
線径が細すぎる場合は、網強度が低くなって表面の仕上げがし難くなり、目開きが小さ過ぎる場合は、表面被覆材の充填が不十分になり、目開きが大き過ぎる場合は、脱落防止作用が低下する。
【0016】
図1に示した施工例は、建築構造物において天井部と梁部の表面被覆施工に適用した場合であり、施工対象物1としての鉄骨コンクリート製天井の下面と鉄骨コンクリート製梁の下面及び両側面には、定着部材3としてのスタッドボルトが所定のピッチ間隔で植設されている。各スタッドボルト3の頂部を連繋するように面状部材2としての金網が一枚または複数枚連続して張り継がれ、ナットや結束用ワイヤーによってスタッドボルト3に接合されている。表面被覆材5としての耐火材は、金網2の表面まで吹付け施工されている。
【0017】
図2に示した施工例は、トンネル等のアーチ構造物の表面被覆施工に適用した場合であり、施工対象物1としてのアーチ構造物の鉄骨コンクリート製天井部と側壁部には、定着部材3としてのスタッドボルトが所定のピッチ間隔で植設されている。各スタッドボルト3の頂部を連繋するように面状部材2としての金網が一枚または複数枚連続して張り継がれ、ナットや結束用ワイヤーによってスタッドボルト3に接合されている。表面被覆材5としての耐火材は、金網2の表面まで吹付け施工されている。
【0018】
【実験例】施工対象物として一辺の有効長さが400mm、厚さが12mmの充分弾性のあるベニヤ合板製パネル1を6枚用意し、定着部材として長さ75mmのM8全ネジボルト3を300mmの取付ピッチで各パネル1に4本ずつ貫通させ、各ボルト3の基端部を前後2個のM8ナット7によってパネル1に締め付け固定した。4枚のパネル1は本発明方法の試験用として、施工面側におけるボルト3の突出寸法を50mmに設定した。残り2枚のパネル1は従来方法の試験用として、施工面側におけるボルト3の突出寸法を30mmに設定した。
【0019】
本発明方法の試験用パネル1の2枚については、面状保持部材としてSUS304製で線材直径が1.8mm、目開きが50mmの金網2を使用する一方、残り2枚についてはSUS304製で線材直径が3.2mm、目開きが100mmの金網2を使用し、各金網2を各パネル1のボルト3の頂部に取付けた後、表面被覆材5として表1に示した配合の耐火材を、鏝作業によって各金網2の表面まで塗り込み施工した。塗り込み施工より72時間経過した後、摂氏110℃の乾燥を24時間行ない、室温に冷まして図5に示した試験体とした。
【表1】
【0020】
従来方法の試験用パネル1については、SUS304製で線材直径が1.8mm、目開きが50mmの金網2を使用し、表面被覆材5として表1に示した配合の耐火材を、鏝作業によってパネル1の表面から50mmの高さまで塗り込み施工した。塗り込み施工より72時間経過した後、摂氏110℃の乾燥を24時間行ない、室温に冷まして図6に示した試験体とした。
【0021】
このように作製した本発明方法の試験体と従来方法の試験体について、それぞれ歪試験とスポーリング試験を実施し、試験結果を比較判定した。
A.歪試験
試験体の施工面を下向きにセットし、試験体の両端を50mm固定し、試験体中央部に6回/minの間隔で20mmのストロークで負荷を掛け、表面被覆材が脱落までの時間を測定した。
B.スポーリング試験
摂氏1200度に保たれた電気炉の天井開口(300mm×300mm)に試験体施工面を加熱炉側にセットし、加熱15分後に直ちに取り外し、室温まで約2時間以上放置し、更に15分加熱して室温まで冷ますという繰り返し試験を行い、脱落状況を観察した。
【0022】
歪試験の結果は表2に示す通りであり、本発明工法の試験体は従来工法の試験体よりも好成績を示した。
【表2】
【0023】
スポーリング試験の結果は表3に示す通りであり、本発明工法の試験体は従来工法の試験体よりも好成績を示した。
【表3】
【0024】
【発明の効果】以上のように本発明方法では、表裏方向に貫通した多数の開口を全面にわたって連続的に形成した面状保持部材を、施工対象物の表面との間に規定寸法の間隔を置いて張り渡し、施工対象物に固定した定着部材に面状保持部材を連結し、面状保持部材の前記開口を通して表面被覆施工を面状保持部材表面まで実施するものであるから、表面被覆層の施工は面状保持部材を定規として所定厚さになされることになり、施工厚さの管理は、従来のように厚さ確認用のゲージを別途取り付けたり、施工後に厚さゲージを差し込んで計測するなどの煩雑な作業を要することなしに的確かつ容易に行なうことができる。
【0025】
規定寸法に形成された表面被覆層は面状保持部材によって施工対象物に対して支持されているのであるが、面状保持部材は表面被覆層の深部に位置しているのではなく、表面被覆層の表面部に位置しているのであるから、衝撃や振動によって面状保持部材と表面被覆層間の界面において亀裂や剥離が発生しても、表面被覆層の脱落は、面状保持部材の前記開口内に存在する部分と、面状保持部材の外側表面に付着している部分において限局して発生するに過ぎないことになり、表面被覆層の多量かつ広範囲にわたる致命的な脱落を的確に防止することができる。
【0026】
種々の振動衝撃や地震力などが構造体に作用しても、表面被覆層の脱落損傷は面状状保持部材の厚さ相当分の薄層だけに抑止され、表面被覆層の圧倒的大部分は無傷に残されるため、表面被覆層は本来の性能・機能を実質的に維持することができ、例えば表面被覆層が耐火被覆であるときには、地震後に発生した火災によって構造体が過大な熱的影響を受けて、構造的強度が劣化したり変形歪曲を起すことがない。
また、表面被覆施工の種類によっては、補修工事は面状保持部材の厚さ相当分だけで済むため、補修コストが低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を建築構造物に適用した一例を示す縦断面図である。
【図2】本発明方法を土木構造物に適用した一例を示す縦断面図である。
【図3】本発明方法の一施工例を示す詳細断面図である。
【図4】本発明方法の別の施工例を示す詳細断面図である。
【図5】本発明方法の試験体を示す断面図である。
【図6】従来方法の試験体を示す断面図である。
【符号の説明】
1 施工対象物
2 面状保持部材
3 定着部材
4 面状保持部材の開口
5 表面被覆層(表面被覆材)
6 面状保持部材の接合用ナット
7 ボルトの固着用ナット
【発明の属する技術分野】本発明は躯体や構造体の表面に規定厚さの表面被覆層を施工する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築物の天井や壁、梁、柱、トンネルの天井や側壁、煙突や煙道の内壁等といった各種の施工対象物に対して表面仕上げ材や表面補修材、耐火被覆材あるいは耐火補強材等の表面被覆施工を行なう場合、施工対象物である躯体や構造体にスタッドボルトやアンカー部材を取り付け、該スタッドボルトやアンカー部材に金網やラスを固縛し、該金網やラスが隠れるように材料を吹付けたり塗り付けたりして、表面被覆層を躯体や構造体に保持させている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
このような表面被覆施工においては、施工厚さの管理のために別に厚さ確認用のゲージを取り付けたり、施工後に厚さゲージを差し込んで厚さの管理を行わなければならないため、作業工程が煩雑であった。
【0004】
また、前記網やラスが表面被覆層の表層部に存在するのではなく、比較的内部深くに位置しているため、振動衝撃や地震力等が施工対象物に作用して、金網やラスと表面被覆層間の界面に亀裂や剥離が発生したとき、表面被覆層の損壊が深くまで及ぶことになり、施工対象物の天井部や梁下面から多量の表面被覆層が広範に脱落し、表面被覆層の本来の性能・機能が一気に喪失してしまう危険性がある。
例えば表面被覆層が耐火被覆であるときには、地震後に発生した火災によって施工対象物、構造的強度が劣化したり変形歪曲する危険に直接曝されることになる。
【0005】
【特許文献1】特公平7−81383号公報
【特許文献2】特開2003−13528号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目的は、施工厚さの管理が容易に行なえるとともに、衝撃振動や地震災害等による被覆施工層の致命的な脱落を的確に防止できる表面被覆施工方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために本発明の表面被覆施工方法では、表裏方向に貫通した多数の開口4を全面にわたって連続的に形成した面状保持部材2を、施工対象物1の表面との間に規定寸法の間隔を置いて張り渡し、施工対象物1の適所に固定した定着部材3の先端部に面状保持部材2を連結し、面状保持部材2の前記開口4を通して所要の表面被覆施工を面状保持部材の表面に至るまで実施し、規定寸法に形成された表面被覆層5を面状保持部材2によって保持するものである。
【0008】
【発明の実施の態様】本発明において表面被覆施工とは、土木・建築分野あるいは各種工業用炉の煙突・煙道分野等において、表面仕上げ、表面補修、耐火被覆あるいは耐震補強等の目的にしたがって施工対象物1の表面を表面仕上げ材、表面補修材、耐火被覆材あるいは耐震補強材等といった表面被覆材によって被覆することである。
これらの表面被覆材料の施工手段としては、材料の性状や施工場所、雰囲気温度などの諸条件にしたがって吹付け、塗り込み、あるいは流し込み等といった公知の手法が適宜選択して使用される。
【0009】
面状保持部材2としては、図1と図2に示したように一般的には金網やラスが使用されるが、一面に展開した部材の全面にわたって多数の開口4が表裏方向に貫通して形成されているものであれば、編み上げ、あるいは打ち抜きなどの形成方法の如何は問わない。面状保持部材2は、表面被覆層5を施工対象物1に固定保持するのに必要充分な機械的強度と、施工対象物への取付作業に必要な程度の可撓性を有するのが望ましい。
【0010】
定着部材3としては、躯体や構造体といった施工対象物1に基端部が固着されるスタッドボルトやアンカー部材等が使用される。定着部材3は基本的には施工対象物1の表面に対して直角に固着され、この固着手段としては、定着部材の性状、施工場所などの諸条件にしたがって、第3図に示したようにアンカー部の打ち込み拡開方式、第4図に示したようにスタットボルトの突き合せ溶接方式といったように公知の手法が適宜選択して使用される。
【0011】
面状保持部材2は、図3と図4に示したように定着部材3に取り付けられる部分を予め凹型に加工して置き、面状保持部材2の主体部分の表面が定着部材3の先端面と同じになるようにナット6やワイヤーなどによって接合固定する。
面状保持部材2と定着部材3の材質としては、外気等に曝される条件のため、錆や腐食の起こりにくい材質を選定するのが望ましい。
図3に示した適用例では、定着部材3はコンクリート製構造体1に植設されたスタッドボルトであり、図4に示した適用例では、定着部材3は鉄製構造体1に溶接されたスタッドボルトである。
【0012】
定着部材3の施工対象物表面からの突出寸法は、形成しようとする表面被覆層の厚さの規定寸法と同じにするか、該規定寸法より少し短めの寸法とする。
定着部材3の突出寸法が表面被覆層5の規定寸法よりも長過ぎると、仕上げ面より定着部材3の先端部が飛び出し美観の点で劣ることになる。他方、定着部材3の突出寸法が表面被覆層5の規定寸法よりも短過ぎると、面状部材2の固定がし難いことになり、また、時間経過と共に定着部材3の表面側部分における表面被覆層の脱落が起こり易く、美観上も良くない。
【0013】
定着部材3の太さ寸法は、表面被覆材の施工厚さと比重、並びに面状保持部材2の形状寸法と重量等を考慮し、これらによる重量負荷に充分耐え得る強度を持つように選定される。
定着部材3の施工対象物1に対する取付けピッチは、表面被覆材の施工厚さと比重、並びに面状保持部材2の形状寸法と重量等を考慮し、これらによる重量負荷に充分耐え得る強度を持つように決定される。
【0014】
面状保持部材2として金網やラスを使用する場合、溶接金網、クリンプ金網、織金網、亀甲金網、エキスパンドラス等、その種類は問わないが、縦横線の目動きの少ない形状の網を選定することが望ましい。
【0015】
面状保持部材2を金網やラスとする場合の線径は材質にもよるが、SUS304で0.8mmを最小径とし、鉄で1.0mmを最小径とし、目開きは20mmから300mmにするのが適当である。
線径が細すぎる場合は、網強度が低くなって表面の仕上げがし難くなり、目開きが小さ過ぎる場合は、表面被覆材の充填が不十分になり、目開きが大き過ぎる場合は、脱落防止作用が低下する。
【0016】
図1に示した施工例は、建築構造物において天井部と梁部の表面被覆施工に適用した場合であり、施工対象物1としての鉄骨コンクリート製天井の下面と鉄骨コンクリート製梁の下面及び両側面には、定着部材3としてのスタッドボルトが所定のピッチ間隔で植設されている。各スタッドボルト3の頂部を連繋するように面状部材2としての金網が一枚または複数枚連続して張り継がれ、ナットや結束用ワイヤーによってスタッドボルト3に接合されている。表面被覆材5としての耐火材は、金網2の表面まで吹付け施工されている。
【0017】
図2に示した施工例は、トンネル等のアーチ構造物の表面被覆施工に適用した場合であり、施工対象物1としてのアーチ構造物の鉄骨コンクリート製天井部と側壁部には、定着部材3としてのスタッドボルトが所定のピッチ間隔で植設されている。各スタッドボルト3の頂部を連繋するように面状部材2としての金網が一枚または複数枚連続して張り継がれ、ナットや結束用ワイヤーによってスタッドボルト3に接合されている。表面被覆材5としての耐火材は、金網2の表面まで吹付け施工されている。
【0018】
【実験例】施工対象物として一辺の有効長さが400mm、厚さが12mmの充分弾性のあるベニヤ合板製パネル1を6枚用意し、定着部材として長さ75mmのM8全ネジボルト3を300mmの取付ピッチで各パネル1に4本ずつ貫通させ、各ボルト3の基端部を前後2個のM8ナット7によってパネル1に締め付け固定した。4枚のパネル1は本発明方法の試験用として、施工面側におけるボルト3の突出寸法を50mmに設定した。残り2枚のパネル1は従来方法の試験用として、施工面側におけるボルト3の突出寸法を30mmに設定した。
【0019】
本発明方法の試験用パネル1の2枚については、面状保持部材としてSUS304製で線材直径が1.8mm、目開きが50mmの金網2を使用する一方、残り2枚についてはSUS304製で線材直径が3.2mm、目開きが100mmの金網2を使用し、各金網2を各パネル1のボルト3の頂部に取付けた後、表面被覆材5として表1に示した配合の耐火材を、鏝作業によって各金網2の表面まで塗り込み施工した。塗り込み施工より72時間経過した後、摂氏110℃の乾燥を24時間行ない、室温に冷まして図5に示した試験体とした。
【表1】
【0020】
従来方法の試験用パネル1については、SUS304製で線材直径が1.8mm、目開きが50mmの金網2を使用し、表面被覆材5として表1に示した配合の耐火材を、鏝作業によってパネル1の表面から50mmの高さまで塗り込み施工した。塗り込み施工より72時間経過した後、摂氏110℃の乾燥を24時間行ない、室温に冷まして図6に示した試験体とした。
【0021】
このように作製した本発明方法の試験体と従来方法の試験体について、それぞれ歪試験とスポーリング試験を実施し、試験結果を比較判定した。
A.歪試験
試験体の施工面を下向きにセットし、試験体の両端を50mm固定し、試験体中央部に6回/minの間隔で20mmのストロークで負荷を掛け、表面被覆材が脱落までの時間を測定した。
B.スポーリング試験
摂氏1200度に保たれた電気炉の天井開口(300mm×300mm)に試験体施工面を加熱炉側にセットし、加熱15分後に直ちに取り外し、室温まで約2時間以上放置し、更に15分加熱して室温まで冷ますという繰り返し試験を行い、脱落状況を観察した。
【0022】
歪試験の結果は表2に示す通りであり、本発明工法の試験体は従来工法の試験体よりも好成績を示した。
【表2】
【0023】
スポーリング試験の結果は表3に示す通りであり、本発明工法の試験体は従来工法の試験体よりも好成績を示した。
【表3】
【0024】
【発明の効果】以上のように本発明方法では、表裏方向に貫通した多数の開口を全面にわたって連続的に形成した面状保持部材を、施工対象物の表面との間に規定寸法の間隔を置いて張り渡し、施工対象物に固定した定着部材に面状保持部材を連結し、面状保持部材の前記開口を通して表面被覆施工を面状保持部材表面まで実施するものであるから、表面被覆層の施工は面状保持部材を定規として所定厚さになされることになり、施工厚さの管理は、従来のように厚さ確認用のゲージを別途取り付けたり、施工後に厚さゲージを差し込んで計測するなどの煩雑な作業を要することなしに的確かつ容易に行なうことができる。
【0025】
規定寸法に形成された表面被覆層は面状保持部材によって施工対象物に対して支持されているのであるが、面状保持部材は表面被覆層の深部に位置しているのではなく、表面被覆層の表面部に位置しているのであるから、衝撃や振動によって面状保持部材と表面被覆層間の界面において亀裂や剥離が発生しても、表面被覆層の脱落は、面状保持部材の前記開口内に存在する部分と、面状保持部材の外側表面に付着している部分において限局して発生するに過ぎないことになり、表面被覆層の多量かつ広範囲にわたる致命的な脱落を的確に防止することができる。
【0026】
種々の振動衝撃や地震力などが構造体に作用しても、表面被覆層の脱落損傷は面状状保持部材の厚さ相当分の薄層だけに抑止され、表面被覆層の圧倒的大部分は無傷に残されるため、表面被覆層は本来の性能・機能を実質的に維持することができ、例えば表面被覆層が耐火被覆であるときには、地震後に発生した火災によって構造体が過大な熱的影響を受けて、構造的強度が劣化したり変形歪曲を起すことがない。
また、表面被覆施工の種類によっては、補修工事は面状保持部材の厚さ相当分だけで済むため、補修コストが低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を建築構造物に適用した一例を示す縦断面図である。
【図2】本発明方法を土木構造物に適用した一例を示す縦断面図である。
【図3】本発明方法の一施工例を示す詳細断面図である。
【図4】本発明方法の別の施工例を示す詳細断面図である。
【図5】本発明方法の試験体を示す断面図である。
【図6】従来方法の試験体を示す断面図である。
【符号の説明】
1 施工対象物
2 面状保持部材
3 定着部材
4 面状保持部材の開口
5 表面被覆層(表面被覆材)
6 面状保持部材の接合用ナット
7 ボルトの固着用ナット
Claims (1)
- 表裏方向に貫通した多数の開口を全面にわたって連続的に形成した面状保持部材を、施工対象物の表面との間に規定寸法の間隔を置いて張り渡し、施工対象物の適所に固定した定着部材の先端部に面状保持部材を連結し、面状保持部材の前記開口を通して所要の表面被覆施工を面状保持部材の表面にまで実施し、規定寸法に形成された表面被覆層を面状保持部材によって保持するようにした表面被覆施工方法。
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