JP2017210807A - 鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法 - Google Patents

鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】壁材の変形に追従して変位する耐火バックアップ材と耐火被覆材との固着による破壊を防止することのできる鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法を提供する。
【解決手段】鉄骨柱10に近接する壁材20と、その壁材20と鉄骨柱10の対向範囲外の部分にセメントスラリーを含有する吹付け材からなる耐火被覆材30を配し、かつ、当該耐火被覆材30を、鉄骨柱10から壁材20まで延長配置した鉄骨柱の合成被覆耐火構造において、耐火被覆材30が延長配置される被覆材延長部31において耐火被覆材30の裏面側に設けられ、高さ方向に連続して壁材20に固定されている耐火バックアップ材40と、耐火バックアップ材40と耐火被覆材30との間に設けられるセメントスラリー層41とを備え、耐火被覆材30のセメントスラリー含有量は表面側よりも裏面側が少なくなっているようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄骨柱の耐火構造に関し、特に、壁材をその被覆材の一部として活用する鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法に関するものである。
建築物は、建築基準法およびその関連法令によって、規模、部位などに応じて要求耐火時間が定められている。鉄骨造建築物においては、鋼材は加熱によって耐力が低下するため、その要求耐火時間で一定の耐力を発揮できるように、吹付けロックウールに代表される耐火被覆を行って鋼材温度の上昇を抑制している。
吹付けロックウールを用いた既往の鉄骨柱の耐火構造認定において、吹付けロックウールの被覆厚さは、例えば1時間耐火では25mm(非特許文献1を参照)、2時間耐火では45mm(非特許文献2を参照)と、要求耐火時間ごとに被覆厚さが異なっている。なお、吹付けロックウールは、水とセメントを攪拌装置のあるスラリー槽で混合し、吹付け施工機械のノズル先端部で、圧送されたロックウールと噴霧化されたセメントスラリーとを混合しながら吹付けて施工される。
一方、鉄骨柱の合成被覆耐火構造が知られている(例えば、非特許文献3を参照)。この合成被覆耐火構造は、例えば、鉄骨柱と壁が近接し、通常の耐火被覆工事が困難な場合に採用されるもので、一定の耐火性能を有するALC板(高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート板)、PC板(プレキャストコンクリート板)、押出成形セメント板などによる壁材が、鉄骨柱の耐火被覆材の一部として活用される。本構造は、壁材と鉄骨柱の離隔距離が概ね200mm以下で多用され、離隔部について、鉄骨柱の側面から壁材に向けて耐火被覆材を延長して配設し、離隔部内の耐火被覆施工を省略するものである。
非特許文献3は、ALC板を用いたALC壁パネル/吹付けロックウール合成被覆鉄骨柱であり、鉄骨柱の一面において、壁材のALC板を耐火被覆として活用するものである。鉄骨柱と壁材とは間隔が空いており、鉄骨柱から壁材に向けて掛け渡した鉄筋からなる力骨にラス網を取付けて耐火被覆の下地材とし、吹付けロックウールを施工するものである。この構造は、非特許文献1および2と同じく、所定の条件に基づいて実施される性能評価試験により性能を確認し、建築基準法第2条第七号に規定される国土交通大臣の認定を受けたものである。
他方、鉄骨の表面に取付けられたロックウールに、セメントスラリーを吹付け塗布することによってロックウールの耐火性能を向上することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
国土交通大臣認定書 FP060CN−9460(吹付けロックウール被覆鉄骨柱) 国土交通大臣認定書 FP120CN−9463(吹付けロックウール被覆鉄骨柱) 国土交通大臣認定書 FP060CN−9458(ALC壁パネル・吹付けロックウール合成被覆鉄骨柱)
特開平7−189359号公報
ところで、合成被覆鉄骨柱に対する現行の耐火構造認定試験においては、4面加熱炉内に試験体を設置し、柱の長期荷重を載荷したうえで、ISO834による所定の加熱が行なわれ、構造安全性が検証される。壁材がALC板の場合を例に説明すると、ALC板を上下の支点のみで保持した縦張構造とした場合には、加熱時にALC板の変形が生じやすく、鉄骨柱とALC板との間に設けた吹付けロックウールのALC板側の端部との間に隙間が生じて、当該部分からの火炎や熱気の流入によって鋼材温度が上昇し、耐力が低下する場合がある。
図4は、厚さ75mmのALC板を縦張にした非特許文献3の1時間耐火仕様に準じた試験体について、鋼材温度600℃に到達するまで載荷加熱を継続した試験終了後の状況写真である。この図に示すように、壁材20のALC板は加熱側(図の左側)に凸に反り変形し、耐火被覆材30の吹付けロックウールとの間に隙間51が生じていることがわかる。
この現象の原因は、ALC板内の鉄筋の熱膨張差に起因すると考えられる。すなわち、ALC板内には表面側と裏面側に鉄筋が2層配置されており、加熱表面側の鉄筋温度と加熱裏面側の鉄筋温度の差によって生じる材長変化の差によって加熱側に凸の反り変形が生じるものと考えられる。
この現象への対処方法として、例えば上記の非特許文献3では、加熱時間が長く変形が大きくなる3時間耐火仕様において、隙間が生じる部分にロックウールによる耐火バックアップ材を配することが示されているが、ロックウールは温度が700〜800℃になると急激に体積収縮してしまい、隙間を塞ぐことが困難となる場合があった。
また、上記の特許文献1の方法は、耐火被覆材に巻付け施工容易なロックウールブランケット等を用い、ロックウールの耐熱性不足を補う目的でセメントスラリーを注入あるいは噴霧し固化するものであり、セメントスラリーを耐火被覆材の内側に配置することは想定されていない。すなわち、半乾式吹付けロックウールは、圧送されたロックウールと噴霧化したセメントスラリーを混合して吹付けて施工するため、通常施工を行なうと、吹付けロックウールと耐火バックアップ材がセメントにより意図せずに固着して、ALC板が加熱変形した際には、その変形に追従する耐火バックアップ材によって耐火被覆に想定外の損傷を生じさせる可能性がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、壁材の変形に追従して変位する耐火バックアップ材と耐火被覆材との固着による耐火被覆材の破壊を防止することのできる鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造は、鉄骨柱に近接する壁材と、その壁材と鉄骨柱の対向範囲外の部分にセメントスラリーを含有する吹付け材からなる耐火被覆材を配し、かつ、当該耐火被覆材を、鉄骨柱から壁材まで延長配置した鉄骨柱の合成被覆耐火構造において、耐火被覆材が延長配置される被覆材延長部において耐火被覆材の裏面側に設けられ、高さ方向に連続して壁材に固定されている耐火バックアップ材と、耐火バックアップ材と耐火被覆材との間に設けられるセメントスラリー層とを備え、耐火被覆材のセメントスラリー含有量は表面側よりも裏面側が少なくなっていることを特徴とする。
また、本発明に係る他の鉄骨柱の合成被覆耐火構造は、上述した発明において、耐火被覆材と耐火バックアップ材の境界部において耐火バックアップ材の表面と離隔独立して配され、ラスによる耐火被覆下地材をさらに備え、被覆材延長部におけるセメントスラリー層と耐火被覆材の付着強度は、耐火被覆材を構成する吹付け材同士の付着強度よりも低くされており、耐火被覆材は、加熱時の壁材の変形に追従して変位する耐火バックアップ材と固着することなく摺動可能であることを特徴とする。
また、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法は、上述した鉄骨柱の合成被覆耐火構造を施工する方法であって、上下の梁に壁材を固定してこの壁材に耐火バックアップ材を取り付け、その外側に半乾式吹付けロックウールを施工して耐火被覆材を取り付ける際に、耐火バックアップ材にセメントスラリーを吹付けることによりセメントスラリー層を形成した後、ロックウールを吹付けて耐火被覆材を施工することを特徴とする。
また、本発明に係る他の鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法は、上述した発明において、耐火バックアップ材の表面と離隔独立して耐火被覆下地材を配し、耐火被覆下地材の上から耐火バックアップ材にセメントスラリーを吹付けてセメントスラリー層を形成した後、ロックウールを吹付けて耐火被覆材を施工することを特徴とする。
また、本発明に係る他の鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法は、上述した発明において、ロックウールの吹付けを、セメントスラリー層の表面が半乾燥または乾燥状態になった後に行なうことを特徴とする。
また、本発明に係る他の鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法は、上述した発明において、予めセメントスラリー層を表面に形成した耐火バックアップ材を壁材に取り付けることを特徴とする。
また、本発明に係る他の鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法は、上述した発明において、耐火バックアップ材へのロックウールの吹付けに際し、はじめはロックウールと同時に噴霧するセメントスラリー量を少なくし、その後、セメントスラリー量を増加することを特徴とする。
本発明によれば、耐火バックアップ材の耐火被覆材側の表面、すなわち加熱側表面において、その全面について、水とセメントの重量配合比が標準配合で2:1のセメントスラリー層を形成して火炎に対する保護層としたため、耐火バックアップ材の加熱側表面の損傷を抑制し、耐火性能を高めることができる。また、耐火被覆材の裏面側(耐火バックアップ材側)のセメントスラリー含有量を少なくしたことによって、壁の変形に追従して変位する耐火バックアップ材と耐火被覆材との固着による破壊を防止し、より安全性を高めることができる。
また、耐火被覆材と耐火バックアップ材の境界部に、耐火バックアップ材表面と離隔独立した耐火被覆下地材を配し、被覆材延長部において、セメントスラリー層と耐火被覆材の付着強度を低下させることによって、壁の変形に追従して変位する耐火バックアップ材と耐火被覆材との固着による破壊を防止し、より安全性を高めることができる。
さらに、耐火バックアップ材にセメントスラリーを吹付けて表層にセメントスラリー層を形成した後、ロックウールを吹付けることで耐火被覆材を施工するのに際し、セメントスラリーは、耐火被覆材の施工材料であるため、施工手順もセメントスラリー層を有しない従来構成と大きく変わらない。このため、作業手間の増大やコスト上昇を回避することができる。
図1は、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の実施の形態1を示す水平断面図である。 図2は、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の実施の形態1の変形例を示す水平断面図である。 図3は、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造の実施の形態2を示す水平断面図である。 図4は、従来の試験体の載荷加熱試験後の壁材の変形を示す側面写真図である。 図5は、載荷加熱試験における被覆材延長部側(壁材側)の鉄骨柱角部の鋼材温度の比較図である。
以下に、本発明に係る鉄骨柱の合成被覆耐火構造およびその施工方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
鉄骨柱10の寸法形状は、特に限定する必要はないが、ここでは□−550×550×16(単位:mm、以下同じ)の角形鋼管柱を例に説明する。壁材20は、厚さ100mmのALC板(以下、壁材という。)を上下の梁にロッキング工法により縦張固定した場合を例にとり説明するが、PC板、押出成型セメント板など外壁材のほか、けい酸カルシウム板など、板状の材料の全てに適用することができる。耐火被覆材30は半乾式吹付けロックウールで代表するが、耐火性を有するスラリーを用いた吹付け耐火被覆材全般にも適用できる。被覆厚さは、1時間耐火構造相当の25mmとするが、吹付け型の耐火被覆材の全てに対応し、それぞれ必要な被覆厚さを適用することができる。なお、壁材20と鉄骨柱10の間隙部5の寸法は特に限定しないが、ここでは、100mmを例に説明する。
図1は、本実施の形態1の水平断面図である。この図に示すように、鉄骨柱10と壁材20は100mmの間隔で配置され、間隙部5を形成し、その側面部分は、耐火被覆材30が壁材20まで延長された被覆材延長部31を有する。以下、便宜上、鉄骨柱10の壁材20に直交する方向の面を側面と定義する。壁材20は、鉄骨柱10側の面を屋内面、その裏面を屋外面と定義する。
耐火バックアップ材40は、厚さ50mm、幅100mm、耐熱温度600℃、密度80kg/m3のロックウール保温板(鉱物繊維系断熱材)を、柱高さ方向に連続して、その幅方向の面(以下、側面という。)を鉄骨柱10の側面と合わせて配置し、壁材20にその厚さ方向の面(以下、端面という。)を突き付けにしてけい酸ナトリウム系接着剤など、耐火ボンドで接着して取り付けている。鉄骨柱10とは接合しないが、ここで示した寸法のように、間隙部5の側面を全て閉塞すると、被覆材延長部31の耐火被覆下地を兼ねることもできる。図2に示すように、耐火バックアップ材40の幅を大きくしてL形状に折り曲げて、壁材20との接触部を多くして、前記接着剤あるいは機械的手段によって接合すると、耐火バックアップ材40の復元力によって耐火被覆材30側に押し付けられ、壁材20の加熱時の変形時においても、隙間が生じにくくなるのでより望ましい。ここでは、耐火バックアップ材40の幅は、壁材20から鉄骨柱10に達する寸法としているが、要求耐火時間が短い場合には、ALC板(壁材20)の変形が小さいため、鉄骨柱10に達していなくてもよい。
耐火被覆材30の施工に先立ち、セメントと水の重量比を標準配合で1:2としたセメントスラリーを耐火バックアップ材40の側面全体に吹付け、表層にセメントスラリー層41を形成する。セメントスラリー層41の厚さは、全体にむらなく形成すれば、厚さの管理は不要である。セメントスラリーの吹付けは、壁材20にマスキングを行い、セメントスラリーが付着しないようにするとより望ましい。なお、セメントスラリーのセメントと水の配合比率は上記の配合比率に限るものではなく、望ましくはセメント重量比で25%〜40%程度がよく、より望ましくは30%以上がよい。
その後、吹付けロックウールを圧送し、噴霧化したセメントスラリーと混合して鉄骨柱10および耐火バックアップ材40に吹付け施工することにより耐火被覆材30を施工する。セメントスラリーの吹付けは、半乾式吹付けロックウールの施工に供する施工器具を、ロックウール圧送を停止した状態で用いればよく、別途施工器具を準備する必要はない。
ここで、耐火バックアップ材40に形成したセメントスラリー層41の表面がある程度乾燥(全体が完全硬化していなくてよく、表面の色が白くなった段階でよい)した後に、ロックウールの吹付けを行うとより望ましい。その際に、耐火バックアップ材40部分への吹付けに際しては、吹付けロックウール表層側でセメントスラリーを増し吹きさせるとよく、より望ましくは、セメントスラリーの噴霧量を減少させて、表層に吹付け、その後セメントスラリーを増量するとよい。この方法により、耐火被覆材30と耐火バックアップ材40の界面は殆ど付着力がない状態で構成されるとともに、被覆材延長部31での耐火被覆材30の強度は確保できるため、加熱時の壁材20の変形による耐火バックアップ材40の摺動も耐火被覆材30と固着することなく円滑に行なわれ、耐火被覆材30が耐火バックアップ材40に追従して破壊することが防止できる。これにより、壁材20と被覆材延長部31の間に開口が生じても、間隙部5内部に火炎や熱気が流入することを抑制することができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について、耐火被覆下地材32を耐火被覆材30と耐火バックアップ材40の境界部に配した形態を例にとり説明する。以下では、上記の実施の形態1と同じ部分は説明を省略する。
図3は、本実施の形態2の水平断面図である。この図に示すように、耐火被覆下地材32にはラスを用いており、ラスは、鉄骨柱10に高さ方向で450mm程度の間隔に配置された、外径9mmの丸鋼からなる力骨33に番線等で結束して配置する。その配置位置は、力骨33の外側において、耐火バックアップ材40とは接することなく独立して配する。
耐火被覆材30の施工に先立ち、セメントと水の重量比を標準配合で1:2としたセメントスラリーを、少なくとも耐火バックアップ材40の側面全体に、ラスからなる耐火被覆下地材32上から吹付け、セメントスラリー層41を表層に形成する。その後、吹付けロックウールを圧送し、噴霧化したセメントスラリーと混合して鉄骨柱10および耐火被覆下地材32に吹付け施工することにより耐火被覆材30を施工する。
セメントスラリー層41の厚さは、全体にむらなく形成すれば、厚さの管理は不要であることを、本発明者は載荷加熱試験で確認済みである。セメントスラリーの吹付けは、壁材20にマスキングを行い、セメントスラリーが付着しないようにするとより望ましい。
参考として、図5に上記の載荷加熱試験結果を示す。この図は、被覆材延長部31側(壁材20側)の鉄骨柱10角部の鋼材温度の推移を、従来仕様(比較例)と本実施の形態(実施例)とで比較したものである。比較例は、図4の試験体である。比較例、実施例ともに、加熱により壁材20が変形し、被覆材延長部31との隙間51(図4を参照)が生じ、時間の経過とともに拡大した。それにともない、耐火バックアップ材40の側面は徐々に露出した。比較例では、耐火バックアップ材40が熱によってほぼ完全に損耗して内部に熱気が直接流入し、120分到達前に鋼材温度が600℃に達した。一方で、実施例では損耗がなく、内部に直接熱気が流入しなかったため、鋼材温度は400℃程度に抑えられている。
この形態によれば、被覆材延長部31での耐火被覆材30は、耐火被覆下地材32により補強されて強度が確保できるとともに、耐火バックアップ材40と固着することがないため、加熱時の壁材20の変形に追従して耐火被覆材30が損傷することなく、耐火バックアップ材40の摺動が円滑に行なわれ、壁材20と被覆材延長部31の間に開口が生じても、間隙部5内部に火炎や熱気が流入することを抑制することができる。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について、耐火バックアップ材40の表面に予めセメントスラリー層41を形成した形態の場合を例にとり説明する。セメントスラリー層41の形成方法は、表面に噴霧、塗布、含浸など、いずれの方法でもよい。
ここで製作した耐火バックアップ材40を用いると、上記の実施の形態1および2において、壁材20への取付後にセメントスラリー層41の施工を省略することができるが、上記の実施の形態1および2に示した施工方法をそのまま踏襲して、表面にセメントスラリー層41を増吹きすると、より強固なセメントスラリー層41を構築することができる。
以上説明したように、本発明によれば、耐火バックアップ材の耐火被覆材側の表面、すなわち加熱側表面において、その全面について、セメントと水の重量配合比が標準配合で1:2のセメントスラリー層を形成して火炎に対する保護層としたため、耐火バックアップ材の加熱側表面の損傷を抑制し、耐火性能を高めることができる。また、耐火被覆材の裏面側(耐火バックアップ材側)のセメントスラリー含有量を表面側よりも少なくしたことによって、壁の変形に追従して変位する耐火バックアップ材と耐火被覆材との固着による損傷を防止し、より安全性を高めることができる。
また、耐火被覆材と耐火バックアップ材の境界部に、耐火バックアップ材表面と離隔独立した耐火被覆下地材を配し、被覆材延長部において、セメントスラリー層と耐火被覆材の付着強度を低下させることによって、壁の変形に追従して変位する耐火バックアップ材と耐火被覆材との固着による破壊を防止し、より安全性を高めることができる。
さらに、耐火バックアップ材にセメントスラリーを吹付けてセメントスラリー層を形成した後、ここにロックウールを吹付けることで耐火被覆材を施工することができ、耐火被覆材の施工材料と異なる材料を別途準備する必要がなく、施工手順もセメントスラリー層を有しない構成と大きく変わらないため、作業手間の増大やコスト上昇を回避することができる。
5 間隙部
10 鉄骨柱
20 壁材
30 耐火被覆材
31 被覆材延長部
32 耐火被覆下地材
33 力骨
40 耐火バックアップ材
41 セメントスラリー層
また、本発明に係る他の鉄骨柱の合成被覆耐火構造は、上述した発明において、耐火被覆材と耐火バックアップ材の境界部において耐火バックアップ材の表面と離隔独立して配されたラスによる耐火被覆下地材をさらに備え、被覆材延長部におけるセメントスラリー層と耐火被覆材の付着強度は、耐火被覆材を構成する吹付け材同士の付着強度よりも低くされており、耐火被覆材は、加熱時の壁材の変形に追従して変位する耐火バックアップ材と固着することなく摺動可能であることを特徴とする。

Claims (7)

  1. 鉄骨柱に近接する壁材と、その壁材と鉄骨柱の対向範囲外の部分にセメントスラリーを含有する吹付け材からなる耐火被覆材を配し、かつ、当該耐火被覆材を、鉄骨柱から壁材まで延長配置した鉄骨柱の合成被覆耐火構造において、
    耐火被覆材が延長配置される被覆材延長部において耐火被覆材の裏面側に設けられ、高さ方向に連続して壁材に固定されている耐火バックアップ材と、
    耐火バックアップ材と耐火被覆材との間に設けられるセメントスラリー層とを備え、
    耐火被覆材のセメントスラリー含有量は表面側よりも裏面側が少なくなっていることを特徴とする鉄骨柱の合成被覆耐火構造。
  2. 耐火被覆材と耐火バックアップ材の境界部において耐火バックアップ材の表面と離隔独立して配され、ラスによる耐火被覆下地材をさらに備え、被覆材延長部におけるセメントスラリー層と耐火被覆材の付着強度は、耐火被覆材を構成する吹付け材同士の付着強度よりも低くされており、耐火被覆材は、加熱時の壁材の変形に追従して変位する耐火バックアップ材と固着することなく摺動可能であることを特徴とする請求項1の鉄骨柱の合成被覆耐火構造。
  3. 請求項1または2に記載の鉄骨柱の合成被覆耐火構造を施工する方法であって、
    上下の梁に壁材を固定してこの壁材に耐火バックアップ材を取り付け、その外側に半乾式吹付けロックウールを施工して耐火被覆材を取り付ける際に、耐火バックアップ材にセメントスラリーを吹付けることによりセメントスラリー層を形成した後、ロックウールを吹付けて耐火被覆材を施工することを特徴とする鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法。
  4. 耐火バックアップ材の表面と離隔独立して耐火被覆下地材を配し、耐火被覆下地材の上から耐火バックアップ材にセメントスラリーを吹付けてセメントスラリー層を形成した後、ロックウールを吹付けて耐火被覆材を施工することを特徴とする請求項3に記載の鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法。
  5. ロックウールの吹付けを、セメントスラリー層の表面が半乾燥または乾燥状態になった後に行なうことを特徴とする請求項3または4に記載の鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法。
  6. 予めセメントスラリー層を表面に形成した耐火バックアップ材を壁材に取り付けることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載の鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法。
  7. 耐火バックアップ材へのロックウールの吹付けに際し、はじめはロックウールと同時に噴霧するセメントスラリー量を少なくし、その後、セメントスラリー量を増加することを特徴とする請求項3〜6のいずれか一つに記載の鉄骨柱の合成被覆耐火構造の施工方法。
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