JP7003363B2 - 吹付厚ガイド構造、及び吹付モルタルによる補強方法 - Google Patents

吹付厚ガイド構造、及び吹付モルタルによる補強方法 Download PDF

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Description

本願発明は、既設構造物の補強に関する技術であり、より具体的には、柱状の既設コンクリート構造物に対して吹付モルタルで補強する際に、計画厚を管理しながらモルタル吹付けを行うことができる吹付厚ガイド構造、及びこの構造を用いた補強方法に関するものである。
地表面から比較的高い位置で供用される構造物は、柱状のコンクリート部材(以下、「コンクリート柱状体」という。)で支持されることが多い。例えば、高架橋の床板を支持する柱は代表的なコンクリート柱状体といえる。
鉄道高架橋や道路高架橋をはじめ、トンネルやダムといった構造物は、社会基盤を支える意味から社会インフラインフラストラクチャー(Infrastructure)と呼ばれ、その主要な技術は土木工学を基礎としている。この土木工学は、経験工学ともいわれるように、既成技術にインパクトを与える事象が生ずるたびにより適切な構造物となるよう設計思想が改善されてきた。特に、平成7年に発生した兵庫県南部地震では、高架橋が倒壊するなど地震荷重によって多くの重要構造物が損傷を受けたことから、種々の設計指針が大幅に見直された。
このときの設計指針の改訂では耐震設計法についても変更されており、その結果、これまでの設計法では地震時にも耐えると評価されていた構造物が、新たな基準では地震時荷重に耐えられないというケースも生じることとなった。すなわち新たな経験に基づくと、既に供用されている構造物が実は地震時には耐えられない、つまり何らかの補強が必要であると評価されるケースもあるわけである。もちろん高架橋の橋脚などのコンクリート柱状体も例外ではなく、新基準の下では補強を必要としている既設のコンクリート柱状体も少なくない。
従来、既設のコンクリート柱状体を補強するに当たっては、鉄筋コンクリート巻立て工法や、鋼板巻立て工法、繊維シート巻立て工法が主流であったが、施工性に優れ補強構造としても安定しているモルタル吹付け工法も数多く採用されるようになってきた。このモルタル吹付け工法は、図11に示すように、既設のコンクリート柱状体CPの周囲にせん断補強筋SRを巻立て、さらにビニロンメッシュVM(あるいは金網など)を設置したうえで、あらかじめ計画した厚さとなるようモルタルMRを吹付けることでコンクリート柱状体を補強する工法である。
ところが、全体的に計画した厚さでモルタル吹付けを行うことは、思いのほか困難な作業である。例えば、厚さ定規として簡易な目印(コンクリート釘など)を設置したとしても、モルタル吹付けの圧力で飛ばされてしまうため適切な管理とはならず、繰り返し厚みを計測しながら徐々に吹付を行うのは、著しい手間と時間がかかり特長であるはずの施工容易性が減退してしまう。
そこで本願の出願人は、計画厚どおりにモルタル吹付けを行うことができる技術について発明し、これを特許文献1で開示している。
特許第3765882号公報
特許文献1では、計画厚どおりにモルタル吹付けを行うための発明技術をいくつかの態様で示しており、その1つが表面指示材とチャンネル材を利用した手法である。この手法について、図12を参照しながら簡単に説明する。
まず、図12(a)に示すように、既設のコンクリート柱状体CPの隅角面取部に平鋼FBをアンカーボルトABで縫い付けて固定し、このアンカーボルトABの先端(外側)に断面コ字状のチャンネル材CHを取り付け、さらにその表面に表面指示材SGを貼り付ける。なお、平鋼FBとチャンネル材CH、表面指示材SGは、既設コンクリート柱状体に沿って上下に亘るように配置される。そして、表面指示材SGを目印としながらモルタル吹付けを行い、所定の養生後に表面指示材SGを取り除き、これにより生じた空隙部GP(図12(b))にモルタルを充填して補強工を完成させる。
この特許文献1に示された手法によれば、容易かつ的確に計画厚を保ちながらモルタル吹付けを行うことができるため、極めて優れた補強方法といえる。ところで、本願発明者らがさらなる改善を図るべく実施工例を検討した結果、本手法にはいくつか問題があることを発見した。1つ目の問題は、充填モルタルの剥離である。本手法によって施工された補強構造は、長期間経過すると空隙部GPに充填したモルタルが剥離する例がいくつか確認された。これは、充填モルタルの境界面に発生したひび割れなどから水が進入することでチャンネル材CHの表面が腐食し、その結果、充填モルタルとチャンネル材CHとの付着が失われることで剥離するものと考えられる。
2つ目の問題は、空隙部GP周辺の部材欠損である。図12(b)を見ると分かるように、表面指示材SGを撤去した後の空隙部GP周辺(A部)は、鋭角を形成した薄肉部材となっているため、(モルタルを充填するまでの間ではあるが)極めて欠損しやすい状態となっている。これは、表面指示材SGの断面形状を長方形とし、しかもその厚さを比較的大きなものとしたことが原因である。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち容易かつ的確に計画厚を保ちながらモルタル吹付けを行うことができ、しかも空隙部分に充填したモルタルが剥離し難く、さらに一時的にも部材欠損が生じ難い補強構造を構築する技術を提供することである。
本願発明は、断面視が台形で薄肉の板状材を吹付厚のガイドとして利用する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の吹付厚ガイド構造は、既設のコンクリート柱状体を補強するためのモルタルの吹付厚を示す吹付厚ガイド構造であり、支持具とガイド板を備えたものである。このうち支持具は、ボルトとこのボルトに取り付けられた支持台を有するものである。またガイド板は、第1面と第2面(第1面より幅広)を有する帯板状であって、軸方向に所定の間隔で挿入孔が設けられたものである。そして複数の支持具が、コンクリート柱状体の隅角面取り部に上下方向に所定の間隔をもって設置され、挿入孔を複数の支持具に通すことで支持台に当接したガイド板が支持具に固定される。なお支持具に固定されたガイド板は、第2面がコンクリート柱状体と対向する姿勢とされる。
本願発明の吹付厚ガイド構造は、その第1面がコンクリート柱状体と対向する姿勢で、ガイド板が支持具に固定された構造とすることもできる。
本願発明の吹付モルタルによる補強方法は、本願発明の吹付厚ガイド構造を利用して、既設のコンクリート柱状体を吹付モルタルで補強する方法であり、アンカー埋設工程と、支持具設置工程、ガイド板固定工程、モルタル吹付け工程、モルタル整形工程を備えた方法である。このうちアンカー埋設工程では、コンクリート柱状体の隅角面取り部に上下方向に所定の間隔をもって複数のアンカーを埋設し、支持具設置工程では、複数のアンカーそれぞれに支持具を設置する。またガイド板固定工程では、ガイド板を第2面がコンクリート柱状体と対向する姿勢としたうえで、挿入孔を用いてガイド板を支持台に当接するまでコンクリート柱状体に固定された複数の支持具に挿入するとともに、このガイド板を支持具に固定する。そしてモルタル整形工程では、仕上げ指標線を定規としてモルタルを均す。
本願発明の補強方法は、ガイド板固定工程において、その第1面がコンクリート柱状体と対向する姿勢としたうえで、ガイド板を支持具に固定する方法とすることもできる。
本願発明の吹付厚ガイド構造、及び吹付モルタルによる補強方法には、次のような効果がある。
(1)容易かつ的確に計画厚を保ちながらモルタル吹付けを行うことができる。
(2)コ字状のチャンネル材といった鋼材を薄いかぶり位置に残さないことから、吹付モルタル表面付近で腐食が発生するおそれがない。
(3)空隙部分に充填したモルタルは、先行して施工された吹付モルタルと付着するため、付着強度が比較的強力であり、供用後における剥離が生じ難い。
(4)断面視が台形で薄肉の板状材を吹付厚のガイドとして利用することから、空隙部分の周辺部材も欠損が生じ難い。
(5)せん断補強筋の配置間隔(鉛直方向)で支持具を設置すると、せん断補強筋の巻立て作業を極めて容易に行うことができる。
本願発明の吹付厚ガイド構造を水平面で切断した断面図。 本願発明の吹付厚ガイド構造を鉛直面で切断した断面図。 分解した支持具を示す側面図。 (a)はガイド板を示す断面図、(b)はガイド板を示す正面図。 既設のコンクリート柱状体にガイド板を固定する手順を示す部分断面図。 (a)は正対形式の吹付厚ガイド構造におけるガイド板の姿勢を示す部分断面図、(b)は正対形式の吹付厚ガイド構造における仕上げ指標線を示す部分断面図。 (a)は反転形式の吹付厚ガイド構造におけるガイド板の姿勢を示す部分断面図、(b)は反転形式の吹付厚ガイド構造における仕上げ指標線を示す部分断面図。 本願発明の吹付モルタルによる補強方法の主な工程の流れを示すフロー図。 正対形式の吹付厚ガイド構造を使用した吹付モルタルによる補強方法の主な工程の流れを示すステップ図であり、(a)はボルトをアンカーに螺合するステップ図、(b)はボルトの上にせん断補強筋を組み立てるステップ図、(c)はボルトに支持台を取り付けるとともにガイド板を固定するステップ図、(d)はガイド板を目印としてモルタルを吹付けるステップ図、(e)はガイド板と支持台を撤去するステップ図、(f)は空隙部にモルタルを充填するステップ図。 反転形式の吹付厚ガイド構造を使用した吹付モルタルによる補強方法の主な工程の流れを示すステップ図であり、(a)はボルトをアンカーに螺合するステップ図、(b)はボルトの上にせん断補強筋を組み立てるステップ図、(c)はボルトに支持台を取り付けるとともにガイド板を固定するステップ図、(d)はガイド板を目印としてモルタルを吹付けるステップ図、(e)はガイド板と支持台を撤去するステップ図、(f)は空隙部にモルタルを充填するステップ図。 モルタル吹付け工法によって補強された既設コンクリート柱状体を示す斜視図。 (a)は計画厚を保ちながらモルタル吹付けを行うための従来手法を示す部分断面図、(b)は従来手法により生ずる空隙部を示す部分断面図。
本願発明の吹付厚ガイド構造、及び吹付モルタルによる補強方法の実施形態の例を図に基づいて説明する。なお本願発明の吹付モルタルによる補強方法は、本願発明の吹付厚ガイド構造を使用して行う方法である。したがって、まずは本願発明の吹付厚ガイド構造について説明し、その後に本願発明の吹付モルタルによる補強方法について説明することとする。
1.吹付厚ガイド構造
図1は、本願発明の吹付厚ガイド構造100を水平面で切断した断面図であり、図2は吹付厚ガイド構造100を鉛直面で切断した断面図である。吹付厚ガイド構造100は、既設のコンクリート柱状体300を補強するためのモルタル200の吹付厚を示すものであって、図1と図2に示すように支持具110とガイド板120を備えた構造である。より詳しくは、コンクリート柱状体300に埋設されたアンカー130(例えば、カットアンカーやホールインアンカー等)に支持具110を挿入して螺合し、この支持具110先端に嵌め込んだガイド板120をナット140で締め付けて固定した構造が、本願発明の吹付厚ガイド構造100である。
図1に示すように、支持具110とアンカー130は、コンクリート柱状体300のうち隅角面取り部310に設置するとよい。通常、型枠が直交するコンクリート躯体の隅角部(コーナー部)には型枠内に面木が取り付けられ、これにより完成したコンクリート躯体の隅角部には図1に示すような隅角面取り部310が形成される。
また、支持具110とアンカー130は、図2に示すように鉛直方向(上下方向)に所定の間隔(例えば、10cmピッチ)を設けて複数箇所に設置され、すなわちコンクリート柱状体300の上端から下端に亘って支持具110とアンカー130は設置される。これによって、ガイド板120もコンクリート柱状体300の上端から下端に亘って配置することができ、したがってガイド板120は軸方向(この場合は上下方向)の寸法が比較的大きな(長い)部材とされる。
既設のコンクリート柱状体300の四隅(隅角面取り部310)に、しかも上端から下端に亘ってガイド板120が配置されると、これらガイド板120が目印となり、コンクリート柱状体300の周囲全体を計画厚のモルタル200で吹付けることができるわけである。以下、吹付厚ガイド構造100を構成する主要な要素ごとに詳しく説明する。
(支持具)
図3は、分解した支持具110を示す側面図である。この図に示すように支持具110は、ボルト111と支持台112で構成される。ボルト111は、棒状の材料の周面にネジが形成されたものであり、図3に示すように全体にネジが形成されたもの(いわゆる「全ネジボルト」)を用いてもよいし、両端の必要箇所に部分的にネジが形成されたものを用いてもよい。一方の支持台112は、円錐台状の台座112aとネジ部112bで構成されるものであり、コンクリート型枠を組み立てる際に使用されるプラスチックコーン(「Pコン」とも呼ばれる)を利用することができる。台座112aの先端(図では下側)には内部に小孔が形成されており、さらに小孔の内周にはネジが形成されている。この小孔のネジを利用することで、支持台112はボルト111の先端(図では上側)に螺合して固定される。
(ガイド板)
図4は、ガイド板120を示す詳細図であり、(a)はその断面図、(b)はその正面図である。図4(a)に示すようにガイド板120の断面形状は、概ね台形とされる。ガイド板120は、図1に示すように隅角面取り部310と略平行(平行含む)となるように配置され、通常は隅角面取り部310がコンクリート柱状体300の側面に対して45°傾斜していることから、ガイド板120も同様にコンクリート柱状体300側面に対して45°傾斜して配置され、したがってガイド板120の断面形状は、図4(a)に示すように底辺の両角が45°である等脚台形にするとよい。また、断面形状が概ね台形であるため、ガイド板120は平行配置される2面(図では上下の2面)を有している。なおここでは便宜上、平行配置される2面のうち幅寸法が小さい方(図では上面)を「第1面121」ということとし、幅寸法が大きい方(図では下面)を「第2面122」ということとする。
既述したとおりガイド板120は、コンクリート柱状体300の上端から下端に亘って配置されるものであるから、長尺の部材とされ、より詳しくは図4(a)に示す断面の寸法(幅と肉厚)に比して図4(b)に示す軸方向の寸法が著しく大きな帯板状の部材とされる。なおガイド板120は、コンクリート柱状体300の上下寸法(上端から下端までの長さ)に概ね合わせた軸方向寸法とし、1箇所(隅角面取り部310)に1部材のみを配置することもできるし、コンクリート柱状体300の上下寸法よりも小さな軸方向寸法とし、1箇所の隅角面取り部310に複数部材を分割配置してコンクリート柱状体300の上下寸法に合わせることもできる。
ガイド板120には、図4(a)に示すように肉厚方向に貫通する挿入孔123が、図4(b)に示すように軸方向に所定間隔(例えば、10cmピッチ)を設けて複数箇所に形成されている。この挿入孔123は、支持具110(特に、支持台112のネジ部112b)を挿入するための小孔であり、必要な面積を確保した円形とすれば足りるが、支持具110を挿入しやすいよう図4(b)に示すような長穴とすることもできる。
ガイド板120はモルタル200を吹付ける際の目印となると説明したが、後述するようにガイド板120のうち第2面122の両側線(縁線)が吹付け厚さ管理上は特に重要となる。そこで、図4(b)に示す第2面122の両側線のことを、ここでは便宜上、「仕上げ指標線124」ということとする。
(ガイド板の固定)
図5は、既設のコンクリート柱状体300にガイド板120を固定する手順を示す部分断面図である。この図を参照しながら、ガイド板120を固定するまでの手順について説明する。
まず、コンクリート柱状体300の隅角面取り部310に、上下方向に所定間隔を設けて複数箇所にアンカー130を埋設する(図2)。そして、ボルト111を挿入して螺合することでそれぞれのアンカー130に支持具110を取り付ける。所定位置に支持具110が設置できると、ガイド板120の各挿入孔123を支持具110(支持台112のネジ部112b)に通し、支持台112の台座112a表面に当接するまでガイド板120を押し込んでいく。そのためアンカー130と支持具110は、ガイド板120の挿入孔123の配置間隔と略同等の間隔で設置するとよい。ガイド板120を所定位置に配置すると、支持具110(支持台112のネジ部112b)にナット140を螺合し、このナット140を締め付けることで、つまりナット140と台座112aで挟み込むことで、ガイド板120を固定する。
ところで吹付厚ガイド構造100は、ガイド板120の向き(姿勢)によって2種類の構造形式とすることができる。第1の形式は、ガイド板120の第2面122がコンクリート柱状体300と対向する姿勢で配置される構成(以下、便宜上「正対形式」という。)であり、第2の形式は、ガイド板120の第1面121がコンクリート柱状体300と対向する姿勢で配置される構成(以下、便宜上「反転形式」という。)である。図6は正対形式の吹付厚ガイド構造100を示す詳細図で、図7は反転形式の吹付厚ガイド構造100を示す詳細図であり、それぞれ(a)はガイド板120の姿勢を示す部分断面図、(b)はモルタル200の吹付厚の目印となる仕上げ指標線124を示す部分断面図である。なお図6(a)と図7(a)では、ガイド板120を強調すべくやや大きなサイズで表している。
正対形式の吹付厚ガイド構造100では、図6(a)に示すように、第2面122がコンクリート柱状体300と向き合うように配置され、その姿勢のままガイド板120が支持具110に嵌めこまれる。そして、図6(b)に示すように、内側(コンクリート柱状体300側)となった第2面122の両端に位置する仕上げ指標線124を目印として、モルタル200の吹付けが行われる。
一方、反転形式の吹付厚ガイド構造100では、図7(a)に示すように、第1面121がコンクリート柱状体300と向き合うように配置され、その姿勢のままガイド板120が支持具110に嵌めこまれる。そして、図7(b)に示すように、外側となった第2面122の両端に位置する仕上げ指標線124を目印として、モルタル200の吹付けが行われる。
後述するように、モルタル200の吹付けが終わると、ガイド板120と支持台112は撤去され、残った空隙部分にはモルタルが充填される。正対形式の吹付厚ガイド構造100の場合、図6(b)からも分かるように、ガイド板120を撤去した部分にはモルタルを充填する必要がない。これに対して反転形式の吹付厚ガイド構造100の場合、図7(b)からも分かるように、ガイド板120を撤去した部分にもモルタルを充填する必要がある。
一方、正対形式の吹付厚ガイド構造100の場合、図6(b)からも分かるように、表面の最終的な仕上がりの一部がガイド板120を撤去した状態となり、その部分はやや美観に劣ることとなる。これに対して反転形式の吹付厚ガイド構造100の場合、図7(b)からも分かるように、表面の最終的な仕上がりはすべて充填したモルタルで形成されるため、表面の美観は比較的優れている。すなわち、正対形式の吹付厚ガイド構造100は、充填するモルタル量が軽減される反面、仕上がり表面の一部の美観が劣り、反転形式の吹付厚ガイド構造100は、充填するモルタル量が増加する反面、仕上がり表面の美観に優れる。このように正対形式と反転形式はそれぞれ特長があることから、どちらの形式の吹付厚ガイド構造100を採用するかは施工現場の状況に応じて適宜選択するとよい。
2.吹付モルタルによる補強方法
次に本願発明の吹付モルタルによる補強方法について図8を参照しながら説明する。図8は、本願発明の吹付モルタルによる補強方法の主な工程の流れを示すフロー図である。なお、本願発明の吹付モルタルによる補強方法は、既述のとおりここまで説明した吹付厚ガイド構造100を使用して行う方法であり、したがって吹付厚ガイド構造100で説明した内容と重複する説明は避け、吹付モルタルによる補強方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、吹付厚ガイド構造100で説明したものと同様である。
図8に示すように、まずは準備工と位置出しを行う(Step101)。準備工としては、足場の組み立てや、吹付厚ガイド構造100を設置する隅角面取り部310(コンクリート柱状体300)の清掃などが挙げられる。位置出しは、アンカー130の埋設位置を計測し、その位置をマーキング等で示す作業である。なお、アンカー130を埋設する間隔を、ガイド板120の挿入孔123の配置間隔と略同等に設定するのは既述したとおりである。
準備工等が終わると、位置出しで示された位置にアンカー130を埋設する(Step102)。このアンカー130は、カットアンカーやホールインアンカーなど従来使用されているものを利用することができる。そして図9(a)や図10(a)に示すように、埋設されたアンカー130に支持具110のボルト111を挿通して螺合する(Step103)。ここで図9は、正対形式の吹付厚ガイド構造を使用した吹付モルタルによる補強方法の主な工程の流れを示すステップ図であり、図10は、反転形式の吹付厚ガイド構造を使用した吹付モルタルによる補強方法の主な工程の流れを示すステップ図である。なお図9と図10に示す各ステップ図は、水平面で切断した面を上方から見た断面図を示している。
支持具110のボルト111が、図2に示すように上下方向に所定の間隔をもって設置されると、コンクリート柱状体300の周囲にせん断補強筋を巻きたてる(Step104)。このとき、ガイド板120の挿入孔123の配置間隔をせん断補強筋の配置間隔とし、すなわちアンカー130と支持具110の設置間隔をせん断補強筋の配置間隔とすれば、図9(b)や図10(b)に示すように、ボルト111の上に載せながらせん断補強筋400を配置することができるため、効率的に配筋作業を行うことができて好適となる。
せん断補強筋を設置すると、図9(c)や図10(c)に示すように、支持具110のボルト111の先端に支持台112を取り付け(Step105)、挿入孔123を利用して支持具110(支持台112のネジ部112b)にガイド板120を嵌め込む。そして支持台112の台座112a表面に当接するまでガイド板120を押し込み、その状態でナット140によってガイド板120を固定する(Step106)。
ガイド板120を固定すると、図9(d)や図10(d)に示すように、ガイド板120の仕上げ指標線124を目印(指標)とした管理を行いながら、計画の吹付厚となるまでモルタル200を吹付ける(Step107)。なお、図9(d)や図10(d)に示す網状補強材500(ビニロンメッシュや金網など)を設置する場合は、一旦せん断補強筋400の位置までモルタル200の吹付けを行い、網状補強材500を設置したうえで再度モルタル200の吹付けを行うとよい。計画厚となるようモルタル200の吹付けを行うと、最後に金コテ等を使用してモルタル200表面の整形(コテ均し)を行う(Step108)。このときも、やはりガイド板120の仕上げ指標線124を目印(指標)としながら、モルタル200表面の整形を行うとよい。
モルタル200の吹付けが完了すると、所定期間(例えば、1日)だけモルタル200の養生を行い、その後、ガイド板120と支持台112を撤去する(Step109)。ガイド板120と支持台112を撤去すると、正対形式の吹付厚ガイド構造の場合は図9(e)に示す形状の空隙部600が形成され、反転形式の吹付厚ガイド構造の場合は図10(e)に示す形状の空隙部600が形成される。そして、図9(f)や図10(f)に示すようにこの空隙部600に後施工モルタル700を充填することで、吹付モルタル200によるコンクリート柱状体300の補強構造を完成させる(Step110)。
本願発明の吹付厚ガイド構造、及び吹付モルタルによる補強方法は、鉄道高架橋や道路高架橋、あるいは河川を渡る橋梁など様々な橋の橋脚に利用できるほか、柱状を呈するあらゆるコンクリート構造物に利用することができる。本願発明によれば、効率的かつ安定的にコンクリート柱状体を補強することができ、ひいては社会インフラストラクチャーの長寿命化に寄与することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
100 吹付厚ガイド構造
110 (吹付厚ガイド構造を構成する)支持具
111 (支持具の)ボルト
112 (支持具の)支持台
112a (支持台の)台座
112b (支持台の)ネジ部
120 (吹付厚ガイド構造を構成する)ガイド板
121 (ガイド板の)第1面
122 (ガイド板の)第2面
123 (ガイド板の)挿入孔
124 (ガイド板の)仕上げ指標線
130 アンカー
140 ナット
200 モルタル
300 コンクリート柱状体
310 (コンクリート柱状体の)隅角面取り部
400 せん断補強筋
500 網状補強材
600 空隙部
700 後施工モルタル
CP 既設のコンクリート柱状体
SR せん断補強筋
VM ビニロンメッシュ
MR モルタル
AB アンカーボルト
FB 平鋼
CH チャンネル材
SG 表面指示材
GP 空隙部

Claims (2)

  1. 既設のコンクリート柱状体を補強するためのモルタルの吹付厚を示す吹付厚ガイド構造において、
    ボルト及び該ボルトに取り付けられた支持台を有する支持具と、
    第1面と該第1面より幅広の第2面を有する帯板状であって、軸方向に所定の間隔で挿入孔が設けられたガイド板と、を備え、
    複数の前記支持具が、前記コンクリート柱状体の隅角面取り部に、上下方向に所定の間隔をもって設置され、
    前記挿入孔を前記コンクリート柱状体に固定された複数の前記支持具に通すことで前記支持台に当接した前記ガイド板が、該支持具に固定され、
    前記支持具に固定された前記ガイド板は、前記第2面がコンクリート柱状体と対向する姿勢である、
    ことを特徴とする吹付厚ガイド構造。
  2. 吹付厚ガイド構造を利用して、既設のコンクリート柱状体を吹付モルタルで補強する方法において、
    前記吹付厚ガイド構造は、ボルト及び該ボルトに取り付けられた支持台を有する支持具と、第1面と該第1面より幅広の第2面を有する帯板状であって軸方向に所定の間隔で挿入孔が設けられたガイド板と、を備えた構造であり、
    前記コンクリート柱状体の隅角面取り部に、上下方向に所定の間隔をもって複数のアンカーを埋設するアンカー埋設工程と、
    複数の前記アンカーそれぞれに、前記支持具を設置する支持具設置工程と、
    前記ガイド板を前記第2面がコンクリート柱状体と対向する姿勢とし、前記挿入孔を用いて前記支持台に当接するまで前記コンクリート柱状体に固定された複数の前記支持具に前記ガイド板を挿入するとともに、該ガイド板を前記支持具に固定するガイド板固定工程と、
    前記第2面の両側線である仕上げ指標線を、吹付厚の指標としてモルタルを吹付けるモルタル吹付け工程と、
    前記仕上げ指標線を定規としてモルタルを均すモルタル整形工程と、
    を備えたことを特徴とする吹付モルタルによる補強方法。
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