JP7303766B2 - パネルユニットおよび構造物の構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物の構築に用いるパネルユニットおよびこれを用いた構造物の構築方法に関する。
橋脚を施工するにあたり、従来工法では現地で鉄筋・型枠組立を行い、型枠内にコンクリートを打設している。ただしこの場合、現地での組立作業は高所作業となり、また組立作業に必要な材料をクレーンによって何度も揚重する必要がある。さらに、剛性の低い木製型枠が通常使用されることから、型枠を固めるためにチェーン、ターンバックル、単管等多くの仮設資材を必要とする。そのため現場作業が長期化し、現場作業の安全面にも懸念がある。
また、現地での組立作業は、鉄筋工・大工といった専門性の高い技能労働者を必要とするため、それらの人員の確保と施工の進捗に合わせたクリティカルな日程調整をしなければならず、日程が合わない場合は工程が遅延する。
これに対し、特許文献1~4には、橋脚の施工時にプレキャスト型枠を埋設型枠として用いることが記載されており、これにより従来工法と比較して施工が容易となり、工期短縮、安全性向上を図ることができる。
特開平9-268520号公報 特許第3333788号 特開平10-30212号公報 特開平8-35260号公報
現在、橋脚の施工には更なる効率化が求められている。例えば、特許文献1、2の方法ではプレキャスト型枠の配置と橋脚内部の帯鉄筋等の配置を別々に行うことから作業が長期化し、工期短縮の余地がある。
一方、特許文献3、4ではプレキャスト型枠に帯鉄筋等が埋設され、プレキャスト型枠と帯鉄筋等の配置が同時に行われるが、帯鉄筋等と一体化したプレキャスト型枠は大型化することから運搬は困難であり、大規模な橋脚を構築する際には、現場近くの施工ヤードでコンクリートの打設を行ってプレキャスト型枠を製作する必要がある。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、橋脚等の構造物の施工時の効率化を実現できるパネルユニット等を提供することを目的とする。
前述した課題を解決するための第1の発明は、構造物の構築時に前記構造物の構築箇所に移設し埋設型枠として用いるパネルユニットであって、前記構造物の補強筋が架台に固定され、前記補強筋を囲むように前記架台に複数のプレキャストパネルが取付けられ、複数の前記プレキャストパネルが水平方向に並べて取付けられ、隣り合う前記プレキャストパネルの対向する端部の間に充填材が設けられ、前記端部は切欠きを有し、隣り合う前記プレキャストパネルの対向する端部を突き合わせることによって前記充填材を充填するための溝が前記切欠きにより前記プレキャストパネルの内面に形成されたことを特徴とするパネルユニットである。
第2の発明は、構造物の構築時に前記構造物の構築箇所に移設し埋設型枠として用いるパネルユニットであって、前記構造物の補強筋が架台に固定され、前記補強筋を囲むように前記架台に複数のプレキャストパネルが取付けられ、前記プレキャストパネルの上端部は、前記プレキャストパネルの外面の上端が内面の上端よりも高くなるように傾斜し、前記プレキャストパネルの下端部は、前記プレキャストパネルの外面の上端が内面の上端よりも低くなるように傾斜することを特徴とするパネルユニットである。
本発明では、プレキャストパネルと帯鉄筋等の補強筋を含むパネルユニットを構造物の構築箇所に移設した後、パネルユニットを埋設型枠としてコンクリートを打設し、橋脚等の構造物の施工ができる。係るパネルユニットを用いることで、従来工法と比較して施工が容易となり、工期短縮、安全性向上を図ることができる。
さらに、本発明ではパネルユニットを設置することによってプレキャストパネルと補強筋の配置を同時に行うことができ、パネルユニットを補強筋の配筋時の架台ごと移設することによって架台を撤去する手間も省略できる。またプレキャストパネルと補強筋は別体であり、架台に複数のプレキャストパネルを取り付けてパネルユニットを形成できるので、各プレキャストパネルを小型化でき運搬も容易で、工場で予め製作したプレキャストパネルを現場に運んでパネルユニットの地組を行うことも可能である。結果、構造物の施工時の更なる効率化を実現できる。
前記構造物は例えば橋脚であり、前記補強筋は前記橋脚の帯鉄筋を含む。
本発明のパネルユニットを用いて構築する構造物は典型的には橋脚であり、パネルユニットは橋脚の帯鉄筋を含んでいる。このパネルユニットのプレキャストパネルの内側に主筋等の配置を行った後コンクリートを打設することで、橋脚の構築を好適に行える。
第1の発明では、水平方向に隣り合うプレキャストパネル同士を縦目地を介して好適に連結でき、また目地を形成するための充填材も簡単且つ確実に充填することができる。
第2の発明では、パネルユニットを上下に積層して上下段のパネルユニットのプレキャストパネルの間に横目地を形成する場合に、下段のパネルユニットのプレキャストパネルの上端部と上段のパネルユニットのプレキャストパネルの下端部を内側に向かって拡がるようにテーパ状に形成でき、その間に形成される目地が外側に剥落するのを好適に防止することができる。
の発明は、構造物の構築時に前記構造物の構築箇所に移設し埋設型枠として用いるパネルユニットであって、前記構造物の補強筋が架台に固定され、前記補強筋を囲むように前記架台に複数のプレキャストパネルが取付けられたパネルユニットを地組する工程(a)と、前記パネルユニットを前記構造物の構築箇所に移設する工程(b)と、前記パネルユニットを埋設型枠として用い、前記プレキャストパネルの内側にコンクリートを打設する工程(c)と、を有し、前記工程(b)において、前記パネルユニットが上下に積層され、前記工程(c)の後、下段の前記パネルユニットの前記プレキャストパネルの上端部、上段の前記パネルユニットの前記プレキャストパネルの下端部、および前記上端部と前記下端部の間に露出する前記コンクリートの表面に接着材を設けた後、前記上端部と前記下端部の間に充填材を充填することを特徴とする構造物の構築方法である。
第4の発明は、構造物の構築時に前記構造物の構築箇所に移設し埋設型枠として用いるパネルユニットであって、前記構造物の補強筋が架台に固定され、前記補強筋を囲むように前記架台に複数のプレキャストパネルが取付けられたパネルユニットを地組する工程(a)と、前記パネルユニットを前記構造物の構築箇所に移設する工程(b)と、前記パネルユニットを埋設型枠として用い、前記プレキャストパネルの内側にコンクリートを打設する工程(c)と、を有し、前記架台は、前記構造物の周方向に間隔を空けて配置される複数の鉛直材と、前記複数の鉛直材を取付ける水平材と、を有し、前記工程(b)において、前記パネルユニットを前記構造物の構築箇所に設置した後、前記水平材を撤去することを特徴とする構造物の構築方法である。
3、第4の発明は、ネルユニットを用いた構造物の構築方法である。
第3の発明では、上下段のパネルユニットのプレキャストパネルの間に充填材を充填して横目地を形成する際に、接着材に充填材を接着させて目地の剥落を確実に防止できる。
第4の発明では、水平材により架台の剛性が高まり、パネルユニットの移設時の変形を防ぐことができる。また水平材はパネルユニットの設置後に撤去することで、パネルユニットの内部で作業を行うための空間を確保することができる。
本発明により、橋脚等の構造物の施工時の効率化を実現できるパネルユニット等を提供することができる。
橋脚100を示す図。 パネルユニット1を地組する工程について説明する図。 パネル31を示す図。 パネル31の接続部32を示す図。 パネル31の連結部33を示す図。 パネルユニット1を移設する工程について説明する図。 上下のパネルユニット1のパネル31の連結について説明する図。 コンクリート5を打設する工程について説明する図。 パネル31の連結部33a、33bを示す図。 パネルユニット1aを示す図。
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(1.橋脚100)
図1は、本発明の実施形態に係るパネルユニット1を用いて構築される橋脚100の一部を示す図である。橋脚100は柱状の構造物であり、上下に積層したパネルユニット1を埋設型枠とし、その内部にコンクリートを打設することで構築される。
パネルユニット1の外周部には、プレキャストパネル31(以下、パネルということがある)が水平方向に複数並べて配置される。パネル31はコンクリートやモルタルなどのセメント系材料を用いて工場等で予め製作された板状部材であり、例えば鋼繊維等の補強繊維を含有させた高強度繊維補強モルタルなどのセメント系材料を用いることができ、これによりひび割れ発生強度を大きくでき、またひび等が生じた後も耐久性を有する。しかしながら、パネル31の材料がこれに限ることはない。
(2.橋脚100の構築方法)
本実施形態では、橋脚100を構築するに当たって、橋脚近傍の地組ヤードでパネルユニット1の地組を行う。ここでは、まず図2(a)に平面を示すように、帯鉄筋11や中間帯鉄筋12などを含む橋脚100の補強筋10を組み立てる。帯鉄筋11は橋脚100の周方向に沿って環状に設けられるせん断補強筋であり、中間帯鉄筋12は帯鉄筋11のはらみ出しを抑制する。
補強筋10の組み立て時の位置固定には、平面ロ字状の架台20を用いる。架台20は、複数の鉛直材21を橋脚100の周方向に間隔を空けて配置し、これらの鉛直材21を橋脚100の周方向に沿って配置した水平材22に取付けて一体化したものである。水平材22は上下複数段に設けられる。
架台20は鉄骨架台であり、鉛直材21は例えばH形鋼、L形鋼などの形鋼を鉛直方向に配置したものである。また水平材22は例えばL形鋼などの形鋼を水平方向に配置したものである。ただしこれに限ることはなく、その他の鋼材を鉛直材21や水平材22として用いてもよい。
補強筋10は架台20に設置して固定される。補強筋10は例えば水平材22に載置したり、鉛直材21に固定材(不図示)で取付けたりして設置できるが、その設置方法は特に限定されない。
補強筋10の組み立てを行った後、図2(b)に示すように、複数のパネル31を架台20に取付ける。これらのパネル31は橋脚100の周方向に沿って水平方向に並べて配置され、補強筋10を平面ロ字状に囲む閉断面を形成する。ただし、パネル31の配置および架台20の形状は橋脚100の平面形状に応じて定められ、特に限定されない。例えばパネル31が円弧状に配置される部分があってもよい。
図3はパネル31を示す図であり、図3(a)、(b)はそれぞれパネル31の水平断面と鉛直断面を示したものである。図3(a)は図3(b)の線b-bによる断面であり、図3(b)は図3(a)の線a-aによる断面である。
図3(a)に示すように、パネル31の水平方向の両端部にはL字型の切欠き311が設けられる。切欠き311はパネル31の端部の内面(図3(a)の下側の面に対応する)に設けられる。
また、図3(b)に示すようにパネル31の上端部312と下端部313は傾斜面となっている。パネル31の上端部312については、パネル31の外面(図3(b)の左側の面に対応する)の上端がパネル31の内面(図3(b)の右側の面に対応する)の上端よりも高くなるように傾斜し、パネル31の下端部313については、パネル31の外面の下端がパネル31の内面の下端よりも低くなるように傾斜する。
パネル31の厚さは例えば3cm以上8cm以下とし、その一軸圧縮強度は、例えば内部に打設するコンクリートより高く、80N/mm2以上180N/mm2以下とする。これにより、薄厚でありながら高い耐久性を実現できる。また、パネル31の内面は目荒らしによる凹凸を有し、これにより内部に打設するコンクリートとの付着性を向上させる。
各パネル31は、1または複数の接続部32により架台20に接続される。図4はこの接続部32を示す図である。図に示すように、接続部32は、ネジ鋼棒を用いたセパレータ321の一端をパネル31に取付け、セパレータ321の他端を鉛直材21に設けた固定具323に取付けて構成される。
パネル31の内面には、ネジ穴を有するインサート322が埋設され、セパレータ321の上記一端はこのインサート322と螺合する。
セパレータ321の他端は、パネル31側から固定具323の孔(不図示)に挿通され、固定具323のパネル31と反対側に設けたナット324と螺合する。
固定具323は平面視でコの字状に形成されており、コの字の対向する辺の間に、鉛直材21として用いたH形鋼のフランジ部分が挿入される。そして、上記辺のうちパネル31側の一方の辺に当たる部分3231の孔(不図示)にパネル31側からボルト325を挿通し、その軸部を当該部分3231のパネル31と反対側に設けたナット326に締め込む。
ボルト325を締め込むことにより、ボルト325の軸部の先端で鉛直材21のフランジ部分を固定具323の上記辺のうち他方の辺に当たる部分3232に押し付けることができ、これによりボルト325の軸部の先端と上記部分3232とで鉛直材21のフランジ部分を挟持し、固定具323を鉛直材21に固定することができる。
また、水平方向に隣り合うパネル31の間には縦目地が形成され、これにより隣り合うパネル31同士が連結される。図5は隣り合うパネル31同士の連結部33を示す図である。本実施形態では、両パネル31の対向する端部同士を突き合わせた時に、前記の切欠き311によってパネル31の内面に鉛直方向の溝が形成される。充填材331をこの溝に充填することで縦目地が形成され、これにより隣り合うパネル31同士が連結される。充填材331には例えばエポキシ樹脂などの樹脂が用いられ、ガン等で下から上へと塗布した後、その内面を平らに整形するが、これに限ることはない。
本実施形態では、以上のようにしてパネルユニット1が地組される。地組する1ユニットの高さは例えば2m程度とし、これを図6(a)に示すようにクレーン(不図示)を用いて吊り上げ、図6(b)に示すように橋脚100の既設部分Aの上(橋脚100の構築箇所)に移設する。
この例ではクレーンのジブ先端から吊り枠2を吊り下げ、吊り枠2から垂下した吊材3を架台20の鉛直材21の上端部に取付けて、パネルユニット1の吊り上げ、吊り降ろしを架台20ごと行う。前記の水平材22はパネルユニット1の設置後に取り外して撤去し、パネルユニット1の内部にコンクリートを打設する際に、パネルユニット1の内部で締固めなどの作業が出来る空間を確保する。ただし、水平材22を残置して上記コンクリート内に埋設することも可能である。
続いて、図6(c)に示すように、先程設置したパネルユニット1の上に、上記と同様の手順で新たなパネルユニット1を移設する。
この際、下段のパネルユニット1の鉛直材21の上端部と、上段のパネルユニット1の鉛直材21の下端部を連結する。例えば鉛直材21の上端部と下端部にエンドプレート(不図示)を設けておき、下段のパネルユニット1の鉛直材21の上端部のエンドプレートと上段のパネルユニット1の鉛直材21の下端部のエンドプレートをボルトやナットを用いて締結する。エンドプレート間にライナープレート(不図示)などの高さ調整機構を配置して高さ調整を行うことも可能である。
また、下段のパネルユニット1のパネル31の上端部312と上段のパネルユニット1のパネル31の下端部313の間には、図7(a)に示すように発泡スチロールやポリスチレンボード等の仮固定材34を配置し、上段のパネルユニット1のパネル31の高さを仮固定しておく。仮固定材34は発泡スチロールやポリスチレンボードに限定されないが、これらの材料を用いることで後の工程で撤去しやすいという利点がある。
本実施形態では、以上のようにして図6(d)に示すように橋脚100の既設部分Aの上で複数段(図の例では3段)のパネルユニット1を上下に積層した後、主筋4の建込みを行い、パネル31の内側に配置する。主筋4の建込みも前記と同様、吊り枠2から垂下した吊材3に主筋4を取り付け、クレーン(不図示)により行うことができる。図8(a)は主筋4の建込みを行った後の状態を図2と同様の平面で示す図である。
本実施形態では中空の橋脚100を構築するものとし、パネル31の内側に内型枠(不図示)をセットしたうえで、パネル31の内側で当該パネル31と内型枠の間にコンクリートを打設する。コンクリートの打継面は上下のパネルユニット1の境界を避けた位置(高さ)とする。コンクリートは特に限定されないが、高流動コンクリートとすることで締固めなどの手間を省いて省人化することも可能である。
なお、コンクリートの打設に当たっては、自昇式足場(不図示)などもパネルユニット1の外側に設けられ、上記の内型枠を自昇式足場から支持させることもできる。パネル31の外面には自昇式足場の取付用のインサート(不図示)なども設けられる。自昇式足場を橋脚全周にわたり設置することで、地上から組み立てる足場が一部で済む。
図8(b)は、コンクリート5を打設した後の状態を図2と同様の平面で示す図である。前記したようにパネルユニット1は埋設型枠として用いられ、撤去はされない。また電磁波レーダー等の非破壊試験によりコンクリート5の品質管理を実施することも可能である。
前記した仮固定材34(図7(a)参照)は、コンクリート5の打設後に図7(b)に示すように撤去する。そして、図7(c)に示すように、下段のパネルユニット1のパネル31の上端部312、上段のパネルユニット1のパネル31の下端部313、および当該上端部312と下端部313の間に露出するコンクリート5の表面に接着材35を塗布する。接着材35としては例えばエポキシ樹脂などの樹脂系の接着材を用いることができるが、これに限ることはない。
こうして接着材35を設けた後、図7(d)に示すように、下段のパネルユニット1のパネル31の上端部312と上段のパネルユニット1のパネル31の下端部313の間に充填材36を充填することで横目地を形成する。充填材36は前記の接着材35に接着され、これにより目地の外側への剥落を防止できる。充填材36としては、例えばUHP-SHCC(Ultra High Performance-Strain Hardening Cementitious Composites;超高強度ひずみ硬化型セメント系複合材料)などのセメント系材料を用いることができるが、これに限ることはない。
さらに、本実施形態では下段のパネルユニット1のパネル31の上端部312と上段のパネルユニット1のパネル31の下端部313が内側に向かって拡がるようにテーパ状に形成されており、これにより目地が長期的にも外側に剥落しない構成となっている。
以上のようにして、橋脚100の既設部分Aの上に橋脚100の新たな部分が構築される。なお、本実施形態では上記の既設部分Aも以上の手順によって構築されたものとなっており、橋脚100は当該手順を繰り返すことで構築できる。
以上説明したように、本実施形態では、プレキャストパネル31と帯鉄筋11等の補強筋10を含むパネルユニット1を橋脚100の構築箇所に移設した後、パネルユニット1を埋設型枠としてコンクリート5を打設し、橋脚100の施工ができる。係るパネルユニット1を用いることで、従来工法と比較して施工が容易となり、工期短縮、安全性向上を図ることができる。
さらに、本実施形態ではパネルユニット1を設置することによってパネル31と補強筋10の配置を同時に行うことができ、パネルユニット1を架台20ごと移設することによって架台20を撤去する手間も省略できる。またパネル31と補強筋10は別体であり、架台20に複数のパネル31を取り付けてパネルユニット1を形成できるので、各パネル31を小型化でき運搬も容易で、工場で製作したパネル31を現場に運んでパネルユニット1の地組を行うことも可能である。結果、橋脚100の施工時の更なる効率化を実現できる。
なお、本実施形態では、雨天等でコンクリート5の打設作業が延期となった場合でもパネルユニット1を地組して保管できるため、現場の進捗に合わせたクリティカルな日程調整をあまり必要としないという利点もある。また、パネル31と帯鉄筋11を別体とする(パネル31に帯鉄筋11を埋設しない)ことは、帯鉄筋11と後から建て込む主筋4との間隔を狭めることができ、構造的に有利になるという効果も奏する。
また本実施形態では、水平方向に隣り合うパネル31の間に図5で説明したように充填材331を設けることで、隣り合うパネル31同士を縦目地を介して好適に連結でき、また目地を形成するための充填材331も簡単且つ確実に充填することができる。
さらに本実施形態では、上下のパネル31の間に図7(d)で説明したように充填材36を充填することで、上下のパネル31同士を横目地を介して好適に連結することができる。また下段のパネルユニット1のパネル31の上端部312と上段のパネルユニット1のパネル31の下端部313が内側に向かって拡がるテーパ状となっていることにより、充填材36による目地が外側に剥落するのを好適に防止することができる。さらに充填材36を接着材35に接着させることで、目地の剥落を確実に防止できる。
また本実施形態では、水平材22により架台20の剛性が高まり、パネルユニット1の移設時の変形を防ぐことができる。また水平材22はパネルユニット1の設置後に撤去することで、パネルユニット1の内部で作業を行うための空間を確保することができる。
しかしながら、本発明が以上の実施形態に限られることはない。例えば以上の実施形態ではパネルユニット1を橋脚100の構築に用いる例を説明しており、パネル31の内側に主筋4の配置を行った後コンクリート5を打設することで橋脚100の構築を好適に行えるが、パネルユニット1を用いて構築できる構造物はこれに限らない。例えば橋脚100以外の柱状の構造物を構築する際にも同様の方法が適用でき、また柱状でない構造物についても同様の方法が適用可能である。
また、水平方向に隣り合うパネル31の連結部33の構成も図5等で説明したものに限らない。例えば、パネル31の水平方向の両端部に凹状の切欠きを設け、図9(a)の連結部33aに示すように、水平方向に隣り合うパネル31の対向する端部同士を突き合わせた時に、充填材331を充填するための空洞が凹状の切欠き311aによって形成されるようにしてもよい。
充填材331は、例えば上記空洞の下端を閉じたうえで、パネル壁面に形成した注入孔(不図示)から注入する。ただしこの場合、注入孔の上まで充填材331を注入した後引き続き注入を行うと、充填材331の注入に必要な注入圧が次第に増加するので、注入孔を上下複数段に設けるなど注入圧を抑える対策が必要になる。この点、図5の連結部33のように内面に開放された溝に充填材331を充填する場合、上記のような注入圧の問題が無く作業が容易で短時間で済み、また作業結果も目視で確認しやすい。
その他、パネル31の水平方向の両端部を平坦面とし、図9(b)の連結部33bに示すように、水平方向に隣り合うパネル31の対向する端部の間に充填材331を設けて縦目地を形成してもよい。
この場合、例えば一方のパネル31の端部にヘラ等で充填材331を塗布した後、その隣に他方のパネル31を配置し、当該パネル31の端部を充填材331に接着させるが、パネル31の最終併合部においては図9(c)の矢印に示すようにパネル31を側方から挿入して配置を行うことが望ましい。パネル31を上から挿入するとパネル31によって充填材331が剥ぎ取られて下方に液ダレし易くなるためである。また図9(d)に示すように最終併合部をL字状の角部としておくと、最終併合時のパネル31の位置調整が容易になり、作業時間が短縮され液ダレも少なくなる。
また、架台20の構成も前記に限ることはない。例えば構造物の内部を中空としない場合は、図10のパネルユニット1aの架台20aに示すように、パネルユニット1aの内部を横断する水平材22を格子状に設けてもよい。図10の例では、構造物の周方向に間隔を空けて配置した複数の鉛直材21を水平材22の両端部に固定し、パネル31を直接鉛直材21に取り付けることで、前記の接続部32が省略されている。
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a:パネルユニット
4:主筋
5:コンクリート
10:補強筋
11:帯鉄筋
12:中間帯鉄筋
20、20a:架台
21:鉛直材
22:水平材
31:プレキャストパネル
32:接続部
33、33a、33b:連結部
34:仮固定材
35:接着材
36、331:充填材
100:橋脚
311、311a:切欠き

Claims (5)

  1. 構造物の構築時に前記構造物の構築箇所に移設し埋設型枠として用いるパネルユニットであって、
    前記構造物の補強筋が架台に固定され、前記補強筋を囲むように前記架台に複数のプレキャストパネルが取付けられ
    複数の前記プレキャストパネルが水平方向に並べて取付けられ、隣り合う前記プレキャストパネルの対向する端部の間に充填材が設けられ、
    前記端部は切欠きを有し、隣り合う前記プレキャストパネルの対向する端部を突き合わせることによって前記充填材を充填するための溝が前記切欠きにより前記プレキャストパネルの内面に形成されたことを特徴とするパネルユニット。
  2. 構造物の構築時に前記構造物の構築箇所に移設し埋設型枠として用いるパネルユニットであって、
    前記構造物の補強筋が架台に固定され、前記補強筋を囲むように前記架台に複数のプレキャストパネルが取付けられ
    前記プレキャストパネルの上端部は、前記プレキャストパネルの外面の上端が内面の上端よりも高くなるように傾斜し、
    前記プレキャストパネルの下端部は、前記プレキャストパネルの外面の上端が内面の上端よりも低くなるように傾斜することを特徴とするパネルユニット。
  3. 前記構造物は橋脚であり、
    前記補強筋は前記橋脚の帯鉄筋を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載のパネルユニット。
  4. 構造物の構築時に前記構造物の構築箇所に移設し埋設型枠として用いるパネルユニットであって、前記構造物の補強筋が架台に固定され、前記補強筋を囲むように前記架台に複数のプレキャストパネルが取付けられたパネルユニットを地組する工程(a)と、
    前記パネルユニットを前記構造物の構築箇所に移設する工程(b)と、
    前記パネルユニットを埋設型枠として用い、前記プレキャストパネルの内側にコンクリートを打設する工程(c)と、
    を有し、
    前記工程(b)において、前記パネルユニットが上下に積層され、
    前記工程(c)の後、下段の前記パネルユニットの前記プレキャストパネルの上端部、上段の前記パネルユニットの前記プレキャストパネルの下端部、および前記上端部と前記下端部の間に露出する前記コンクリートの表面に接着材を設けた後、前記上端部と前記下端部の間に充填材を充填することを特徴とする構造物の構築方法。
  5. 構造物の構築時に前記構造物の構築箇所に移設し埋設型枠として用いるパネルユニットであって、前記構造物の補強筋が架台に固定され、前記補強筋を囲むように前記架台に複数のプレキャストパネルが取付けられたパネルユニットを地組する工程(a)と、
    前記パネルユニットを前記構造物の構築箇所に移設する工程(b)と、
    前記パネルユニットを埋設型枠として用い、前記プレキャストパネルの内側にコンクリートを打設する工程(c)と、
    を有し、
    前記架台は、前記構造物の周方向に間隔を空けて配置される複数の鉛直材と、前記複数の鉛直材を取付ける水平材と、を有し、
    前記工程(b)において、前記パネルユニットを前記構造物の構築箇所に設置した後、前記水平材を撤去することを特徴とする構造物の構築方法。
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