JP7303169B2 - 傾斜地における小段構築方法 - Google Patents
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Description
さらに、既存法面の一部が崩壊した場合は、その復旧にあたり崩壊を免れた既設小段と新たに作る小段とを共存させなければならないが、上述したように崩壊部分は崩壊前の法面よりも急勾配に地山整形せざるを得ないため、土工的に新たに小段を設置することが困難な場合が多い。
・ 本発明の態様は、傾斜地に吹付枠工を用いて小段(S)を構築する工法であって、
法面(G)に設けた掘削孔(5c)に補強材(5b)を挿入しその先端部をグラウト(5d)で固定する、グラウンドアンカー(5)の設置工程と、
前記補強材(5b)の頭部(5a)が貫通し固定される横梁部(2)を有する吹付枠(1)をモルタル・コンクリート吹付けにより法面(G)上に設置する工程であって、前記モルタル・コンクリート吹付けにおいて前記横梁部(2)の法肩側に向いた横梁部頂面(2a)と法面(G)との間に三角形断面と水平な上面(3a)とをもつ小段基部(3)を同時に形成する、前記吹付枠(1)の設置工程と、
前記小段基部(3)の上面(3a)全体を少なくとも覆う所定の小段幅を有する板状部材(7)を設置する工程と、を有し、
前記板状部材(7)の上面が小段(S)を形成することを特徴とする。
・ 本発明のさらに別の態様は、傾斜地に吹付枠工を用いて小段(S)を構築する工法であって、
法面(G)に設けた掘削孔(5c)に補強材(5b)を挿入しその先端部をグラウト(5d)で固定する、グラウンドアンカー(5)の設置工程と、
前記補強材(5b)の頭部(5a)が貫通し固定される矩形断面をもつ横梁部(2)を有する吹付枠(1)をモルタル・コンクリート吹付けにより法面(G)上に設置する工程と、
前記吹付枠(1)の前記横梁部(2)により支持されかつ前記横梁部(2)の法尻側に向いた横梁部下面(2c)から法尻へ向かって所定の長さで延在する支持部材(9)を設置する工程と、
所定の小段幅を有する板状部材(7)を水平となるように前記支持部材(9)に連結すると共に法面(G)に固定する工程と、を有し、
前記板状部材(7)の上面が小段(S)を形成することを特徴とする。
・ 上記いずれかの態様において、前記板状部材(7)における法面(G)とは反対側の縁部(7a)から起立する手摺り部材(8)を設置することが、好適である。
・ 上記いずれかの態様において、法面(G)において上下に位置する2つの前記吹付枠(1)の間、及び/又は、前記吹付枠(1)と法肩若しくは法尻との間に、中抜け崩壊防止工を施すことが、好適である。
1) 土工指針や各種基準等に準拠していない小段の存在しない切土法面、盛土法面、自然斜面などの傾斜地に対して、容易に小段を構築することができる。
2) 新たに小段を構築することにより、老朽化した法面や崩壊の危険がある法面等の監視や調査・点検が可能となり、斜面災害発生の防止に寄与する。
3) 小段のない法面の点検作業は、これまでは法尻からの目視や、近年ではドローンを用いた点検も行われている。しかし、グラウンドアンカーの点検は、目視や映像のみから判断することは困難な場合が多く、アンカー荷重計や歪み計等の動態観測装置の設置や、アンカーの再緊張を伴うような診断を行う場合は大規模な足場の構築が必要になる。本発明は、今後ますます重要性が高まる傾斜地の維持管理の省力化に大きく寄与する。
4) 横梁部を有する吹付枠と、グラウンドアンカーとを組み合わせる方法であることから、抑止力があり、新たに設置する小段の高さ間隔を5m程度にした場合でも、小段の構築と抑止力の付与が同時に行えるため、法面防災機能の向上と保守点検及び維持管理作業の省力化を両立させることができる。
5) 斜面災害等で小段を有する既存法面が崩壊した場合、断面復旧を行うことなく、新たな小段を構築できるので、小段の再構築を含めた断面復旧を行って法枠工やグラウンドアンカー工による法面保護工を適用する方法と比較して、グラウンドアンカーの設置本数を減らすことができ、経済性を大幅に向上できる。
6) その結果、法面対策工全体の工期短縮が可能となり、特に、個々に受圧板を設置してグラウンドアンカーを配置する工法と比較して、大幅な工期短縮ができる。
本発明は、モルタル・コンクリートを法面(斜面を含む)に吹き付ける吹付枠工を応用して、傾斜地に小段を構築する工法である。本発明では、施工対象となる傾斜地の法面に横梁状の吹付枠を設置すると共に、当該吹付枠を反力構造物として利用するグラウンドアンカーも設置する。そして、設置された吹付枠を単独で用いて、又は、設置された吹付枠と組み合わせた板状部材を用いて、所定の幅で延在する水平面である小段を得ることができる。本発明の小段構築方法によって、上述した問題が解決される。
図2は、図1のI-I断面の一例であり、本発明の第1の実施形態を模式的かつ概略的に示している。
先ず、グラウンドアンカー5を法面Gの地山に設置する。法面Gの地山に設けた掘削孔5cに補強材5bを挿入する。補強材5bの先端部は、掘削孔5cの底部に充填されたグラウト5dが硬化することによって固定される。この段階では、補強材5bの頭部5aは、法面Gから所定の長さで突出している。
図3は、図1のII-II断面の一例であり、本発明の第2の実施形態を模式的かつ概略的に示している。第1の実施形態と同じ工程については説明を簡略化する。第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の工程によって、吹付枠1とグラウンドアンカー5が設置される。吹付枠1は、第1の実施形態と同様に、一体化された横梁部2と小段基部3とを有する。
図4は、図1のIII-III断面の一例であり、本発明の第3の実施形態を模式的かつ概略的に示している。
図4に示す断面では、グラウンドアンカーの頭部5aのみが示されているが、第1及び第2の実施形態と同様に先ずグラウンドアンカーを法面Gの地山に設置する。
図5は、本発明の第4の実施形態を示している。図5では、一例として、上述した第2の実施形態の小段構築方法を適用して2つの小段Sを構築した傾斜地の側断面を模式的かつ概略的に示している。第2の実施形態に替えて、第1又は第3の実施形態の小段構築方法を適用することもできる。
2 横梁部
2a 横梁部頂面
2b 横梁部前面
2c 横梁部下面
2d アンカー孔
2e 支持部材孔
3 小段基部
3a 上面
5 グラウンドアンカー
5a アンカー頭部
5b 補強材
5c 掘削孔
5d グラウト
6 鉄筋
7 板状部材
7a 縁部
7b 連結固定具
8 手摺り部材
9 支持部材
9a 連結固定具
11 吹付枠工
12 地山補強土工
S 小段
G 法面
G1 想定すべり面
G2 中抜け崩壊面
Claims (4)
- 傾斜地に吹付枠工を用いて小段(S)を構築する工法であって、
法面(G)に設けた掘削孔(5c)に補強材(5b)を挿入しその先端部をグラウト(5d)で固定する、グラウンドアンカー(5)の設置工程と、
前記補強材(5b)の頭部(5a)が貫通し固定される横梁部(2)を有する吹付枠(1)をモルタル・コンクリート吹付けにより法面(G)上に設置する工程であって、前記モルタル・コンクリート吹付けにおいて前記横梁部(2)の法肩側に向いた横梁部頂面(2a)と法面(G)との間に三角形断面と水平な上面(3a)とをもつ小段基部(3)を同時に形成する、前記吹付枠(1)の設置工程と、
前記小段基部(3)の上面(3a)全体を少なくとも覆う所定の小段幅を有する板状部材(7)を設置する工程と、を有し、
前記板状部材(7)の上面が小段(S)を形成することを特徴とする、傾斜地における小段構築方法。 - 傾斜地に吹付枠工を用いて小段(S)を構築する工法であって、
法面(G)に設けた掘削孔(5c)に補強材(5b)を挿入しその先端部をグラウト(5d)で固定する、グラウンドアンカー(5)の設置工程と、
前記補強材(5b)の頭部(5a)が貫通し固定される矩形断面をもつ横梁部(2)を有する吹付枠(1)をモルタル・コンクリート吹付けにより法面(G)上に設置する工程と、
前記吹付枠(1)の前記横梁部(2)により支持されかつ前記横梁部(2)の法尻側に向いた横梁部下面(2c)から法尻へ向かって所定の長さで延在する支持部材(9)を設置する工程と、
所定の小段幅を有する板状部材(7)を水平となるように前記支持部材(9)に連結すると共に法面(G)に固定する工程と、を有し、
前記板状部材(7)の上面が小段(S)を形成することを特徴とする、傾斜地における小段構築方法。 - 前記板状部材(7)における法面(G)とは反対側の縁部(7a)から起立する手摺り部材(8)を設置することを特徴とする請求項1又は2に記載の、傾斜地における小段構築方法。
- 法面(G)において上下に位置する2つの前記吹付枠(1)の間、及び/又は、前記吹付枠(1)と法肩若しくは法尻との間に、中抜け崩壊防止工を施すことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の、傾斜地における小段構築方法。
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