JP2015042835A - 斜面用避難階段、及び斜面避難路設置方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)ネット式斜面保護工が施された斜面を容易に登っていくことができるので、老人や子供をはじめ多くの人を避難させることができる。
(2)構造も簡易であり、容易に設置できることから、製造、施工ともに費用を軽減することができる。
(3)軽量で運搬も容易であり、設置にも手間がかからないため、短い工期での施工が可能であり、通行規制を伴う場合であっても一般交通に与える影響は極めて小さい。
(4)既述のとおりネット式斜面保護工が施された斜面は既に多数あり、その点では広く採用できる汎用的な技術といえる。
(5)地震直後は、落石や崩壊が生ずる恐れのある不安定な斜面もある。本願発明の場合、ネット式斜面保護工が施されている斜面を対象としていることから、落石や崩壊から保護された斜面を登っていくわけであり、その点でも安心して避難することができる。
(6)繊細な位置精度をもって設置する必要がないので、立木があるような斜面でも立木を避けながら設置することが可能であり、伐採の手間を省くことができるうえ、自然保護や環境維持を図ることができる。
(7)斜面上方に立設される脚材を上下方向に伸縮可能とすれば、踏み面の水平姿勢の調整が容易となり、勾配変化や起伏の大きな斜面でも好適に避難路を設置することができる。
(8)支持材の係止部としてU字形係止具を利用すれば、挟み込んで締め付けるだけでロープ材に係止できるため、水平ロープでも鉛直ロープでも容易かつ確実に支持材を係止することができる。
図1は、ネット式斜面保護工Neがある自然斜面に、避難路Erが形成された状況を示す断面図である。この図に示すように、本願発明の斜面用避難階段100を多段(図では10段)に設置することによって、斜面上に避難路Erを形成することができる。
図2は、斜面用避難階段100の詳細を示す図で、(a)は1段の斜面用避難階段100の断面図、(b)は2段からなる斜面用避難階段100の断面図である。この図に示すように、斜面用避難階段100は、支持材10、斜材20、及び踏板40で構成される。なお便宜上図(b)では、上段を構成する部材にそれぞれ添字aを付し、下段の部材にはそれぞれ添字bを付した。
支持材10は鋼棒といった棒状、又は構造用炭素鋼鋼管など管状の部材であり、その端部(図2では右側)にはフック状に加工された係止部11が形成されている。この係止部11がフック状となっていることで、ネット式斜面保護工Neを構成する水平ロープRhに係止することができる。なお、水平ロープRhへの係止に加えて鉛直ロープRvに係止することもできるのは既述のとおりである。支持材10のうち係止部11が設けられていない方の端部(図では左側)には、斜材20が連結されている。支持材10と斜材20の連結は、ボルト等を利用した回転させない固定手段とすることもできるし、ピン等を利用することで回転が自由となるいわゆるヒンジ固定とすることもできる。設置する斜面が、凹凸の存在や勾配の変化など不連続な傾斜であることも予想され、このような場合、ヒンジ固定とすると柔軟に角度調整できるので好適である。
支持材10と同様、斜材20も棒状又は管状の部材である。その端部(図2では上側)に支持材10が連結されているのは既述のとおりで、他方の端部にはアンカー部21が設けられている。このアンカー部21は、斜面の地盤(地山)内に挿入することが可能であり、このようにアンカー部21を斜面に挿入することによって斜面用避難階段100は斜面に固定され、すなわち斜面地盤からの支持を得ることができる。なお、図2に示すように、アンカー部21の挿入長を適度に保つべく、傘状のストッパを設けることもできる。
踏板40は板状の部材であり、鋼製又は合板製の足場板を利用することができる。図3は、略水平に配置された支持材10の上に踏板40を載せた状況を示す斜視図である。この図に示すように、踏板40は2以上の支持材10の上に架け渡されて載置され、その上面が踏み面として形成される。踏板40の上面が踏み面となることから、安全な昇降を実現するため支持材10はできるだけ水平となるように配置される。なお、踏板40を支持する支持材10の間隔、つまりスパン長は、踏板40の材質や板厚等に応じて適宜設計することができる。また、踏板40の長さ(長手方向の寸法)に関しても、予測される避難人数等に応じて(例えば、1m程度〜数十m程度といった範囲で)適宜設計することができる。
避難者がより安全に昇降できるよう、手すり30を備えた斜面用避難階段100とすることもできる。既述のとおり手すり30は、主に支柱31と手すり材32で構成される。支柱31は、支持材10と同様、棒状又は管状の部材であり、支持材10や踏板40に対して脱着可能となっている。また、支柱31には、手すり材32を通すための手すり支持部が設けられている。この支持部は、例えばリング状の支持環であり、紐やロープ、棒材からなる手すり材32を把持することができるものである。なお、手すり30の一部や踏板40の一部に蛍光塗料や夜光塗料などを塗布しておくと、夜間でも難なく避難できるのでより好適となる。
次に、第2の実施形態の斜面用避難階段100について説明する。なお、第1の実施形態と重複する内容の説明は避け、第2の実施形態に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、第1の実施形態で記載したものと同様である。
支持材10は、第1の実施形態と同様、棒状又は管状の部材であり、その端部には係止部11が形成されている。ただし本実施形態の支持材10は、図4に示すように、斜面に沿って配置される。また、一つの支持材10に対して1又は2以上の斜材20と連結することができる。このとき、支持材10と斜材20の連結を、回転しない固定とすることもできるし、ヒンジ固定とすることもできるのは、第1の実施形態と同様である。
斜材20は、第1の実施形態とは異なり、板状の部材である。これは、後に説明する充填材を保持する必要があるからである。そのため本実施形態の斜材20は、図4に示す支持材10と紙面奥行方向に配置された支持材10という具合に、2以上の支持材10に連結される。また、本実施形態の斜材20には、斜面に挿入するためのアンカー部21は設けられない。なお、斜材20は板状の部材であると説明したが、面板である必要はなく、充填材が流出しない程度の小孔を備えたメッシュ材(例えば、金網など)でも良い。
充填材50は、第1の実施形態の踏板40に代わって、踏み面を形成するものである。図4に示すように、斜材20と斜面との間には断面視で略三角形状の空間(以下、「充填空間」という。)が形成される。この充填空間に投入されるのが充填材50であり、投入された充填材50の上面を平坦に均すことで踏み面を形成することができる。この充填材50としては、充填空間に充填することができるものであれば種々の材料を利用することができ、例えば、現地発生材である土砂やレキ材、あるいは購入した砂材、その他発泡スチロールのような軽量材などを例示することができる。
次に、第3の実施形態の斜面用避難階段100について説明する。なお、第1の実施形態や第2の実施形態と重複する内容の説明は避け、第3の実施形態に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、第1の実施形態や第2の実施形態で記載したものと同様である。図5は、第3の実施形態の斜面用避難階段100を示す詳細図であり、(a)はその断面図、(b)は正面図である。この図に示すように、斜面用避難階段100は、支持材10、踏板40、及び脚材70で主に構成される。
支持材10は、第2の実施形態と同様、斜面に沿って配置される。この支持材10の一端にはフック状に加工された係止部11が取り付けられ、水平ロープRhに係止することができる。なお図5では支持材10を山形鋼としているが、鋼棒といった棒状、又は構造用炭素鋼鋼管など管状の部材を用いることもできる。
ここで用いる踏板40も、第1の実施形態と同様、板状の部材であり、鋼製又は合板製の足場板とすることができる。図5に示すように踏板40は、支持材10と脚材70に固定された受け板41の上に取り付けることができる。断面視でL字形となる受け板41のうち、略鉛直姿勢の面を支持材10や脚材70にボルト等で固定し、略水平姿勢の面上に踏板40を載せて固定する。そのため踏板40は、2箇所の受け板41で支持されて略水平面を保持する。なお受け板41は、山形鋼を利用すると良いが、平鋼を組み合わせるなど他の鋼材等を利用することもできる。
脚材70は、支持材10とともに踏板40を支えるもので、断面寸法に比して軸方向に長い軸部材であり、その軸方向が若干傾斜して上下方向に伸びるよう配置される。また、脚材70は、軸方向に伸縮が可能となっている。例えば図5に示すように、脚材70を上部脚材70aと下部脚材70bで構成することとし、それぞれに複数のボルト孔71を設け、上部脚材70aのボルト孔71と下部脚材70bのボルト孔71の組み合わせを変えることで、脚材70の全長を変化させる。この場合、脚材70を所望の長さに調整した後、上部脚材70aと下部脚材70bはボルト等で固定される。
次に、第4の実施形態の斜面用避難階段100について説明する。なお、第1〜第3の実施形態と重複する内容の説明は避け、第4の実施形態に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、第1〜第3の実施形態で記載したものと同様である。図6は、第4の実施形態の斜面用避難階段100の詳細を示す断面図であり、この図に示すように、斜面用避難階段100は、踏板40、脚材70、及び係止手段80で主に構成される。
支持手段80は、L字形(又は逆T字形)の固定板81とU字形の固定具82によって構成される。この固定具82は、U字形の形状を利用してその内側にロープ材を挿入させるもので、例えば、Uボルト等を用いることができる。なお、固定板81としては山形鋼を利用すると良いが、平鋼を組み合わせるなど他の鋼材等を利用することもできる。支持手段80は、固定板81のうち略鉛直姿勢の面をボルト固定することによって、踏板40の一端や脚材70の下端に取り付けられる。また、固定板81のうち略水平姿勢の面には、固定具82を挿通するため2箇所にボルト孔が設けられている。
図7は、本願発明の斜面避難路設置方法を示すフロー図である。ここでは、この図に基づいて斜面避難路設置方法を説明する。まず、必要機材や斜面用避難階段100の構成部材を仮置きするためのヤードを設けたり、必要に応じて道路の通行規制を行ったり、種々の準備を行う(Step10)。続いて、設置する斜面の勾配や平場の有無にもよるが、斜面上に足場を設けるなど、仮設備の設置を行う(Step20)。
10 支持材
11 係止部
12 連続部
20 斜材
21 (斜材の)アンカー部
30 手すり
31 (手すりの)支柱
32 (手すりの)手すり材
40 踏板
41 受け板
50 充填材
60 水平拘束材
70 脚材
70a (脚材の)上部脚材
70b (脚材の)下部脚材
71 (脚材の)ボルト孔
80 係止手段
81 (係止手段の)固定板
82 (係止手段の)固定具
Er 本願発明の避難路
Ne ネット式斜面保護工
Rh (ネット式斜面保護工の)水平ロープ
Rv (ネット式斜面保護工の)鉛直ロープ
Claims (11)
- ネット式斜面保護工が施された斜面に設置する避難階段であって、
支持材と、斜材と、踏板と、を備え、
水平又は略水平に配置される前記支持材は、一端に係止部を具備するとともに、他端では前記斜材と連結され、
前記斜材は、一端にアンカー部を具備し、
前記踏板は、水平又は略水平に配置された前記支持材の上に載置されて踏み面を形成し、
前記支持材の前記係止部は、前記ネット式斜面保護工を構成するロープ材に係止可能であり、
前記斜材のアンカー部は、斜面に挿入することで地盤からの支持を得るものであり、
多段に設置することで、斜面上に避難路を構築し得ることを特徴とする斜面用避難階段。 - ネット式斜面保護工が施された斜面に設置する避難階段であって、
支持材と、斜材と、充填材と、を備え、
斜面に沿って配置される前記支持材は、一端に係止部を具備するとともに、他端では前記斜材と連結され、
前記斜材は板状であり、該斜材と斜面との間には充填空間が形成され、
前記充填材は、前記充填空間に充填されて踏み面を形成し、
前記支持材の前記係止部は、前記ネット式斜面保護工を構成するロープ材に係止可能であり、
多段に設置することで、斜面上に避難路を構築し得ることを特徴とする斜面用避難階段。 - ネット式斜面保護工が施された斜面に設置する避難階段であって、
支持材と、脚材と、踏板と、を備え、
斜面に沿って配置される前記支持材は、一端に係止部を具備するとともに、他端では前記脚材と連結され、
斜面上方に立設される前記脚材は、上下方向に軸長の調整が可能であり、
略水平に配置された前記踏板は、前記支持材及び前記脚材に取り付けられて踏み面を形成し、
前記支持材の前記係止部は、前記ネット式斜面保護工を構成するロープ材に係止可能であり、
多段に設置することで、斜面上に避難路を構築し得ることを特徴とする斜面用避難階段。 - ネット式斜面保護工が施された斜面に設置する避難階段であって、
脚材と、踏板と、係止手段と、を備え、
斜面上方に立設される前記脚材は、上下方向に軸長の調整が可能であり、
略水平に配置された前記踏板は、前記脚材に取り付けられて踏み面を形成し、
前記係止手段は、前記脚材の下端と前記踏板の斜面側端部それぞれに取り付けられるとともに、前記ネット式斜面保護工を構成するロープ材に係止可能であり、
多段に設置することで、斜面上に避難路を構築し得ることを特徴とする斜面用避難階段。 - 前記係止部は、係止板とU字形係止具を含み、
前記U字形係止具内にロープ材を挿通し、該U字形係止具を前記係止板に締め付け固定することで、前記係止部はロープ材に係止可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の斜面用避難階段。 - さらに脱着式の支柱を備え、
前記支柱に設けられた手すり支持部に手すり材を設置することによって、避難階段用の手すりを構築し得ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の斜面用避難階段。 - ネット式斜面保護工が施された斜面に避難路を設置する方法であって、
斜材が連結された支持材を水平又は略水平となるように配置するとともに、該支持材の一端に具備される係止部を、前記ネット式斜面保護工を構成するロープ材に係止する支持材設置工程と、
前記斜材の一端に具備されるアンカー部を、斜面に挿入することで地盤からの支持を得る地盤支持工程と、
配置された前記支持材の上に、前記踏板を載置して踏み面を形成する踏み面形成工程と、を備え、
前記支持材、前記斜材、及び前記踏板を含んで構成される避難階段を、多段に設置することで斜面上に避難路を構築することを特徴とする斜面避難路設置方法。 - ネット式斜面保護工が施された斜面に避難路を設置する方法であって、
斜材が連結された支持材を斜面に沿うように配置するとともに、該支持材の一端に具備される係止部を、前記ネット式斜面保護工を構成するロープ材に係止する支持材設置工程と、
板状の前記斜材と斜面との間に形成される充填空間に、充填材を充填して踏み面を形成する踏み面形成工程と、を備え、
前記支持材、前記斜材、及び前記充填材を含んで構成される避難階段を、多段に設置することで斜面上に避難路を構築することを特徴とする斜面避難路設置方法。 - ネット式斜面保護工が施された斜面に避難路を設置する方法であって、
斜面に沿って支持材を配置し、該支持材に脚材を回転可能に固定するとともに、該脚材を斜面上方に立ち上げ、さらに前記支持材の一端に具備される係止部を、前記ネット式斜面保護工を構成するロープ材に係止する支持材設置工程と、
略水平に配置された踏板を、前記支持材及び前記脚材に取り付けて踏み面を形成する踏み面形成工程と、
前記脚材を伸縮させることによって上下方向の長さを調整し、且つ前記踏板の水平姿勢を調整する高さ調整工程と、を備え、
前記支持材、前記脚材、及び前記踏板を含んで構成される避難階段を、多段に設置することで斜面上に避難路を構築することを特徴とする斜面避難路設置方法。 - ネット式斜面保護工が施された斜面に避難路を設置する方法であって、
斜面上方に立ち上げた脚材の下端に取り付けられた係止手段を、前記ネット式斜面保護工を構成するロープ材に係止する脚材設置工程と、
略水平に配置された踏板を前記脚材に取り付けるとともに、該踏板の斜面側端部に取り付けられた係止手段をロープ材に係止することで踏み面を形成する踏み面形成工程と、
前記脚材を伸縮させることによって上下方向の長さを調整し、且つ前記踏板の水平姿勢を調整する高さ調整工程と、を備え、
前記脚材、及び前記踏板を含んで構成される避難階段を、多段に設置することで斜面上に避難路を構築することを特徴とする斜面避難路設置方法。 - 脱着式の支柱を取り付けるとともに、該支柱に設けられた手すり支持部に手すり材を設置する手すり設置工程を、さらに備えたことを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の斜面避難路設置方法。
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