以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のシート空調装置10と、そのシート空調装置10が設けられたシート80とを示している。このシート80は、車室内に設けられ乗員が着座する車両用シートである。詳細には、図1のシート80は前席シートであり、車室内においてシート80に対する車両後方には後席シートが設けられている。また、車室内には、車両用空調装置の空調空気を吹き出す空気吹出口が設けられており、その空気吹出口は、シート80に対する車両前方に配置されている。前席シートとは運転席シートと助手席シートとを意味し、図1のシート80は、運転席シートであってもよいし助手席シートであってもよい。
なお、図1の各矢印DR1、DR2、DR3は、シート空調装置10が搭載される車両の向きを示す。すなわち、図1の矢印DR1は車両前後方向DR1を示し、矢印DR2は車両上下方向DR2を示し、矢印DR3は車両左右方向DR3すなわち車両幅方向DR3を示している。これらの方向DR1、DR2、DR3は互いに交差する方向、厳密に言えば互いに直交する方向である。
シート80は、シート80に着座する乗員である着座者の体のうち主として背中を支えるシートバック82と、その着座者の体のうち主として臀部を支えるシート座部83とを備えている。
シートバック82は、シートバック表皮821とシートバック弾性部材822とを有している。シートバック表皮821はシートバック82の表面を構成しており、シートバック弾性部材822の外側全体を覆っている。また、シートバック表皮821は多孔質であり、通気可能に構成されている。
シートバック弾性部材822は、例えば発泡ウレタンなどの多孔質材からなる弾性体である。すなわち、シートバック弾性部材822は弾力性を有し、且つ、通気可能に構成されている。本実施形態では、シート空調装置10はシートバック82の内部に設けられているので、例えばシートバック弾性部材822の一部分がくり抜かれた形状を成しており、その抜かれた形状の部分にシート空調装置10は配置されている。
シート座部83の内部構造もシートバック82と同様である。すなわち、シート座部83は、シート座部83の表面を構成する通気可能な表皮と、その表皮に外側全体が覆われた通気可能な弾性部材とを有している。
また、シート80には着座者である乗員が着座するので、シート80は、シート80の表面801(すなわち、シート表面801)のうち乗員の体を支える乗員支持面802を有している。シート80のうちシートバック82では、車両前方向きの外表面が乗員支持面802に該当し、シート座部83では、車両上方向きの外表面が乗員支持面に該当する。すなわち、乗員支持面802とは、着座した乗員側を向いた面となっている。
なお、本実施形態のシート空調装置10はシートバック82の内部に設けられているので、本実施形態の説明で言う乗員支持面802とは、シートバック82の乗員支持面である。また、シート表面801をシート外面と称してもよく、シート表面801には、その乗員側を向いた面だけでなく、シート80の側面803や後面なども含まれる。
シート空調装置10には、空気を吸い込むための第1吸込口17aと第2吸込口17bとが設けられている。図2の矢印AR1、AR2で示すように、シート空調装置10は、通気可能なシートバック表皮821およびシートバック弾性部材822を介して空気を吸い込むことができる。そして、シート空調装置10は、その吸い込んだ空気を矢印AR3のようにシート80の後方へと吹き出す。図2の矢印AR1は、第1吸込口17aへ吸い込まれる空気流れを示し、矢印AR2は、第2吸込口17bへ吸い込まれる空気流れを示している。なお、図1および図2では、第1吸込口17aおよび第2吸込口17bの図示は簡略化されている。
図3および図4に示すように、シート空調装置10は、取付プレート11と送風機12と送風ケーシング14とドア支持部材15とドア装置19と中間ギヤ20とドア作動装置22と送風ダクト24とを備えている。
図3〜図5に示す取付プレート11は、シートバック82の乗員支持面802に沿った板状を成しており、シート80の骨格を成すシートフレームに固定されている。取付プレート11がシートフレームに固定されることで、シート空調装置10は、シート80内の定位置に保持される。
また、図2および図6に示すように、取付プレート11は、乗員支持面802に沿って拡がり、その乗員支持面802と第2吸込口17bとの間に配置されている。そのため、取付プレート11は、乗員支持面802と第2吸込口17bと隔てる隔壁部としても機能する。詳細には、隔壁部としての取付プレート11は、乗員支持面802と、第2吸込口17bへ吸い込まれる空気を包含し且つ第2吸込口17bに隣接する空間11bとの間に配置されている。
また、取付プレート11には、取付プレート11を貫通したプレート貫通孔11aが形成されており、第1吸込口17aはそのプレート貫通孔11aの径方向内側に配置されている。すなわち、取付プレート11は、乗員支持面802と第1吸込口17aとの間には及んでいない。
また、プレート貫通孔11a内にはドア装置19の一部が入り込んでいる。但し、ドア装置19の動作を取付プレート11が阻害しないように、例えば、取付プレート11のうちのプレート貫通孔11aの周縁部分とドア装置19との間には僅かな隙間が空いている。あるいは、プレート貫通孔11aの周縁部分がドア装置19に接触するとしてもその接触がドア装置19の動作を阻害しないように、取付プレート11とドア装置19との相対位置関係は保持されている。
図4および図6に示すように、送風機12は遠心送風機であり、シート80の内部に配置されている。詳細には、送風機12は、シート80のうちシートバック82の内部に配置されている。
送風機12は、羽根車である遠心ファン121と、通電されることで遠心ファン121を回転させるモータ122とを有している。例えば本実施形態の遠心ファン121は、薄型のターボファンである。遠心ファン121は、所定のファン軸心CLまわりに回転することにより、そのファン軸心CLの軸方向DRaの一方側から送風機吸気口12aを介して空気を吸い込み、それと共に、その吸い込んだ空気をファン軸心CLの径方向DRrの外側へ吹き出す。要するに、遠心ファン121は回転することにより、例えば矢印ARfのように空気を流す。なお、その矢印ARfは、第2吸込口17bからではなく第1吸込口17aから送風機12が吸い込む空気流れを示している。
送風機12において、送風機吸気口12aは、遠心ファン121に対する上記軸方向DRaの一方側に形成されているので、その軸方向DRaの一方側すなわちシート80の乗員支持面802側を向いて開口している。本実施形態の説明では、ファン軸心CLの軸方向DRaをファン軸方向DRaとも称し、ファン軸心CLの径方向DRrをファン径方向DRrとも称し、ファン軸心CLまわりの周方向DRc(図9参照)をファン周方向DRcとも称する。
送風機12のモータ122は、図7の電気回路図に示すように、直流電源である車両電源86と、モータ122と車両電源86との間に接続された送風機スイッチ87とに直列に接続されている。送風機スイッチ87は、乗員操作によってオン状態とオフ状態とに切り替えられる手動スイッチであり、例えばシート80の側面803など乗員が操作しやすい箇所に設置されている。
モータ122は、その送風機スイッチ87がオン状態に切り替えられることによって通電状態(すなわち、モータオン)になり、送風機スイッチ87がオフ状態に切り替えられることによって非通電状態(すなわち、モータオフ)になる。要するに、送風機12は、送風機スイッチ87がオン状態にされると作動し、送風機スイッチ87がオフ状態にされると停止する。
従って、モータ122は、送風機スイッチ87がオン状態にされることにより一定の電力を入力され、シート80におけるシート空調に必要な風量を送風するために必要な回転数を出力し、遠心ファン121を回転させることにより所定の送風量を出力する。
図4および図6に示すように、送風ケーシング14は、送風機12を囲む送風機筐体13の一部を構成しており、主として送風機12に対するファン軸方向DRaの他方側を覆っている。また、送風ケーシング14には、送風ダクト24(図2参照)が接続されるダクト接続口14aが形成されている。送風機筐体13は、遠心ファン121の全周から送風機筐体13内へ吹き出された空気を集風して、ダクト接続口14aから送風ダクト24へと流す。
ドア支持部材15は、ドア装置19を回動可能に支持する部材であり、シートバック82の内部に配置されている。ドア支持部材15は、筐体構成部16と、第1吸込口17aと第2吸込口17bとが形成された吸込口部17とを有している。ドア支持部材15は一体成形であるので、その筐体構成部16と吸込口部17は一体構成となっている。
ドア支持部材15の筐体構成部16は、送風機筐体13の一部を構成しており、主として送風機12に対するファン軸方向DRaの一方側を覆っている。すなわち、筐体構成部16と送風ケーシング14とが互いに連結することで、送風機筐体13を構成している。
図2および図6に示すように、送風ダクト24は、その送風ダクト24の上流端にて送風ケーシング14のダクト接続口14aに接続され、送風ダクト24の下流端を後方吹出口24aとして有している。その後方吹出口24aは、車両後方を向いてシート80から露出し開口している。すなわち、後方吹出口24aは、後席シートに向かって開口し、後席シートへ空気を吹き出す。
そして、送風機筐体13は、送風機12の遠心ファン121から送風機筐体13内に吹き出された空気を、送風ダクト24へ導く。従って、送風機12は、第1吸込口17aと第2吸込口17bとの一方または両方から吸い込んだ空気を、送風ダクト24を介してシート80の後方へ吹き出す。
図6および図8に示すように、ドア支持部材15の吸込口部17は、第1吸込口17aが形成された第1吸込部171と、第2吸込口17bが形成された第2吸込部172とを有している。詳細には、第1吸込口17aは複数(具体的には4つ)形成され、第2吸込口17bも複数(具体的には4つ)形成されている。その第1吸込部171と第2吸込部172は、ファン軸方向DRaにおいてシート80の乗員支持面802と送風機12の遠心ファン121との間に配置されている。
第2吸込部172は、シート80の乗員支持面802(図1参照)へ向かって延びる筒状を成している。詳細には、第2吸込部172は、筐体構成部16からファン軸方向DRaに沿って乗員支持面802側(すなわち、ファン軸方向DRaの一方側)へ突き出た略円筒形状を成している。そして、第2吸込部172はその基端で筐体構成部16に連結している。
第2吸込部172は遠心ファン121と同軸に配置されているので、ファン軸心CLは第2吸込部172の軸心でもある。
第1吸込部171は、第2吸込部172のうち乗員支持面802寄りの位置でその第2吸込部172の径方向内側の空間172a(すなわち、第2吸込内部空間172a)を覆うようにファン径方向DRrに拡がっている。具体的に、第1吸込部171は、第2吸込部172の基端とは反対側の先端で第2吸込部172に連結している。そして、第1吸込部171は、第2吸込内部空間172aに対しファン軸方向DRaの一方側から面するように配置されている。
また、第1吸込部171は、壁状の第1吸込部壁171bを複数(具体的には4つ)有している。その第1吸込部壁171bは、ファン軸方向DRaを厚み方向とした略平板状を成している。そして、複数の第1吸込部壁171bと複数の第1吸込口17aはファン周方向DRcに交互に並んで配置されている。すなわち、第1吸込部壁171bは、第1吸込口17aに対しファン周方向DRcに並んで配置されている。
また、図8および図9に示すように、第2吸込部172は、壁状の第2吸込部壁172bを複数(具体的には4つ)有している。その第2吸込部壁172bは各々、ファン軸心CLを中心とした円筒形状の一部分を成す湾曲した壁状である。そして、複数の第2吸込部壁172bと複数の第2吸込口17bはファン周方向DRcに交互に並んで配置されている。すなわち、第2吸込部壁172bは、第2吸込口17bに対しファン周方向DRcに並んで配置されている。
このような第1吸込口17aおよび第2吸込口17bの配置により、図1および図8に示すように、第1吸込口17aは、シート80の内部から乗員支持面802に向いて開口している。これにより、第1吸込口17aには、専ら乗員支持面802からシート80の内部に流入した空気が流れる。その一方で、第2吸込口17bは、シート80の内部から、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位(例えば、シート80の側面803)に向いて開口している。これにより、第2吸込口17bには、専ら、その乗員支持面802以外の部位からシート80の内部に流入した空気が流れる。
すなわち、第1吸込口17aは、乗員支持面802からシート80の内部に流入した空気である支持面経由空気が第1吸込口17aを介して送風機12へ吸い込まれるように配置されている。これに対し、第2吸込口17bは、第1吸込口17aに比して、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位からシート80の内部に流入した空気が流入し易い配置にされていると言える。
第2吸込口17bが、第1吸込口17aに比して、乗員支持面802以外の上記部位からシート80の内部に流入した空気が流入し易い配置にされていることとは、第1吸込口17aに比して支持面経由空気が流入しにくい配置にされていることでもある。更に言えば、その第2吸込口17bが、第1吸込口17aに比して、乗員支持面802以外の上記部位からシート80の内部に流入した空気が流入し易い配置にされていることとは、例えば、次のようなことである。すなわち、第1吸込口17aを介して送風機12へ空気が吸い込まれる第1の場合と、第2吸込口17bを介して送風機12へ空気が吸い込まれる第2の場合とを対比したとする。その場合、第1の場合と比較して第2の場合に、その送風機12へ吸い込まれる空気全体に占める支持面経由空気の流量割合が低くなるように、第2吸込口17bが配置されていることである。
図6、図8、および図9に示すように、ドア装置19は、ファン軸方向DRaにおいてシート80の乗員支持面802(図1参照)と送風機12との間に配置されている。ドア装置19は、ファン軸心CLまわりに回動することにより第1吸込口17aと第2吸込口17bとを開閉するドアであり、詳細には、第1吸込口17aの開度を大きくするほど第2吸込口17bの開度を小さくする。すなわち、ドア装置19は、第1吸込口17aを開く側に作動する場合には第2吸込口17bを閉じる側にも作動し、第1吸込口17aを閉じる側に作動する場合には第2吸込口17bを開く側にも作動する。
例えば、ドア装置19は、第1吸込口17aを全開状態にする場合には第2吸込口17bを全閉状態にし、逆に、第1吸込口17aを全閉状態にする場合には第2吸込口17bを全開状態にする。その吸込口17a、17bの全開状態とは、その吸込口17a、17bの開度の可変範囲内で開度が最大とされた状態であり、吸込口17a、17bの全閉状態とは、その吸込口17a、17bの開度が零とされた状態である。本実施形態において第1吸込口17aの全閉状態では、ドア装置19と吸込口部17との間の隙間からの空気漏れはあるが、第1吸込口17aの全体がドア装置19によって覆われる。第2吸込口17bの全閉状態についても、これと同様である。
第2吸込口17bは、ファン軸方向DRaにおいて取付プレート11と筐体構成部16との間に配置されている。その取付プレート11と筐体構成部16との間の軸方向間隔DCは10〜30mm程度が好ましく、本実施形態では20mm程度とされている。
本実施形態では、このような軸方向間隔DCの設定により、全開状態とされた第2吸込口17bの通風面積が、全開状態とされた第1吸込口17aの通風面積と略等しくなっている。
図9では、第1吸込口17aが全開状態とされ且つ第2吸込口17bが全閉状態とされた状態を示している。また、図9において、第1吸込口17aのうち開かれている範囲には点ハッチングが施されている。このことは、後述する図10〜図13の点ハッチングについても同様である。
ドア装置19は、このように第1吸込口17aと第2吸込口17bとを開閉するために、駆動ドア30と従動ドア32とを有している。駆動ドア30と従動ドア32は何れも、ファン軸心CLまわりに回動する回動ドアである。但し、従動ドア32は、駆動ドア30に対し従動して回動するドア、すなわち、駆動ドア30によってファン軸心CLまわりに回動させられるドアである。例えば、ドア装置19は、第1吸込部171に固定された取付ネジ191を有し、駆動ドア30と従動ドア32は、ドア支持部材15の吸込口部17に対し積層された状態で、その取付ネジ191によって回動可能に吸込口部17に対して連結されている。
従動ドア32は吸込口部17の外側に被さるように構成され、駆動ドア30は、その従動ドア32の外側に被さるように構成されている。すなわち、駆動ドア30は、従動ドア32を挟んで吸込口部17の外側に被さるように構成されているので、駆動ドア30は、吸込口部17に沿うように形成されている。そして、従動ドア32は、駆動ドア30と吸込口部17との間に配置されている。また、駆動ドア30および従動ドア32は何れも、第2吸込部172と同軸に配置されている。
駆動ドア30は、駆動ドア正面部301と駆動ドア側面部302とを有している。また、従動ドア32は、従動ドア正面部321と従動ドア側面部322とを有している。駆動ドア正面部301は、第1吸込部171に対するファン軸方向DRaの一方側に配置され、その第1吸込部171に沿って形成されている。そして、従動ドア正面部321は、駆動ドア正面部301と第1吸込部171との間に配置され、その第1吸込部171に沿って形成されている。
また、駆動ドア側面部302は、第2吸込部172の径方向外側に配置され、その第2吸込部172に沿って形成されている。駆動ドア側面部302は、駆動ドア正面部301の径方向外側端からファン軸方向DRaの他方側へ延設された略円筒形状を成して、第2吸込部172と同軸に配置されている。
従動ドア側面部322は、駆動ドア側面部302と第2吸込部172との間に配置され、その第2吸込部172に沿って形成されている。従動ドア側面部322は、従動ドア正面部321の径方向外側端からファン軸方向DRaの他方側へ延設された略円筒形状を成して、第2吸込部172と同軸に配置されている。
駆動ドア正面部301は、開口である複数の駆動ドア正面開口301aと、壁状の複数の駆動ドア正面壁301bとを含んでいる。本実施形態では、駆動ドア正面開口301aと駆動ドア正面壁301bはそれぞれ4つずつ設けられている。複数の駆動ドア正面開口301aと複数の駆動ドア正面壁301bはファン周方向DRcに交互に並んで配置されている。すなわち、駆動ドア正面開口301aと駆動ドア正面壁301bはファン周方向DRcに互いに並んで配置されている。
具体的に、駆動ドア正面壁301bは、ファン軸方向DRaを厚み方向とした略平板状を成している。また、駆動ドア正面開口301aは、ファン軸方向DRaに貫通した孔形状を成している。
駆動ドア側面部302は、開口である複数の駆動ドア側面開口302aと、壁状の複数の駆動ドア側面壁302bとを含んでいる。本実施形態では、駆動ドア側面開口302aと駆動ドア側面壁302bはそれぞれ4つずつ設けられている。複数の駆動ドア側面開口302aと複数の駆動ドア側面壁302bはファン周方向DRcに交互に並んで配置されている。すなわち、駆動ドア側面開口302aと駆動ドア側面壁302bはファン周方向DRcに互いに並んで配置されている。
具体的に、駆動ドア側面壁302bは各々、ファン軸心CLを中心とした円筒形状の一部分を成す湾曲した壁状である。また、駆動ドア側面開口302aは、ファン軸方向DRaの他方側が開放された切欠形状を成している。
従動ドア正面部321は、開口である複数の従動ドア正面開口321aと、壁状の複数の従動ドア正面壁321bとを含んでいる。本実施形態では、従動ドア正面開口321aと従動ドア正面壁321bはそれぞれ4つずつ設けられている。複数の従動ドア正面開口321aと複数の従動ドア正面壁321bはファン周方向DRcに交互に並んで配置されている。すなわち、従動ドア正面開口321aと従動ドア正面壁321bはファン周方向DRcに互いに並んで配置されている。
具体的に、従動ドア正面壁321bは、ファン軸方向DRaを厚み方向とした略平板状を成している。また、従動ドア正面開口321aは、ファン軸方向DRaに貫通した孔形状を成している。なお、図9では、駆動ドア正面壁301bと従動ドア正面壁321bは、第1吸込部壁171bに対する紙面裏側に隠れているので図示されていない。
従動ドア側面部322は、開口である複数の従動ドア側面開口322aと、壁状の複数の従動ドア側面壁322bとを含んでいる。本実施形態では、従動ドア側面開口322aと従動ドア側面壁322bはそれぞれ4つずつ設けられている。複数の従動ドア側面開口322aと複数の従動ドア側面壁322bはファン周方向DRcに交互に並んで配置されている。すなわち、従動ドア側面開口322aと従動ドア側面壁322bはファン周方向DRcに互いに並んで配置されている。
具体的に、従動ドア側面壁322bは各々、ファン軸心CLを中心とした円筒形状の一部分を成す湾曲した壁状である。また、従動ドア側面開口322aは、ファン軸方向DRaの他方側が開放された切欠形状を成している。
駆動ドア30は従動ドア32を回動させるドアであるが、その駆動ドア30は、ドア作動装置22によって回動させられる。具体的には、ドア作動装置22は、マニュアル式車両用エアコン用の手動回転式ワイヤヒーコンと同様の構造である。
例えば図4および図10に示すように、ドア作動装置22は、ドア連結ギヤ221と、ワイヤ支持部222とを有している。そのワイヤ支持部222は、ドア連結ギヤ221を回動可能に支持すると共に、ドア連結ギヤ221を回動させるための2本の操作用ワイヤ223をドア連結ギヤ221周りにおいて支持している。ワイヤ支持部222がドア支持部材15の筐体構成部16に連結されているので、ドア連結ギヤ221は、筐体構成部16に対し回動可能に連結されている。
また、駆動ドア30は、駆動ドア側面部302に連結した駆動ギヤ303を有しており、その駆動ギヤ303は、ファン周方向DRcの全周のうちの一部範囲に設けられている。ドア連結ギヤ221は、ドア支持部材15の筐体構成部16に対し回動可能に連結された中間ギヤ20を介して駆動ギヤ303に噛み合っている。例えば、その中間ギヤ20は、取付ネジ201によって回動可能に筐体構成部16に対して連結されている。
中間ギヤ20が駆動ギヤ303とドア連結ギヤ221との間に設けられているので、第2吸込口17bへ流入する空気流れを阻害しないようにドア連結ギヤ221とワイヤ支持部222とを配置することが容易である。
ドア連結ギヤ221には2本の操作用ワイヤ223が連結されている。ドア連結ギヤ221は、その2本の操作用ワイヤ223のうちの一方が引かれることにより一方向に回動し、2本の操作用ワイヤ223のうちの他方が引かれることによりその一方向とは逆方向に回動するようになっている。例えば、その2本の操作用ワイヤ223をそれぞれ引くための手動操作部は、シート80の側面803など乗員が操作しやすい箇所に設置されている。
例えば2本のうちの一方の操作用ワイヤ223が矢印AD1のように引かれると、ドア連結ギヤ221は矢印AD2のように回動する。そのとき同時に、他方の操作用ワイヤ223は、回動するドア連結ギヤ221に巻き取られるので、矢印AD3のようにドア連結ギヤ221側へ引き込まれる。そして、矢印AD2で示されるドア連結ギヤ221の回動に伴って、中間ギヤ20は矢印AD4のように回動し、それと共に駆動ドア30は矢印AD5のように回動する。本実施形態では、駆動ドア30の作動角度範囲は60度である。
図11A〜図11Dはそれぞれ、駆動ドア30の互いに異なる作動角度位置における駆動ドア30の姿勢と従動ドア32の姿勢とを示している。図11A〜図11Dに示すように、駆動ドア側面壁302bは、ファン周方向DRcの一方側に位置する一端部302cと、ファン周方向DRcの他方側に位置する他端部302dとを有している。そして、駆動ドア側面部302は、駆動ドア側面壁302bの一端部302cからファン径方向DRrで内側へ突き出た開放用凸部302eと、駆動ドア側面壁302bの他端部302dからファン径方向DRrで内側へ突き出た閉塞用凸部302fとを有している。その開放用凸部302eと閉塞用凸部302fは、4つある駆動ドア側面壁302b毎に設けられている。
従動ドア側面壁322bは、ファン周方向DRcの一方側に位置する一端部322cと、ファン周方向DRcの他方側に位置する他端部322dとを有している。従動ドア側面部322は、従動ドア側面壁322bの一端部322cからファン径方向DRrで外側へ突き出た一方側従動凸部322eと、従動ドア側面壁322bの他端部322dからファン径方向DRrで内側へ突き出た他方側従動凸部322fとを有している。その一方側従動凸部322eと他方側従動凸部322fは、4つある従動ドア側面壁322b毎に設けられている。
また、第2吸込部壁172bは、ファン周方向DRcの一方側に位置する一端部172cと、ファン周方向DRcの他方側に位置する他端部172dとを有している。第2吸込部172は、第2吸込部壁172bの一端部172cからファン径方向DRrで外側へ突き出た閉塞時停止用凸部172eを有している。また、第2吸込部172は、第2吸込部壁172bの他端部172dからファン径方向DRrで外側へ突き出た開放時停止用凸部172fを有している。その閉塞時停止用凸部172eと開放時停止用凸部172fは、4つある第2吸込部壁172b毎に設けられている。
図11Aに示すように、駆動ドア側面壁302bの一端部302cは、ファン径方向DRrの外側に一端部外側端縁302gを有し、その一端部外側端縁302gにはコーナーRが形成されている。これと同様に、駆動ドア側面壁302bの他端部302dは、ファン径方向DRrの外側に他端部外側端縁302hを有し、その他端部外側端縁302hにもコーナーRが形成されている。
また、第2吸込部壁172bの一端部172cは、ファン径方向DRrの内側に一端部内側端縁172gを有し、その一端部内側端縁172gにはコーナーRが形成されている。これと同様に、第2吸込部壁172bの他端部172dは、ファン径方向DRrの内側に他端部内側端縁172hを有し、その他端部内側端縁172hにもコーナーRが形成されている。
図11A〜図11Dにおいて、駆動ドア30と従動ドア32とが回動して図11A、図11B、図11Cの順に姿勢変化する動作は、第1吸込口17aが閉じられる動作である。逆に、駆動ドア30と従動ドア32とが回動して図11C、図11D、図11Aの順に姿勢変化する動作は、第1吸込口17aが開かれる動作である。
図11Aは、図9のXIA部分を拡大して示した図であり、第1吸込口17aが全開状態とされ且つ第2吸込口17bが全閉状態とされた状態を示している。
図11Aにおいて点ハッチングで示すように、第1吸込口17aと駆動ドア正面開口301aと従動ドア正面開口321aとが互いに重なりファン軸方向DRa向きの貫通孔を形成することで、第1吸込口17aは全開状態になっている。すなわち、ドア装置19は、第1吸込口17aと駆動ドア正面開口301aと従動ドア正面開口321aとが貫通孔を形成するように第1吸込口17aに対し駆動ドア正面開口301aと従動ドア正面開口321aとを重ねることにより第1吸込口17aを開く。
一方、図11Aにおいて第2吸込口17bに着目すると、駆動ドア側面壁302bと従動ドア側面壁322bとが互いにファン周方向DRcにずれると共に第2吸込口17bに対し重なることで、第2吸込口17bは全閉状態になっている。すなわち、ドア装置19は、駆動ドア側面壁302bと従動ドア側面壁322bとをファン周方向DRcへ互いにずらすと共に第2吸込口17bに対し重ねることにより第2吸込口17bを閉じる。
このとき、駆動ドア側面壁302bと従動ドア側面壁322bは第2吸込部壁172bに対してファン周方向DRcにずれて位置している。具体的に、第2吸込口17bの全閉状態では、従動ドア側面壁322bは第2吸込部壁172bに対し一部分を重ねながらファン周方向DRcの一方側に位置する。それと共に、駆動ドア側面壁302bは従動ドア側面壁322bに対し一部分を重ねながらファン周方向DRcの一方側に位置する。
図11Aが示す状態から駆動ドア30が矢印Ra(図11B参照)のようにファン周方向DRcの他方側へ30度回動すると、駆動ドア30および従動ドア32は、図11Bが示す状態になる。この図11Aから図11Bへの変化では、駆動ドア30は回動するが従動ドア32は未だ回動しないので、図11Bにおける従動ドア32の姿勢は図11Aと同じである。
図11Bが示す状態では、第1吸込口17aは、点ハッチングで示すように、全開状態と全閉状態との間の中間開度である半開状態になっており、第2吸込口17bも半開状態になっている。図11Bの矢印W2bは、第2吸込口17bが開いている周方向範囲を示している。
続いて、図11Bが示す状態から駆動ドア30が矢印Rb(図11C参照)のようにファン周方向DRcの他方側へ30度回動すると、駆動ドア30および従動ドア32は、図11Cが示す状態になる。この図11Bから図11Cへの変化では、駆動ドア30の回動に伴い、その駆動ドア30によって従動ドア32はファン周方向DRcの他方側へ回動させられる。要するに、駆動ドア30と従動ドア32とが共に、ファン周方向DRcの他方側へ30度回動する。
詳細には、図11Bから図11Cへと駆動ドア30がファン周方向DRcの他方側へ回動する場合においては、駆動ドア30は、従動ドア32の一部を開放用凸部302eで押すことにより従動ドア32をファン周方向DRcの他方側へ回動させる。そして、その開放用凸部302eで押される従動ドア32の一部とは、一方側従動凸部322eである。すなわち、従動ドア32から見れば、この場合、従動ドア32は、一方側従動凸部322eが駆動ドア30の開放用凸部302eに押されることによりファン周方向DRcの他方側へ回動させられる。
図11Cが示す状態では、第1吸込口17aは全閉状態になっており、第2吸込口17bは全開状態になっている。図11Cの矢印W2cは、第2吸込口17bが開いている周方向範囲を示している。
その図11Cに示すように、駆動ドア正面壁301bと従動ドア正面壁321bとが互いにファン周方向DRcにずれると共に第1吸込口17aに対し重なることで、第1吸込口17aは全閉状態になっている。すなわち、ドア装置19は、駆動ドア正面壁301bと従動ドア正面壁321bとをファン周方向DRcへ互いにずらすと共に第1吸込口17aに対し重ねることにより第1吸込口17aを閉じる。
このとき、駆動ドア正面壁301bと従動ドア正面壁321bは第1吸込部壁171bに対してファン周方向DRcにずれて位置している。具体的に、第1吸込口17aの全閉状態では、従動ドア正面壁321bは第1吸込部壁171bに対し一部分を重ねながらファン周方向DRcの他方側に位置する。それと共に、駆動ドア正面壁301bは従動ドア正面壁321bに対し一部分を重ねながらファン周方向DRcの他方側に位置する。
一方、図11Cにおいて第2吸込口17bに着目すると、第2吸込口17bと駆動ドア側面開口302aと従動ドア側面開口322aとが互いに重なりファン径方向DRr向きの貫通孔を形成することで、第2吸込口17bは全開状態になっている。すなわち、ドア装置19は、第2吸込口17bと駆動ドア側面開口302aと従動ドア側面開口322aとが貫通孔を形成するように第2吸込口17bに対し駆動ドア側面開口302aと従動ドア側面開口322aとを重ねることにより第2吸込口17bを開く。
また、第2吸込口17bの全開状態では、駆動ドア側面壁302bは従動ドア側面壁322bの全体に対しファン径方向DRrの外側に重なっている。それと共に、第2吸込部壁172bは、従動ドア側面壁322bの全体に対しファン径方向DRrの内側に重なっている。
別言すれば、図11Cが示す断面において、ドア装置19が第2吸込口17bの開度を最大にした場合、要するに第2吸込口17bを全開状態にした場合には、従動ドア側面壁322bは次のようになる。つまり、その場合、従動ドア側面壁322bは、第1の仮想接線LT1と第2の仮想接線LT2と第2吸込部壁172bと駆動ドア側面壁302bとに囲まれる範囲内に収容される。
ここで、図11Cが示す断面は、ファン軸心CLに直交する横断面である。また、第1の仮想接線LT1は、従動ドア側面壁322bに対して重なる第2吸込部壁172bの一端部172cと、従動ドア側面壁322bに対して重なる駆動ドア側面壁302bの一端部302cとに対しファン周方向DRcの一方側から接する接線である。また、第2の仮想接線LT2は、従動ドア側面壁322bに対して重なる第2吸込部壁172bの他端部172dと、従動ドア側面壁322bに対して重なる駆動ドア側面壁302bの他端部302dとに対しファン周方向DRcの他方側から接する接線である。
また、図11Cに示すように、第2吸込部172の開放時停止用凸部172fは、駆動ドア30がファン周方向DRcの他方側へ回動する場合に従動ドア32の一部に突き当たってその従動ドア32の回動を止める。そして、その開放時停止用凸部172fが突き当たる従動ドア32の一部とは、他方側従動凸部322fである。
すなわち、従動ドア32から見れば、この場合、従動ドア32は、開放時停止用凸部172fが他方側従動凸部322fに突き当たることによりファン周方向DRcの他方側への回動を止められる。このとき、駆動ドア30の開放用凸部302eが従動ドア32の一方側従動凸部322eに対しファン周方向DRcの一方側から当接しているので、ファン周方向DRcの他方側への駆動ドア30の回動も、その開放時停止用凸部172fによって止められる。
続いて、図11Cが示す状態から駆動ドア30が矢印Rc(図11D参照)のようにファン周方向DRcの一方側へ30度回動すると、駆動ドア30および従動ドア32は、図11Dが示す状態になる。この図11Cから図11Dへの変化では、駆動ドア30は回動するが従動ドア32は未だ回動しないので、図11Dにおける従動ドア32の姿勢は図11Cと同じである。
図11Dが示す状態では、第1吸込口17aは、点ハッチングで示すように半開状態になっており、第2吸込口17bも半開状態になっている。図11Dの矢印W2dは、第2吸込口17bが開いている周方向範囲を示している。
続いて、図11Dが示す状態から駆動ドア30が更にファン周方向DRcの一方側へ30度回動すると、駆動ドア30および従動ドア32は、図11Aが示す状態になる。この図11Dから図11Aへの変化では、駆動ドア30の回動に伴い、その駆動ドア30によって従動ドア32はファン周方向DRcの一方側へ回動させられる。要するに、駆動ドア30と従動ドア32とが共に、ファン周方向DRcの一方側へ30度回動する。
詳細には、図11Dから図11Aへと駆動ドア30がファン周方向DRcの一方側へ回動する場合においては、駆動ドア30は、従動ドア32の一部を閉塞用凸部302fで押すことにより従動ドア32をファン周方向DRcの一方側へ回動させる。そして、その閉塞用凸部302fで押される従動ドア32の一部とは、一方側従動凸部322eである。すなわち、従動ドア32から見れば、この場合、従動ドア32は、一方側従動凸部322eが駆動ドア30の閉塞用凸部302fに押されることによりファン周方向DRcの一方側へ回動させられる。
また、図11Aに示すように、第2吸込部172の閉塞時停止用凸部172eは、駆動ドア30がファン周方向DRcの一方側へ回動する場合に従動ドア32の一部に突き当たってその従動ドア32の回動を止める。そして、その閉塞時停止用凸部172eが突き当たる従動ドア32の一部とは、他方側従動凸部322fである。
すなわち、従動ドア32から見れば、この場合、従動ドア32は、閉塞時停止用凸部172eが他方側従動凸部322fに突き当たることによりファン周方向DRcの一方側への回動を止められる。このとき、駆動ドア30の閉塞用凸部302fが従動ドア32の一方側従動凸部322eに対しファン周方向DRcの他方側から当接しているので、ファン周方向DRcの一方側への駆動ドア30の回動も、その閉塞時停止用凸部172eによって止められる。
このように、駆動ドア30は、ファン周方向DRcの一方側へ回動するほど、第1吸込口17aの開度を大きくすると共に第2吸込口17bの開度を小さくする。逆に、駆動ドア30は、ファン周方向DRcの他方側へ回動するほど、第1吸込口17aの開度を小さくすると共に第2吸込口17bの開度を大きくする。そして、駆動ドア30は、ファン軸心CLまわりに60度の角度範囲内で回動し、従動ドア32は、ファン軸心CLまわりに30度の角度範囲内で回動する。
図12には、駆動ドア30がファン周方向DRcの一方側へ回動し図11Dの状態から図11Aの状態へ至る途中の状態が示されている。その図12および図8に示すように、ドア装置19は、第1吸込口17aの開度を大きくするほど、駆動ドア正面壁301bのうち第1吸込部壁171bに対して重なる領域WL1(図12参照)を大きくする。なお、図12では、駆動ドア正面壁301bは、従動ドア正面壁321bに対する紙面裏側に隠れている。
また、図13には、駆動ドア30がファン周方向DRcの他方側へ回動し図11Bの状態から図11Cの状態へ至る途中の状態が示されている。その図13に示すように、ドア装置19は、第2吸込口17bの開度を大きくするほど、駆動ドア側面壁302bのうち第2吸込部壁172bに対して重なる領域WL2を大きくする。
また、図6および図9に示すように、ドア装置19が第1吸込口17aの開度を最大にした場合、別言すれば第1吸込口17aを全開状態にした場合には、第2吸込口17bが全閉状態になる。そのため、第2吸込部壁172bと駆動ドア側面壁302bと従動ドア側面壁322bとがファン軸心CLまわりの全周にわたる円筒状の壁を構成する。すなわち、その場合には、その円筒状の壁の内側に設けられる第2吸込内部空間172aは、図6の矢印Laで示されるようにファン軸心CLに沿って直線状に延びる空気流路を構成する。
上述したように、本実施形態によれば、図2および図8に示すように、シート空調装置10において、ドア装置19は、第1吸込口17aを開く側に作動する場合には第2吸込口17bを閉じる側にも作動する。逆に、ドア装置19は、第1吸込口17aを閉じる側に作動する場合には第2吸込口17bを開く側にも作動する。第1吸込口17aは、シート80の乗員支持面802からシート80の内部に流入した空気がその第1吸込口17aを介して送風機12へ吸い込まれるように配置されている。そして、第2吸込口17bは、第1吸込口17aに比して、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位(例えば、シート80の側面803)からシート80の内部に流入した空気が流入し易い配置とされている。
従って、第1吸込口17aが開いている場合だけでなく第1吸込口17aが閉じている場合であっても送風機12は空気を吸込み可能とされ、送風機12は、シート80の後方へ流す空気の風量を維持することができる。そして、第1吸込口17aを開く側にドア装置19を作動させれば、送風機12がシート80の乗員支持面802から吸い込む空気の風量は増加する。逆に、第1吸込口17aを閉じる側にドア装置19を作動させれば、送風機12が乗員支持面802から吸い込む空気の風量は減少する。すなわち、シート80の後方へ流す空気の風量を維持しつつ、ドア装置19の作動により、シート80の乗員支持面802からシート80内部に送風機12が吸い込む空気の風量を調整することが可能である。
例えば、本実施形態では、図11Cに示すように、ドア装置19を操作することにより第1吸込口17aを全閉状態にすれば、乗員支持面802からシート80内部への空気の流入を止めて、シート80の後方へ流す空気の風量を維持することができる。更に、図11Aの状態と図11Cの状態との間でドア装置19を作動させることができるので、乗員支持面802からシート80内部へ流入する空気の風量を調整しながら、シート80の後方へ流す空気の風量を維持することができる。
このように、送風機12のモータ122への入力を一定にしたまま、シート80の後方への吹出し風量の変動を抑えつつ、乗員はドア装置19を操作することにより、シート空調の風量を調整することができる。更に言えば、シート80の後方への空気の吹出しを継続しつつ、第1吸込口17aを全閉状態にすることでシート空調を停止することも可能である。なお、そのシート空調とは、乗員支持面802からシート80内部へ空気を吸い込むことである。
例えば、夏の暑い車室内の前席であるシート80に母親が着座し、後席に幼児が乗車した場合を想定したとする。母親および幼児の乗車後しばらくすると、前席では後席よりも先に、エアコン空調により暑さが和らいでくる。その場合に、シート空調装置10によるシート空調の送風を乗員の操作により停止しても、後席の幼児に快適な送風を提供することが可能である。
また、上記のように、送風機12のモータ122への入力を一定にしたままシート空調の風量を調整することができるので、シート空調の風量調整のために送風機12のモータ122の回転数制御を行う必要がない。従って、そのモータ122を高価なブラシレスモータにする必要もなく、モータ122の制御のための制御コントローラや、モータ122がブラシモータである場合にその回転数制御に用いられるレジスタとしての発熱抵抗も不要である。よって、本実施形態の送風機12のモータ122を作動させる電気的構成を安価で且つ簡素にすることが可能である。
また、本実施形態によれば、図2および図8に示すように、ドア装置19は、第1吸込口17aの開度を大きくするほど第2吸込口17bの開度を小さくする。従って、送風機12の送風量を所定風量で維持したまま、ドア装置19の作動により、乗員支持面802からシート80の内部に流入する空気の風量を増減することが可能である。
また、本実施形態によれば、図8および図9に示すように、駆動ドア30と従動ドア32とが吸込口部17と同軸で重なるように配置されている。そして、駆動ドア30と従動ドア32は、ファン周方向DRcに4分割に小分けした領域それぞれで第1吸込口17aと第2吸込口17bとを開閉する。これにより、駆動ドア30の作動角度範囲が60度、従動ドア32の作動角度範囲が30度という小さな作動角度範囲によって、第1および第2吸込口17a、17bの開閉を実現することが可能である。
また、本実施形態によれば、図6および図8に示すように、吸込口部17は、第1吸込口17aが形成された第1吸込部171と、第2吸込口17bが形成された第2吸込部172とを有している。第2吸込部172は、乗員支持面802へ向かって延びる筒状を成し、第1吸込部171は、第2吸込部172のうち乗員支持面802寄りの位置でその第2吸込部172の径方向内側の空間172aを覆うように拡がっている。そして、ドア装置19は、ファン軸心CLまわりに回動することにより第1吸込口17aと第2吸込口17bとを開閉する。
従って、第1吸込口17aをシート80の内部から乗員支持面802に向けて開口させつつ、第2吸込口17bをシート80の乗員支持面802以外の部位に向けて開口させることが容易である。これにより、第2吸込口17bを、第1吸込口17aに比して、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位からの空気が流入し易い配置とすることができる。
そして、第1吸込口17aと第2吸込口17bとドア装置19とを小さなスペースに配置することが可能である。
ここで、本実施形態を第1比較例および第2比較例と比較しつつ説明する。図14に示すように、その第1比較例のシート空調装置90は、本実施形態のドア装置19に替えて、第1吸込口17aと第2吸込口17bとを開閉する別のドア装置91を備えている。そのドア装置91は、車両用空調ユニットに用いられるような単一の門形ロータリドアで構成されており、矢印A1のように回動することで第1吸込口17aと第2吸込口17bとを開閉する。
また、図15に示すように、第2比較例のシート空調装置95は、本実施形態のドア装置19に替えて、第1吸込口17aと第2吸込口17bとを開閉する別のドア装置96を備えている。そのドア装置96は、車両用空調ユニットに用いられるような単一のスライド板ドアで構成されており、矢印A2のように直線的に移動することで第1吸込口17aと第2吸込口17bとを開閉する。
本実施形態では、例えば図4および図6に示すように略円筒状のドア装置19を採用することにより、図14の第1比較例と比べ、簡素な構造で且つファン軸方向DRaに小さな体格にしてシート空調装置10をシート80に搭載できる。
また、図14および図15の第1、第2比較例では、第1吸込口17aから遠心ファン121への空気流れは、矢印FA1、矢印FA2のように、ファン軸心CLに対し対称的にはならず偏った空気流れになる。また、第2吸込口17bから遠心ファン121への空気流れも、これと同様にファン軸心CLに対し偏った空気流れになる。そのため、第1、第2比較例では、遠心ファン121の翼相互間におけるファン軸方向DRaの一方側寄りの箇所Paで空気流れの剥離が生じやすい。
これに対し、本実施形態では、第1吸込口17aから遠心ファン121へ流れる空気も第2吸込口17bから遠心ファン121へ流れる空気も、ファン軸心CLに対し対称的な空気流れを形成しやすい。そのため、第1、第2比較例で生じうる上記の空気流れの剥離を回避しやすい。
また、本実施形態では、第1吸込口17aと第2吸込口17bとに接続する個別の吸込みダクト等を必要とせずに、シート空調の吸込み切替構造を実現できるので、シート80の厚み方向の薄幅化ニーズに対応できる構造を成立させることが可能である。本実施形態のシート空調装置10では、取付プレート11と筐体構成部16との間の軸方向間隔DCを20mm程度にすることで、第2吸込口17bを設けると共にドア装置19を成立させている。
また、本実施形態によれば、ドア装置19は、吸込口部17に沿うように形成されファン軸心CLまわりに回動する駆動ドア30を有している。そして、ドア装置19は、駆動ドア30と吸込口部17との間に配置され駆動ドア30によってファン軸心CLまわりに回動させられる従動ドア32を有している。従って、ドア装置19が単一のドアで構成されている場合と比較して、第1吸込口17aの全開状態おける通風面積と、第2吸込口17bの全開状態おける通風面積とをそれぞれ大きくすることが可能である。そして、ドア装置19を操作する乗員は従動ドア32を直接操作する必要がないので、ドア作動装置22を非常に簡素な構造にすることが可能である。
また、本実施形態によれば、ドア装置19は、図11A〜図11Dに示すように第1吸込口17aを開閉する。すなわち、ドア装置19は、第1吸込口17aと駆動ドア正面開口301aと従動ドア正面開口321aとが貫通孔を形成するように第1吸込口17aに対し駆動ドア正面開口301aと従動ドア正面開口321aとを重ねることにより第1吸込口17aを開く。その一方で、ドア装置19は、駆動ドア正面壁301bと従動ドア正面壁321bとをファン周方向DRcへ互いにずらすと共に第1吸込口17aに対し重ねることにより第1吸込口17aを閉じる。従って、第1吸込口17aの全開状態おける通風面積を大きくすることに、駆動ドア30の回動動作と従動ドア32の回動動作とを適切に活かすことができる。
また、本実施形態によれば、図8および図12に示すように、ドア装置19は、第1吸込口17aの開度を大きくするほど、駆動ドア正面壁301bのうち第1吸込部壁171bに対して重なる領域WL1を大きくする。従って、第1吸込部壁171bを設けることによりドア装置19を回動可能に支持することを可能にしつつ、第1吸込部壁171bに対し駆動ドア正面壁301bを重ねることで、第1吸込口17aの全開状態おける通風面積を大きくすることができる。
また、本実施形態によれば、ドア装置19は、図11A〜図11Dに示すように第2吸込口17bを開閉する。すなわち、ドア装置19は、第2吸込口17bと駆動ドア側面開口302aと従動ドア側面開口322aとが貫通孔を形成するように第2吸込口17bに対し駆動ドア側面開口302aと従動ドア側面開口322aとを重ねることにより第2吸込口17bを開く。その一方で、ドア装置19は、駆動ドア側面壁302bと従動ドア側面壁322bとをファン周方向DRcへ互いにずらすと共に第2吸込口17bに対し重ねることにより第2吸込口17bを閉じる。
従って、第2吸込口17bの全開状態おける通風面積を大きくすることに、駆動ドア30の回動動作と従動ドア32の回動動作とを適切に活かすことができる。
また、本実施形態によれば、図8および図13に示すように、ドア装置19は、第2吸込口17bの開度を大きくするほど、駆動ドア側面壁302bのうち第2吸込部壁172bに対して重なる領域WL2を大きくする。従って、第2吸込部壁172bによって第1吸込部171と送風機12との間を連結しつつ、その第2吸込部壁172bに駆動ドア側面壁302bを重ねることで、第2吸込口17bの全開状態おける通風面積を大きくすることができる。
また、本実施形態によれば、図11A〜図11Dに示すように、駆動ドア30は、吸込口部17の外側に被さるように構成され、ファン周方向DRcの一方側へ回動するほど第2吸込口17bの開度を小さくする。駆動ドア側面部302は、駆動ドア側面壁302bの一端部302cからファン径方向DRrで内側へ突き出た開放用凸部302eと、駆動ドア側面壁302bの他端部302dからファン径方向DRrで内側へ突き出た閉塞用凸部302fとを有している。そして、駆動ドア30は、ファン周方向DRcの他方側へ回動する場合においては、従動ドア32の一部を開放用凸部302eで押すことにより従動ドア32をファン周方向DRcの他方側へ回動させる。逆に、駆動ドア30は、ファン周方向DRcの一方側へ回動する場合においては、従動ドア32の一部を閉塞用凸部302fで押すことにより従動ドア32をファン周方向DRcの一方側へ回動させる。
従って、開放用凸部302eと閉塞用凸部302fとにより、駆動ドア30の回動に従って従動ドア32を回動させることができる。そして、例えば第2吸込口17bが全開状態である場合には、第2吸込口17bが全閉状態である場合と比較して、駆動ドア側面壁302bと従動ドア側面壁322bとの全体が占めるファン周方向DRcの幅を小さくすることができる。そのため、第2吸込口17bの通風面積の増減幅を大きく確保することが可能である。
また、開放用凸部302eおよび閉塞用凸部302fは何れも、ファン径方向DRrの内側へ突き出ている。従って、それらの凸部302e、302fがファン径方向DRrの外側へ突き出ている場合と比較して、第2吸込口17bへ流入する空気流れの乱れを抑えることが可能である。
また、本実施形態によれば、図11Aに示すように、駆動ドア側面壁302bの一端部外側端縁302gと他端部外側端縁302hとには、それぞれコーナーRが形成されている。従って、そのコーナーRが形成されていない場合と比較して、例えば全開状態とされた第2吸込口17bへ流入する空気流れの乱れを抑えることが可能である。
また、本実施形態によれば、図11A〜図11Dに示すように、従動ドア側面部322は、従動ドア側面壁322bの一端部322cからファン径方向DRrで外側へ突き出た一方側従動凸部322eを有している。そして、従動ドア32は、一方側従動凸部322eが開放用凸部302eに押されることによりファン周方向DRcの他方側へ回動させられ、一方側従動凸部322eが閉塞用凸部302fに押されることによりファン周方向DRcの一方側へ回動させられる。
従って、駆動ドア30が第2吸込口17bを開く側に回動する場合において、駆動ドア30により従動ドア32が共に回動させられる場合には、駆動ドア側面壁302bと従動ドア側面壁322bとの重なりを最大限大きくすることができる。その一方で、駆動ドア30が第2吸込口17bを閉じる側に回動する場合において、駆動ドア30により従動ドア32が共に回動させられる場合には、駆動ドア側面壁302bと従動ドア側面壁322bとの重なりを最小限にすることができる。そのため、駆動ドア側面壁302bが占めるファン周方向DRcの幅と従動ドア側面壁322bが占めるファン周方向DRcの幅とを十分に活かして、第2吸込口17bの通風面積の増減幅を大きく確保することが可能である。
また、本実施形態によれば、第2吸込部172は、第2吸込部壁172bの一端部172cからファン径方向DRrで外側へ突き出た閉塞時停止用凸部172eを有している。また、第2吸込部172は、第2吸込部壁172bの他端部172dからファン径方向DRrで外側へ突き出た開放時停止用凸部172fを有している。そして、閉塞時停止用凸部172eは、駆動ドア30がファン周方向DRcの一方側へ回動する場合に従動ドア32の一部に突き当たってその従動ドア32の回動を止める。その一方で、開放時停止用凸部172fは、駆動ドア30がファン周方向DRcの他方側へ回動する場合に従動ドア32の一部に突き当たってその従動ドア32の回動を止める。
従って、閉塞時停止用凸部172eと開放時停止用凸部172fとにより従動ドア32の回動を止め、それに伴って、駆動ドア30の回動も止めることができる。そして、例えば第2吸込口17bが全開状態である場合には、第2吸込口17bが全閉状態である場合と比較して、第2吸込部壁172bと従動ドア側面壁322bとの全体が占めるファン周方向DRcの幅を小さくすることができる。そのため、第2吸込口17bの通風面積の増減幅を大きく確保することが可能である。
また、閉塞時停止用凸部172eおよび開放時停止用凸部172fは何れも、ファン径方向DRrの外側へ突き出ている。従って、それらの凸部172e、172fがファン径方向DRrの内側へ突き出ている場合と比較して、第2吸込口17bから空気が第2吸込内部空間172a(図6参照)に入る際に生じる空気流れの乱れを抑えることが可能である。
また、図11Cに示すように、第2吸込口17bが全開状態にされた場合には、閉塞時停止用凸部172eと駆動ドア30の開放用凸部302eとが互いに対向するように位置する。それと共に、開放時停止用凸部172fと駆動ドア30の閉塞用凸部302fとが互いに対向するように位置する。従って、第2吸込口17bの全開状態において、駆動ドア側面開口302aと従動ドア側面開口322aと第2吸込口17bとを通過する空気の流れの乱れを、それらの凸部172e、302e、172f、302fにより抑えることが可能である。
また、本実施形態によれば、図11Aに示すように、第2吸込部壁172bの一端部内側端縁172gと第2吸込部壁172bの他端部内側端縁172hとには、それぞれコーナーRが形成されている。従って、そのコーナーRが形成されていない場合と比較して、例えば全開状態とされた第2吸込口17bから空気が第2吸込部172の径方向内側に入る際に生じる空気流れの乱れを抑えることが可能である。
また、本実施形態によれば、図11Cが示す横断面において、ドア装置19が第2吸込口17bの開度を最大にした場合には、従動ドア側面壁322bは、第1の仮想接線LT1と第2の仮想接線LT2と第2吸込部壁172bと駆動ドア側面壁302bとに囲まれる範囲内に収容される。
ここで、第1の仮想接線LT1は、従動ドア側面壁322bに対して重なる第2吸込部壁172bの一端部172cと、従動ドア側面壁322bに対して重なる駆動ドア側面壁302bの一端部302cとに対してファン周方向DRcの一方側から接する接線である。また、第2の仮想接線LT2は、従動ドア側面壁322bに対して重なる第2吸込部壁172bの他端部172dと、従動ドア側面壁322bに対して重なる駆動ドア側面壁302bの他端部302dとに対してファン周方向DRcの他方側から接する接線である。
従って、第2吸込口17bの開度が最大にされた場合において第2吸込口17bを通過する空気流れを従動ドア側面壁322bが阻害しないように、従動ドア32を設けることができる。
また、本実施形態によれば、図11A〜図11Dに示すように、従動ドア側面部322は、従動ドア側面壁322bの他端部322dからファン径方向DRrで内側へ突き出た他方側従動凸部322fを有している。そして、従動ドア32は、閉塞時停止用凸部172eが他方側従動凸部322fに突き当たることによりファン周方向DRcの一方側への回動を止められる。その一方で、従動ドア32は、開放時停止用凸部172fが他方側従動凸部322fに突き当たることによりファン周方向DRcの他方側への回動を止められる。
従って、第2吸込口17bが全開状態である場合には、従動ドア側面壁322bを第2吸込部壁172bに最大限重ねた状態で、従動ドア32がファン周方向DRcの他方側へ回動することを止めることができる。その一方で、第2吸込口17bが全閉状態である場合には、従動ドア側面壁322bと第2吸込部壁172bとの重なりを最小限にして、従動ドア32がファン周方向DRcの一方側へ回動することを止めることができる。そのため、従動ドア側面壁322bが占めるファン周方向DRcの幅と第2吸込部壁172bが占めるファン周方向DRcの幅とを十分に活かして、第2吸込口17bの通風面積の増減幅を大きく確保することが可能である。
また、本実施形態によれば、図2、図6、図8に示すように、第1吸込部171と第2吸込部172はシート80の乗員支持面802と送風機12の遠心ファン121との間に配置される。そして、ドア装置19が第1吸込口17aの開度を最大にした場合には、第2吸込部172の径方向内側の第2吸込内部空間172aは、ファン軸心CLに沿って延びる空気流路を構成する。その場合、その第2吸込内部空間172aを、第1吸込口17aから送風機12へ吸い込まれる空気をファン軸心CLに沿った直線的な流れにする整流区間として機能させ、その空気の流れを整流することができる。
そのため、遠心ファン121が有する各翼の相互間において風量分布の偏りを抑えて、その風量分布の均一化を図ることができる。詳細には、各翼の相互間におけるファン軸方向DRaの風量分布において送風機吸気口12aから遠い側ほど風量が大きくなる傾向を弱くして、各翼の相互間における風量分布の均一化を図ることができる。その結果、送風機12の圧力特性や低騒音化などの送風性能を向上させることが可能である。
また、本実施形態によれば、第1吸込口17aは、シート80の内部から乗員支持面802に向いて開口する。そして、第2吸込口17bは、シート80の内部から、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位に向いて開口する。従って、第1吸込口17aが開口する向きと第2吸込口17bが開口する向きとの差異によって、容易に、第2吸込口17bを、第1吸込口17aに比して、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位からの空気が流入し易い配置にすることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
図16に示すように、本実施形態では、シート80の内部に通風路823が設けられている。この点において、本実施形態は第1実施形態と異なっている。
具体的に、図16の通風路823は、シート80のうちシートバック82の内部に設けられている。この通風路823には、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位から空気が流入する。本実施形態では、その乗員支持面802以外の部位としてのシート80の側面803から、矢印AR4のように通風路823へ空気が流入する。従って、通風路823の空気流入口823aは、シート80の側面803に設けられている。その通風路823はダクトによって形成されていてもよいし、シートバック弾性部材822を部分的にくり抜くように形成されていてもよい。
また、シート80の内部では、通風路823に流入した空気が、その通風路823から、第1吸込口17aへ流れるよりも第2吸込口17b(図6参照)へ多く流れるように、第1吸込口17aと第2吸込口17bとが配置されている。端的に言えば、通風路823の空気流れ下流端は、第1吸込口17aではなく第2吸込口17bに接続されている。
また、通風路823の空気流入口823aには、通気可能なシートバック表皮821が被さっているので、通風路823には、そのシートバック表皮821を通過した空気が流入する。例えば前席であるシート80周りが空調されている場合には、矢印AR5で示す空調風の一部が通風路823へ流入する。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態によれば、シート80の内部には通風路823が設けられ、その通風路823には、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位から空気が流入する。そして、その通風路823に流入した空気は、その通風路823から、第1吸込口17aへ流れるよりも第2吸込口17b(図6参照)へ多く流れる。従って、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位から第2吸込口17bを介して送風機12が空気を吸い込む際に、シート80の内部における通気抵抗を小さくすることができる。
例えば、全開状態の第2吸込口17bから送風機12が空気を吸い込む際の吸込み抵抗を、全開状態の第1吸込口17aから送風機12が空気を吸い込む際の吸込み抵抗と同等程度にすることが容易である。そして、それらの吸込み抵抗が同等程度であれば、ドア装置19の作動により第1吸込口17aの開度と第2吸込口17bの開度とが切り替えられても、送風機12が吸い込む空気量が安定する。
また、送風機12は、シート80の側方を流れる空調空気をシート80の通風路823を介して吸い込むことで、シート80の後方へ吹き出される空気、すなわち後席へ吹き出される空気を、後席乗員にとって快適な温度にすることが可能である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図17および図18に示すように、本実施形態では、第1実施形態と異なり、送風機スイッチ87が駆動ドア30の近傍に配置されている。そして、送風機スイッチ87は乗員に直接操作されるのではなく、駆動ドア30の回動に伴ってオン状態とオフ状態とに切り替えられる。なお、本実施形態でも第1実施形態と同様に、送風機12のモータ122は、図7に示すように、モータオンになれば一定の電力を入力される。
具体的に、図17および図18に示すように、本実施形態の駆動ドア30は、駆動ドア30の外周に部分的に設けられたスイッチ操作部としてのスイッチ作動リブ304を有している。そのスイッチ作動リブ304は、駆動ドア30の回動に伴いファン周方向DRcに移動することで送風機スイッチ87のオン状態とオフ状態とを切り替える。
詳細には、送風機スイッチ87はスイッチ被動作部871を有ている。そして、そのスイッチ被動作部871がスイッチ作動リブ304によって押されることにより、送風機スイッチ87はオン状態になる。その一方で、スイッチ被動作部871からスイッチ作動リブ304が離れることにより、送風機スイッチ87はオフ状態になる。
本実施形態では例えば、ドア連結ギヤ221は、図19の表に示すように切替位置〔1〕〜切替位置〔5〕まで、手動操作により回動させられる。
図19の表において、ドア連結ギヤ作動角は、切替位置〔1〕を0度としたドア連結ギヤ221の回動角度である。また、駆動ドア作動角は駆動ドア30の回動角度であり、駆動ドア30がファン周方向DRcの他方側の移動端に位置する場合が駆動ドア作動角の0度である。図11Cは、その駆動ドア30がファン周方向DRcの他方側の移動端に位置する状態、すなわち、駆動ドア作動角が0度の駆動ドア30の状態を示している。また、図11Bと図11Dはそれぞれ、駆動ドア作動角が30度の駆動ドア30の状態を示している。また、図11Aは、駆動ドア30がファン周方向DRcの一方側の移動端に位置する状態、すなわち、駆動ドア作動角が60度の駆動ドア30の状態を示している。
また、図19の表において、前席シート風量は、シート80の乗員支持面802から第1吸込口17aを介して送風機12が吸い込む空気の風量である。その前席シート風量は、第1吸込口17aが全閉状態である場合または送風機12の停止中にはOFFになる。そして、前席シート風量は、送風機12の作動中には第1吸込口17aの開度が大きくなるほど大きくなる。前席シート風量における「Lo」、「M1」、「M2」、「Hi」は何れも、その前席シート風量が零よりも大きいことを示している。更に、その「Lo」、「M1」、「M2」、「Hi」は、「Lo<M1<M2<Hi」という前席シート風量の大小関係も示している。
また、図19の表の後席吹出風量は、送風ダクト24の後方吹出口24aから吹き出される風量である。後席吹出風量の「OFF」は、後方吹出口24aから空気が吹き出されていないことを示し、後席吹出風量の「Hi」は、所定風量で後方吹出口24aから空気が吹き出されていることを示している。また、図19の表における送風機作動の「ON」は、送風機12が作動していること、すなわち、送風機スイッチ87がオン状態になっていることを示している。また、その送風機作動の「OFF」は、送風機12が停止していること、すなわち、送風機スイッチ87がオフ状態になっていることを示している。
例えば、図20は、ドア連結ギヤ221が切替位置〔5〕に位置決めされた場合、すなわち、駆動ドア30の回動において駆動ドア30がファン周方向DRcの他方側の移動端に位置する場合を示している。この場合には、スイッチ作動リブ304がスイッチ被動作部871から離れるので、そのスイッチ作動リブ304は送風機スイッチ87をオフ状態にする。
また、図21は、ドア連結ギヤ221が切替位置〔5〕から切替位置〔3〕へ切り替えられ切替位置〔3〕に位置決めされた場合を示している。この場合には、送風機スイッチ87はオン状態になっている。すなわち、図20、図21に示すように、スイッチ作動リブ304は、駆動ドア30がファン周方向DRcの他方側の移動端からファン周方向DRcの一方側へ矢印RT1のように回動することに伴って、送風機スイッチ87をオフ状態からオン状態に切り替える。
また、図22は、ドア連結ギヤ221が切替位置〔1〕に位置決めされた場合、すなわち、駆動ドア30の回動において駆動ドア30がファン周方向DRcの一方側の移動端に位置する場合を示している。この場合にも、送風機スイッチ87はオン状態になっている。このように、図19の切替位置〔5〕では送風機スイッチ87はオフ状態になるが、切替位置〔1〕〜〔4〕では送風機スイッチ87はオン状態になる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態によれば、図20〜図22に示すように、駆動ドア30は、スイッチ操作部としてのスイッチ作動リブ304を有している。そのスイッチ作動リブ304は、駆動ドア30の回動に伴いファン周方向DRcに移動することで送風機スイッチ87のオン状態とオフ状態とを切り替える。そして、駆動ドア30の回動において駆動ドア30がファン周方向DRcの他方側の移動端に位置する場合には、スイッチ作動リブ304は送風機スイッチ87をオフ状態にする。また、スイッチ作動リブ304は、駆動ドア30がファン周方向DRcの他方側の移動端からファン周方向DRcの一方側へ回動することに伴って、送風機スイッチ87をオフ状態からオン状態に切り替える。
従って、乗員が送風機12のオンオフ切替を行うための送風機作動切替部を、シート空調装置10を搭載するシート80に配置する必要が無いというメリットがある。例えば、送風機12のモータ122と車両電源86とをつなぐ2本の電源配線と、ドア作動装置22のワイヤ等をシートバック82に配索するだけで、送風機12のオンオフ切替と、シート空調の停止および風量調整とを手動操作可能なシステム構成を実現できる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせることも可能である。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図23および図24に示すように、本実施形態では、ドア装置19は、回動ドアである駆動ドア30と従動ドア32とに替えて、一対の切替ドア34を有している。
また、第2吸込口17bの向きは第1実施形態と異なり、ファン軸方向DRaを向いている。但し、第1実施形態と同様に、第2吸込口17bには、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位からの空気が専ら流入する。例えば、図16に示す通風路823をシート80の内部に設けることで、シート表面801のうち乗員支持面802以外の部位からの空気を第2吸込口17bへ導くことができる。
図23および図24に示すように、一対の切替ドア34は、直線的な経路に沿って往復作動する平板状のスライドドアである。一対の切替ドア34は、ファン軸心CLに対して交差する方向(具体的には、ファン径方向DRrのうちの一方向)へファン軸心CLを中心として対称的に動作することにより第1吸込口17aと第2吸込口17bとを開閉する。
図23においては、一対の切替ドア34により、第1吸込口17aは全開状態にされ、第2吸込口17bは全閉状態にされている。この図23に示された状態では、第1吸込口17aから空気が矢印AR7のように遠心ファン121に吸い込まれ、その吸い込まれた空気は、矢印AR8のように遠心ファン121から径方向外側へ吹き出される。そして、その遠心ファン121から吹き出された空気は、第1実施形態と同様に、送風ダクト24を通ってシート80の後方へと吹き出される。
一対の切替ドア34は、この図23に示された状態から矢印SL1のように互いに近づくようにスライド移動すると、図24に示された状態になる。図24においては、一対の切替ドア34により、第1吸込口17aは全閉状態にされ、第2吸込口17bは全開状態にされている。この図24に示された状態では、第2吸込口17bから空気が矢印AR9のように遠心ファン121に吸い込まれ、その吸い込まれた空気は、矢印AR8のように遠心ファン121から径方向外側へ吹き出される。そして、その遠心ファン121から吹き出された空気は、送風ダクト24を通ってシート80の後方へと吹き出される。
また、一対の切替ドア34は、この図24に示された状態から矢印SL2のように互いに離れるようにスライド移動すると、図23に示された状態になる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態によれば、一対の切替ドア34は、ファン軸心CLに対して交差する方向へファン軸心CLを中心として対称的に動作することにより第1吸込口17aと第2吸込口17bとを開閉する。従って、図15の矢印FA2のようにファン軸心CLに対して偏った空気流れが遠心ファン121に吸い込まれることを、第1実施形態と同様に回避することが可能である。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせることも可能である。
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では図1に示すように、シート空調装置10はシートバック82の内部に設けられているが、シートバック82ではなくシート座部83の内部に設けられていても差し支えない。
(2)上述の各実施形態では図8等に示すように、第1吸込口17aと第2吸込口17bは別々の孔として吸込口部17に形成されているが、これは一例である。例えば、吸込口部17において、第1吸込口17aと第2吸込口17bとが互いにつながって形成されていても差し支えない。
(3)上述の各実施形態では図8等に示すように、ドア装置19は、第1吸込口17aの開度を全開状態から全閉状態までの間で連続的に変化させることができるが、第1吸込口17aの開度の変化は連続的である必要はない。例えば、ドア装置19は、第1吸込口17aを全開状態と全閉状態とに択一的に切り替えるものであってもよい。このことは、第2吸込口17bの開閉に関しても同様である。
(4)上述の各実施形態では図8に示すように、ドア装置19は、駆動ドア30と従動ドア32とを有しているが、従動ドア32を有していなくても差し支えない。また、ドア装置19は、従動ドア32を複数有していてもよいし、駆動ドア30を複数有していてもよい。
(5)上述の各実施形態では図8に示すように、駆動ドア30と従動ドア32は、吸込口部17の外側に被さるように構成されているが、これは一例である。例えば、駆動ドア30と従動ドア32とが吸込口部17の内側に設けられ、従動ドア32が駆動ドア30の外側に被さり且つ吸込口部17が従動ドア32の外側に被さるように構成されていてもよい。
(6)上述の第4実施形態では図23に示すように、一対の切替ドア34は、直線的な経路に沿って往復作動する平板状のスライドドアであるが、これは一例である。例えば、一対の切替ドア34はそれぞれ、それらの設置スペースが確保されれば、図14に示されるような門形ロータリドアであっても差し支えない。
(7)上述の各実施形態では図4に示すように、送風機12およびドア装置19は、取付プレート11に支持される構成となっているが、取付プレート11を介さずにシート80のシートフレームに支持される構成となっていても差し支えない。
(8)上述の第1実施形態では図10に示すように、ドア装置19は、ドア作動装置22を操作する乗員によって手動で作動させられるが、これは一例である。例えば、駆動ドア30に連結されたサーボモータが設けられ、ドア装置19はそのサーボモータによって作動させられても差し支えない。
(9)上述の各実施形態では図7に示すように、送風機12のモータ122はモータオンとモータオフとに択一的に切り替えられ、モータ122の回転数制御は実施されないが、これは一例である。例えば、モータ122の回転数を連続的に変更できる制御コントローラが設けられ、その制御コントローラを用いてシート80の後方へ吹き出される空気の風量が調整可能とされてもよい。
(10)上述の第1実施形態では図4に示すように、駆動ドア30と従動ドア32は、取付ネジ191によって吸込口部17に対して連結されているが、取付ネジ191の替わりにピンまたは固定爪によって、吸込口部17に対して連結されていても差し支えない。このことは、中間ギヤ20の取付けに関しても同様である。
(11)上述の第1実施形態では図10に示すように、ドア作動装置22のドア連結ギヤ221は、中間ギヤ20を介して駆動ギヤ303に噛み合っているが、中間ギヤ20が無く、ドア連結ギヤ221は駆動ギヤ303に直接噛み合っていても差し支えない。
(12)上述の各実施形態では図6に示すように、遠心ファン121は、例えばターボファンであるが、これに限らず、例えばシロッコ翼の遠心ファンであっても差し支えない。また、送風機12は遠心送風機であるが、遠心送風機ではなく、例えば軸流送風機であることも考え得る。
(13)上述の各実施形態では図4に示すように、送風機筐体13は渦巻き状ではないが、渦巻き状に空気を集風するスクロールケーシングであってもよい。
(14)上述の各実施形態では図8に示すように、駆動ドア側面開口302aは、ファン軸方向DRaの他方側が開放された切欠形状を成しているが、切欠形状ではなく孔形状であってもよい。このことは、従動ドア側面開口322aの形状についても同様である。
(15)上述の第3実施形態では図19に示すように、前席シート風量が「OFF」の場合には、後席吹出風量も送風機作動も「OFF」であるが、これに限るものではない。例えば、図19の表に示すドア連結ギヤ221の切替位置〔1〕〜切替位置〔5〕に加え、前席シート風量が「OFF」、後席吹出風量が「Hi」、且つ送風機作動が「ON」というドア連結ギヤ221の別の切替位置があってもよい。
(16)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、シート空調装置において、ドア装置は、第1吸込口を開く側に作動する場合には第2吸込口を閉じる側にも作動し、第1吸込口を閉じる側に作動する場合には第2吸込口を開く側にも作動する。第1吸込口は、シートの乗員支持面からシートの内部に流入した空気がその第1吸込口を介して送風機へ吸い込まれるように配置される。そして、第2吸込口は、第1吸込口に比して、シートの表面のうち乗員支持面以外の部位からシートの内部に流入した空気が流入し易い配置とされる。
また、第2の観点によれば、ドア装置は、第1吸込口の開度を大きくするほど第2吸込口の開度を小さくする。従って、送風機の送風量を所定風量で維持したまま、ドア装置の作動により、乗員支持面からシートの内部に流入する空気の風量を増減することが可能である。
また、第3の観点によれば、吸込口部は、第1吸込口が形成された第1吸込部と、第2吸込口が形成された第2吸込部とを有する。第2吸込部は、乗員支持面へ向かって延びる筒状を成し、第1吸込部は、第2吸込部のうち乗員支持面寄りの位置でその第2吸込部の径方向内側の空間を覆うように拡がる。そして、ドア装置は、第2吸込部の軸心まわりに回動することにより第1吸込口と第2吸込口とを開閉する。
従って、第1吸込口をシートの内部から乗員支持面に向けて開口させつつ、第2吸込口をシートの乗員支持面以外の部位に向けて開口させることが容易である。これにより、第2吸込口を、第1吸込口に比して、上記乗員支持面以外の部位からの空気が流入し易い配置とすることができる。そして、第1吸込口と第2吸込口とドア装置とを小さなスペースに配置することが可能である。
また、第4の観点によれば、ドア装置は、吸込口部に沿うように形成され上記軸心まわりに回動する駆動ドアと、駆動ドアと吸込口部との間に配置され駆動ドアによって上記軸心まわりに回動させられる従動ドアとを有している。従って、ドア装置が単一のドアで構成されている場合と比較して、第1吸込口の全開状態おける通風面積と、第2吸込口の全開状態おける通風面積とをそれぞれ大きくすることが可能である。
また、第5の観点によれば、駆動ドアは、上記軸心まわりの周方向に互いに並んで配置された壁状の駆動ドア正面壁と開口である駆動ドア正面開口とを含み第1吸込部に沿って形成された駆動ドア正面部を有する。従動ドアは、周方向に互いに並んで配置された壁状の従動ドア正面壁と開口である従動ドア正面開口とを含み駆動ドア正面部と第1吸込部との間に配置された従動ドア正面部を有する。そして、ドア装置は、第1吸込口と駆動ドア正面開口と従動ドア正面開口とが貫通孔を形成するように第1吸込口に対し駆動ドア正面開口と従動ドア正面開口とを重ねることにより第1吸込口を開く。その一方で、ドア装置は、駆動ドア正面壁と従動ドア正面壁とを周方向へ互いにずらすと共に第1吸込口に対し重ねることにより第1吸込口を閉じる。
従って、第1吸込口の全開状態おける通風面積を大きくすることに、駆動ドアの回動動作と従動ドアの回動動作とを適切に活かすことができる。
また、第6の観点によれば、第1吸込部は、第1吸込口に対し周方向に並んで配置された壁状の第1吸込部壁を有する。そして、ドア装置は、第1吸込口の開度を大きくするほど、駆動ドア正面壁のうち第1吸込部壁に対して重なる領域を大きくする。従って、第1吸込部壁を設けることによりドア装置を回動可能に支持することを可能にしつつ、その第1吸込部壁に対し駆動ドア正面壁を重ねることで、第1吸込口の全開状態おける通風面積を大きくすることができる。
また、第7の観点によれば、駆動ドアは、上記軸心まわりの周方向に互いに並んで配置された壁状の駆動ドア側面壁と開口である駆動ドア側面開口とを含み第2吸込部に沿って形成された駆動ドア側面部を有する。従動ドアは、周方向に互いに並んで配置された壁状の従動ドア側面壁と開口である従動ドア側面開口とを含み駆動ドア側面部と第2吸込部との間に配置された従動ドア側面部を有する。そして、ドア装置は、第2吸込口と駆動ドア側面開口と従動ドア側面開口とが貫通孔を形成するように第2吸込口に対し駆動ドア側面開口と従動ドア側面開口とを重ねることにより第2吸込口を開く。その一方で、ドア装置は、駆動ドア側面壁と従動ドア側面壁とを周方向へ互いにずらすと共に第2吸込口に対し重ねることにより第2吸込口を閉じる。
従って、第2吸込口の全開状態おける通風面積を大きくすることに、駆動ドアの回動動作と従動ドアの回動動作とを適切に活かすことができる。
また、第8の観点によれば、第2吸込部は、第2吸込口に対し周方向に並んで配置された壁状の第2吸込部壁を有する。そして、ドア装置は、第2吸込口の開度を大きくするほど、駆動ドア側面壁のうち第2吸込部壁に対して重なる領域を大きくする。従って、第2吸込部壁によって第1吸込部と送風機との間を連結しつつ、その第2吸込部壁に駆動ドア側面壁を重ねることで、第2吸込口の全開状態おける通風面積を大きくすることができる。
また、第9の観点によれば、駆動ドアは、吸込口部の外側に被さるように構成され、周方向の一方側へ回動するほど第2吸込口の開度を小さくする。駆動ドア側面部は、駆動ドア側面壁における周方向の一方側の一端部から第2吸込部の径方向で内側へ突き出た開放用凸部と、駆動ドア側面壁における周方向の他方側の他端部から径方向で内側へ突き出た閉塞用凸部とを有する。そして、駆動ドアは、周方向の他方側へ回動する場合においては、従動ドアの一部を開放用凸部で押すことにより従動ドアを周方向の他方側へ回動させる。逆に、駆動ドアは、周方向の一方側へ回動する場合においては、従動ドアの一部を閉塞用凸部で押すことにより従動ドアを周方向の一方側へ回動させる。
従って、開放用凸部と閉塞用凸部とにより、駆動ドアの回動に従って従動ドアを回動させることができる。そして、例えば第2吸込口が全開状態である場合には、第2吸込口が全閉状態である場合と比較して、駆動ドア側面壁と従動ドア側面壁との全体が占める周方向の幅を小さくすることができる。そのため、第2吸込口の通風面積の増減幅を大きく確保することが可能である。
また、第10の観点によれば、駆動ドア側面壁の一端部のうち径方向の外側の端縁と、駆動ドア側面壁の他端部のうち径方向の外側の端縁とには、それぞれコーナーRが形成されている。従って、そのコーナーRが形成されていない場合と比較して、第2吸込口へ流入する空気流れの乱れを抑えることが可能である。
また、第11の観点によれば、従動ドア側面部は、従動ドア側面壁における周方向の一方側の一端部から径方向で外側へ突き出た一方側従動凸部を有する。そして、従動ドアは、一方側従動凸部が開放用凸部に押されることにより周方向の他方側へ回動させられ、一方側従動凸部が閉塞用凸部に押されることにより周方向の一方側へ回動させられる。
従って、駆動ドアが第2吸込口を開く側に回動する場合において、駆動ドアにより従動ドアが共に回動させられる場合には、駆動ドア側面壁と従動ドア側面壁との重なりを最大限大きくすることができる。その一方で、駆動ドアが第2吸込口を閉じる側に回動する場合において、駆動ドアにより従動ドアが共に回動させられる場合には、駆動ドア側面壁と従動ドア側面壁との重なりを最小限にすることができる。そのため、駆動ドア側面壁が占める周方向の幅と従動ドア側面壁が占める周方向の幅とを十分に活かして、第2吸込口の通風面積の増減幅を大きく確保することが可能である。
また、第12の観点によれば、駆動ドアは、吸込口部の外側に被さるように構成され、周方向の一方側へ回動するほど第2吸込口の開度を小さくする。第2吸込部は、第2吸込部壁における周方向の一方側の一端部から第2吸込部の径方向で外側へ突き出た閉塞時停止用凸部と、第2吸込部壁における周方向の他方側の他端部から径方向で外側へ突き出た開放時停止用凸部とを有する。そして、閉塞時停止用凸部は、駆動ドアが周方向の一方側へ回動する場合に従動ドアの一部に突き当たってその従動ドアの回動を止める。その一方で、開放時停止用凸部は、駆動ドアが周方向の他方側へ回動する場合に従動ドアの一部に突き当たってその従動ドアの回動を止める。
従って、閉塞時停止用凸部と開放時停止用凸部とにより従動ドアの回動を止め、それに伴って、駆動ドアの回動も止めることができる。そして、例えば第2吸込口が全開状態である場合には、第2吸込口が全閉状態である場合と比較して、第2吸込部壁と従動ドア側面壁との全体が占める周方向の幅を小さくすることができる。そのため、第2吸込口の通風面積の増減幅を大きく確保することが可能である。
また、第13の観点によれば、第2吸込部壁の一端部のうち径方向の内側の端縁と、第2吸込部壁の他端部のうち径方向の内側の端縁とには、それぞれコーナーRが形成されている。従って、そのコーナーRが形成されていない場合と比較して、第2吸込口から空気が第2吸込部の径方向内側に入る際に生じる空気流れの乱れを抑えることが可能である。
また、第14の観点によれば、駆動ドア側面壁は、周方向の一方側に位置する一端部と、周方向の他方側に位置する他端部とを有する。上記軸心に直交する横断面において、ドア装置が第2吸込口の開度を最大にした場合には、従動ドア側面壁は、第1の仮想接線と第2の仮想接線と第2吸込部壁と駆動ドア側面壁とに囲まれる範囲内に収容される。その第1の仮想接線は、従動ドア側面壁に対して重なる第2吸込部壁の一端部と従動ドア側面壁に対して重なる駆動ドア側面壁の一端部とに対して周方向の一方側から接する接線である。また、第2の仮想接線は、その第2吸込部壁の他端部とその駆動ドア側面壁の他端部とに対して周方向の他方側から接する接線である。従って、第2吸込口の開度が最大にされた場合において第2吸込口を通過する空気流れを従動ドア側面壁が阻害しないように、従動ドアを設けることができる。
また、第15の観点によれば、従動ドア側面部は、従動ドア側面壁における周方向の他方側の他端部から径方向で内側へ突き出た他方側従動凸部を有する。そして、従動ドアは、閉塞時停止用凸部が他方側従動凸部に突き当たることにより周方向の一方側への回動を止められ、開放時停止用凸部が他方側従動凸部に突き当たることにより周方向の他方側への回動を止められる。
従って、第2吸込口が全開状態である場合には、従動ドア側面壁を第2吸込部壁に最大限重ねた状態で、従動ドアが周方向の他方側へ回動することを止めることができる。その一方で、第2吸込口が全閉状態である場合には、従動ドア側面壁と第2吸込部壁との重なりを最小限にして、従動ドアが周方向の一方側へ回動することを止めることができる。そのため、従動ドア側面壁が占める周方向の幅と第2吸込部壁が占める周方向の幅とを十分に活かして、第2吸込口の通風面積の増減幅を大きく確保することが可能である。
また、第16の観点によれば、シート空調装置は、オン状態とオフ状態とに切り替えられる送風機スイッチを備える。送風機は、送風機スイッチがオン状態にされると作動し、送風機スイッチがオフ状態にされると停止するものである。駆動ドアは、その駆動ドアの回動に伴い周方向に移動することで送風機スイッチのオン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチ操作部を有する。そして、スイッチ操作部は、駆動ドアの回動においてその駆動ドアが周方向の他方側の移動端に位置する場合には送風機スイッチをオフ状態にし、駆動ドアが他方側の移動端から周方向の一方側へ回動することに伴って送風機スイッチをオフ状態からオン状態に切り替える。
従って、乗員が送風機のオンオフ切替を行うための送風機作動切替部を、シート空調装置を搭載するシートに配置する必要が無いというメリットがある。
また、第17の観点によれば、送風機は、上記軸心まわりに回転することにより空気を吸い込むと共にその吸い込んだ空気を吹き出す羽根車を有する。第1吸込部と第2吸込部は乗員支持面と羽根車との間に配置される。そして、ドア装置が第1吸込口の開度を最大にした場合には、第2吸込部の径方向内側の空間は、上記軸心に沿って延びる空気流路を構成する。その場合、その第2吸込部の径方向内側の空間を、第1吸込口から送風機へ吸い込まれる空気を上記軸心に沿った直線的な流れにする整流区間として機能させ、その空気の流れを整流することができる。
そのため、送風機の羽根車が有する各翼の相互間において風量分布の偏りを抑えて、その風量分布の均一化を図ることができる。その結果、送風機の圧力特性や低騒音化などの送風性能を向上させることが可能である。
また、第18の観点によれば、シートの内部には、そのシートの表面のうち乗員支持面以外の部位から空気が流入する通風路が設けられている。そして、その通風路に流入した空気は、その通風路から、第1吸込口へ流れるよりも第2吸込口へ多く流れる。従って、シートの表面のうち乗員支持面以外の部位から第2吸込口を介して送風機が空気を吸い込む際に、シートの内部における通気抵抗を小さくすることができる。
また、第19の観点によれば、送風機は、所定の軸心まわりに回転することにより空気を吸い込むと共にその吸い込んだ空気を吹き出す羽根車を有する。そして、ドア装置は、上記軸心に対して交差する方向へ上記軸心を中心として対称的に動作することにより第1吸込口と第2吸込口とを開閉する一対の切替ドアを有している。
また、第20の観点によれば、第1吸込口は、シートの内部から乗員支持面に向いて開口する。そして、第2吸込口は、シートの内部から、シートの表面のうち乗員支持面以外の部位に向いて開口する。従って、第1吸込口が開口する向きと第2吸込口が開口する向きとの差異によって、容易に、第2吸込口を、第1吸込口に比して、上記乗員支持面以外の部位からの空気が流入し易い配置とすることができる。