JP2020056914A - 磁性トナー - Google Patents
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Abstract
Description
省エネルギーに対しては低温でトナーが十分に定着されることが重要となる。
この定着性改善の手段として、トナーの結着樹脂に迅速に相溶し、トナー粒子の溶融変形を促す結晶性ポリエステルをトナーに使用し、さらにトナーの粘弾特性を制御することが、幅広く検討されている。低温定着性に効果の高い結晶性ポリエステルは、その融点付近において、結着樹脂に相溶しやすいという特性を持ち、定着時にトナーが迅速に溶融変形しやすくなる。このため、結晶性ポリエステルを用いることでトナーの低温定着性は向上する。特許文献1では結晶性ポリエステルを含有したトナーが提案されている。
一成分接触現像方式は、トナー担持体と静電潜像担持体が接触配置(当接配置)された現像方式である。すなわち、これら担持体は回転することでトナーを搬送しており、接触部分は大きなシェアがかかるため、高画質の画像を得るためには、トナーは高耐久性を有することが必要となる。
耐久性の低いトナーでは、トナー粒子の割れ、欠けが発生し、トナー担持体と静電潜像担持体を汚染するなどして画質の低下を招く。特に定着ローラに割れたトナー粒子や、欠けたトナー粒子が付着した場合、メディアの巻きつきが発生することによる排紙不良が発生する。
磁性体を含有する磁性トナー(以降、単にトナーともいう)は、樹脂と磁性体の密度差が大きく、外力がかかった場合に、力が樹脂に集中し変位することで樹脂が切断され、特にトナー粒子の割れ、欠けが発生しやすい。
様々な使用環境において多数の画像出力を行いたい場合、トナーにさらなる負荷がかかるため、一層のトナーの高耐久性が必要となる。
特許文献2では磁性体を含有するトナーが提案されている。
特許文献3では、凝集法を用い、磁性体が分散した磁性トナーが提案されている。この製法は微小粒子をトナー粒子径まで凝集させる凝集工程、及び、凝集体を溶融させることで合一化しトナー化する合一工程を有する製法である。この方法ではトナー形状を変形させることが容易で流動性を高くすることができる。
、定着器に強く付着しやすくなる。
この問題を解決するため、外部添加剤として導電性微粒子をトナー粒子に添加することや磁性体を調整することで、トナーの帯電性を調整し、チャージアップを抑制する方法が数多く提案されている。
特許文献4では磁性体の表面処理を変更し、誘電正接を制御したトナーが提案されている。
特許文献2に開示された製法を用いたトナーは、円形度を高くすることが難しく、一成分接触現像方式のようなシェアのかかるシステムにおいてはトナーの融着が発生しやすいという課題を有している。さらにトナー粒子中で結着樹脂がドメインのように偏在した箇所(以降、結着樹脂のドメインともいう)が少なく、結着樹脂が細かいネットワーク構造を形成することになり、結着樹脂同士のつながりが細くなることがわかった。その結果、樹脂同士の結着力が低下して、シェアのかかるシステムでは、力を吸収することができずトナー劣化が発生しやすいという課題を有している。
逆に、磁性体が凝集したトナーでは結着樹脂の切断が発生しにくいが、磁性体の表面積の低下によって、着色力が低下し、出力画像の濃度が低下するという問題を有している。また、磁性体が凝集したトナーは、トナー粒子ごとに、磁性体の含有率に差が出やすく、特に、小粒径のトナー粒子には磁性体が導入されにくい。その結果、多数の画像出力を行う場合、画像の濃度低下が徐々に起きるという課題が存在する。
また、特許文献4に開示されたトナーは、静電オフセットが改善されるが、より厳しい低温環境での静電オフセットには未だ改善の余地があり、シェアのかかるシステムでは力を吸収することができず、トナー劣化が発生しやすいという課題を有している。
本発明は、トナーに強いシェアのかかるようなシステムにおいて画質に優れ、環境変化に強く且つ、低温定着性に優れ、厳しい環境下でも静電オフセットを抑制できる磁性トナーを提供するものである。
すなわち、本発明は、
結着樹脂、磁性体及び結晶性ポリエステルを含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーであって、
該磁性トナーの100kHzにおける誘電正接が1.0×10−2以上であり、
透過型電子顕微鏡TEMを用いた該磁性トナー粒子の断面観察において、
一辺が0.8μmの正方グリッドで該磁性トナー粒子の断面を区切った際の該磁性体の占有面積率の変動係数CV3が、30.0%以上80.0%以下であり、
該磁性トナーの粉体動的粘弾性測定において得られる、40℃における貯蔵弾性率をE’(40)[Pa]とし、85℃における貯蔵弾性率をE’(85)[Pa]としたときに、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする磁性トナーである。
E’(85)≦ 5.5×109 ・・・(1)
[E’(40)−E’(85)]×100/E’(40)≧30 ・・・(2)
また、モノマーユニットとは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。
以下、本発明の実施の形態を挙げて、さらに詳しく説明するが、これらに限定されることはない。
本発明の磁性トナー(以下、単にトナーともいう)は、
結着樹脂、磁性体及び結晶性ポリエステルを含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーであって、
該磁性トナーの100kHzにおける誘電正接が1.0×10−2以上であり、
透過型電子顕微鏡TEMを用いた該磁性トナー粒子の断面観察において、
一辺が0.8μmの正方グリッドで該磁性トナー粒子の断面を区切った際の該磁性体の占有面積率の変動係数CV3が、30.0%以上80.0%以下であり、
該磁性トナーの粉体動的粘弾性測定において得られる、40℃における貯蔵弾性率をE’(40)[Pa]とし、85℃における貯蔵弾性率をE’(85)[Pa]としたときに、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする磁性トナー。
E’(85)≦ 5.5×109 ・・・(1)
[E’(40)−E’(85)]×100/E’(40)≧30 ・・・(2)
本発明者らは、磁性トナーの誘電正接、貯蔵弾性率を特定の範囲にすることで、低温定着性の向上と静電オフセットの抑制の解決方法を見出した。
しかし、耐久性に関しては、トナー粒子の割れに課題を有していた。
本発明者らは、一成分接触現像方式のような高シェアのかかるようなシステムにおいて、結着樹脂がドメインのように他の物質を含まない部位を有することで、該ドメインが磁性トナーに加わる力を吸収し、割れを防ぐと考えた。
すなわち、磁性トナー粒子中で結着樹脂が偏在した箇所、つまり、トナー粒子が結着樹脂のドメインを有することが、トナー粒子の割れ、欠けに対して有効な解決手段であると考えた。
本発明者らは、トナー粒子の一つ一つにおいて、磁性体がある程度凝集した状態を形成させうる手段を見出した。その結果、割れに強く、低温定着性及び保存安定性に優れるト
ナーを見出し、本発明に至った。
該CV3が上記範囲にあるということは、磁性トナー粒子中で磁性体が局所に偏在していることを意味する。すなわち、磁性トナー粒子中で磁性体を偏在させることにより、磁性体が存在しない部分(つまり、結着樹脂のドメイン部分)を適度に設けることができ、その部分に外部からのシェアを吸収させることが可能となる。その結果、トナー粒子の割れが抑制され、一成分接触現像方式のような高シェアのかかるシステムにおいて、多数の画像出力を行った際の定着分離性や静電オフセットのない良好な画像を得ることができる。また割れに強くなることにより、貯蔵弾性率を向上させることが可能となり、E’(40)[Pa]の値を高くすることが可能となる。
この場合、結着樹脂は大半が細かいネットワーク構造を形成することになり、結着樹脂同士のつながりが細くなってしまう。その結果、一成分接触現像方式のようなトナーに高シェアのかかるシステムにおいて、トナー粒子が割れやすくなり、帯電不良による静電オフセットが発生する。
該CV3を上記範囲に調整する方法としては、磁性体の表面の親疎水性を制御すること、トナー粒子の製造時に磁性体の凝集度を制御することなどが挙げられる。
例えば、乳化凝集法を用いる場合、予め磁性体を凝集させてトナー粒子中に導入する方法や、合一工程において、キレート剤の添加、及び/又はpH調製を行うことで磁性体の凝集度を調整する方法などが挙げられる。
磁性体の占有面積率の平均値が上記範囲である場合、トナー粒子中の磁性体の分散状態が適正な状態となり、過度な凝集状態による着色力の低下を抑制することができる。
また、結着樹脂のドメインの存在量が適正であり、トナー粒子の割れが発生しにくい。その結果、静電オフセット、定着分離性の低下が発生しにくく、良好な画像が得られる。なお、磁性体の占有面積率の平均値を上記範囲に制御するための手法としては、磁性体の表面の親疎水性を制御すること、トナー粒子の製造時に磁性体の凝集度を制御することなどが挙げられる。
該誘電正接が上記範囲である場合、低温環境においてもトナーの帯電状態が適切になり、過度に帯電するチャージアップを起こさないことで静電オフセットを抑制し、良好な画
像が得られる。
誘電正接は、トナー粒子内における磁性体の分散性(凝集性)により制御することができる。トナー粒子内で磁性体を凝集させずに分散させることで、誘電分極が起こり易くなり、誘電正接の値を小さくすることができる。逆に、凝集させ、誘電分極を起こりにくくすることによって、誘電正接の値を大きくすることができる。また、トナー粒子間での磁性体の分散状態によっても制御することができる。
ここで誘電正接を測定する基準として周波数を100kHzとしたのは、磁性体の分散状態を検証するために好適な周波数である為である。100kHzより低周波数であると誘電正接が小さくなるために、トナーの誘電正接の変化が分かり難く、また100kHzより高周波数の場合は、温度変化させた場合の誘電正接の差が小さくなるため好ましくない。
E’(85)≦ 5.5×109 ・・・(1)
[E’(40)−E’(85)]×100/E’(40)≧30 ・・・(2)
E’(85)が5.5×109を超える場合、弾性が高すぎ、紙への密着性が下がることで低温定着性が低下し、静電オフセットが発生しやすくなる。
E’(85)の制御は結着樹脂の貯蔵弾性率、結晶性ポリエステルの添加量により制御することが可能となる。結着樹脂の貯蔵弾性率は構成モノマーの種類、分子量を適宜調整することで制御できる。
また、E’(85)は、下記式(3)満たすことが好ましい。
E’(85)≦ 5.0×109 ・・・(3)
E’(85)の下限は特に制限されないが、好ましくは5.0×108以上であり、より好ましくは1.0×109以上である。
[E’(40)−E’(85)]×100/E’(40)が30未満の場合、40℃から85℃で弾性変化が起きず、一成分接触現像方式のような高シェアのかかるシステムにおいて、トナー粒子の割れ、欠けによる定着分離性の低下、又は低温定着性の低下が発生する。
[E’(40)−E’(85)]×100/E’(40)は、40以上であることが好ましい。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは70以下であり、より好ましくは50以下であり、さらに好ましくは45以下である。
E’(40)、E’(85)は結着樹脂の貯蔵弾性率、結晶性ポリエステルの添加量により制御することが可能となる。結着樹脂の貯蔵弾性率は構成モノマーの種類、分子量を適宜調整することで制御できる。
一般的に、磁性体を含有するトナーにおいて、磁性体がトナー粒子間でより均一に含有されることが好ましい。磁性体の含有率が異なるトナー粒子が存在する場合、帯電性、磁気性能が異なることになる。その場合、特に磁気搬送を有するシステムやトナーの帯電性、磁気性能を制御して現像を行うシステムでは、トナー粒子ごとに現像時の挙動に差が出る可能性があり、結果として濃度低下など画像不良を起こす可能性がある。
また、トナーの輝度はトナーの光の散乱の程度を表す指標であり、着色剤や光を吸収する磁性体のような物質を含有することでトナーの輝度は低下する。
一方、トナーの輝度分散値は、輝度の測定においてトナー粒子の粒子1つの中で輝度にどれだけ偏りがあるかを見る指標である。そのため、輝度分散値の変動係数はトナー粒子の粒子間でどれだけ輝度にバラつきがあるかを見る指標となる。
磁性トナー粒子の粒子間での磁性体の含有率を制御し、磁性トナーの輝度と輝度分散値の変動係数を適切な値にすることで、濃度低下のない良好な画像を得ることができることを見出した。
磁性トナーのDnにおける平均輝度は、30.0以上60.0以下であることが好ましく、35.0以上50.0以下であることがより好ましい。
平均輝度が上記範囲にある場合、磁性体の含有量が適切であり、良好な着色性を示し、トナー粒子の割れを防止しやすく、定着分離性を向上させることができる。
該平均輝度は、磁性体の含有量を調整することで上記範囲に調整することができる。
磁性トナーの、Dn−1.500以上Dn−0.500以下の範囲における輝度分散値の変動係数をCV2(%)としたときに、
CV1及びCV2が、下記式(4)の関係を満たすことが好ましい。
CV2/CV1≦1.00 (4)
CV2/CV1は、0.70以上0.95以下であることがより好ましい。
CV2/CV1を上記範囲に制御する手段としては、磁性体の粒径を調整することが挙げられる。また、磁性体が小径粒子に取り込まれやすい、粉砕法や乳化凝集法などを用いてトナー粒子を製造するとよい。
CV1が上記範囲である場合、トナー粒子間での磁性体の存在状態に差が少なく、連続で画出しを行った後での画像濃度が変化しにくく、良好な画像が得られる。
CV1は、トナー粒子の製造時に磁性体の分散状態を制御することによって調整することができる。
脂肪族ビニル炭化水素:アルケン類、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン;
アルカジエン類、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン。
脂環式ビニル炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えば、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン;
テルペン類、例えば、ピネン、リモネン、インデン。
カルボキシ基含有ビニル系モノマー及びその金属塩:炭素数3以上30以下の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1以上27以下)エステル。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸のカルボキシ基含有ビニル系モノマー。
ート及びポリメタクリレート:エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート)。
カルボキシ基含有ビニルエステル:例えば、炭素数3以上20以下のアルキル鎖を有するカルボキシアルキルアクリレート、炭素数3以上20以下のアルキル鎖を有するカルボキシアルキルメタクリレート。
これらの中でも、スチレン、ブチルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレートなどが好ましい。
2価のカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸などの二塩基酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル、並びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。これらジカルボン酸の低級アルキルエステルや酸無水物も使用できる。
また、3価以上のカルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルキレングリコール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は、直鎖であっても分岐であってもよい。本発明においては、分岐構造のアルキレングリコールも好ましく用いることができる。
2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオール。
また、3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸などの1価の酸や、シクロヘキサノール及びベンジルアルコールなどの1価のアルコールも使用することができる。
結着樹脂は、非晶性ポリエステルを含むことが好ましい。
これらの中でも、紙密着性の観点から、非晶性ポリエステルの重量平均分子量は90000以下であることが好ましい。
また、繰り返し使用前後の画像濃度差の観点から、重量平均分子量は1500以上であることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の合成方法については特に限定されないが、例えばエステル交換法や直接重縮合法を、単独で又は組み合わせて用いることができる。
ポリウレタン樹脂は、ジオールとジイソシアネート基を含有する化合物との反応物である。種々のジオール及びジイソシアネート基を含有する化合物を組み合わせることにより、各種機能性を有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
ジイソシアネート基を含有する化合物としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)が6以上20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート、及びこれらジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物。以下、「変性ジイソシアネート」ともいう。)、並びに、これらの2種以上の混合物などが挙げられる。
また、脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びドデカメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらの中でも、炭素数6以上15以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数4以上12以下の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネートが好ましく、XDI、IPDI及びHDIがより好ましい。また、上記ジイソシアネートに加えて、3官能以上のイソシアネート化合物を用いることもできる。
ポリウレタン樹脂に用いることのできるジオールとしては、前述した非晶性ポリエステルに用いることのできる2価のアルコールと同様のものを例示することができる。
低温定着性の観点から、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は40.0℃以上120.0℃以下であることが好ましい。
晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)を用いた測定により、明確な融点を示す樹脂をいう。
結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数2〜12の脂肪族ジオールに由来するモノマーユニット、及び/又は炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸に由来するモノマーユニットを含有することが好ましい。
1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール。
また、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いることもできる。二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、以下の化合物を挙げることができる。
2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオール。
蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸。これら脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルや酸無水物も使用できる。
これらのうち、セバシン酸、アジピン酸及び1,10−デカンジカルボン酸、並びにそれらの低級アルキルエステルや酸無水物が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また、二重結合を有するジカルボン酸を用いることもできる。二重結合を有するジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを抑制するために好適に用いることができる。
このようなジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸及び3−オクテンジオイック酸が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステル及び酸無水物も挙げられる。これらの中でも、フマル酸及びマレイン酸がより好ましい。
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、ジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させる一般的なポリエステルの重合法によって製造することができる。例えば、直接重縮合法又はエステル交換法を用い、単量体の種類によって使い分けて製造することができる。
また、磁性体の占有面積率が低下しにくいため、過度な磁性体の凝集を抑制でき、画像
濃度の低下を抑制できる。また、相対的な結着樹脂の量が適切であるため、トナー中での結着樹脂同士のつながりが良好になる。その結果一成分接触現像方式のようなトナーに高シェアのかかるシステムにおいて、トナー粒子が割れにくくなり、帯電不良による静電オフセットや定着器汚染による定着分離性の低下を抑制できる。
ドメインの個数平均径が上記範囲にある場合、磁性体の過度な凝集を抑制し、且つ効率的に結着樹脂を可塑させることによって低温定着性が向上する。
該ドメインの個数平均径は、結晶性ポリエステルの添加量や、トナーの製造方法として乳化凝集法を用いた場合は、結晶性ポリエステル分散液中の結晶性ポリエステル粒子径、合一工程における保持時間、合一後の冷却速度などで調整することができる。
ワックスとしては、公知のワックスを用いるとよい。ワックスの具体例として以下のものが挙げられる。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムなどの石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスなど天然ワックス及びその誘導体、エステルワックスなど。
ここで、誘導体とは酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。
また、エステルワックスとしては、1分子中にエステル結合を1つ含有するモノエステル化合物、1分子中にエステル結合を2つ含有するジエステル化合物をはじめ、1分子中にエステル結合を4つ含有する4官能エステル化合物や、1分子中にエステル結合を6つ含有する6官能エステル化合物などの多官能エステル化合物を用いることができる。
モノエステル化合物の具体例としては、カルナウバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどのような脂肪酸エステル類から酸成分の一部又は全部を脱酸したもの、植物性油脂の水素添加などによって得られるもの、ヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物;ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニルなどの飽和脂肪酸モノエステル類が挙げられる。
また、ジエステル化合物の具体例としては、セバシン酸ジベヘニル、ノナンジオールジベヘネート、テレフタル酸ベヘネート、テレフタル酸ステアリルなどが挙げられる。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上25.0質量部以下であることがより好
ましい。
磁性体の一次粒子の個数平均粒径は、0.50μm以下であることが好ましく、0.05μm以上0.30μm以下であることがより好ましい。
具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させて硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万〜4万倍の拡大倍率の画像を撮影し、該画像中の100個の磁性体の一次粒子の投影面積を測定する。そして、該投影面積に等しい円の相当径を磁性体の一次粒子の粒子径とし、該100個の平均値を磁性体の一次粒子の個数平均粒径とする。
磁性体の含有量が上記の範囲内であれば、現像スリーブ内のマグネットロールとの磁気引力が適度となる。
なお、磁性トナー中の磁性体の含有量は、パーキンエルマー社製熱分析装置TGA Q5000IRを用いて測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃まで磁性トナーを加熱し、100〜750℃の減量質量を磁性トナーから磁性体を除いた成分の質量とし、残存質量を磁性体量とする。
第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウムなどのアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHを7以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。混合液のpHを5から10に維持し、空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、撹拌条件を選択することにより、磁性体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて混合液のpHは酸性側に移行していくが、混合液のpHは5未満にしない方がよい。このようにして得られた磁性体を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性体を得ることができる。
また、磁性体は必要に応じて公知の表面処理を行ってもよい。
負帯電用の荷電制御剤としては、有機金属錯化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯化合物;アセチルアセトン金属錯化合物;芳香族ハイドロキシカルボン酸又は芳香族ダイカルボン酸の金属錯化合物などが例示される。
市販品の具体例として、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89(オリエント化学工業(株))が挙げられる。
荷電制御剤は単独、又は二種以上組み合わせて用いることが可能である。
荷電制御剤の含有量は、帯電量の観点から、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
ガラス転移温度が上記範囲にある場合、保存安定性及び低温定着性を高度に両立させることができる。ガラス転移温度は、結着樹脂の組成及び結晶性ポリエステルの種類、並びに結着樹脂の分子量などにより制御することができる。
乳化凝集法を用いた場合、磁性トナーの輝度分散値の変動係数、磁性体の占有面積率の変動係数、結晶性ポリエステルのドメインの個数平均径などの上記範囲への調整が容易である。
該乳化凝集法を用いたトナー粒子の製造方法について、具体例を挙げて説明する。
(a)微粒子分散液を調製する工程、(b)凝集粒子を形成する凝集工程、(c)溶融、合一によりトナー粒子を形成する合一工程、(d)洗浄、乾燥工程。
微粒子分散液は水系媒体中に、結着樹脂、磁性体及び結晶性ポリステルなどの各材料の微粒子が分散したものである。
水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水などの水、アルコール類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水系媒体中に微粒子を分散させるための助剤を用いてもよく、助剤として界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。
具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルのようなアニオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンのようなアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムのような四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体のようなノニオン界面活性剤;アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインのような両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散機を用い、分散質を分散させる方法が挙げられる。また、有機溶剤に溶解する分散質の場合、転相乳化法を用いて水系媒体中に分散させてもよい。
転相乳化法とは、分散すべき材料を、材料が可溶な有機溶剤中に溶解し、有機連続相(O相)を中和した後、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
転相乳化法で用いられる溶剤は樹脂が溶解する溶剤であれば特に制限されるものではないが、液滴を形成する目的から疎水性、又は両親媒性の有機溶剤を用いることが好ましい。
磁性体の分散は、一次粒径が目的の粒径のものを水系媒体に分散するとよい。分散には、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散機を用いるとよい。磁性体は、水に比べ比重が重く、沈降速度が速いため、分散後は即座に凝集工程に進むことが好ましい。
微粒子分散液中の分散質は、凝集速度の制御の観点から、分散液全量に対して、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
微粒子分散液を調製した後、1種類の微粒子分散液、又は2種類以上の微粒子分散液を混合し、微粒子を凝集させた凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を調製する。
混合方法は特に制限されるものではなく、一般的な攪拌機を用いて混合することができる。
凝集は凝集粒子分散液の温度、pH、凝集剤などで制御させるものであり、どの方法を用いてもよい。
凝集粒子を形成する温度に関しては、結着樹脂のガラス転移温度−30.0℃以上、結着樹脂のガラス転移温度以下であることが好ましい。時間は工業的な観点から1〜120分程度が好ましい。
微粒子分散液の添加タイミングを制御することで、トナー粒子内部の構造を制御することが可能となる。
前述の磁性体の凝集度を制御するためには、例えば、各微粒子分散液を凝集させる前に、磁性体分散液に凝集剤を添加し、撹拌するプレ凝集工程を行うことができる。プレ凝集工程では、例えば、20〜60℃程度で、磁性体100質量部に対し、0.3〜2.0質量部程度の凝集剤を添加し、5秒〜5分程度撹拌することが好ましい。
あるいは、磁性体分散液以外の各微粒子分散液を凝集させた後に、磁性体分散液を添加しさらに凝集を行う方法も好ましい。
例えば、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)、エバラマイルダー(荏原製作所(株)製)、TKホモミックラインフロー(特殊機化工業(株)製)、クレアミックス(エムテクニック社製)、フィルミックス(特殊機化工業(株)製)などのバッチ式の乳化機、又はバッチ式及び連続式両用の乳化機が挙げられる。
製造スケールに応じて撹拌速度を適宜調整するとよい。
特に比重の重い磁性体は撹拌速度の影響を受けやすい。撹拌速度と撹拌時間を調整することで、目的の粒径に制御することが可能となる。撹拌速度が速い場合、凝集が促進されやすく、磁性体の凝集が進み、輝度の低いトナーが最終的に形成されやすい。
また、撹拌速度が遅い場合、磁性体が沈降しやすく、凝集粒子分散液が不均一となり、粒子間での磁性体の導入量に差が出やすくなる。
一方、界面活性剤を添加することでも凝集状態を制御することが可能である。
凝集の停止には、希釈、温度の制御、pHの制御、キレート剤の添加、界面活性剤の添加などが挙げられ、キレート剤の添加が製造面から好ましい。また、キレート剤の添加とpHの調整により凝集の停止を行うことが、より好ましい方法である。キレート剤の添加とpHの調整を併用した場合、その後の合一工程後に磁性体がやや凝集したトナー粒子を形成させることができる。
pHは、水酸化ナトリウム水溶液などを用いて公知の方法で調製しうる。pHを、7.0〜11.0にすることが好ましい。より好ましくは7.5〜10.0である。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤が好ましい。キレート剤の具体例としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸などのオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などが挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、磁性体100質量部に対して、10.0質量部以上100.0質量部以下であることが好ましく、20.0質量部以上70.0質量部以下であることがより好ましい。
凝集粒子を形成した後に加熱することで溶融、合一により、トナー粒子を形成する。
加熱温度は結着樹脂のガラス転移温度以上であることが好ましい。例えば、45〜130℃である。
時間は、工業的に1〜900分が好ましく、5〜500分がより好ましい。
また、凝集粒子を加熱、合一した後に、樹脂などの微粒子分散液を混合し、さらに(b)凝集粒子を形成する工程、(c)溶融、合一工程を経ることでコア/シェル構造のトナー粒子を形成させてもよい。
合一後は、公知の方法によりトナー粒子を冷却することができる。冷却速度は、0.1〜500℃/分程度が好ましい。
公知の洗浄方法、固液分離方法、乾燥方法を用いてよく、特に制限されるものではない。
ただし、洗浄工程は、帯電性の観点から、充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、生産性の観点から吸引濾過、加圧濾過などを施すことがよい。また、乾燥工程は生産性の観点から、凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥などを施すことがよい。
外添剤としては、一次粒子の個数平均粒径が、4nm以上80nm以下の無機微粒子が好ましく、6nm以上40nm以下の無機微粒子がより好ましい。
無機微粒子は、疎水化処理が施された場合、トナーの帯電性及び環境安定性をより向上させることができる。疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物などが挙げられる。該処理剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により拡大撮影されたトナーの画像を用いて算出するとよい。
しかし、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2−などの製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。
また、乾式シリカにおいては、製造工程において、例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、それらも包含する。
無機微粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。無機微粒子の含有量は、蛍光X線分析計を用い、標準試料から作成した検量線から定量するとよい。
該添加剤としては、フッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末のような滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;ケーキング防止剤などが挙げられる。該添加剤は、その表面を疎水化処理して用いることも可能である。
トナーの体積平均粒径(Dv)を上記範囲とすることで、トナーのハンドリング性を良好にしつつ、ドットの再現性を十分に満足させることができる。
また、磁性トナーの、体積平均粒径(Dv)の個数平均粒径(Dn)に対する比(Dv/Dn)は、1.25未満であることが好ましい。
平均円形度が上記範囲にある場合、一成分接触現像方式のような高シェアのかかるシステムにおいても、トナーの圧密化が発生しにくく、トナーの流動性を維持させやすい。その結果、多数の画像出力を行う際、定着分離性の低下をより抑制できる。
平均円形度は、トナーの製造時に、一般的に用いられる方法で、円形度を制御すればよく、例えば、乳化凝集法では合一工程の時間や界面活性剤の添加量を制御するとよい。
一方、現像方式として、キャリアを使用する二成分現像方式よりも一成分現像方式の方が、現像剤が収容されるカートリッジの小型化が可能である。
また、接触現像方式は、トナーの飛び散りが少なく、高品質な画像を得ることができる。すなわち、この両者を併せもつ一成分接触現像方式は、現像装置の小型化と画像の高画質化を両立させることができる。
図1は、現像装置の一例を示す模式的断面図である。また、図2は、一成分接触現像方式の画像形成装置の一例を示す模式的断面図である。
図1又は図2において、静電潜像が形成された静電潜像担持体45は、矢印R1方向に回転される。トナー担持体47は矢印R2方向に回転することによって、トナー担持体47と静電潜像担持体45とが対向している現像領域にトナー57を搬送する。また、トナー担持体47にはトナー供給部材48が接しており、矢印R3方向に回転することによって、トナー担持体47の表面にトナー57を供給している。また、トナー57は、攪拌部材58にて攪拌される。
静電潜像担持体45上の静電潜像は、現像装置49内のトナー57で現像されてトナー画像を得る。トナー画像は転写材を介して静電潜像担持体45に当接された転写部材(転写ローラ)50により転写材(紙)53上へ転写される。トナー画像の転写材への転写は、中間転写体を介して行われてもよい。トナー画像を載せた転写材(紙)53は定着器51へ運ばれ転写材(紙)53上に定着される。また、一部静電潜像担持体45上に残されたトナー57はクリーニングブレード44によりかき落とされ、クリーナー容器43に収納される。
また、トナー規制部材(図1の符号55)がトナーを介してトナー担持体に当接することによってトナー担持体上のトナー層厚を規制することが好ましい。このようにすることで規制不良の無い高画質を得ることができる。トナー担持体に当接するトナー規制部材としては、規制ブレードが一般的である。
例えば、トナー規制部材55の現像装置への固定は図1に示すようにトナー規制部材55の片側自由端を2枚の固定部材(例えば、金属弾性体、図1の符号56)で挟み込み、ビス留めにより固定するとよい。
<磁性トナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)の測定方法>
磁性トナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数25000にて行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解水溶液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180°ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の、液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散については、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「50%D径」が体積平均粒径(Dv
)、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「算術径」を個数平均粒径(Dn)とする。
磁性トナーの平均輝度、輝度分散値及びその変動係数、平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)を用い、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波分散器(「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モード、トータルカウントモードにて2000個の磁性トナーを計測する。その結果から磁性トナーの平均輝度、輝度分散値、平均円形度を算出する。
磁性トナーのDnにおける平均輝度は、磁性トナーの個数平均粒径(Dn)の結果に対して、本フロー式粒子像分析装置の円相当径を、Dn−0.500(μm)以上Dn+0.500(μm)以下の範囲に限定し、平均輝度を算出した値である。
CV1は輝度分散値の測定結果において、磁性トナーの個数平均粒径(Dn)の結果に対して、本フロー式粒子像分析装置の円相当径を、Dn−0.500(μm)以上Dn+0.500(μm)以下の範囲に限定し、輝度分散値の変動係数を計算した値である。
CV2は輝度分散値の測定結果において、磁性トナーの個数平均粒径(Dn)の結果に対して、本フロー式粒子像分析装置の円相当径を、Dn−1.500(μm)以上Dn−0.500(μm)以下の範囲に限定し、輝度分散値の変動係数を計算した値である。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本件では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用する。
解析粒子径を円相当径1.977μm以上39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行う。
結晶性ポリエステルなどの材料の最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量計(DSC) Q2000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジ
ウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしてはアルミニウム製の空パンを用いる。そのときの最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
磁性トナー又は樹脂などのガラス転移温度は、前記最大吸熱ピークのピーク温度の測定の際、示差走査熱量測定によって得られた昇温時のリバーシングヒートフロー曲線から求めることができる。比熱変化が出る前と出た後のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、リバーシングヒートフロー曲線におけるガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度(℃)である。
樹脂及びその他の材料の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピーク分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。
(1)測定試料の作製
試料とテトラヒドロフラン(THF)とを5.0mg/mLの濃度で混合し、室温にて5〜6時間放置した後、充分に振とうし、THFと試料を、試料の合一体がなくなるまで良く混ぜる。さらに、室温にて12時間以上静置する。この時、試料とTHFの混合開始時点から、静置終了の時点までの時間が72時間以上となるようにし、試料のテトラヒドロフラン(THF)可溶分を得る。
その後、耐溶剤性メンブランフィルター(ポアサイズ0.45〜0.50μm、マイショリディスクH−25−2[東ソー社製])でろ過して試料溶液を得る。
(2)試料の測定
得られた試料溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置 LC−GPC 150C(ウォーターズ社製)
カラム:Shodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807(昭和電工社製)の7連
移動相:THF
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
試料注入量:100μL
検出器:RI(屈折率)検出器
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure ChemicalCo.製又は東洋ソーダ工業社製の、分子量が6.0×102、2.1×103、4.0×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2.0×106、4.48×106のものを用いる。
樹脂粒子分散液や磁性体分散液など各微粒子分散液の分散体の粒径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定する。具体的には、JIS Z 8825−1(2001年)に準じて測定される。
測定装置としては、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いる。
測定条件の設定及び測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフト「HORIBA LA−920 for Windows(登録商標) WET(LA−920)
Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。測定手順は、以下の通りである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、相対屈折率を微粒子に対応した値に設定する。
(5)「表示条件設定」画面において、粒径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行った後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行う。
(7)ガラス製の100mL平底ビーカーに微粒子分散液を3mL入れる。さらに57mlのイオン交換水を入れて微粒子分散液を希釈する。この中に分散剤として、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(8)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。(9)前記(7)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(10)60秒間超音波分散処理を継続する。また、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(11)前記(10)で調製した微粒子分散液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%〜95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、微粒子分散液中の分散体の粒径を算出する。
磁性トナー粒子中の磁性体の占有面積率、その平均値及びその変動係数(CV3)は、以下のように算出する。
まず、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、磁性トナー粒子の断面の画像を取得する。得られた断面画像を区画法に基づき、各区画グリッドにおける磁性体の占有面積率の頻度ヒストグラムを得る。
さらに、得られた各区画グリッドの占有面積率の変動係数を求め、占有面積率の変動係数(CV3)とする。
具体的には、まず、磁性トナーを圧縮形成して錠剤とする。直径8mmの錠剤形成器に100mgの磁性トナーを充填し、35kNの力をかけて1分間静置することで錠剤を得る。
得られた錠剤を、超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により切削し、膜厚250nmの薄片サンプルを得る。
得られた薄片サンプルを、透過型電子顕微鏡(JEOL社、JEM2800)を用いてSTEM画像を撮影する。
STEM画像の撮影に用いるプローブサイズを1.0nmとし、画像サイズを1024×1024pixelとする。この際、明視野像のDetector ControlパネルのContrastを1425、Brightnessを3750、Image ControlパネルのContrastを0.0、Brightnessを0.5、Ga
mmmaを1.00に調整することで、磁性体部分のみを暗く撮影することができる。該設定により、画像処理に好適なSTEM画像が得られる。
得られたSTEM画像は、画像処理装置(株式会社ニレコ、LUZEX AP)を用いて数値化する。
具体的には、区画法により、一辺が0.8μmの正方グリッドにおける磁性体の占有面積率の頻度ヒストグラムを得る。この際、ヒストグラムの階級間隔は5%とする。
さらに、得られた各区画グリッドの占有面積率から変動係数を求め、占有面積率の変動係数CV3とする。また、占有面積率の平均値は各区画グリッドの占有面積率の平均をとったものである。
磁性トナーを可視光硬化性包埋樹脂(D−800、日新EM社製)で包埋し、超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により切削し、膜厚250nmの薄片にし、真空染色装置(フィルジェン社製)によりRu染色を行う。
その後、透過型電子顕微鏡(H7500、株式会社日立ハイテクノロジー製)を用い、加速電圧120kVで、得られた磁性トナー粒子の断面観察を行う。
観察する磁性トナー粒子の断面は、磁性トナー粒子の個数平均粒径から±2.0μm以内のものを10個選んで撮影を行い、断面画像を得る。
なお、非晶性樹脂や磁性体に比べ、結晶性ポリエステルはRuによる染色が進まず、該断面画像では黒から灰色に見える。
結晶性ポリエステルのドメインの個数平均径は、該断面画像において、長軸が20nm以上の結晶性ポリエステルのドメインを無作為に30個選び、長軸と短軸の平均値をドメイン径とし、30個の平均値をドメインの個数平均径とする。なお、ドメインの選択は同一の磁性トナー粒子中でなくてもよい。
磁性トナーの誘電特性は以下の方法で測定する。
磁性トナーを1g秤量し、20kPaの荷重を1分間かけて、直径25mm、厚さ1.5±0.5mmの円盤状の測定試料に成型する。
この測定試料を、直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(TA Instruments社製)に装着する。測定温度30℃にて250g/cm2の荷重をかけた状態で、4284AプレシジョンLCRメータ(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、100kHz、温度30℃における複素誘電率の測定値より、誘電正接を算出する。
動的粘弾性測定装置DMA8000(パーキンエルマー社製)を用いて測定を行う。
測定治具:マテリアルポケット(P/N:N533−0322)
磁性トナー80mgをマテリアルポケットに挟み、シングルカンチレバーに取り付け、トルクレンチでねじを締めて固定する。
測定は専用ソフト「DMA Control Software」(パーキンエルマー社製)を用いる。測定条件は、以下の条件で行う。
オーブン:Stnadard Air Oven
測定タイプ:温度スキャン
DMA条件:シングル周波数/ひずみ(G)
周波数:1Hz
ひずみ:0.05mm
開始温度:25℃
終了温度:180℃
走査速度:20℃/min
変形モード:シングルカンチレバー(B)
断面:直方体(R)
試験片サイズ(長さ):17.5mm
試験片サイズ(幅):7.5mm
試験片サイズ(厚さ):1.5mm
測定によって得られた貯蔵弾性率E’の曲線から、E’(40)、E’(85)を読み取り、[E’(40)−E’(85)]×100/E’(40)の値を計算する。
・テレフタル酸 30.0部
・イソフタル酸 12.0部
・ドデセニルコハク酸 37.0部
・トリメリット酸 4.2部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2モル)付加物 80.0部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2モル)付加物 74.0部
・ジブチルスズオキシド 0.1部
上記材料を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した。その後、150〜230℃で約12時間縮重合反応させた後、210〜250℃で徐々に減圧して、非晶性ポリエステルA1を得た。
非晶性ポリエステルA1の数平均分子量(Mn)は18200、重量平均分子量(Mw)は74100、ガラス転移温度(Tg)は58.6℃であった。
非晶性ポリエステルA1の製造例において、処方を表1のように変更した以外は同様にして非晶性ポリエステルA2〜A4を得た。
・1,10−デカンジカルボン酸 85.0部
・1,9−ノナンジオール 80.0部
・酸化ジブチルスズ 0.1部
上記材料を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した。その後、180℃にて6時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。粘稠な状
態となったところで空冷し、反応を停止させることで、結晶性ポリエステルB1を合成した。結晶性ポリエステルB1の重量平均分子量(Mw)は26700、融点は66.0℃であった。
結晶性ポリエステルB1の製造例において、処方を表2のように変更した以外は同様にして結晶性ポリエステルB2〜B5を得た。これらの結晶性ポリエステルは、明確な融点を有していた。
撹拌装置のついたビーカーに、100.0部の酢酸エチル、30.0部のポリエステルA1、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム0.3部、及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK)0.2部を投入し、60.0℃に加熱して、完全に溶解するまで撹拌を続け、樹脂溶解液D1を調製した。
樹脂溶解液D−1をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水90.0部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液D−1(固形分濃度:25.0質量%)を得た。
樹脂粒子分散液D−1中の樹脂粒子の体積平均粒径は0.19μmであった。
樹脂粒子分散液D−1の製造例において、処方を表3のように変更した以外は同様にして樹脂粒子分散液D−2〜D−10を得た。処方及び物性について、表3に示す。
・ベヘン酸ベヘニル 50.0部
・アニオン性界面活性剤 0.3部
(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK)
・イオン交換水 150.0部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社製)で分散処理し、ワックス粒子を分散させてなるワックス分散液W−1(固形分濃度:25質量%)を調製した。得られたワックス粒子の体積平均粒径は0.22μmであった。
Fe2+を2.0mol/L含有する硫酸鉄第一水溶液50リットルに、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液55リットルを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この水溶液を85℃に保ち、20L/minで空気を吹き込みながら酸化反応を行い、コア粒子を含むスラリーを得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過及び洗浄した後、コア粒子を水中に再度分散させた。得られたリスラリー液に、コア粒子100部当たり、珪素換算で0.20質量%となる珪酸ソーダを添加し、スラリー液のpHを6.0に調整し、撹拌することで珪素リッチな表面を有する磁性酸化鉄粒子を得た。
得られたスラリー液をフィルタープレスにてろ過、洗浄、さらにイオン交換水にてリスラリーを行った。このリスラリー液(固形分50部/L)に500部(磁性酸化鉄に対して10質量%)のイオン交換樹脂SK110(三菱化学製)を投入し、2時間撹拌してイオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂をメッシュでろ過して除去し、フィルタープレスにてろ過及び洗浄し、乾燥及び解砕して、一次粒子の個数平均粒径が0.21μmの磁性体1を得た。
磁性体1の製造例において、空気の吹き込み量と酸化反応時間を調整したこと以外は同様にして、磁性体2及び3を得た。表5に各磁性体の物性を示す。
・磁性体1 25.0部
・イオン交換水 75.0部
上記材料を混合して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて8000rpmで10分間分散し、磁性体分散液M−1を得た。磁性体分散液M−1中の磁性体の体積平均粒径は0.23μmであった。
磁性体分散液M−1の製造例において、磁性体1を、それぞれ磁性体2及び3に変更した以外は同様にして磁性体分散液M−2及び3を製造した。得られた磁性体分散液M−2中の磁性体の体積平均粒径は0.18μmであり、磁性体分散液M−3中の磁性体の体積
平均粒径は0.35μmであった。
・樹脂粒子分散液D−1(固形分25.0質量%) 150.0部
・樹脂粒子分散液D−5(固形分25.0質量%) 25.0部
・ワックス分散液W−1(固形分25.0質量%) 15.0部
・磁性体分散液M−1(固形分25.0質量%) 105.0部
ビーカーに、上記材料を投入し、水の総部数が250部になるように調整した後、30.0℃に温調した。その後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5000rpmで1分間撹拌することにより混合した。
さらに凝集剤として10.0部の硫酸マグネシウム2.0質量%水溶液を徐々に添加した。
撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターで50.0℃に加熱し撹拌することで凝集粒子の成長を促進させた。
60分間経過した段階でエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)5.0質量%水溶液を200.0部添加し凝集粒子分散液1を調製した。
続いて、凝集粒子分散液1を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.0に調整した後、凝集粒子分散液1を80.0℃に加熱し、180分間放置して、凝集粒子の合一を行った。
180分間経過後、トナー粒子が分散したトナー粒子分散液1を得た。1.0℃/分の降温速度で冷却した後、トナー粒子分散液1をろ過し、イオン交換水で通水洗浄し、ろ液の伝導度が50mS以下となったところで、ケーキ状になったトナー粒子を取り出した。次に、トナー粒子の質量の20倍量のイオン交換水中に、ケーキ状になったトナー粒子を投入し、スリーワンモータで撹拌し、充分にトナー粒子がほぐれたところで再度ろ過、通水洗浄し固液分離した。得られたケーキ状になったトナー粒子をサンプルミルで解砕して、40℃のオーブン中で24時間乾燥した。さらに得られた粉体をサンプルミルで解砕した後、40℃のオーブン中で5時間、追加の真空乾燥をして、磁性トナー粒子1を得た。
100部の磁性トナー粒子1に、一次粒子の個数平均粒径が115nmのゾルゲルシリカ微粒子を0.3部添加し、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)を用い混合した。その後、さらに一次粒子の個数平均粒径が12nmのシリカ微粒子をヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET比表面積値が120m2/gの疎水性シリカ微粒子0.9部を添加し、同様にFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)を用い混合し、磁性トナー1を得た。
得られた磁性トナー1についての下記結果を表6に示す。
個数平均粒径(Dn)、Dnにおける平均輝度[表中では、単に平均輝度と標記する]、CV2/CV1、磁性体の占有面積率の平均値[表中では、Aと標記する]、平均円形度[表中では、円形度と標記する]、結晶性ポリエステルのドメインの個数平均径[表中では、Bと標記する]、誘電正接、粉体動的粘弾性測定における85℃での貯蔵弾性率E‘(85)[表中では、単にE‘(85)と標記する]、粉体動的粘弾性測定における40℃での貯蔵弾性率E’(40)とE‘(85)の関係[E’(40)−E’(85)]×100/E’(40)[表中では、Cと標記する]、結晶性ポリエステル(CPES)の含有量(質量%)
(画像形成装置)
一成分接触現像方式のLaserJet Pro M12(ヒューレットパッカード社製)を本来のプロセススピードよりも高速である、200mm/secに改造して使用した。
また、評価結果を表7に示す。なお、各評価における評価方法及び評価基準は以下の通りである。
上記のように改造した装置に磁性トナー1を100g充填し、低温低湿環境下(15.0℃/10.0%RH)で繰り返し使用試験を行った。
試験用の出力画像としては、印字率が1%の横線画像を、2枚間欠通紙にて4000枚印字する。
なお、試験に用いる評価紙は、坪量が75g/m2のbusiness4200(Xerox社製)を用いた。
画像濃度はベタ黒画像部を形成し、このベタ黒画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。
繰り返し使用前のベタ黒画像の反射濃度の判断基準は以下の通りである。
[評価基準]
A:1.45以上
B:1.40以上1.45未満
C:1.35以上1.40未満
D:1.35未満
繰り返し使用前のベタ黒画像の反射濃度と、上記繰り返し使用試験4000枚印字後に出力したベタ黒画像の反射濃度の差が小さいほど良好とする。
[評価基準]
A:濃度差が0.10未満
B:濃度差が0.10以上0.15未満
C:濃度差が0.15以上0.20未満
D:濃度差が0.20以上
評価では、上記の画像形成装置の定着器の温度を180℃に設定し、低温低湿環境下(15.0℃/10.0%RH)に24時間放置したFox RIVER BOND紙(90g/m2)に3cm四方の孤立ドット画像(画像濃度0.75以上0.80以下に設定)を出力した後、そのドット画像の下のベタ白部に発生する静電オフセットのレベルを目視で判断した。
[評価基準]
A:目視で確認できない
B:ごくわずかに確認できる
C:オフセットしている部分が一目でわかるが、オフセットしていない部分もある
D:3cm四方の四角がはっきりと確認できる
評価では、常温常湿環境(25.0℃/50%RH)、使用装置は、上記の画像形成装置、評価紙は、坪量が75g/m2のbusiness4200(Xerox社製)を使用した。
次いで、充填したトナーを用いて、トナー載り量0.90mg/cm2となるように縦5.0cm、横20.0cmのベタ黒画像を、上記記録媒体上に形成した。この際、通紙方向における上端部の余白部分の範囲を変更しつつ、画像形成を行った。
設定温度を160℃として上記未定着画像の定着を行った。紙が定着ローラに巻きつかない最小の余白を以下の基準に沿って評価した。
[評価基準]
A:巻きつきなし
B:上端部からの余白が、1mm以上4mm未満
C:上端部からの余白が、4mm以上7mm未満
D:上端部からの余白が、7mm以上
評価環境は、常温常湿環境(25.0℃/50%RH)、使用装置は、上記の画像形成装置、評価紙は、坪量が75g/m2のbusiness4200(Xerox社製)とした。
(ポツ抜け)
評価画像はベタ黒画像とし、画像形成装置の定着器の設定温度を140℃に調整した。評価間には定着器を取り外し、定着器を、扇風機などを使用して十分に冷やした状態で以下の評価を実施した。評価後に定着器を十分に冷やしておくことで、画像出力後に上昇した定着ニップ部の温度が冷やされることで、トナーの定着性を厳しく、さらに再現良く評価することが可能である。
トナー1を用いて、定着器が十分に冷えた状態で、上記放置紙にベタ黒画像を出力した。この際、紙上のトナー載り量0.90mg/cm2となるように調節した。トナー1の評価結果においては、ポツ抜け画像のない良好なベタ黒画像が得られた。ポツ抜けについての判断基準を以下に述べる。
上記の手順で出力したベタ黒画像についてポツ抜けのレベルを目視で評価した。判断基準は以下の通りである。
A:ポツ抜けが全くない
B:よく見るとポツ抜けが若干見られる
C:ポツ抜けが見られるが目立たない
D:ポツ抜けが目立つ
評価では、評価画像をハーフトーン画像とし、上記の画像形成装置の定着器の設定温度を200℃から5℃ずつ低下させて画出しを行う。そして、55g/cm2の加重をかけたシルボン紙で定着画像を10回摺擦し、摺擦後の定着画像の濃度低下率が10%を超える温度を定着下限温度とした。
下記の判断基準に従い、低温定着性の評価を行った。なお、定着下限温度が低いほど低温定着性に優れている。
[評価基準]
A:150℃未満
B:150℃以上160℃未満
C:160℃以上175℃未満
D:175℃以上
(プレ凝集工程)
・磁性体分散液M−1(固形分25.0質量%) 105.0部
ビーカーに、上記材料を投入し、30.0℃に温調した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5000rpmで1分間撹拌し、さらに凝集剤として1.0部の硫酸マグネシウム2.0質量%水溶液を徐々に添加し、1分間撹拌した。
(凝集工程)
・樹脂粒子分散液D−1(固形分25.0質量%) 150.0部
・樹脂粒子分散液D−5(固形分25.0質量%) 10.0部
・ワックス分散液W−1(固形分25.0質量%) 15.0部
該材料を上記ビーカーに投入し、水の総部数が250部になるように調整した後、5000rpmで1分間撹拌することにより混合した。
さらに凝集剤として9.0部の硫酸マグネシウム2.0質量%水溶液を徐々に添加した。
撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターで50.0℃に加熱し撹拌することで凝集粒子の成長を促進させた。
59分間経過した段階でエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)5.0質量%水溶液を200.0部添加し凝集粒子分散液2を調製した。
続いて、凝集粒子分散液2を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.0に調整した後、凝集粒子分散液2を80.0℃に加熱し、180分間放置して、凝集粒子の合一を行った。
180分間経過後、トナー粒子が分散したトナー粒子分散液2を得た。1.0℃/分の降温速度で冷却した後、トナー粒子分散液2をろ過し、イオン交換水で通水洗浄し、ろ液の伝導度が50mS以下となったところで、ケーキ状になったトナー粒子を取り出した。次に、トナー粒子の質量の20倍量のイオン交換水中に、ケーキ状になったトナー粒子を投入し、スリーワンモータで撹拌し、充分にトナー粒子がほぐれたところで再度ろ過、通水洗浄し固液分離した。得られたケーキ状になったトナー粒子をサンプルミルで解砕して、40℃のオーブン中で24時間乾燥した。さらに得られた粉体をサンプルミルで解砕した後、40℃のオーブン中で5時間、追加の真空乾燥をして、磁性トナー粒子2を得た。
磁性トナー粒子1の製造例において、表5−1、5−2に記載した条件に変更した以外は同様にして、磁性トナー粒子3、5〜8、10〜24、26、28及び31〜32を得た。
一方、磁性トナー粒子2の製造例において、表5−1、5−2に記載した条件に変更した以外は同様にして、磁性トナー粒子4、9、25、27、及び30を得た。
なお、磁性トナー粒子3、5、6、10,23及び28の製造例では、第一凝集工程において、0.2部の界面活性剤(ノイゲンTDS−200、第一工業製薬株式会社)を添加後に、凝集剤を添加した。
なお、磁性トナー粒子8、16,17、22〜24、26,28の製造例では、50.0℃で凝集粒子の成長を促進させる第一凝集工程の後に、表5−1、5−2に記載した分散液を添加し、再び、50.0℃で凝集粒子の成長を促進させる第二凝集工程を実施した。そして、第二凝集工程後にEDTAの添加以降の工程を行った。
・樹脂粒子分散液D−1(固形分25.0質量%) 150.0部
・樹脂粒子分散液D−5(固形分25.0質量%) 25.0部
・ワックス分散液W−2(固形分25.0質量%) 15.0部
・磁性体分散液M−1(固形分25.0質量%) 105.0部
ビーカーに、上記材料を投入し、水の総部数が250部になるように調整した後、30.0℃に温調した。その後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、8000rpmで10分間撹拌することにより混合した。
さらに凝集剤として10.0部の塩化アルミニウム2.0質量%水溶液を徐々に添加した。
撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターで50.0℃に加熱し撹拌することで凝集粒子の成長を促進させた。
60分間経過した段階で0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pH5.4に調整し、続いて、凝集粒子分散液29を96.0℃に加熱し、180分間放置して、凝集粒子の合一を行った。
180分間経過後、トナー粒子が分散したトナー粒子分散液29を得た。1.0℃/分の降温速度で冷却した後、トナー粒子分散液29をろ過し、イオン交換水で通水洗浄し、ろ液の伝導度が50mS以下となったところで、ケーキ状になったトナー粒子を取り出した。
次に、トナー粒子の質量の20倍量のイオン交換水中に、ケーキ状になったトナー粒子を投入し、スリーワンモータで撹拌し、充分にトナー粒子がほぐれたところで再度ろ過、通水洗浄し固液分離した。得られたケーキ状になったトナー粒子をサンプルミルで解砕して、40℃のオーブン中で24時間乾燥した。さらに得られた粉体をサンプルミルで解砕した後、40℃のオーブン中で5時間、追加の真空乾燥をして、磁性トナー粒子29を得た。
磁性トナー1の製造例において、磁性トナー粒子1を磁性トナー粒子2〜32に変更した以外は同様にして、磁性トナー2〜32を得た。
得られた磁性トナー2〜32についての下記結果を表6に示す。
個数平均粒径(Dn)、Dnにおける平均輝度[表中では、単に平均輝度と標記する]、CV2/CV1、磁性体の占有面積率の平均値[表中では、Aと標記する]、平均円形度[表中では、円形度と標記する]、結晶性ポリエステルのドメインの個数平均径[表中では、Bと標記する]、誘電正接、粉体動的粘弾性測定における85℃での貯蔵弾性率E‘(85)[表中では、単にE‘(85)と標記する]、粉体動的粘弾性測定における40℃での貯蔵弾性率E’(40)とE‘(85)の関係[E’(40)−E’(85)]×100/E’(40)[表中では、Cと標記する]、結晶性ポリエステル(CPES)の含有量(質量%)
磁性トナー2〜32を用い、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表7に示す。
Claims (9)
- 結着樹脂、磁性体及び結晶性ポリエステルを含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーであって、
該磁性トナーの100kHzにおける誘電正接が1.0×10−2以上であり、
透過型電子顕微鏡TEMを用いた該磁性トナー粒子の断面観察において、
一辺が0.8μmの正方グリッドで該磁性トナー粒子の断面を区切った際の該磁性体の占有面積率の変動係数CV3が、30.0%以上80.0%以下であり、
該磁性トナーの粉体動的粘弾性測定において得られる、40℃における貯蔵弾性率をE’(40)[Pa]とし、85℃における貯蔵弾性率をE’(85)[Pa]としたときに、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする磁性トナー。
E’(85)≦ 5.5×109 ・・・(1)
[E’(40)−E’(85)]×100/E’(40)≧30 ・・・(2) - 前記磁性トナーにおける前記結晶性ポリエステルの含有量が15.0質量%以下である請求項1に記載の磁性トナー。
- 前記磁性体の前記占有面積率の平均値が、10.0%以上40.0%以下である請求項1又は2に記載の磁性トナー。
- 透過型電子顕微鏡で観察される前記磁性トナー粒子の断面において、前記結晶性ポリエステルのドメインが存在し、
該ドメインの個数平均径が、50nm以上500nm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性トナー。 - 前記磁性トナーの平均円形度が、0.960以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁性トナー。
- 前記結晶性ポリエステルが、炭素数2〜12の脂肪族ジオールに由来するモノマーユニット、及び/又は炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸に由来するモノマーユニットを含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁性トナー。
- 前記E’(85)[Pa]が下記式(3)を満たす請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁性トナー。
E’(85)≦ 5.0×109 ・・・(3) - 前記磁性トナーの個数平均粒径をDn(μm)とし、
該磁性トナーの、Dn−0.500以上Dn+0.500以下の範囲における輝度分散値の変動係数をCV1(%)とし、
該磁性トナーの、Dn−1.500以上Dn−0.500以下の範囲における輝度分散値の変動係数をCV2(%)としたときに
該CV1及び該CV2が、下記式(4)の関係を満たし、
該磁性トナーの該Dnにおける平均輝度が、30.0以上60.0以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁性トナー。
CV2/CV1 ≦ 1.00 ・・・(4) - 前記結着樹脂が、非晶性ポリエステルを含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁性トナー。
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