JP2020055104A - ブラシ状砥石および研磨ブラシ - Google Patents

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Abstract

【課題】ブラシホルダに多数設けた線材の束によって研磨工程を行う場合でも、研磨工程にかかる費用の低減を図ること。【解決手段】研磨ブラシ(1)のブラシ状砥石(3)は、ブラシホルダ(6)に着脱可能に保持された線材集合体(7)を備える。線材集合体(7)は、無機長繊維の集合糸に樹脂を含浸、固化させてなる多数本の線材(50)の束(51)と、束(51)の端部を保持する線材ホルダ(70)を備える。線材ホルダ(70)には、軸線L方向の他方側(L2)の面で開口する第1固定穴(733)が形成される。ブラシホルダ(6)において線材ホルダ(70)に軸線(L)方向の他方側(L2)で重なる部分には、保持穴(68)に連通する第2固定穴(693)が形成される。第2固定穴(693)から取り付けられた頭付きの止めねじ(83)は、第1固定穴(733)の雌ねじ(733a)に止められている。【選択図】図8

Description

本発明は、ブラシ状砥石および該ブラシ状砥石を有する研磨ブラシに関するものである。なお、以下の説明において、線材によってワークを研磨する際、線材の先端部は研削に近い作用を発揮する。また、線材によってワークのバリ取りを行う際も、線材の先端部は研削に近い作用を発揮する。そこで、以下の説明では、「研磨」と「研削」とを区別せずに使用する。
ブラシ状砥石としては、アルミナ長繊維等の無機長繊維の集合糸を樹脂バインダーにより固めた線材を用いたものや真鍮、ナイロン等の線材を用いたものが提案されている。かかるブラシ状砥石において、線材の束の端部は、ブラシホルダの複数の穴の各々に接着剤によって固定されている。かかるブラシ状砥石は、例えば、研磨ブラシにおいてブラシケースに保持された状態で研磨に用いられる(特許文献1参照)。
国際公開第2004/009293号
特許文献1に記載のブラシ状砥石および研磨ブラシを用いてワークの広い領域を効率よく研磨するには、ブラシホルダを大径化するとともに、線材の束をブラシホルダの広い領域にわたって多数設けた構成とする。
一方、特許文献1に記載のブラシ状砥石および研磨ブラシでは、線材にアルミナ長繊維等の無機長繊維の集合糸を用いているため、ナイロン等の線材と違って、複数の束の一部で線材が折れることがある。このような場合、ブラシ状砥石全体を交換し、交換したブラシ状砥石については廃棄する。しかしながら、大径化したブラシ状砥石は、線材の束が多数設けられているとともに、ブラシホルダを大径化した分、高価であるため、束の一部で線材が折れるたびにブラシ状砥石を交換すると、廃棄費用が嵩むという問題点がある。
また、接着剤によってブラシホルダに固定された線材が摩耗した場合には、ブラシ状砥石全体を廃棄、交換する必要があるため、コスト面および省資源化において問題点がある。
さらに、研磨対象となるワークの種類等によって、ブラシホルダに取り付けられた線材の種類や線材の束の本数を相違させる必要が発生した場合でも、特許文献1に記載のブラシ状砥石や研磨ブラシでは、線材の束が接着剤によってブラシホルダに固定されているため、線材の束の本数を変更することができない。このため、対象となるワークの種類等に対応した複数種類のブラシ状砥石を用意する必要があるが、大径化したブラシ状砥石は高価であるため、費用が嵩むという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ブラシホルダに多数設けた線材の束によって研磨工程を行う場合でも、研磨工程にかかる費用の低減を図ることのできるブラシ状砥石および研磨ブラシを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るブラシ状砥石は、多数本の線材が束になって端部が線材ホルダに固定された線材集合体と、軸線方向の一方面側で複数の保持穴が開口し、当該複数の保持穴の各々にねじ式固定機構によって前記線材ホルダが着脱可能に取り付けられたブラシホルダと、を有し、前記線材ホルダには、前記軸線方向の他方側の面で開口する第1固定穴が形成され、前記ブラシホルダにおいて前記線材ホルダに前記他方側で重なる部分には、前記保持穴に連通する第2固定穴が形成され、前記ねじ式固定機構は、前記第1固定穴に形成された雌ねじと、前記第2固定穴を前記他方側から貫通して前記雌ねじに止められた頭付きの止めねじと、を備えていることを特徴とする。かかる構成によれば、線材集合体を交換する際、第2固定穴に挿入した治具によって線材ホルダを保持穴から押し出すことができる。
本発明では、線材が束になって線材ホルダに固定された線材集合体が、ブラシホルダの保持穴に着脱可能に取り付けられている。このため、ブラシホルダに保持された複数の線材集合体の削減、追加、交換の必要が発生したとき、かかる対応を容易に行うことができる。従って、線材の束をブラシホルダの広い領域にわたって多数設けることによりワークの広い領域を効率よく研磨する構成とした場合でも、1つのブラシ状砥石において、研磨対象となるワークの種類等に応じて線材集合体の本数を変更することができる。また、線材集合体のいずれかに折れ等の不具合が発生した場合でも、必要な線材集合体のみを交換すればよく、ブラシ状砥石全体を廃棄する必要がない。それ故、研磨工程でかかる費用の低減を図ることができる。
本発明を適用したブラシ状砥石は、例えば、前記ブラシ状砥石の前記軸線方向の位置を調整可能に当該ブラシホルダを保持するブラシケースを有する研磨ブラシに用いられる。かかる構成によれば、軸線方向における線材の位置を調整することができるので、線材とワークとの接触圧を調整することができる。
参考形態1に係る研磨ブラシにおいて、ブラシケースの内部にブラシ状砥石を固定した状態を模式的に示す説明図である。 図1に示す研磨ブラシをブラシケースとブラシ状砥石とに分解した状態を模式的に示す分解斜視図である。 参考形態1に係る研磨ブラシのブラシケースの説明図である。 参考形態1に係る研磨ブラシのブラシホルダの説明図である。 参考形態1に係る研磨ブラシに用いた線材集合体の説明図である。 参考形態2に係る研磨ブラシに用いた線材集合体の説明図である。 参考形態3に係る研磨ブラシに用いた固定機構の説明図である。 本発明の実施の形態に係る研磨ブラシに用いた線材集合体の説明図である。 参考形態4に係る研磨ブラシに用いた線材集合体の説明図である。 参考形態5に係る研磨ブラシに用いた線材集合体の説明図である。 参考形態6に係る研磨ブラシに用いた線材集合体の説明図である。 参考形態6の変形例1に係る研磨ブラシに用いた線材集合体の説明図である。 参考形態6の変形例2に係る研磨ブラシに用いた線材集合体の説明図である。 参考形態6の変形例3に係る研磨ブラシに用いた線材集合体の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る研磨ブラシのブラシケースの一部を切り欠いて示す側面図である。 変形例の線材集合体を参考形態2に係る研磨ブラシに用いた場合の説明図である。 変形例の線材集合体を用いた場合の変形例のねじ式固定機構の説明図である。 変形例の線材集合体を参考形態6の変形例3に係る研磨ブラシに用いた場合の説明図である。
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明では、研磨ブラシ1およびブラシ状砥石3の軸線Lにおいて、線材50が延在している側を一方側L1とし、線材50が延在している側とは反対側を他方側L2とする。
[参考形態1]
(全体構成)
図1は、参考形態1に係る研磨ブラシにおいて、ブラシケースの内部にブラシ状砥石を固定した状態を模式的に示す説明図である。図2は、図1に示す研磨ブラシをブラシケースとブラシ状砥石とに分解した状態を模式的に示す分解斜視図である。
図1および図2に示すように、本形態の研磨ブラシ1は、アルミナ長繊維等の無機長繊維の集合糸が樹脂バインダーによって固められた複数本の線材50を備えたブラシ状砥石3と、ブラシ状砥石3を保持するブラシケース2とを有しており、線材50の自由端(先端)を利用してワーク(被研磨材)を研磨する。ブラシ状砥石3において、複数本の線材50は、複数の束51となってブラシホルダ6に保持されている。
線材50は、アルミナ繊維フィラメント等の無機長繊維の集合体にエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等のバインダー樹脂を含浸、硬化させて線状に形成したものである。集合糸は、例えば、繊維径が8〜50μmのアルミナ長繊維(無機長繊維)を250〜3000本、集合させたものであり、集合糸の径は、0.1mm〜2mmである。このため、線材50の径は、集合糸の径と同様、0.1mm〜2mmである。無機長繊維は、ワークに対して相対的に研磨性を有する材料、すなわち、研磨する材料よりも硬くてかつ脆い材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミナ繊維の他、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、あるいはガラス繊維を用いることができる。なお、研磨する材料によってはこれらが混合していてもよく、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維は、鉄系、非鉄系金属に対する研磨性が非常によい。本形態において、線材50では、無機長繊維としてアルミナ長繊維が用いられている。
また、線材50の断面形状は、円形、正多角形、または扁平形状である。ここでいう円形とは真円あるいは略真円であり、正多角形とは正方形や正六角形等であり、扁平形状とは、楕円、長円あるいは長方形等である。本形態では、線材50として、断面形状が円形のものが用いられている。なお、線材50として、断面形状が偏平形状のものを用いる場合、その扁平率(厚さ方向の寸法/幅方向の寸法)は、1.6から15、好ましくは1.6から10、さらに好ましくは2.0から4.0であることが好ましい。
(ブラシケース2の構成)
図3は、参考形態1に係る研磨ブラシ1のブラシケース2の説明図であり、図3(a)、(b)は、ブラシケース2の一部(右半部)を切り欠いて示す側面図、およびブラシケース2を軸線方向の一方側からみた底面図である。
図1、図2および図3において、ブラシケース2は、円形の上底部22を構成する金属製の端板220と、周壁23を構成する金属製の円筒体230と、上底部22の中央孔221に固定された筒部24と、筒部24に嵌った状態で筒部24にねじ止め等の方法で固定された金属製の支軸25とを備えている。円筒体230は、端板220の側板部222にねじ26によって固定されている。支軸25は、上底部22からさらに軸線L方向の一方側L1に突出しており、支軸25において上底部22から突出している部分によって、駆動用連結軸21が構成されている。支軸25は、ブラシケース2の内側において、周壁23と同心状に軸線L方向に延びている。
ブラシケース2の周壁23には、軸線L方向に対して平行に溝状に延びた一対の案内孔27が軸線Lを挟む点対称位置に形成されている。本形態では、ブラシケース2は、周壁23がアルミニウム製であり、支軸25はステンレス製である。
ブラシケース2には、線材50の自由端が位置する側(一方側L1)に向けて液状の切削剤を吐出する流路28が形成されている。かかる流路28を構成するにあたって、本形態においては、支軸25として円管状部材が用いられており、流路28は、支軸25の下端面250(端部)で吐出口280として開口している。従って、流路28の吐出口280は複数の線材50で囲まれた領域の内側で開口している。
(ブラシホルダ6の構成)
図4は、参考形態1に係る研磨ブラシ1のブラシホルダ6の説明図であり、図4(a)、(b)は、ブラシホルダ6の一部(右半部)を切り欠いて示す側面図、およびブラシホルダ6を軸線方向の一方側からみた底面図である。
図1、図2および図4において、ブラシホルダ6は、線材50の束51を保持する略円盤状である。ブラシホルダ6において軸線L方向で線材50が延在している一方側L1の面は、軸線Lが通る位置から径方向外側に離間した位置と径方向の外側端部との間に相当する部分が凹部681になっている。このため、ブラシホルダ6は、底板部61の中心に軸孔60を備えた筒部62が形成され、かかる軸孔60に支軸25が挿通する構造になっている。また、ブラシホルダ6において、底板部61の径方向外側の端部には、軸線L方向の一方側L1に向けて突出した円筒部63が形成されている。
本形態において、線材50の束51は、円筒部63の軸線L方向の一方側L1に向く先端面64から軸線L方向の一方側L1に向けて延在している状態にある。このため、円筒部63の先端面64には、周方向において等角度間隔の位置に複数の保持穴68が形成されており、かかる保持穴68に線材50の束51が保持されている。本形態では、円筒部63の先端面64に保持穴68が一重に形成されており、線材50の束51は一重に保持されている。また、ブラシホルダ6は大径化されており、ブラシホルダ6に多数の束51が保持されている。例えば、ブラシホルダ6の外径寸法は約200mmであり、ブラシホルダ6には、64本の束51が保持されている。
ここで、線材50の束51は、図5を参照して後述するように、線材ホルダ70によって端部が接着剤によって固定された線材集合体7を構成しており、線材集合体7の状態でブラシホルダ6の保持穴68に保持されている。
このように構成したブラシ状砥石3において、束51は、円筒部63の先端面64において軸孔60の周りに等角度間隔で保持されている。従って、支軸25を軸孔60に挿入した状態で、支軸25の周りでは線材50の束51が軸線Lに沿って延在している状態にある。
ここで、ブラシホルダ6の底板部61には、軸線Lを挟む点対称位置に底板部61の外周面から軸孔60に到達する穴67が形成されており、穴67の内周面のうち、軸孔60付近に位置する部分には雌ねじ670(ねじ穴)が形成されている。
(研磨ブラシ1の組み立て方法)
本形態の研磨ブラシ1を組み立てる際には、ブラシホルダ6の軸孔60に支軸25が嵌るようにブラシケース2の内側にブラシ状砥石3を挿入した後、ブラシケース2の外周側から2つの案内孔27にねじ29を通し、ねじ29をブラシホルダ6の穴67の雌ねじ6
70に止める。その際、ねじ29の先端部が支軸25の外周面に突き当たるまでねじ29を締め込む。その結果、ブラシケース2の内側において、ブラシホルダ6はねじ29を介してブラシケース2の支軸25上に固定される。本形態において、支軸25においてねじ29の先端部が突き当たる箇所は平坦面259になっている。ここで、ねじ29、案内孔27、穴67(雌ねじ670)を利用した固定部は、周方向に3個所以上、例えば、等角度間隔に3個所設けられることが好ましく、かかる構成によれば、研磨ブラシ1が大径化した場合でも、ブラシケース2にブラシ状砥石3を安定して固定することができる。
また、ブラシケース2の各案内孔27を通してブラシホルダ6の雌ねじ670にねじ29を浅く止めおき、この状態で、ブラシケース2の内側において、ブラシ状砥石3を軸線L方向に移動させれば、ブラシケース2の内側におけるブラシ状砥石3の軸線L方向における位置を調整できる。従って、ブラシケース2の下端部での線材50の自由端の突出寸法を調整することができるので、線材50の腰の強さ、すなわち、研削性やなじみ性を最適化することができる。なお、本形態においては、案内孔27が軸線Lに平行に延在している構成であったが、案内孔27が軸線Lに対して斜めに延在している構成であってもよい。
(研磨ブラシ1を用いた研磨方法)
本形態の研磨ブラシ1は、ブラシケース2の上部で突き出ている駆動用連結軸21を介して研磨機に連結される。そして、研磨機において、研磨ブラシ1は、線材50の自由端の先端がワークに接する状態で軸線L周りに回転駆動され、各種ワークの研磨やバリ取り等に用いられる。かかる研磨の際、線材50は外周側に逃げようとしても、ブラシケース2の周壁23の内面に突き当たって逃げが抑制される。なお、研磨の際、研磨ブラシ1については、回転運動に限らず、往復動作、オシレーション動作、揺動、これらの動作を組み合わせた動きを行わせることもある。さらに、研磨ブラシ1を軸線L方向に上下移動させる動きを組み合わせることもある。
このような研磨やバリ取り等を行う際、本形態では、駆動用連結軸21を介して研磨ブラシ1の支軸25に形成した流路28に液状の切削剤を供給し、吐出口280から切削剤を吐出する。その結果、線材50の先端とワークとの間に発生した削り粉は、切削剤とともに流出する。かかる切削剤としては、油性切削剤(切削油)および水溶性切削剤のいずれを用いてもよい。
このようなバリ取り加工や研磨加工を行っていくと、線材50自身も磨耗してブラシケース2の下端部での線材50の突出寸法が短くなる。この状態では良好なバリ取り加工や研磨加工を行えないので、ブラシケース2の下端部での線材50の突出寸法を調整して、線材50の腰の強さ、すなわち、研削性やなじみ性を調整する。このような調整作業を行うには、ねじ29を緩めてから、ブラシケース2の内側において、ブラシ状砥石3を軸線L方向に移動させて、ブラシケース2の内側におけるブラシ状砥石3の軸線L方向における位置を下方にずらす。従って、ブラシケース2の下端部での線材50の自由端の突出寸法を、再び、最適な寸法に調整することができる。その際、ねじ29が案内孔27に案内されることにより、ブラシケース2内において、ブラシ状砥石3は、案内孔27に沿って移動する。また、本形態において、ブラシホルダ6は、ブラシケース2に嵌った状態にあるが、ブラシホルダ6の軸孔60には支軸25が嵌っている。このため、ブラシケース2の外径寸法とブラシケース2との内径寸法との間の寸法許容差を厳しくしなくても、ブラシケース2の内側でブラシホルダ6が傾くことがない。従って、ブラシケース2の下端部での線材50の突出寸法にばらつきが発生しない。それ故、ワークに対する線材50の切り込み量が一定であるので、研削時の精度が向上する。また、ブラシホルダ6の外径寸法とブラシケース2との内径寸法との間の寸法許容差を厳しくしなくても、ブラシケース2の中心位置にブラシホルダ6を固定できるので、回転時に芯ぶれが発生しない。
(線材集合体7の構成)
図5は、参考形態1に係る研磨ブラシ1に用いた線材集合体7の説明図であり、図5(a)、(b)、(c)は、線材集合体7をブラシホルダ6に取り付ける前の状態の説明図、線材集合体7の線材ホルダ70をブラシホルダ6の保持穴68に挿入した状態の説明図、および線材集合体7の線材ホルダ70を保持穴68に止めねじ91によって固定した状態の説明図である。
図4および図5に示すように、線材50の束51は、線材ホルダ70によって端部が接着剤によって保持された線材集合体7を構成しており、線材集合体7の状態でブラシホルダ6の保持穴68に保持されている。
線材集合体7において、線材ホルダ70は、軸線L方向の他方側L2の端部に位置する底部71と、底部71の外縁から軸線L方向の一方側L1に向けて延在する円筒状の筒部72とを有しており、筒部72の内側には、線材50の束51の端部が接着剤によって固定されている。本形態において、保持穴68は円形の穴であり、線材ホルダ70の筒部72は、保持穴68の内径寸法よりわずかに小さい外径寸法を有している。
かかる構成の線材集合体7をブラシホルダ6に取り付けるにあたって、本形態では、止めねじ81を利用したねじ式固定機構7aによって、線材集合体7がブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。より具体的には、線材ホルダ70の底部71には、軸線L方向と直交する方向に貫通する第1固定穴731が形成されており、第1固定穴731の内周面には雌ねじ731aが形成されている。また、ブラシホルダ6の円筒部63には、外周面から保持穴68まで貫通する第2固定穴691が形成されて、保持穴68において、第2固定穴691が位置する側と反対側(径方向内側)の内壁689には、第2固定穴691と対向する位置に凹部681が形成されている。
本形態では、線材集合体7をブラシホルダ6に取り付けるには、まず、図5(a)に示す線材集合体7を準備した後、図5(b)に示すように、第1固定穴731の内側に止めねじ81を止める。本形態では、止めねじ81の長さ寸法が第1固定穴731の長さ寸法より小であるため、止めねじ81は、第1固定穴731から突出していない。
次に、ブラシホルダ6の保持穴68に線材集合体7の線材ホルダ70を挿入する。その際、線材ホルダ70の向きを調整し、第1固定穴731を第2固定穴691および凹部681と連通させる。次に、第2固定穴691からドライバーの軸を差し込んで、止めねじ81を締めこみ、図5(c)に示すように、止めねじ81の先端部を保持穴68の第2固定穴691が位置する側と反対側(径方向内側)の内壁689に当接させる。その結果、線材ホルダ70は、雌ねじ731aと止めねじ81とからなるねじ式固定機構7aによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられる。また、止めねじ81の先端部は凹部681の内部に進入しているので、線材集合体7の抜けを確実に防止することができる。
(線材集合体7の取り付け位置等の構成)
図4(b)に示すように、本形態の研磨ブラシ1に用いたブラシ状砥石3において、ブラシホルダ6において線材ホルダ70が取り付けられている位置(線材ホルダ70の中心)のブラシホルダ6の中心軸線(軸線L)からの径方向の距離をdとし、束51の半径をrとしたとき、
距離dおよび半径rは、以下の条件式
r<0.111d
を満たしている。このため、ブラシ状砥石3(ブラシホルダ6)を中心軸線回りに回転
させて研磨を行った際、束51においてブラシホルダ6の径方向の中心側に位置する線材50と束51においてブラシホルダ6の径方向の外側に位置する線材50とにおける周速の差を20%未満とすることができる。それ故、研磨を適正に行うことができる。
なお、上記の条件式は以下の理由により設定されている。まず、束51においてブラシホルダ6の径方向の中心側に位置する線材50の軸線Lからの半径距離は、d−rであるのに対して、束51においてブラシホルダ6の径方向の外側に位置する線材50の軸線Lからの半径距離は、d+rである。ここで、束51においてブラシホルダ6の径方向の中心側に位置する線材50と、束51においてブラシホルダ6の径方向の外側に位置する線材50とにおける周速の差は半径距離の比に相当する。従って、以下の条件式を満たすように、距離dおよび半径rを設定すれば、周速の差を20%未満とすることができる。
0.8<(d−r)/(d+r)
0.8(d+r)<(d−r)
1.8r<0.2d
r<0.111d
また、以下の条件式を満たすように、距離dおよび半径rを設定すれば、周速の差を10%未満とすることができる。
0.9<(d−r)/(d+r)
0.9(d+r)<(d−r)
1.9r<0.1d
r<0.0526d
ここで、本例では、ブラシホルダ6の保持穴68の形状を線材集合体7の線材ホルダ70と嵌合する形状としている。従って、ブラシホルダ6において線材ホルダ70が取り付けられている位置は、保持穴68の中心軸線の位置となる。よって、ブラシホルダ6において線材ホルダ70が取り付けられている位置(線材ホルダ70の中心)のブラシホルダ6の中心軸線(軸線L)からの径方向の距離dは、ブラシホルダ6の中心軸線(軸線L)から保持穴68の中心軸線までの距離である。
(線材集合体7の交換方法)
本形態のブラシ状砥石3および研磨ブラシ1を用いた研磨工程において、ブラシホルダ6に保持された複数の線材集合体7のいずれかに、線材50の磨耗、折れる等の不具合が発生したとき、止めねじ81を緩め、不具合が発生した線材集合体7をブラシホルダ6から取り外し、別の線材集合体7をブラシホルダ6に取り付けて研磨工程を行う。また、ブラシホルダ6に保持された複数の線材集合体7の全てが磨耗した場合には、止めねじ81を緩めて線材集合体7を全て交換した後、研磨工程を行う。
(線材集合体7の本数の変更方法)
本形態のブラシ状砥石3および研磨ブラシ1を用いた研磨工程において、ワークの種類が変わって、線材集合体7の本数を減らす必要が発生した場合には、止めねじ81を緩め、一部の線材集合体7をブラシホルダ6から取り外して研磨工程を行う。また、ワークの種類が変わって、線材集合体7の本数を増やす必要が発生した場合には、止めねじ81で線材集合体7をブラシホルダ6に取り付けて研磨工程を行う。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のブラシ状砥石3および研磨ブラシ1では、線材50が束51になって端部が線材ホルダ70に接着剤により固定された線材集合体7が用いられており、かかる線材集合体7は、ねじ式固定機構7aによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。このため、ブラシホルダ6に保持された複数の線材
集合体7の削減、追加、交換の必要が発生したとき、かかる対応を容易に行うことができる。従って、ブラシホルダ6を大径化するとともに、線材50の束51をブラシホルダ6の広い領域にわたって多数設けることによりワークの広い領域を効率よく研磨する構成とした場合でも、1つのブラシ状砥石3で、研磨対象となるワークの種類等に応じて線材の束の本数が相違させることができる。また、線材50の複数の束51のいずれかに磨耗、折れ等の不具合が発生した場合でも、必要な束51のみを交換すればよく、ブラシ状砥石3全体を廃棄する必要がない。それ故、研磨工程でかかる費用の低減を図ることができる。
また、ブラシホルダ6は、円盤状の底板部61と、底板部61の外周側から軸線L方向に突出した円筒部63とを備え、円筒部63の先端面64に保持穴68が形成されている。このため、ブラシホルダ6の大径化を図った場合でも、ブラシホルダ6の軽量化を図ることができる。また、底板部61の外周側からは軸線L方向に円筒部63が突出し、円筒部63は錘として機能する。従って、ブラシホルダ6を安定した状態で回転させることができる。また、円筒部63の先端面に保持穴68が形成されているので、保持穴68を十分な深さに形成することができる。それ故、線材集合体7をねじ式固定機構7aによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能とすることができる。
また、止めねじ81の長さ寸法が第1固定穴731の長さ寸法より小であるため、図5(b)に示すように、止めねじ81を第1固定穴731の内部に予め取り付けた状態で、線材ホルダ70を保持穴68に嵌めることができる。それ故、線材集合体7をブラシホルダ6に取り付ける作業を効率よく行うことができる。
[参考形態2]
図6は、参考形態2に係る研磨ブラシ1に用いた線材集合体7の説明図である。なお、本形態および後述する形態は、いずれも基本的な構成が参考形態1と同様である。従って、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
図6に示すように、本形態でも、参考形態1と同様、線材50の束51は、線材ホルダ70によって端部が保持された線材集合体7を構成しており、線材集合体7の状態でブラシホルダ6の保持穴68に保持されている。また、線材集合体7は、止めねじ81を利用したねじ式固定機構7aによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。
ここで、ブラシホルダ6において線材ホルダ70に軸線L方向の他方側L2で重なる部分には、保持穴68に連通する貫通穴66が形成されている。このため、線材集合体7を取り外す際、矢印Pで示すように、貫通穴66に挿入した治具(図示せず)によって線材ホルダ70を保持穴68から押し出すことができる。それ故、線材ホルダ70の筒部72の外径寸法を保持穴68の内径寸法よりわずかに小さく設定した場合でも、線材ホルダ70を保持穴68から容易に取り外すことができる。なお、治具は、1つの貫通穴66のみに挿入可能な構成であってもよいが、複数の貫通穴66に同時に挿入可能な構成であってもよい。その他の構成は参考形態1と同様であるため、説明を省略する。
[参考形態1および参考形態2の改良例1]
参考形態1および参考形態2において、第2固定穴691が、図7(b)に示す第2固定穴692のように、軸線L方向に延在し、円筒部63の端部まで届いている構成を採用してもよい。すなわち、本例では、第2固定穴692は、ブラシホルダ6における円筒部63の先端面64の側から切り欠かれて軸線L方向に延びる溝として形成されている。かかる構成によれば、線材ホルダ70の径方向外側に止めねじ8の端部(軸部分)が突出した状態で、第2固定穴691によって止めねじ81を軸線L方向の一方側L1から他方側
L2に向けてガイドしながら保持穴68に線材ホルダ70を嵌めることができる。それ故、線材集合体7の向きを調整した状態で、線材ホルダ70を保持穴68に挿入することができるので、線材集合体7の取り付けが容易である。また、線材集合体7を取り外す際には、止めねじ81を線材ホルダの第1固定穴732から完全に引き抜く必要がない。すなわち、線材ホルダ70の径方向外側に止めねじ81の端部が突出した状態で、第2固定穴691によって止めねじ81を軸線L方向の他方側L2から一方側L1に向けてガイドしながら保持穴68から線材ホルダ70を取り外すことができる。それ故、線材集合体7の取り外しが容易である。
[参考形態3]
図7は、参考形態3に係る研磨ブラシ1に用いたねじ式固定機構の説明図であり、図7(a)、(b)は、ねじ式固定機構の断面図および径方向外側からみた側面である。
図7(a)に示すように、本形態でも、参考形態1と同様、線材50の束51は、線材ホルダ70によって端部が保持された線材集合体7を構成しており、線材集合体7の状態でブラシホルダ6の保持穴68に保持されている。本形態において、線材集合体7は、止めねじ82を利用したねじ式固定機構7bによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。
より具体的には、線材ホルダ70の底部71には、線材ホルダ70を軸線L方向と直交する方向に貫通する第1固定穴732が形成されている。また、ブラシホルダ6には、ブラシホルダ6の外周面から保持穴68まで貫通する第2固定穴692と、保持穴68の第2固定穴692とは反対側の内壁689において第1固定穴732と連通する位置で開口する第3固定穴682とが形成されている。ここで、第3固定穴682の内周面には雌ねじ682aが形成されており、かかる雌ねじ682aには、第1固定穴732に挿入された止めねじ82が止められている。本形態では、止めねじ82として頭付きのねじが用いられており、止めねじ82の軸部821は、第1固定穴732および第3固定穴682の内側に位置し、止めねじ82の頭部822は線材ホルダ70の外周面に当接している。また、第2固定穴692は、図7(b)に示すように、軸線L方向に延在し、円筒部63の端部まで届いている。
このようにして、線材ホルダ70は、雌ねじ682aと止めねじ82とからなるねじ式固定機構7bによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。また、第2固定穴692は、ブラシホルダ6における円筒部63の先端面64の側から切り欠かれて軸線L方向に延びる溝として形成されている。このため、線材ホルダ70に止めねじ82を浅く嵌めておき、第2固定穴692によって止めねじ82の軸部821を軸線L方向の一方側L1から他方側L2に向けてガイドしながら保持穴68に線材ホルダ70を嵌めることができる。従って、線材ホルダ70に止めねじ82を予め止めた状態で、保持穴68に線材ホルダ70を嵌めることができる。また、線材集合体7の向きを調整した状態で、線材ホルダ70を保持穴68に挿入することができる。それ故、線材集合体7の取り付けが容易である。また、線材ホルダ70において止めねじ82を緩めれば、第2固定穴692によって止めねじ82の軸部821を軸線L方向の他方側L2から一方側L1に向けてガイドしながら保持穴68から線材ホルダ70を取り外すこともできる。それ故、線材ホルダ70に止めねじ82を止めた状態のまま、保持穴68から線材ホルダ70を抜くことができるので、線材集合体7の取り外しが容易である。その他の構成は参考形態1と同様であるため、説明を省略する。なお、本形態でも、図6に示す貫通穴66をブラシホルダ6に設けてもよい。
[実施の形態]
図8は、本発明の実施の形態に係る研磨ブラシ1に用いた線材集合体7の説明図である
図8に示すように、本形態でも、参考形態1と同様、線材50の束51は、線材ホルダ70によって端部が保持された線材集合体7を構成しており、線材集合体7の状態でブラシホルダ6の保持穴68に保持されている。本形態において、線材集合体7は、止めねじ83を利用したねじ式固定機構7cによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。
より具体的には、線材ホルダ70には、軸線L方向の他方側L2の面で開口する第1固定穴733が形成され、第1固定穴733の内周面には雌ねじ733aが形成されている。また、ブラシホルダ6において線材ホルダ70に軸線L方向の他方側L2で重なる部分には、保持穴68に連通する第2固定穴693が形成されており、第2固定穴693から取り付けられた頭付きの止めねじ83は、第1固定穴733の雌ねじ733aに止められている。このようにして、線材ホルダ70は、雌ねじ733aと止めねじ83とからなるねじ式固定機構7cによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。その他の構成は参考形態1と同様であるため、説明を省略する。なお、本形態では、線材集合体7を取り外す際、図6に示す貫通穴66に代えて、第2固定穴693に挿入した治具(図示せず)によって、線材集合体7を押し出すことができる。
[参考形態4]
図9は、参考形態4に係る研磨ブラシ1に用いた線材集合体7の説明図である。
図9に示すように、本形態でも、参考形態1と同様、線材50の束51は、線材ホルダ70によって端部が保持された線材集合体7を構成しており、線材集合体7の状態でブラシホルダ6の保持穴68に保持されている。本形態において、線材集合体7は、ねじ式固定機構7dによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。
より具体的には、保持穴68の内周面には雌ねじ68aが形成され、線材ホルダ70の外周面には、雌ねじ68aに止められた雄ねじ70aが形成されている。このようにして、線材ホルダ70は、雌ねじ68aと雄ねじ70aとからなるねじ式固定機構7dによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。その他の構成は参考形態1と同様であるため、説明を省略する。
[参考形態5]
図10は、本発明の参考形態5に係る研磨ブラシ1に用いた線材集合体7の説明図である。
図10に示すように、本形態でも、参考形態1と同様、線材50の束51は、線材ホルダ70によって端部が保持された線材集合体7を構成しており、線材集合体7の状態でブラシホルダ6の保持穴68に保持されている。本形態において、線材集合体7は、磁石7eを利用した磁石式固定機構7fによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。
より具体的には、線材ホルダ70は、鉄系の金属部分を含み、磁石7eに吸着可能である。本形態では、線材ホルダ70は、全体が鉄系の金属部分からなる。また、ブラシホルダ6には、線材ホルダ70を磁気吸引する磁石7eが保持されている。ここで、磁石7eは、リング状であり、ブラシホルダ6において線材ホルダ70に軸線L方向の他方側L2で重なる部分には、保持穴68に連通する貫通穴66が磁石7eの内側を通るように形成されている。このようにして、線材ホルダ70は、鉄系の金属からなる線材ホルダ70と磁石7eとからなる磁石式固定機構7fによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可
能に取り付けられている。その他の構成は参考形態1と同様であるため、説明を省略する。なお、線材ホルダ70の側に磁石7eを設けてもよいが、消耗品である線材集合体7の側に鉄系の金属部分を設けた方がコストの低減を図ることができる。
[参考形態6]
図11は、本発明の参考形態6に係る研磨ブラシ1に用いた線材集合体7の説明図である。
図11に示すように、本形態でも、参考形態1と同様、線材50の束51は、線材ホルダ70によって端部が保持された線材集合体7を構成しており、線材集合体7の状態でブラシホルダ6の保持穴68に保持されている。本形態において、線材集合体7は、止め具7iを利用した着脱式の固定機構7jによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。
より具体的には、ブラシホルダ6において線材ホルダ70に軸線L方向の他方側L2で重なる部分には、保持穴68に連通する段付きの貫通穴65が形成されている。また、線材ホルダ70の外周面には、軸線L方向の一方側L1の外径より他方側L2の外径を大とする部分(第1段部77/被支持部)が形成され、第1段部77(被支持部)は、軸線L方向の一方側L1に向いている。また、保持穴68の内周面には第1段部77を一方側L1で支持する第2段部680(支持部)が形成されている。また、ブラシホルダ6には、保持穴68に装着された線材ホルダ70を、貫通穴65を介して他方側L2から一方側L1に向けて押圧する止め具7iがねじ7k等によって着脱可能に固定されている。ここで、止め具7iは、1つの線材ホルダ70を固定する構成であってもよいが、複数の線材ホルダ70を固定する構成であってもよい。その他の構成は参考形態1と同様であるため、説明を省略する。
[参考形態6の変形例1]
図12は、本発明の参考形態6の変形例1に係る研磨ブラシ1に用いた線材集合体7の説明図である。
図12に示すように、本形態でも、参考形態1と同様、線材50の束51は、線材ホルダ70によって端部が保持された線材集合体7を構成しており、線材集合体7の状態でブラシホルダ6の保持穴68に保持されている。また、本形態においては、参考形態6と同様、線材集合体7は、止め具7iを利用した着脱式の固定機構7jによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。
より具体的には、線材ホルダ70の外周面には、軸線L方向の一方側L1の外径より他方側L2の外径を大とする部分(第1テーパ部78/被支持部)が形成され、第1テーパ部78(被支持部)は、軸線L方向の一方側L1に向いている。また、保持穴68の内周面には第1テーパ部78を一方側L1で支持する第2テーパ部685(支持部)が形成されている。また、ブラシホルダ6には、保持穴68に装着された線材ホルダ70を、貫通穴65を介して他方側L2から一方側L1に向けて押圧する止め具7iがねじ7k等によって着脱可能に固定されている。その他の構成は参考形態1、参考形態6と同様であるため、説明を省略する。
[参考形態6の変形例2]
図13は、本発明の参考形態6の変形例2に係る研磨ブラシ1に用いた線材集合体7の説明図である。
図13に示すように、本形態でも、参考形態1と同様、線材50の束51は、線材ホル
ダ70によって端部が保持された線材集合体7を構成しており、線材集合体7の状態でブラシホルダ6の保持穴68に保持されている。また、本形態においては、参考形態6と同様、線材集合体7は、止め具7iを利用した着脱式の固定機構7jによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。
より具体的には、線材ホルダ70には、軸線L方向の一方側L1に向く部分(筒部72軸線L方向の一方側L1の端面79/被支持部)が形成され、保持穴68の内周面には、保持穴68の内側に張り出して端面79を一方側L1で支持する張り出し部686(支持部)が形成されている。本形態では、端面79は、軸線L方向の一方側L1の外径より他方側L2の外径を大とするテーパ面になっており、張り出し部686の軸線L方向の他方側L2の面もテーパ面になっている。また、ブラシホルダ6には、保持穴68に装着された線材ホルダ70を、貫通穴65を介して他方側L2から一方側L1に向けて押圧する凸部7rを備えた止め具7iがねじ7k等によって着脱可能に固定されている。かかる構成によれば、軸線L方向の他方側L2から保持穴68に線材集合体7を装着した後、止め具7iをブラシホルダ6に着脱可能に固定すれば、線材集合体7をブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けることができる。その他の構成は参考形態1、参考形態6と同様であるため、説明を省略する。
[参考形態6の変形例3]
図14は、本発明の参考形態6の変形例3に係る研磨ブラシ1の説明図である。本形態の線材集合体7は、参考形態6の変形例2の線材集合体7と同一である。線材集合体7は、参考形態6の変形例2と同様に、止め具7iを利用した着脱式の固定機構7jによって、ブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられている。
本例では、保持穴68に連通する貫通穴65は段部を有さない。止め具7iは、貫通穴65に挿入された凸部7rと、貫通穴65から他方側L2に突出する突出部7sを備える。また、止め具7iは、突出部7sに設けられたフランジ7tを貫通するねじ7kにより、他方側L2からブラシホルダ6の底板部61に着脱可能に固定されている。底板部61に固定された止め具7iは、保持穴68に装着された線材ホルダ70を、貫通穴65を介して他方側L2から一方側L1に向けて押圧する。
かかる構成によれば、軸線L方向の他方側L2から保持穴68に線材集合体7を装着した後、止め具7iをブラシホルダ6に着脱可能に固定すれば、線材集合体7をブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けることができる。その他の構成は参考形態6の変形例2と同様であるため、説明を省略する。
[実施の形態2]
図15は、本発明の実施の形態2に係る研磨ブラシ1のブラシケース2の一部を切り欠いて示す側面図である。
図15において、ブラシケース2の支軸25には、線材50の径方向内側への変位を規制するストッパ9が設けられている。より具体的には、図1および図4に示す線材50より径方向内側には、円盤状のストッパ9が設けられている。このため、研磨ブラシ1を回転させながらワークの表面に沿って移動させた際、線材50がブラシケース2の径方向内側に逃げることを制限することができる。それ故、線材50とワークとの接触圧を適正なレベルに維持することができる。
[線材集合体7の変形例]
上記の例では、線材集合体7を構成する線材ホルダ70は、線材50の束51の軸線方向から見た場合に円形の外周面を備える。これに対して、外周面に雄ねじ70a形成され
た参考形態3の線材集合体7を除く他の線材集合体7では、線材ホルダ70が軸線L方向から見た場合に円形ではないホルダ部分を備えるものとしてもよい。ここで、線材集合体7として円形ではないホルダ部分を備える変形例の線材集合体7を用いる場合には、ブラシホルダ6は、保持穴68にホルダ部分と嵌合する嵌合部を備えるものとする。
図16は変形例の線材集合体7を図6に示す参考形態2に係る研磨ブラシ1に採用した場合の説明図である。図16(a)は変形例の線材集合体7を他方側L2から見た場合の斜視図であり、図16(b)は線材集合体7を保持穴68に保持させる装着動作の説明図である。図16(c)は保持穴68の周辺の断面図である。図17は変形例の線材集合体7を参考形態2に係る研磨ブラシ1に採用した場合における変形例のねじ式固定機構7aである。
図16(a)に示すように、変形例の線材集合体7は、軸線L方向から見た場合の線材ホルダ70の平面形状(軸線L方向から見た場合の底部71および筒部72の輪郭)が円形ではない。線材ホルダ70の平面形状は、第1円弧73および第2円弧74により規定されている。従って、線材ホルダ70の側面は、第1円弧73により規定された第1円弧面73aと、第2円弧74により規定された第2円弧面74aを備える。
第1円弧73は240°以上の中心角を備える。第2円弧74は、第1円弧73の一方の開放端と他方の開放端を接続している。第2円弧74の半径は第1円弧73の半径よりも長く、第2円弧74の中心は線材ホルダ70が保持穴68に保持されたときにブラシホルダ6の中心線(軸線L)と一致する。線材ホルダ70に設けられた第1固定穴731は、第1円弧73の中央および第2円弧74の中央を結ぶ線上を通過している。なお、線材ホルダ70が、軸線L方向から見た場合に円形ではない場合には、線材ホルダ70に保持された線材50の束51の半径rは、束51に外接する外接円の半径である。
保持穴68は、図16(b)、(c)に示すように、その全体が線材ホルダ70と嵌合する嵌合部となっている。従って、保持穴68は、第1円弧73と対応する円弧により規定された第1円弧内周面部分68bと第2円弧74と対応する円弧により規定された第2円弧内周面部分68cを備える。第2円弧内周面部分68cを規定する円弧の中心はブラシホルダ6の中心線(軸線L)と一致する。その他の構成は、参考形態2と同様であるため、説明を省略する。
本形態によれば、線材ホルダ70と保持穴68の嵌合により、線材ホルダ70が保持穴68内で回転することを防止できる。従って、ブラシホルダ6に固定された線材集合体7の挙動が研磨時に不安定になることを防止できる。また、線材ホルダ70を保持穴68に挿入すると線材ホルダ70の向きが規定されるので、第1固定穴731を第2固定穴691および凹部681と連通させることが容易であり、線材集合体7のブラシホルダ6への固定が容易となる。
ここで、変形例の線材集合体7を用いれば、線材ホルダ70と保持穴68の嵌合により、線材集合体7(線材ホルダ70)が保持穴68内で回転することを防止できる。従って、止めねじ81により線材ホルダ70が保持穴68内で回転することを防止する必要はない。よって、図17に示すねじ式固定機構7wによって線材集合体7をブラシホルダ6に固定することもできる。ねじ式固定機構7wでは、線材ホルダ70の第1円弧面73aの周方向の中央部分に止めねじ位置決め用凹部735を形成するとともに、ブラシホルダ6の第2固定穴691の内周面に雌ねじを形成しておく。そして、第2固定穴691に止めねじ81を締め込んで、第2固定穴691から線材ホルダ70の側に突出した止めねじ81の先端を止めねじ位置決め用凹部735内に位置させる。その後、更に止めねじ81を締め込んで線材ホルダ70に突き当てて、これにより線材ホルダ70を保持穴68の内壁
689に押し付けて線材集合体7をブラシホルダ6に固定する。
なお、線材ホルダ70に、止めねじ81よりも小径で軸線L方向と直交する方向に貫通する貫通穴を設けておき、当該貫通穴を止めねじ位置決め用凹部として用いることもできる。また、止めねじ位置決め用凹部は、省略することもできる。ここで、線材集合体7を構成する線材ホルダ70が線材50の束51の軸線方向から見た場合に円形の外周面を備える場合でも、ねじ式固定機構7wによって線材集合体7をブラシホルダ6に固定することが可能である。この場合には、線材ホルダ70の外周面に止めねじ位置決め用凹部を設けておき、第2固定穴691から線材ホルダ70の側に突出した止めねじ81の先端を止めねじ位置決め用凹部735内に位置させて更に締め付けることにより、線材集合体7(線材ホルダ70)が保持穴68内で回転することを防止する。
次に、図18は、変形例の線材集合体7を参考形態6の変形例3に係る研磨ブラシ1に採用した場合の説明図である。線材集合体7は、図16に示すものと同様に、線材ホルダ70の平面形状が第1円弧73および第2円弧74により規定されている。従って、線材ホルダ70の側面は、第1円弧73により規定された第1円弧面73aと、第2円弧74により規定された第2円弧面74aを備える。第1円弧73は240°以上の中心角を備える。第2円弧74は、第1円弧73の一方の開放端と他方の開放端を接続している。第2円弧74の半径は第1円弧73の半径よりも長く、第2円弧74の中心は線材ホルダ70が保持穴68に保持されたときにブラシホルダ6の中心線(軸線L)と一致する。
保持穴68は、その全体が線材ホルダ70と嵌合する嵌合部となっている。従って、保持穴68の内周面は、第1円弧73と対応する円弧により規定された第1円弧内周面部分68bと第2円弧74と対応する円弧により規定された第2円弧内周面部分68cを備える。本例では、保持穴68に連通する貫通穴65も、軸線L方向から見た場合に保持穴68と同一の形状を備える。また、保持穴68と貫通穴65は段差無く連続している。さらに、本例では、止め具7iの凸部7rは貫通穴65に挿入可能な形状とされている。その他の構成は、参考形態6の変形例3と同様であるため、説明を省略する。
図18(b)に示すように、本形態では、参考形態6と同様、線材集合体7は止め具7iを利用した着脱式の固定機構7jによってブラシホルダ6の保持穴68に着脱可能に取り付けられる。本形態によれば、線材ホルダ70と保持穴68の嵌合により、線材ホルダ70が保持穴68内で回転することを防止できる。従って、ブラシホルダ6に固定された線材集合体7の挙動が研磨時に不安定になることを防止できる。
なお、変形例の線材集合体7では、軸線L方向から見た場合の線材ホルダ70の平面形状が第1円弧73と第2円弧74により規定されているが、第2円弧74に替えて第1円弧73と当該第1円弧73の開放端を接続する弦(直線)によって線材ホルダ70の平面形状を規定してもよい。また、軸線L方向から見た場合の線材ホルダ70の形状を多角形形状としてもよい。さらに、線材ホルダ70における軸線L方向の一部分に円形ではない形状のホルダ部分を備えてもよい。例えば、線材ホルダ70における線材50が延在している側とは反対側の端部分に円形ではない形状のホルダ部分を備えるものとすることができる。この場合には、保持穴68の一部分にホルダ部分と嵌合する嵌合部を設ければよい。

Claims (2)

  1. 多数本の線材が束になって端部が線材ホルダに固定された線材集合体と、
    軸線方向の一方面側で複数の保持穴が開口し、当該複数の保持穴の各々にねじ式固定機構によって前記線材ホルダが着脱可能に取り付けられたブラシホルダと、
    を有し、
    前記線材ホルダには、前記軸線方向の他方側の面で開口する第1固定穴が形成され、
    前記ブラシホルダにおいて前記線材ホルダに前記他方側で重なる部分には、前記保持穴に連通する第2固定穴が形成され、
    前記ねじ式固定機構は、前記第1固定穴に形成された雌ねじと、前記第2固定穴を前記他方側から貫通して前記雌ねじに止められた頭付きの止めねじと、を備えていることを特徴とするブラシ状砥石。
  2. 請求項1に記載のブラシ状砥石を有する研磨ブラシであって、
    前記ブラシ状砥石の前記軸線方向の位置を調整可能に当該ブラシホルダを保持するブラシケースを有することを特徴とする研磨ブラシ。
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