JP2012011523A - 金属リング研削装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属リング研削装置において、研削効率を向上させる。
【解決手段】金属リング研削装置において、加工ヘッド220に研削ブラシ410を取り付けるための一端が開放した円筒状の内壁を有する取付け部214を設け、研削ブラシの結束部材412は、取付け部への嵌合に適した径を有する円柱状の嵌合部412bを結束部材の結束部412aの端面上において結束部と同軸上に有するものとし、加工ヘッドへの研削ブラシの取付けは、その結束部材の嵌合部を加工ヘッドの取付け部に嵌合させて行うようにし、結束部材の結束部の内径を結束部材の嵌合部の外径よりも大きくする。
【選択図】図4

Description

本発明は、CVTベルト用金属リングの端縁の研削加工に適した金属リング研削装置に関する。
一般に、圧延前のCVTベルト用の金属リングについては、両端の切断面における傷やクラック等を取り除き、耐久性を向上させるために、両端縁にR加工を施す必要がある。この加工に用いる装置として、従来、複数の金属リングを保持して各金属リングを円周方向に回転させる金属リング回転手段と、該回転する金属リングを横切る円軌道に沿って複数の研削ブラシを一体的に回転させる加工ヘッドとを備えた研削装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この研削装置においては、金属リング回転手段により各金属リングを回転させながら、各研削ブラシの先端が各金属リングの加工ヘッド側に位置する端縁を外側から内側へ、そして内側から外側へと横切るように、各研削ブラシを移動させることによって該一方の端縁の研削加工が行われる。他方の端縁の研削加工も、金属リングを反対に保持し直してから同様にして行われる。
各研削ブラシは砥粒入りの多数のブラシ素線を束ねて構成されたものである。金属リングの研削加工に際しては、各研削ブラシは、先端部が磨耗しながら金属リングの端部をR形状に研削加工する。
特開2008−142836号公報
しかしながら、上述従来の研削装置によれば、金属リング両端の切断面における傷やクラック等を確実に除去することができるように、両端縁の研削量を増加させるためには、その増加分だけ、加工時間を増加させる必要がある。なお、金属リングの回転速度を増加させる方法も考えられるが、これによれば、金属リングに対して砥粒を打ち込んでしまうおそれがあるので、好ましくない。
また、金属リングに作用する研削ブラシの数が加工時間に影響するので、加工時間を増加させずに、研削ブラシの数を増加させる方法も考えられる。しかしながら、これによれば、研削ブラシを回転させる加工ヘッドを大型化し、加工ヘッドに対する研削ブラシの取付け部を増加させる必要がある。すなわち、既存の加工ヘッドを有効利用することができない。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、金属リング研削装置において、加工時間や研削ブラシの数を増加させる必要なく、研削効率を向上させることにある。
この目的を達成するため、本発明に係る金属リング研削装置は、金属リングを保持してその円周方向に回転させる金属リング回転手段と、多数のブラシ素線を、一端が開放した円筒状の結束部を有する結束部材によって基端部を結束することにより円柱状に束ねて構成した研削ブラシと、前記研削ブラシを、その先端が、前記金属リング回転手段上で回転している金属リングを外側から内側へ、そして内側から外側へ横切るような周回軌道に沿って移動させることにより該金属リングの端縁の研削加工を行う加工ヘッドとを備え、前記加工ヘッドは前記研削ブラシを該加工ヘッドに取り付けるための一端が開放した円筒状の内壁を有する取付け部を備え、前記結束部材は、前記取付け部の内壁への嵌合に適した径を有する円柱状の嵌合部を該結束部材の結束部の端面上において該結束部と同軸上に備え、前記加工ヘッドへの研削ブラシの取付けは、該研削ブラシの結束部材の嵌合部を該加工ヘッドの取付け部に嵌合させて行われ、前記結束部材の結束部の内径は該結束部材の嵌合部の外径よりも大きいことを特徴とする。
これによれば、上記の嵌合部を有する研削ブラシは、同じ加工ヘッドに取り付けられる従来の研削ブラシよりも結束部の内径が大きくなる。つまり、従来の研削ブラシは、嵌合部を備えておらず、結束部がそのまま加工ヘッドの取付け部に嵌合されて加工ヘッドへの取付けが行われるようになっており、該嵌合部と同等の外径を有するからである。
したがって、上記の嵌合部を有する研削ブラシを用いることにより、従来の加工ヘッドをそのまま利用しながら、研削ブラシを構成するブラシ素線の数を従来の研削ブラシの場合よりも多くすることができる。したがって研削加工に際しては、従来の研削ブラシよりも多くのブラシ素線が金属リングに接触するので、研削効率を向上させることができる。
また、本発明は、さらに、前記研削ブラシを長さ方向の軸の周りに回転させるブラシ回転手段と、前記研削加工が行われていないとき、次の研削加工に先立ち、前記研削ブラシが長さ方向の軸の周りに所定の角度だけ回転するように前記ブラシ回転手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
これによれば、次の研削加工に先立ち、研削ブラシを所定角度回転するにようにしたため、研削加工を行う毎に、研削ブラシを所定角度ずつ回転させることができる。したがって、研削ブラシを構成するブラシ素線の数が増大し、偏磨耗が生じやすくなった場合でも、研削ブラシを構成するブラシ素線が金属リングに接触している時間を、各ブラシ素線間でほぼ均等となるようにして、偏磨耗の発生を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る金属リング研削装置の斜視図である。 図1の装置における加工ヘッドの構成を示す断面図である。 図1の装置におけるワークW、加工ヘッド、及び研削ブラシの回転方向を示す図である。 図2における研削ブラシよりも径の大きい研削ブラシをブラシホルダに取り付ける様子を示す断面図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る金属リング研削装置の斜視図である。図2(a)はこの金属リング研削装置における加工ヘッドの構成を示す断面図であり、図2(b)は図2(a)と異なる部分の断面図である。
これらの図に示すように、金属リング研削装置は、研削加工が施される複数のワークWを保持するワーク保持部100と、ワーク保持部100により保持されたワークWに対して研削加工を施す加工ヘッド200とを備える。ワークWはCVTベルト用の圧延前の金属リングである。
ワーク保持部100は、円板状のテーブル110と、テーブル110上に設けられた複数のワーク保持手段120と、テーブル110上において、ワーク保持手段120毎に1つずつが設けられた噴射ノズル130及び140とを備える。
ワーク保持手段120は中心部を円形に取り除いた円板を扇型に分割したような複数の部材121を備え、各部材121の外側端面により形成される円筒状の保持面により、ワークWを保持する。ワークWの保持は、各部材121を互いに近接させて保持面の半径を小さくした状態で保持面の周囲にワークWを配置し、その後、各部材121を離間させて保持面の半径を拡大させ、保持面をワークWの内周面に接触させることにより行われる。
ワーク保持手段120はまた、円環状に保持しているワークWを、その円周方向に沿って回転させる機能を有する。この機能は、図示していないモータが、ワーク保持手段120をその中心軸の周りに回転させることにより実現される。
噴射ノズル130及び140は、ワーク保持手段120により保持されたワークW等に研削液を噴射するためのノズルである。研削液の噴射は、図示していないタンクからポンプによりチューブ等を介して研削液を噴射ノズル130及び140に供給することにより行われる。噴射ノズル130及び140は噴射角度が異なる。
加工ヘッド200は、ワーク保持手段120上のワークWを研削する2種類のブラシユニット210a及び210bと、各ブラシユニット210a及び各ブラシユニット210bを、それぞれの軸の周りに回転自在に保持する円板状のブラシホルダ220と、ブラシホルダ220の下方において各ブラシユニット210a及び210bの研削ブラシを、上下方向に摺動可能に、水平方向に対して支持する円板状の支持板230とを備える。
加工ヘッド200は、さらに、図示していない駆動モータにより回転駆動される回転部240と、回転部240及び支持板230間を連結する連結ロッド250と、ブラシホルダ220を昇降させる昇降軸260と、ブラシユニット210a及び210bのそれぞれに回転力を付与する駆動シャフト270及び280と、駆動シャフト270及び280をそれぞれ回転させる回転ロッド291及び292とを備える。
ブラシユニット210a及び210bはそれぞれ、ワークWを研削する研削ブラシ211と、研削ブラシ211を保持して回転する回転シャフト212と、回転シャフト212に対し回転自在に取り付けられたアイドルギア213aと、回転シャフト212に対し固定して取り付けられた固定ギア213bとを備える。
なお、図2(a)中のブラシユニット210bは、本来は図2(a)の断面とは異なる断面に位置するが、ブラシユニット210aとの関係が分かり易いように、同一の断面上に示している。
研削ブラシ211は、砥石の砥粒が中に埋め込まれた多数のプラスチック線材211aを円柱状に束ね、その根本をキャップ状の結束具211bにより結束して構成される。各回転シャフト212の下端には、下端が開放した円筒状のブラシ保持部214が設けられる。ブラシ保持部214に挿入された結束具211bが、ブラシ保持部214の側壁を貫通するネジ215によりブラシ保持部214に固定される。
ブラシユニット210a及び210bは、回転シャフト212を介し、ブラシホルダ220に対し、その周辺に沿って、交互に等間隔で配置される。配置されるブラシユニット210aの数及びブラシユニット210bの数は、同数であり、かつ合計が偶数となっている。各回転シャフト212は、ブラシホルダ220により回転自在に支持される。回転軸は、ブラシホルダ220の板面に垂直である。
アイドルギア213a及び固定ギア213bは、各1つを1組として、各回転シャフト212上に1組ずつが設けられる。アイドルギア213a及び固定ギア213bはいずれも回転軸が回転シャフト212の回転軸に一致する平歯車である。
各回転シャフト212は下端が各ブラシ保持部214の上端中央に固定され、上部がブラシホルダ220の上面から突出しており、回転軸は対応する研削ブラシ211の軸に一致する。アイドルギア213a及び固定ギア213bは突出した回転シャフト212部分に設けられる。
ブラシユニット210aは、アイドルギア213aを回転シャフト212の上端側に備え、その下側に固定ギア213bを備える。ブラシユニット210bは、逆に、固定ギア213bを回転シャフト212の上端側に備え、その下側にアイドルギア213aを備える。
すなわち、ブラシユニット210a及び210bは1つ置きにアイドルギア213aを介在させた上下2段のギア列を構成しており、アイドルギア213aの位置は各ギア列で互い違いにずれている。これにより、各研削ブラシ211は1つ置きに上段ギア列によって同一方向に回転駆動され、他の研削ブラシ211が下段ギア列によって同一方向に回転駆動されるようになっている。
駆動シャフト270及び280は、それぞれ1つのブラシユニット210a及び1つのブラシユニット210bの近傍において、ブラシホルダ220に対し、回転自在に設けられる。回転軸はブラシホルダ220の板面に垂直である。駆動シャフト270は該1つのブラシユニット210aの固定ギア213bと噛み合うピニオンギア271と、上端に設けられた連結部272とを同軸上に備える。
駆動シャフト280は該1つのブラシユニット210bの固定ギア213bと噛み合うピニオンギア281と、上端に設けられた連結部282とを同軸上に備える(図2(b))。上述のようにブラシユニット210a及び210bは交互に配置され、ブラシユニット210aのアイドルギア213a及び固定ギア213bはそれぞれ、ブラシユニット210bの固定ギア213b及びアイドルギア213aと噛み合う。
したがって、駆動シャフト270が一方向に所定角度だけ回転した場合、これと逆方向にかつ対応する角度だけ、すべてのブラシユニット210aが、同一の方向及び角度で回転する。同様に、駆動シャフト280が一方向に所定角度だけ回転した場合、これと逆方向にかつ対応する角度だけ、すべてのブラシユニット210aが、同一の方向及び角度で回転する。
回転ロッド291及び292は、所定のタイミングで下降し、それぞれ駆動シャフト270及び280の連結部272及び282に連結し、駆動シャフト270及び280と一体的に回転するように構成される。回転ロッド291及び292の駆動は、図示していない駆動機構により行われる。回転ロッド291及び292の回転角度は、該駆動機構を構成するアクチュエータの駆動回数により決定することができる。
ブラシホルダ220は連結ロッド250が貫通する貫通孔221を有する。ブラシホルダ220は貫通孔221を介し、連結ロッド250により水平方向に拘束され、かつ連結ロッド250に沿って上下方向に摺動可能となっている。ブラシホルダ220には昇降軸260の下端が固定される。
支持板230には各研削ブラシ211の中間部を水平方向に支持する貫通孔231が設けられる。従来の各研削ブラシ211は、昇降軸260によるブラシホルダ220の昇降動作により、各研削ブラシ211の交換時には貫通孔231から引き出され、使用時には貫通孔231に挿入され、昇降移動や高さ調整が適宜行われる。昇降軸260の昇降動作は図示していないモータにより行われる。
各連結ロッド250はブラシホルダ220及び支持板230の中心から半径方向に等距離の位置に、等間隔で配置される。各連結ロッド250の下端は、支持板230に固定される。
回転部240はブラシホルダ220及び支持板230の中心を通る回転軸の周りに、図示していないモータにより回転される。その回転力は、連結ロッド250によりブラシホルダ220及び支持板230に伝達され、ブラシホルダ220、支持板230、及び昇降軸260の一体的な回転を生じさせる。これにより、各ブラシユニット210a及び210bは、回転部240の回転軸を中心として、配列方向に沿って一体的に回転する。
図3はワークW、加工ヘッド200、及び研削ブラシ211の回転方向を示す。同図のように、すべてのワークWはワーク保持手段120により矢印31で示される同一方向に回転する。各研削ブラシ211は加工ヘッド200の回転に伴い、矢印32の方向に一体的に回転(公転)する。これらの回転はワークWの各端縁の研削時に行われる。
また、すべての研削ブラシ211は、アイドルギア213a及び固定ギア213bを介して付与される回転力により、それぞれの回転軸の周りに、矢印33で示される同一方向に回転(自転)する。この回転は、所定のタイミングで間欠的に行われる。たとえば、ワークWの1つの端縁の研削加工が終了する毎に行われる。
図4は研削ブラシ211よりも径の大きい研削ブラシ410をブラシホルダ220に取り付ける様子を示す。研削ブラシ410は多数のブラシ素線411を、一端が開放した円筒状の結束部412aを有する結束部材412によって基端部を結束することにより円柱状に束ねて構成される。
結束部材412は、ブラシ保持部214の内壁への嵌合に適した径を有する円柱状の嵌合部412bを結束部412aの端面上において結束部412aと同軸上に備える。結束部412aの内径は嵌合部412bの外径よりも大きい。したがって、研削ブラシ410を構成するブラシ素線411の数は、研削ブラシ211の場合よりも多く、約倍となっている。
ブラシホルダ220への研削ブラシ410の取付けは、図4で示されるように、所定の交換位置までブラシホルダ220を上昇させてから、研削ブラシ410の嵌合部412bをブラシ保持部214に嵌合させ、ネジ215により固定することにより行われる。このとき、支持板230(図2)に代えて、研削ブラシ410に適合した径の貫通孔431を有する支持板430に交換される。
研削ブラシ410の取付け完了後には、ブラシホルダ220は図2で示されるような所定の位置まで下降される。これにより研削ブラシ410の先端は、ブラシホルダ220により、貫通孔431を介し、上下方向に摺動可能に、水平方向に支持される。
なお、上記金属リング研削装置の各部の動作は図示していない制御部により行われる。ただし、ワーク保持手段120に対するワークWの装着及び取外しに際しては、半径が小さくなった保持面周囲へのワークWの配置や、研削加工が終了したワークWの取出し等については、作業者が行うようにしてもよい。
この構成において、ワークWの研削加工を行うに際しては、まず、ワークWが1つずつ各ワーク保持手段120に装着される。このとき、各ワークWの上側に位置している各端縁は同一面上に位置し、かつその面は回転部240の回転軸に垂直となっている。
次に、各ワーク保持手段120について、図3における矢印31方向への回転が開始される。さらに、各研削ブラシ211の先端が各ワークWの端縁の位置に位置するようにブラシホルダ220が下降され、かつ加工ヘッド200の矢印32方向への回転が開始される。これにより、各ワークWは矢印31方向への回転(自転)を開始し、研削ブラシ211は矢印32方向への一体的回転(公転)を開始する。
このとき、各研削ブラシ211の先端が、各ワークWの上側に位置している端縁よりも低い適切な位置に位置し、各ワークWに同一条件で作用するように、ブラシホルダ220の上下方向位置が調整される。これにより各研削ブラシ211は、先端部分が、回転している各ワークWを外側から内側へ横切り、さらに内側から外側へ横切るような円周軌道に沿って回転する。
その際、研削ブラシ211は、ブラシ素線の集合体であるため、ワークWに対しては、剛体的にではなく、柔軟に作用する。これにより、ワークWの一方の端縁が主に研削されてゆくことになる。
この研削に際しては、各研削ブラシ211の先端も同時に、各ワークWを横切るときの衝撃力等によって磨耗してゆく。この磨耗は先端各部の研削負荷量に関係するため、各部の研削負荷量に応じて磨耗量に偏りが生じる。
すなわち、研削ブラシ211が移動する円周軌道における各ワークWの配置は均等ではないため、そのワークWの研削量等の違いにより、先端各部の磨耗量に変化を来たし、偏磨耗を生じると考えられる。これにより、各ワークWの一方の端縁についての研削加工を行う間に、各研削ブラシ211の先端に、若干ではあるが、偏磨耗が生じ、先端各部に高さの差が生じることになる。
所定時間が経過し又は加工ヘッド200の所定数の回転が終了すると、ブラシホルダ220が所定位置まで上昇され、各研削ブラシ211は各ワークWから離れる。また、ワーク保持手段120及び加工ヘッド200の回転が停止される。これにより、各ワークWの一方の端縁についての研削加工、すなわち1ショットの研削加工が終了する。これに応じ、各ブラシユニット210a及び各ブラシユニット210bが、それぞれの軸の周りに回転される。
すなわち、回転ロッド291及び292が下降され、それぞれの先端が連結部272及び282に連結され、回転ロッド291及び292を介して駆動シャフト270及び280が同一方向に同一の角度だけ回転される。これにより、すべてのブラシユニット210a及び210bが、同一の方向及び角度で回転する。
この回転により、各研削ブラシ211の先端における研削負荷量の平均化が図られ、磨耗量の偏りが是正されることになる。また、回転は同一方向に対し同一角度で行われるため、各研削ブラシ211の先端部において、各部の研削負荷量が同様に同期して変化することになる。つまり、各研削ブラシ211において磨耗条件が同一となるように回転が行われる。
次に、各ワークWが各ワーク保持手段120から取り外され、他方の端縁が上方に位置するようにして再度各ワーク保持手段120に装着される。次に、上述と同様にして、各ワーク保持手段120の回転が開始され、ブラシホルダ220の位置が調整され、加工ヘッド200の回転が開始される。
そして、所定時間が経過し又は加工ヘッド200の所定数の回転が終了すると、ブラシホルダ220が所定位置まで上昇され、ワーク保持手段120及び加工ヘッド200の回転が停止される。これに応じ、上述と同様にして、すべてのブラシユニット210a及び210bが、同一方向に、同一角度だけ回転される。これにより、各ワークWの他方の側の端縁の研削加工、すなわち2ショット目の研削加工が終了する。
この後、各ワークWが各ワーク保持手段120から取り外され、各ワークWの研削加工が完了する。
ワークWの研削加工をより短時間で行う場合や、ワークWの端縁についてより多くの加工量を要するような場合には、加工効率を上げるために、各研削ブラシ211はより大きな径を有する研削ブラシ410に交換される。すなわち、まず、ブラシホルダ220が、図4で示されるような所定のブラシ交換位置まで上昇される。これにより、各研削ブラシ211は、貫通孔231から引き出され、支持板230による支持が解除される。
次に、ネジ215が緩められ、各研削ブラシ211がブラシ保持部214から取り外される。次に、代わりの研削ブラシ410が、各ブラシ保持部214を介してブラシホルダ220に取り付けられる。すなわち、各研削ブラシ410の嵌合部412bが各ブラシ保持部214に嵌合され、ネジ215により固定される。
また、支持板230が連結ロッド250から取り外され、代わりに支持板430が連結ロッド250に取り付けられる。この後、研削加工に先立ち、図2で示されるような所定の位置まで下降され、研削ブラシ410の先端が支持板430により支持される。
径の大きな研削ブラシ410を用いて研削加工を行う場合、研削ブラシ410の先端面がすべてワークWの端面を横切り、作用する限り、研削ブラシ211に比べ、研削ブラシ410の研削能力は向上し、粗加工時間は先端面の面積に反比例するので、同じ研削加工に要する時間は短縮する。
以上説明したように、本実施形態によれば、制御部が各部を制御し、1ショットの研削加工が終了して研削ブラシ211がワークWから離れる毎に、次のショットの研削加工に先立ち、各研削ブラシ211をそれぞれの軸の周りに所定の角度だけ回転させるようにしたため、ブラシ先端の磨耗を平均化し、偏磨耗を防止することができる。
また、径が大きな研削ブラシ410を用いることにより、研削効率を向上させることができる。その場合、研削面の径が大きいので、偏磨耗が生じる可能性は大きくなるが、その場合でも、1ショットの研削加工毎に研削ブラシ410を所定角度だけ回転させることにより、偏磨耗の発生を防止することができる。
また、研削ブラシとして、研削ブラシ211及び径が大きな研削ブラシ410を選択的に用いることができるようにしたため、目的に応じて研削ブラシ211及び研削ブラシ410を使い分けることができる。
また、各ブラシユニット210aのアイドルギア213aが、隣接するブラシユニット210bの固定ギア213bと噛み合い、各ブラシユニット210aの固定ギア213bが、隣接するブラシユニット210bのアイドルギア213aと噛み合っているので、ブラシユニット210a及び210bの固定ギア213bを同一方向に所定角度回転させることにより、すべての研削ブラシ211を同一方向及び角度で回転させることができる。
また、1ショットの研削加工を行うだけでも、微小な偏磨耗が生じ、各研削ブラシ211先端のブラシ面において高さの差が生じるが、これを是正するために各研削ブラシ211を回転させる場合、各研削ブラシ211を同一のタイミング、方向、及び角度で回転させないと、各検索ブラシ211によってブラシ面の高さ是正の状況が相違し、研削条件が異なってしまい、研削加工の精度におけるバラツキが大きくなる。
この点、本実施形態によれば、すべての研削ブラシ211の回転を同一のタイミング、方向、及び角度で行うようにしているので、すべての研削ブラシ211における研削条件を同一として研削加工のバラツキを防止し、高精度で研削加工を行うことができる。
また、ブラシユニット210a及び210bの固定ギア213bを回転させる手段として、駆動シャフト270及び280と、回転ロッド291及び292とを設けるようにしたため、研削ブラシ211を回転させるための動力源を加工ヘッド200とは分離して設け、所定のタイミングにおいて、回転ロッドを駆動シャフトに連結させることにより、動力源からの駆動力を、固定ギア213bに伝達させることができる。
なお、本発明は上述実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、駆動シャフト270及び280を用いているが、この代わりに1つの駆動シャフトのみを用い、駆動シャフトの上下位置を変位させながら、1つのブラシユニット210aの固定ギア213b及びアイドルギア213aを順次逆方向に同じ角度だけ回転させるようにしてもよい。
また、上述実施形態においては、研削ブラシ410のブラシ素線411の数については、従来の研削ブラシ211の場合の約2倍である例について示したが、隣り合う研削ブラシ410が接しない限りにおいては、ブラシ素線411の数は2倍を超えてもかまわない。
100…ワーク保持部、110…テーブル、120…ワーク保持手段、130,140…噴射ノズル、121…部材、200…加工ヘッド、210a,210b…ブラシユニット、211…研削ブラシ、211a…プラスチック線材、211b…結束具、212…回転シャフト、213a…アイドルギア、213b…固定ギア、214…ブラシ保持部、215…ネジ、220…ブラシホルダ、230…支持板、231…貫通孔、240…回転部、250…連結ロッド、260…昇降軸、270,280…駆動シャフト、271,281…ピニオンギア、272,282…連結部、291,292…回転ロッド、31,32,33…矢印、410…研削ブラシ、411…ブラシ素線、412…結束部材、412a…結束部、412b…嵌合部、430…支持板、431…貫通孔、W…ワーク。

Claims (2)

  1. 金属リングを保持してその円周方向に回転させる金属リング回転手段と、
    多数のブラシ素線を、一端が開放した円筒状の結束部を有する結束部材によって基端部を結束することにより円柱状に束ねて構成した研削ブラシと、
    前記研削ブラシを、その先端が、前記金属リング回転手段上で回転している金属リングを外側から内側へ、そして内側から外側へ横切るような周回軌道に沿って移動させることにより該金属リングの端縁の研削加工を行う加工ヘッドとを備え、
    前記加工ヘッドは前記研削ブラシを該加工ヘッドに取り付けるための一端が開放した円筒状の内壁を有する取付け部を備え、
    前記結束部材は、前記取付け部の内壁への嵌合に適した径を有する円柱状の嵌合部を該結束部材の結束部の端面上において該結束部と同軸上に備え、
    前記加工ヘッドへの研削ブラシの取付けは、該研削ブラシの結束部材の嵌合部を該加工ヘッドの取付け部に嵌合させて行われ、
    前記結束部材の結束部の内径は該結束部材の嵌合部の外径よりも大きいことを特徴とする金属リング研削装置。
  2. 前記研削ブラシを長さ方向の軸の周りに回転させるブラシ回転手段と、
    前記研削加工が行われていないとき、次の研削加工に先立ち、前記研削ブラシが長さ方向の軸の周りに所定の角度だけ回転するように前記ブラシ回転手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の金属リング研削装置。
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