JP2019128996A5 - - Google Patents

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コネクタ
本発明は、自動車等に配索されるワイヤハーネスに用いられるコネクタに関するものである。
従来から、ワイヤハーネスの端末に取り付けられるコネクタは、ワイヤハーネスを構成する複数の電線端末にそれぞれ設けられた複数の接続端子と、かかる複数の接続端子をそれぞれ収容保持する複数の端子収容室を有するコネクタハウジングを備えている。ところで、コネクタハウジングの端子収容室は四方を周壁部に囲われた筒形状とされていることから、コネクタの製造時には、電線端末に設けられた複数の接続端子を1本ずつ端子収容室に挿入する作業が必要となることから、作業性の悪化を招いていた。
これに対して、例えば、特開2001−230038号公報(特許文献1)に開示されているように、溝状の端子収容室を複数併設したプレート状のハウジングを採用して、ハウジングの上面に開口した複数の溝状の端子収容室に対して、上方から複数の接続端子を挿し入れる作業を行うことにより作業性の向上を図った構造が提案されている。
ところが、このような溝状の端子収容室を採用した場合には、端子収容室の上面が開口していることから、組み付け作業時や使用時において、端子収容室の後端開口部から延び出す電線へ応力が集中し易く、極細線等のように電線の強度自体が弱い場合には、電線の強度を担保し難くなって、溝状の端子収容室を採用すること自体が難しくなる場合があった。
特開2001−230038号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、上方に開口する溝状の端子収容室を採用した場合でも、端子収容室から延び出す電線の強度を安定して担保することができる、新規な構造のコネクタを提供することにある。
本発明の第一の態様は、プレート状のハウジング本体と、前記ハウジング本体の長さ方向の前端側に設けられて、該ハウジング本体の上面に開口して複数並列配置され、複数の電線の端末に設けられた複数の接続端子を収容する溝状の端子収容室と、前記ハウジング本体の長さ方向の後端側に設けられて、前記端子収容室の後端側開口部から延び出す前記複数の電線を支持する電線支持部と、前記電線支持部の上面に載置されると共に前記複数の電線がそれぞれ並列状態で固着されシート状補強部材と、前記ハウジング本体の前記上面に重ね合されて前記端子収容室を蓋覆すると共に前記シート状補強部材を前記電線支持部との間で挟持するカバー部とを備え、前記電線支持部の前記上面または前記カバー部の下面には位置決め突起を有し、前記シート状補強部材には前記位置決め突起が嵌め入れられる位置決め穴を有し、前記位置決め突起が前記位置決め穴に嵌め入れられて前記シ一ト状補強部材が前記電線支持部の前記上面に固定されているコネクタである。
本態様によれば、ハウジング本体に設けられた端子収容室が上方に開口する溝形状を有していることから、電線の端末に設けられた接続端子を収容する工程を複数の端子収容室に対して複数の接続端子を一括して上方から嵌め入れることが可能となり、従来のように四方を周壁に囲まれた筒形状の端子収容室に1本ずつ接続端子を収容する場合に比して、飛躍的な作業性の向上を図ることができる。さらに、溝形状を有する端子収容室を採用した場合に懸念される端子収容室から延び出す電線への応力の集中も、端子収容室の後端側開口部から延び出す電線支持部により複数の電線が支持されることにより低減されている。加えて、端子収容室の後端側開口部から延び出す複数の電線が、シート状補強部材に並列状態で固着されて電線支持部の上面に載置されており、かつハウジング本体の上面に重ね合されるカバー部とハウジング本体の上面との間で挟持されていることから複数の電線へ外力が加わることが確実に回避乃至は低減されて、かかる部位の電線の強度担保を確実に実現することができる。それゆえ、電線として極細線を採用する場合にも、溝形状の端子収容室を採用することが可能となる。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記カバー部と前記ハウジング本体が側壁に設けられたロック機構によって相互にロック嵌合されており、前記ロック機構は、前記ハウジング本体の長さ方向において前記位置決め突起と異なる位置に設けられているものである。
本態様によれば、カバー部とハウジング本体が側壁に設けられたロック機構によって相互にロック嵌合されていることから、カバー部とハウジング本体の重ね合わせ状態を安定して保持することができ、シート状補強部材を電線支持部とカバー部との間で一層安定して挟持することが可能となる。
本発明の第三の態様は、前記第一または第二の態様に記載のものにおいて、前記電線支持部の前記上面には、前記端子収容室の前記後端側開口部に連接して前記ハウジング本体の前記後端に開口する溝状の電線収容溝が、該電線支持部の前記上面に開口して複数並列配置されているものである。
本態様によれば、端子収容室の後端側開口部に連接して電線収容溝が電線支持部の上面に開口して複数並列配置されていることから、シート状補強部材に固着された複数の電線をそれぞれ電線収容溝に嵌め入れて収容保持することが可能となる。これにより、電線支持部とカバー部との間で隙間なくシート状補強部材を挟持することができて、シート状補強部材の位置ずれを確実に防止して、一層有利に電線への外力の伝達の回避や強度確保を実現することができる。
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三のいずか1つの態様に記載のものにおいて、複数の前記ハウジング本体が上下複数段に積層されており、下側の前記ハウジング本体に重ね合される上側の前記ハウジング本体の下面によって、下側の前記ハウジング本体の前記上面に重ね合されて前記端子収容室を蓋覆すると共に前記シート状補強部材を前記電線支持部との間で挟持する中間カバー部が構成されている一方、前記中間カバー部には、下側の前記ハウジング本体における前記電線支持部に突設された位置決め突起が嵌め入れられる第二位置決め凹部が設けられており、該第二位置決め凹部への前記位置決め突起の嵌合により、上下に積層された前記ハウジング本体同士が位置決め固定されるようになっているものである。
本態様によれば、複数のハウジング本体を上下複数段に積層することにより、容易に積層コネクタを設けることができる。特に、ハウジング本体の下面によって中間カバー部が構成されて端子収容室の覆蓋や電線支持部との間におけるシート状補強部材の挟持を行うことができることから、部品点数の削減や構成の簡素化を図ることができる。
本発明の第五の態様は、前記第の態様に記載のものにおいて、前記複数の端子収容室が、前記ハウジング本体の前記上面側から前記複数の接続端子をそれぞれ収容可能とされ、複数の前記電線収容溝が、前記ハウジング本体の前記上面側から前記複数の電線をそれぞれ収容可能とされ、前記カバー部が、前記シート状補強部材の前記複数の電線がそれぞれ並列状態で固着される部位を前記電線支持部との間で挟持するようになっているものである。
本発明によれば、ハウジング本体に設けられた端子収容室が上方に開口する溝形状を有していることから、複数の端子収容室に対して複数の接続端子を一括して上方から嵌め入れることが可能となり、従来のように四方を周壁に囲まれた筒形状の端子収容室に1本ずつ接続端子を収容する場合に比して、飛躍的な作業性の向上を図ることができる。さらに、溝形状を有する端子収容室を採用した場合に懸念される端子収容室から延び出す電線への応力の集中も、端子収容室の後端側開口部から延び出す電線支持部により複数の電線が支持されることにより低減されている。加えて、端子収容室の後端側開口部から延び出す複数の電線が、シート状補強部材に並列状態で固着されて電線支持部の上面に載置されており、かつハウジング本体の上面に重ね合されるカバー部とハウジング本体の上面との間で挟持されていることから複数の電線へ外力が加わることが確実に回避乃至は低減されて、かかる部位の電線の強度担保を確実に実現することができる。それゆえ、電線として極細線を採用する場合にも、溝形状の端子収容室を採用することが可能となる。
本発明の第一の実施形態としてのコネクタを示す全体斜視図。 図1に示すコネクタの分解斜視図。 図1に示すコネクタの平面図。 図3におけるIV−IV断面拡大図。 図2に示すハウジング本体の別の方向から見た斜視図。 図5に示すハウジング本体の平面図。 図5に示すハウジング本体に対して接続端子とシート状補強部材を備えた電線が収容配置された状態を示す平面図。 図7におけるVIII−VIII断面拡大図。 本発明の第二の実施形態としてのコネクタを示す全体斜視図。 図9に示すコネクタの分解斜視図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜8には、本発明の第一の実施形態としてのコネクタ10が、示されている。コネクタ10は、図1〜3に示されているように、複数(本実施形態では5本)の電線12と、複数の電線12の端末に設けられたコネクタハウジング14を含んで構成されている。そして、コネクタ10の前方側(図3中、右側)より図示しない各種電装品に設けられた相手側コネクタに連結されるようになっている。なお、以下の説明において、上方とは、図1〜2,4中の上方、下方とは、図1〜2,4中の下方を言い、また前方とは、図3中の右方、後方とは、図3中の左方を言い、さらに長さ方向とは、図3中の左右方向、幅方向とは、図3中の上下方向を言うものとする。
図2に示されているように、コネクタハウジング14は、ハウジング本体16とカバー部18を備えて構成されており、それぞれ例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。図2および図5〜6に示されているように、ハウジング本体16は略プレート状とされている。そして、ハウジング本体16の長さ方向の前端側(図6中、右端側)には、平面視で略横長矩形状の端子収容部20が設けられている一方、ハウジング本体16の長さ方向の後端側(図6中、左端側)には、平面視で略縦長矩形状の電線支持部22が設けられている。より詳細には、端子収容部20には、ハウジング本体16の長さ方向外方および上面24に開口して略矩形断面形状で長さ方向に向かって延出すると共に幅方向(図6中、上下方向)に対して複数並列配置された略溝状の端子収容室26が設けられている。かかる端子収容室26の底面28の長さ方向の略中央部における幅方向の中央部分には、端子収容室26の長手方向(図6中、左右方向)で相互に離隔して上方に向かって突出する略角柱状の一対の係合突起30,30が突設されている。一対の係合突起30,30のうち前方側(図6中、右側)に位置する係合突起30の突出端部には、図8に示されているように、長手方向の外方(図8中、右方)に向かって略三角断面形状で突出する係合爪32が突設されている。そして、かかる係合突起30と係合爪32を含んで弾性ロック爪34が構成されていると共に、係合爪32の上面36が外方(図8中、右側)に行くに従って下方傾斜するテーパ面とされている。なお、一対の係合突起30,30の突出高さ寸法は、前方側の方が後方側より低く形成されているが、これは後述するようにそれぞれが係合する芯線加締め部76と電線加締め部78の端子収容室26の底面28からの高さ寸法に対応して形成されているに過ぎない。
また、図5〜6および図8に示されているように、端子収容室26の底面28における弾性ロック爪34の前方側(図6,8中、右側)には、幅方向(図6中、上下方向)の奥側において、平面視で略矩形状に突出する係合突部38が形成されている。さらに、かかる係合突部38の前方側(図6,8中、右側)には、端子収容室26の底面28に開口する係合凹部40が形成されている(図6,8参照)。加えて、図2および図5〜6に示されているように、端子収容部20の幅方向(図6中、上下方向)の両側壁42,42の前端部と後端部にはそれぞれ、外方に向かって略矩形断面形状で突出すると共に上方に向かって延び出す嵌合突起44が設けられている。また、各側壁42に設けられた嵌合突起44,44間には、外方に向かって突出し長さ方向に向かって略台形断面形状で延び出すロック部46が形成されている。
一方、図2および図5〜6に示されているように、電線支持部22の上面48には、端子収容室26の後端側開口部50に連接すると共にハウジング本体16の後端52に開口して長さ方向に向かって略矩形断面形状で延びる略溝状の電線収容溝54が、電線支持部22の上面48に開口して幅方向(図6中、上下方向)に複数並列配置されている。さらに、電線支持部22の上面48の後端側における幅方向両端部には、位置決め突起56が略円柱形状で突設されている。かかる位置決め突起56の突出先端部は、僅かに先細とされている。加えて、電線支持部22の底面には、位置決め突起56に対応する位置に後述する第二位置決め凹部100が設けられている。
カバー部18は、図1〜2に示されているように、略ブロック形状とされており、カバー部18の上部には、コネクタ10と図示しない相手側コネクタとの係合を解除するための係合解除部58が設けられている。また、カバー部18の前端側の両側壁60,60には、長さ方向の略中央部において下方に向かって延出し中央部分に略矩形断面形状の貫通孔61が貫設された略枠体状の係合枠体62が設けられている。一方、かかる側壁60の長さ方向の両端部には、下方および幅方向両側に開口する嵌合凹部64が設けられている。さらに、カバー部18の後端側には、後方側(図3中、左側)に向かって略矩形平板状に突出すると共に幅方向(図3中、上下方向)両側に向かって延出する挟持部66が設けられている。かかる挟持部66の後端側の幅方向両側には、上下方向に略円形断面形状で貫通する貫通孔68が形成されている。
図2,7〜8に示されているように、電線12の端末にはそれぞれ接続端子70が接続されている。より詳細には、電線12の先端側(図8中、右側)の絶縁被覆72を剥いで芯線74を露出させ、芯線74を接続端子70の芯線加締め部76に、また芯線74が露出された電線12の先端部分を接続端子70の電線加締め部78に加締め加工することにより、電線12が接続端子70に対して固定・接続される。さらに、接続端子70の先端部(図8中、右側)には、長さ方向(図8中、左右方向)に開口する筒状の接続部80が形成されている。そして、図8に示されているように、接続端子70には、芯線加締め部76と接続部80の間において、端子収容室26の底面28に対向配置される面に開口する凹所82が設けられている。加えて、接続部80の外面には、図8中、下部の後端部(図8中、左端部)において外面に沿って延びる係合部83が形成されている一方、図8中、下部の前端部(図8中、右端部)において外方斜め後方に向かって延びる係合部84が形成されている。また、接続部80の内面には、図8中、上部において後端部(図8中、左端部)から内面に沿って延びると共に内方斜め前方に向かって延びる弾性接触片86が形成されている。さらに、接続部50の内面には、図8中、下部の前端側(図8中、右端側)が内方に向かって突出することによってエンボス部88が形成されている。かかる弾性接触片86とエンボス部88によって相手側端子89を挟持することにより、相手側コネクタと接続されるようになっている。なお、図8では、理解を容易とするため、相手側端子89を仮想線で記載している。さらに、図2に示されているように、接続端子70から延び出す複数の電線12がそれぞれ並列配置された状態でシート状補強部材90に対して固着されている。かかるシート状補強部材90の前端側(図7中、右端側)の複数の電線12を挟んだ幅方向の両側には、略円形断面形状の位置決め穴92が貫設されている。
なお、電線12は、導体である銅やアルミニウムその他の金属線の複数を束ね合わせた芯線74が、エチレン系樹脂やスチレン系樹脂等の電気絶縁性を有する絶縁被覆72で覆われた構造とされている。一方、接続端子70は、導電性を有しかつプレス加工や打抜き加工等が可能な種々の金属材料、例えば真鍮や銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を用いて一体的に形成されている。さらに、シート状補強部材90として、例えばガラス繊維不織布やアラミド繊維不織布等に対してエポキシ樹脂やフェノール樹脂等を含浸させたものを用いて、ヒートプレス等でシート状補強部材90を電線12に押し付けることにより固着することが可能となっている。
このような構成とされたコネクタ10が、以下のようにして組み立てられる。まず、端末に接続端子70が接続されている複数の電線12がそれぞれ並列配置された状態でシート状補強部材90に対して固着されているシート状補強部材付電線束94を準備する。そして、かかるシート状補強部材付電線束94における複数の電線12の端末に設けられた複数の接続端子70を、ハウジング本体16に設けられた端子収容室26にそれぞれ収容配置すると共に、シート状補強部材90に貫設されている位置決め穴92をハウジング本体16の位置決め突起56に嵌め入れる。この結果、端子収容室26の後端側開口部50から延び出す複数の電線12が、電線支持部22に設けられた電線収容溝54に収容保持されると共に、シート状補強部材90の前端部側(図7中、右端側)がハウジング本体16の上面24に載置される。より詳細には、接続端子70を上方から端子収容室26に対して一対の係合突起30,30が凹所82に配置されるように挿入する。これにより、前方側(図8中、右側)に位置する係合爪32を有する係合突起30からなる弾性ロック爪34が後方側に弾性変形されて接続端子70の端子収容室26への挿入を許容する。続いて、接続端子70が端子収容室26に載置された際には弾性ロック爪34が弾性復帰して弾性ロック爪34の係合爪32が接続端子70の接続部80の内面に入り込んで係合することにより、接続端子70が端子収容室26から上方に抜け出すことが有利に阻止されている(図8参照)。この結果、一対の係合突起30,30が接続端子70の凹所82に挿入配置されて長手方向(図8中、左右方向)の両側で一対の係合突起30,30と凹所82の形成面である芯線加締め部76の前端部と接続部80の後端部がそれぞれ当接することにより、長手方向両側で接続端子70が端子収容室26に対して位置決め保持されている。加えて、端子収容室26の長手方向の先端側(図8中、右側)には、相手側端子89が挿入される接続端子70の筒状の接続部80が配設されている。上述のように、弾性ロック爪34が弾性復帰して弾性ロック爪34の係合爪32が接続端子70の接続部80の内面に入り込んで係合するようになっていることから、弾性ロック爪34の接続部80の内面への入り込み量が相手側端子89に干渉しない範囲に設定されている。
最後に、カバー部18を上方からハウジング本体16の上面24に重ね合わせて、ハウジング本体16に設けられた位置決め突起56をカバー部18の貫通孔68に対して圧入する。この結果、カバー部18によってハウジング本体16の端子収容室26が蓋覆されると共に、シート状補強部材付電線束94のシート状補強部材90の前端部がハウジング本体16の電線支持部22とカバー部18の挟持部66の間で挟持されるようになっている。ここで、ハウジング本体16の位置決め突起56が嵌め入れられる第一位置決め凹部が、カバー部18の貫通孔68によりカバー部18の下面に開口形成されている。さらに、カバー部18の側壁60に設けられたロック機構を構成する係合枠体62の貫通孔61に対して、ハウジング本体16の側壁42に設けられたロック機構を構成するロック部46が係合されている。すなわち、カバー部18とハウジング本体16がそれぞれの側壁60,42に設けられたロック機構62,46によって相互にロック嵌合されているのである。加えて、カバー部18の側壁60に設けられた係合枠体62の嵌合凹部64に対してハウジング本体16の側壁42に設けられた嵌合突起44が嵌め込まれている。以上のことにより、カバー部18とハウジング本体16の重ね合わせ状態を安定して保持することができると共に、シート状補強部材90をハウジング本体16の電線支持部22とカバー部18の挟持部66との間で一層安定して挟持することが可能となっている。
このような構造とされたコネクタ10によれば、端子収容室26がハウジング本体16の上面24に開口する溝形状とされていることから、シート状補強部材付電線束94の複数の電線12の端末に設けられた接続端子70を複数の端子収容室26に対して一括して上方から嵌め入れることが可能となっている。それゆえ、従来の如き四方を周壁に囲まれた筒形状の端子収容室に1本ずつ接続端子を収容する場合に比して、飛躍的な作業性の向上を図ることができる。さらに、ハウジング本体16の端子収容部20の端子収容室26から延び出す電線12に対する応力の集中も、端子収容室26の後端側開口部50に連接する溝状の電線収容溝54によって電線12が収容保持されていることにより低減されている。加えて、接続端子70から延び出す複数の電線12がそれぞれ並列配置された状態でシート状補強部材90に対して固着されると共に、シート状補強部材90の前端部がカバー部18の挟持部66とハウジング本体16の電線支持部22との間で挟持されている。これにより、複数の電線12に対して外力が加わることが確実に回避乃至は低減されており、かかる部位の電線12の強度担保を確実に実現することができる。それゆえ、電線12として例えば極細線を採用する場合であっても、かかる溝形状の端子収容室26を採用することが可能となっている。
また、ハウジング本体16とシート状補強部材90とカバー部18との間の位置決めを、ハウジング本体16の位置決め突起56とシート状補強部材90の位置決め穴92とカバー部18の貫通孔68の協働により、確実に行うことができる。それゆえ、シート状補強部材90がハウジング本体16とカバー部18との間の所定位置に安定して保持されて、一層確実に電線12の強度を確保することができる。特に、電線支持部22の上面48に突設された位置決め突起56にシート状補強部材90の位置決め穴92を嵌め入れて係止できることから、カバー部18を装着する前にシート状補強部材90をハウジング本体16の電線支持部22に安定して保持でき、作業性の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの具体的な記載によって限定されない。例えば、上記第一の実施形態では、ハウジング本体16は1段のみであったが、図9〜10に示す本発明の第二の実施形態としてのコネクタ96のように、ハウジング本体98,16が上下に積層されて構成されていてもよい。より詳細には、図9〜10に示されているように、ハウジング本体98,16が上下2段に積層されており、下側のハウジング本体16に重ね合される上側のハウジング本体98の下面が、下側のハウジング本体16の上面24に重ね合されてハウジング本体16の端子収容室26が蓋覆されている。さらに、ハウジング本体98によって、シート状補強部材90をハウジング本体16の電線支持部22との間で挟持する中間カバー部が構成されている一方、かかる中間カバー部には、下側のハウジング本体16における電線支持部22に突設された位置決め突起56が嵌め入れられる第二位置決め凹部100が設けられている(図10参照)。そして、第二位置決め凹部100への位置決め突起56の圧入により、上下に積層されたハウジング本体98,16同士が位置決め固定されるようになっている。
なお、カバー部18と最下層のハウジング本体16の間に配設されるハウジング本体98は、最下層のハウジング本体16に比してロック機構を構成する係合枠体62を有している以外は同一形状である。それゆえ、金型コストを削減してハウジング本体16,98を製造することができる。また、ロック機構を設けない場合には、ハウジング本体16のみの使用とできることから、一層の構成の簡素化や部品管理の容易化を図ることができる。さらに、図9〜10に示す本発明の第二の実施形態では、ハウジング本体98,16は上下2段に積層されていたが、積層するハウジング本体98を増やすことにより容易に積層する段数を増やすことができる。
また、上記実施形態では、第一位置決め凹部を構成する貫通孔68や第二位置決め凹部100への位置決め突起56の嵌合は圧入とされていたが挿通とされていてもよく、その場合のシート状補強部材90の挟持は例えばロック機構46,62等のロック機構によって構成されていてもよい。さらに、第一位置決め凹部は、上記第一の実施形態のように貫通孔68であってもよいし、第二位置決め凹部100のような凹所であってもよい。加えて、位置決め突起56と第一位置決め凹部を構成する貫通孔68と第二位置決め凹部100における凸部と凹部の組合せは、逆に凹部と凸部の組合せであってもよい。すなわち、カバー部18や中間カバー部であるハウジング本体98側に位置決め突起56が設けられ、ハウジング本体16,98の上面24に凹部が形成されていてもよい。
加えて、シート状補強部材90は例示のものに限定されず、樹脂製のシート材に接着層が設けられて電線12が固着されるようにしたものや、布製のシート材に対して電線12をソーイングにより固着したもの等、シート状で電線12を固着保持できるものであれば任意のものが採用可能である。
なお、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1)プレート状のハウジング本体と、前記ハウジング本体の長さ方向の前端側に設けられて、該ハウジング本体の上面に開口して複数並列配置された溝状の端子収容室と、複数の電線の端末に設けられて前記端子収容室にそれぞれ収容配置された複数の接続端子と、前記ハウジング本体の長さ方向の後端側に設けられて、前記端子収容室の後端側開口部から延び出す前記複数の電線を支持する電線支持部と、前記電線支持部の上面に載置されると共に前記複数の電線がそれぞれ並列状態で固着されたシート状補強部材と、前記ハウジング本体の前記上面に重ね合されて前記端子収容室を蓋覆すると共に前記シート状補強部材を前記電線支持部との間で挟持するカバー部とを備えているコネクタである。
技術的思想(1)のコネクタでは、ハウジング本体に設けられた端子収容室が上方に開口する溝形状を有していることから、電線の端末に設けられた接続端子を収容する工程を複数の端子収容室に対して複数の接続端子を一括して上方から嵌め入れることが可能となり、従来のように四方を周壁に囲まれた筒形状の端子収容室に1本ずつ接続端子を収容する場合に比して、飛躍的な作業性の向上を図ることができる。さらに、溝形状を有する端子収容室を採用した場合に懸念される端子収容室から延び出す電線への応力の集中も、端子収容室の後端側開口部から延び出す電線支持部により複数の電線が支持されることにより低減されている。加えて、端子収容室の後端側開口部から延び出す複数の電線が、シート状補強部材に並列状態で固着されて電線支持部の上面に載置されており、かつハウジング本体の上面に重ね合されるカバー部とハウジング本体の上面との間で挟持されていることから複数の電線へ外力が加わることが確実に回避乃至は低減されて、かかる部位の電線の強度担保を確実に実現することができる。それゆえ、電線として極細線を採用する場合にも、溝形状の端子収容室を採用することが可能となる。
(2)前記電線支持部の前記上面には、前記端子収容室の前記後端側開口部に連接して前記ハウジング本体の前記後端に開口する溝状の電線収容溝が、該電線支持部の前記上面に開口して複数並列配置されているものである。
技術的思想(2)のコネクタによれば、端子収容室の後端側開口部に連接して電線収容溝が電線支持部の上面に開口して複数並列配置されていることから、シート状補強部材に固着された複数の電線をそれぞれ電線収容溝に嵌め入れて収容保持することが可能となる。これにより、電線支持部とカバー部との間で隙間なくシート状補強部材を挟持することができて、シート状補強部材の位置ずれを確実に防止して、一層有利に電線への外力の伝達の回避や強度確保を実現することができる。
(3)前記電線支持部の前記上面に位置決め突起が突設されている一方、前記シート状補強部材に前記位置決め突起が嵌め入れられる位置決め穴が貫設されていると共に、前記カバー部の下面に前記位置決め突起が嵌め入れられる第一位置決め凹部が開口形成されているものである。
技術的思想(3)のコネクタによれば、シート状補強部材の電線支持部とカバー部との間の位置決めを位置決め突起およびそれらが嵌め入れられるシート状補強部材の位置決め穴およびカバー部の第一位置決め凹部の協働により、確実に行うことができる。これにより、シート状補強部材が電線支持部とカバー部との間の所定位置に安定して保持されて、一層確実に電線の強度を確保することができる。特に電線支持部の上面に突設された位置決め突起にシート状補強部材の位置決め穴を嵌め入れて係止させることができることから、カバー部を装着する前の段階でシート状補強部材をハウジング本体の電線支持部に安定して保持することができ、作業性の向上を図ることができる。
(4)複数の前記ハウジング本体が上下複数段に積層されており、下側の前記ハウジング本体に重ね合される上側の前記ハウジング本体の下面によって、下側の前記ハウジング本体の前記上面に重ね合されて前記端子収容室を蓋覆すると共に前記シート状補強部材を前記電線支持部との間で挟持する中間カバー部が構成されている一方、前記中間カバー部には、下側の前記ハウジング本体における前記電線支持部に突設された位置決め突起が嵌め入れられる第二位置決め凹部が設けられており、該第二位置決め凹部への前記位置決め突起の嵌合により、上下に積層された前記ハウジング本体同士が位置決め固定されるようになっているものである。
技術的思想(4)のコネクタによれば、複数のハウジング本体を上下複数段に積層することにより、容易に積層コネクタを設けることができる。特に、ハウジング本体の下面によって中間カバー部が構成されて端子収容室の覆蓋や電線支持部との間におけるシート状補強部材の挟持を行うことができることから、部品点数の削減や構成の簡素化を図ることができる。
(5)前記カバー部と前記ハウジング本体が側壁に設けられたロック機構によって相互にロック嵌合されているものである。
技術的思想(5)のコネクタによれば、カバー部とハウジング本体が側壁に設けられたロック機構によって相互にロック嵌合されていることから、カバー部とハウジング本体の重ね合わせ状態を安定して保持することができ、シート状補強部材を電線支持部とカバー部との間で一層安定して挟持することが可能となる。
10,96:コネクタ、12:電線、16:ハウジング本体、18:カバー部、22:電線支持部、24:上面、26:端子収容室、46:ロック部(ロック機構)、48:上面、50:後端側開口部、52:後端、54:電線収容溝、56:位置決め突起、62:係合枠体(ロック機構)、68:貫通孔(第一位置決め凹部)、70:接続端子、90:シート状補強部材、92:位置決め穴、98:ハウジング本体(中間カバー部)、100:第二位置決め凹部

Claims (6)

  1. プレート状のハウジング本体と、
    前記ハウジング本体の長さ方向の前端側に設けられて、該ハウジング本体の上面に開口して複数並列配置され、複数の電線の端末に設けられた複数の接続端子を収容する溝状の端子収容室と、
    前記ハウジング本体の長さ方向の後端側に設けられて、前記端子収容室の後端側開口部から延び出す前記複数の電線を支持する電線支持部と、
    前記電線支持部の上面に載置されると共に前記複数の電線がそれぞれ並列状態で固着されシート状補強部材と、
    前記ハウジング本体の前記上面に重ね合されて前記端子収容室を蓋覆すると共に前記シート状補強部材を前記電線支持部との間で挟持するカバー部とを備え
    前記電線支持部の前記上面または前記カバー部の下面には位置決め突起を有し、
    前記シート状補強部材には前記位置決め突起が嵌め入れられる位置決め穴を有し、前記位置決め突起が前記位置決め穴に嵌め入れられて前記シ一ト状補強部材が前記電線支持部の前記上面に固定されているコネクタ。
  2. 前記カバー部と前記ハウジング本体が側壁に設けられたロック機構によって相互にロック嵌合されており、
    前記ロック機構は、前記ハウジング本体の長さ方向において前記位置決め突起と異なる位置に設けられている請求項1に記載のコネクタ。
  3. 前記電線支持部の前記上面には、前記端子収容室の前記後端側開口部に連接して前記ハウジング本体の前記後端に開口する溝状の電線収容溝が、該電線支持部の前記上面に開口して複数並列配置されている請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
  4. 複数の前記ハウジング本体が上下複数段に積層されており、下側の前記ハウジング本体に重ね合される上側の前記ハウジング本体の下面によって、下側の前記ハウジング本体の前記上面に重ね合されて前記端子収容室を蓋覆すると共に前記シート状補強部材を前記電線支持部との間で挟持する中間カバー部が構成されている一方、
    前記中間カバー部には、下側の前記ハウジング本体における前記電線支持部に突設された前記位置決め突起が嵌め入れられる第二位置決め凹部が設けられており、該第二位置決め凹部への前記位置決め突起の嵌合により、上下に積層された前記ハウジング本体同士が位置決め固定されるようになっている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
  5. 前記複数の端子収容室が、前記ハウジング本体の前記上面側から前記複数の接続端子をそれぞれ収容可能とされ、複数の前記電線収容溝が、前記ハウジング本体の前記上面側から前記複数の電線をそれぞれ収容可能とされ、前記カバー部が、前記シート状補強部材の前記複数の電線がそれぞれ並列状態で固着される部位を前記電線支持部との間で挟持するようになっている請求項3に記載のコネクタ。
  6. 前記複数の接続端子が前記複数の端子収容室にそれぞれ収容されており、前記複数の電線が、前記シート状補強部材に固着された状態で前記複数の電線収容溝に収容されて前記電線支持部にそれぞれ支持されている請求項3または請求項5に記載のコネクタ。
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