WO2021079587A1

WO2021079587A1 - ジョイントコネクタ

Info

Publication number: WO2021079587A1
Application number: PCT/JP2020/029773
Authority: WO
Inventors: 大樹小林
Original assignee: 株式会社オートネットワーク技術研究所; 住友電装株式会社; 住友電気工業株式会社
Priority date: 2019-10-24
Filing date: 2020-08-04
Publication date: 2021-04-29
Also published as: CN114503373A; JP7177995B2; JPWO2021079587A1; US20220376428A1

Abstract

ジョイントコネクタ１０は、複数の端子１２と、導電部材と、を有する接続部材２１と、複数のハウジングと、を備えるジョイントコネクタ１０であって、前記複数のハウジングは、積層方向に沿って積層されており、前記複数のハウジングを構成する少なくとも一つのハウジングは、接続部材２１が載置される載置部と、前記載置部に載置された接続部材２１の少なくとも一部を覆い、前記接続部材２１を前記ハウジングに保持する蓋部と、を備え、第１ハウジング７１と、第２ハウジング１７１とは互いに積層され、第１ハウジング７１にかかる第１蓋部、および第２ハウジング１７１に第２蓋部には、積層状態保持部が設けられている。

Description

ジョイントコネクタ

　本開示は、ジョイントコネクタに関する。

　従来のジョイントコネクタとして、例えば、下記特許文献１に示されるジョイントコネクタが知られている。このジョイントコネクタは、複数段に積層可能なサブハウジングと、各サブハウジングに収容される複数の端子金具と、を備えて構成されている。サブハウジングの上面には、上方に突出する４つの撓み係止片が設けられている。また、サブハウジングには、下側に位置するサブハウジングの撓み係止片が係止される被係止部が設けられている。これにより、各サブハウジングは積層状態に保持される。

特開２００９－４３６４２号公報

　例えば、車両等に用いられる超小型のジョイントコネクタにおいては、サブハウジングは、バスバーおよび電線が接続された状態の端子金具を載置する端子収容部と、載置された端子金具を覆うように端子収容部に取付けられる蓋部と、を備えて構成されるものが仮想的技術として考えられる。このようなサブハウジング同士を積層する場合、例えば、下側のサブハウジングの蓋部に係止片を設け、上側のサブハウジングの端子収容部に被係止部を設けると、例えば、上側のサブハウジングの蓋部に応力が加わった際に、上側のサブハウジングの蓋部が外れてしまうおそれがある。

　本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子収容部に蓋部が取付けられる構成であっても、各サブハウジングを積層状態に保持できるジョイントコネクタを提供することを目的とする。

　本開示のジョイントコネクタは、電線に接続される複数の端子と、前記複数の端子を互いに導通させる導電部材と、を有する接続部材と、前記接続部材がそれぞれ収容される複数のハウジングと、を備えるジョイントコネクタであって、前記複数のハウジングは、積層方向に沿って積層されており、前記複数のハウジングを構成する少なくとも一つのハウジングは、前記接続部材が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記接続部材の少なくとも一部を覆い、前記接続部材を前記ハウジングに保持する蓋部と、を備え、前記ハウジングの一つである第１ハウジングと、前記ハウジングの一つである第２ハウジングとは互いに積層され、前記第１ハウジングにかかる前記蓋部である第１蓋部、および前記第２ハウジングにかかる前記蓋部である第２蓋部には、前記第１ハウジングおよび前記第２ハウジングの積層状態を保持する積層状態保持部が設けられている。

　本開示によれば、複数のハウジングを積層状態に保持できる。

図１は、実施形態におけるジョイントコネクタの後方斜視図である。図２はジョイントコネクタの前方斜視図である。図３は、図２におけるＡ－Ａ断面図である。図４は、図２におけるＢ－Ｂ断面図である。図５は、図２におけるＣ－Ｃ断面図である。図６は、ジョイントコネクタの分解斜視図である。図７は、第１ハウジングの後方斜視図である。図８は、第１ハウジングの前方斜視図である。図９は、アッパーカバーの組み付け前の状態における第１ハウジングの前方斜視図である。図１０は、アッパーカバーが開放位置に位置する状態における第１ハウジングの前方斜視図である。図１１は、図１０におけるＤ－Ｄ断面図である。図１２は、第１ハウジングの組立工程を説明する断面図である。図１３は、第１ハウジングの組立工程を説明する断面図である。図１４は、第１ハウジングの組立工程を説明する断面図である。図１５は、組立完了後の第１ハウジングの断面図である。図１６は、接続部材の側面図である。図１７は、バスバーの斜視図である。

［本開示の実施形態の説明］
　最初に本開示の実施態様が列挙されて説明される。

　（１）本開示は、電線に接続される複数の端子と、前記複数の端子を互いに導通させる導電部材と、を有する接続部材と、前記接続部材がそれぞれ収容される複数のハウジングと、を備えるジョイントコネクタであって、前記複数のハウジングは、積層方向に沿って積層されており、前記複数のハウジングを構成する少なくとも一つのハウジングは、前記接続部材が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記接続部材の少なくとも一部を覆い、前記接続部材を前記ハウジングに保持する蓋部と、を備え、前記ハウジングの一つである第１ハウジングと、前記ハウジングの一つである第２ハウジングとは互いに積層され、前記第１ハウジングにかかる前記蓋部である第１蓋部、および前記第２ハウジングにかかる前記蓋部である第２蓋部には、前記第１ハウジングおよび前記第２ハウジングの積層状態を保持する積層状態保持部が設けられている。

　第１ハウジングの第１蓋部および第２ハウジングの第２蓋部に積層状態を保持する積層状態保持部を設けることで、例えば、第１ハウジングが第２ハウジングに積層される場合において、第２ハウジングの第２蓋部、および、第１ハウジングの載置部にのみ積層状態保持部を設ける構成と比較して、仮に第１ハウジングの第１蓋部に応力が加わっても、第１蓋部と第２蓋部とは積層状態保持部によって保持されていることから、第１蓋部が外れることはなく、第１ハウジングと第２ハウジングとの積層状態を保持できる。
　また、第１ハウジングを第２ハウジングに積層した状態で保持できることから、第１ハウジングおよび第２ハウジングを積層しない構成と比較して、例えば、ジョイントコネクタをハーネスにハーネステープによって固定する場合においては、１回のテープ巻きでジョイントコネクタにおける各ハウジングをまとめて固定できる。また、例えば、固定部材をハウジングに取り付けて相手側部材に固定する場合においては、１つの固定部材でジョイントコネクタを相手側部材に固定できる。したがって、第１ハウジングおよび第２ハウジングのそれぞれに固定部材を設ける構成と比較して、少ない部品種でジョイントコネクタを固定できる。

　（２）前記端子は、前記電線が接続される電線接続部を備え、前記蓋部は、前記端子における前記電線接続部から第１方向に延びる前記電線を、前記第１方向からずれた第２方向に屈曲させ、前記ハウジングの外部に導出させる屈曲導出部を備えることが好ましい。

　蓋部に電線を屈曲させる屈曲導出部を設けることにより、電線を屈曲させて導出でき、電線の保持力を強化できる。

　（３）前記蓋部は前記載置部に、前記積層方向の一方から取付けられ、前記蓋部には、前記積層方向の他方側から前記載置部の被係止部に接触し、前記蓋部が前記載置部から離れる方向に変位することを抑制する係止部が設けられていることが好ましい。

　蓋部に係止部を設け、載置部に被係止部を設けることで、蓋部は、載置収容部から外れることを抑制できる。

　（４）前記積層状態保持部は、ロック凸部を有し、前記第２蓋部から前記第１蓋部側に延びるロック部と、前記第１蓋部に設けられ、前記ロック凸部と嵌合されるロック凹部と、を備え、前記ロック凸部と前記ロック凹部とが嵌合されることで、前記第１ハウジングおよび前記第２ハウジングは前記積層状態に保持されることが好ましい。

　第２蓋部にロック凸部を有するロック部を設け、第１蓋部にロック凸部に嵌合されるロック凹部を設けることによって、第１ハウジングおよび第２ハウジングを積層状態に保持できる。

　（５）前記積層状態保持部は、ロック凸部を有し、前記第２蓋部から前記第１ハウジングにかかる前記載置部側に延びるロック部と、前記第１ハウジングにかかる前記載置部に設けられ、前記ロック凸部と嵌合されるロック凹部と、を備え、前記ロック凸部と前記ロック凹部とが嵌合されることで、前記第１ハウジングおよび前記第２ハウジングは前記積層状態に保持されることが好ましい。

　第２蓋部にロック凸部を有するロック部を設け、第１載置部にロック凸部に嵌合されるロック凹部を設けることによって、蓋部（第１蓋部および第２蓋部）間だけでなく、第１載置部と第２蓋部との間でも第１ハウジングおよび第２ハウジングの積層状態が保持される。これにより、第１ハウジングおよび第２ハウジングの積層状態の保持力をさらに強化できる。

　（６）前記第１ハウジングおよび前記第２ハウジングは、互いに対向する対向壁部を備え、前記積層状態保持部は、前記第１ハウジングの前記対向壁部に設けられた第１嵌合部と、前記第２ハウジングの前記対向壁部に設けられ、前記第１嵌合部に嵌合される第２嵌合部と、を備え、前記第１嵌合部と前記第２嵌合部とが嵌合されることにより、前記第１ハウジングは、前記第２ハウジングに対して前記積層方向と交差する方向へ変位することが抑制されることが好ましい。

　第１ハウジングおよび第２ハウジングの各対向壁部に第１嵌合部および第２嵌合部をそれぞれ設けることにより、第１ハウジングが第２ハウジングに対して積層方向と交差する方向に変位することを抑制できる。

　（７）相手側部材に固定され、前記第１蓋部に積層される固定部材を備え、前記積層状態保持部は、ロック凸部を有し、前記第１蓋部から前記固定部材に延びるロック部と、前記固定部材に設けられ、前記ロック凸部と嵌合されるロック凹部と、を備え、前記ロック凸部と前記ロック凹部とが嵌合されることで、前記固定部材および前記第１ハウジングは積層状態に保持されることが好ましい。

　相手側部材に固定される固定部材は、第１蓋部に積層され保持されることから、１つの固定部材によって相手側部材にジョイントコネクタを固定できる。

　（８）前記固定部材および前記第１ハウジングは、互いに対向する対向壁部を備え、前記積層状態保持部は、前記固定部材の前記対向壁部に設けられた第１嵌合部と、前記第１ハウジングの前記対向壁部に設けられ、前記第１嵌合部に嵌合される第２嵌合部と、を備え、前記第１嵌合部と前記第２嵌合部とが嵌合されることにより、前記固定部材は、前記第１ハウジングに対して、前記固定部材および前記第１ハウジングの積層方向と交差する方向へ変位することが抑制されることが好ましい。

　固定部材および第１ハウジングの対向壁部に第１嵌合部および第２嵌合部をそれぞれ設けることにより、固定部材が第１ハウジングに対して積層方向と交差する方向に変位することを抑制できる。

　（９）前記端子は、前記電線を挟持する挟持部を有する端子本体と、前記電線の延びる方向に沿って前記端子本体に対してスライド可能なスライド部と、前記電線が接続される電線接続部と、を備え、前記スライド部は前記挟持部を前記電線に向けて加圧する加圧部を有し、前記電線接続部は、前記挟持部から前記電線に向かって突出し、前記電線に接触することにより接続されることが好ましい。

　例えば、電線が極細の単芯線であっても電線に端子を接続できることから、電線のサイズに合わせて端子を小型化できる。このような構成の端子を用いることで、ジョイントコネクタの小型化に寄与できる。

［本開示の実施形態の詳細］
　以下に、本開示の実施形態が説明される。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。

＜実施形態＞
　図１から図１７を参照しつつ、本開示の実施形態１は説明される。以降の説明において、矢線Ｚの示す向きは上とし、矢線Ｙの示す向きは前とし、矢線Ｘの示す向きは左として説明される。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。

［ジョイントコネクタ１０］
　図１に示されるように、本実施形態にかかるジョイントコネクタ１０は、上下方向（積層方向の一例）に沿って２つ（複数の一例）のハウジングが積層される積層型のコネクタである。ジョイントコネクタ１０は、第２ハウジング１７１（ハウジングの一例）と、第２ハウジング１７１の上部に積層される第１ハウジング７１（ハウジングの一例）と、第１ハウジング７１の上部に積層される固定部材７２と、を備えて構成されている。

　図４、図５に示されるように、第１ハウジング７１と第２ハウジング１７１との積層状態は、第１積層状態保持部２２Ａ（積層状態保持部の一例）によって保持されている。また、固定部材７２と第１ハウジング７１との積層状態は第２積層状態保持部２２Ｂ（積層状態保持部の一例）によって保持されている。

［第１ハウジング７１、第２ハウジング１７１］
　各ハウジング（第１ハウジング７１および第２ハウジング１７１）の構成は共通のため、上側の第１ハウジング７１の構成について主に説明される。

　図３に示されるように、第１ハウジング７１には、接続部材２１が収容されている。図１１に示されるように、接続部材２１は、前後方向（延び方向の一例）について複数の電線１１の前方端部にそれぞれ接続される複数の端子１２と、複数の端子１２に接続され、複数の端子１２を互いに導通させるバスバー５０（導電部材の一例）と、を備えて構成されている。

　図７、図８に示されるように、第１ハウジング７１は前後方向に延びる直方体形状をなしている。図９、図１０に示されるように、第１ハウジング７１は、接続部材２１が載置されるロアハウジング３０（載置部の一例）と、ロアハウジング３０に上方（積層方向の一方の一例）から取り付けられるアッパーカバー６０（蓋部、第１蓋部の一例）と、を備えて構成されている。

［電線１１］
　図１５に示されるように、電線１１は概ね前後方向（電線１１の延びる方向の一例）に延びて配索されており、前後方向が電線１１の延び方向と定義される。電線１１は、芯線１３の外周を絶縁性の合成樹脂からなる絶縁被覆１４で包囲されている。本実施形態にかかる芯線１３は、１本の金属線からなる。なお、芯線１３は複数の金属細線が撚り合わされてなる撚線であってもよい。芯線１３を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態にかかる芯線１３は銅、または銅合金からなる。

［ロアハウジング３０］
　図９、図１０に示されるように、ロアハウジング３０は、前後方向に延びるとともに上下に扁平な形状をなしている。ロアハウジング３０は、絶縁性の合成樹脂を含む材料が射出成型されて形成される。ロアハウジング３０には、前後に延びる複数のキャビティ２９が、左右方向に並んで形成されている。キャビティ２９は上方に開口されており、端子１２がキャビティ２９内に上方から配置されるようになっている。左右方向に隣り合うキャビティ２９は前後方向に延びる隔壁３１によって隔てられている。この隔壁３１により、各キャビティ２９内に配置された端子１２が電気的に絶縁されている。

　ロアハウジング３０の前壁には、バスバー５０が前方からキャビティ２９内に挿入されるバスバー挿通孔５１が左右方向に長く開口して設けられている。

　ロアハウジング３０の左右の側壁の前端部には左右一対のロック受け部３３（被係止部の一例）が設けられている。図８に示されるように、ロック受け部３３には、後述するアッパーカバー６０の左右一対のロック爪６６（係止部の一例）がそれぞれ係止される。

　図９に示されるように、ロアハウジング３０の各側壁には、後端部寄りの位置に外方に突出する軸部３５が形成されている。軸部３５は円柱形状をなしている。

　ロアハウジング３０の後端部にはロアガイド部３６が形成されている。ロアガイド部３６は、軸部３５の上方位置に軸部３５に近接して設けられている。図１２に示されるように、ロアガイド部３６には、前後方向に貫通するとともに、左右方向に並ぶ複数の電線挿通孔３７が形成されている。電線挿通孔３７の内径は、電線１１の外形と同じか、または大きく形成されている。各電線挿通孔３７の前方に各キャビティ２９が位置するようになっている。各電線挿通孔３７に電線１１がそれぞれ挿通されることにより、電線１１はロアハウジング３０に対して位置決めされるようになっている。

　図１２に示されるように、ロアガイド部３６の前半部分は、ロアガイド部３６の前部から上部にかけて曲面形状に形成されている。ロアガイド部３６の後半部分は、ロアハウジング３０の後端から後方に突出した形状に形成されている。ロアガイド部３６の後半部分の上面は前後方向に延びる平面となっている。ロアガイド部３６の後端部においては、ロアガイド部３６の上面は下降傾斜されている。

　ロアガイド部３６のうち、電線挿通孔３７が形成された部分よりも後方の領域は、上方に凹んだ曲面形状をなしたロア接触部３８とされる。図１５に示されるように、後述するアッパーカバー６０がロアハウジング３０に組付けられた状態において、ロア接触部３８は、電線１１の上部と接触して、電線１１をロア接触部３８に沿った形状に配置させる。ロア接触部３８の形状は、電線挿通孔３７の後側の開口においては、上方に立ち上がるように凹み、その後、緩やかな曲線を描いて後方へと延びている。

［アッパーカバー６０］
　図８、図９に示されるように、ロアハウジング３０は、上方から組み付けられたアッパーカバー６０によって、上部（接続部材２１の少なくとも一部）が覆われるようになっている。アッパーカバー６０は絶縁性の合成樹脂を射出成型することによって形成される。アッパーカバー６０の側壁の前端部には左右一対のロック爪６６が下方に突出して形成されている。ロック爪６６は、ロアハウジング３０の側壁に設けられたロック受け部３３に下方（積層方向の他方の一例）から接触可能に位置している。これにより、アッパーカバー６０がロアハウジング３０から上方向（離れる方向の一例）に変位することが抑制される。このようにして、ロアハウジング３０とアッパーカバー６０とは一体に組み付けられるようになっている。

　アッパーカバー６０の後端部には、ロアハウジング３０の軸部３５に嵌る軸孔６７が形成されている。図９、図１０に示されるように、軸部３５に軸孔６７が嵌ることにより、アッパーカバー６０は、ロアハウジング３０に対して軸部３５を回転軸として回転可能に組み付けられるようになっている。

　アッパーカバー６０は、ロアハウジング３０に対して、ロアハウジング３０の上面が開放された状態で組み付けられる開放位置（図１０、図１４に示される位置）と、ロアハウジング３０の上面が塞がれた閉鎖位置（図８、図１５に示される位置）との間で回転可能になっている。

　図９に示されるように、アッパーカバー６０の上壁の後端部は、電線１１が導出されるための開口部６８が上方に開口されている。アッパーカバー６０の後端部には、開口部６８内において左右方向に架け渡されたアッパーガイド部６９（屈曲導出部の一例）が形成されている。アッパーガイド部６９は、軸孔６７の上方位置に軸孔６７に近接して設けられている。アッパーガイド部６９には、アッパー接触部７０が形成されている。アッパー接触部７０は、複数のＵ字溝が左右方向に並んだ形状をなしている。アッパー接触部７０のＵ字溝の部分に、各電線１１が収容されるようになっている。

　図１５に示されるように、アッパー接触部７０には、電線１１の下面が接触しており、電線１１は、アッパー接触部７０に沿った形状に配置されている。アッパーガイド部６９によって、端子１２における上側保持突部２３Ａおよび下側保持突部２３Ｂの間から第１方向Ｄ１に延びる電線１１は、第１方向Ｄ１からずれた第２方向Ｄ２にクランク状に屈曲され、第１ハウジング７１の外部に導出されている。

　上記したロアガイド部３６の上面から前面にかけての形状は、アッパーカバー６０の開口部６８の前端部分が開放位置から閉鎖位置にまで移動する軌道に沿った形状となっている。これにより、アッパーカバー６０が開放位置から閉鎖位置にまで移動する際に、アッパーカバー６０とロアハウジング３０とが干渉することを抑制できる。

［バスバー５０］
　バスバー５０は金属板材を所定の形状にプレス加工することにより形成される。金属板材としては、銅、銅合金等、任意の金属を適宜に選択できる。図１７に示されるように、バスバー５０は、後方に延びる複数のタブ５２と、タブ５２の前端部を、中継部５３を介して連結する連結部５４と、を有する。タブ５２は、左右方向に扁平な板状をなしている。連結部５４は、上下方向に扁平な板状をなしている。中継部５３は、連結部５４から後方に延びて形成されている。連結部５４の右側縁は下方に折れ曲がって、タブ５２に連なっている。

［端子１２］
　図１６に示されるように、端子１２は、金属製の端子本体１５と、端子本体１５に対して相対的にスライド可能なスライド部１６と、を備える。

［端子本体１５］
　端子本体１５はプレス加工、切削加工、鋳造等、公知の手法により所定の形状に形成される。端子本体１５を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態にかかる端子本体１５は、銅、又は銅合金からなる。端子本体１５の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属は、スズ、ニッケル、銀等必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態にかかる端子本体１５にはスズめっきが施されている。

　端子本体１５は、タブ５２が挿入可能な筒部１７と、筒部１７の後方に位置して電線１１と接続される電線接続部２０を有する。図１２、図１３に示されるように、電線接続部２０は後方に延出された上側挟持部１８Ａ（挟持部の一例）および下側挟持部１８Ｂ（挟持部の一例）と、を備える。筒部１７は前後方向に延びる角筒状をなしている。筒部１７の前端はタブ５２が挿入可能に開口されている。

　図１１に示されるように、筒部１７の内部には、弾性変形可能な弾性接触片１９が配されている。弾性接触片１９は、筒部１７の内壁から内方に延びている。筒部１７内に挿入されたタブ５２は、弾性接触片１９を押圧して弾性変形させる。弾性変形した弾性接触片１９の弾発力によって、タブ５２は、筒部１７の内壁と弾性接触片１９との間に挟まれる。これによりタブ５２と端子１２とは電気的に接続される。

　図１２に示されるように、上側挟持部１８Ａの下面には、後端部よりも前方の位置に、下方に突出する上側保持突部２３Ａ（電線接続部の一例）が設けられている。下側挟持部１８Ｂの上面の後端部には、上方に突出する下側保持突部２３Ｂ（電線接続部の一例）が設けられている。下側保持突部２３Ｂと、上側保持突部２３Ａとは、前後方向についてずれた位置に設けられている。

　上側挟持部１８Ａの下面、および下側挟持部１８Ｂの上面が、芯線１３の表面に形成された酸化被膜に食い込んで酸化被膜を剥がすことにより、芯線１３の金属表面を露出させるようになっている。この金属表面と、上側挟持部１８Ａおよび下側挟持部１８Ｂとが接触することにより、芯線１３と端子本体１５とは電気的に接続される。

［スライド部１６］
　図１６に示されるように、スライド部１６は、前後方向に延びる角筒状をなしている。スライド部１６は、切削加工、鋳造、プレス加工等、必要に応じて公知の手法により形成される。スライド部１６を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態にかかるスライド部１６は、ステンレス鋼からなる。スライド部１６の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属は、スズ、ニッケル、銀等必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。

　図１２に示されるように、スライド部１６の内形状の断面は、端子本体１５のうち、上側挟持部１８Ａと下側挟持部１８Ｂが設けられた領域の外形状の断面と同じか、やや大きく形成されている。これにより、スライド部１６は、端子本体１５のうち、上側挟持部１８Ａと下側挟持部１８Ｂとが設けられた領域の外方に配されて、これらを内部に収容するようになっている。

　図１２、図１３に示されるように、スライド部１６の上壁の下面には、下方に突出する上側加圧部２５Ａ（加圧部の一例）が設けられている。スライド部１６の下壁の上面には、上方に突出する下側加圧部２５Ｂ（加圧部の一例）が設けられている。

　図１６に示されるように、スライド部１６の側壁には、前後方向の前端部寄りの位置に、仮係止受け部２６が開口されている。また、スライド部１６の側壁には、仮係止受け部２６よりも後方の位置に、本係止受け部２７が開口されている。仮係止受け部２６と、本係止受け部２７は、端子本体１５の側壁に設けられた係止突起２８と弾性的に係止可能になっている。

　端子本体１５の係止突起２８とスライド部１６の仮係止受け部２６とが係止した状態（図１２に示される状態）は、端子本体１５に対してスライド部１６が仮係止位置に保持された状態となっている。この状態においては、スライド部１６の上側加圧部２５Ａおよび下側加圧部２５Ｂは、端子本体１５の上側挟持部１８Ａおよび下側挟持部１８Ｂの後端縁から後方に離間している。また、この状態においては、上側挟持部１８Ａと下側挟持部１８Ｂとの間の間隔は、芯線１３の直径よりも大きく設定されている。

　端子本体１５の係止突起２８とスライド部１６の本係止受け部２７とが係止した状態（図１３に示される状態）は、端子本体１５に対してスライド部１６が本係止位置に係止された状態となっている。この状態においては、スライド部１６の上側加圧部２５Ａは、上側挟持部１８Ａの上方から上側挟持部１８Ａに接触している。また、スライド部１６の下側加圧部２５Ｂは、下側挟持部１８Ｂの下方から下側挟持部１８Ｂに接触している。

　上記のように、スライド部１６は、端子本体１５のうち上側挟持部１８Ａと下側挟持部１８Ｂとが設けられた領域に外嵌された状態で、上記した仮係止位置と、本係止位置との間をスライド移動可能になっている。

　図１３に示されるように、スライド部１６が端子本体１５に対して本係止位置で保持された状態では、上側加圧部２５Ａが上方から上側挟持部１８Ａを押圧することによって上側挟持部１８Ａが下方に変形するようになっている。また、下側加圧部２５Ｂが下方から下側挟持部１８Ｂを押圧することによって下側挟持部１８Ｂが上方に変形するようになっている。これにより、上側挟持部１８Ａと下側挟持部１８Ｂとの間の空間に、芯線１３を前後方向（延び方向）に延びた状態で配し、且つ、スライド部１６が端子本体１５に対して本係止位置で保持した状態では、芯線１３は、弾性変形した上側挟持部１８Ａと下側挟持部１８Ｂとによって上下方向から挟持されるようになっている。すなわち、上側挟持部１８Ａは上側加圧部２５Ａに下方に押圧されることにより芯線１３に上方から接触し、下側挟持部１８Ｂは下側加圧部２５Ｂに上方に押圧されることにより芯線１３に下方から接触するようになっている。

　スライド部１６が端子本体１５に対して本係止位置で保持された状態では、上側挟持部１８Ａの上側保持突部２３Ａが芯線１３を上方から押圧し、下側挟持部１８Ｂの下側保持突部２３Ｂが芯線１３を下方から押圧する。このように、芯線１３は、上側保持突部２３Ａによって上方から押圧されるとともに、上側保持突部２３Ａと前後方向にずれた位置に配された下側保持突部２３Ｂによって下方から押圧されることにより、上下方向について屈曲した状態に保持される。また、上側保持突部２３Ａと、下側保持突部２３Ｂとによっても、芯線１３と端子１２とが電気的に接続されるようになっている。

　図１３に示されるように、スライド部１６の前端部には、上壁から上方に突出する治具接触部４６が設けられている。治具接触部４６に後方から治具４５が接触して、この治具４５によってスライド部１６が前方に押されることにより、スライド部１６が前方に移動可能になっている。

　図１５に示されるように、アッパーカバー６０がロアハウジング３０に対して閉鎖位置に組み付けられた状態で、電線１１は、アッパーカバー６０のアッパーガイド部６９の上面と、ロアハウジング３０のロアガイド部３６の下面との間に挟まれることにより、側方から見てクランク状に屈曲した形状に保持されるようになっている。

［固定部材７２］
　固定部材７２は、ブラケット等の相手側部材１００に固定するための部材であって、絶縁性の合成樹脂を含む材料が射出成型されて形成されている。図１、図２に示されるように、固定部材７２は、本体部７３と、取付け部７４と、を備えて構成されている。

　本体部７３は、前後方向に延びるとともに上下に扁平な形状をなしている。取付け部７４は、本体部７３の上部に設けられており、前方からみて門形状をなしている。取付け部７４における中央には、前方に突出し、相手側部材１００（図３に示される）に係止されるロックアーム７５が設けられている。

［第１積層状態保持部２２Ａ］
　図３から図５に示されるように、第１積層状態保持部２２Ａは、第１ハウジング７１と第２ハウジング１７１との積層状態を保持するものであって、第１係止構造部８２（図４に示される）と、第２係止構造部８３（図５に示される）と、合わせ部８４（図３に示される）と、を備えて構成されている。

［第１係止構造部８２］
　図４に示されるように、第１係止構造部８２は、第１ハウジング７１におけるロアハウジング３０と、第２ハウジング１７１におけるアッパーカバー１６０（蓋部、第２蓋部の一例）とを互いに係止するものである。第１係止構造部８２は、ロアハウジング３０に設けられたロック凹部７６Ｆと、アッパーカバー１６０に設けられたロック部１７７Ｆと、を備えて構成されている。

　図９に示されるように、ロック凹部７６Ｆは、ロアハウジング３０の前壁における、バスバー挿通孔５１の下方に、左右方向に間隔をあけて２つ設けられている。図４に示されるように、ロック凹部７６Ｆの内部には、被係止壁７９Ｆが設けられている。

　図４に示されるように、ロック部１７７Ｆは、アッパーカバー１６０における上壁の前端部から上方（すなわち、第１ハウジング７１側）に片持ち状に延びて形成されており、図２に示されるように、左右方向に間隔をあけて２つ設けられている。図４に示されるように、ロック部１７７Ｆの先端部には、後方に突出するロック凸部１７８Ｆが設けられている。

　第１ハウジング７１が第２ハウジング１７１に積層されると、ロック部１７７Ｆが撓むことにより、ロック凸部１７８Ｆがロック凹部７６Ｆの内部に入りこむこととなる。このとき、ロック凸部１７８Ｆは、ロック凹部７６Ｆの被係止壁７９Ｆに上方から接触可能に位置するようになる。これにより、第１ハウジング７１が上方に変位しようとすると、被係止壁７９Ｆがロック凸部１７８Ｆに下方から接触するため、第１ハウジング７１におけるロアハウジング３０と、第２ハウジング１７１におけるアッパーカバー１６０とは互いに係止される。したがって、第１ハウジング７１の上方への変位は抑制され、第１ハウジング７１と第２ハウジング１７１との積層状態を保持できる。

［第２係止構造部８３］
　図５に示されるように、第２係止構造部８３は、第１ハウジング７１におけるアッパーカバー６０と、第２ハウジング１７１におけるアッパーカバー１６０とを互いに係止するものである。第２係止構造部８３は、アッパーカバー６０の両側の側壁に設けられたロック凹部７６Ｓと、アッパーカバー１６０の上壁の左右両側端部に設けられたロック部１７７Ｓと、を備えて構成されている。また、図１、図２に示されるように、左右両側のロック部１７７Ｓは、それぞれ前後方向に間隔をあけて２つ設けられている。なお、ロック凹部７６Ｓについても、ロック部１７７Ｓと対応して、同数設けられている。

　図５に示されるように、ロック凹部７６Ｓの内部には、ロック凹部７６Ｆと同様に、被係止壁７９Ｓが設けられている。ロック部１７７Ｓは、アッパーカバー１６０の上壁から上方（すなわち、第１ハウジング７１側）に片持ち状に延びて形成されており、ロック部１７７Ｓの先端部には、内方に突出するロック凸部１７８Ｓが設けられている。

　第１ハウジング７１が第２ハウジング１７１に積層されると、ロック凸部１７８Ｓがロック凹部７６Ｓの内部に入りこむこととなる。これにより、第１ハウジング７１が上方に変位しようとすると、被係止壁７９Ｓがロック凸部１７８Ｓに下方から接触することとなる。したがって、第１ハウジング７１におけるアッパーカバー６０と、第２ハウジング１７１におけるアッパーカバー１６０とは互いに係止されることから、第１ハウジング７１の上方への変位は抑制され、第１ハウジング７１と第２ハウジング１７１との積層状態を保持できる。

［合わせ部８４］
　図３に示されるように、第１ハウジング７１におけるロアハウジング３０の下面および第２ハウジング１７１におけるアッパーカバー１６０の上面は、互いに対向する対向壁部８５Ａ、８５Ｂとされる。合わせ部８４は、それぞれの対向壁部８５Ａ、８５Ｂに設けられており、第１ハウジング７１における対向壁部８５Ａから溝状に開口する合わせ凹部８１（第１嵌合部の一例）と、第２ハウジング１７１における対向壁部８５Ｂから上方に突出する合わせ凸部１８０（第２嵌合部の一例）と、を備えて構成されている。

　第１ハウジング７１が第２ハウジング１７１に積層されると、合わせ凹部８１と合わせ凸部１８０とは嵌合される。これにより、第１ハウジング７１が前後左右方向（積層方向と交差する方向の一例）に変位することが抑制される。また、合わせ部８４を設けることにより、第１ハウジング７１を第２ハウジング１７１に積層する際の位置決めができるため、組立作業性を向上できる。

［第２積層状態保持部２２Ｂ］
　図３から図５に示されるように、第２積層状態保持部２２Ｂは、固定部材７２と第１ハウジング７１との積層状態を保持するものであって、第１係止構造部１８２（図４に示される）と、第２係止構造部１８３（図５に示される）と、合わせ部１８４（図３に示される）と、を備えて構成されている。

［第１係止構造部１８２］
　図４に示されるように、第１係止構造部１８２は、固定部材７２の前壁に設けられたロック凹部２７６Ｆと、第１ハウジング７１におけるアッパーカバー６０の上壁の前端部から上方（すなわち、固定部材７２側）に片持ち状に延びるロック部７７Ｆと、を備えて構成されている。第１係止構造部１８２によって固定部材７２とアッパーカバー６０とは互いに係止される。なお、第１係止構造部１８２の係止構造は、上述の第１係止構造部８２と同様のため、詳細の説明は省略される。

［第２係止構造部１８３］
　図５に示されるように、第２係止構造部１８３は、固定部材７２の本体部７３の左右両側の側壁に設けられたロック凹部２７６Ｓと、第１ハウジング７１におけるアッパーカバー６０の上壁の左右両側の側端部に設けられたロック部７７Ｓと、を備えて構成されている。ロック部７７Ｓは、アッパーカバー６０の上壁から、上方（すなわち、固定部材７２側）に片持ち状に延びて形成されており、ロック凸部７８Ｓを有する。第２係止構造部１８３によって固定部材７２とアッパーカバー６０とは互いに係止される。なお、第２係止構造部１８３の係止構造は、上述の第２係止構造部８３と同様のため、詳細の説明は省略される。

［合わせ部１８４］
　図３に示されるように、固定部材７２における本体部７３の下面および第１ハウジング７１におけるアッパーカバー１６０の上面は、互いに対向する対向壁部１８５Ａ、１８５Ｂとされる。合わせ部１８４は、それぞれの対向壁部１８５Ａ、１８５Ｂに設けられており、固定部材７２における対向壁部１８５Ａから溝状に開口する合わせ凹部２８１（第１嵌合部の一例）と、第１ハウジング７１における対向壁部１８５Ｂから上方に突出する合わせ凸部８０（第２嵌合部の一例）と、を備えて構成されている。固定部材７２が第１ハウジング７１に積層されると、合わせ凹部２８１と合わせ凸部８０とは嵌合される。これにより、上述の合わせ部８４と同様、固定部材７２の前後左右方向への変位の抑制、および固定部材７２の組立作業性の向上の効果を奏する。

［ジョイントコネクタ１０の組立工程］
　以下において、本実施形態にかかるジョイントコネクタ１０の組立工程の例について説明される。先ず、第１ハウジング７１の組立工程について説明される。
　公知の手法により、端子本体１５と、スライド部１６とが形成される。端子本体１５に対して、後方からスライド部１６が組み付けられる。端子本体１５の係止突起２８に後方からスライド部１６の前端縁が当接し、スライド部１６の側壁が拡開変形する。更にスライド部１６が前方に押し込まれると、スライド部１６の側壁が復帰変形し、端子本体１５の係止突起２８に、スライド部１６の仮係止受け部２６が係止する。これにより、端子本体１５に対してスライド部１６が仮係止位置に保持される。これにより端子１２が得られる。

　合成樹脂を射出成型することにより、ロアハウジング３０およびアッパーカバー６０が形成される。

　ロアハウジング３０のキャビティ２９内に、上方から、端子本体１５に対してスライド部１６が仮係止位置に保持された端子１２が挿入される。スライド部１６の後端部はロアハウジング３０の後壁の前方に位置しており、端子本体１５の筒部１７の前端部はロアハウジング３０の前壁の後方に位置している。これにより、端子１２はキャビティ２９内に、前後方向に位置決めされた状態で保持される。

　図１２に示されるように、ロアハウジング３０のバスバー挿通孔５１に、前方からバスバー５０が挿入される。図１１に示されるように、バスバー５０の係止孔５６内にロアハウジング３０のバスバー挿通孔５１内に設けられたバスバー係止爪５１Ｃが挿入されることにより、バスバー５０がロアハウジング３０内に抜け止め状態で保持される。バスバー５０のタブ５２が端子１２の筒部１７内に挿入される。タブ５２と、弾性接触片１９とが接触することにより、タブ５２と端子１２とが電気的に接続される。これにより、複数の端子１２がバスバー５０を介して電気的に接続される。

　公知の手法で絶縁被覆１４が皮剥ぎ加工されることにより電線１１の芯線１３が露出される。図１２に示されるように、芯線１３を前側にして、電線１１がロアハウジング３０の電線挿通孔３７内に後方から挿入される。各電線挿通孔３７の前方に、キャビティ２９が位置するようになっているので、電線挿通孔３７に挿通された電線１１は、各キャビティ２９へと進入する。電線１１が更に前方に押し込まれると、芯線１３の前端部は、スライド部１６の後端部からスライド部１６の内部へと導入される。

　次に、図１３に示されるように、治具４５を後方から治具接触部４６に当接させて、スライド部１６を前方にスライド移動させる。スライド部１６は端子本体１５に対して相対的に前方に移動させられる。このとき、端子本体１５の係止突起２８およびスライド部１６の仮係止受け部２６（図１６に示される）との係止が外れ、スライド部１６の側壁が係止突起２８に乗り上げて拡開変形する。

　スライド部１６が前方に移動させられると、スライド部１６の側壁が復帰変形して端子本体１５の係止突起２８と、スライド部１６の本係止受け部２７とが弾性的に係止する。これによりスライド部１６が端子本体１５に対して本係止位置に保持される。

　スライド部１６が端子本体１５に対して本係止位置に保持された状態で、スライド部１６の上側加圧部２５Ａが、端子本体１５の上側挟持部１８Ａに上方から当接して下方へと押圧する。また、スライド部１６の下側加圧部２５Ｂが、端子本体１５の下側挟持部１８Ｂに下方から当接して上方へと押圧する。これにより、図１３に示されるように、芯線１３が、上側挟持部１８Ａと下側挟持部１８Ｂに上下から挟持される。

　上側挟持部１８Ａの下面と、下側挟持部１８Ｂの上面とに芯線１３が挟まれることにより、芯線１３の表面に形成された酸化被膜が剥がされ、芯線１３を構成する金属表面が露出する。この金属表面と、上側挟持部１８Ａおよび下側挟持部１８Ｂが接触することにより、電線１１と端子１２とが電気的に接続される。これにより、複数の電線１１が、端子１２、およびバスバー５０を介して電気的に接続される。

　芯線１３が上側挟持部１８Ａと下側挟持部１８Ｂに上下から挟持された状態においては、芯線１３は、上側挟持部１８Ａの上側保持突部２３Ａと、下側挟持部１８Ｂの下側保持突部２３Ｂとに挟まれることにより、前後方向に延びた状態で、且つ、上下方向に屈曲した状態で保持される。これにより、芯線１３を強固に保持することができるので、電線１１に引っ張り力が作用した場合に、電線１１と端子１２との保持力を高めることができる。

　図１４に示されるように、アッパーカバー６０がロアハウジング３０に組み付けられる。このとき、アッパーカバー６０がロアハウジング３０に対して交差する姿勢で、アッパーカバー６０の開口部６８内に電線１１が挿通されるようにして、ロアハウジング３０の後方からアッパーカバー６０が組み付けられる。このとき、図９、図１０に示されるように、アッパーカバー６０の軸孔６７内にロアハウジング３０の軸部３５が嵌められる。これにより、アッパーカバー６０がロアハウジング３０に対して開放位置（図１０に示される位置）において組み付けられる。

　図１４に示されるように、アッパーカバー６０を、軸部３５を回転軸として、図１４における時計回り方向（矢線Ａで示される方向）に回転させる。すると、アッパーカバー６０のアッパーガイド部６９のアッパー接触部７０と電線１１とが接触することにより、電線１１が屈曲する。

　アッパーカバー６０が更に回転されて、閉鎖位置（図１５に示される位置）にまで達すると、アッパーカバー６０のロック爪６６が、ロアハウジング３０の側壁に設けられたロック受け部３３と弾性的に係わり合うことにより、ロアハウジング３０とアッパーカバー６０とが一体に組み付けられる。

　ロアハウジング３０のロアガイド部３６と、アッパーカバー６０のアッパーガイド部６９との間に挟まれることにより、電線１１が、ランク状に屈曲した形状に保持される。電線１１がロアガイド部３６とアッパーガイド部６９との間に挟まれることにより電線１１が前後方向に移動した場合でも、クリアランスが設けられているので、電線１１とバスバー５０が、端子１２とともに前後方向に移動する。これにより、バスバー５０および端子１２に力が加わることが抑制されるようになっている。以上により、第１ハウジング７１は組み立てられる。
　第２ハウジング１７１の組立工程は、第１ハウジング７１の組立工程と同じ工程のため、説明は省略される。

　次に、第１ハウジング７１が第２ハウジング１７１の上部に積層され、固定部材７２が第１ハウジング７１の上部に積層される。以上により、ジョイントコネクタ１０は完成される。

［実施形態の作用効果］
　実施形態によれば、第１ハウジング７１のアッパーカバー６０および第２ハウジング１７１のアッパーカバー１６０に積層状態を保持する第１積層状態保持部２２Ａを設けることで、例えば、第１ハウジング７１が第２ハウジング１７１に積層される場合において、第２ハウジング１７１のアッパーカバー１６０、および第１ハウジング７１のロアハウジング３０にのみ積層状態保持部を設ける構成と比較して、仮に第１ハウジング７１のアッパーカバー６０に応力が加わっても、アッパーカバー６０とアッパーカバー１６０とは第１積層状態保持部２２Ａによって保持されていることから、アッパーカバー６０が外れることはなく、第１ハウジング７１と第２ハウジング１７１との積層状態を保持できる。
　また、第１ハウジング７１を第２ハウジング１７１に積層した状態で保持できることから、第１ハウジングおよび第２ハウジングを積層しない構成と比較して、例えば、ジョイントコネクタ１０をハーネスにハーネステープによって固定する場合においては、１回のテープ巻きでジョイントコネクタ１０における各ハウジング７１、１７１をまとめて固定できる。また、固定部材７２を第１ハウジング７１に取り付けて相手側部材１００に固定する場合においては、１つの固定部材７２でジョイントコネクタ１０を相手側部材１００に固定できる。したがって、第１ハウジングおよび第２ハウジングのそれぞれに固定部材を設ける構成と比較して、少ない部品種でジョイントコネクタ１０を固定できる。

　また、アッパーカバー６０は、端子１２の上側保持突部２３Ａおよび下側保持突部２３Ｂの間から第１方向Ｄ１に延びる電線１１を、前記第１方向Ｄ１からずれた第２方向Ｄ２に屈曲させ、第１ハウジング７１の外部に導出させるアッパーガイド部６９を備える。

　アッパーカバー６０に電線１１を屈曲させるアッパーガイド部６９を設けることにより、電線１１を屈曲させて導出でき、電線１１の保持力を強化できる。

　また、アッパーカバー６０はロアハウジング３０に、積層方向の一方から取付けられ、アッパーカバー６０には、積層方向の他方側からロアハウジング３０のロック受け部３３に接触し、アッパーカバー６０がロアハウジング３０から離れる方向に変位することを抑制するロック爪６６が設けられている。

　アッパーカバー６０にロック爪６６を設け、ロアハウジング３０にロック受け部３３を設けることで、アッパーカバー６０は、ロアハウジング３０から外れることを抑制できる。

　また、第１積層状態保持部２２Ａは、ロック凸部１７８Ｓを有し、アッパーカバー１６０からアッパーカバー６０側に片持ち状に延びるロック部１７７Ｓと、アッパーカバー６０に設けられ、ロック凸部１７８Ｓと嵌合されるロック凹部７６Ｓと、を備え、ロック凸部１７８Ｓとロック凹部７６Ｓとが嵌合されることで、第１ハウジング７１および第２ハウジング１７１は積層状態に保持される。

　アッパーカバー１６０にロック凸部１７８Ｓを有するロック部１７７Ｓを設け、アッパーカバー６０にロック凸部１７８Ｓに嵌合されるロック凹部７６Ｓを設けることによって、第１ハウジング７１および第２ハウジング１７１を積層状態に保持できる。

　また、第１積層状態保持部２２Ａは、ロック凸部１７８Ｆを有し、アッパーカバー１６０から第１ハウジング７１にかかるロアハウジング３０側に延びるロック部１７７Ｆと、第１ハウジング７１にかかるロアハウジング３０に設けられ、ロック凸部１７８Ｆと嵌合されるロック凹部７６Ｆと、を備え、ロック凸部１７８Ｆとロック凹部７６Ｆとが嵌合されることで、第１ハウジング７１および第２ハウジング１７１は積層状態に保持される。

　アッパーカバー１６０にロック凸部１７８Ｆを有するロック部１７７Ｆを設け、ロアハウジング３０にロック凸部１７８Ｆに嵌合されるロック凹部７６Ｆを設けることによって、アッパーカバー６０、１６０間だけでなく、ロアハウジング３０とアッパーカバー１６０との間でも第１ハウジング７１および第２ハウジング１７１の積層状態が保持される。これにより、第１ハウジング７１および第２ハウジング１７１の積層状態の保持力をさらに強化できる。

　また、第１ハウジング７１および第２ハウジング１７１は、互いに対向する対向壁部８５を備え、第１ハウジング７１の対向壁部８５Ａには、合わせ凹部８１が設けられ、第２ハウジング１７１の対向壁部８５Ｂには、合わせ凹部８１に嵌合される合わせ凸部１８０が設けられ、合わせ凹部８１と合わせ凸部１８０とが嵌合されることにより、第１ハウジング７１および第２ハウジング１７１は、積層方向と交差する方向に変位することが抑制される。

　第１ハウジング７１および第２ハウジング１７１の各対向壁部８５Ａ、８５Ｂに合わせ凹部８１および合わせ凸部１８０をそれぞれ設けることにより、第１ハウジング７１及び第２ハウジング１７１が積層方向と交差する方向に変位することを抑制できる。

　また、相手側部材１００に固定される固定部材７２を備え、固定部材７２は、アッパーカバー６０に積層され、第２積層状態保持部２２Ｂは、ロック凸部７８Ｆを有し、アッパーカバー６０から固定部材７２に延びるロック部７７Ｓと、固定部材７２に設けられ、ロック凸部７８Ｆと嵌合されるロック凹部２７６Ｆと、を備え、ロック凸部７８Ｆとロック凹部２７６Ｆとが嵌合されることで、固定部材７２および第１ハウジング７１は積層状態に保持される。

　相手側部材１００に固定される固定部材７２は、アッパーカバー６０に積層され保持されることから、１つの固定部材７２によって相手側部材１００にジョイントコネクタ１０を固定できる。

　また、固定部材７２および第１ハウジング７１は、互いに対向する対向壁部１８５Ａ、１８５Ｂを備え、第２積層状態保持部２２Ｂは、固定部材７２の対向壁部１８５Ａに設けられた合わせ凹部２８１と、第１ハウジング７１の対向壁部１８５Ｂに設けられ、合わせ凹部２８１に嵌合される合わせ凸部８０と、を備え、合わせ凹部２８１と合わせ凸部８０とが嵌合されることにより、固定部材７２は、第１ハウジング７１に対して、固定部材７２および第１ハウジング７１の積層方向と交差する方向へ変位することが抑制される。

　固定部材７２および第１ハウジング７１の対向壁部１８５に合わせ凹部２８１および合わせ凸部８０をそれぞれ設けることにより、固定部材７２が第１ハウジング７１に対して積層方向と交差する方向に変位することを抑制できる。

　また、端子１２は、電線１１を挟持する挟持部（上側挟持部１８Ａ、下側挟持部１８Ｂ）を有する端子本体１５と、電線１１の延びる方向である前後方向に沿って端子本体１５に対してスライド可能なスライド部１６と、電線１１が接続される保持突部２３Ａ、２３Ｂと、を備え、スライド部１６は挟持部を電線１１に向けて加圧する加圧部（上側加圧部２５Ａ、下側加圧部２５Ｂを有し、挟持部は電線１１に向かって突出し、電線１１に接触する保持突部（上側保持突部２３Ａ、下側保持突部２３Ｂ）を有する。

　例えば、電線１１が極細の単芯線であっても電線１１に端子１２を接続できることから、電線１１のサイズに合わせて端子１２を小型化できる。このような構成の端子１２を用いることで、ジョイントコネクタ１０の小型化に寄与できる。

＜他の実施形態＞
　本開示は上記記述および図面によって説明された実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。

　（１）上記実施形態では、ジョイントコネクタ１０は、固定部材７２により相手側部材１００に固定される構成としたが、これに限られることはない。例えば、ジョイントコネクタは固定部材を備えない構成とし、ハーネスにテープ巻きにより固定される構成としても良い。

　（２）上記実施形態では、第１ハウジング７１のロック部７７Ｆは、アッパーカバー６０の上壁の前端部に２つ設けられる構成としたが、これに限られることはない。例えば、ロック部は、ハウジングの上壁の前端部に１つ設けられる構成としても良い。また、第２ハウジング１７１についても同様の構成としても良い。

　（３）第１ハウジング７１のロック部７７Ｓは、上壁の両側部に２つずつ設けられる構成としたが、これに限られることはない。例えば、ロック部は、第１ハウジングの上壁の両側部に１つずつ設けられる構成としても良い。また、第２ハウジング１７１についても同様の構成としても良い。

　（４）上記実施形態では、ジョイントコネクタ１０は、第１ハウジング７１および第２ハウジング１７１の２つのハウジングを備える構成としたが、これに限られることはない。例えば、ジョイントコネクタは、３つ以上のハウジングを備える構成としても良い。

　（５）上記実施形態では、スライド部１６は角筒状をなす構成としたが、これに限られることはない。例えば、スライド部は、三角筒状、五角筒状等の多角筒状でもよく、また円筒形状でも良い。

　（６）上記実施形態では、第１嵌合部は合わせ凹部８１、２８１とされ、第２嵌合部は合わせ凸部８０、１８０とされたが、これに限られることはない。例えば、凹凸を逆にし、第１嵌合部は合わせ凸部とされ、第２嵌合部は合わせ凹部とされる構成としても良い。

１０：　ジョイントコネクタ
１１：　電線
１２：　端子
１３：　芯線
１４：　絶縁被覆
１５：　端子本体
１６：　スライド部
１７：　筒部
１８Ａ：　上側挟持部
１８Ｂ：　下側挟持部
１９：　弾性接触片
２０：　電線接続部
２１：　接続部材
２２Ａ：　第１積層状態保持部（積層状態保持部）
２２Ｂ：　第２積層状態保持部（積層状態保持部）
２３Ａ：　上側保持突部（電線接続部）
２３Ｂ：　下側保持突部（電線接続部）
２５Ａ：　上側加圧部
２５Ｂ：　下側加圧部
２６：　仮係止受け部
２７：　本係止受け部
２８：　係止突起
２９：　キャビティ
３０：　ロアハウジング（載置部）
３１：　隔壁
３３：　ロック受け部（被係止部）
３５：　軸部
３６：　ロアガイド部
３７：　電線挿通孔
３８：　ロア接触部
４５：　治具
４６：　治具接触部
５０：　バスバー（導電部材）
５１：　バスバー挿通孔
５１Ｃ：　バスバー係止爪
５２：　タブ
５３：　中継部
５４：　連結部
５６：　係止孔
６０、１６０：　アッパーカバー（蓋部、第１蓋部、第２蓋部）
６６：　ロック爪（係止部）
６７：　軸孔
６８：　開口部
６９：　アッパーガイド部（屈曲導出部）
７０：　アッパー接触部
７１、１７１：　ハウジング
７２：　固定部材
７３：　本体部
７４：　取付け部
７５：　ロックアーム
７６Ｆ、７６Ｓ、２７６Ｆ、２７６Ｓ：　ロック凹部
７７Ｆ、７７Ｓ、１７７Ｆ、１７７Ｓ：　ロック部
７８Ｆ、７８Ｓ、１７８Ｆ、１７８Ｓ：　ロック凸部
７９Ｆ、７９Ｓ：　被係止壁
８０、１８０：　合わせ凸部（第２嵌合部）
８１、２８１：　合わせ凹部（第１嵌合部）
８２、１８２：　第１係止構造部
８３、１８３：　第２係止構造部
８４、１８４：　合わせ部
８５、８５Ａ、８５Ｂ、１８５、１８５Ａ、１８５Ｂ：　対向壁部
１００：　相手側部材

Claims

　電線に接続される複数の端子と、前記複数の端子を互いに導通させる導電部材と、を有する接続部材と、
　前記接続部材がそれぞれ収容される複数のハウジングと、を備えるジョイントコネクタであって、
　前記複数のハウジングは、積層方向に沿って積層されており、
　前記複数のハウジングを構成する少なくとも一つのハウジングは、前記接続部材が載置される載置部と、
　前記載置部に載置された前記接続部材の少なくとも一部を覆い、前記接続部材を前記ハウジングに保持する蓋部と、を備え、
　前記ハウジングの一つである第１ハウジングと、前記ハウジングの一つである第２ハウジングとは互いに積層され、
　前記第１ハウジングにかかる前記蓋部である第１蓋部、および前記第２ハウジングにかかる前記蓋部である第２蓋部には、前記第１ハウジングおよび前記第２ハウジングの積層状態を保持する積層状態保持部が設けられているジョイントコネクタ。
　前記端子は、前記電線が接続される電線接続部を備え、
　前記蓋部は、前記端子における前記電線接続部から第１方向に延びる前記電線を、前記第１方向からずれた第２方向に屈曲させ、前記ハウジングの外部に導出させる屈曲導出部を備える請求項１に記載のジョイントコネクタ。
　前記蓋部は前記載置部に、前記積層方向の一方から取付けられ、
　前記蓋部には、前記積層方向の他方側から前記載置部の被係止部に接触し、前記蓋部が前記載置部から離れる方向に変位することを抑制する係止部が設けられている請求項１または請求項２に記載のジョイントコネクタ。
　前記積層状態保持部は、
　ロック凸部を有し、前記第２蓋部から前記第１蓋部側に延びるロック部と、
　前記第１蓋部に設けられ、前記ロック凸部と嵌合されるロック凹部と、を備え、
　前記ロック凸部と前記ロック凹部とが嵌合されることで、前記第１ハウジングおよび前記第２ハウジングは前記積層状態に保持される請求項１から請求項３のいずれか１項に記載のジョイントコネクタ。
　前記積層状態保持部は、
　ロック凸部を有し、前記第２蓋部から前記第１ハウジングにかかる前記載置部側に延びるロック部と、
　前記第１ハウジングにかかる前記載置部に設けられ、前記ロック凸部と嵌合されるロック凹部と、を備え、
　前記ロック凸部と前記ロック凹部とが嵌合されることで、前記第１ハウジングおよび前記第２ハウジングは前記積層状態に保持される請求項１から請求項４のいずれか１項に記載のジョイントコネクタ。
　前記第１ハウジングおよび前記第２ハウジングは、互いに対向する対向壁部を備え、
　前記積層状態保持部は、
　前記第１ハウジングの前記対向壁部に設けられた第１嵌合部と、
　前記第２ハウジングの前記対向壁部に設けられ、前記第１嵌合部に嵌合される第２嵌合部と、を備え、
　前記第１嵌合部と前記第２嵌合部とが嵌合されることにより、前記第１ハウジングは、前記第２ハウジングに対して前記積層方向と交差する方向へ変位することが抑制される請求項１から請求項５のいずれか１項に記載のジョイントコネクタ。
　相手側部材に固定され、前記第１蓋部に積層される固定部材を備え、
　前記積層状態保持部は、
　ロック凸部を有し、前記第１蓋部から前記固定部材に延びるロック部と、
　前記固定部材に設けられ、前記ロック凸部と嵌合されるロック凹部と、を備え、
　前記ロック凸部と前記ロック凹部とが嵌合されることで、前記固定部材および前記第１ハウジングは積層状態に保持される請求項１から請求項６のいずれか１項に記載のジョイントコネクタ。
　前記固定部材および前記第１ハウジングは、互いに対向する対向壁部を備え、
　前記積層状態保持部は、
　前記固定部材の前記対向壁部に設けられた第１嵌合部と、
　前記第１ハウジングの前記対向壁部に設けられ、前記第１嵌合部に嵌合される第２嵌合部と、を備え、
　前記第１嵌合部と前記第２嵌合部とが嵌合されることにより、前記固定部材は、前記第１ハウジングに対して、前記固定部材および前記第１ハウジングの積層方向と交差する方向へ変位することが抑制される請求項７に記載のジョイントコネクタ。
　前記端子は、
　前記電線を挟持する挟持部を有する端子本体と、
　前記電線の延びる方向に沿って前記端子本体に対してスライド可能なスライド部と、
　前記電線が接続される電線接続部と、を備え、
　前記スライド部は前記挟持部を前記電線に向けて加圧する加圧部を有し、
　前記電線接続部は、前記挟持部から前記電線に向かって突出し、前記電線に接触することにより接続される請求項１から請求項８のいずれか１項に記載のジョイントコネクタ。