[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るバンドパスフィルタの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
図1に示したように、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、誘電体よりなる本体2と、本体2に一体化された第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、本体2内に設けられた3つ以上の共振器と、シールド6と、第1の仕切り部7と、第2の仕切り部8とを備えている。シールド6は、導体よりなり、本体2に一体化されている。また、シールド6は、グランドに接続されている。シールド6は、バンドパスフィルタ1の周囲へ電磁波が放射されることを防止する機能を有する。第1の仕切り部7と第2の仕切り部8の各々は、導体よりなり、本体2内に設けられて、シールド6に電気的に接続されている。第1の仕切り部7は、本発明における仕切り部に対応する。
本体2は、積層された複数の誘電体層からなる積層体20を含んでいる。ここで、図1に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。本実施の形態では、複数の誘電体層の積層方向(図1では上側に向かう方向)を、Z方向とする。Z方向は、本発明における第1の方向に対応する。
本体2は、直方体形状を有している。本体2は、Z方向における本体2の両端に位置する第1の端面2Aおよび第2の端面2Bと、第1の端面2Aと第2の端面2Bを接続する4つの側面2C,2D,2E,2Fを有している。第1の端面2Aは、本体2の下面でもある。第2の端面2Bは、本体2の上面でもある。側面2C,2Dは、Y方向における本体2の両端に位置している。側面2E,2Fは、X方向における本体2の両端に位置している。
3つ以上の共振器は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に設けられている。また、3つ以上の共振器は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成されている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。以下、3つ以上の共振器について、回路構成上、第1の入出力ポート3に近い順にn番目の共振器を、n段目の共振器とも言う。
図2に示したように、本実施の形態では特に、3つ以上の共振器は、5つの共振器51,52,53,54,55である。5つの共振器51,52,53,54,55は、回路構成上、第1の入出力ポート3側からこの順に配置されている。共振器51〜55は、共振器51,52が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器52,53が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器53,54が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器54,55が回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。また、本実施の形態では特に、回路構成上隣接する2つの共振器の間の電磁結合は、容量結合である。また、本実施の形態では特に、共振器51〜55の各々は、両端開放型共振器であり且つ1/2波長共振器である。
バンドパスフィルタ1は、共振器51,52間の容量結合を実現するキャパシタC12と、共振器52,53間の容量結合を実現するキャパシタC23と、共振器53,54間の容量結合を実現するキャパシタC34と、共振器54,55間の容量結合を実現するキャパシタC45とを備えている。
ここで、回路構成上隣接する2つの共振器が結合するように構成された3つ以上の共振器を備えたバンドパスフィルタにおける、回路構成上隣接しない2つの共振器の間の電磁結合を飛び越し結合と言う。本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、以下で説明するように、2つの飛び越し結合を有している。
本実施の形態では、5つの共振器51〜55のうち回路構成上第1の入出力ポート3に最も近い共振器51と、5つの共振器51〜55のうち回路構成上第2の入出力ポート4に最も近い共振器55は、回路構成上隣接していないが磁気結合している。共振器51は、本発明における第1の共振器に対応する。共振器55は、本発明における第2の共振器に対応する。
また、本実施の形態では、5つの共振器51〜55のうち回路構成上第1の入出力ポート3に対して2番目に近い共振器52と、5つの共振器51〜55のうち回路構成上第2の入出力ポート4に対して2番目に近い共振器54は、回路構成上隣接していないが容量結合している。図2において、符号C24を付したキャパシタの記号は、共振器52,54間の容量結合を表している。
バンドパスフィルタ1は、更に、第1の入出力ポート3と共振器51との間に設けられたキャパシタC1と、第2の入出力ポート4と共振器55との間に設けられたキャパシタC2とを備えている。
バンドパスフィルタ1は、更に、通過帯域よりも高い所定の周波数(以下、ノッチ周波数と言う。)の信号を減衰させるためのノッチフィルタ部を備えている。このノッチフィルタ部は、導体よりなる2つの線路91,92を備えている。線路91,92の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。線路91の第1端は第1の入出力ポート3に接続され、線路91の第2端は開放されている。線路92の第1端は第2の入出力ポート4に接続され、線路92の第2端は開放されている。線路91,92の各々は、ノッチ周波数に対応する波長の1/4またはそれに近い長さを有している。線路91,92の各々は、ノッチ周波数で共振する1/4波長共振器である。ノッチ周波数は、例えば、バンドパスフィルタ1の通過帯域の中心周波数の2倍の周波数である。
シールド6は、第1の方向すなわちZ方向について間隔を開けて配置された第1の部分61および第2の部分62と、第1の部分61と第2の部分62を接続する接続部63とを含んでいる。第1の部分61、第2の部分62および接続部63は、5つの共振器51〜55を囲むように配置されている。
積層体20は、主要部21と被覆部22とを含んでいる。主要部21は、積層体20を構成する複数の誘電体層のうちの、積層された2つ以上の誘電体層によって構成されている。被覆部22は、積層体20を構成する複数の誘電体層のうちの、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層以外の1つ以上の誘電体層によって構成されている。主要部21は、2つ以上の誘電体層の積層方向における両端に位置する第1の端面21aと第2の端面21bを有している。被覆部22は、第2の端面21bを覆っている。主要部21の第1の端面21aは、本体2の第1の端面2Aと一致している。主要部21の第2の端面21bは、本体2の内部に位置している。
第1の部分61は、第1の端面21aに配置された第1の導体層313によって構成されている。第2の部分62は、第2の端面21bに配置された第2の導体層481によって構成されている。第2の部分62は、主要部21と被覆部22の間に介在している。
共振器51は、導体よりなる共振器導体部510を有している。共振器52は、導体よりなる共振器導体部520を有している。共振器53は、導体よりなる共振器導体部530を有している。共振器54は、導体よりなる共振器導体部540を有している。共振器55は、導体よりなる共振器導体部550を有している。共振器導体部510は、本発明における第1の共振器導体部に対応する。共振器導体部550は、本発明における第2の共振器導体部に対応する。
共振器導体部510,520,530,540,550の各々は、第1の方向すなわちZ方向と交差する方向に延びている。本実施の形態では特に、共振器導体部510,520,530,540,550の各々は、第1の方向すなわちZ方向に直交する方向に延びている。
共振器導体部510,520,530,540,550の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。前述のように、共振器51〜55の各々は、両端開放型共振器である。そのため、共振器導体部510,520,530,540,550の各々の第1端と第2端は、いずれも開放されている。共振器導体部510,520,530,540,550の各々は、バンドパスフィルタ1の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/2またはそれに近い長さを有している。
第1の仕切り部7は、その少なくとも一部が共振器導体部510と共振器導体部550の間を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。本実施の形態では特に、第1の仕切り部7は、第1の方向すなわちZ方向に延びている。また、第1の仕切り部7は、第1の部分61と第2の部分62を最短経路で接続している。すなわち、第1の仕切り部7のZ方向の長さは、第1の部分61と第2の部分62の間の距離と等しい。
また、第1の仕切り部7は、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通している。本実施の形態では、第1の仕切り部7は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列7Tを含んでいる。複数のスルーホール列7Tは、本発明における第1のスルーホール列に対応する。図1では、個々のスルーホール列7Tを円柱で表している。複数のスルーホール列7Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列7Tの各々は、Z方向に延びている。また、複数のスルーホール列7Tは、Y方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では、スルーホール列7Tの数は5である。
第2の仕切り部8は、共振器導体部520,530,540で囲まれた領域を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。本実施の形態では特に、第2の仕切り部8は、第1の方向すなわちZ方向に延びている。また、第2の仕切り部8は、第1の部分61と第2の部分62を最短経路で接続している。すなわち、第2の仕切り部8のZ方向の長さは、第1の部分61と第2の部分62の間の距離と等しい。
また、第2の仕切り部8は、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通している。本実施の形態では、第2の仕切り部8は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列8Tを含んでいる。図1では、個々のスルーホール列8Tを円柱で表している。複数のスルーホール列8Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列8Tの各々は、Z方向に延びている。また、複数のスルーホール列8Tは、X方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では、スルーホール列8Tの数は5である。
シールド6の接続部63は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列63Tを含んでいる。複数のスルーホール列63Tは、本発明における第2のスルーホール列に対応する。図1では、個々のスルーホール列63Tを円柱で表している。図1において、5つのスルーホール列7Tと5つのスルーホール列8T以外の複数の円柱で表わされた複数のスルーホール列は、全てスルーホール列63Tである。複数のスルーホール列63Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列63Tの各々は、Z方向に延びている。
次に、図3ないし図11を参照して、積層体20を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、積層体20は、積層された18層の誘電体層を有している。以下、この18層の誘電体層を、下から順に1層目ないし18層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし18層目の誘電体層を符号31〜48で表す。主要部21は、1層目ないし17層目の誘電体層31〜47によって構成されている。被覆部22は、18層目の誘電体層48によって構成されている。図3ないし図10において、複数の円は複数のスルーホールを表している。
図3は、1層目の誘電体層31のパターン形成面を示している。誘電体層31のパターン形成面には、第1の入出力ポート3を構成する導体層311と、第2の入出力ポート4を構成する導体層312と、シールド6の第1の部分61を構成する第1の導体層313とが形成されている。
また、誘電体層31には、導体層311に接続されたスルーホール31T1と、導体層312に接続されたスルーホール31T2とが形成されている。誘電体層31には、更に、5つのスルーホール列7Tの一部を構成する5つのスルーホール7T1と、5つのスルーホール列8Tの一部を構成する5つのスルーホール8T1と、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T1が形成されている。図3において、スルーホール31T1,31T2,7T1,8T1以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T1である。スルーホール7T1,8T1,63T1は、第1の導体層313に接続されている。
図4は、2層目の誘電体層32のパターン形成面を示している。誘電体層32のパターン形成面には、導体層321,322が形成されている。導体層321,322には、それぞれ図3に示したスルーホール31T1,31T2が接続されている。
また、誘電体層32には、導体層321に接続されたスルーホール32T1と、導体層322に接続されたスルーホール32T2とが形成されている。
誘電体層32には、更に、5つのスルーホール列7Tの一部を構成する5つのスルーホール7T2が形成されている。5つのスルーホール7T2には、図3に示した5つのスルーホール7T1が接続されている。
誘電体層32には、更に、5つのスルーホール列8Tの一部を構成する5つのスルーホール8T2が形成されている。5つのスルーホール8T2には、図3に示した5つのスルーホール8T1が接続されている。
誘電体層32には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T2が形成されている。図4において、スルーホール32T1,32T2,7T2,8T2以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T2である。複数のスルーホール63T2には、図3に示した複数のスルーホール63T1が接続されている。
図5は、3層目の誘電体層33のパターン形成面を示している。誘電体層33には、スルーホール33T1,33T2が形成されている。スルーホール33T1,33T2には、それぞれ、図4に示したスルーホール32T1,32T2が接続されている。
誘電体層33には、更に、5つのスルーホール列7Tの一部を構成する5つのスルーホール7T3が形成されている。5つのスルーホール7T3には、図4に示した5つのスルーホール7T2が接続されている。
誘電体層33には、更に、5つのスルーホール列8Tの一部を構成する5つのスルーホール8T3が形成されている。5つのスルーホール8T3には、図4に示した5つのスルーホール8T2が接続されている。
誘電体層33には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T3が形成されている。図5において、スルーホール33T1,33T2,7T3,8T3以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T3である。複数のスルーホール63T3には、図4に示した複数のスルーホール63T2が接続されている。
図6は、4層目の誘電体層34のパターン形成面を示している。誘電体層34のパターン形成面には、線路91を構成する導体層341と、線路92を構成する導体層342が形成されている。導体層341,342の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。導体層341における第1端の近傍部分には、図5に示したスルーホール33T1が接続されている。導体層342における第1端の近傍部分には、図5に示したスルーホール33T2が接続されている。導体層341における第2端の近傍の一部と、導体層342における第2端の近傍の一部は、誘電体層31,32,33を介して、図3に示した導体層313に対向している。
また、誘電体層34には、導体層341における第1端の近傍部分に接続されたスルーホール34T1と、導体層342における第1端の近傍部分に接続されたスルーホール34T2とが形成されている。
誘電体層34には、更に、5つのスルーホール列7Tの一部を構成する5つのスルーホール7T4が形成されている。5つのスルーホール7T4には、図5に示した5つのスルーホール7T3が接続されている。
誘電体層34には、更に、5つのスルーホール列8Tの一部を構成する5つのスルーホール8T4が形成されている。5つのスルーホール8T4には、図5に示した5つのスルーホール8T3が接続されている。
誘電体層34には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T4が形成されている。図6において、スルーホール34T1,34T2,7T4,8T4以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T4である。複数のスルーホール63T4には、図5に示した複数のスルーホール63T3が接続されている。
図7は、5層目ないし7層目の誘電体層35〜37のパターン形成面を示している。誘電体層35〜37の各々には、スルーホール35T1,35T2が形成されている。5層目の誘電体層35に形成されたスルーホール35T1,35T2には、それぞれ、図6に示したスルーホール34T1,34T2が接続されている。
誘電体層35〜37の各々には、更に、5つのスルーホール列7Tの一部を構成する5つのスルーホール7T5が形成されている。5層目の誘電体層35に形成された5つのスルーホール7T5には、図6に示した5つのスルーホール7T4が接続されている。
誘電体層35〜37の各々には、更に、5つのスルーホール列8Tの一部を構成する5つのスルーホール8T5が形成されている。5層目の誘電体層35に形成された5つのスルーホール8T5には、図6に示した5つのスルーホール8T4が接続されている。
誘電体層35〜37の各々には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T5が形成されている。図7において、スルーホール35T1,35T2,7T5,8T5以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T5である。5層目の誘電体層35に形成された複数のスルーホール63T5には、図6に示した複数のスルーホール63T4が接続されている。
誘電体層35〜37では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図8は、8層目の誘電体層38のパターン形成面を示している。誘電体層38のパターン形成面には、図2に示したキャパシタC1を構成するための導体層381と、図2に示したキャパシタC2を構成するための導体層382とが形成されている。導体層381には、7層目の誘電体層37に形成されたスルーホール35T1が接続されている。導体層382には、7層目の誘電体層37に形成されたスルーホール35T2が接続されている。
誘電体層38のパターン形成面には、更に、それぞれ図2に示したキャパシタC12,C23,C34,C45を構成するための導体層383,384,385,386が形成されている。
また、誘電体層38には、5つのスルーホール列7Tの一部を構成する5つのスルーホール7T8が形成されている。5つのスルーホール7T8には、7層目の誘電体層37に形成された5つのスルーホール7T5が接続されている。
誘電体層38には、更に、5つのスルーホール列8Tの一部を構成する5つのスルーホール8T8が形成されている。5つのスルーホール8T8には、7層目の誘電体層37に形成された5つのスルーホール8T5が接続されている。
誘電体層38には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T8が形成されている。図8において、スルーホール7T8,8T8以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T8である。複数のスルーホール63T8には、7層目の誘電体層37に形成された複数のスルーホール63T5が接続されている。
図9は、9層目の誘電体層39のパターン形成面を示している。誘電体層39のパターン形成面には、共振器導体部510,520,530,540,550が形成されている。
共振器導体部510は、互いに反対側に位置する第1端510aと第2端510bを有している。共振器導体部520は、互いに反対側に位置する第1端520aと第2端520bを有している。共振器導体部530は、互いに反対側に位置する第1端530aと第2端530bを有している。共振器導体部540は、互いに反対側に位置する第1端540aと第2端540bを有している。共振器導体部550は、互いに反対側に位置する第1端550aと第2端550bを有している。
共振器導体部510は、第1の部分510Aと第2の部分510Bと第3の部分510Cを含んでいる。第1の部分510Aは第1端510aを有し、第2の部分510Bは第2端510bを有している。第1の部分510AはX方向に延び、第2の部分510BはY方向に延びている。第3の部分510Cは、第1の部分510Aにおける第1端510aとは反対側の端部と、第2の部分510Bにおける第2端510bとは反対側の端部と接続している。図9では、第1の部分510Aと第3の部分510Cの境界と、第2の部分510Bと第3の部分510Cの境界を、破線で示している。回路構成上、第1の部分510Aは、第2の部分510Bよりも、第1の入出力ポート3により近い。
共振器導体部550は、第1の部分550Aと第2の部分550Bと第3の部分550Cを含んでいる。第1の部分550Aは第1端550aを有し、第2の部分550Bは第2端550bを有している。第1の部分550AはX方向に延び、第2の部分550BはY方向に延びている。第3の部分550Cは、第1の部分550Aにおける第1端550aとは反対側の端部と、第2の部分550Bにおける第2端550bとは反対側の端部と接続している。図9では、第1の部分550Aと第3の部分550Cの境界と、第2の部分550Bと第3の部分550Cの境界を、破線で示している。回路構成上、第1の部分550Aは、第2の部分550Bよりも、第2の入出力ポート4により近い。
共振器導体部510の第2の部分510Bと共振器導体部550の第2の部分550Bは、所定の間隔を開けてX方向に隣接している。第2の部分510Bと第2の部分550Bの間隔は、共振器導体部510,550の各々の長さよりも小さい。
共振器導体部520は、第1の部分520Aと第2の部分520Bと第3の部分520Cを含んでいる。第1の部分520Aは第1端520aを有し、第2の部分520Bは第2端520bを有している。第1の部分520AはX方向に延び、第2の部分520BはY方向に延びている。第3の部分520Cは、第1の部分520Aにおける第1端520aとは反対側の端部と、第2の部分520Bにおける第2端520bとは反対側の端部と接続している。図9では、第1の部分520Aと第3の部分520Cの境界と、第2の部分520Bと第3の部分520Cの境界を、破線で示している。第1端520aは、共振器導体部510の第2端510bの近傍に配置されている。
共振器導体部540は、第1の部分540Aと第2の部分540Bと第3の部分540Cを含んでいる。第1の部分540Aは第1端540aを有し、第2の部分540Bは第2端540bを有している。第1の部分540AはX方向に延び、第2の部分540BはY方向に延びている。第3の部分540Cは、第1の部分540Aにおける第1端540aとは反対側の端部と、第2の部分540Bにおける第2端540bとは反対側の端部と接続している。図9では、第1の部分540Aと第3の部分540Cの境界と、第2の部分540Bと第3の部分540Cの境界を、破線で示している。第1端540aは、共振器導体部550の第2端550bの近傍に配置されている。
共振器導体部520の第1端520aと共振器導体部540の第1端540aは、所定の間隔を開けて隣接している。第1端520aと第1端540aの間隔は、共振器導体部520,540の各々の長さよりも十分に小さい。
共振器導体部530は、X方向に延びている。共振器導体部530の第1端530aは、共振器導体部520の第2端520bの近傍に配置されている。共振器導体部530の第2端530bは、共振器導体部540の第2端540bの近傍に配置されている。
また、誘電体層39には、5つのスルーホール列7Tの一部を構成する5つのスルーホール7T9が形成されている。5つのスルーホール7T9には、図8に示した5つのスルーホール7T8が接続されている。
誘電体層39には、更に、5つのスルーホール列8Tの一部を構成する5つのスルーホール8T9が形成されている。5つのスルーホール8T9には、図8に示した5つのスルーホール8T8が接続されている。
誘電体層39には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T9が形成されている。図9において、スルーホール7T9,8T9以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T9である。複数のスルーホール63T9には、図8に示した複数のスルーホール63T8が接続されている。
図10は、10層目ないし17層目の誘電体層40〜47のパターン形成面を示している。誘電体層40〜47の各々には、5つのスルーホール列7Tの一部を構成する5つのスルーホール7T10が形成されている。10層目の誘電体層40に形成された5つのスルーホール7T10には、図9に示した5つのスルーホール7T9が接続されている。
誘電体層40〜47の各々には、更に、5つのスルーホール列8Tの一部を構成する5つのスルーホール8T10が形成されている。10層目の誘電体層40に形成された5つのスルーホール8T10には、図9に示した5つのスルーホール8T9が接続されている。
誘電体層40〜47の各々には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T10が形成されている。図10において、スルーホール7T10,8T10以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T10である。10層目の誘電体層40に形成された複数のスルーホール63T10には、図9に示した複数のスルーホール63T9が接続されている。
誘電体層40〜47では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図11は、18層目の誘電体層48のパターン形成面を示している。誘電体層48のパターン形成面には、シールド6の第2の部分62を構成する第2の導体層481が形成されている。第2の導体層481には、17層目の誘電体層47に形成されたスルーホール7T10,8T10,63T10が接続されている。
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、1層目の誘電体層31のパターン形成面が本体2の第1の端面2Aになるように、1層目ないし18層目の誘電体層31〜48が積層されて構成される。18層目の誘電体層48におけるパターン形成面とは反対側の面は、本体2の第2の端面2Bになる。1層目ないし18層目の誘電体層31〜48は、積層体20を構成する。
共振器51〜55のそれぞれの共振器導体部510,520,530,540,550は、第1の方向すなわちZ方向に関して、積層体20内の同じ位置に配置されている。
第1の入出力ポート3を構成する導体層311は、スルーホール31T1、導体層321およびスルーホール32T1,33T1,34T1,35T1を介して、図8に示した導体層381に接続されている。導体層381は、誘電体層38を介して、図9に示した共振器導体部510における第1端510aの近傍部分に対向している。図2に示したキャパシタC1は、導体層381と共振器導体部510と、これらの間の誘電体層38とによって構成されている。
第2の入出力ポート4を構成する導体層312は、スルーホール31T2、導体層322およびスルーホール32T2,33T2,34T2,35T2を介して、図8に示した導体層382に接続されている。導体層382は、誘電体層38を介して、図9に示した共振器導体部550における第1端550aの近傍部分に対向している。図2に示したキャパシタC2は、導体層382と共振器導体部550と、これらの間の誘電体層38とによって構成されている。
図8に示した導体層383は、誘電体層38を介して、共振器導体部510における第2端510bの近傍部分と、共振器導体部520における第1端520aの近傍部分とに対向している。図2に示したキャパシタC12は、導体層383と、共振器導体部510,520と、これらの間の誘電体層38とによって構成されている。
図8に示した導体層384は、誘電体層38を介して、共振器導体部520における第2端520bの近傍部分と、共振器導体部530における第1端530aの近傍部分とに対向している。図2に示したキャパシタC23は、導体層384と、共振器導体部520,530と、これらの間の誘電体層38とによって構成されている。
図8に示した導体層385は、誘電体層38を介して、共振器導体部530における第2端530bの近傍部分と、共振器導体部540における第2端540bの近傍部分とに対向している。図2に示したキャパシタC34は、導体層385と、共振器導体部530,540と、これらの間の誘電体層38とによって構成されている。
図8に示した導体層386は、誘電体層38を介して、共振器導体部540における第1端540aの近傍部分と、共振器導体部550における第2端550bの近傍部分とに対向している。図2に示したキャパシタC45は、導体層386と、共振器導体部540,550と、これらの間の誘電体層38とによって構成されている。
第1の仕切り部7の5つのスルーホール列7Tの各々は、スルーホール7T1,7T2,7T3,7T4,7T5,7T8,7T9,7T10が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
図3ないし図11に示した例では、第1の仕切り部7の一部が、共振器導体部510の第2の部分510Bと、共振器導体部550の第2の部分550Bとの間を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。
第2の仕切り部8の5つのスルーホール列8Tの各々は、スルーホール8T1,8T2,8T3,8T4,8T5,8T8,8T9,8T10が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
接続部63の複数のスルーホール列63Tの各々は、スルーホール63T1,63T2,63T3,63T4,63T5,63T8,63T9,63T10が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
本実施の形態では、回路構成上隣接していない共振器51,55が磁気結合し、回路構成上隣接していない共振器52,54が容量結合している。共振器51と共振器52は回路構成上隣接し、且つ容量結合している。また、共振器55と共振器54は回路構成上隣接し、且つ容量結合している。このような回路構成上の関係を有する共振器51,52,54,55の共振器導体部510,520,540,550は、以下のような物理的な関係を有している。
共振器51,55のそれぞれの共振器導体部510,550は、他の共振器の共振器導体部を介することなく物理的に隣接している。本実施の形態では特に、いずれもY方向に延びる共振器導体部510の第2の部分510Bと共振器導体部550の第2の部分550Bが、それらの間に他の共振器の共振器導体部を介することなく、X方向に物理的に隣接している。これにより、共振器51,55間の磁気結合が実現されている。
また、共振器52,54のそれぞれの共振器導体部520,540は、他の共振器の共振器導体部を介することなく物理的に隣接している。本実施の形態では特に、共振器導体部520の第1端520aと、共振器導体部540の第1端540aが、それらの間に他の共振器の共振器導体部を介することなく、小さい間隔を開けて隣接している。これにより、共振器52,54間の容量結合が実現されている。
また、共振器51,52のそれぞれの共振器導体部510,520は、他の共振器の共振器導体部を介することなく物理的に隣接している。これにより、共振器51,52間の容量結合を容易に実現することができる。
また、共振器54,55のそれぞれの共振器導体部540,550は、他の共振器の共振器導体部を介することなく物理的に隣接している。これにより、共振器54,55間の容量結合を容易に実現することができる。
次に、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1の作用および効果について説明する。バンドパスフィルタ1は、例えば、通過帯域が10〜30GHzの準ミリ波帯または30〜300GHzのミリ波帯に存在するように設計および構成される。
バンドパスフィルタ1は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に第1の入出力ポート3側から順に配置された共振器51,52,53,54,55を備えている。共振器51〜55は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合、特に容量結合するように構成されている。
バンドパスフィルタ1は、シールド6を備えている。シールド6は、バンドパスフィルタ1の周囲へ電磁波が放射されることを防止する機能を有する。本実施の形態では、シールド6とその内側の誘電体によって導波管に似た構造が形成されることによって、1つ以上の導波管モードが生じ得る。この1つ以上の導波管モードの共振周波数は、通常、バンドパスフィルタ1の通過帯域よりも高い周波数領域に存在する。もし、共振周波数が最も低い導波管モードすなわち最低次導波管モードの共振周波数が、バンドパスフィルタ1の通過帯域に比較的近いと、最低次導波管モードの共振周波数における不要な共振によって、通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化するという問題が生じる。
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、第1および第2の仕切り部7,8を備えることによって、上記の問題の発生を防止している。以下、これについて詳しく説明する。まず、第1および第2の仕切り部7,8が無いと仮定すると、最低次導波管モードの共振周波数は、シールド6で囲まれた空間の形状に依存する。一般的に、この空間が大きいほど、最低次導波管モードの共振周波数は低くなる。
これに対し、本実施の形態では、第1および第2の仕切り部7,8によって、シールド6で囲まれた空間が、複数の空間に仕切られる。本実施の形態では特に、第1の仕切り部7によって、シールド6で囲まれた空間が、共振器導体部510が存在する空間と、共振器導体部550が存在する空間とに仕切られる。
本実施の形態では、最低次導波管モードの共振周波数は、第1および第2の仕切り部7,8によって仕切られた複数の空間の各々の形状に依存する。この複数の空間の各々は、第1および第2の仕切り部7,8が無いと仮定したときのシールド6で囲まれた空間よりも小さい。そのため、本実施の形態によれば、第1および第2の仕切り部7,8が無い場合に比べて、最低次導波管モードの共振周波数を高くすることができる。これにより、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1によれば、最低次導波管モードによって通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化することを防止することができる。
また、本実施の形態では、回路構成上隣接していない1段目の共振器51と5段目の共振器55が磁気結合している。これにより、本実施の形態によれば、挿入損失の周波数特性において、通過帯域よりも低く通過帯域に近い周波数領域である第1の通過帯域近傍領域と、通過帯域よりも高く通過帯域に近い周波数領域である第2の通過帯域近傍領域の少なくとも一方に、減衰極を生じさせることができる。なお、通過帯域は、例えば、挿入損失の最小値から3dBだけ挿入損失が大きくなる2つの周波数の間の周波数帯域である。
本実施の形態では特に、1段目の共振器51と5段目の共振器55の間の磁気結合は、第1の通過帯域近傍領域に減衰極を生じさせる。
また、本実施の形態では、回路構成上隣接していない2段目の共振器52と4段目の共振器54が容量結合している。これにより、本実施の形態によれば、第2の通過帯域近傍領域に減衰極を生じさせることができる。
これらのことから、本実施の形態によれば、5つの共振器51〜55とシールド6を含み、良好な特性を有するバンドパスフィルタ1を実現することができる。本実施の形態におけるバンドパスフィルタ1の良好な特性とは、具体的には、第1の通過帯域近傍領域と第2の通過帯域近傍領域の両方において挿入損失が急峻に変化することと、最低次導波管モードに起因した減衰特性の悪化が抑制されていることである。
また、本実施の形態では、第1の仕切り部7は、その少なくとも一部が共振器導体部510と共振器導体部550の間を通過するように配置されている。共振器導体部510と共振器導体部550は、回路構成上隣接していないが磁気結合している共振器51と共振器55を構成している。共振器51,55間の磁気結合は、回路構成上隣接する2つの共振器間の電磁結合よりも弱くてよい。そのため、本実施の形態では、第1の仕切り部7を、その少なくとも一部が共振器導体部510と共振器導体部550の間を通過するように配置しながら、共振器51,55を磁気結合させることができる。これにより、本実施の形態によれば、第1の仕切り部7を設けて最低次導波管モードに起因した減衰特性の悪化を抑制することと、共振器51,55を磁気結合させて減衰極を生じさせることとを両立させて、バンドパスフィルタ1の良好な特性を実現することができる。
ところで、本実施の形態における5つの共振器51〜55の各々は、1/2波長共振器である。この場合、共振器導体部510,520,530,540,550の各々は、通過帯域を決定する基本共振周波数の基本共振モードの他に、基本共振周波数の2倍の共振周波数の高調波共振モードを有する場合がある。高調波共振モードは、通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性を悪化させるおそれがある。
これに対し、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1では、ノッチフィルタ部によって、基本共振周波数の2倍の共振周波数の信号を減衰させることが可能である。これにより、本実施の形態によれば、高調波共振モードに起因した減衰特性の悪化を抑制することができる。
また、本実施の形態では、前述の回路構成上の関係を有する共振器51,52,54,55の共振器導体部510,520,540,550が、前述の物理的な関係を有するように構成されている。これにより、本実施の形態によれば、2つの飛び越し結合を有し、且つ簡単な構造のバンドパスフィルタ1を実現することができる。
次に、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1の特性の一例と、第1の比較例のバンドパスフィルタの特性の一例を示す。第1の比較例のバンドパスフィルタは、バンドパスフィルタ1から第1の仕切り部7を除いた構成を有している。
図12は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1の挿入損失の周波数特性の一例を示している。図13は、第1の比較例のバンドパスフィルタの挿入損失の周波数特性の一例を示している。図12および図13に示した特性は、シミュレーションによって求めたものである。図12および図13において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。図12および図13に示した例では、バンドパスフィルタ1および第1の比較例のバンドパスフィルタの通過帯域は、約26〜30GHzであり、通過帯域の中心周波数は、約28GHzである。
シミュレーションにおけるバンドパスフィルタ1では、第1の仕切り部7の存在を前提として、図12に示したように第1の通過帯域近傍領域と第2の通過帯域近傍領域の両方に減衰極が生じるように、2つの飛び越し結合の大きさが調整されている。第1の通過帯域近傍領域は、約24〜26GHzの周波数領域である。第2の通過帯域近傍領域は、約30〜32GHzの周波数領域である。図13に示した第1の比較例のバンドパスフィルタの特性では、第1の通過帯域近傍領域には減衰極は無く、第2の通過帯域近傍領域における減衰極における挿入損失はバンドパスフィルタ1に比べて小さくなっている。これは、第1の比較例のバンドパスフィルタでは、第1の仕切り部7を除いたことにより、共振器51,55間の磁気結合の大きさが、バンドパスフィルタ1において調整された大きさからずれたためである。
また、図13に示した第1の比較例のバンドパスフィルタの特性では、約40GHzにおいて挿入損失が極端に小さくなるピークが存在している。これは、約40GHzにおいて最低次導波管モードによる不要な共振が生じているためと考えられる。図12に示したバンドパスフィルタ1の特性では、図13に示した特性において生じているようなピークは存在せず、図13に示した特性に比べて、通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性は良好である。
また、図12に示したバンドパスフィルタ1の特性では、約55GHzにおける挿入損失が大きくなっている。これは、ノッチフィルタ部の作用によるものである。
図12から、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1によれば、第1の通過帯域近傍領域と第2の通過帯域近傍領域の両方において挿入損失が急峻に変化し、且つ最低次導波管モードに起因した減衰特性の悪化が抑制された良好な特性を実現できることが分かる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。始めに、図14および図15を参照して、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構成について説明する。図14は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図15は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100は、本体2と、第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、3つ以上の共振器と、シールド6と、仕切り部107と、結合調整部108とを備えている。本体2は、積層体20を含んでいる。
3つ以上の共振器は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に設けられている。本実施の形態では、3つ以上の共振器は、6つの共振器151,152,153,154,155,156である。6つの共振器151,152,153,154,155,156は、回路構成上、第1の入出力ポート3側からこの順に配置されている。6つの共振器151〜156は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成されている。具体的に説明すると、共振器151〜156は、共振器151,152が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器152,153が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器153,154が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器154,155が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器155,156が回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。また、本実施の形態では特に、回路構成上隣接する2つの共振器の間の電磁結合は、容量結合である。また、本実施の形態では特に、共振器151〜156の各々は、両端開放型共振器であり且つ1/2波長共振器である。
シールド6の第1の部分61、第2の部分62および接続部63は、6つの共振器151〜156を囲むように配置されている。第1の部分61は、積層体20の主要部21の第1の端面21aに配置された第1の導体層1313によって構成されている。第2の部分62は、積層体20の主要部21の第2の端面21bに配置された第2の導体層1521によって構成されている。
バンドパスフィルタ100は、共振器151,152間の容量結合を実現するキャパシタC112と、共振器152,153間の容量結合を実現するキャパシタC123と、共振器153,154間の容量結合を実現するキャパシタC134と、共振器154,155間の容量結合を実現するキャパシタC145と、共振器155,156間の容量結合を実現するキャパシタC156とを備えている。
本実施の形態では、6つの共振器151〜156のうち回路構成上第1の入出力ポート3に対して2番目に近い共振器152と、6つの共振器151〜156のうち回路構成上第2の入出力ポート4に対して2番目に近い共振器155は、回路構成上隣接していないが磁気結合している。共振器152は、本発明における第1の共振器に対応する。共振器155は、本発明における第2の共振器に対応する。
また、本実施の形態では、6つの共振器151〜156のうち回路構成上第1の入出力ポート3に最も近い共振器151と、6つの共振器151〜156のうち回路構成上第2の入出力ポート4に最も近い共振器156は、回路構成上隣接していないが容量結合している。図15において、符号C116を付したキャパシタの記号は、共振器151,156間の容量結合を表している。
バンドパスフィルタ100は、更に、第1の入出力ポート3と共振器151との間に設けられたキャパシタC101と、第2の入出力ポート4と共振器156との間に設けられたキャパシタC102とを備えている。
バンドパスフィルタ100は、更に、第1の実施の形態と同様に、2つの線路91,92を備えている。
共振器151は、導体よりなる共振器導体部1510を有している。共振器152は、導体よりなる共振器導体部1520を有している。共振器153は、導体よりなる共振器導体部1530を有している。共振器154は、導体よりなる共振器導体部1540を有している。共振器155は、導体よりなる共振器導体部1550を有している。共振器156は、導体よりなる共振器導体部1560を有している。共振器導体部1520は、本発明における第1の共振器導体部に対応する。共振器導体部1550は、本発明における第2の共振器導体部に対応する。
共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560の各々は、第1の方向すなわちZ方向と交差する方向に延びている。本実施の形態では特に、共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560の各々は、第1の方向すなわちZ方向に直交する方向に延びている。
共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。前述のように、共振器151〜156の各々は、両端開放型共振器である。そのため、共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560の各々の第1端と第2端は、いずれも開放されている。共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560の各々は、バンドパスフィルタ100の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/2またはそれに近い長さを有している。
仕切り部107は、その少なくとも一部が共振器導体部1520と共振器導体部1550の間を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。本実施の形態では特に、仕切り部107は、第1の方向すなわちZ方向に延びている。また、仕切り部107は、第1の部分61と第2の部分62を最短経路で接続している。すなわち、仕切り部107のZ方向の長さは、第1の部分61と第2の部分62の間の距離と等しい。
また、仕切り部107は、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通している。本実施の形態では、仕切り部107は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列107Tと、導体層107Cとを含んでいる。複数のスルーホール列107Tは、本発明における第1のスルーホール列に対応する。図14では、個々のスルーホール列107Tを円柱で表している。複数のスルーホール列107Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列107Tの各々は、Z方向に延びている。また、複数のスルーホール列107Tは、Y方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では、スルーホール列107Tの数は7である。
結合調整部108は、共振器151,156間の容量結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部108は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列108Tを含んでいる。図14では、個々のスルーホール列108Tを円柱で表している。複数のスルーホール列108Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列108Tの各々は、Z方向に延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。また、複数のスルーホール列108Tは、共振器導体部1510の第2端と共振器導体部1560の第2端の近傍において、Y方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では、スルーホール列108Tの数は2である。
シールド6の接続部63は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列163Tを含んでいる。複数のスルーホール列163Tは、本発明における第2のスルーホール列に対応する。図14では、個々のスルーホール列163Tを円柱で表している。図14において、7つのスルーホール列107Tと2つのスルーホール列108T以外の複数の円柱で表わされた複数のスルーホール列は、全てスルーホール列163Tである。複数のスルーホール列163Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列163Tの各々は、Z方向に延びている。
次に、図16ないし図24を参照して、本実施の形態における積層体20を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、積層体20は、積層された22層の誘電体層を有している。この22層の誘電体層を、下から順に1層目ないし22層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし22層目の誘電体層を符号131〜152で表す。主要部21は、1層目ないし21層目の誘電体層131〜151によって構成されている。被覆部22は、22層目の誘電体層152によって構成されている。図16ないし図23において、複数の円は複数のスルーホールを表している。
図16は、1層目の誘電体層131のパターン形成面を示している。誘電体層131のパターン形成面には、第1の入出力ポート3を構成する導体層1311と、第2の入出力ポート4を構成する導体層1312と、シールド6の第1の部分61を構成する第1の導体層1313とが形成されている。
また、誘電体層131には、導体層1311に接続されたスルーホール131T1と、導体層1312に接続されたスルーホール131T2とが形成されている。誘電体層131には、更に、7つのスルーホール列107Tの一部を構成する7つのスルーホール107T1と、2つのスルーホール列108Tの一部を構成する2つのスルーホール108T1と、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T1が形成されている。図16において、スルーホール131T1,131T2,107T1,108T1以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T1である。スルーホール107T1,108T1,163T1は、第1の導体層1313に接続されている。
図17は、2層目および3層目の誘電体層132,133のパターン形成面を示している。誘電体層132,133の各々には、スルーホール132T1,132T2が形成されている。2層目の誘電体層132に形成されたスルーホール132T1,132T2には、それぞれ、図16に示したスルーホール131T1,131T2が接続されている。
誘電体層132,133の各々には、更に、7つのスルーホール列107Tの一部を構成する7つのスルーホール107T2が形成されている。2層目の誘電体層132に形成された7つのスルーホール107T2には、図16に示した7つのスルーホール107T1が接続されている。
誘電体層132,133の各々には、更に、2つのスルーホール列108Tの一部を構成する2つのスルーホール108T2が形成されている。2層目の誘電体層132に形成された2つのスルーホール108T2には、図16に示した2つのスルーホール108T2が接続されている。
誘電体層132,133の各々には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T2が形成されている。図17において、スルーホール132T1,132T2,107T2,108T2以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T2である。2層目の誘電体層132に形成された複数のスルーホール163T2には、図16に示した複数のスルーホール163T1が接続されている。
誘電体層132,133では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図18は、4層目の誘電体層134のパターン形成面を示している。誘電体層134のパターン形成面には、線路91を構成する導体層1341と、線路92を構成する導体層1342が形成されている。導体層1341,1342の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。導体層1341における第1端の近傍部分には、3層目の誘電体層133に形成されたスルーホール132T1が接続されている。導体層1342における第1端の近傍部分には、3層目の誘電体層133に形成されたスルーホール132T2が接続されている。導体層1341における第2端の近傍の一部と、導体層1342における第2端の近傍の一部は、誘電体層131,132,133を介して、図16に示した導体層1313に対向している。
また、誘電体層134には、導体層1341における第1端の近傍部分に接続されたスルーホール134T1と、導体層1342における第1端の近傍部分に接続されたスルーホール134T2とが形成されている。
誘電体層134には、更に、7つのスルーホール列107Tの一部を構成する7つのスルーホール107T4が形成されている。7つのスルーホール107T4には、3層目の誘電体層133に形成された7つのスルーホール107T2が接続されている。
誘電体層134には、更に、2つのスルーホール列108Tの一部を構成する2つのスルーホール108T4が形成されている。2つのスルーホール108T4には、3層目の誘電体層133に形成された2つのスルーホール108T2が接続されている。
誘電体層134には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T4が形成されている。図18において、スルーホール134T1,134T2,107T4,108T4以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T4である。複数のスルーホール163T4には、3層目の誘電体層133に形成された複数のスルーホール163T2が接続されている。
図19は、5層目ないし9層目の誘電体層135〜139のパターン形成面を示している。誘電体層135〜139の各々には、スルーホール135T1,135T2が形成されている。5層目の誘電体層135に形成されたスルーホール135T1,135T2には、それぞれ、図18に示したスルーホール134T1,134T2が接続されている。
誘電体層135〜139の各々には、更に、7つのスルーホール列7Tの一部を構成する7つのスルーホール107T5が形成されている。5層目の誘電体層135に形成された7つのスルーホール107T5には、図18に示した7つのスルーホール107T4が接続されている。
誘電体層135〜139の各々には、更に、2つのスルーホール列108Tの一部を構成する2つのスルーホール108T5が形成されている。5層目の誘電体層135に形成された2つのスルーホール108T5には、図18に示した2つのスルーホール108T4が接続されている。
誘電体層135〜139の各々には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T5が形成されている。図19において、スルーホール135T1,135T2,107T5,108T5以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T5である。5層目の誘電体層135に形成された複数のスルーホール163T5には、図18に示した複数のスルーホール163T4が接続されている。
誘電体層135〜139では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図20は、10層目の誘電体層140のパターン形成面を示している。誘電体層140のパターン形成面には、図15に示したキャパシタC101を構成するための導体層1401と、図15に示したキャパシタC102を構成するための導体層1402とが形成されている。導体層1401には、9層目の誘電体層139に形成されたスルーホール135T1が接続されている。導体層1402には、9層目の誘電体層139に形成されたスルーホール135T2が接続されている。
誘電体層140のパターン形成面には、更に、それぞれ図15に示したキャパシタC112,C123,C134,C145,C156を構成するための導体層1403,1404,1405,1406,1407が形成されている。
また、誘電体層140には、7つのスルーホール列107Tの一部を構成する7つのスルーホール107T10が形成されている。7つのスルーホール107T10には、9層目の誘電体層139に形成された7つのスルーホール107T5が接続されている。
誘電体層140には、更に、2つのスルーホール列108Tの一部を構成する2つのスルーホール108T10が形成されている。2つのスルーホール108T10には、9層目の誘電体層139に形成された2つのスルーホール108T5が接続されている。
誘電体層140には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T10が形成されている。図20において、スルーホール107T10,108T10以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T0である。複数のスルーホール163T10には、9層目の誘電体層139に形成された複数のスルーホール163T5が接続されている。
図21は、11層目の誘電体層141のパターン形成面を示している。誘電体層141には、7つのスルーホール列107Tの一部を構成する7つのスルーホール107T11が形成されている。7つのスルーホール107T11には、図20に示した7つのスルーホール107T10が接続されている。
誘電体層141には、更に、2つのスルーホール列108Tの一部を構成する2つのスルーホール108T11が形成されている。2つのスルーホール108T11には、図20に示した2つのスルーホール108T10が接続されている。
誘電体層141には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T11が形成されている。図21において、スルーホール107T11,108T11以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T11である。複数のスルーホール163T11には、図20に示した複数のスルーホール163T10が接続されている。
図22は、12層目の誘電体層142のパターン形成面を示している。誘電体層142のパターン形成面には、共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560が形成されている。
共振器導体部1510は、互いに反対側に位置する第1端1510aと第2端1510bを有している。共振器導体部1520は、互いに反対側に位置する第1端1520aと第2端1520bを有している。共振器導体部1530は、互いに反対側に位置する第1端1530aと第2端1530bを有している。共振器導体部1540は、互いに反対側に位置する第1端1540aと第2端1540bを有している。共振器導体部1550は、互いに反対側に位置する第1端1550aと第2端1550bを有している。共振器導体部1560は、互いに反対側に位置する第1端1560aと第2端1560bを有している。
共振器導体部1510,1560の各々は、X方向に延びている。また、共振器導体部1510,1560は、それらと交差してX方向に延びる1つの直線が存在する位置関係で配置されている。共振器導体部1510の第2端1510bと共振器導体部1560の第2端1560bは、所定の間隔を開けて隣接している。第2端1510bと第2端1560bの間隔は、共振器導体部1510,1560の各々の長さよりも十分に小さい。
共振器導体部1520,1550の各々は、Y方向に延びている。また、共振器導体部1520,1550は、所定の間隔を開けてX方向に隣接している。共振器導体部1520,1550の間隔は、共振器導体部1520,1550の各々の長さよりも小さい。
共振器導体部1520の第1端1520aは、共振器導体部1510の第2端1510bの近傍に配置されている。共振器導体部1550の第1端1550aは、共振器導体部1560の第2端1560bの近傍に配置されている。
共振器導体部1530は、第1の部分1530Aと第2の部分1530Bと第3の部分1530Cを含んでいる。第1の部分1530Aは第1端1530aを有し、第2の部分1530Bは第2端1530bを有している。第1の部分1530AはX方向に延び、第2の部分1530BはY方向に延びている。第3の部分1530Cは、第1の部分1530Aにおける第1端1530aとは反対側の端部と、第2の部分1530Bにおける第2端1530bとは反対側の端部と接続している。図22では、第1の部分1530Aと第3の部分1530Cの境界と、第2の部分1530Bと第3の部分1530Cの境界を、破線で示している。第1端1530aは、共振器導体部1520の第2端1520bの近傍に配置されている。
共振器導体部1540は、第1の部分1540Aと第2の部分1540Bと第3の部分1540Cを含んでいる。第1の部分1540Aは第1端1540aを有し、第2の部分1540Bは第2端1540bを有している。第1の部分1540AはX方向に延び、第2の部分1540BはY方向に延びている。第3の部分1540Cは、第1の部分1540Aにおける第1端1540aとは反対側の端部と、第2の部分1540Bにおける第2端1540bとは反対側の端部と接続している。図22では、第1の部分1540Aと第3の部分1540Cの境界と、第2の部分1540Bと第3の部分1540Cの境界を、破線で示している。第1端1540aは、共振器導体部1550の第2端1550bの近傍に配置されている。
共振器導体部1530の第1端1530aと共振器導体部1540の第1端1540aは、所定の間隔を開けて隣接している。
誘電体層142のパターン形成面には、更に、仕切り部107の一部を構成する導体層107Cが形成されている。導体層107Cは、共振器導体部1520と共振器導体部1550の間に位置して、Y方向に延びている。
また、誘電体層142には、7つのスルーホール列107Tの一部を構成する7つのスルーホール107T12が形成されている。7つのスルーホール107T12は、導体層107Cに接続されている。また、7つのスルーホール107T12には、図21に示した7つのスルーホール7T11が接続されている。
誘電体層142には、更に、2つのスルーホール列108Tの一部を構成する2つのスルーホール108T12が形成されている。2つのスルーホール108T12には、図21に示した2つのスルーホール108T12が接続されている。
誘電体層142には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T12が形成されている。図22において、スルーホール107T12,108T12以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T12である。複数のスルーホール163T12には、図21に示した複数のスルーホール163T11が接続されている。
図23は、13層目ないし21層目の誘電体層143〜151のパターン形成面を示している。誘電体層143〜151の各々には、7つのスルーホール列107Tの一部を構成する7つのスルーホール107T13が形成されている。13層目の誘電体層143に形成された7つのスルーホール107T13には、図22に示した7つのスルーホール107T12が接続されている。
誘電体層143〜151の各々には、更に、2つのスルーホール列108Tの一部を構成する2つのスルーホール108T13が形成されている。13層目の誘電体層143に形成された2つのスルーホール108T13には、図22に示した2つのスルーホール108T12が接続されている。
誘電体層143〜151の各々には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T13が形成されている。図23において、スルーホール107T13,108T13以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T13である。13層目の誘電体層143に形成された複数のスルーホール163T13には、図22に示した複数のスルーホール163T12が接続されている。
誘電体層143〜151では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図24は、22層目の誘電体層152のパターン形成面を示している。誘電体層152のパターン形成面には、シールド6の第2の部分62を構成する第2の導体層1521が形成されている。第2の導体層1521には、21層目の誘電体層151に形成されたスルーホール107T13,108T13,163T13が接続されている。
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100は、1層目の誘電体層131のパターン形成面が本体2の第1の端面2Aになるように、1層目ないし22層目の誘電体層131〜152が積層されて構成される。22層目の誘電体層152におけるパターン形成面とは反対側の面は、本体2の第2の端面2Bになる。1層目ないし22層目の誘電体層131〜152は、積層体20を構成する。
共振器151〜156のそれぞれの共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560は、第1の方向すなわちZ方向に関して、積層体20内の同じ位置に配置されている。
第1の入出力ポート3を構成する導体層1311は、スルーホール131T1,132T1,134T1,135T1を介して、図20に示した導体層1401に接続されている。導体層1401は、誘電体層140,141を介して、図22に示した共振器導体部1510における第1端1510aの近傍部分に対向している。図15に示したキャパシタC101は、導体層1401と共振器導体部1510と、これらの間の誘電体層140,141とによって構成されている。
第2の入出力ポート4を構成する導体層1312は、スルーホール131T2,132T2,134T2,135T2を介して、図20に示した導体層1402に接続されている。導体層1402は、誘電体層140,141を介して、図22に示した共振器導体部1560における第1端1560aの近傍部分に対向している。図15に示したキャパシタC102は、導体層1402と共振器導体部1560と、これらの間の誘電体層140,141とによって構成されている。
図20に示した導体層1403は、誘電体層140,141を介して、共振器導体部1510における第2端1510bの近傍部分と、共振器導体部1520における第1端1520aの近傍部分とに対向している。図15に示したキャパシタC112は、導体層1403と、共振器導体部1510,1520と、これらの間の誘電体層140,141とによって構成されている。
図20に示した導体層1404は、誘電体層140,141を介して、共振器導体部1520における第2端1520bの近傍部分と、共振器導体部1530における第1端1530aの近傍部分とに対向している。図15に示したキャパシタC123は、導体層1404と、共振器導体部1520,1530と、これらの間の誘電体層140,141とによって構成されている。
図20に示した導体層1405は、誘電体層140,141を介して、共振器導体部1530における第1端1530aの近傍部分と、共振器導体部1540における第1端1540aの近傍部分とに対向している。図15に示したキャパシタC134は、導体層1405と、共振器導体部1530,1540と、これらの間の誘電体層140,141とによって構成されている。
図20に示した導体層1406は、誘電体層140,141を介して、共振器導体部1540における第1端1540aの近傍部分と、共振器導体部1550における第2端1550bの近傍部分とに対向している。図15に示したキャパシタC145は、導体層1406と、共振器導体部1540,1550と、これらの間の誘電体層140,141とによって構成されている。
図20に示した導体層1407は、誘電体層140,141を介して、共振器導体部1550における第1端1550aの近傍部分と、共振器導体部1560における第2端1560bの近傍部分とに対向している。図15に示したキャパシタC156は、導体層1407と、共振器導体部1550,1560と、これらの間の誘電体層140,141とによって構成されている。
仕切り部107の7つのスルーホール列107Tの各々は、スルーホール107T1,107T2,107T4,107T5,107T10,107T11,107T12,107T13が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
図16ないし図24に示した例では、仕切り部107は、共振器導体部1520と共振器導体部1550の間を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。
結合調整部108の2つのスルーホール列108Tの各々は、スルーホール108T1,108T2,108T4,108T5,108T10,108T11,108T12,108T13が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
接続部163の複数のスルーホール列163Tの各々は、スルーホール163T1,163T2,163T4,163T5,163T10,163T12,163T13が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
本実施の形態では、回路構成上隣接していない共振器152,155が磁気結合し、回路構成上隣接していない共振器151,156が容量結合している。共振器152と共振器151は回路構成上隣接し、且つ容量結合している。また、共振器155と共振器156は回路構成上隣接し、且つ容量結合している。このような回路構成上の関係を有する共振器151,152,155,156の共振器導体部1510,1520,1550,1560は、以下のような物理的な関係を有している。
共振器152,155のそれぞれの共振器導体部1520,1550は、他の共振器の共振器導体部を介することなく物理的に隣接している。本実施の形態では特に、いずれもY方向に延びる共振器導体部1520と共振器導体部1550が、それらの間に他の共振器の共振器導体部を介することなく、X方向に物理的に隣接している。これにより、共振器152,155間の磁気結合が実現されている。
また、共振器151,156のそれぞれの共振器導体部1510,1560は、他の共振器の共振器導体部を介することなく物理的に隣接している。本実施の形態では特に、共振器導体部1510の第2端1510bと、共振器導体部1560の第2端1560bが、それらの間に他の共振器の共振器導体部を介することなく、小さい間隔を開けて隣接している。これにより、共振器151,156間の容量結合が実現されている。
また、共振器152,151のそれぞれの共振器導体部1520,1510は、他の共振器の共振器導体部を介することなく物理的に隣接している。これにより、共振器152,151間の容量結合を容易に実現することができる。
また、共振器155,156のそれぞれの共振器導体部1550,1560は、他の共振器の共振器導体部を介することなく物理的に隣接している。これにより、共振器155,156間の容量結合を容易に実現することができる。
次に、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100の作用および効果について説明する。バンドパスフィルタ100は、例えば、通過帯域が10〜30GHzの準ミリ波帯または30〜300GHzのミリ波帯に存在するように設計および構成される。
本実施の形態では、仕切り部107によって、シールド6で囲まれた空間が、共振器導体部1520が存在する空間と、共振器導体部1550が存在する空間とに仕切られる。これにより、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、最低次導波管モードによって通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化することを防止することができる。
また、本実施の形態では、回路構成上隣接していない2段目の共振器152と5段目の共振器155が磁気結合している。共振器152,155間の磁気結合は、挿入損失の周波数特性において、通過帯域よりも低く通過帯域に近い周波数領域である第1の通過帯域近傍領域と、通過帯域よりも高く通過帯域に近い周波数領域である第2の通過帯域近傍領域の両方に、減衰極を生じさせることができる。
また、本実施の形態では、回路構成上隣接していない1段目の共振器151と6段目の共振器156が容量結合している。共振器151,156間の容量結合は、第1の通過帯域近傍領域に生じる減衰極における挿入損失を大きくする作用を有する。第1の通過帯域近傍領域に生じる減衰極における挿入損失の大きさは、共振器151,156間の容量結合の大きさによって調整することができる。結合調整部108は、共振器151,156間の容量結合の大きさを調整するために設けられている。すなわち、結合調整部108を構成する複数のスルーホール列108Tの数や間隔によって、共振器151,156間の容量結合の大きさを調整することができる。
本実施の形態によれば、第1の通過帯域近傍領域と第2の通過帯域近傍領域の両方において挿入損失が急峻に変化する特性を実現することができるが、特に、第1の通過帯域近傍領域において挿入損失がより急峻に変化する特性を実現することができる。
また、本実施の形態では、仕切り部107は、共振器導体部1520と共振器導体部1550の間を通過するように配置されている。共振器導体部1520と共振器導体部1550は、回路構成上隣接していないが磁気結合している共振器152と共振器155を構成している。共振器152,155間の磁気結合は、回路構成上隣接する2つの共振器間の電磁結合よりも弱くてよい。そのため、本実施の形態では、仕切り部107を、共振器導体部1520と共振器導体部1550の間を通過するように配置しながら、共振器152,155を磁気結合させることができる。これにより、本実施の形態によれば、仕切り部107を設けて最低次導波管モードに起因した減衰特性の悪化を抑制することと、共振器152,155を磁気結合させて減衰極を生じさせることとを両立させて、バンドパスフィルタ100の良好な特性を実現することができる。
また、本実施の形態では、前述の回路構成上の関係を有する共振器151,152,155,156の共振器導体部1510,1520,1550,1560が、前述の物理的な関係を有するように構成されている。これにより、本実施の形態によれば、2つの飛び越し結合を有し、且つ簡単な構造のバンドパスフィルタ100を実現することができる。
次に、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100の特性の一例と、第2の比較例のバンドパスフィルタの特性の一例を示す。第2の比較例のバンドパスフィルタは、バンドパスフィルタ100から仕切り部107を除いた構成を有している。
図25は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100の挿入損失の周波数特性の一例を示している。図26は、第2の比較例のバンドパスフィルタの挿入損失の周波数特性の一例を示している。図25および図26に示した特性は、シミュレーションによって求めたものである。図25および図26において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。図25および図26に示した例では、バンドパスフィルタ100および第2の比較例のバンドパスフィルタの通過帯域は、約26〜30GHzであり、通過帯域の中心周波数は、約28GHzである。
シミュレーションにおけるバンドパスフィルタ100では、仕切り部107の存在を前提として、図25に示したように第1の通過帯域近傍領域と第2の通過帯域近傍領域の両方において挿入損失が急峻に変化する特性が得られるように、2つの飛び越し結合の大きさが調整されている。第1の通過帯域近傍領域は、約23〜26GHzの周波数領域である。第2の通過帯域近傍領域は、約30〜33GHzの周波数領域である。なお、図25に示した特性では、第2の通過帯域近傍領域において減衰極は明確には現れていない。これは、共振器152,155間の磁気結合によって第2の通過帯域近傍領域に生じる減衰極における挿入損失が、共振器151,156間の容量結合によって、幾分小さくなったためである。しかし、図25に示した特性では、第2の通過帯域近傍領域において、減衰極は明確には現れていないものの挿入損失が急峻に変化している。
図26に示した第2の比較例のバンドパスフィルタの特性では、第1の通過帯域近傍領域と第2の通過帯域近傍領域の両方において、バンドパスフィルタ100に比べて、挿入損失が小さくなっている。これは、第2の比較例のバンドパスフィルタでは、仕切り部107を除いたことにより、共振器152,155間の磁気結合の大きさが、バンドパスフィルタ100において調整された大きさからずれたためである。
また、図26に示した比較例のバンドパスフィルタの特性では、50GHzに近い周波数領域において挿入損失が極端に小さくなるピークが存在している。これは、最低次導波管モードによる不要な共振が生じているためと考えられる。図25に示したバンドパスフィルタ100の特性では、50GHzに近い周波数領域に存在するピークが、図26に示した特性に比べて、より高い周波数側に移動し、且つこのピークにおける挿入損失が大きくなっている。そのため、図25に示した特性では、図26に示した特性に比べて、通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性は良好である。
図25から、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100によれば、第1の通過帯域近傍領域と第2の通過帯域近傍領域の両方において挿入損失が急峻に変化し、且つ最低次導波管モードに起因した減衰特性の悪化が抑制された良好な特性を実現できることが分かる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、図27および図28を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図27は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図28は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ200は、本体2と、第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、3つ以上の共振器と、シールド6と、仕切り部207とを備えている。本体2は、積層体20を含んでいる。
3つ以上の共振器は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に設けられている。本実施の形態では、3つ以上の共振器は、3つの共振器251,252,253である。3つの共振器251,252,253は、回路構成上、第1の入出力ポート3側からこの順に配置されている。3つの共振器251〜253は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成されている。すなわち、共振器251〜253は、共振器251,252が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器252,253が回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。また、本実施の形態では特に、回路構成上隣接する2つの共振器の間の電磁結合は、容量結合である。また、本実施の形態では特に、共振器251〜253の各々は、両端開放型共振器であり且つ1/2波長共振器である。
シールド6の第1の部分61、第2の部分62および接続部63は、3つの共振器251〜253を囲むように配置されている。第1の部分61は、積層体20の主要部21の第1の端面21aに配置された第1の導体層610によって構成されている。第2の部分62は、積層体20の主要部21の第2の端面21bに配置された第2の導体層620によって構成されている。
バンドパスフィルタ200は、共振器251,252間の容量結合を実現するキャパシタC212と、共振器252,253間の容量結合を実現するキャパシタC223とを備えている。
本実施の形態では、3つの共振器251〜253のうち回路構成上第1の入出力ポート3に最も近い共振器251と、3つの共振器251〜253のうち回路構成上第2の入出力ポート4に最も近い共振器253は、回路構成上隣接していないが磁気結合している。共振器251は、本発明における第1の共振器に対応する。共振器253は、本発明における第2の共振器に対応する。
バンドパスフィルタ200は、更に、第1の入出力ポート3と共振器251との間に設けられたキャパシタC201と、第2の入出力ポート4と共振器253との間に設けられたキャパシタC202とを備えている。
バンドパスフィルタ200は、更に、第1の実施の形態と同様に、2つの線路91,92を備えている。
共振器251は、導体よりなる共振器導体部2510を有している。共振器252は、導体よりなる共振器導体部2520を有している。共振器253は、導体よりなる共振器導体部2530を有している。共振器導体部2510は、本発明における第1の共振器導体部に対応する。共振器導体部2530は、本発明における第2の共振器導体部に対応する。
共振器導体部2510,2520,2530は、第1の方向すなわちZ方向に関して、積層体20内の同じ位置に配置されている。また、共振器導体部2510,2520,2530の各々は、第1の方向すなわちZ方向と交差する方向に延びている。本実施の形態では特に、共振器導体部2510,2520,2530の各々は、第1の方向すなわちZ方向に直交する方向に延びている。
共振器導体部2510,2520,2530の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。前述のように、共振器251〜253の各々は、両端開放型共振器である。そのため、共振器導体部2510,2520,2530の各々の第1端と第2端は、いずれも開放されている。共振器導体部2510,2520,2530の各々は、バンドパスフィルタ200の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/2またはそれに近い長さを有している。
仕切り部207は、その少なくとも一部が共振器導体部2510と共振器導体部2530の間を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。本実施の形態では特に、仕切り部207は、第1の方向すなわちZ方向に延びている。また、仕切り部207は、第1の部分61と第2の部分62を最短経路で接続している。すなわち、仕切り部207のZ方向の長さは、第1の部分61と第2の部分62の間の距離と等しい。
また、仕切り部207は、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通している。本実施の形態では、仕切り部207は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列207Tを含んでいる。複数のスルーホール列207Tは、本発明における第1のスルーホール列に対応する。図27では、個々のスルーホール列207Tを円柱で表している。複数のスルーホール列207Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列207Tの各々は、Z方向に延びている。
本実施の形態では、共振器導体部2510と共振器導体部2530は、Y方向に延び、所定の間隔を開けてX方向に隣接している。複数のスルーホール列207Tは、Y方向に並ぶように配列されて、共振器導体部2510と共振器導体部2530の間を通過するように配置されている。本実施の形態では、スルーホール列207Tの数は6である。
シールド6の接続部63は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列263Tを含んでいる。複数のスルーホール列263Tは、本発明における第2のスルーホール列に対応する。図27では、個々のスルーホール列263Tを円柱で表している。図27において、6つのスルーホール列207T以外の複数の円柱で表わされた複数のスルーホール列は、全てスルーホール列263Tである。複数のスルーホール列263Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列263Tの各々は、Z方向に延びている。
バンドパスフィルタ200は、更に、積層体20内に設けられた導体層211,212,221,222を備えている。
導体層211は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。導体層211における第1端の近傍部分は、積層体20内に設けられた複数のスルーホールを介して第1の入出力ポート3に接続されている。導体層211における第2端の近傍部分は、1つ以上の誘電体層を介して、共振器導体部2510における第1端の近傍部分に対向している。これにより、キャパシタC201が構成されている。線路91は、導体層211と第1の入出力ポート3を接続する複数のスルーホールのうちの1つ以上のスルーホールを介して、第1の入出力ポート3に接続されている。
導体層212は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。導体層212における第1端の近傍部分は、積層体20内に設けられた複数のスルーホールを介して第2の入出力ポート4に接続されている。導体層212における第2端の近傍部分は、1つ以上の誘電体層を介して、共振器導体部2530における第1端の近傍部分に対向している。これにより、キャパシタC202が構成されている。線路92は、導体層212と第2の入出力ポート4を接続する複数のスルーホールのうちの1つ以上のスルーホールを介して、第2の入出力ポート4に接続されている。
導体層221は、1つ以上の誘電体層を介して、共振器導体部2510における第2端の近傍部分と共振器導体部2520における第1端の近傍部分とに対向している。これにより、キャパシタC212が構成されている。
導体層222は、1つ以上の誘電体層を介して、共振器導体部2520における第2端の近傍部分と共振器導体部2530における第2端の近傍部分とに対向している。これにより、キャパシタC223が構成されている。
本実施の形態では、仕切り部207によって、シールド6で囲まれた空間が、共振器導体部2510が存在する空間と、共振器導体部2530が存在する空間とに仕切られる。これにより、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、最低次導波管モードによって通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化することを防止することができる。
また、本実施の形態では、回路構成上隣接していない1段目の共振器251と3段目の共振器253が磁気結合している。共振器251,253間の磁気結合は、挿入損失の周波数特性において、通過帯域よりも低く通過帯域に近い周波数領域である第1の通過帯域近傍領域に、減衰極を生じさせることができる。
これらのことから、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ200によれば、第1の通過帯域近傍領域において挿入損失が急峻に変化し、且つ最低次導波管モードに起因した減衰特性の悪化が抑制された良好な特性を実現することができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
次に、図29および図30を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。図29は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図30は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ300は、本体2と、第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、3つ以上の共振器と、シールド6と、仕切り部307とを備えている。本体2は、積層体20を含んでいる。
3つ以上の共振器は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に設けられている。本実施の形態では、3つ以上の共振器は、4つの共振器351,352,353,354である。4つの共振器351,352,353,354は、回路構成上、第1の入出力ポート3側からこの順に配置されている。4つの共振器351〜354は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成されている。すなわち、共振器351〜354は、共振器351,352が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器352,353が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器353,354が回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。また、本実施の形態では特に、回路構成上隣接する2つの共振器の間の電磁結合は、容量結合である。また、本実施の形態では特に、共振器351〜354の各々は、両端開放型共振器であり且つ1/2波長共振器である。
シールド6の第1の部分61、第2の部分62および接続部63は、4つの共振器351〜354を囲むように配置されている。第1の部分61は、積層体20の主要部21の第1の端面21aに配置された第1の導体層610によって構成されている。第2の部分62は、積層体20の主要部21の第2の端面21bに配置された第2の導体層620によって構成されている。
バンドパスフィルタ300は、共振器351,352間の容量結合を実現するキャパシタC312と、共振器352,353間の容量結合を実現するキャパシタC323と、共振器353,354間の容量結合を実現するキャパシタC334とを備えている。
本実施の形態では、4つの共振器351〜354のうち回路構成上第1の入出力ポート3に最も近い共振器351と、4つの共振器351〜354のうち回路構成上第2の入出力ポート4に最も近い共振器354は、回路構成上隣接していないが磁気結合している。共振器351は、本発明における第1の共振器に対応する。共振器354は、本発明における第2の共振器に対応する。
バンドパスフィルタ300は、更に、第1の入出力ポート3と共振器351との間に設けられたキャパシタC301と、第2の入出力ポート4と共振器354との間に設けられたキャパシタC302とを備えている。
バンドパスフィルタ300は、更に、第1の実施の形態と同様に、2つの線路91,92を備えている。
共振器351は、導体よりなる共振器導体部3510を有している。共振器352は、導体よりなる共振器導体部3520を有している。共振器353は、導体よりなる共振器導体部3530を有している。共振器354は、導体よりなる共振器導体部3540を有している。共振器導体部3510は、本発明における第1の共振器導体部に対応する。共振器導体部3540は、本発明における第2の共振器導体部に対応する。
共振器導体部3510,3520,3530,3540は、第1の方向すなわちZ方向に関して、積層体20内の同じ位置に配置されている。また、共振器導体部3510,3520,3530,3540の各々は、第1の方向すなわちZ方向と交差する方向に延びている。本実施の形態では特に、共振器導体部3510,3520,3530,3540の各々は、第1の方向すなわちZ方向に直交する方向に延びている。
共振器導体部3510,3520,3530,3540の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。前述のように、共振器351〜354の各々は、両端開放型共振器である。そのため、共振器導体部3510,3520,3530,3540の各々の第1端と第2端は、いずれも開放されている。共振器導体部3510,3520,3530,3540の各々は、バンドパスフィルタ300の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/2またはそれに近い長さを有している。
仕切り部307は、その少なくとも一部が共振器導体部3510と共振器導体部3540の間を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。本実施の形態では特に、仕切り部307は、第1の方向すなわちZ方向に延びている。また、仕切り部307は、第1の部分61と第2の部分62を最短経路で接続している。すなわち、仕切り部307のZ方向の長さは、第1の部分61と第2の部分62の間の距離と等しい。
また、仕切り部307は、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通している。本実施の形態では、仕切り部307は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列307Tを含んでいる。複数のスルーホール列307Tは、本発明における第1のスルーホール列に対応する。図29では、個々のスルーホール列307Tを円柱で表している。複数のスルーホール列307Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列307Tの各々は、Z方向に延びている。
本実施の形態では、共振器導体部3510と共振器導体部3540は、Y方向に延び、所定の間隔を開けてX方向に隣接している。複数のスルーホール列307Tは、Y方向に並ぶように配列されて、共振器導体部3510と共振器導体部3540の間を通過するように配置されている。本実施の形態では、スルーホール列307Tの数は6である。
シールド6の接続部63は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列363Tを含んでいる。複数のスルーホール列363Tは、本発明における第2のスルーホール列に対応する。図29では、個々のスルーホール列363Tを円柱で表している。図29において、6つのスルーホール列307T以外の複数の円柱で表わされた複数のスルーホール列は、全てスルーホール列363Tである。複数のスルーホール列363Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列363Tの各々は、Z方向に延びている。
バンドパスフィルタ300は、更に、積層体20内に設けられた導体層311,312,321,322,323を備えている。
導体層311は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。導体層311における第1端の近傍部分は、積層体20内に設けられた複数のスルーホールを介して第1の入出力ポート3に接続されている。導体層311における第2端の近傍部分は、1つ以上の誘電体層を介して、共振器導体部3510における第1端の近傍部分に対向している。これにより、キャパシタC301が構成されている。線路91は、導体層311と第1の入出力ポート3を接続する複数のスルーホールのうちの1つ以上のスルーホールを介して、第1の入出力ポート3に接続されている。
導体層312は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。導体層312における第1端の近傍部分は、積層体20内に設けられた複数のスルーホールを介して第2の入出力ポート4に接続されている。導体層312における第2端の近傍部分は、1つ以上の誘電体層を介して、共振器導体部3540における第1端の近傍部分に対向している。これにより、キャパシタC302が構成されている。線路92は、導体層312と第2の入出力ポート4を接続する複数のスルーホールのうちの1つ以上のスルーホールを介して、第2の入出力ポート4に接続されている。
導体層321は、1つ以上の誘電体層を介して、共振器導体部3510における第2端の近傍部分と共振器導体部3520における第1端の近傍部分とに対向している。これにより、キャパシタC312が構成されている。
導体層322は、1つ以上の誘電体層を介して、共振器導体部3520における第1端の近傍部分と共振器導体部3530における第1端の近傍部分とに対向している。これにより、キャパシタC323が構成されている。
導体層323は、1つ以上の誘電体層を介して、共振器導体部3530における第1端の近傍部分と共振器導体部3540における第2端の近傍部分とに対向している。これにより、キャパシタC334が構成されている。
本実施の形態では、仕切り部307によって、シールド6で囲まれた空間が、共振器導体部3510が存在する空間と、共振器導体部3540が存在する空間とに仕切られる。これにより、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、最低次導波管モードによって通過帯域よりも高い周波数領域における減衰特性が悪化することを防止することができる。
また、本実施の形態では、回路構成上隣接していない1段目の共振器351と4段目の共振器354が磁気結合している。共振器351,354間の磁気結合は、挿入損失の周波数特性において、通過帯域よりも低く通過帯域に近い周波数領域である第1の通過帯域近傍領域と、通過帯域よりも高く通過帯域に近い周波数領域である第2の通過帯域近傍領域の両方に、減衰極を生じさせることができる。
これらのことから、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ300によれば、第1の通過帯域近傍領域と第2の通過帯域近傍領域の両方において挿入損失が急峻に変化し、且つ最低次導波管モードに起因した減衰特性の悪化が抑制された良好な特性を実現することができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、共振器の数や構成は、各実施の形態に示したものに限らず、特許請求の範囲を満たすものであればよい。また、シールド6の接続部の少なくとも一部は、複数のスルーホール列の代わりに、本体2の1つ以上の側面に形成した導体層によって構成してもよい。また、仕切り部は、複数のスルーホール列の代わりに、板状の導体部によって構成してもよい。