[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るバンドパスフィルタの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
図1に示したように、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、誘電体よりなる本体2と、本体2に一体化された第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、本体2内に設けられたn個の共振器と、シールド6と、仕切り部7と、結合調整部8とを備えている。nは、3以上の整数である。シールド6は、導体よりなり、本体2に一体化されている。また、シールド6は、グランドに接続されている。シールド6は、バンドパスフィルタ1の周囲へ電磁波が放射されることを防止する機能を有する。仕切り部7と結合調整部8の各々は、導体よりなり、本体2内に設けられて、シールド6に電気的に接続されている。
本体2は、積層された複数の誘電体層からなる積層体20を含んでいる。ここで、図1に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。本実施の形態では、複数の誘電体層の積層方向(図1では上側に向かう方向)を、Z方向とする。
本体2は、直方体形状を有している。本体2は、Z方向における本体2の両端に位置する第1の端面2Aおよび第2の端面2Bと、第1の端面2Aと第2の端面2Bを接続する4つの側面2C,2D,2E,2Fを有している。第1の端面2Aは、本体2の下面でもある。第2の端面2Bは、本体2の上面でもある。側面2C,2Dは、Y方向における本体2の両端に位置している。側面2E,2Fは、X方向における本体2の両端に位置している。
n個の共振器は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に設けられている。また、n個の共振器は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成されている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。
図2に示したように、本実施の形態では特に、nは6であり、n個の共振器は、6個の共振器51,52,53,54,55,56である。6個の共振器51,52,53,54,55,56は、回路構成上、第1の入出力ポート3側からこの順に配置されている。共振器51〜56は、共振器51,52が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器52,53が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器53,54が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器54,55が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器55,56が回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。また、本実施の形態では特に、回路構成上隣接する2つの共振器の間の電磁結合は、容量結合である。また、本実施の形態では特に、共振器51〜56の各々は、両端開放型共振器であり且つ1/2波長共振器である。
バンドパスフィルタ1は、共振器51,52間の容量結合を実現するキャパシタC12と、共振器52,53間の容量結合を実現するキャパシタC23と、共振器53,54間の容量結合を実現するキャパシタC34と、共振器54,55間の容量結合を実現するキャパシタC45と、共振器55,56間の容量結合を実現するキャパシタC56とを備えている。
ここで、回路構成上隣接する2つの共振器が結合するように構成された3つ以上の共振器を備えたバンドパスフィルタにおける、回路構成上隣接しない2つの共振器の間の電磁結合を飛び越し結合と言う。本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、以下で説明するように、2つの飛び越し結合を有している。
本実施の形態では、6個の共振器51〜56のうち回路構成上第1の入出力ポート3に対して2番目に近い共振器52と、6個の共振器51〜56のうち回路構成上第2の入出力ポート4に対して2番目に近い共振器55は、回路構成上隣接していないが磁気結合している。
また、本実施の形態では、6個の共振器51〜56のうち回路構成上第1の入出力ポート3に最も近い共振器51と、6個の共振器51〜56のうち回路構成上第2の入出力ポート4に最も近い共振器56は、回路構成上隣接していないが容量結合している。図2において、符号C16を付したキャパシタの記号は、共振器51,56間の容量結合を表している。
バンドパスフィルタ1は、更に、第1の入出力ポート3と共振器51との間に設けられたキャパシタC1と、第2の入出力ポート4と共振器56との間に設けられたキャパシタC2とを備えている。
バンドパスフィルタ1は、更に、通過帯域よりも高い所定の周波数(以下、ノッチ周波数と言う。)の信号を減衰させるためのノッチフィルタ部を備えている。このノッチフィルタ部は、導体よりなる2つの線路91,92を備えている。線路91,92の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。線路91の第1端は第1の入出力ポート3に接続され、線路91の第2端は開放されている。線路92の第1端は第2の入出力ポート4に接続され、線路92の第2端は開放されている。線路91,92の各々は、ノッチ周波数に対応する波長の1/4またはそれに近い長さを有している。線路91,92の各々は、ノッチ周波数で共振する1/4波長共振器である。ノッチ周波数は、例えば、バンドパスフィルタ1の通過帯域の中心周波数の2倍の周波数である。
シールド6は、Z方向について間隔を開けて配置された第1の部分61および第2の部分62と、第1の部分61と第2の部分62を接続する接続部63とを含んでいる。第1の部分61、第2の部分62および接続部63は、6個の共振器51〜56を囲むように配置されている。
積層体20は、主要部21と被覆部22とを含んでいる。主要部21は、積層体20を構成する複数の誘電体層のうちの、積層された2つ以上の誘電体層によって構成されている。被覆部22は、積層体20を構成する複数の誘電体層のうちの、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層以外の1つ以上の誘電体層によって構成されている。主要部21は、2つ以上の誘電体層の積層方向における両端に位置する第1の端面21aと第2の端面21bを有している。被覆部22は、第2の端面21bを覆っている。主要部21の第1の端面21aは、本体2の第1の端面2Aと一致している。主要部21の第2の端面21bは、本体2の内部に位置している。
第1の部分61は、第1の端面21aに配置された第1の導体層313によって構成されている。第2の部分62は、第2の端面21bに配置された第2の導体層491によって構成されている。第2の部分62は、主要部21と被覆部22の間に介在している。
共振器51,52,53,54,55,56は、それぞれ導体の線路によって構成された共振器導体部510,520,530,540,550,560を有している。共振器導体部510,520,530,540,550,560の各々は、Z方向に直交する方向に延びている。
共振器導体部510,520,530,540,550,560の各々は、線路の両端である第1端および第2端を有している。前述のように、共振器51〜56の各々は、両端開放型共振器である。そのため、共振器導体部510,520,530,540,550,560の各々の第1端と第2端は、いずれも開放されている。共振器導体部510,520,530,540,550,560の各々は、バンドパスフィルタ1の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/2またはそれに近い長さを有している。
仕切り部7は、その少なくとも一部が共振器導体部520と共振器導体部550の間を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。本実施の形態では特に、仕切り部7は、Z方向に延びている。また、仕切り部7は、第1の部分61と第2の部分62を最短経路で接続している。
また、仕切り部7は、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通している。本実施の形態では、仕切り部7は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列7Tを含んでいる。図1では、個々のスルーホール列7Tを円柱で表している。複数のスルーホール列7Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列7Tの各々は、Z方向に延びている。また、複数のスルーホール列7Tは、Y方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では、スルーホール列7Tの数は6である。
結合調整部8は、共振器51,56間の容量結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部8は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列8Tを含んでいる。図1では、個々のスルーホール列8Tを円柱で表している。複数のスルーホール列8Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列8Tの各々は、Z方向に延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。また、複数のスルーホール列8Tは、共振器導体部510の第2端と共振器導体部560の第2端の近傍において、Y方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では、スルーホール列8Tの数は2である。
シールド6の接続部63は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列63Tを含んでいる。図1では、個々のスルーホール列63Tを円柱で表している。図1において、6つのスルーホール列7Tと2つのスルーホール列8T以外の複数の円柱で表わされた複数のスルーホール列は、全てスルーホール列63Tである。複数のスルーホール列63Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列63Tの各々は、Z方向に延びている。
次に、図3ないし図10を参照して、積層体20を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、積層体20は、積層された19層の誘電体層を有している。以下、この19層の誘電体層を、下から順に1層目ないし19層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし19層目の誘電体層を符号31〜49で表す。主要部21は、1層目ないし18層目の誘電体層31〜48によって構成されている。被覆部22は、19層目の誘電体層49によって構成されている。図3ないし図9において、複数の円は複数のスルーホールを表している。
図3は、1層目の誘電体層31のパターン形成面を示している。誘電体層31のパターン形成面には、第1の入出力ポート3を構成する導体層311と、第2の入出力ポート4を構成する導体層312と、シールド6の第1の部分61を構成する第1の導体層313とが形成されている。
また、誘電体層31には、導体層311に接続されたスルーホール31T1と、導体層312に接続されたスルーホール31T2とが形成されている。誘電体層31には、更に、6つのスルーホール列7Tの一部を構成する6つのスルーホール7T1と、2つのスルーホール列8Tの一部を構成する2つのスルーホール8T1と、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T1が形成されている。図3において、スルーホール31T1,31T2,7T1,8T1以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T1である。スルーホール7T1,8T1,63T1は、第1の導体層313に接続されている。
図4は、2層目および3層目の誘電体層32,33のパターン形成面を示している。誘電体層32,33の各々には、スルーホール32T1,32T2が形成されている。2層目の誘電体層32に形成されたスルーホール32T1,32T2には、それぞれ、図3に示したスルーホール31T1,31T2が接続されている。
誘電体層32,33の各々には、更に、6つのスルーホール列7Tの一部を構成する6つのスルーホール7T2が形成されている。2層目の誘電体層32に形成された6つのスルーホール7T2には、図3に示した6つのスルーホール7T1が接続されている。
誘電体層32,33の各々には、更に、2つのスルーホール列8Tの一部を構成する2つのスルーホール8T2が形成されている。2層目の誘電体層32に形成された2つのスルーホール8T2には、図3に示した2つのスルーホール8T1が接続されている。
誘電体層32,33の各々には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T2が形成されている。図4において、スルーホール32T1,32T2,7T2,8T2以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T2である。2層目の誘電体層32に形成された複数のスルーホール63T2には、図3に示した複数のスルーホール63T1が接続されている。
誘電体層32,33では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図5は、4層目の誘電体層34のパターン形成面を示している。誘電体層34のパターン形成面には、線路91を構成する導体層341と、線路92を構成する導体層342が形成されている。導体層341,342の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。導体層341における第1端の近傍部分には、3層目の誘電体層33に形成されたスルーホール32T1が接続されている。導体層342における第1端の近傍部分には、3層目の誘電体層33に形成されたスルーホール32T2が接続されている。導体層341における第2端の近傍の一部と、導体層342における第2端の近傍の一部は、誘電体層31,32,33を介して、図3に示した導体層313に対向している。
また、誘電体層34には、導体層341における第1端の近傍部分に接続されたスルーホール34T1と、導体層342における第1端の近傍部分に接続されたスルーホール34T2とが形成されている。
誘電体層34には、更に、6つのスルーホール列7Tの一部を構成する6つのスルーホール7T4が形成されている。6つのスルーホール7T4には、3層目の誘電体層33に形成された6つのスルーホール7T2が接続されている。
誘電体層34には、更に、2つのスルーホール列8Tの一部を構成する2つのスルーホール8T4が形成されている。2つのスルーホール8T4には、3層目の誘電体層33に形成された2つのスルーホール8T2が接続されている。
誘電体層34には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T4が形成されている。図5において、スルーホール34T1,34T2,7T4,8T4以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T4である。複数のスルーホール63T4には、3層目の誘電体層33に形成された複数のスルーホール63T2が接続されている。
図6は、5層目ないし8層目の誘電体層35〜38のパターン形成面を示している。誘電体層35〜38の各々には、スルーホール35T1,35T2が形成されている。5層目の誘電体層35に形成されたスルーホール35T1,35T2には、それぞれ、図5に示したスルーホール34T1,34T2が接続されている。
誘電体層35〜38の各々には、更に、6つのスルーホール列7Tの一部を構成する6つのスルーホール7T5が形成されている。5層目の誘電体層35に形成された6つのスルーホール7T5には、図5に示した6つのスルーホール7T4が接続されている。
誘電体層35〜38の各々には、更に、2つのスルーホール列8Tの一部を構成する2つのスルーホール8T5が形成されている。5層目の誘電体層35に形成された2つのスルーホール8T5には、図5に示した2つのスルーホール8T4が接続されている。
誘電体層35〜38の各々には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T5が形成されている。図6において、スルーホール35T1,35T2,7T5,8T5以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T5である。5層目の誘電体層35に形成された複数のスルーホール63T5には、図5に示した複数のスルーホール63T4が接続されている。
誘電体層35〜38では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図7は、9層目の誘電体層39のパターン形成面を示している。誘電体層39のパターン形成面には、図2に示したキャパシタC1を構成するための導体層391と、図2に示したキャパシタC2を構成するための導体層392とが形成されている。導体層391には、8層目の誘電体層38に形成されたスルーホール35T1が接続されている。導体層392には、8層目の誘電体層38に形成されたスルーホール35T2が接続されている。
誘電体層39のパターン形成面には、更に、それぞれ図2に示したキャパシタC12,C23,C34,C45,C56を構成するための導体層393,394,395,396,397が形成されている。
また、誘電体層39には、6つのスルーホール列7Tの一部を構成する6つのスルーホール7T9が形成されている。6つのスルーホール7T9には、8層目の誘電体層38に形成された6つのスルーホール7T5が接続されている。
誘電体層39には、更に、2つのスルーホール列8Tの一部を構成する2つのスルーホール8T9が形成されている。2つのスルーホール8T9には、8層目の誘電体層38に形成された2つのスルーホール8T5が接続されている。
誘電体層39には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T9が形成されている。図7において、スルーホール7T9,8T9以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T9である。複数のスルーホール63T9には、8層目の誘電体層38に形成された複数のスルーホール63T5が接続されている。
図8は、9層目の誘電体層40のパターン形成面を示している。誘電体層40のパターン形成面には、共振器導体部510,520,530,540,550,560が形成されている。ここで、図8および図11を参照して、共振器導体部510,520,530,540,550,560の構成について詳しく説明する。図11は、共振器導体部510,520,530,540,550,560の構成を説明するための説明図である。
共振器導体部510は、線路の両端である第1端51aおよび第2端51bを含んでいる。共振器導体部520は、線路の両端である第1端52aおよび第2端52bを含んでいる。共振器導体部530は、線路の両端である第1端53aおよび第2端53bを含んでいる。共振器導体部540は、線路の両端である第1端54aおよび第2端54bを含んでいる。共振器導体部550は、線路の両端である第1端55aおよび第2端55bを含んでいる。共振器導体部560は、線路の両端である第1端56aおよび第2端56bを含んでいる。
図11には、共振器導体部510,520,530,540,550,560のそれぞれについて、第1端と第2端を結ぶ最短経路51P,52P,53P,54P,55P,56Pを、太線の矢印で示している。各最短経路は、各共振器導体部における最短電流経路に対応する。以下、各共振器導体部において、最短経路に直交する方向の寸法を、幅と言う。
共振器導体部510,560の各々は、X方向に延びている。また、共振器導体部510,560は、それらと交差してX方向に延びる1つの直線が存在する位置関係で配置されている。共振器導体部510の第2端51bと共振器導体部560の第2端56bは、所定の間隔を開けて隣接している。第2端51bと第2端56bの間隔は、共振器導体部510,560の各々の長さよりも十分に小さい。
図11に示したように、共振器導体部510は、細幅部51Aと、細幅部51Aと第1端51aとの間に位置する第1の幅広部51Bと、細幅部51Aと第2端51bとの間に位置する第2の幅広部51Cと、2つの連結部51D,51Eとを含んでいる。本実施の形態では特に、第1の幅広部51Bは第1端51aを含み、第2の幅広部51Cは第2端51bを含んでいる。連結部51Dは、細幅部51Aの一端部と、第1の幅広部51Bにおける第1端51aとは反対側の端部とを接続している。連結部51Eは、細幅部51Aの他端部と、第2の幅広部51Cにおける第2端51bとは反対側の端部とを接続している。図11では、細幅部51Aと連結部51Dの境界と、細幅部51Aと連結部51Eの境界と、第1の幅広部51Bと連結部51Dの境界と、第2の幅広部51Cと連結部51Eの境界を、破線で示している。
細幅部51Aの幅W51A、第1の幅広部51Bの幅W51Bおよび第2の幅広部51Cの幅W51Cは、それぞれ、X方向の位置によらずに一定である。幅W51Aは、幅W51B,W51Cよりも小さい。連結部51D,51Eの各々の幅は、X方向の位置に応じて変化する。連結部51Dの幅は、細幅部51Aとの境界位置では細幅部51Aの幅と等しく、第1の幅広部51Bとの境界位置では第1の幅広部51Bの幅と等しい。連結部51Eの幅は、細幅部51Aとの境界位置では細幅部51Aの幅と等しく、第2の幅広部51Cとの境界位置では第2の幅広部51Cの幅と等しい。
図11に示したように、共振器導体部560は、細幅部56Aと、細幅部56Aと第1端56aとの間に位置する第1の幅広部56Bと、細幅部56Aと第2端56bとの間に位置する第2の幅広部56Cと、2つの連結部56D,56Eとを含んでいる。本実施の形態では特に、第1の幅広部56Bは第1端56aを含み、第2の幅広部56Cは第2端56bを含んでいる。連結部56Dは、細幅部56Aの一端部と、第1の幅広部56Bにおける第1端56aとは反対側の端部とを接続している。連結部56Eは、細幅部56Aの他端部と、第2の幅広部56Cにおける第2端56bとは反対側の端部とを接続している。図11では、細幅部56Aと連結部56Dの境界と、細幅部56Aと連結部56Eの境界と、第1の幅広部56Bと連結部56Dの境界と、第2の幅広部56Cと連結部56Eの境界を、破線で示している。
細幅部56Aの幅W56A、第1の幅広部56Bの幅W56Bおよび第2の幅広部56Cの幅W56Cは、それぞれ、X方向の位置によらずに一定である。幅W56Aは、幅W56B,W56Cよりも小さい。連結部56D,56Eの各々の幅は、X方向の位置に応じて変化する。連結部56Dの幅は、細幅部56Aとの境界位置では細幅部56Aの幅と等しく、第1の幅広部56Bとの境界位置では第1の幅広部56Bの幅と等しい。連結部56Eの幅は、細幅部56Aとの境界位置では細幅部56Aの幅と等しく、第2の幅広部56Cとの境界位置では第2の幅広部56Cの幅と等しい。
共振器導体部520,550の各々は、Y方向に延びている。また、共振器導体部520,550は、所定の間隔を開けてX方向に隣接している。共振器導体部520,550の間隔は、共振器導体部520,550の各々の長さよりも小さい。
共振器導体部520は、第1端52aと第2端52bの間において幅W52が一定である。共振器導体部550は、第1端55aと第2端55bの間において幅W55が一定である。
共振器導体部520の第1端52aは、共振器導体部510の第2端51bの近傍に配置されている。共振器導体部550の第1端55aは、共振器導体部560の第2端56bの近傍に配置されている。
図8に示したように、共振器導体部530は、第1の部分53Aと第2の部分53Bと第3の部分53Cを含んでいる。第1の部分53Aは第1端53aを含み、第2の部分53Bは第2端53bを含んでいる。第1の部分53AはX方向に延び、第2の部分53BはY方向に延びている。第3の部分53Cは、第1の部分53Aにおける第1端53aとは反対側の端部と、第2の部分53Bにおける第2端53bとは反対側の端部と接続している。図8では、第1の部分53Aと第3の部分53Cの境界と、第2の部分53Bと第3の部分53Cの境界を、破線で示している。第1端53aは、共振器導体部520の第2端52bの近傍に配置されている。共振器導体部530は、第1端53aと第2端53bの間において幅W53が一定である。
図8に示したように、共振器導体部540は、第1の部分54Aと第2の部分54Bと第3の部分54Cを含んでいる。第1の部分54Aは第1端54aを含み、第2の部分54Bは第2端54bを含んでいる。第1の部分54AはX方向に延び、第2の部分54BはY方向に延びている。第3の部分54Cは、第1の部分54Aにおける第1端54aとは反対側の端部と、第2の部分54Bにおける第2端54bとは反対側の端部と接続している。図8では、第1の部分54Aと第3の部分54Cの境界と、第2の部分54Bと第3の部分54Cの境界を、破線で示している。第1端54aは、共振器導体部550の第2端55bの近傍に配置されている。共振器導体部540は、第1端54aと第2端54bの間において幅W54が一定である。
共振器導体部530の第1端53aと共振器導体部540の第1端54aは、所定の間隔を開けて隣接している。
次に、図8を参照して、共振器導体部510,520,530,540,550,560以外の、誘電体層40に形成された構成要素について説明する。誘電体層40のパターン形成面には、仕切り部7の一部を構成する導体層7Cが形成されている。導体層7Cは、共振器導体部520と共振器導体部550の間に位置して、Y方向に延びている。
また、誘電体層40には、6つのスルーホール列7Tの一部を構成する6つのスルーホール7T10が形成されている。6つのスルーホール7T10は、導体層7Cに接続されている。また、6つのスルーホール7T10には、図7に示した6つのスルーホール7T9が接続されている。
誘電体層40には、更に、2つのスルーホール列8Tの一部を構成する2つのスルーホール8T10が形成されている。2つのスルーホール8T10には、図7に示した2つのスルーホール8T9が接続されている。
誘電体層40には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T10が形成されている。図8において、スルーホール7T10,8T10以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T10である。複数のスルーホール63T10には、図7に示した複数のスルーホール63T9が接続されている。
図9は、11層目ないし18層目の誘電体層41〜48のパターン形成面を示している。誘電体層41〜48の各々には、6つのスルーホール列7Tの一部を構成する6つのスルーホール7T11が形成されている。11層目の誘電体層41に形成された6つのスルーホール7T11には、図8に示した6つのスルーホール7T10が接続されている。
誘電体層41〜48の各々には、更に、2つのスルーホール列8Tの一部を構成する2つのスルーホール8T11が形成されている。11層目の誘電体層41に形成された2つのスルーホール8T11には、図8に示した2つのスルーホール8T10が接続されている。
誘電体層41〜48の各々には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T11が形成されている。図9において、スルーホール7T11,8T11以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T11である。11層目の誘電体層41に形成された複数のスルーホール63T11には、図9に示した複数のスルーホール63T10が接続されている。
誘電体層41〜48では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図10は、19層目の誘電体層49のパターン形成面を示している。誘電体層49のパターン形成面には、シールド6の第2の部分62を構成する第2の導体層491が形成されている。第2の導体層491には、18層目の誘電体層48に形成されたスルーホール7T11,8T11,63T11が接続されている。
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、1層目の誘電体層31のパターン形成面が本体2の第1の端面2Aになるように、1層目ないし19層目の誘電体層31〜49が積層されて構成される。19層目の誘電体層49におけるパターン形成面とは反対側の面は、本体2の第2の端面2Bになる。1層目ないし19層目の誘電体層31〜49は、積層体20を構成する。
共振器51〜56のそれぞれの共振器導体部510,520,530,540,550,560は、Z方向に関して、積層体20内の同じ位置に配置されている。
第1の入出力ポート3を構成する導体層311は、スルーホール31T1,32T1、導体層341およびスルーホール34T1,35T1を介して、図7に示した導体層391に接続されている。導体層391は、誘電体層39を介して、図8に示した共振器導体部510における第1端51aの近傍部分に対向している。図2に示したキャパシタC1は、導体層391と共振器導体部510と、これらの間の誘電体層39とによって構成されている。
第2の入出力ポート4を構成する導体層312は、スルーホール31T2,32T2、導体層342およびスルーホール34T2,35T2を介して、図7に示した導体層392に接続されている。導体層392は、誘電体層39を介して、図8に示した共振器導体部560における第1端56aの近傍部分に対向している。図2に示したキャパシタC2は、導体層392と共振器導体部560と、これらの間の誘電体層39とによって構成されている。
図7に示した導体層393は、誘電体層39を介して、共振器導体部510における第2端51bの近傍部分と、共振器導体部520における第1端52aの近傍部分とに対向している。図2に示したキャパシタC12は、導体層393と、共振器導体部510,520と、これらの間の誘電体層39とによって構成されている。
図7に示した導体層394は、誘電体層39を介して、共振器導体部520における第2端52bの近傍部分と、共振器導体部530における第1端53aの近傍部分とに対向している。図2に示したキャパシタC23は、導体層394と、共振器導体部520,530と、これらの間の誘電体層39とによって構成されている。
図7に示した導体層395は、誘電体層39を介して、共振器導体部530における第1端53aの近傍部分と、共振器導体部540における第1端54aの近傍部分とに対向している。図2に示したキャパシタC34は、導体層395と、共振器導体部530,540と、これらの間の誘電体層39とによって構成されている。
図7に示した導体層396は、誘電体層39を介して、共振器導体部540における第1端54aの近傍部分と、共振器導体部550における第2端55bの近傍部分とに対向している。図2に示したキャパシタC45は、導体層396と、共振器導体部540,550と、これらの間の誘電体層39とによって構成されている。
図7に示した導体層397は、誘電体層39を介して、共振器導体部550における第1端55aの近傍部分と、共振器導体部560における第2端56bの近傍部分とに対向している。図2に示したキャパシタC56は、導体層397と、共振器導体部550,560と、これらの間の誘電体層39とによって構成されている。
仕切り部7の6つのスルーホール列7Tの各々は、スルーホール7T1,7T2,7T4,7T5,7T9,7T10,7T11が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
図3ないし図10に示した例では、仕切り部7は、共振器導体部520と共振器導体部550の間を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。
結合調整部8の2つのスルーホール列8Tの各々は、スルーホール8T1,8T2,8T4,8T5,8T9,8T10,8T11が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
接続部63の複数のスルーホール列63Tの各々は、スルーホール63T1,63T2,63T4,63T5,63T9,63T10,63T11が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1は、例えば、通過帯域が10〜30GHzの準ミリ波帯または30〜300GHzのミリ波帯に存在するように設計および構成される。バンドパスフィルタ1は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に設けられたn個の共振器を備えている。n個の共振器は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成されている。
次に、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1の特徴について説明する。以下、バンドパスフィルタ1が含むn個の共振器のうち、回路構成上、第1の入出力ポート3にi番目に近い共振器をi段目の共振器と呼ぶ。また、nが偶数の場合には、n/2段目の共振器とn/2+1段目の共振器を中央共振器と呼ぶ。nが奇数の場合には、(n+1)/2段目の共振器を中央共振器と呼ぶ。本実施の形態では特に、nが6である。従って、本実施の形態では、3段目の共振器53と4段目の共振器54が中央共振器である。
本実施の形態では、n個の共振器は、少なくとも一対の、回路構成上隣接していない第1の共振器および第2の共振器と、回路構成上第1の共振器と第2の共振器の間に位置する第3の共振器とを含んでいる。
第1の共振器は、iの値が(n+1)/2よりも小さいi段目の共振器である。これは、第1の共振器は、回路構成上、中央共振器よりも、第1の入出力ポート3により近いことを意味する。
第2の共振器は、iの値が(n+1)/2よりも大きいi段目の共振器である。これは、第2の共振器は、回路構成上、中央共振器よりも、第2の入出力ポート4により近いことを意味する。
第1の共振器は、導体の線路によって構成された第1の共振器導体部を有している。第2の共振器は、導体の線路によって構成された第2の共振器導体部を有している。第3の共振器は、導体の線路によって構成された第3の共振器導体部を有している。第1ないし第3の共振器導体部の各々は、線路の両端である第1端および第2端を含んでいる。
第1および第2の共振器導体部の各々は、細幅部と、細幅部と第1端の間に位置する第1の幅広部と、細幅部と第2端の間に位置する第2の幅広部とを含んでいる。細幅部は、第1端と第2端を結ぶ最短経路に直交する方向の寸法である幅が、第1および第2の幅広部よりも小さい。また、第1および第2の共振器の各々は、第3の共振器よりも無負荷Qが小さい。第1および第2の共振器導体部の各々は、最短経路が第3の共振器導体部よりも短くてもよい。
上述の細幅部と第1の幅広部と第2の幅広部を含む共振器導体部を有する共振器は、SIRの一種である。共振器の共振周波数を一定にして比較すると、共振器をSIRとすることにより、共振器をSIRにしない場合に比べて、共振器導体部の最短経路を短くすることが可能になる一方で、無負荷Qは小さくなる。
本実施の形態では特に、第1の共振器は1段目の共振器51であり、第2の共振器はn段目すなわち6段目の共振器56である。また、本実施の形態では、第3の共振器は4つ存在し、2段目ないし5段目の共振器52〜55が第3の共振器である。共振器導体部510は第1の共振器導体部に対応し、共振器導体部560は第2の共振器導体部に対応し、共振器導体部520,530,540,550は第3の共振器導体部に対応する。共振器51,56の各々は、共振器52,53,54,55よりも無負荷Qが小さい。
図11を参照して説明したように、共振器導体部510は、細幅部51Aと第1の幅広部51Bと第2の幅広部51Cを含んでいる。共振器導体部560は、細幅部56Aと第1の幅広部56Bと第2の幅広部56Cを含んでいる。共振器51,56は、SIRである。
共振器導体部520,530,540,550の各々は、第1端における幅および第2端における幅よりも小さい幅を有する部分を含まない。本実施の形態では特に、共振器導体部520,530,540,550の各々は、第1端と第2端の間において幅が一定である。共振器52〜55は、SIRではない。
各共振器の共振器導体部の最短経路の長さは、その共振器の共振周波数に依存する。共振器51〜56は、それらの共振周波数がバンドパスフィルタ1の通過帯域の中心周波数と等しいかそれに近い周波数になるように設計される。ただし、共振器51〜56の共振周波数が一致するとは限らない。そのため、SIRである共振器51,56の共振器導体部510,560の最短経路51P,56Pが、SIRではない共振器52〜55の共振器導体部520,530,540,550の最短経路52P,53P,54P,55Pよりも短いとは限らない。
本実施の形態では特に、共振器導体部510,560の最短経路51P,56Pの各々は、共振器導体部530,540の最短経路53P,54Pよりも短い。共振器導体部520,550の最短経路52P,55Pの各々の長さは、最短経路51P,56Pの各々の長さと等しいかほぼ等しい。
以下、i段目の共振器の無負荷Qを記号Quiで表し、i段目の共振器の規格化素子値を記号giで表す。この場合、n個の共振器の無負荷Qに基づく、バンドパスフィルタ1の通過帯域の中心周波数における挿入損失は、n個の共振器についてのgi/Quiの総和に比例する。
i段目の共振器をSIRにすると、i段目の共振器が、幅が一定の導体の線路よりなる共振器である場合に比べて、Quiが小さくなる。その結果、挿入損失は増加する。n個の共振器の全てをSIRにすると、挿入損失が大きくなりすぎるおそれがある。そこで、本実施の形態では、n個の共振器の全てをSIRにせずに、一部の共振器のみをSIRにしている。
n個の共振器を含むバンドパスフィルタでは、バンドパスフィルタの特性にもよるが、一般的には、iの値が(n+1)/2よりも小さいほど、あるいはiの値が(n+1)/2よりも大きいほど、規格化素子値giが小さい。例えば、n個の共振器の共振周波数が等しく、バンドパスフィルタが最大平坦特性の場合には、giは2sin((2i−1)π/2n)と表される。本実施の形態では、回路構成上、第1の入出力ポート3または第2の入出力ポート4に近い共振器ほど、規格化素子値giが小さく、Quiの変化量に対する挿入損失の変化量の比が小さい。
従って、一部の共振器のみをSIRにする場合、中央共振器あるいは、回路構成上中央共振器に近い共振器をSIRにするよりも、第1の入出力ポート3または第2の入出力ポート4に近い共振器をSIRにした方が、挿入損失の増加量を小さくすることができる。
そこで、本実施の形態では、回路構成上、第1の入出力ポート3に最も近い1段目の共振器51と、回路構成上、第2の入出力ポート4に最も近い6段目の共振器56のみをSIRにしている。
以上のことから、本実施の形態によれば、SIRにした共振器51,56を小型化できることから、バンドパスフィルタ1を小型化することが可能になる。また、本実施の形態によれば、共振器51,56のみをSIRにしているため、バンドパスフィルタ1の挿入損失の増加を抑制することができる。
ここで、本実施の形態における共振器51〜56の無負荷Qの一例を示す。この例では、1段目と6段目の共振器51,56の無負荷Qは250である。2段目と5段目の共振器52,55の無負荷Qは288である。3段目と4段目の共振器53,54の無負荷Qは253である。従って、この例では、1段目と6段目の共振器51,56の各々は、2段目ないし5段目の共振器52〜55よりも無負荷Qが小さい。
次に、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1に関するシミュレーションの結果について説明する。このシミュレーションでは、バンドパスフィルタ1の第1ないし第3のモデルについて、挿入損失の周波数特性を求めた。第1ないし第3のモデルでは、共振器51〜56の無負荷Qの組み合わせが異なる。
第1のモデルでは、共振器51〜56の無負荷Qは全て200である。第2のモデルでは、共振器51,56の無負荷Qは100であり、共振器52〜55の無負荷Qは200である。第3のモデルでは、共振器52,55の無負荷Qは100であり、共振器51,53,54,56の無負荷Qは200である。
図12は、第1ないし第3のモデルの挿入損失の周波数特性を示している。図13は、図12の一部を拡大して示している。図12および図13において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。図13において、第1、第2および第3のモデルの特性を、それぞれ符号71,72,73を付した曲線で示している。
第1ないし第3のモデルの通過帯域の中心周波数は、約28GHzである。図13に示したように、第2および第3のモデルでは、第1のモデルに比べて、通過帯域の中心周波数における挿入損失が大きくなっている。第2のモデルと第3のモデルで、通過帯域の中心周波数における挿入損失を比較すると、第2のモデルの方が小さい。このことから、回路構成上、第1の入出力ポート3または第2の入出力ポート4に近い共振器ほど、無負荷Qの変化量に対する挿入損失の変化量の比が小さいことが分かる。従って、前述の通り、一部の共振器のみをSIRにする場合、中央共振器あるいは、回路構成上中央共振器に近い共振器をSIRにするよりも、第1の入出力ポート3または第2の入出力ポート4に近い共振器をSIRにした方が、挿入損失の増加量を小さくすることができる。
また、共振器をSIRにすると、基本モードの共振周波数に対する高次モードの共振周波数の比を大きくすることが可能になる。本実施の形態によれば、共振器51,56をSIRにすることにより、共振器51,56の高次モードの共振周波数を高くすることができる。これにより、本実施の形態によれば、高次モードに起因して通過帯域よりも高い周波数領域におけるバンドパスフィルタ1の減衰特性が悪化することを防止することが可能になる。
図14は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ1の挿入損失および反射損失の周波数特性の一例を示している。以下、挿入損失の値と反射損失の値を総称して減衰量と言う。図14において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。図14では、挿入損失の周波数特性を、符号81ILを付した曲線で示し、反射損失の周波数特性を、符号81RLを付した曲線で示している。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。始めに、図15および図16を参照して、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構成について説明する。図15は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの構造を示す斜視図である。図16は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図である。
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100は、本体2と、第1の入出力ポート3および第2の入出力ポート4と、n個の共振器と、シールド6と、仕切り部107とを備えている。本体2は、積層体20を含んでいる。
n個の共振器は、回路構成上、第1の入出力ポート3と第2の入出力ポート4の間に設けられている。本実施の形態では、nは7であり、n個の共振器は、7個の共振器151,152,153,154,155,156,157である。7個の共振器151,152,153,154,155,156,157は、回路構成上、第1の入出力ポート3側からこの順に配置されている。共振器151〜157は、共振器151,152が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器152,153が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器153,154が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器154,155が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器155,156が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器156,157が回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。また、本実施の形態では特に、回路構成上隣接する2つの共振器の間の電磁結合は、容量結合である。また、本実施の形態では特に、共振器151〜157の各々は、両端開放型共振器であり且つ1/2波長共振器である。
シールド6の第1の部分61、第2の部分62および接続部63は、7個の共振器151〜157を囲むように配置されている。第1の部分61は、積層体20の主要部21の第1の端面21aに配置された第1の導体層1313によって構成されている。第2の部分62は、積層体20の主要部21の第2の端面21bに配置された第2の導体層1491によって構成されている。
バンドパスフィルタ100は、共振器151,152間の容量結合を実現するキャパシタC112と、共振器152,153間の容量結合を実現するキャパシタC123と、共振器153,154間の容量結合を実現するキャパシタC134と、共振器154,155間の容量結合を実現するキャパシタC145と、共振器155,156間の容量結合を実現するキャパシタC156と、共振器156,157間の容量結合を実現するキャパシタC167とを備えている。
本実施の形態では、共振器152と共振器156は、回路構成上隣接していないが磁気結合している。
また、本実施の形態では、共振器153と共振器155は、回路構成上隣接していないが容量結合している。図16において、符号C135を付したキャパシタの記号は、共振器153,155間の容量結合を表している。
共振器151,152,153,154,155,156,157は、それぞれ導体の線路によって構成された共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570を有している。共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570の各々は、Z方向に直交する方向に延びている。
共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570の各々は、線路の両端である第1端および第2端を有している。前述のように、共振器151〜157の各々は、両端開放型共振器である。そのため、共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570の各々の第1端と第2端は、いずれも開放されている。共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570の各々は、バンドパスフィルタ100の通過帯域の中心周波数に対応する波長の1/2またはそれに近い長さを有している。
仕切り部107は、その少なくとも一部が共振器導体部1520と共振器導体部1560の間を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。本実施の形態では特に、仕切り部107は、Z方向に延びている。また、仕切り部107は、第1の部分61と第2の部分62を最短経路で接続している。
また、仕切り部107は、主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通している。本実施の形態では、仕切り部107は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列107Tと、導体層107Cとを含んでいる。図15では、個々のスルーホール列107Tを円柱で表している。複数のスルーホール列107Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列107Tの各々は、Z方向に延びている。また、複数のスルーホール列107Tは、Y方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では、スルーホール列107Tの数は5である。
シールド6の接続部63は、それぞれ主要部21を構成する2つ以上の誘電体層を貫通する複数のスルーホール列163Tを含んでいる。図15では、個々のスルーホール列163Tを円柱で表している。図15において、5つのスルーホール列107T以外の複数の円柱で表わされた複数のスルーホール列は、全てスルーホール列163Tである。複数のスルーホール列163Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。複数のスルーホール列163Tの各々は、Z方向に延びている。
次に、図17ないし図24を参照して、本実施の形態における積層体20を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、積層体20は、積層された19層の誘電体層を有している。この19層の誘電体層を、下から順に1層目ないし19層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし19層目の誘電体層を符号131〜149で表す。主要部21は、1層目ないし18層目の誘電体層131〜148によって構成されている。被覆部22は、19層目の誘電体層149によって構成されている。図17ないし図23において、複数の円は複数のスルーホールを表している。
図17は、1層目の誘電体層131のパターン形成面を示している。誘電体層131のパターン形成面には、第1の入出力ポート3を構成する導体層1311と、第2の入出力ポート4を構成する導体層1312と、シールド6の第1の部分61を構成する第1の導体層1313とが形成されている。
また、誘電体層131には、導体層1311に接続されたスルーホール131T1と、導体層1312に接続されたスルーホール131T2とが形成されている。誘電体層131には、更に、5つのスルーホール列107Tの一部を構成する5つのスルーホール107T1と、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T1が形成されている。図17において、スルーホール131T1,131T2,107T1以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T1である。スルーホール107T1,163T1は、第1の導体層1313に接続されている。
図18は、2層目ないし4層目の誘電体層132〜134のパターン形成面を示している。誘電体層132〜134の各々には、スルーホール132T1,132T2が形成されている。2層目の誘電体層132に形成されたスルーホール132T1,132T2には、それぞれ、図17に示したスルーホール131T1,131T2が接続されている。
誘電体層132〜134の各々には、更に、5つのスルーホール列107Tの一部を構成する5つのスルーホール107T2が形成されている。2層目の誘電体層132に形成された5つのスルーホール107T2には、図17に示した5つのスルーホール107T1が接続されている。
誘電体層132〜134の各々には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T2が形成されている。図18において、スルーホール132T1,132T2,107T2以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T2である。2層目の誘電体層132に形成された複数のスルーホール163T2には、図17に示した複数のスルーホール163T1が接続されている。
誘電体層132〜134では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図19は、5層目の誘電体層135のパターン形成面を示している。誘電体層135のパターン形成面には、導体層1351,1352が形成されている。導体層1351,1352の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。導体層1351における第1端の近傍部分には、4層目の誘電体層134に形成されたスルーホール132T1が接続されている。導体層1352における第1端の近傍部分には、4層目の誘電体層134に形成されたスルーホール132T2が接続されている。
また、誘電体層135には、導体層1351における第2端の近傍部分に接続されたスルーホール135T1と、導体層1352における第2端の近傍部分に接続されたスルーホール135T2とが形成されている。
誘電体層135には、更に、5つのスルーホール列107Tの一部を構成する5つのスルーホール107T5が形成されている。5つのスルーホール107T5には、4層目の誘電体層134に形成された5つのスルーホール107T2が接続されている。
誘電体層135には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T5が形成されている。図19において、スルーホール135T1,135T2,107T5以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T5である。複数のスルーホール163T5には、4層目の誘電体層134に形成された複数のスルーホール163T2が接続されている。
図20は、6層目ないし9層目の誘電体層136〜139のパターン形成面を示している。誘電体層136〜139の各々には、スルーホール136T1,136T2が形成されている。6層目の誘電体層136に形成されたスルーホール136T1,136T2には、それぞれ、図19に示したスルーホール135T1,135T2が接続されている。
誘電体層136〜139の各々には、更に、5つのスルーホール列107Tの一部を構成する5つのスルーホール107T6が形成されている。6層目の誘電体層136に形成された5つのスルーホール107T6には、図19に示した5つのスルーホール107T5が接続されている。
誘電体層136〜139の各々には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T6が形成されている。図20において、スルーホール136T1,136T2,107T6以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T6である。6層目の誘電体層136に形成された複数のスルーホール163T6には、図19に示した複数のスルーホール163T5が接続されている。
誘電体層136〜139では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図21は、10層目の誘電体層140のパターン形成面を示している。誘電体層140のパターン形成面には、共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570が形成されている。ここで、図21および図25を参照して、共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570の構成について詳しく説明する。図25は、共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570の構成を説明するための説明図である。
共振器導体部1510は、線路の両端である第1端151aおよび第2端151bを含んでいる。共振器導体部1520は、線路の両端である第1端152aおよび第2端152bを含んでいる。共振器導体部1530は、線路の両端である第1端153aおよび第2端153bを含んでいる。共振器導体部1540は、線路の両端である第1端154aおよび第2端154bを含んでいる。共振器導体部1550は、線路の両端である第1端155aおよび第2端155bを含んでいる。共振器導体部1560は、線路の両端である第1端156aおよび第2端156bを含んでいる。共振器導体部1570は、線路の両端である第1端157aおよび第2端157bを含んでいる。
図25には、共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570のそれぞれについて、第1端と第2端を結ぶ最短経路151P,152P,153P,154P,155P,156P,157Pを、太線の矢印で示している。各最短経路は、各共振器導体部における最短電流経路に対応する。
図21に示したように、共振器導体部1510は、細幅部151Aと、細幅部151Aと第1端151aとの間に位置する第1の幅広部151Bと、細幅部151Aと第2端151bとの間に位置する第2の幅広部151Cを含んでいる。本実施の形態では特に、第1の幅広部151Bは第1端151aを含み、第2の幅広部151Cは第2端151bを含んでいる。図21では、細幅部151Aと第1の幅広部151Bの境界と、細幅部151Aと第2の幅広部151Cの境界を、破線で示している。第1の幅広部151Bの大部分はX方向に延び、第2の幅広部151Cの大部分はY方向に延びている。細幅部151Aは、第1の幅広部151Bにおける第1端151aとは反対側の端部と、第2の幅広部151Cにおける第2端151bとは反対側の端部と接続している。細幅部151Aの幅W151Aは、第1の幅広部151BのW151Bおよび第2の幅広部151Cの幅W151Cよりも小さい。
図21に示したように、共振器導体部1570は、細幅部157Aと、細幅部157Aと第1端157aとの間に位置する第1の幅広部157Bと、細幅部157Aと第2端157bとの間に位置する第2の幅広部157Cを含んでいる。本実施の形態では特に、第1の幅広部157Bは第1端157aを含み、第2の幅広部157Cは第2端157bを含んでいる。図21では、細幅部157Aと第1の幅広部157Bの境界と、細幅部157Aと第2の幅広部157Cの境界を、破線で示している。第1の幅広部157Bの大部分はX方向に延び、第2の幅広部157Cの大部分はY方向に延びている。細幅部157Aは、第1の幅広部157Bにおける第1端157aとは反対側の端部と、第2の幅広部157Cにおける第2端157bとは反対側の端部と接続している。細幅部157Aの幅W157Aは、第1の幅広部157BのW157Bおよび第2の幅広部157Cの幅W157Cよりも小さい。
共振器導体部1510の第1の部分151Aには、9層目の誘電体層139に形成されたスルーホール136T1が接続されている。共振器導体部1570の第1の部分157Aには、9層目の誘電体層139に形成されたスルーホール136T2が接続されている。
共振器導体部1520,1560の各々は、Y方向に延びている。また、共振器導体部1520,1560は、所定の間隔を開けてX方向に隣接している。共振器導体部1520,1560の間隔は、共振器導体部1520,1560の各々の長さよりも小さい。
図25に示したように、共振器導体部1520は、細幅部152Aと、細幅部152Aと第1端152aとの間に位置する第1の幅広部152Bと、細幅部152Aと第2端152bとの間に位置する第2の幅広部152Cと、2つの連結部152D,152Eとを含んでいる。本実施の形態では特に、第1の幅広部152Bは第1端52aを含み、第2の幅広部152Cは第2端152bを含んでいる。連結部152Dは、細幅部152Aの一端部と、第1の幅広部152Bにおける第1端152aとは反対側の端部とを接続している。連結部152Eは、細幅部152Aの他端部と、第2の幅広部152Cにおける第2端152bとは反対側の端部とを接続している。図25では、細幅部152Aと連結部152Dの境界と、細幅部152Aと連結部152Eの境界と、第1の幅広部152Bと連結部152Dの境界と、第2の幅広部152Cと連結部152Eの境界を、破線で示している。第1端152aは、共振器導体部1510の第1端151aの近傍に配置されている。
細幅部152Aの幅W152A、第1の幅広部152Bの幅W152Bおよび第2の幅広部152Cの幅W152Cは、それぞれ、Y方向の位置によらずに一定である。幅W152Aは、幅W152B,W152Cよりも小さい。幅W152Cは、幅W152Bよりも大きい。連結部152D,152Eの各々の幅は、Y方向の位置に応じて変化する。連結部152Dの幅は、細幅部152Aとの境界位置では細幅部152Aの幅と等しく、第1の幅広部152Bとの境界位置では第1の幅広部152Bの幅と等しい。連結部152Eの幅は、細幅部152Aとの境界位置では細幅部152Aの幅と等しく、第2の幅広部152Cとの境界位置では第2の幅広部152Cの幅と等しい。
図25に示したように、共振器導体部1560は、細幅部156Aと、細幅部156Aと第1端156aとの間に位置する第1の幅広部156Bと、細幅部156Aと第2端156bとの間に位置する第2の幅広部156Cと、2つの連結部156D,156Eとを含んでいる。本実施の形態では特に、第1の幅広部156Bは第1端156aを含み、第2の幅広部156Cは第2端156bを含んでいる。連結部156Dは、細幅部156Aの一端部と、第1の幅広部156Bにおける第1端156aとは反対側の端部とを接続している。連結部156Eは、細幅部156Aの他端部と、第2の幅広部156Cにおける第2端156bとは反対側の端部とを接続している。図25では、細幅部156Aと連結部156Dの境界と、細幅部156Aと連結部156Eの境界と、第1の幅広部156Bと連結部156Dの境界と、第2の幅広部156Cと連結部156Eの境界を、破線で示している。第1端156aは、共振器導体部1570の第1端157aの近傍に配置されている。
細幅部156Aの幅W156A、第1の幅広部156Bの幅W156Bおよび第2の幅広部156Cの幅W156Cは、それぞれ、Y方向の位置によらずに一定である。幅W156Aは、幅W156B,W156Cよりも小さい。幅W156Cは、幅W156Bよりも大きい。連結部156D,156Eの各々の幅は、Y方向の位置に応じて変化する。連結部156Dの幅は、細幅部156Aとの境界位置では細幅部156Aの幅と等しく、第1の幅広部156Bとの境界位置では第1の幅広部156Bの幅と等しい。連結部156Eの幅は、細幅部156Aとの境界位置では細幅部156Aの幅と等しく、第2の幅広部156Cとの境界位置では第2の幅広部156Cの幅と等しい。
図21に示したように、共振器導体部1530は、第1の部分153Aと第2の部分153Bと第3の部分153Cを含んでいる。第1の部分153Aは第1端153aを含み、第2の部分153Bは第2端153bを含んでいる。第1の部分153AはX方向に延び、第2の部分153BはY方向に延びている。第3の部分153Cは、第1の部分153Aにおける第1端153aとは反対側の端部と、第2の部分153Bにおける第2端153bとは反対側の端部と接続している。図21では、第1の部分153Aと第3の部分153Cの境界と、第2の部分153Bと第3の部分153Cの境界を、破線で示している。第1端153aは、共振器導体部1520の第2端152bの近傍に配置されている。共振器導体部1530は、第1端153aと第2端153bの間において幅W153が一定である。
図21に示したように、共振器導体部1550は、第1の部分155Aと第2の部分155Bと第3の部分155Cを含んでいる。第1の部分155Aは第1端155aを含み、第2の部分155Bは第2端155bを含んでいる。第1の部分155AはX方向に延び、第2の部分155BはY方向に延びている。第3の部分155Cは、第1の部分155Aにおける第1端155aとは反対側の端部と、第2の部分155Bにおける第2端155bとは反対側の端部と接続している。図21では、第1の部分155Aと第3の部分155Cの境界と、第2の部分155Bと第3の部分155Cの境界を、破線で示している。第1端155aは、共振器導体部1560の第2端156bの近傍に配置されている。共振器導体部1550は、第1端155aと第2端155bの間において幅W155が一定である。
共振器導体部1530の第1端153aと共振器導体部1550の第1端155aは、所定の間隔を開けて隣接している。
共振器導体部1540は、X方向に延びている。第1端154aは、共振器導体部1530の第2端153bの近傍に配置されている。第2端154bは、共振器導体部1550の第2端155bの近傍に配置されている。共振器導体部1540は、第1端154aと第2端154bの間において幅W154が一定である。
次に、図21を参照して、共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570以外の、誘電体層140に形成された構成要素について説明する。誘電体層140のパターン形成面には、仕切り部107の一部を構成する導体層107Cと、導体層1401が形成されている。導体層107Cは、共振器導体部1520と共振器導体部1550の間に位置して、Y方向に延びている。導体層1401は、X方向に延びている。また、導体層1401は、長手方向の中央の近傍の部分において、導体層107Cの一端部に接続されている。図21では、導体層107Cと導体層1401の境界を、破線で示している。
また、誘電体層140には、5つのスルーホール列107Tの一部を構成する5つのスルーホール107T10が形成されている。5つのスルーホール107T10は、導体層107Cに接続されている。また、5つのスルーホール107T10には、9層目の誘電体層139に形成された5つのスルーホール107T6が接続されている。
誘電体層140には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T10が形成されている。図21において、スルーホール107T10以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T10である。複数のスルーホール163T10には、9層目の誘電体層139に形成された複数のスルーホール163T6が接続されている。
図22は、11層目の誘電体層141のパターン形成面を示している。誘電体層141のパターン形成面には、それぞれ図16に示したキャパシタC112,C123,C134,C145,C156,C167を構成するための導体層1411,1412,1413,1414,1415,1416が形成されている。
また、誘電体層141には、5つのスルーホール列107Tの一部を構成する5つのスルーホール107T11が形成されている。5つのスルーホール107T11には、図21に示した5つのスルーホール107T10が接続されている。
誘電体層141には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T11が形成されている。図22において、スルーホール107T11以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T11である。複数のスルーホール163T11には、図21に示した複数のスルーホール163T10が接続されている。
図23は、12層目ないし18層目の誘電体層142〜148のパターン形成面を示している。誘電体層142〜148の各々には、5つのスルーホール列107Tの一部を構成する5つのスルーホール107T12が形成されている。12層目の誘電体層142に形成された5つのスルーホール107T12には、図22に示した5つのスルーホール107T11が接続されている。
誘電体層142〜148の各々には、更に、複数のスルーホール列163Tの一部を構成する複数のスルーホール163T12が形成されている。図23において、スルーホール107T12以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール163T12である。12層目の誘電体層142に形成された複数のスルーホール163T12には、図22に示した複数のスルーホール163T11が接続されている。
誘電体層142〜148では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図24は、19層目の誘電体層149のパターン形成面を示している。誘電体層149のパターン形成面には、シールド6の第2の部分62を構成する第2の導体層1491が形成されている。第2の導体層1491には、18層目の誘電体層148に形成されたスルーホール107T12,163T12が接続されている。
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100は、1層目の誘電体層131のパターン形成面が本体2の第1の端面2Aになるように、1層目ないし19層目の誘電体層131〜149が積層されて構成される。19層目の誘電体層149におけるパターン形成面とは反対側の面は、本体2の第2の端面2Bになる。1層目ないし19層目の誘電体層131〜149は、積層体20を構成する。
共振器151〜157のそれぞれの共振器導体部1510,1520,1530,1540,1550,1560,1570は、Z方向に関して、積層体20内の同じ位置に配置されている。
第1の入出力ポート3を構成する導体層1311は、スルーホール131T1,132T1、導体層1351およびスルーホール135T1,136T1を介して、図21に示した共振器導体部1510の第1の部分151Aに接続されている。
第2の入出力ポート4を構成する導体層1312は、スルーホール131T2,132T2、導体層1352およびスルーホール135T2,136T2を介して、図21に示した共振器導体部1570の第1の部分157Aに接続されている。
図22に示した導体層1411は、誘電体層140を介して、共振器導体部1510における第1端151aの近傍部分と、共振器導体部1520における第1端152aの近傍部分とに対向している。図16に示したキャパシタC112は、導体層1411と、共振器導体部1510,1520と、これらの間の誘電体層140とによって構成されている。
図22に示した導体層1412は、誘電体層140を介して、共振器導体部1520における第2端152bの近傍部分と、共振器導体部1530における第1端153aの近傍部分とに対向している。図16に示したキャパシタC123は、導体層1412と、共振器導体部1520,1530と、これらの間の誘電体層140とによって構成されている。
図22に示した導体層1413は、誘電体層140を介して、共振器導体部1530における第2端153bの近傍部分と、共振器導体部1540における第1端154aの近傍部分とに対向している。図16に示したキャパシタC134は、導体層1413と、共振器導体部1530,1540と、これらの間の誘電体層140とによって構成されている。
図22に示した導体層1414は、誘電体層140を介して、共振器導体部1540における第2端154bの近傍部分と、共振器導体部1550における第2端155bの近傍部分とに対向している。図16に示したキャパシタC145は、導体層1414と、共振器導体部1540,1550と、これらの間の誘電体層140とによって構成されている。
図22に示した導体層1415は、誘電体層140を介して、共振器導体部1550における第1端155aの近傍部分と、共振器導体部1560における第2端156bの近傍部分とに対向している。図16に示したキャパシタC156は、導体層1415と、共振器導体部1550,1560と、これらの間の誘電体層140とによって構成されている。
図22に示した導体層1416は、誘電体層140を介して、共振器導体部1560における第1端156aの近傍部分と、共振器導体部1570における第1端157aの近傍部分とに対向している。図16に示したキャパシタC167は、導体層1416と、共振器導体部1560,1570と、これらの間の誘電体層140とによって構成されている。
仕切り部107の5つのスルーホール列107Tの各々は、スルーホール107T1,107T2,107T5,107T6,107T10,107T11,107T12が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
図17ないし図24に示した例では、仕切り部107は、共振器導体部1520と共振器導体部1560の間を通過するように延びて、第1の部分61と第2の部分62とに接している。
接続部163の複数のスルーホール列163Tの各々は、スルーホール163T1,163T2,163T5,163T6,163T10,163T11,163T12が、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
本実施の形態では、nは、5以上の整数、特に7である。また、本実施の形態では、4段目の共振器154が中央共振器である。また、本実施の形態では、n個の共振器は、第1の共振器と第2の共振器の第1の対と、第1の共振器と第2の共振器の第2の対を含んでいる。第1の対の第1の共振器は、1段目の共振器151である。第1の対の第2の共振器は、n段目すなわち7段目の共振器157である。第2の対の第1の共振器は、2段目の共振器152である。第2の対の第2の共振器は、n−1段目すなわち6段目の共振器156である。共振器導体部1510,1520は第1の共振器導体部に対応し、共振器導体部1560,1570は第2の共振器導体部に対応する。
また、本実施の形態では、第3の共振器は3つ存在し、3段目ないし5段目の共振器153,154,155が第3の共振器である。共振器導体部1530,1540,1550は第3の共振器導体部に対応する。
前述の通り、共振器導体部1510,1520,1560,1570の各々は、細幅部と第1の幅広部と第2の幅広部を含んでいる。従って、共振器151,152,156,157は、SIRである。
共振器導体部1530,1540,1550の各々は、第1端における幅および第2端における幅よりも小さい幅を有する部分を含まない。本実施の形態では特に、共振器導体部1530,1540,1550の各々は、第1端と第2端の間において幅が一定である。共振器153,154,155は、SIRではない。
共振器151,152,156,157の各々は、共振器153,154,155よりも無負荷Qが小さい。
また、共振器導体部1520,1560の最短経路152P,156Pの各々は、共振器導体部1530,1540,1550の最短経路153P,154P,155Pよりも短い。
本実施の形態によれば、SIRにした共振器151,152,156,157を小型化できることから、バンドパスフィルタ100を小型化することが可能になる。また、本実施の形態によれば、共振器151,152,156,157のみをSIRにしているため、バンドパスフィルタ100の挿入損失の増加を抑制することができる。
ここで、本実施の形態における共振器151〜157の無負荷Qの一例を示す。この例では、1段目と7段目の共振器151,157の無負荷Qは182である。2段目と6段目の共振器152,156の無負荷Qは206であり、3段目と5段目の共振器153,155の無負荷Qは235である。4段目の共振器154の無負荷Qは247である。従って、この例では、1段目、2段目、6段目および7段目の共振器151,152,156,157の各々は、3段目ないし5段目の共振器153〜155よりも無負荷Qが小さい。
次に、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100に関するシミュレーションの結果について説明する。このシミュレーションでは、バンドパスフィルタ100の第1ないし第4のモデルについて、挿入損失の周波数特性を求めた。第1ないし第4のモデルでは、共振器151〜157の無負荷Qの組み合わせが異なる。
第1のモデルでは、共振器151〜157の無負荷Qは全て200である。第2のモデルでは、共振器151,157の無負荷Qは100であり、共振器152〜156の無負荷Qは200である。第3のモデルでは、共振器152,156の無負荷Qは100であり、共振器151,153,154,155,157の無負荷Qは200である。第4のモデルでは、共振器153,155の無負荷Qは100であり、共振器151,152,154,156,157の無負荷Qは200である。
図26は、第1ないし第4のモデルの挿入損失の周波数特性を示している。図27は、図26の一部を拡大して示している。図26および図27において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。図27において、第1、第2、第3および第4のモデルの特性を、それぞれ符号171,172,173,174を付した曲線で示している。
第1ないし第4のモデルの通過帯域の中心周波数は、約26GHzである。図27に示したように、第2ないし第4のモデルでは、第1のモデルに比べて、通過帯域の中心周波数における挿入損失が大きくなっている。第2ないし第4のモデルで、通過帯域の中心周波数における挿入損失を比較すると、第2のモデルの挿入損失が最も小さく、次に第3のモデルの挿入損失が小さい。このことから、回路構成上、第1の入出力ポート3または第2の入出力ポート4に近い共振器ほど、無負荷Qの変化量に対する挿入損失の変化量の比が小さいことが分かる。従って、一部の共振器のみをSIRにする場合、中央共振器あるいは、回路構成上中央共振器に近い共振器をSIRにするよりも、第1の入出力ポート3または第2の入出力ポート4に近い共振器をSIRにした方が、挿入損失の増加量を小さくすることができる。
図28は、本実施の形態に係るバンドパスフィルタ100の挿入損失および反射損失の周波数特性の一例を示している。図28において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。図28では、挿入損失の周波数特性を、符号181ILを付した曲線で示し、反射損失の周波数特性を、符号181RLを付した曲線で示している。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、共振器の数や構成は、各実施の形態に示したものに限らず、特許請求の範囲を満たすものであればよい。
誘電体層41〜48の各々には、更に、複数のスルーホール列63Tの一部を構成する複数のスルーホール63T11が形成されている。図9において、スルーホール7T11,8T11以外の複数の円で表わされた複数のスルーホールは、全てスルーホール63T11である。11層目の誘電体層41に形成された複数のスルーホール63T11には、図8に示した複数のスルーホール63T10が接続されている。
図25に示したように、共振器導体部1520は、細幅部152Aと、細幅部152Aと第1端152aとの間に位置する第1の幅広部152Bと、細幅部152Aと第2端152bとの間に位置する第2の幅広部152Cと、2つの連結部152D,152Eとを含んでいる。本実施の形態では特に、第1の幅広部152Bは第1端152aを含み、第2の幅広部152Cは第2端152bを含んでいる。連結部152Dは、細幅部152Aの一端部と、第1の幅広部152Bにおける第1端152aとは反対側の端部とを接続している。連結部152Eは、細幅部152Aの他端部と、第2の幅広部152Cにおける第2端152bとは反対側の端部とを接続している。図25では、細幅部152Aと連結部152Dの境界と、細幅部152Aと連結部152Eの境界と、第1の幅広部152Bと連結部152Dの境界と、第2の幅広部152Cと連結部152Eの境界を、破線で示している。第1端152aは、共振器導体部1510の第1端151aの近傍に配置されている。
第1の入出力ポート3を構成する導体層1311は、スルーホール131T1,132T1、導体層1351およびスルーホール135T1,136T1を介して、図21に示した共振器導体部1510の細幅部151Aに接続されている。
第2の入出力ポート4を構成する導体層1312は、スルーホール131T2,132T2、導体層1352およびスルーホール135T2,136T2を介して、図21に示した共振器導体部1570の細幅部157Aに接続されている。