JP2023128836A - フィルタ回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】主となる共振回路によって得られるフィルタ回路の特性の劣化を抑制しながら、所望の特性を実現できるようにしたフィルタ回路を実現する。【解決手段】フィルタ回路1は、2つのポート3,4と、第1の共振回路10と、第2の共振回路20とを備えている。第1の共振回路10は、回路構成上、2つのポート3,4の間に設けられ、2つのポート3,4の両方に結合されている。第2の共振回路20は、回路構成上、2つのポート3,4の間に設けられ、2つのポート3,4の少なくとも一方に結合されている。第2の共振回路20と2つのポート3,4との結合は、第1の共振回路10と2つのポート3,4との結合よりも弱い。【選択図】図1
Description
本発明は、2つの共振回路を備えたフィルタ回路に関する。
通信装置に用いられる電子部品の一つには、バンドパスフィルタがある。バンドパスフィルタには、通過帯域の挿入損失を小さくすることと、通過帯域外の挿入損失を大きくすることが求められる。
特許文献1には、バンドパスフィルタとバンドエリミネーションフィルタ(帯域阻止フィルタ)とを組み合わせたフィルタ装置が記載されている。このフィルタ装置では、帯域阻止フィルタによって、通過帯域よりも高い周波数領域における挿入損失を大きくしている。
現在、第5世代移動通信システム(以下、5Gと言う。)を用いた通信サービスが提供され始めている。5Gでは、10GHz以上の周波数帯域、特に、10~30GHzの準ミリ波帯や30~300GHzのミリ波帯の利用が想定されている。これらの周波数帯域においても、第4世代までの移動通信システムに利用されている周波数帯域と同様に、比較的周波数帯域が近い複数の規格が存在している。そのため、5Gに用いられるバンドパスフィルタにおいても、通過帯域に近い周波数領域において、挿入損失が急峻に変化することが求められる。
従来は、バンドパスフィルタにおいて、通過帯域に近い周波数領域において挿入損失が急峻に変化する特性を得るために、バンドパスフィルタを構成する共振器の数を増やしていた。しかし、共振器のQ値を同じにして比較すると、共振器の数が増加するに従って、通過帯域の挿入損失が大きくなるという問題が発生する。
ここで、バンドパスフィルタにおいて、通過帯域に近い周波数領域において挿入損失が急峻に変化する特性を得るために、バンドエリミネーションフィルタを用いることを考える。この場合、バンドエリミネーションフィルタの阻止帯域の中心周波数を、通過帯域に近い周波数にする必要がある。しかし、そうすると、バンドパスフィルタの通過帯域の挿入損失が大きくなるという問題が発生する。
上記の問題は、バンドパスフィルタとバンドエリミネーションフィルタとを備えたフィルタ回路に限らず、主となる共振回路の特性を調整するために、従となる共振回路を用いたフィルタ回路全般に当てはまる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、主となる共振回路と従となる共振回路とを備えたフィルタ回路であって、主となる共振回路によって得られるフィルタ回路の特性の劣化を抑制しながら、所望の特性を実現できるようにしたフィルタ回路を提供することにある。
本発明のフィルタ回路は、2つのポートと、複数の第1の共振器を含み、回路構成上2つのポートの間に設けられ、2つのポートの両方に結合された第1の共振回路と、複数の第2の共振器を含み、回路構成上2つのポートの間に設けられ、2つのポートの少なくとも一方に結合された第2の共振回路とを備えている。第2の共振回路と2つのポートとの結合は、第1の共振回路と2つのポートとの結合よりも弱い。
本発明のフィルタ回路は、更に、第1の共振回路と2つのポートとを容量結合させる2つの第1のキャパシタと、第2の共振回路と2つのポートとを容量結合させる少なくとも1つの第2のキャパシタとを備えていてもよい。少なくとも1つの第2のキャパシタのキャパシタンスは、2つの第1のキャパシタの各々のキャパシタンスよりも小さくてもよい。あるいは、本発明のフィルタ回路は、更に、第2の共振回路と2つのポートとを容量結合させる少なくとも1つの第2のキャパシタを備え、第1の共振回路は、2つのポートの少なくとも一方に直結していてもよい。
また、本発明のフィルタ回路において、複数の第2の共振器は、第1の特定の共振器と、第2の特定の共振器とを含んでいてもよい。第1の特定の共振器は、2つのポートの一方に結合していてもよい。第2の特定の共振器は、2つのポートの他方に結合していてもよい。第1の特定の共振器と第2の特定の共振器は、互いに結合していてもよい。
また、本発明のフィルタ回路において、複数の第2の共振器の各々は、両端開放型共振器であってもよい。
また、本発明のフィルタ回路において、第1の共振回路は、バンドパスフィルタを構成してもよい。
また、本発明のフィルタ回路において、第2の共振回路は、バンドエリミネーションフィルタを構成してもよい。
本発明のフィルタ回路では、第2の共振回路と2つのポートとの結合は、第1の共振回路と2つのポートとの結合よりも弱い。これにより、本発明によれば、第1の共振回路によって得られるフィルタ回路の特性の劣化を抑制しながら、所望の特性を実現できるようにしたフィルタ回路を実現することができるという効果を奏する。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るフィルタ回路1の構成の概略について説明する。フィルタ回路1は、2つのポート3,4と、第1の共振回路10と、第2の共振回路20とを備えている。ポート3,4の各々は、信号の入力または出力のためのポートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るフィルタ回路1の構成の概略について説明する。フィルタ回路1は、2つのポート3,4と、第1の共振回路10と、第2の共振回路20とを備えている。ポート3,4の各々は、信号の入力または出力のためのポートである。
本実施の形態では、第1の共振回路10は、バンドパスフィルタを構成し、第2の共振回路20は、バンドエリミネーションフィルタを構成する。本実施の形態では特に、第1の共振回路10が主となる共振回路であり、第2の共振回路20が従となる共振回路である。フィルタ回路1は、全体としては、バンドパスフィルタとして機能する。
第1の共振回路10は、回路構成上、2つのポート3,4の間に設けられている。また、第1の共振回路10は、2つのポート3,4の両方に結合されている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。
第2の共振回路20は、回路構成上、2つのポート3,4の間に設けられている。また、第2の共振回路20は、2つのポート3,4の少なくとも一方に結合されている。本実施の形態では特に、第2の共振回路20は、2つのポート3,4の両方に結合されている。なお、本実施の形態では、第2の共振回路20は、回路構成上、2つのポート3,4の間において第1の共振回路10に対して並列に設けられており、第1の共振回路10とポート3またはポート4との間には設けられていない。
フィルタ回路1は、更に、第1の共振回路10と2つのポート3,4とを容量結合させる2つの第1のキャパシタC11,C12を備えている。第1のキャパシタC11は、第1の共振回路10とポート3とを容量結合させている。第1のキャパシタC12は、第1の共振回路10とポート4とを容量結合させている。
フィルタ回路1は、更に、第2の共振回路20と2つのポート3,4とを容量結合させる少なくとも1つの第2のキャパシタを備えている。本実施の形態では特に、フィルタ回路1は、少なくとも1つの第2のキャパシタとして、2つの第2のキャパシタC21,C22を備えている。第2のキャパシタC21は、第2の共振回路20とポート3とを容量結合させている。第2のキャパシタC22は、第2の共振回路20とポート4とを容量結合させている。
第2の共振回路20と2つのポート3,4との結合は、第1の共振回路10と2つのポート3,4との結合よりも弱い。本実施の形態のように、共振回路とポートとの間の結合が容量結合である場合、共振回路とポートとを容量結合させるキャパシタのキャパシタンスが大きくなるに従って、結合が強くなる。すなわち、上記のキャパシタンスが小さくなるに従って、共振回路とポートとの結合は弱くなる。
本実施の形態では、第2のキャパシタC21,C22の各々のキャパシタンスは、第1のキャパシタC11,C12の各々のキャパシタンスよりも小さい。これにより、第2の共振回路20とポート3との間および第2の共振回路20とポート4との間の各々の結合は、第1の共振回路10とポート3との間および第1の共振回路10とポート4との間の各々の結合よりも弱くなる。一例では、第2のキャパシタC21,C22の各々のキャパシタンスは、0.03pFであり、第1のキャパシタC11,C12の各々のキャパシタンスは、0.14pFである。
次に、図1を参照して、第1および第2の共振回路10,20の構成の一例について説明する。始めに、第1の共振回路10について説明する。第1の共振回路10は、複数の第1の共振器を含んでいる。本実施の形態では特に、第1の共振回路10は、複数の第1の共振器として、回路構成上ポート3側からこの順に配置された2つの第1の共振器11,12を含んでいる。第1の共振器11,12の各々は、両端開放型の1/2波長共振器である。第1の共振器11,12は、互いに磁気結合している。
第1の共振器11は、ポート3に結合する。第1の共振器11は、ポート3に最も近い第1端11aと、ポート3から最も遠い第2端11bとを有している。第1のキャパシタC11は、回路構成上、第1の共振器11の第1端11aとポート3との間に設けられている。
第1の共振器12は、ポート4に結合する。第1の共振器12は、ポート4に最も近い第1端12aと、ポート4から最も遠い第2端12bとを有している。第1のキャパシタC12は、回路構成上、第1の共振器12の第1端12aとポート4との間に設けられている。
第1の共振回路10は、更に、第1の共振器11の第2端11bと第1の共振器12の第2端12bとを接続するキャパシタC13を備えている。第1の共振器11と第1の共振器12は、磁気結合すると共に、キャパシタC13を介して容量結合する。
次に、第2の共振回路20について説明する。第2の共振回路20は、複数の第2の共振器を含んでいる。本実施の形態では特に、第2の共振回路20は、複数の第2の共振器として、回路構成上ポート3側からこの順に配置された2つの第2の共振器21,22を含んでいる。第2の共振器21,22の各々は、両端開放型の1/2波長共振器である。第2の共振器21,22は、互いに磁気結合している。第2の共振器21,22は、それぞれ、本発明における「第1の特定の共振器」、「第2の特定の共振器」に対応する。
第2の共振器21は、ポート3に結合する。第2の共振器21は、ポート3に最も近い第1端21aと、ポート3から最も遠い第2端21bとを有している。第2のキャパシタC21は、回路構成上、第2の共振器21の第1端21aとポート3との間に設けられている。
第2の共振器22は、ポート4に結合する。第2の共振器22は、ポート4に最も近い第1端22aと、ポート4から最も遠い第2端22bとを有している。第2のキャパシタC22は、回路構成上、第2の共振器22の第1端22aとポート4との間に設けられている。
次に、本実施の形態における積層型フィルタ装置(以下、単にフィルタ装置と記す。)2の構成について説明する。図2は、フィルタ装置2の外観を示す斜視図である。フィルタ装置2は、図1に示したフィルタ回路1を含むフィルタ装置である。
フィルタ装置2は、図1を参照して説明したフィルタ回路1の構成要素と、フィルタ回路1の構成要素を一体化するための積層体50とを備えている。積層体50は、積層された複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールとを含んでいる。
積層体50は、複数の誘電体層の積層方向Tの両端に位置する底面50Aおよび上面50Bと、底面50Aと上面50Bを接続する4つの側面50C~50Fとを有している。側面50C,50Dは互いに反対側を向き、側面50E,50Fも互いに反対側を向いている。側面50C~50Fは、上面50Bおよび底面50Aに対して垂直になっている。
ここで、図2に示したように、X方向、Y方向、Z方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では、積層方向Tに平行な一方向を、Z方向とする。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。
図2に示したように、底面50Aは、積層体50における-Z方向の端に位置する。上面50Bは、積層体50におけるZ方向の端に位置する。側面50Cは、積層体50における-X方向の端に位置する。側面50Dは、積層体50におけるX方向の端に位置する。側面50Eは、積層体50における-Y方向の端に位置する。側面50Fは、積層体50におけるY方向の端に位置する。
フィルタ装置2は、更に、端子511,661と、グランド用導体層512,662とを備えている。端子511およびグランド用導体層512は、底面50Aに配置されている。本実施の形態では特に、グランド用導体層512は、底面50Aのほぼ全体を覆っている。端子511とグランド用導体層512との間には、間隙が形成されている。
端子661およびグランド用導体層662は、上面50Bに配置されている。本実施の形態では特に、グランド用導体層662は、上面50Bのほぼ全体を覆っている。端子661とグランド用導体層662との間には、間隙が形成されている。
端子511はポート3に対応し、端子661はポート4に対応する。グランド用導体層512,662の各々は、グランドに接続される。
次に、図3ないし図9を参照して、積層体50を構成する複数の誘電体層および複数の導体層の一例について説明する。この例では、積層体50は、積層された16層の誘電体層を有している。以下、この16層の誘電体層を、下から順に1層目ないし16層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし16層目の誘電体層を符号51~66で表す。図3ないし図9において、複数の円は複数のスルーホールを表している。
図3は、1層目の誘電体層51のパターン形成面を示している。誘電体層51のパターン形成面には、端子511とグランド用導体層512が形成されている。また、誘電体層51には、端子511に接続された特定のスルーホール51T1が形成されている。特定のスルーホール51T1を除く誘電体層51に形成された複数のスルーホールは、グランド用導体層512に接続されている。
図4は、2層目ないし7層目の誘電体層52~57の各々のパターン形成面を示している。誘電体層52~57の各々には、特定のスルーホール52T1が形成されている。誘電体層51に形成された特定のスルーホール51T1は、誘電体層52に形成された特定のスルーホール52T1に接続されている。また、誘電体層52~57では、上下に隣接する特定のスルーホール52T1同士が互いに接続されている。
図5は、8層目の誘電体層58のパターン形成面を示している。誘電体層58のパターン形成面には、導体層581,582,583が形成されている。また、誘電体層58には、特定のスルーホール58T1が形成されている。誘電体層57に形成された特定のスルーホール52T1は、特定のスルーホール58T1に接続されている。
図6は、9層目の誘電体層59のパターン形成面を示している。誘電体層59のパターン形成面には、共振器用導体層591,592,593,594と、導体層595,596と、グランド用導体層597が形成されている。導体層591~596の各々は、互いに反対側に位置する第1端および第2端を有している。
導体層591は、第1端からY方向に延在する部分と、第2端からX方向に延在する部分とを含んでいる。導体層592は、第1端からY方向に延在する部分と、第2端から-X方向に延在する部分とを含んでいる。導体層593は、第1端から-Y方向に延在する部分と、第2端からX方向に延在する部分とを含んでいる。導体層594は、第1端から-Y方向に延在する部分と、第2端から-X方向に延在する部分とを含んでいる。導体層595は、第1端から第2端に向かって-X方向に延在している。導体層596は、第1端から第2端に向かってX方向に延在している。
また、誘電体層59には、特定のスルーホール59T1が形成されている。特定のスルーホール59T1は、導体層596の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層58に形成された特定のスルーホール58T1は、導体層595の第1端の近傍部分に接続されている。特定のスルーホール58T1を除く誘電体層58に形成された複数のスルーホールの一部と、特定のスルーホール59T1を除く誘電体層59に形成された複数のスルーホールの一部は、グランド用導体層597に接続されている。
導体層591の第1端は、導体層595の第2端の近傍部分に対して、所定の間隔を開けて隣接している。導体層592の第1端は、導体層596の第2端の近傍部分に対して、所定の間隔を開けて隣接している。導体層591の第2端と導体層592の第2端は、所定の間隔を開けて隣接している。
導体層593の第1端は、導体層595の第2端の近傍部分に対して、所定の間隔を開けて隣接している。導体層594の第1端は、導体層596の第2端の近傍部分に対して、所定の間隔を開けて隣接している。導体層593の第2端と導体層594の第2端は、所定の間隔を開けて隣接している。導体層593の第2端と導体層594の第2端との間隔は、導体層591の第2端と導体層592の第2端との間隔よりも大きい。
図7は、10層目の誘電体層60のパターン形成面を示している。誘電体層60のパターン形成面には、導体層601,602が形成されている。また、誘電体層60には、特定のスルーホール60T1が形成されている。誘電体層59に形成された特定のスルーホール59T1は、特定のスルーホール60T1に接続されている。
図8は、11層目ないし16層目の誘電体層61~66の各々のパターン形成面を示している。誘電体層61~66の各々には、特定のスルーホール61T1が形成されている。誘電体層60に形成された特定のスルーホール60T1は、誘電体層61に形成された特定のスルーホール61T1に接続されている。また、誘電体層61~66では、上下に隣接する特定のスルーホール61T1同士が互いに接続されている。
図9は、16層目の誘電体層66のパターン形成面とは反対側の面である端子形成面を示している。誘電体層66の端子形成面には、端子661とグランド用導体層662が形成されている。誘電体層66に形成された特定のスルーホール61T1は、端子661に接続されている。特定のスルーホール61T1を除く誘電体層66に形成された複数のスルーホールは、グランド用導体層662に接続されている。
図2に示した積層体50は、1層目の誘電体層51のパターン形成面が積層体50の底面50Aになり、16層目の誘電体層66の端子形成面が積層体50の上面50Bになるように、1層目ないし16層目の誘電体層51~66が積層されて構成される。
図10は、1層目ないし16層目の誘電体層51~66が積層されて構成された積層体50の内部を示している。図10に示したように、積層体50の内部では、図3ないし図9に示した複数の導体層と複数のスルーホールが積層されている。導体層595は、特定のスルーホール51T1,52T1,58T1を介して端子511に接続されている。導体層596は、特定のスルーホール59T1,60T1,61T1を介して端子661に接続されている。グランド用導体層512,597,662は、特定のスルーホール51T1,52T1,58T1,59T1,60T1,61T1を除く複数のスルーホールによって互いに接続されている。
以下、図1に示したフィルタ回路1の構成要素と、図4ないし図8に示した積層体50の内部の構成要素との対応関係について説明する。第1の共振回路10の第1の共振器11は、共振器用導体層591によって構成されている。第1の共振回路10の第1の共振器12は、共振器用導体層592によって構成されている。第2の共振回路20の第2の共振器21は、共振器用導体層593によって構成されている。第2の共振回路20の第2の共振器22は、共振器用導体層594によって構成されている。
第1のキャパシタC11は、導体層581,591,595と、これらの導体層の間の誘電体層58とによって構成されている。第1のキャパシタC12は、導体層582,592,596と、これらの導体層の間の誘電体層58とによって構成されている。第2のキャパシタC21は、導体層593,595,601と、これらの導体層の間の誘電体層59とによって構成されている。第2のキャパシタC22は、導体層594,596,602と、これらの導体層の間の誘電体層59とによって構成されている。
キャパシタC13は、導体層583,591,592と、これらの導体層の間の誘電体層58とによって構成されている。
次に、本実施の形態におけるフィルタ装置2の構造上の特徴について簡単に説明する。フィルタ装置2では、共振器用導体層591~594は、グランド用導体層512,662と複数のスルーホールとによって囲まれた空間内に設けられている。
また、フィルタ装置2では、第2のキャパシタC21,C22を構成する導体層601,602の各々の面積は、第1のキャパシタC11,C12を構成する導体層581,582の各々の面積よりも小さい。
次に、本実施の形態に係るフィルタ回路1の作用および効果について説明する。前述のように、本実施の形態では、第2の共振回路20と2つのポート3,4との結合は、第1の共振回路10と2つのポート3,4との結合よりも弱い。これにより、本実施の形態によれば、第2の共振回路20による効果を抑制しながら、第2の共振回路20をフィルタ回路1に組み込むことができる。
本実施の形態では特に、第1の共振回路10はバンドパスフィルタを構成し、第2の共振回路20はバンドエリミネーションフィルタを構成する。第2の共振回路20による効果とは、具体的には、フィルタ回路1の挿入損失の周波数特性(バンドパスフィルタの挿入損失の周波数特性)において、第2の共振回路20によるバンドエリミネーションフィルタの阻止帯域の中心周波数の近傍の周波数領域の挿入損失を大きくすることである。従って、本実施の形態によれば、上記の周波数領域の挿入損失を必要な大きさまで小さくしながら、第2の共振回路20をフィルタ回路1に組み込むことができる。従って、本実施の形態によれば、第2の共振回路20によるバンドエリミネーションフィルタの阻止帯域の中心周波数を、第1の共振回路10によるバンドパスフィルタの通過帯域に近い周波数にすることにより、フィルタ回路1の通過帯域の挿入損失が大きくなることを抑制しながら、フィルタ回路1の通過帯域に近い周波数領域において挿入損失が急峻に変化する特性を得ることができる。
なお、バンドパスフィルタを構成する共振器の数を増やすことによっても、通過帯域に近い周波数領域において挿入損失が急峻に変化する特性を得ることができる。しかし、共振器のQ値を同じにして比較すると、共振器の数が増加するに従って、通過帯域の挿入損失が大きくなるという問題が発生する。
これに対し、本実施の形態では、第1の共振回路10に含まれる共振器の数は2つだけである。本実施の形態によれば、バンドパスフィルタを構成する共振器の数を増加させることなく、通過帯域に近い周波数領域において挿入損失が急峻に変化する特性を得ることができる。これにより、本実施の形態によれば、通過帯域の挿入損失の増加を抑制することができる。また、本実施の形態によれば、フィルタ回路1およびフィルタ装置2を小型化することができる。
第2の共振回路20によるバンドエリミネーションフィルタの阻止帯域の中心周波数は、第1の共振回路10によるバンドパスフィルタの通過帯域の低域側の周波数領域に存在してもよいし、通過帯域の高域側の周波数領域に存在してもよい。
次に、本実施の形態に係るフィルタ回路1の周波数特性の一例を示す。図10は、フィルタ回路1の周波数特性の一例を示す特性図である。図11は、図10に示した周波数特性の一部、具体的には通過帯域の近傍の周波数領域を拡大して示す特性図である。図10および図11において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。また、図10および図11において、符号91を付した曲線は挿入損失を示し、符号92を付した曲線は反射損失を示している。
図10および図11に示した例では、第2の共振回路20によるバンドエリミネーションフィルタの阻止帯域の中心周波数は、第1の共振回路10によるバンドパスフィルタの通過帯域の低域側の周波数領域に存在する。図10および図11に示したように、本実施の形態によれば、通過帯域に近い周波数領域において挿入損失(減衰量)が急峻に変化する特性を得ることができる。また、通過帯域における挿入損失の大きさ(減衰量の絶対値)は、十分に小さな値となっている。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。始めに、図13を参照して、本実施の形態に係るフィルタ回路1が、第1の実施の形態と異なる点について簡単に説明する。図13は、本実施の形態に係るフィルタ回路1の回路構成を示す回路図である。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。始めに、図13を参照して、本実施の形態に係るフィルタ回路1が、第1の実施の形態と異なる点について簡単に説明する。図13は、本実施の形態に係るフィルタ回路1の回路構成を示す回路図である。
本実施の形態では、第1の共振回路10の第1の共振器11,12の各々は、一端が短絡され他端が開放された1/4波長共振器である。第1の共振器11の第2端11bと第1の共振器12の第2端12bの各々は、グランドに接続される。図13において、符号L11は、第1の共振器11,12とグランドとを接続する線路のインダクタンス成分を示している。
次に、図14ないし図20を参照して、本実施の形態におけるフィルタ装置2について説明する。本実施の形態におけるフィルタ装置2の構成は、積層体50を構成する複数の誘電体層を除いて、第1の実施の形態におけるフィルタ装置2の構成と同じである。本実施の形態では、積層体50は、第1の実施の形態における誘電体層51~66の代わりに、積層された16層の誘電体層71~86を有している。以下、この16層の誘電体層71~86を、下から順に1層目ないし16層目の誘電体層71~86と呼ぶ。図14ないし図20において、複数の円は複数のスルーホールを表している。
図14は、1層目の誘電体層71のパターン形成面を示している。誘電体層71のパターン形成面には、端子511とグランド用導体層512が形成されている。また、誘電体層71には、端子511に接続された特定のスルーホール71T1が形成されている。特定のスルーホール71T1を除く誘電体層71に形成された複数のスルーホールは、グランド用導体層512に接続されている。グランド用導体層512に接続された複数のスルーホールは、特定のスルーホール71T2,71T3を含んでいる。
図15は、2層目ないし7層目の誘電体層72~77の各々のパターン形成面を示している。誘電体層72~77の各々には、特定のスルーホール72T1,72T2,72T3が形成されている。誘電体層71に形成された特定のスルーホール71T1~71T3は、それぞれ、誘電体層72に形成された特定のスルーホール72T1~72T3に接続されている。また、誘電体層72~77では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図16は、8層目の誘電体層78のパターン形成面を示している。誘電体層78のパターン形成面には、導体層781,782が形成されている。また、誘電体層78には、特定のスルーホール78T1,78T2,78T3が形成されている。誘電体層77に形成された特定のスルーホール72T1~72T3は、それぞれ、特定のスルーホール78T1~78T3に接続されている。
図17は、9層目の誘電体層79のパターン形成面を示している。誘電体層79のパターン形成面には、共振器用導体層791,792,793,794と、導体層795,796と、グランド用導体層797が形成されている。導体層791~796の各々は、互いに反対側に位置する第1端および第2端を有している。
導体層791,795の各々は、第1端から第2端に向かって-X方向に延在している。導体層792,796の各々は、第1端から第2端に向かってX方向に延在している。導体層793,794の各々は、第1端から第2端に向かって-Y方向に延在している。
また、誘電体層79には、特定のスルーホール79T1,79T2,79T3が形成されている。特定のスルーホール79T1は、導体層796の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層78に形成された特定のスルーホール78T1は、導体層795の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層78に形成された特定のスルーホール78T2,78T3と、特定のスルーホール79T2,79T3は、グランド用導体層797に接続されている。
導体層791の第1端の近傍部分は、導体層795の第2端の近傍部分に対して、所定の間隔を開けて隣接している。導体層792の第1端の近傍部分は、導体層796の第2端の近傍部分に対して、所定の間隔を開けて隣接している。導体層791,792の各々の第2端は、グランド用導体層797に接続されている。図17では、導体層791,792とグランド用導体層797との境界を、点線で示している。
導体層793の第1端は、導体層795の第2端の近傍部分に対して、所定の間隔を開けて隣接している。導体層794の第1端は、導体層796の第2端の近傍部分に対して、所定の間隔を開けて隣接している。
図18は、10層目の誘電体層80のパターン形成面を示している。誘電体層80のパターン形成面には、導体層801,802が形成されている。また、誘電体層80には、特定のスルーホール80T1,80T2,80T3が形成されている。誘電体層79に形成された特定のスルーホール79T1~79T3は、それぞれ、特定のスルーホール80T1~80T3に接続されている。
図19は、11層目ないし16層目の誘電体層81~86の各々のパターン形成面を示している。誘電体層81~86の各々には、特定のスルーホール81T1,81T2,81T3が形成されている。誘電体層80に形成された特定のスルーホール80T1~80T3は、それぞれ、誘電体層81に形成された特定のスルーホール81T1~81T3に接続されている。また、誘電体層81~86では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図20は、16層目の誘電体層86のパターン形成面とは反対側の面である端子形成面を示している。誘電体層86の端子形成面には、端子861とグランド用導体層862が形成されている。誘電体層86に形成された特定のスルーホール81T1は、端子661に接続されている。誘電体層86に形成された特定のスルーホール81T2,81T3を含む誘電体層86に形成された複数のスルーホール(特定のスルーホール81T1を除く)は、グランド用導体層662に接続されている。
本実施の形態における積層体50は、1層目の誘電体層71のパターン形成面が積層体50の底面50Aになり、16層目の誘電体層86の端子形成面が積層体50の上面50Bになるように、1層目ないし16層目の誘電体層71~86が積層されて構成される。
図21は、1層目ないし16層目の誘電体層71~86が積層されて構成された積層体50の内部を示している。図21に示したように、積層体50の内部では、図14ないし図20に示した複数の導体層と複数のスルーホールが積層されている。導体層795は、特定のスルーホール71T1,72T1,78T1を介して端子511に接続されている。導体層796は、特定のスルーホール79T1,80T1,81T1を介して端子661に接続されている。グランド用導体層512,662,797は、特定のスルーホール51T1,52T1,58T1,59T1,60T1,61T1を除く複数のスルーホールによって互いに接続されている。特に、グランド用導体層797は、特定のスルーホール71T2,71T3,72T2,72T3,78T2,78T3を介してグランド用導体層512に接続され、特定のスルーホール79T2,79T3,80T2,80T3,81T2,81T3を介してグランド用導体層662に接続されている。
以下、図13に示したフィルタ回路1の構成要素と、図15ないし図19に示した積層体50の内部の構成要素との対応関係について説明する。第1の共振回路10の第1の共振器11は、共振器用導体層791によって構成されている。第1の共振回路10の第1の共振器12は、共振器用導体層792によって構成されている。第2の共振回路20の第2の共振器21は、共振器用導体層793によって構成されている。第2の共振回路20の第2の共振器22は、共振器用導体層794によって構成されている。
第1のキャパシタC11は、導体層781,791,795と、これらの導体層の間の誘電体層78とによって構成されている。第1のキャパシタC12は、導体層782,792,796と、これらの導体層の間の誘電体層78とによって構成されている。第2のキャパシタC21は、導体層793,795,801と、これらの導体層の間の誘電体層79とによって構成されている。第2のキャパシタC22は、導体層794,796,802と、これらの導体層の間の誘電体層79とによって構成されている。
次に、本実施の形態におけるフィルタ装置2の構造上の特徴について簡単に説明する。フィルタ装置2では、共振器用導体層791~794は、グランド用導体層512,662と複数のスルーホールとによって囲まれた空間内に設けられている。
また、フィルタ装置2では、第2のキャパシタC21,C22を構成する導体層801,802の各々の面積は、第1のキャパシタC11,C12を構成する導体層781,782の各々の面積よりも小さい。
特定のスルーホール71T2,71T3,72T2,72T3,78T2,78T3,79T2,79T3,80T2,80T3,81T2,81T3は、グランド用導体層512,662,797に電気的に接続されている。グランド用導体層512,662,797は、グランドに電気的に接続される。以下、特定のスルーホール71T2,71T3,72T2,72T3,78T2,78T3,79T2,79T3,80T2,80T3,81T2,81T3を、グランドに接続された複数の特定のスルーホールと言う。
グランドに接続された複数の特定のスルーホールは、積層方向Tと直交する方向に沿って並んだ2つのスルーホールを含んでいる。この2つのスルーホールとは、具体的には、特定のスルーホール71T2,71T3の組、特定のスルーホール72T2,72T3の組、特定のスルーホール78T2,78T3の組、特定のスルーホール79T2,79T3の組、特定のスルーホール80T2,80T3の組、特定のスルーホール81T2,81T3の組である。これらの組に含まれる2つの特定のスルーホールは、後述する共振器用導体層791が延在する方向と共振器用導体層792が延在する方向の少なくとも一方と直交する方向に沿って並んでいる。本実施の形態では、これらの組に含まれる2つの特定のスルーホールは、Y方向に平行な方向に沿って並んでいる。
共振器用導体層791は、グランドに接続された複数の特定のスルーホールから遠ざかる第1の方向に沿って延在している。共振器用導体層791は、グランドに接続された複数の特定のスルーホールから遠ざかる第2の方向に沿って延在している。本実施の形態では特に、共振器用導体層791,792の各々は、グランドに接続された複数の特定のスルーホールに電気的に接続されている。
第1および第2の方向は、積層方向Tに直交する方向である。本実施の形態では特に、第1の方向はX方向であり、第2の方向は-X方向である。従って、第1の方向と第2の方向は、互いに反対の方向である。
共振器用導体層793,794の各々は、細幅部と細幅部の両側に位置する2つの幅広部とを含んでいる。共振器用導体層793,794によって構成される第2の共振器21,22はいずれも、ステップドインピーダンス共振器である。
次に、本実施の形態におけるフィルタ装置2特有の作用および効果について説明する。本実施の形態では、前述のように、共振器用導体層791,792の各々が、グランドに接続された複数の特定のスルーホールから遠ざかる方向に延在している。そのため、本実施の形態では、製造ばらつきに起因して共振器用導体層791,792または接続された複数の特定のスルーホールがX方向に平行な方向にずれた場合、共振器用導体層791,792の一方は長くなり、他方は短くなる。これにより、本実施の形態によれば、共振器用導体層の長さの変化に起因する共振器の特性の変化を相殺することができる。その結果、本実施の形態によれば、製造ばらつきに起因する第1の共振回路10すなわちバンドパスフィルタの特性の変化を抑制することができる。
また、本実施の形態では、前述のように、グランドに接続された複数の特定のスルーホールは、積層方向Tと直交し且つ共振器用導体層791が延在する方向と共振器用導体層792が延在する方向の少なくとも一方と直交する方向に沿って並んだ2つのスルーホールを含んでいる。本実施の形態では特に、上記2つのスルーホールは、共振器用導体層791が延在する方向と共振器用導体層792が延在する方向の両方と直交する方向に沿って並んでいる。そのため、共振器用導体層791,792または接続された複数の特定のスルーホールがY方向に平行な方向にずれた場合には、共振器用導体層791,792の各々の長さはほとんど変化しない。これによっても、本実施の形態によれば、製造ばらつきに起因する第1の共振回路10すなわちバンドパスフィルタの特性の変化を抑制することができる。
以下、シミュレーションの結果を参照して、本実施の形態の上記の効果について説明する。シミュレーションでは、実施例のモデルと比較例のモデルを用いた。実施例のモデルと比較例のモデルは、いずれも、グランド用導体層と、このグランド用導体層から延在する2つの共振器用導体層とを備えたバンドパスフィルタのモデルである。
実施例のモデルでは、本実施の形態におけるフィルタ装置2と同様に、2つの共振器用導体層は、グランド用導体層を挟むように配置され、互いに反対方向に延在している。比較例のモデルでは、2つの共振器用導体層は、グランド用導体層から同じ方向に延在している。なお、シミュレーションでは、共振器用導体層の長手方向(延在方向に平行な方向)を、実施例のモデルと比較例のモデルで同じ方向にした。シミュレーションでは、実施例のモデルにおける2つの共振器用導体層の各々の長さを700μmとし、比較例のモデルにおける2つの共振器用導体層の各々の長さを855μmとした。
シミュレーションでは、2つの共振器用導体層を、共振器用導体層の長手方向に15μmずらしたときの、通過帯域の下限である低域遮断周波数のずれ量と、通過帯域の上限である高域遮断周波数のずれ量を求めた。実施例のモデルでは、2つの共振器用導体層を、共振器用導体層の長手方向に15μmずらすと、2つの共振器用導体層の一方は15μmだけ短くなり、他方は15μmだけ長くなる。比較例のモデルでは、2つの共振器用導体層を、共振器用導体層の長手方向に15μmずらすと、2つの共振器用導体層は、いずれも、15μmだけ短くなるか、15μmだけ長くなる。シミュレーションでは、2つの共振器用導体層がいずれも長くなるように、2つの共振器用導体層をずらした。
2つの共振器用導体層を上述のようにずらした場合、比較例のモデルでは、低域遮断周波数のずれ量は0.80%であり、高域遮断周波数のずれ量は1.25%であった。また、実施例のモデルでは、低域遮断周波数のずれ量は0.11%であり、高域遮断周波数のずれ量は0.11%であった。シミュレーションの結果から理解されるように、本実施の形態によれば、製造ばらつきに起因する低域遮断周波数および高域遮断周波数の変化を抑制することができる。
次に、本実施の形態に係るフィルタ回路1の周波数特性の一例を示す。図22は、フィルタ回路1の周波数特性の一例を示す特性図である。図23は、図22に示した周波数特性の一部、具体的には通過帯域の近傍の周波数領域を拡大して示す特性図である。図22および図23において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。また、図22および図23において、符号93を付した曲線は挿入損失を示し、符号94を付した曲線は反射損失を示している。
図22および図23に示した例では、第2の共振回路20によるバンドエリミネーションフィルタの阻止帯域の中心周波数は、第1の共振回路10によるバンドパスフィルタの通過帯域の低域側の周波数領域に存在する。図22および図23に示したように、本実施の形態によれば、通過帯域に近い周波数領域において挿入損失(減衰量)が急峻に変化する特性を得ることができる。また、通過帯域における挿入損失の大きさ(減衰量の絶対値)は、十分に小さな値となっている。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、図24を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図24は、本実施の形態に係るフィルタ回路1の回路構成を示す回路図である。
次に、図24を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図24は、本実施の形態に係るフィルタ回路1の回路構成を示す回路図である。
本実施の形態に係るフィルタ回路1の構成は、以下の点で第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、第1の実施の形態における第1のキャパシタC11,C12が設けられていない。従って、第1の共振回路10は、ポート3,4の各々に直結している。具体的には、第1の共振回路10の第1の共振器11の第1端11aが、ポート3に直結し、第1の共振回路10の第1の共振器12の第1端12aが、ポート4に直結している。
第1の実施の形態で説明したように、共振回路とポートとの間の結合が容量結合である場合、共振回路とポートとを容量結合させるキャパシタのキャパシタンスが大きくなるに従って、結合が強くなる。ここで、共振回路とポートとを直結させた場合、高周波領域においては、実質的に、無限大のキャパシタンスによって容量結合させた場合と同じになる。そのため、本実施の形態では、第1の共振回路10とポート3との間および第1の共振回路10とポート4との間の各々の結合は、第1の実施の形態に比べて強くなる。また、第1の共振回路10と2つのポート3,4との結合は、第2の共振回路20と1つのポート3,4との結合よりも強くなる。
なお、第1の共振回路10の構成は、第2の実施の形態と同じであってもよい。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1または第2の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
次に、図25を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。図25は、本実施の形態に係るフィルタ回路1の回路構成を示す回路図である。
次に、図25を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。図25は、本実施の形態に係るフィルタ回路1の回路構成を示す回路図である。
本実施の形態に係るフィルタ回路1の構成は、以下の点で第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、第2の共振回路20の第2の共振器21,22が互いに磁気結合していない。このような構成は、例えば、第2の共振器21,22を構成する2つの共振器用導体層間の距離を大きくすることで実現することができる。
なお、本実施の形態では、第2の共振器21,22の一方が設けられていなくてもよい。例えば、第2の共振器21のみが設けられている場合、第2の共振回路20は、ポート3のみに結合する。また、第2の共振器22のみが設けられている場合、第2の共振回路20は、ポート4のみに結合する。
第1の共振回路10の構成は、第2の実施の形態と同じであってもよい。また、第3の実施の形態と同様に、第1の共振回路10は、ポート3,4の各々に直結していてもよい。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1ないし第3のいずれかの実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第1および第2の共振器の各々の数や構成は、各実施の形態に示したものに限らず、特許請求の範囲を満たすものであればよい。第1および第2の共振器の各々の数は、3つ以上であってもよい。
また、第1の共振回路10は、バンドパスフィルタに限らず、ローパスフィルタや、ハイパスフィルタ等の他のフィルタを構成するものであってもよい。
1…フィルタ回路、2…フィルタ装置、3,4…ポート、10…第1の共振回路、11,12…第1の共振器、20…第2の共振回路、21,22…第2の共振器、50…積層体、51~66…誘電体層、511,661…端子、512,662…グランド用導体層、C11,C12…第1のキャパシタ、C13…キャパシタ、C21,C22…第2のキャパシタ。
Claims (8)
- 2つのポートと、
複数の第1の共振器を含み、回路構成上前記2つのポートの間に設けられ、前記2つのポートの両方に結合された第1の共振回路と、
複数の第2の共振器を含み、回路構成上前記2つのポートの間に設けられ、前記2つのポートの少なくとも一方に結合された第2の共振回路とを備え、
前記第2の共振回路と前記2つのポートとの結合は、前記第1の共振回路と前記2つのポートとの結合よりも弱いことを特徴とするフィルタ回路。 - 更に、前記第1の共振回路と前記2つのポートとを容量結合させる2つの第1のキャパシタと、
前記第2の共振回路と前記2つのポートとを容量結合させる少なくとも1つの第2のキャパシタとを備え、
前記少なくとも1つの第2のキャパシタのキャパシタンスは、前記2つの第1のキャパシタの各々のキャパシタンスよりも小さいことを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。 - 更に、前記第2の共振回路と前記2つのポートとを容量結合させる少なくとも1つの第2のキャパシタを備え、
前記第1の共振回路は、前記2つのポートの少なくとも一方に直結していることを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。 - 前記複数の第2の共振器は、第1の特定の共振器と、第2の特定の共振器とを含み、
前記第1の特定の共振器は、前記2つのポートの一方に結合し、
前記第2の特定の共振器は、前記2つのポートの他方に結合していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフィルタ回路。 - 前記第1の特定の共振器と前記第2の特定の共振器は、互いに結合することを特徴とする請求項4記載のフィルタ回路。
- 前記複数の第2の共振器の各々は、両端開放型共振器であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のフィルタ回路。
- 前記第1の共振回路は、バンドパスフィルタを構成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のフィルタ回路。
- 前記第2の共振回路は、バンドエリミネーションフィルタを構成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のフィルタ回路。
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