JP2022138074A - 積層型フィルタ装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022138074000001
【課題】温度によって通過減衰特性が変化することを抑制できる積層型電子部品を実現する。
【解決手段】フィルタ装置1は、インダクタL1~L4とキャパシタC1~C12とを含むフィルタ5と、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含む積層体50とを備えている。複数の誘電体層は、第1の誘電体材料よりなる第1の誘電体層52~55と、第2の誘電体材料よりなる第2の誘電体層51,56~68とを含んでいる。複数の導体層は、第1の誘電体層52~55に接する少なくとも1つの第1の導体層と、第2の誘電体層51,56~68に接する少なくとも1つの第2の導体層とを含んでいる。第1の誘電体材料の共振周波数の温度係数は正の値である。第2の誘電体材料の共振周波数の温度係数は負の値である。
【選択図】図2

Description

本発明は、フィルタと積層体とを備えた積層型フィルタ装置に関する。
近年、小型移動体通信機器の小型化、省スペース化が市場から要求されており、その通信機器に用いられるバンドパスフィルタの小型化も要求されている。小型化に適したバンドパスフィルタとしては、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含む積層体を用いたものが知られている。以下、積層体を用いたバンドパスフィルタを、積層型バンドパスフィルタと言う。
積層型バンドパスフィルタの特性は、温度によって変化し得る。特許文献1には、誘電率温度変化率が小さい誘電体磁器組成物、およびこの誘電体磁器組成物を用いたセラミック電子部品が開示されている。
特開平11-228222号公報
積層型バンドパスフィルタでは、積層体を構成する誘電体層の誘電率の他に、通過減衰特性も温度によって変化し得る。通過減衰特性は、積層型バンドパスフィルタを通過する信号の減衰量を周波数毎にプロットした曲線で示される。通過減衰特性を示す曲線は、温度が変化すると、高域側または低域側にずれてしまう。
ところで、積層型バンドパスフィルタに求められる仕様の1つに、通過帯域がある。通過帯域では、減衰量の絶対値が、所定の値以下であることが求められる。しかし、通過帯域およびその近傍における通過減衰特性が温度によってずれてしまうと、要求される値を満足することができなくなるおそれがある。特に、狭い通過帯域が求められる積層型バンドパスフィルタでは、通過減衰特性がわずかにずれた場合であっても、要求される値を満足することができなくなるおそれがある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、温度によって通過減衰特性が変化することを抑制できるようにした積層型フィルタ装置を提供することにある。
本発明の積層型フィルタ装置は、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含むフィルタと、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含み、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタを一体化するための積層体とを備えた積層型フィルタ装置である。少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタは、複数の導体層を用いて構成されている。
複数の誘電体層は、少なくとも1つの第1の誘電体層と、少なくとも1つの第2の誘電体層とを含んでいる。複数の導体層は、少なくとも1つの第1の誘電体層に接する少なくとも1つの第1の導体層と、少なくとも1つの第2の誘電体層に接する少なくとも1つの第2の導体層とを含んでいる。第1の誘電体層は、共振周波数の温度係数が正の値である第1の誘電体材料よりなる。第2の誘電体層は、共振周波数の温度係数が負の値である第2の誘電体材料よりなる。
本発明の積層型フィルタ装置において、積層体は、複数の誘電体層の積層方向の両端に位置する底面および上面と、底面と上面を接続する4つの側面とを有していてもよい。この場合、少なくとも1つの第1の誘電体層は、上面よりも底面により近い配置されていてもよい。
また、本発明の積層型フィルタ装置において、少なくとも1つの第2の誘電体層は、複数の第2の誘電体層であってもよい。この場合、少なくとも1つの第1の誘電体層は、複数の第2の誘電体層のうちの1つと複数の第2の誘電体層のうちの他の1つとの間に配置されていてもよい。
また、本発明の積層型フィルタ装置において、少なくとも1つのキャパシタは、複数のキャパシタであってもよい。この場合、少なくとも1つの第1の導体層は、複数の第1の導体層であってもよい。複数のキャパシタのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの第1の誘電体層と、少なくとも1つの第1の誘電体層を挟むように配置された複数の第1の導体層のうちの2つとによって構成されていてもよい。
また、本発明の積層型フィルタ装置において、少なくとも1つのインダクタは、第2の導体層を用いて構成されていてもよい。
また、本発明の積層型フィルタ装置において、フィルタは、所定の通過帯域内の周波数の信号を選択的に通過させるバンドパスフィルタであってもよい。この場合、通過帯域の幅は、10~600MHzの範囲内であってもよい。
本発明の積層型フィルタ装置では、複数の誘電体層は、少なくとも1つの第1の誘電体層と、少なくとも1つの第2の誘電体層とを含んでいる。第1の誘電体層は、共振周波数の温度係数が正の値である第1の誘電体材料よりなり、第2の誘電体層は、共振周波数の温度係数が負の値である第2の誘電体材料よりなる。これにより、本発明によれば、温度によって通過減衰特性が変化することを抑制できる積層型フィルタ装置を実現することができるという効果を奏する。
本発明の一実施の形態におけるフィルタの回路構成を示す回路図である。 本発明の一実施の形態に係る積層型フィルタ装置の外観を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体における1層目ないし3層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。 本発明の一実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体における4層目ないし6層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。 本発明の一実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体における7層目ないし16層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。 本発明の一実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体における17層目および18層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。 本発明の一実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体の内部を示す斜視図である。 比較例の積層型フィルタ装置の通過減衰特性を示す特性図である。 比較例の積層型フィルタ装置の通過減衰特性を示す特性図である。 比較例の積層型フィルタ装置における温度と周波数変動量との関係を示す特性図である。 実施例の積層型フィルタ装置の通過減衰特性を示す特性図である。 実施例の積層型フィルタ装置の通過減衰特性を示す特性図である。 実施例の積層型フィルタ装置における温度と周波数変動量との関係を示す特性図である。 実施例の積層型フィルタ装置の第1のポートの反射損失を示す特性図である。 実施例の積層型フィルタ装置の第2のポートの反射損失を示す特性図である。 本発明の一実施の形態に係る積層型フィルタ装置の通過減衰特性の一例を示す特性図である。 本発明の一実施の形態に係る積層型フィルタ装置の通過減衰特性の一例を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、本発明の一実施の形態に係る積層型フィルタ装置(以下、単にフィルタ装置と記す。)1の構成の概略について説明する。本実施の形態に係るフィルタ装置1は、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含むフィルタ5とを備えている。本実施の形態におけるフィルタ5は、所定の通過帯域内の周波数の信号を選択的に通過させるバンドパスフィルタである。
次に、図1を参照して、フィルタ5の構成の一例について説明する。図1は、フィルタ5の回路構成を示す回路図である。フィルタ5は、第1のポート2と、第2のポート3と、インダクタL1,L2,L3,L4と、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11,C12とを含んでいる。第1および第2のポート2,3は、それぞれ、バンドパスフィルタの入出力ポートとして機能する。
インダクタL1~L4およびキャパシタC1~C12は、回路構成上、第1のポート2と第2のポート3との間に設けられている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。
インダクタL1の一端は、第1のポート2に接続されている。キャパシタC1は、インダクタL1に対して並列に接続されている。キャパシタC2の一端は、インダクタL1の他端に接続されている。キャパシタC2の他端は、グランドに接続されている。
キャパシタC3の一端は、インダクタL1の他端に接続されている。キャパシタC4の一端は、キャパシタC3の他端に接続されている。キャパシタC5の一端は、キャパシタC4の他端に接続されている。キャパシタC6の他端は、キャパシタC5の他端に接続されている。
インダクタL2の一端とキャパシタC7の一端は、それぞれ、キャパシタC3とキャパシタC4の接続点に接続されている。インダクタL2の他端とキャパシタC7の他端は、それぞれ、グランドに接続されている。
インダクタL3の一端とキャパシタC8の一端は、それぞれ、キャパシタC5とキャパシタC6の接続点に接続されている。インダクタL3の他端とキャパシタC8の他端は、それぞれ、グランドに接続されている。
キャパシタC9の一端は、キャパシタC3の一端に接続されている。キャパシタC10の一端は、キャパシタC9の他端に接続されている。キャパシタC10の他端は、キャパシタC6の他端に接続されている。
インダクタL4の一端は、キャパシタC6の他端に接続されている。インダクタL4の他端は、第2のポート3に接続されている。キャパシタC11は、インダクタL4に対して並列に接続されている。キャパシタC12の一端は、インダクタL4の一端に接続されている。キャパシタC12の他端は、グランドに接続されている。
次に、図2を参照して、フィルタ装置1のその他の構成について説明する。図2は、フィルタ装置1の外観を示す斜視図である。
フィルタ装置1は、更に、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含む積層体50を備えている。積層体50は、第1のポート2、第2のポート3ならびにフィルタ5のインダクタL1~L4およびキャパシタC1~C12を一体化するためのものである。インダクタL1~L4およびキャパシタC1~C12は、複数の導体層を用いて構成されている。
積層体50は、複数の誘電体層の積層方向Tの両端に位置する底面50Aおよび上面50Bと、底面50Aと上面50Bを接続する4つの側面50C~50Fとを有している。側面50C,50Dは互いに反対側を向き、側面50E,50Fも互いに反対側を向いている。側面50C~50Fは、上面50Bおよび底面50Aに対して垂直になっている。
ここで、図2に示したように、X方向、Y方向、Z方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では、積層方向Tに平行な一方向を、Z方向とする。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。
図2に示したように、底面50Aは、積層体50における-Z方向の端に位置する。上面50Bは、積層体50におけるZ方向の端に位置する。側面50Cは、積層体50における-X方向の端に位置する。側面50Dは、積層体50におけるX方向の端に位置する。側面50Eは、積層体50における-Y方向の端に位置する。側面50Fは、積層体50におけるY方向の端に位置する。
フィルタ装置1は、更に、積層体50の底面50Aに設けられた複数の端子111,112,113を備えている。端子111は、側面50Cの近傍においてY方向に延びている。端子112は、側面50Dの近傍においてY方向に延びている。端子113は、端子111と端子112の間に配置されている。
端子111は第1のポート2に対応し、端子112は第2のポート3に対応している。従って、第1および第2のポート2,3は、積層体50の底面50Aに設けられている。端子113は、グランドに接続される。
複数の誘電体層は、少なくとも1つの第1の誘電体層と、少なくとも1つの第2の誘電体層とを含んでいる。複数の導体層は、少なくとも1つの第1の誘電体層に接する少なくとも1つの第1の導体層と、少なくとも1つの第2の誘電体層に接する少なくとも1つの第2の導体層とを含んでいる。
ここで、誘電体材料の共振周波数の温度係数について説明する。まず、基準温度Trefにおける誘電体材料の共振周波数をfrefとし、所定の温度Trにおける誘電体材料の共振周波数をfrとする。また、基準温度Trefから温度Trまでの温度範囲における誘電体材料の共振周波数の温度係数を記号tfで表す。共振周波数の温度係数tf(単位はppm/℃)は、下記の式(1)で表される。
tf=[(fr-fref)/{fref(Tr-Tref)}]×106 …(1)
-40~85℃における共振周波数の温度係数tfは、基準温度Trefを-40℃とし、所定の温度Trを85℃として、式(1)から求められる共振周波数の温度係数である。以下の説明において、単に共振周波数の温度係数tfと言うときは、-40~85℃における共振周波数の温度係数tfを指すものとする。
第1の誘電体層は、共振周波数の温度係数tfが正の値である第1の誘電体材料よりなる。第1の誘電体材料の共振周波数の温度係数tfは、例えば1~1000ppm/℃の範囲内である。また、第1の誘電体材料の比誘電率は、例えば10~80の範囲内である。第1の誘電体材料としては、例えば、組成式が{α(xBaO・yNd・zTiO)+β(2MgO・SiO)}で表される成分を主成分として含むセラミック(以下、第1のセラミックと言う。)が用いられる。ただし、α>0、β>0、x>0、y>0、z>0である。
第2の誘電体層は、共振周波数の温度係数tfが負の値である第2の誘電体材料よりなる。第2の誘電体材料の共振周波数の温度係数tfは、例えば-1000~-1ppm/℃の範囲内である。また、第2の誘電体材料の比誘電率は、例えば5~9の範囲内である。第2の誘電体材料としては、例えば、組成式が{γ(2MgO・SiO)+δ((Ca,Sr)TiO)}で表される成分を主成分として含むセラミック(以下、第2のセラミックと言う。)が用いられる。ただし、γ>0、δ≧0である。
第2の誘電体材料の共振周波数の温度係数tfの絶対値に対する第1の誘電体材料の共振周波数の温度係数tfの絶対値の比率は、例えば、0.1以上10以下の範囲内であることが好ましい。
次に、図3ないし図9を参照して、積層体50を構成する複数の誘電体層および複数の導体層の一例について説明する。この例では、積層体50は、積層された18層の誘電体層を有している。以下、この20層の誘電体層を、下から順に1層目ないし18層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし18層目の誘電体層を符号51~68で表す。
図3(a)は、1層目の誘電体層51のパターン形成面を示している。誘電体層51のパターン形成面には、端子111,112,113が形成されている。また、誘電体層51には、スルーホール51T1,51T3,51T4,51T5,51T6,51T8が形成されている。スルーホール51T1は、端子111に接続されている。スルーホール51T3~51T6は、端子113に接続されている。スルーホール51T8は、端子112に接続されている。
図3(b)は、2層目の誘電体層52のパターン形成面を示している。誘電体層52のパターン形成面には、導体層521,522と、グランド用導体層523が形成されている。また、誘電体層52には、スルーホール52T1,52T4,52T6,52T8が形成されている。誘電体層51に形成されたスルーホール51T1と、スルーホール52T1は、導体層521に接続されている。誘電体層51に形成されたスルーホール51T3~51T6と、スルーホール52T4,52T6は、グランド用導体層523に接続されている。誘電体層51に形成されたスルーホール51T8と、スルーホール52T8は、導体層522に接続されている。
図3(c)は、3層目の誘電体層53のパターン形成面を示している。誘電体層53のパターン形成面には、導体層531が形成されている。また、誘電体層53には、スルーホール53T1,53T4,53T6,53T8が形成されている。誘電体層52に形成されたスルーホール52T1,52T8は、それぞれ、スルーホール53T1,53T8に接続されている。誘電体層52に形成されたスルーホール52T4,52T6と、スルーホール53T4,53T6は、導体層531に接続されている。
図4(a)は、4層目の誘電体層54のパターン形成面を示している。誘電体層54のパターン形成面には、導体層541,542,543,544,545が形成されている。また、誘電体層54には、スルーホール54T1,54T2,54T3,54T4,54T5,54T6,54T7,54T8が形成されている。誘電体層53に形成されたスルーホール53T1,53T8は、それぞれ、スルーホール54T1,54T8に接続されている。スルーホール54T2,54T3,54T5,54T7は、それぞれ、導体層541,542,543,545に接続されている。誘電体層53に形成されたスルーホール53T4,53T6と、スルーホール54T4,54T6は、導体層544に接続されている。
図4(b)は、5層目の誘電体層55のパターン形成面を示している。誘電体層55のパターン形成面には、導体層551,552,553が形成されている。また、誘電体層55には、スルーホール55T1,55T2,55T3,55T4,55T5,55T6,55T7,55T8が形成されている。誘電体層54に形成されたスルーホール54T1,54T3~54T6,54T8は、それぞれ、スルーホール55T1,55T3~55T6,55T8に接続されている。誘電体層54に形成されたスルーホール54T2と、スルーホール55T2は、導体層551に接続されている。誘電体層54に形成されたスルーホール54T7と、スルーホール55T7は、導体層553に接続されている。
図4(c)は、6層目の誘電体層56のパターン形成面を示している。誘電体層56のパターン形成面には、導体層561,562が形成されている。また、誘電体層56には、スルーホール56T1,56T2,56T3,56T4,56T5,56T6,56T7,56T8が形成されている。誘電体層55に形成されたスルーホール55T1,55T2,55T4,55T6~55T8は、それぞれ、スルーホール56T1,56T2,56T4,56T6~56T8に接続されている。誘電体層55に形成されたスルーホール55T3と、スルーホール56T3は、導体層561に接続されている。誘電体層55に形成されたスルーホール55T5と、スルーホール56T5は、導体層562に接続されている。
図5(a)は、7層目の誘電体層57と8層目の誘電体層58の各々のパターン形成面を示している。誘電体層57,58の各々には、スルーホール57T1,57T2,57T3,57T4,57T5,57T6,57T7,57T8が形成されている。誘電体層56に形成されたスルーホール56T1~56T8は、それぞれ、誘電体層57に形成されたスルーホール57T1~57T8に接続されている。また、誘電体層57,58では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図5(b)は、9層目の誘電体層59のパターン形成面を示している。誘電体層59のパターン形成面には、導体層591が形成されている。また、誘電体層59には、スルーホール59T1,59T2,59T3,59T4,59T5,59T6,59T7,59T8が形成されている。誘電体層58に形成されたスルーホール57T1~57T8は、それぞれ、スルーホール59T1~59T8に接続されている。
図5(c)は、10層目ないし16層目の誘電体層60~66の各々のパターン形成面を示している。誘電体層60~66の各々には、スルーホール60T1,60T2,60T3,60T4,60T5,60T6,60T7,60T8が形成されている。誘電体層59に形成されたスルーホール59T1~59T8は、それぞれ、誘電体層60に形成されたスルーホール60T1~60T8に接続されている。また、誘電体層60~66では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図6(a)は、17層目の誘電体層67のパターン形成面を示している。誘電体層67のパターン形成面には、導体層671,672,673,674が形成されている。導体層671~674の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。また、誘電体層67には、スルーホール67T1,67T2,67T3,67T4,67T5,67T6,67T7,67T8が形成されている。誘電体層66に形成されたスルーホール60T1と、スルーホール67T1は、導体層671の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層66に形成されたスルーホール60T2と、スルーホール67T2は、導体層671の第2端の近傍部分に接続されている。誘電体層66に形成されたスルーホール60T3と、スルーホール67T3は、導体層672の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層66に形成されたスルーホール60T4と、スルーホール67T4は、導体層672の第2端の近傍部分に接続されている。誘電体層66に形成されたスルーホール60T5と、スルーホール67T5は、導体層673の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層66に形成されたスルーホール60T6と、スルーホール67T6は、導体層673の第2端の近傍部分に接続されている。誘電体層66に形成されたスルーホール60T7と、スルーホール67T7は、導体層674の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層66に形成されたスルーホール60T8と、スルーホール67T8は、導体層674の第2端の近傍部分に接続されている。
図6(b)は、18層目の誘電体層68のパターン形成面を示している。誘電体層68のパターン形成面には、導体層681,682,683,684が形成されている。導体層681~684の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。誘電体層67に形成されたスルーホール67T1は、導体層681の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール67T2は、導体層681の第2端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール67T3は、導体層682の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール67T4は、導体層682の第2端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール67T5は、導体層683の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール67T6は、導体層683の第2端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール67T7は、導体層684の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール67T8は、導体層684の第2端の近傍部分に接続されている。
図2に示した積層体50は、1層目の誘電体層51のパターン形成面が積層体50の底面50Aになり、18層目の誘電体層68のパターン形成面とは反対側の面が積層体50の上面50Bになるように、1層目ないし18層目の誘電体層51~68が積層されて構成される。
図7は、1層目ないし18層目の誘電体層51~68が積層されて構成された積層体50の内部を示している。図7に示したように、積層体50の内部では、図3ないし図6に示した複数の導体層と複数のスルーホールが積層されている。
以下、図1に示したフィルタ5の回路の構成要素と、図3ないし図6に示した積層体50の内部の構成要素との対応関係について説明する。インダクタL1は、図4(c)ないし図6(b)に示した導体層671,681とスルーホール56T1,56T2,57T1,57T2,59T1,59T2,60T1,60T2,67T1,67T2によって構成されている。
インダクタL2は、図4(c)ないし図6(b)に示した導体層672,682とスルーホール56T3,56T4,57T3,57T4,59T3,59T4,60T3,60T4,67T3,67T4によって構成されている。
インダクタL3は、図4(c)ないし図6(b)に示した導体層673,683とスルーホール56T5,56T6,57T5,57T6,59T5,59T6,60T5,60T6,67T5,67T6によって構成されている。
インダクタL4は、図4(c)ないし図6(b)に示した導体層674,684とスルーホール56T7,56T8,57T7,57T8,59T7,59T8,60T7,60T8,67T7,67T8によって構成されている。
キャパシタC1は、図3(b)および図4(a)に示した導体層521,541と、これらの導体層の間の誘電体層52,53とによって構成されている。
キャパシタC2は、図3(b)に示したグランド用導体層523と、図4(b)に示した導体層551と、これらの導体層の間の誘電体層52~54とによって構成されている。
キャパシタC3は、図4(a)および図4(c)に示した導体層541,561と、これらの導体層の間の誘電体層54,55とによって構成されている。
キャパシタC4は、図4(b)および図4(c)に示した導体層552,561と、これらの導体層の間の誘電体層55とによって構成されている。キャパシタC5は、図4(b)および図4(c)に示した導体層552,562と、これらの導体層の間の誘電体層55とによって構成されている。
キャパシタC7は、図3(b)に示したグランド用導体層523と、図4(a)に示した導体層542と、これらの導体層の間の誘電体層52,53とによって構成されている。キャパシタC8は、グランド用導体層523と、図4(a)に示した導体層543と、これらの導体層の間の誘電体層52,53とによって構成されている。
キャパシタC9は、図4(b)および図5(b)に示した導体層551,591と、これらの導体層の間の誘電体層55~58とによって構成されている。キャパシタC10は、図4(b)および図5(b)に示した導体層553,591と、これらの導体層の間の誘電体層55~58とによって構成されている。
キャパシタC11は、図3(b)および図4(a)に示した導体層522,545と、これらの導体層の間の誘電体層52,53とによって構成されている。
キャパシタC12は、図3(b)に示したグランド用導体層523と、図4(b)に示した導体層553と、これらの導体層の間の誘電体層52~54とによって構成されている。
次に、図1ないし図7を参照して、本実施の形態に係るフィルタ装置1の構造上の特徴について説明する。前述のように、積層体50を構成する複数の誘電体層は、第1の誘電体層と第2の誘電体層を含んでいる。本実施の形態では、誘電体層52~55が第1の誘電体層に対応し、誘電体層51,56~68が第2の誘電体層に対応する。以下、誘電体層52~55を第1の誘電体層52~55とも記し、誘電体層51,56~68を第2の誘電体層51,56~68とも記す。
第1の誘電体層52~55と積層体50の底面50Aとの間には、第2の誘電体層51が介在している。第1の誘電体層52~55と積層体50の上面50Bとの間には、第2の誘電体層56~68が介在している。第1の誘電体層52~55は、上面50Bよりも底面50Aにより近い配置されている。また、第1の誘電体層52~55は、第2の誘電体層51と第2の誘電体層56との間に配置されている。
また、本実施の形態では、導体層521~523,531,541~545,551~553は、第1の導体層に対応する。導体層521~523は、第1の誘電体層52のパターン形成面に接している。導体層531は、第1の誘電体層53のパターン形成面に接している。導体層541~545は、第1の誘電体層54のパターン形成面に接している。導体層551~553は、第1の誘電体層55のパターン形成面に接している。
導体層591,671~673,681~683は、第2の導体層に対応する。導体層591は、第2の誘電体層59のパターン形成面に接している。導体層671~673は、第2の誘電体層67のパターン形成面に接している。導体層681~683は、第2の誘電体層68のパターン形成面に接している。
導体層561,562は、第1の導体層と第2の導体層の両方に対応する。導体層561,562は、第1の誘電体層55のパターン形成面とは反対側の面と、第2の誘電体層56のパターン形成面に接している。
キャパシタC9,C10以外のキャパシタは、少なくとも1つの第1の誘電体層と、この少なくとも1つの第1の誘電体層を挟むように配置された2つの第1の導体層によって構成されている。例えば、キャパシタC1は、第1の誘電体層52,53と、第1の誘電体層52,53を挟むように配置された導体層521,541とによって構成されている。
インダクタL1~L4は、第2の導体層である671~673,681~683を用いて構成されている。また、インダクタL1~L4を構成するスルーホール56T1~56T8,57T1~57T8,59T1~59T8,60T1~60T8,67T1~67T8は、第2の誘電体層56~67に形成されている。これらのことから、インダクタL1~L4は、第2の誘電体層56~68に埋め込まれていると言える。
次に、本実施の形態に係るフィルタ装置1の作用および効果について説明する。本実施の形態では、積層体50は、第1の誘電体層52~55と第2の誘電体層51,56~68とを含んでいる。第1の誘電体層52~55は、第1の誘電体材料によって形成されている。第2の誘電体層51,56~68は、第2の誘電体材料によって形成されている。第1の誘電体材料の共振周波数の温度係数tfは正の値であり、第2の誘電体材料の共振周波数の温度係数tfは負の値である。本実施の形態によれば、上述のように共振周波数の温度係数tfの符号が互いに反対になる2つの誘電体材料を組み合わせることにより、温度によってフィルタ5の通過減衰特性が変化することを抑制することができる。
以下、本実施の形態の効果について調べた実験の結果について説明する。始めに、実験で作製したフィルタ装置について説明する。実験では、実施例のフィルタ装置と比較例のフィルタ装置を作製した。実施例のフィルタ装置の構成は、図1ないし図7を参照して説明した本実施の形態に係るフィルタ装置1の構成と同じである。比較例のフィルタ装置の構成は、誘電体層の構成を除いて、実施例のフィルタ装置の構成と同じである。比較例のフィルタ装置では、複数の誘電体層の全てが第1の誘電体層である。
実験では、第1の誘電体層を構成する第1の誘電体材料として、前述の第1のセラミックを用いた。第1の誘電体材料の共振周波数の温度係数tfは、40ppm/℃である。1.9GHzにおける第1の誘電体材料の比誘電率は33である。
また、実験では、第2の誘電体層を構成する第2の誘電体材料として、前述の第2のセラミックを用いた。第2の誘電体材料の共振周波数の温度係数tfは、-70ppm/℃である。1.9GHzにおける第2の誘電体材料の比誘電率は7.1である。
また、実験では、実施例のフィルタ装置は、フィルタ5の通過帯域が4.4~5.0GHzになるように設計した。比較例のフィルタ装置は、フィルタ5の通過帯域が3.0~4.2GHzになるように設計した。
次に、実施例のフィルタ装置および比較例のフィルタ装置の各々の特性の測定方法について説明する。実験では、実施例のフィルタ装置の温度を-40℃、25℃、85℃と変化させながら、実施例のフィルタ装置の通過減衰特性を求めた。また、実験では、比較例のフィルタ装置の温度を-40℃、25℃、105℃と変化させながら、比較例のフィルタ装置の通過減衰特性を求めた。
次に、実験の結果について説明する。始めに、比較例のフィルタ装置について説明する。図8および図9は、比較例のフィルタ装置の通過減衰特性を示している。図8は、温度が25℃の場合における通過減衰特性を示している。図9は、温度が-40℃、25℃および105℃の場合における通過減衰特性を示している。図9では、通過帯域の近傍の通過減衰特性を拡大して示している。図8および図9の各々において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。図9において、符号81は-40℃の場合における通過減衰特性を示し、符号82は25℃の場合における通過減衰特性を示し、符号83は105℃の場合における通過減衰特性を示している。図9から、比較例のフィルタ装置では、温度によって、通過減衰特性を示す曲線が低域側または高域側にずれるように変化することが分かる。比較例のフィルタ装置では特に、通過減衰特性を示す曲線は、温度が高くなるに従って低域側にずれている。
比較例のフィルタ装置では、通過帯域の低域側において減衰量が-10dBとなる周波数は、温度が-40℃の場合には2.871GHzであり、温度が25℃の場合には2.862GHzであり、温度が105℃の場合には2.849GHzであった。また、比較例のフィルタ装置では、通過帯域の高域側において減衰量が-10dBとなる周波数は、温度が-40℃の場合には4.589GHzであり、温度が25℃の場合には4.574GHzであり、温度が105℃の場合には4.552GHzであった。
ここで、以下のように周波数変動量を定義する。温度が25℃の場合に減衰量が-10dBとなる周波数を基準周波数とする。そして、ある温度のときに減衰量が-10dBとなる周波数の、基準周波数からの変動量を、その温度の周波数変動量とする。周波数変動量は、通過帯域の低域側と通過帯域の高域側で別々に求められる。なお、上記の定義から、25℃の周波数変動量は0である。
通過帯域の低域側では、-40℃の周波数変動量は0.31%であり、105℃の周波数変動量は-0.45%であった。また、通過帯域の高域側では、-40℃の周波数変動量は0.33%であり、105℃の周波数変動量は-0.48%であった。
図10は、比較例のフィルタ装置における温度と周波数変動量との関係を示す特性図である。図10において、横軸は温度を示し、縦軸は周波数変動量を示している。また、図10において、破線で示した直線は、温度と周波数変動量との関係を表す近似直線である。この近似直線の傾きは、温度が変化したときの通過帯域の近傍における通過減衰特性の変化量を示している。図10に示した近似直線の傾きは、-54.6ppm/℃であった。
次に、実施例のフィルタ装置について説明する。図11および図12は、実施例のフィルタ装置の通過減衰特性を示している。図11は、温度が25℃の場合における通過減衰特性を示している。図12は、温度が-40℃、25℃および85℃の場合における通過減衰特性を示している。図12では、通過帯域の近傍の通過減衰特性を拡大して示している。図11および図12の各々において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。図11において、符号91は-40℃の場合における通過減衰特性を示し、符号92は25℃の場合における通過減衰特性を示し、符号93は85℃の場合における通過減衰特性を示している。図12から、実施例のフィルタ装置では、温度によって、通過減衰特性を示す曲線が低域側または高域側にはほとんどずれないことが分かる。
実施例のフィルタ装置では、通過帯域の低域側において減衰量が-10dBとなる周波数は、温度が-40℃の場合には4.092GHzであり、温度が25℃の場合には4.093GHzであり、温度が85℃の場合には4.093GHzであった。また、通過帯域の高域側において減衰量が-10dBとなる周波数は、温度が-40℃の場合には5.329GHzであり、温度が25℃の場合には5.331GHzであり、温度が85℃の場合には5.332GHzであった。
また、実施例のフィルタ装置では、通過帯域の低域側における-40℃の周波数変動量は-0.02%であり、通過帯域の低域側における85℃の周波数変動量は0%であった。また、実施例のフィルタ装置では、通過帯域の高域側における-40℃の周波数変動量は-0.04%であり、通過帯域の高域側における85℃の周波数変動量は0.02%であった。
図13は、実施例のフィルタ装置における温度と周波数変動量との関係を示す特性図である。図13において、横軸は温度を示し、縦軸は周波数変動量を示している。また、図13において、破線で示した直線は、温度と周波数変動量との関係を表す近似直線である。図13に示した近似直線の傾きは、3.2ppm/℃であった。
図9、図10、図12および図13に示した結果から、実施例のフィルタ装置では、温度の変化に伴う通過減衰特性の変化が小さいことが分かる。この結果から理解されるように、本実施の形態によれば、複数の誘電体層の全てを同じ誘電体材料によって形成した場合に比べて、温度によってフィルタ5の通過減衰特性が変化することを抑制することができる。
ここまでは、温度によるフィルタ5の通過減衰特性の変化について説明してきた。しかし、本実施の形態によれば、温度によって通過減衰特性以外のフィルタ5の特性が変化することを抑制することができる。図14は、実施例のフィルタ装置の第1のポート2の反射損失を示す特性図である。図15は、実施例のフィルタ装置の第2のポート3の反射損失を示す特性図である。図14および図15において、横軸は周波数を示し、縦軸は反射損失を示している。図14において、符号94は-40℃の場合における反射損失を示し、符号95は25℃の場合における反射損失を示し、符号96は90℃の場合における反射損失を示している。図15において、符号97は-40℃の場合における反射損失を示し、符号98は25℃の場合における反射損失を示し、符号99は90℃の場合における反射損失を示している。図14および図15から、実施例のフィルタ装置では、温度の変化に伴う反射損失の変化が小さいことが分かる。この結果から理解されるように、本実施の形態によれば、温度によって反射損失が変化することを抑制することができる。
次に、本実施の形態におけるその他の効果について説明する。本実施の形態では、第1の誘電体層52~55は、キャパシタC9,C10を除く多数のキャパシタを構成するために用いられている。第1の誘電体層52~55は、第2の誘電体層51,56~68に比べて比誘電率が大きい。これにより、本実施の形態によれば、キャパシタを構成する導体層の面積を小さくすることができる。その結果、本実施の形態によれば、フィルタ装置1を小型化することができる。
また、本実施の形態では、インダクタL1~L4は、第1の誘電体層52~55に比べて比誘電率が小さい第2の誘電体層56~68に埋め込まれている。これにより、本実施の形態によれば、インダクタ間で容量が形成されることを抑制して、スプリアスの発生といった特性の劣化を抑制することができる。
また、本実施の形態では、第1の誘電体層52~55は、第2の誘電体層51と第2の誘電体層56との間に配置されている。すなわち、第1の誘電体層52~55と積層体50の底面50Aとの間には、比誘電率が小さい第2の誘電体層51が介在している。これにより、本実施の形態によれば、第1の誘電体層52~55と積層体50の底面50Aとの間に第1の誘電体層が介在している場合に比べて、フィルタ装置1が搭載される基板のグランドから受ける影響を抑制することができる。
また、本実施の形態では、温度によってフィルタ5の通過減衰特性が変化することを抑制することができることから、本実施の形態に係るフィルタ装置1は、通過帯域の下限である低域遮断周波数と、通過帯域の上限である高域遮断周波数が設定されるバンドパスフィルタであって、特に狭い通過帯域が求められるバンドパスフィルタに適している。通過帯域の幅は、10~600MHzの範囲内であってもよく、より狭い10~200MHzの範囲内であってもよい。
図16および図17は、通過帯域が950~1050MHzになるようにフィルタ5を設計したときの、フィルタ装置1の通過減衰特性の一例を示している。図17では、通過帯域の近傍の通過減衰特性を拡大して示している。図16および図17の各々において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明の積層型フィルタ装置は、バンドパスフィルタに限らず、周波数帯域の異なる2つの信号を分離するダイプレクサや、周波数帯域の異なる3つの信号を分離するトリプレクサ等の、複数のフィルタを含む積層型フィルタ装置全般に適用することができる。
また、請求の範囲の要件を満たす限り、本発明におけるフィルタ5および積層体50の構成は、実施の形態に示した例に限られず、任意である。例えば、積層体50は、第2の誘電体層68の上に配置された第1の誘電体層を含んでいてもよい。
1…フィルタ装置、2…第1のポート、3…第2のポート、5…フィルタ、50…積層体、50A…底面、50B…上面、50C~50F…側面、51,56~68…第2の誘電体層、52~55…第1の誘電体層、C1~C12…キャパシタ、L1~L4…インダクタ。
また、本発明の積層型フィルタ装置において、少なくとも1つのインダクタは、少なくとも1つの第2の導体層を用いて構成されていてもよい。
キャパシタC3の一端は、インダクタL1の他端に接続されている。キャパシタC4の一端は、キャパシタC3の他端に接続されている。キャパシタC5の一端は、キャパシタC4の他端に接続されている。キャパシタC6の一端は、キャパシタC5の他端に接続されている。
次に、図3ないし図6を参照して、積層体50を構成する複数の誘電体層および複数の導体層の一例について説明する。この例では、積層体50は、積層された18層の誘電体層を有している。以下、この18層の誘電体層を、下から順に1層目ないし18層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし18層目の誘電体層を符号51~68で表す。
キャパシタC4は、図4(b)および図4(c)に示した導体層552,561と、これらの導体層の間の誘電体層55とによって構成されている。キャパシタC5は、図4(b)および図4(c)に示した導体層552,562と、これらの導体層の間の誘電体層55とによって構成されている。キャパシタC6は、図4(a)および図4(c)に示した導体層545,562と、これらの導体層の間の誘電体層54,55とによって構成されている。
インダクタL1~L4は、第2の導体層である導体層671~673,681~683を用いて構成されている。また、インダクタL1~L4を構成するスルーホール56T1~56T8,57T1~57T8,59T1~59T8,60T1~60T8,67T1~67T8は、第2の誘電体層56~67に形成されている。これらのことから、インダクタL1~L4は、第2の誘電体層56~68に埋め込まれていると言える。
ここまでは、温度によるフィルタ5の通過減衰特性の変化について説明してきた。しかし、本実施の形態によれば、温度によって通過減衰特性以外のフィルタ5の特性が変化することを抑制することできる。図14は、実施例のフィルタ装置の第1のポート2の反射損失を示す特性図である。図15は、実施例のフィルタ装置の第2のポート3の反射損失を示す特性図である。図14および図15において、横軸は周波数を示し、縦軸は反射損失を示している。図14において、符号94は-40℃の場合における反射損失を示し、符号95は25℃の場合における反射損失を示し、符号96は90℃の場合における反射損失を示している。図15において、符号97は-40℃の場合における反射損失を示し、符号98は25℃の場合における反射損失を示し、符号99は90℃の場合における反射損失を示している。図14および図15から、実施例のフィルタ装置では、温度の変化に伴う反射損失の変化が小さいことが分かる。この結果から理解されるように、本実施の形態によれば、温度によって反射損失が変化することを抑制することができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタとを含むフィルタと、
    積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含み、前記少なくとも1つのインダクタと前記少なくとも1つのキャパシタを一体化するための積層体とを備えた積層型フィルタ装置であって、
    前記少なくとも1つのインダクタと前記少なくとも1つのキャパシタは、前記複数の導体層を用いて構成され、
    前記複数の誘電体層は、少なくとも1つの第1の誘電体層と、少なくとも1つの第2の誘電体層とを含み、
    前記複数の導体層は、前記少なくとも1つの第1の誘電体層に接する少なくとも1つの第1の導体層と、前記少なくとも1つの第2の誘電体層に接する少なくとも1つの第2の導体層とを含み、
    前記第1の誘電体層は、共振周波数の温度係数が正の値である第1の誘電体材料よりなり、
    前記第2の誘電体層は、共振周波数の温度係数が負の値である第2の誘電体材料よりなることを特徴とする積層型フィルタ装置。
  2. 前記積層体は、前記複数の誘電体層の積層方向の両端に位置する底面および上面と、前記底面と前記上面を接続する4つの側面とを有し、
    前記少なくとも1つの第1の誘電体層は、前記上面よりも前記底面により近い配置されていることを特徴とする請求項1記載の積層型フィルタ装置。
  3. 前記少なくとも1つの第2の誘電体層は、複数の第2の誘電体層であり、
    前記少なくとも1つの第1の誘電体層は、前記複数の第2の誘電体層のうちの1つと前記複数の第2の誘電体層のうちの他の1つとの間に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の積層型フィルタ装置。
  4. 前記少なくとも1つのキャパシタは、複数のキャパシタであり、
    前記少なくとも1つの第1の導体層は、複数の第1の導体層であり、
    前記複数のキャパシタのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの第1の誘電体層と、前記少なくとも1つの第1の誘電体層を挟むように配置された前記複数の第1の導体層のうちの2つとによって構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の積層型フィルタ装置。
  5. 前記少なくとも1つのインダクタは、前記第2の導体層を用いて構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の積層型フィルタ装置。
  6. 前記フィルタは、所定の通過帯域内の周波数の信号を選択的に通過させるバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の積層型フィルタ装置。
  7. 前記通過帯域の幅は、10~600MHzの範囲内であることを特徴とする請求項6記載の積層型フィルタ装置。
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