JP2019073409A - 塊状窒化ホウ素粉末の製造方法及びそれを用いた放熱部材 - Google Patents

塊状窒化ホウ素粉末の製造方法及びそれを用いた放熱部材 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導率および充填性に優れた窒化ホウ素粉末を提供する。【解決手段】累積破壊率63.2%時の粒子強度が5.0MPa以上、平均粒径が2μm以上20μm未満、X線回折から求められる配向性指数の値が20以下の特徴を有する、一次粒子が鱗片状の六方晶窒化ホウ素が凝集して塊状になった塊状窒化ホウ素微粉末を用意するステップと、累積破壊率63.2%時の粒子強度が5.0MPa以上、平均粒径が20μm以上100μm以下、X線回折から求められる配向性指数の値が10以下の、塊状窒化ホウ素微粉末を用意するステップと、窒化ホウ素微粉末と塊状窒化ホウ素粗粉末とを、塊状窒化ホウ素微粉末の含有割合が7質量%以上50質量%以下の範囲となるようにして混合し、塊状窒化ホウ素粉末を得るステップとを含む、塊状窒化ホウ素粉末の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、塊状窒化ホウ素(BN)粉末の製造方法及びその用途、ならびにそれを用いた放熱部材に関する。
パワーデバイス、トランジスタ、サイリスタ、CPU等の発熱性電子部品においては、使用時に発生する熱を如何に効率的に放熱するかが重要な課題となっている。従来から、このような放熱対策としては、(1)発熱性電子部品を実装するプリント配線板の絶縁層を高熱伝導化する、(2)発熱性電子部品又は発熱性電子部品を実装したプリント配線板を電気絶縁性の熱インターフェース材(Thermal Interface Materials)を介してヒートシンクに取り付ける、ことが一般的に行われてきた。プリント配線板の絶縁層及び熱インターフェース材としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂にセラミックス粉末を充填させたものが使用されている。
近年、発熱性電子部品内の回路の高速・高集積化、及び発熱性電子部品のプリント配線板への実装密度の増加に伴って、電子機器内部の発熱密度は年々増加している。そのため、従来にも増して高い熱伝導率を有するセラミックス粉末が求められてきている。
以上のような背景により、高熱伝導率、高絶縁性、比誘電率が低いこと等、電気絶縁材料として優れた性質を有している、六方晶窒化ホウ素(Hexagonal Boron Nitride)粉末が注目されている。
しかしながら、六方晶窒化ホウ素粒子は、面内方向(a軸方向)の熱伝導率が400W/(m・K)であるのに対して、厚み方向(c軸方向)の熱伝導率が2W/(m・K)であり、結晶構造と鱗片状に由来する熱伝導率の異方性が大きい。
さらに、六方晶窒化ホウ素粉末を樹脂に充填すると、粒子同士が同一方向に揃って配向する。そのため、例えば、熱インターフェース材の製造時に、六方晶窒化ホウ素粒子の面内方向(a軸方向)と熱インターフェース材の厚み方向が垂直になってしまい、六方晶窒化ホウ素粒子の面内方向(a軸方向)の高熱伝導率を十分に活かすことができなかった。
特許文献1では、六方晶窒化ホウ素粒子の面内方向(a軸方向)を高熱伝導シートの厚み方向に配向させたものが提案されており、六方晶窒化ホウ素粒子の面内方向(a軸方向)の高熱伝導率を活かすことができるとされている。しかし、(1)配向したシートを次工程にて積層する必要があり製造工程が煩雑になり易い、(2)積層・硬化後にシート状に薄く切断する必要があり、シートの厚みの寸法精度を確保することが困難という課題があった。また、六方晶窒化ホウ素粒子の形状が鱗片形状であるため、樹脂への充填時に粘度が増加し、流動性が悪くなるため、高充填が困難であった。
これらを改善するため、六方晶窒化ホウ素粒子の熱伝導率の異方性を抑制した種々の形状の窒化ホウ素粉末が提案されている。特許文献2では、一次粒子の六方晶窒化ホウ素粒子が同一方向に配向せずに凝集した窒化ホウ素粉末の使用が提案されており、熱伝導率の異方性が抑制できるとされている。またその他凝集窒化ホウ素を製造する方法として、スプレードライ(噴霧乾燥)法で作製した球状窒化ホウ素(特許文献3)や炭化ホウ素を原料として製造した凝集体の窒化ホウ素(特許文献4)やプレスと破砕を繰り返し製造した凝集窒化ホウ素(特許文献5)が知られている。
特開2000−154265号公報 特開平9−202663号公報 特開2014−40341号公報 特開2011−98882号公報 特表2007−502770号公報
しかし、上記の従来技術で作製した凝集粒子は粒子強度が低く、弱いせん断応力でも粒子がばらばらになってしまい、充填性また熱伝導が十分高いとはいえず、さらなる高放熱・高充填可能な塊状窒化ホウ素粉末が求められていた。
そこで、本発明は、充填性および熱伝導率に優れた窒化ホウ素粉末を提供することを主目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の圧壊強度および配向性指数を有する20μm以上100μm以下の塊状粒子(以下、「粗粉末」とも略記する)と2μm以上20μm未満の塊状粒子(以下、「微粉末」とも略記する)とを特定の配合比で組み合わせることで、得られる窒化ホウ素粉末の充填性および放熱性が向上することを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の実施形態では以下を提供できる。
[1]
以下の(A)〜(C)の特徴を有する、一次粒子が鱗片状の六方晶窒化ホウ素が凝集して塊状になった塊状窒化ホウ素微粉末を用意するステップと、
(A)前記塊状窒化ホウ素微粉末の塊状粒子における累積破壊率63.2%時の粒子強度が5.0MPa以上であること。
(B)前記塊状窒化ホウ素微粉末の平均粒径が2μm以上20μm未満であること。
(C)前記塊状窒化ホウ素微粉末のX線回折から求められる配向性指数の値が20以下であること。
以下の(D)〜(F)の特徴を有する、一次粒子が鱗片状の六方晶窒化ホウ素が凝集して塊状になった塊状窒化ホウ素粗粉末を用意するステップと、
(D)前記塊状窒化ホウ素粗粉末の塊状粒子における累積破壊率63.2%時の粒子強度が5.0MPa以上であること。
(E)前記塊状窒化ホウ素粗粉末の平均粒径が20μm以上100μm以下であること。
(F)前記塊状窒化ホウ素粗粉末のX線回折から求められる配向性指数の値が10以下であること。
前記塊状窒化ホウ素微粉末と前記塊状窒化ホウ素粗粉末とを、前記塊状窒化ホウ素微粉末の含有割合が7質量%以上50質量%以下の範囲となるようにして混合し、塊状窒化ホウ素粉末を得るステップと
を含む、塊状窒化ホウ素粉末の製造方法。
[2]
前記塊状窒化ホウ素微粉末の平均粒径を、前記塊状窒化ホウ素粗粉末の平均粒径で割った値が、0.07以上0.20以下である、[1]に記載の製造方法。
[3]
[1]または[2]に記載の製造方法により得られる塊状窒化ホウ素粉末を含む、放熱部材。
本発明の実施形態に係る製造方法により、充填性および熱伝導率に優れた塊状窒化ホウ素粉末を製造することができる。
本明細書における数値範囲は、別段の断わりがない限りは、上限値および下限値を含むものとする。本明細書における「部」または「%」は、特記しない限りは質量基準である。また本明細書における圧力の単位は、特記しないかぎりはゲージ圧であり、(G)または(gage)といった表記を省略していることに留意されたい。
<1.塊状窒化ホウ素微粉末>
塊状窒化ホウ素微粉末(以下、単に「微粉末」とも略記する)は、JIS R1639−5:2007に準拠して求められる粒子強度(単一顆粒圧壊強さ)が、累積破壊率63.2%時に5.0MPa以上である。粒子強度が5.0MPa未満では、樹脂との混練時やプレス時などに応力で凝集粒子が崩れてしまい、熱伝導率が低下する問題が発生する。当該粒子強度は、より好ましくは6.0MPa以上、さらに好ましくは7.0MPa以上とすることができる。なお「63.2%」とは、上記JIS R1639−5:2007が引用するJIS R1625:2010にて教示されている、ワイブル(Weibull)分布関数における lnln{1/(1-F(t))} = 0 を満たす値として知られているものであり、粒子の個数基準の値である。
また、微粉末の累積破壊率63.2%時の粒子強度の上限値は、特に制限はないが、例えば、30MPa以下、20MPa以下等になるように作製可能である。
微粉末の平均粒径は、2μm以上20μm未満である。当該平均粒径の下限として、より好ましくは4μm以上、さらに好ましくは5μm以上としてもよい。また当該平均粒径の上限として、より好ましくは18μm以下、さらに好ましくは17μm以下としてもよい。
この平均粒径が2μm未満と小さすぎる場合、熱伝導率と充填性が共に低下する問題が発生する恐れがある。また、この平均粒径が20μm以上と大きすぎると、後述する粗粉末と組み合わせた場合の効果が望めない。
微粉末の配向性指数はX線回折から求めることができ、その値は20以下であり、好ましくは19以下、より好ましくは18以下にもできる。
微粉末の配向性指数が20を超えて大きすぎる場合には、熱伝導率が低下する問題が生じる。微粉末の配向性指数の下限は特に制限はないが、一般に完全にランダムな場合でも6程度の値になると考えられる。
<2.塊状窒化ホウ素粗粉末>
塊状窒化ホウ素粗粉末(以下、単に「粗粉末」とも略記する)について、塊状粒子の累積破壊率63.2%時の粒子強度(定義は上述した微粉末のものと同様である)が5.0MPa以上である。この粒子強度が5.0MPa未満では、樹脂との混練時やプレス時などに応力で凝集粒子が崩れてしまい、熱伝導率が低下する恐れがある。また粗粉末の当該粒子強度は、より好ましくは6.0MPa以上、さらに好ましくは7.0MPa以上としてもよく、また上限値は特に制限はないが、例えば、30MPa以下、20MPa以下等となるようにしてもよい。
粗粉末の平均粒径は、20μm以上であり、より好ましく22μm以上、さらに好ましくは25μm以上であってもよい。また粗粉末の平均粒径が、好ましくは100μm以下、より好ましくは95μm以下、さらに好ましくは90μm以下であってもよい。
粗粉末の平均粒径が20μm未満の場合、上述の微粉末と組み合わせた際の効果が望めない。また粗粉末の平均粒径が100μm超と大きすぎる場合、樹脂と混ぜた後の成型ができない恐れがある。
粗粉末の配向性指数は、X線回折から求めることができ、その値は10以下であり、好ましくは9以下、より好ましくは8以下としてもよい。
粗粉末の配向性指数が10を超えて大きすぎると、熱伝導率が低下する。また配向性指数の下限は特に制限はないが、一般に完全にランダムな場合でも6程度の値になると考えられる。
<3.微粉末と粗粉末とを含んだ塊状窒化ホウ素粉末>
微粉末と粗粉末とを混合して塊状窒化ホウ素粉末を調製するにあたり、微粉末と粗粉末の合計を基準として、微粉末の含有割合が7質量%以上50質量%以下の範囲となるようにする。好ましくは、微粉末の含有割合を7質量%以上45質量%以下、より好ましくは10質量%以上40質量%以下にしてもよい。微粉末の割合が7質量%未満と少なすぎても、あるいは50質量%超と多すぎても、熱伝導率が低下する問題が発生する。
微粉末の平均粒径を粗粉末の平均粒径で割った値(微粉末の平均粒径/粗粉末の平均粒径の比率とも称する)は、0.07以上0.20以下が好ましく、より好ましくは0.08以上0.19以下にできる。当該比率が0.07未満の場合は、粒径差が大きすぎることにより充填性および熱伝導率向上の効果が見込めないという問題が発生する。当該比率が0.20超と大きすぎる場合は、粒径差が少ないことにより同様に充填性および熱伝導率向上の効果が見込めない。
本発明の実施形態に係る、微粉末と粗粉末とを所定の比率で含んだ塊状窒化ホウ素粉末は、好ましくは15W/(m・K)以上の熱伝導率を有することができる。このように高い熱伝導率を、凝集粒子の高い強度と併せ持つことにより、パワーデバイス等の発熱性電子部品の放熱部材の原料として好適に用いることができ、特にはプリント配線板の絶縁層及び熱インターフェース材の樹脂組成物に充填することで顕著な効果を奏することができる。
<4.窒化ホウ素微粉末の製造方法>
微粉末は、以下の手法(a)または手法(b)のいずれかによって製造可能である。
<手法(a)>
微粉末を製造するための手法(a)は、原料として炭素量18%以上21%以下かつ平均粒径5μm以上15μm以下の炭化ホウ素を用いる加圧窒化焼成工程、脱炭結晶化工程、および粉砕工程を含む。
<手法(a):加圧窒化焼成工程>
手法(a)における加圧窒化焼成工程では、炭素量18%以上21%以下かつ平均粒径が5μm以上15μm以下の炭化ホウ素を原料として使用する。この炭化ホウ素原料を、後述する特定の焼成温度及び加圧条件の雰囲気にて、加圧窒化焼成を行うことで、炭窒化ホウ素を得ることができる。
<手法(a)の加圧窒化焼成工程に使用する炭化ホウ素原料>
炭化ホウ素原料の平均粒径は、最終的に得られる塊状窒化ホウ素の平均粒径に影響するため、平均粒径5μm以上15μm以下である。炭化ホウ素原料には、不純物のホウ酸や遊離炭素が、不可避的なものを除いて含まれないか、または含まれるとしても少量であることが望ましい。
炭化ホウ素原料の平均粒径の下限値は、好ましくは6μm以上、より好ましくは8μm以上とすることができる。平均粒径が5μmより小さいと、生成される塊状粒子の配向性指数が大きくなってしまう問題が発生する。
炭化ホウ素の平均粒径の上限値は、好ましくは14μm以下、より好ましくは13μm以下とすることができる。平均粒径が15μmより大きくなると、生成される塊状粒子が大きくなりすぎ、粉砕を行っても粗大粒子が残りやすくなり好ましくない。また、そのような粗大粒子が完全になくなるまで粉砕を行うと、今度は配向性指数が大きくなってしまう問題も発生しやはり好ましくない。
前記加圧窒化焼成工程で使用する炭化ホウ素原料の炭素量は組成上のB4C(21.7%)より低いことが望ましく、好ましくは18.0%以上20.5%以下の範囲とすることができる。前記炭化ホウ素の炭素量の下限値は、好ましくは19%以上としてもよい。前記炭化ホウ素炭素量の上限値は、好ましくは20.5%以下としてもよい。炭素量が21%を超えて多すぎると、後述する脱炭結晶化工程の際に揮発する炭素量が多くなりすぎ、緻密な塊状窒化ホウ素が生成できず、また最終的にできる窒化ホウ素の炭素量が高くなりすぎる問題も発生するので好ましくない。また炭素量18%未満の安定な炭化ホウ素を作製することは理論組成との乖離が大きくなり過ぎて困難である。
前記炭化ホウ素の製造方法には、公知の製造方法を適用することができ、所望の平均粒径及び炭素量の炭化ホウ素を得ることができる。
例えば、ホウ酸とアセチレンブラックとを混合したのち、不活性ガス雰囲気中、1800〜2400℃にて、1〜10時間加熱し、炭化ホウ素塊を得ることができる。この炭化ホウ素塊を、粉砕後、篩分けし、洗浄、不純物除去、乾燥等を適宜行い、炭化ホウ素粉末を作製することができる。
炭化ホウ素の原料であるホウ酸とアセチレンブラックとの混合は、ホウ酸100質量部に対して、アセチレンブラック25〜40質量部であるのが好適である。
炭化ホウ素を製造する際の雰囲気は、不活性ガスが好ましく、不活性ガスとして、例えば、アルゴンガス及び窒素ガスが挙げられ、これらを適宜単独で又は組み合わせて使用することができる。このうち、アルゴンガスが好ましい。
また、炭化ホウ素塊の粉砕には、一般的な粉砕機又は解砕機を用いることができ、例えば0.5〜3時間程度粉砕を行うことで、適切な粒径を得ることができる。粉砕後の炭化ホウ素は、篩網を用いて粒径75μm以下に篩分けすることが好適である。
<手法(a)の加圧窒化焼成工程における各種条件>
前記加圧窒化焼成工程における焼成温度の下限値は、好ましくは1800℃以上、さらに好ましくは1900℃以上にできる。また、焼成温度の上限値は、好ましくは2400℃以下、より好ましくは2200℃以下である。当該焼成温度は、より好ましくは、1800〜2200℃である。
前記加圧窒化焼成工程における圧力の下限値は、好ましくは0.6MPa以上、より好ましくは0.7MPa以上である。また、圧力の上限は、好ましくは1.0MPaであり、さらに好ましくは0.9MPaである。当該圧力は、より好ましくは0.7〜1.0MPaである。
前記加圧窒化焼成工程における焼成温度及び圧力条件として、好ましくは、焼成温度1800℃以上で、かつ圧力0.7〜1.0MPaである。これは焼成温度1800℃で、圧力0.7MPa未満の場合、炭化ホウ素の窒化が十分進まないことがあるためである。また、工業的には1.0MPa以下で生産を行うほうが望ましい。
前記加圧窒化焼成工程における雰囲気としては、窒化反応が進行するガスが求められ、例えば、窒素ガス及びアンモニアガス等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらのうちでは窒化のしやすさとコストに鑑みて、窒素ガスが好適である。当該雰囲気中には少なくとも窒素ガス95%(V/V)以上が含まれていることが好ましく、99.9%(V/V)以上含まれていることがさらに好ましい。
前記加圧窒化焼成工程における焼成時間は、窒化が十分に進むものであれば限定されないが、好ましくは6〜30時間、より好ましくは8〜20時間とすることができる。
<手法(a):脱炭結晶化工程>
手法(a)における脱炭結晶化工程では、前記加圧窒化焼成工程にて得られた炭窒化ホウ素を、常圧以上の雰囲気にて、特定の昇温速度で保持温度になるまで昇温を行い、当該保持温度で一定時間保持する熱処理を行うことにより、一次粒子(一次粒子が鱗片状の六方晶窒化ホウ素)が凝集して塊状になった塊状窒化ホウ素粒子を得ることができる。この脱炭結晶化工程においては、炭窒化ホウ素を脱炭化させるとともに、所定の大きさの鱗片状にさせつつ、これらを凝集させて塊状の窒化ホウ素粒子とする。
脱炭結晶化工程における脱炭開始可能な温度とは、系に応じて設定可能な温度であるが、例えば1000〜1500℃の範囲、より好ましくは1000〜1200℃の範囲に設定することが可能である。また常圧以上の雰囲気とは、常圧(大気圧)でもよく、または加圧してもよいことを意味するが、加圧する場合には例えば0.5MPa以下、好ましくは0.3MPa以下としてもよい。
脱炭開始可能な温度に上昇させた後、保持温度へと昇温していく速度5℃/min(すなわち、摂氏度毎分)以下であり、好ましくは4℃/min以下、3℃/min以下、もしくは2℃/min以下としてもよい。
上述の昇温後の保持温度は1800℃以上が好ましく、さらに好ましくは2000℃以上としてもよい。また保持温度の上限値は特に限定されないが、好ましくは2200℃以下、より好ましくは2100℃以下にできる。保持温度が1800℃未満と低すぎると、粒成長が十分に起こらず、熱伝導率が低下する場合がある。一方保持温度が1800℃以上であると、粒成長が良好に起こりやすく、熱伝導率が向上しやすいという効果を奏することができる。
保持温度における保持時間は、結晶化が十分に進むものであれば特に限定はされず、好ましい実施形態においては例えば、0.5時間超え40時間未満の範囲、より好ましくは1〜30時間の範囲とすることができる。また保持時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは5時間以上、さらにより好ましくは10時間以上としてもよい。また保持時間の上限値は、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下にしてもよい。保持時間が1時間以上の場合は粒成長が良好に起こることが期待され、また保持時間が30時間以下であると、粒成長が進みすぎて粒子強度が低下することを低減でき、また、焼成時間が長いことで工業的にも不利になることも低減できると期待できる。
前記脱炭結晶化工程においては原料として、前記加圧窒化焼成工程で得られた炭窒化ホウ素に加えて、ホウ素源を混合して脱炭結晶化を行う。当該ホウ素源としては、ホウ酸、酸化ホウ素、またはその混合物(とさらに、必要に応じて他の当該技術分野で用いられる添加物)が挙げられる。
前記炭窒化ホウ素とホウ素源との混合割合は、モル比に応じて適切に設定可能である。ホウ素源としてホウ酸もしくは酸化ホウ素を使う場合には例えば、炭窒化ホウ素100質量部に対してホウ酸・酸化ホウ素100〜300質量部、より好ましくはホウ酸・酸化ホウ素150〜250質量部を用いることができる。
<手法(a):粉砕工程>
前記加圧窒化焼成工程及び前記脱炭結晶化工程を経て、鱗片状窒化ホウ素粒子(一次粒子)が凝集した塊状粒子を得ることができる。本実施形態により得られるこの塊状粒子は粒子強度が高いため、粉砕後の平均粒径が2μm以上20μm未満の微粉末となるように粉砕しても、その塊状形態および低い配向性指数を維持できるという効果を奏する。
粉砕工程においては、一般的な粉砕機または解砕機を使用することができ、例えばボールミル、振動ミル、ジェットミル等が挙げられる。なお本明細書においては、「粉砕」には「解砕」も含むものとする。
<手法(b)>
微粉末を製造するための手法(b)は、気相反応工程、結晶化工程、および粉砕工程を含む。
<手法(b):気相反応工程>
気相反応工程では、ホウ酸アルコキシドとアンモニアガスとを原料とし、所定の反応温度において気相合成を行うことにより、中間体を得ることができる。気相反応工程では、管状炉(炉温度すなわち気相反応温度としては750℃以上が好ましく、750〜1,600℃とすることがより好ましい)を用いることができ、キャリアガスとして不活性ガス気流を使い、当該不活性ガス気流中でホウ酸アルコキシドを揮発させることによってアンモニアガスとの気相反応を起こさせることができる。
前記不活性ガス気流としては例えば、窒素ガス、希ガス(ネオン及びアルゴン等)等が挙げられる。
ホウ酸アルコキシドとアンモニアとの反応時間は、得られる窒化ホウ素粉末の平均粒径を所定の範囲にするため、30秒以内とすることが好ましい。
前記ホウ酸アルコキシドは、特に限定されない。好ましい実施形態においてはホウ酸アルコキシドとして、「アルコキシド(RO−)」の「アルキル基(R)」がそれぞれ独立に、直鎖又は分岐のアルキル鎖であって炭素数1〜5であるものが好ましい。ホウ酸アルコキシドの具体例としては例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリイソプロピル等が挙げられる。このうち、アンモニアとの反応性及び入手性からはホウ酸トリメチルが好ましい。
気相反応工程で使用するホウ酸アルコキシド:アンモニアのモル比は、窒化ホウ素粉末の平均粒径を所定の範囲にするため、好ましくは1:1〜10の範囲とすることができ、より好ましくは1:1〜2にできる。
<手法(b):結晶化工程>
結晶化工程では、気相反応工程で得られた中間体を鱗片状窒化ホウ素にする。結晶化工程の温度条件では、昇温を開始してから1000℃まではアンモニアガス20体積%以下、より好ましくは15体積%以下を含むアンモニア雰囲気下で昇温することができる。当該アンモニア雰囲気にはその他のガスとして不活性ガスが含まれ、好ましくは窒素またはアルゴンを含めることができる。
1000℃に達した後からのさらなる昇温は、酸素量の低減および収率の最大化の観点から、アンモニアガス50体積%以上を含むアンモニア雰囲気下で、焼成温度に達するまで行う。当該焼成温度は1500℃以上が好ましく、より好ましくは1600℃以上、さらに好ましくは1700℃以上にできる。当該アンモニア雰囲気にはその他のガスとして不活性ガスが含まれ、窒素が好適である。当該焼成温度における保持時間としては、1〜20時間が好ましい。
<手法(b):粉砕工程>
上記の気相合成工程及び結晶化工程を経て得られた鱗片状窒化ホウ素粉末は、高い粒子強度を有しているため、上述した平均粒径を有するようにして二次粒子(凝集粒子)を粉砕しても、依然として塊状形態および低い配向性指数を維持することが可能である。したがって手法(a)と同様に粉砕工程を行うことができる。
<5.窒化ホウ素粗粉末の製造方法>
粗粉末は、以下の手法(c)、または公知のスプレードライ法によっても製造可能である。
<手法(c)>
粗粉末を製造するための手法(c)は、原料として炭素量18%以上21%以下かつ平均粒径6μm以上55μm以下の炭化ホウ素を用いる加圧窒化焼成工程、および脱炭結晶化工程を含む。
<手法(c):加圧窒化焼成工程>
原料として平均粒径が6μm以上55μm以下かつ炭素量18%以上21%以下の炭化ホウ素を用いること以外は、手法(a)の加圧窒化焼成工程と同様に行い、炭窒化ホウ素を得ることができる。
<手法(c):脱炭結晶化工程>
上記の加圧窒化焼成工程で得られる炭窒化ホウ素を用いることを除き、手法(a)の脱炭結晶化工程と同様に行うことで、粗粉末を得ることができる。
手法(c)は、必須ではないが、要すれば手法(a)と同様の粉砕工程をさらに含んでいてもよい。
<6.熱伝導樹脂組成物>
本発明の或る実施形態によれば、上述した塊状窒化ホウ素粉末を含めるようにして用い、熱伝導樹脂組成物を製造することもできる。この熱伝導樹脂組成物の製造方法は、公知の製造方法を用いることができる。得られた熱伝導樹脂組成物は、放熱部材等に幅広く使用することができる。
<樹脂>
熱伝導樹脂組成物に使用する樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアミド(例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等)、ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン)樹脂等を用いることができる。特にエポキシ樹脂(好適にはナフタレン型エポキシ樹脂)は、耐熱性と銅箔回路への接着強度が優れていることから、プリント配線板の絶縁層として好適である。また、シリコーン樹脂は耐熱性、柔軟性及びヒートシンク等への密着性が優れていることから熱インターフェース材として好適である。
エポキシ樹脂を用いる場合の硬化剤としては、具体的には、フェノールノボラック樹脂、酸無水物樹脂、アミノ樹脂、イミダゾール類が挙げられる。このうち、イミダゾール類が好ましい。硬化剤の配合量は、0.5質量部以上15質量部以下が好ましく、さらに好ましくは1.0質量部以上10質量部以下である。
熱伝導樹脂組成物100体積%中の塊状窒化ホウ素粉末の使用量は、30体積%以上85体積%以下が好ましく、40体積%以上80体積%以下がより好ましい。塊状窒化ホウ素粉末の量が30体積%以上の場合、熱伝導率が向上し、十分な放熱性能が得られやすい。また、塊状窒化ホウ素粉末の量が85体積%以下の場合、成形時に空隙が生じやすくなることを低減でき、絶縁性や機械強度が低下することを低減できる。
各種測定方法は、以下の通りである。
(1)平均粒径
平均粒径は、ベックマンコールター社製レーザー回折散乱法粒度分布測定装置(LS−13 320)を用いて、測定処理の前に試料にホモジナイザーをかけずに測定した。また、得られた平均粒径は体積統計値による平均粒径である。
(2)粒子強度
JIS R1639−5:2007に準じて測定を実施した。測定装置としては、微小圧縮試験器(島津製作所社製「MCT−W500」)を用いた。粒子強度(σ:単位MPa)は、粒子内の位置によって変化する無次元数(α=2.48)と圧壊試験力(P:単位N)と粒子径(d:単位μm)からσ=α×P/(π×d2)の式を用いて20粒子以上で測定を行い、累積破壊率63.2%の時点での値を算出した。なお、平均粒径が2μm未満では、粒径が小さすぎるため粒子強度の算出が不可であった。
(3)配向度測定
配向度の測定にはX線回折装置(リガク社製ULTIMA−IV)を用いた。微粉末と粗粉末のそれぞれを、固めて試料を作成し、試料にX線を照射して窒化ホウ素の(002)面と(100)面のピーク強度比(002)/(100)を算出して評価した。
(4)熱伝導率評価法
熱伝導率は、微粉末と粗粉末とを有する塊状窒化ホウ素粉末を含んだ熱伝導樹脂組成物から作成したシートを測定用試料として、測定を行った。熱伝導率(H:単位W/(m・K))は、熱拡散率(A:単位m2/sec)と密度(B:単位kg/m3)、比熱容量(C:単位J/(kg・K))から、H=A×B×Cとして、算出した。熱拡散率は、測定用試料としてシートを幅10mm×10mm×厚み0.5mmに加工し、レーザーフラッシュ法により求めた。測定装置はキセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製「LFA447NanoFlash」)を用いた。密度はアルキメデス法を用いて求めた。比熱容量は、DSC(リガク社製「ThermoPlus Evo DSC8230」)を用いて求めた。熱伝導率の合格値は15W/(m・K)以上とした。
(5)炭素量測定
炭化ホウ素の炭素量は炭素/硫黄同時分析計「IR-412型」(LECO社製)にて測定した。
以下、本発明について、実施例及び比較例により、詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
実施例1は、以下のように、窒化ホウ素粉末を合成し、樹脂に充填した。
<微粉末合成(平均粒径2μm以上20μm未満)>
(炭化ホウ素合成)
日本電工製オルトホウ酸(以下、「ホウ酸」とも略記する)100部と、デンカ株式会社製アセチレンブラック(商品名HS100)35部とをヘンシェルミキサーを用いて混合したのち、黒鉛製のルツボ中に充填し、アーク炉にて、アルゴン雰囲気で、2200℃にて5時間加熱し炭化ホウ素(B4C)を合成した。合成した炭化ホウ素塊をボールミルで1時間40分粉砕し、篩網を用いて粒径75μm以下に篩分け、更に硝酸水溶液で洗浄して鉄分等不純物を除去後、濾過・乾燥して平均粒径10μmの炭化ホウ素粉末を作製した。得られた炭化ホウ素粉末の炭素量は19.9%であった。
(加圧窒化焼成工程)
合成した炭化ホウ素を窒化ホウ素製のルツボに充填した後、抵抗加熱炉を用い、窒素ガス雰囲気下で、2000℃、9気圧(0.8MPa)の条件で10時間加熱することにより炭窒化ホウ素(B4CN4)を得た。
(脱炭結晶化工程)
合成した炭窒化ホウ素100部と、ホウ酸100部とをヘンシェルミキサーを用いて混合したのち、窒化ホウ素製のルツボに充填し、抵抗加熱炉を用い0.3MPaの圧力条件で、窒素ガスの雰囲気で、室温から1000℃までの昇温速度を10℃/min、1000℃からの昇温速度を2℃/minとして、保持温度2000℃まで昇温した。当該保持温度2000℃にて、保持時間5時間で加熱することにより、一次粒子が凝集して塊状になった塊状窒化ホウ素を合成した。
(粉砕工程)
合成した塊状窒化ホウ素をヘンシェルミキサーにより解砕をおこなった後、篩網を用いて、篩目850μmのナイロン篩にて分級を行った。その後、ジェットミル(第一実業社製PJM−80)にて0.3MPaの粉砕条件にて粉砕を行い、塊状窒化ホウ素の微粉末を得た。
<粗粉末合成(平均粒径20μm以上100μm以下)>
(炭化ホウ素合成)
日本電工製オルトホウ酸(以下、「ホウ酸」とも略記する)100部と、デンカ株式会社製アセチレンブラック(商品名HS100)35部とをヘンシェルミキサーを用いて混合したのち、黒鉛製のルツボ中に充填し、アーク炉にて、アルゴン雰囲気で、2200℃にて5時間加熱し炭化ホウ素(B4C)を合成した。合成した炭化ホウ素塊をボールミルで40分粉砕し、篩網を用いて粒径75μm以下に篩分け、更に硝酸水溶液で洗浄して鉄分等不純物を除去後、濾過・乾燥して平均粒径33μmの炭化ホウ素粉末を作製した。得られた炭化ホウ素粉末の炭素量は20.0%であった。
(加圧窒化焼成工程)
合成した炭化ホウ素を窒化ホウ素製のルツボに充填した後、抵抗加熱炉を用い、窒素ガスの雰囲気で、2000℃、9気圧(0.8MPa)の条件で10時間加熱することにより炭窒化ホウ素(B4CN4)を得た。
(脱炭結晶化工程)
合成した炭窒化ホウ素100部と、ホウ酸200部とをヘンシェルミキサーを用いて混合したのち、窒化ホウ素製のルツボに充填し、抵抗加熱炉を用い0.3MPaの圧力条件で、窒素ガス雰囲気下で、室温から1000℃までの昇温速度を10℃/min、1000℃からの昇温速度を2℃/minとして、保持温度2000℃まで昇温し、当該保持温度2000℃にて保持時間10時間で加熱することにより、一次粒子が凝集して塊状になった塊状窒化ホウ素を合成した。
合成した塊状窒化ホウ素を乳鉢により10分解砕をおこなった後、篩網を用いて、篩目95μmのナイロン篩にて分級を行った。焼成物を解砕及び分級することより、一次粒子が凝集して塊状になった塊状窒化ホウ素から成る窒化ホウ素粉末を得た。
このようにして得られた窒化ホウ素の微粉末と粗粉末を、表1に記載の割合にて配合をおこない、実施例1に係る塊状窒化ホウ素粉末を得た。
<樹脂への充填>
得られた塊状窒化ホウ素粉末の樹脂への充填材としての特性を評価するため、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製、商品名HP4032)100部と硬化剤としてイミダゾール類(四国化成社製、商品名2E4MZ−CN)10部の混合物を100体積%として、塊状窒化ホウ素粉末が55体積%となるように混合し、PET製シートの上に厚みが1.0mmになるように塗布した後、500Paの減圧脱泡を10分間行った。その後、温度150℃、圧力160kg/cm2条件で60分間のプレス加熱加圧を行って0.5mmのシートとした。
下記の表1および表2に、他の実施例・比較例と併せて測定値と評価をまとめた。なお当該表中では、混合後のスラリーの流動性が悪く、塗布ができない場合は、「充填不可」とした。
〔実施例2〕
実施例2では以下のように、気相反応工程を含む手法(b)に則って微粉末を合成した。
(気相反応)
炉心管を抵抗加熱炉に設置し温度1000℃に加熱した。ホウ酸トリメチル(多摩化学株式会社製「TMB−R」)を窒素バブリングにより導入管を通して炉心管に導入し、一方、アンモニアガス(純度99.9%以上)も、導入管を経由して炉心管に導入した。導入されたホウ酸トリメチルとアンモニアはモル比1:1.2で、炉内で気相反応し、反応時間10秒で合成することにより白色粉末を生成した。生成した白色粉末を回収した。
(結晶化工程)
回収した白色粉末を窒化ホウ素製ルツボに充填し、誘導加熱炉にセットした後、窒素とアンモニア混合雰囲気で、温度1000℃までは、10体積%アンモニアガスを含んだ雰囲気下にて昇温し、1000℃以上では50体積%アンモニアガスを含んだ雰囲気下にて、保持温度である1800℃まで昇温し、当該保持温度で5時間加熱し、焼成終了後、冷却し、焼成物を回収した。
(粉砕工程)
合成した塊状窒化ホウ素をヘンシェルミキサーにより解砕をおこなった後、篩網を用いて、篩目850μmのナイロン篩にて分級を行った。その後、ジェットミル(第一実業社製PJM−80)にて0.3MPaの粉砕条件にて粉砕を行い、塊状窒化ホウ素微粉末を得た。
粗粉末は、炭化ホウ素合成時の粉砕を1時間にし、「平均粒径20μmの炭化ホウ素(炭素量19.9%)」を合成して原料としたこと以外は、実施例1と同様の条件で調製した。
実施例1と同様に、樹脂への充填を行った。
〔実施例3〕
実施例3は窒化ホウ素微粉末用の炭化ホウ素合成時の粉砕時間を1時間20分に変更し、「平均粒径14μmの炭化ホウ素」を合成したこと以外は実施例1と同様の条件で微粉末を製造し、かつ窒化ホウ素粗粉末用の炭化ホウ素合成時の粉砕時間を20分にし「平均粒径45μmの炭化ホウ素」を合成したこと以外は実施例1と同様の条件で行った。実施例1と同様に、樹脂への充填を行った。
〔実施例4〕
実施例4では、窒化ホウ素微粉末のジェットミル粉砕圧を0.5MPaにしたこと以外は実施例2と同様の条件で微粉末を調製した。また窒化ホウ素粗粉末用の炭化ホウ素合成時の粉砕時間を1時間40分にし「平均粒径10μmの炭化ホウ素」を合成したこと以外は実施例1と同様の条件で、粗粉末を調製した。実施例1と同様に、樹脂への充填を行った。
〔実施例5〕
実施例5では、窒化ホウ素粗粉末の合成方法としてスプレードライによる造粒をおこなった。すなわち、酸素含有量が2.4%、BN純度96.3%、及び平均粒径が3.8μmであるアモルファス窒化ホウ素粉末、酸素含有量が0.1%、BN純度98.8%、及び平均粒径が12.8μmである六方晶窒化ホウ素粉末、炭酸カルシウム(白石工業社製「PC−700」)、及び水を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した後、ボールミルで粉砕し、水スラリーを得た。さらに、水スラリー100質量部に対して、ポリビニルアルコール樹脂(日本合成化学社製「ゴーセノール」)を0.5質量部添加し、溶解するまで50℃で加熱撹拌した後、噴霧乾燥機にて乾燥温度230℃で球状化処理を行った。なお、噴霧乾燥機の球状化装置としては、回転式アトマイザーを使用した。得られた処理物をバッチ式高周波炉にて焼成した後、焼成物に解砕及び分級処理を行い、粗粉末を得た。その原料配合割合は、アモルファス窒化ホウ素15質量%、六方晶窒化ホウ素6質量%、炭酸カルシウム1質量%、水78%とし、ボールミル粉砕時間は5時間とし、噴霧乾燥条件はアトマイザー回転数7000ppm、焼成温度1850℃、5時間とした。
微粉末は実施例1と同様の条件で調製した。実施例1と同様に、樹脂への充填を行った。
〔実施例6および7〕
実施例6および7は、微粉末と粗粉末の配合割合を変更した以外は実施例1と同様の条件で行った。実施例1と同様に樹脂への充填を行った。
〔実施例8〕
実施例8は、窒化ホウ素微粉末用の炭化ホウ素合成時の粉砕を1時間20分に変更し、「平均粒径14μmの炭化ホウ素(炭素量19.8%)」を合成し、凝集窒化ホウ素をジェットミル粉砕圧0.5MPaにて粉砕したこと以外は、実施例1と同様の条件で行った。実施例1と同様に、樹脂への充填を行った。
〔実施例9〕
実施例9は、窒化ホウ素微粉末の製造において、1000℃からの昇温速度を0.5℃/minで昇温をしたこと以外は実施例1と同様の条件で行った。実施例1と同様に、樹脂への充填を行った。
〔比較例1〕
比較例1は、窒化ホウ素微粉末を用いなかったこと以外は実施例1と同様の条件で行った。
〔比較例2〕
比較例2は、窒化ホウ素微粉末を用いなかったこと以外は実施例2と同様の条件で行った。
〔比較例3〕
比較例3は、窒化ホウ素微粉末用の炭化ホウ素合成時の粉砕を5時間に変更し、「平均粒径2μmの炭化ホウ素炭素量(19.3%)」を合成し凝集窒化ホウ素を合成したこと以外は実施例1と同様の条件で行った。
〔比較例4〕
比較例4は、窒化ホウ素微粉末用の炭化ホウ素合成時の粉砕時間を45分に変更し、「平均粒径25μmの炭化ホウ素(炭素量19.6%)」を合成したこと以外は実施例3と同様の条件で行った。
〔比較例5〕
比較例5は、窒化ホウ素粗粉末用の炭化ホウ素合成時の粉砕時間を10分に変更し、「平均粒径70μmの炭化ホウ素(炭素量19.8%)」を合成したこと以外は実施例1と同様の条件で行った。
〔比較例6〕
比較例6は、窒化ホウ素微粉末用の炭化ホウ素合成時の粉砕時間を45分に変更し、「平均粒径25μmの炭化ホウ素(炭素量20.0%)」を合成し、ジェットミル粉砕圧を0.5MPaにし、粗粉がなくなるまで粉砕したこと以外は実施例1と同様の条件で行った。
〔比較例7〕
比較例7は、窒化ホウ素微粉末の製造において1000℃からの昇温速度を10℃/minで昇温した以外は実施例1と同様の条件で行った。
〔比較例8および9〕
比較例8および9は、微粉末と粗粉末の配合割合を変更した以外は実施例1と同様の条件で行った。
Figure 2019073409
Figure 2019073409
本発明は、特に好ましくは、プリント配線板の絶縁層及び熱インターフェース材の樹脂組成物に充填される、熱伝導率に優れた塊状窒化ホウ素粉末とそれを用いた熱伝導樹脂組成物を提供でき、パワーデバイスなどの発熱性電子部品の放熱部材の原料として好適に用いることができ、また放熱部材などにも幅広く使用することができる。

Claims (3)

  1. 以下の(A)〜(C)の特徴を有する、一次粒子が鱗片状の六方晶窒化ホウ素が凝集して塊状になった塊状窒化ホウ素微粉末を用意するステップと、
    (A)前記塊状窒化ホウ素微粉末の塊状粒子における累積破壊率63.2%時の粒子強度が5.0MPa以上であること。
    (B)前記塊状窒化ホウ素微粉末の平均粒径が2μm以上20μm未満であること。
    (C)前記塊状窒化ホウ素微粉末のX線回折から求められる配向性指数の値が20以下であること。
    以下の(D)〜(F)の特徴を有する、一次粒子が鱗片状の六方晶窒化ホウ素が凝集して塊状になった塊状窒化ホウ素粗粉末を用意するステップと、
    (D)前記塊状窒化ホウ素粗粉末の塊状粒子における累積破壊率63.2%時の粒子強度が5.0MPa以上であること。
    (E)前記塊状窒化ホウ素粗粉末の平均粒径が20μm以上100μm以下であること。
    (F)前記塊状窒化ホウ素粗粉末のX線回折から求められる配向性指数の値が10以下であること。
    前記塊状窒化ホウ素微粉末と前記塊状窒化ホウ素粗粉末とを、前記塊状窒化ホウ素微粉末の含有割合が7質量%以上50質量%以下の範囲となるようにして混合し、塊状窒化ホウ素粉末を得るステップと
    を含む、塊状窒化ホウ素粉末の製造方法。
  2. 前記塊状窒化ホウ素微粉末の平均粒径を、前記塊状窒化ホウ素粗粉末の平均粒径で割った値が、0.07以上0.20以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られる塊状窒化ホウ素粉末を含む、放熱部材。
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