JP2023144293A - 凝集窒化ホウ素粒子、窒化ホウ素粉末及び複合体 - Google Patents

凝集窒化ホウ素粒子、窒化ホウ素粉末及び複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性を良好にできるとともに、その樹脂組成物を成形して得られた窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体の熱伝導率を高くすることができる凝集窒化ホウ素粒子、その凝集窒化ホウ素粒子を含む窒化ホウ素粉末、及びその窒化ホウ素粉末及び樹脂を含む複合体を提供する。【解決手段】本発明は窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子であって、窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ(T)に対する面方向の最大長さ(長軸の長さ)(F)のアスペクト比(F/T)が5.0以下であり、窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並んでいる。本発明の窒化ホウ素粉末は本発明の凝集窒化ホウ素粒子を含む。本発明は本発明の窒化ホウ素粉末及び樹脂を含む樹脂組成物を硬化してなる複合体であり、窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並んでいる凝集窒化ホウ素粒子の内部が樹脂により充填されている。【選択図】図2

Description

本発明は凝集窒化ホウ素粒子、その凝集窒化ホウ素粒子を含む窒化ホウ素粉末及びその窒化ホウ素粉末及び樹脂を含む複合体に関する。
パワーデバイス、トランジスタ、サイリスタ、及びCPU等の発熱性電子部品においては、使用時に発生する熱を如何に効率的に放熱するかが重要な課題となっている。従来から、このような放熱対策としては、(1)発熱性電子部品を実装するプリント配線板の絶縁層を高熱伝導化すること、又は(2)発熱性電子部品又は発熱性電子部品を実装したプリント配線板を電気絶縁性の熱インターフェース材(Thermal Interface Materials)を介してヒートシンクに取り付けることが一般的に行われてきた。プリント配線板の絶縁層及び熱インターフェース材としては、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂に対してセラミックス粉末を充填させた樹脂組成物が使用されている。
近年、発熱性電子部品内の回路の高速化、高集積化、及び発熱性電子部品のプリント配線板への実装密度の増加に伴って、電子機器内部の発熱密度は年々増加している。そのため、従来にも増して高い熱伝導率を有するセラミックス粉末が求められてきている。
以上のような背景の中で、高熱伝導率、高絶縁性、及び低比誘電率等の電気絶縁材料として優れた性質を有している、六方晶窒化ホウ素(Hexagonal Boron Nitride)粉末が注目されている。
しかし、六方晶窒化ホウ素粒子は、面内方向(a軸方向)の熱伝導率が400W/(m・K)であるのに対して、厚み方向(c軸方向)の熱伝導率が2W/(m・K)であり、結晶構造と鱗片状に由来する熱伝導率の異方性が大きい。さらに、六方晶窒化ホウ素粉末は樹脂に充填すると、粒子同士が同一方向に揃って配向する。
そのため、六方晶窒化ホウ素粒子の厚さを大きくして、六方晶窒化ホウ素粒子のアスペクト比を小さくすることが試みられていた。そのような六方晶窒化ホウ素粒子として、例えば、特許文献1に記載されている六方晶窒化ホウ素単結晶が従来技術として知られている。特許文献1に記載されている六方晶窒化ホウ素単結晶は、フラックス法により製造され、結晶c軸方向の最大厚さ/ 結晶ab面の最大幅、で定義されるアスペクト比が0.3以上である。
特開2016-141600号公報
特許文献1の段落0015には、特許文献1に記載の六方晶窒化ホウ素単結晶の結晶ab面の最大幅が、通常200μm以下であり、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下であることが記載されている。しかし、特許文献1では、結晶ab面の最大幅が10μm程度の大きな六方晶窒化ホウ素単結晶を、実際には作製できておらず、六方晶窒化ホウ素単結晶の結晶ab面の最大幅は100~500nm(0.1~0.5μm)であった。このような細かい六方晶窒化ホウ素単結晶と樹脂とを混合して樹脂組成物を作製すると、樹脂組成物の流動性が悪くなり、その結果、樹脂組成物の成形性が悪くなる。
そこで、本発明は、樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性を良好にできるとともに、その樹脂組成物を成形して得られた窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体の熱伝導率を高くできる凝集窒化ホウ素粒子、その凝集窒化ホウ素粒子を含む窒化ホウ素粉末、及びその窒化ホウ素粉末及び樹脂を含む複合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を進めたところ、窒化ホウ素一次粒子を曲面方向に並んで凝集させることにより、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づくものであり、以下を要旨とする。
[1]窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子であって、前記窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ(T)に対する面方向の最大長さ(長軸の長さ)(F)のアスペクト比(F/T)が5.0以下であり、前記窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並ぶ凝集窒化ホウ素粒子。
[2]平均粒子径が5~20μmである上記[1]に記載の凝集窒化ホウ素粒子。
[3]前記曲面が閉曲面である上記[1]又は[2]に記載の凝集窒化ホウ素粒子。
[4]前記窒化ホウ素一次粒子の前記長軸の長さが1.0μm以上である上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の凝集窒化ホウ素粒子。
[5]請求項1~4のいずれか1項に記載の凝集窒化ホウ素粒子を含む窒化ホウ素粉末。
[6]レーザー回折散乱法により測定した粒度分布の50体積%の累積頻度の粒子径(D50)が5.0μm以上である上記[5]に記載の窒化ホウ素粉末。
[7]レーザー回折散乱法により測定した粒度分布の10体積%の累積頻度の粒子径(D10)が1.5μm以上である上記[5]又は[6]に記載の窒化ホウ素粉末。
[8]レーザー回折散乱法により測定した粒度分布の1.0μmまでの累積頻度が3体積%以下である上記[5]~[7]のいずれか1つに記載の窒化ホウ素粉末。
[9]上記[5]~[8]のいずれか1つに記載の窒化ホウ素粉末及び樹脂を含む樹脂組成物を硬化してなる複合体であり、前記窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並んでいる凝集窒化ホウ素粒子の内部が樹脂により充填されている複合体。
本発明によれば、樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性を良好にできるとともに、その樹脂組成物を成形して得られた窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体の熱伝導率を高くすることができる凝集窒化ホウ素粒子、その凝集窒化ホウ素粒子を含む窒化ホウ素粉末、及びその窒化ホウ素粉末及び樹脂を含む複合体を提供することができる。
図1は、非晶質窒化ホウ素のX線回折パターンを示す図である。 図2は、実施例1の窒化ホウ素粉末中の凝集窒化ホウ素粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 図3は、比較例1の窒化ホウ素粉末中の凝集窒化ホウ素粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
[凝集窒化ホウ素粒子]
本発明の凝集窒化ホウ素粒子は、窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子であり、窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ(T)に対する面方向の最大長さ(長軸の長さ)(F)のアスペクト比(F/T)が5.0以下であり、窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並んでいる。
本発明の凝集窒化ホウ素粒子における窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ(T)に対する面方向の最大長さ(長軸の長さ)(F)のアスペクト比(F/T)は5.0以下である。窒化ホウ素一次粒子のアスペクト比(F/T)が5.0よりも大きいと、窒化ホウ素一次粒子を曲面に沿って並ばせることが難しくなる。その結果、アスペクト比が大きく凝集していない一次粒子が多くなり、それらを含む窒化ホウ素粉末は配向しやすくなる。そして、窒化ホウ素粉末と樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、その樹脂組成物を成形して得られた、窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体中の窒化ホウ素粉末が配向してしまい、複合体の熱伝導率が低くなる場合がある。このような観点から、本発明の凝集窒化ホウ素粒子における窒化ホウ素一次粒子のアスペクト比(F/T)は、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.0以下である。また、本発明の凝集窒化ホウ素粒子における窒化ホウ素一次粒子のアスペクト比(F/T)の範囲の下限値は特に限定されないが、通常は0.5であり、好ましくは1.0である。なお、本発明の凝集窒化ホウ素粒子の窒化ホウ素一次粒子における厚さ方向の長さ(T)及び面方向の最大長さ(長軸の長さ)は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の凝集窒化ホウ素粒子の窒化ホウ素一次粒子における長軸の長さ(F)は、好ましくは1.0μm以上である。窒化ホウ素一次粒子における長軸の長さ(F)が1.0μm以上であると、一次粒子間の界面が減ることで、より高熱伝導率が得られる。(一次粒子が長いと曲面に並びにくくなっております。)このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末の長軸の長さ(F)は、より好ましくは1.2μm以上であり、さらに好ましくは1.5μm以上である。本発明の窒化ホウ素粉末の長軸の長さ(F)の範囲の上限値は、特に限定されないが、通常10μmであり、好ましくは5μmである。なお、窒化ホウ素粉末の長軸の長さ(F)は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
上述したように、本発明の凝集窒化ホウ素粒子における窒化ホウ素一次粒子は、曲面に沿って並んでいる。窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並んでいないと、本発明の凝集窒化ホウ素粒子を含む窒化ホウ素粉末を樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性が悪くなる場合がある。そして、その樹脂組成物を成形して得られた、窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体における窒化ホウ素粉末の充填性が悪くなり、複合体の熱伝導率が低くなる場合がある。
窒化ホウ素一次粒子は閉曲面に沿って並んでいることが好ましい。窒化ホウ素一次粒子が閉曲面に沿って並んでいると、本発明の凝集窒化ホウ素粒子を含む窒化ホウ素粉末を樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性をさらに改善することができる。そして、その樹脂組成物を成形して得られた、窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体における窒化ホウ素粉末の充填性がさらに高くなり、複合体の熱伝導率が高くなる場合がある。閉曲面には、例えば、球面、楕円面等が挙げられる。なお、窒化ホウ素一次粒子が閉曲面に沿って並ぶことによって形成されるシェル構造は、完全なシェル構造である必要はなく、一部隙間があってもよい。また、閉じていない曲面には、半球面、楕円面などの閉曲面の一部をなす曲面、二次錐面、一葉双曲面、二葉双曲面、楕円放物面、双曲放物面、柱面等が挙げられる。これらの曲面の中で、窒化ホウ素一次粒子が並ぶ閉曲面は球面が好ましく、閉じていない曲面は、球面の一部をなす曲面が好ましい。
窒化ホウ素一次粒子は閉曲面に沿って並んでいるとき、窒化ホウ素一次粒子のa軸及びb軸は上記曲面に接していることが好ましく、窒化ホウ素一次粒子のc軸は上記曲面に対して垂直の方向であることが好ましい。
本発明の凝集窒化ホウ素粒子の平均粒子径は、好ましくは5~20μmである。凝集窒化ホウ素粒子の平均粒子径が5μm以上であると、本発明の凝集窒化ホウ素粒子を含む窒化ホウ素粉末を樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、粒子間の界面数が減少することで複合体の熱伝導率を高めることが出来る。また、得られた樹脂組成物の流動性をさらに改善することができる。凝集窒化ホウ素粒子の平均粒子径が20μm以下であると、本発明の凝集窒化ホウ素粒子を含む窒化ホウ素粉末を樹脂と混合して作製した樹脂組成物を硬化してなる複合体における窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高くすることができ、複合体の熱伝導率をさらに高めることができる。このような観点から、凝集窒化ホウ素粒子の平均粒子径は、より好ましくは6~15μmであり、さらに好ましくは7~10μmである。
[凝集窒化ホウ素粒子の製造方法]
本発明の凝集窒化ホウ素粒子は、例えば、ホウ酸及びメラミンを焼成して得られた非晶質窒化ホウ素と、ホウ酸リチウムとを含む混合物を溶融して融液を作製する工程(A)、上記融液を冷却する工程(B)、及びホウ酸リチウムを酸により溶解してホウ酸リチウムから凝集窒化ホウ素粒子を取り出す工程(C)を含む製造方法によって製造することができる。以下、本発明の凝集窒化ホウ素粒子の製造方法の各工程を詳細に説明する。
(1)工程(A)
工程(A)では、ホウ酸及びメラミンを焼成して得られた非晶質窒化ホウ素と、ホウ酸リチウムとを含む混合物を溶融して融液を作製する。
<非晶質窒化ホウ素>
上述したように、工程(A)で使用する非晶質窒化ホウ素はホウ酸及びメラミンを焼成して得られたものである。ホウ酸及びメラミンの全体におけるホウ素原子と窒素原子のモル比率は、必ずしも5:5に固定する必要はなく、反応性や収率に応じて、ホウ素原子と窒素原子のモル比率を、2:8~8:2の範囲で、好ましくは3:7~7:3の範囲で適宜変えることが可能である。
焼成は非酸化雰囲気で実施することが好ましく、焼成温度は400~1200℃が好ましく、焼成時間は1~5時間が好ましい。焼成温度を400℃以上とすることにより、非晶質窒化ホウ素中に酸素や炭素が残存することを抑制できる。また、焼成温度を1200℃以下にすることにより窒化ホウ素の結晶化の進行を抑制できる。焼成温度は一定に保持しても、連続的または不連続的に変化させてもよく、焼成時間や昇温冷却の速度にも特に制限はない。さらに焼成する装置類にも特に限定はないが、原料を収納する容器には、例えば六方晶窒化ホウ素製の容器を用いることができ、加熱装置として、例えば電気ヒータを用いた焼成炉を用いることができる。
非晶質窒化ホウ素は、完全な非晶質である必要はなく、本発明の効果を阻害しない範囲で、一部結晶化していてもよい。また、ホウ酸粒子及びメラミン粒子の間の密着により反応効率を上げるために、ホウ酸及びメラミンの混合粉末に対してブリケッティング、もしくはタブレッティングを実施してもよい。
凝集窒化ホウ素粒子の原料として非晶質窒化ホウ素を用いることにより、ホウ酸リチウムに窒化ホウ素を、より完全に溶解させることができ、ホウ酸リチウムに窒化ホウ素をさらに均一に溶解させることができる。そして、これにより、窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向(c軸方向)の結晶成長が促進し、窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ(T)に対する面方向の最大長さ(長軸の長さ)(F)のアスペクト比(F/T)を小さくすることができる。また、窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並ぶように、窒化ホウ素一次粒子を析出及び成長させることができる。一方、凝集窒化ホウ素粒子の原料として結晶質窒化ホウ素を用いると、ホウ酸リチウム中に結晶質窒化ホウ素が溶けにくく、低アスペクト比の窒化ホウ素一次粒子の形成が進まないと考えられる。また、溶け残りの窒化ホウ素がホウ酸リチウム中に存在し、これが核となって窒化ホウ素一次粒子の面方向(a軸方向もしくはb軸方向)の結晶成長が促進するので、窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ(T)に対する面方向の最大長さ(長軸の長さ)(F)のアスペクト比(F/T)は大きくなると考えられる。また、溶け残りの窒化ホウ素が核又は凝集粒子形成の阻害となるので、窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿っては並ばないと考えられる。
<ホウ酸リチウム>
工程(A)でフラックスとしてホウ酸リチウムを使用することにより、窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向(c軸方向)の結晶成長が促進し、窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ(T)に対する面方向の最大長さ(長軸の長さ)(F)のアスペクト比(F/T)を小さくすることができる。工程(A)で使用するホウ酸リチウムには、例えば、四ホウ酸リチウム(Li)、ホウ酸三リチウム(LiBO)、メタホウ酸リチウム(LiBO)等が挙げられる。これらのホウ酸リチウムは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのホウ酸リチウムの中で、ホウ酸三リチウム(LiBO)が好ましい。
<非晶質窒化ホウ素及びホウ酸リチウムを含む混合物>
非晶質窒化ホウ素及びホウ酸リチウムを含む混合物における非晶質窒化ホウ素のモル数は、ホウ酸リチウム1モルに対して、好ましくは10~0.5モルである。非晶質窒化ホウ素のモル数が10~0.5モルであると、本発明の凝集窒化ホウ素粒子を容易に作製できる。このような観点から、非晶質窒化ホウ素のモル数は、ホウ酸リチウム1モルに対して、より好ましくは8~0.7モルであり、さらに好ましくは5~1モルである。
<融液の作製>
工程(A)では、混合物を溶融して融液を作製する。混合物を溶融するときに使用するルツボはカーボンルツボ又は窒化ホウ素ルツボが好ましい。混合物を溶融する溶融温度は、混合物が完全に溶解するとともにホウ酸リチウムの揮発を抑制できる温度であれば特に限定されない。混合物を溶融するときの溶融温度は、例えば、1000~1700℃であり、好ましくは1100~1500℃である。混合物を溶融するときの溶融時間は、混合物が完全に溶解する時間であれば特に限定されない。混合物を溶融するときの溶融時間は、例えば、1~30時間であり、好ましくは5~20時間である。混合物を溶融するときの雰囲気は窒素雰囲気が好ましい。
(2)工程(B)
工程(B)では、上記融液を冷却する。融液の冷却は、特に限定されず、融液を徐冷してもよいし、放冷してもよい。融液を徐冷するときの徐冷速度は、例えば、0.5~10℃/分である。
(3)工程(C)
工程(C)では、ホウ酸リチウムを酸により溶解してホウ酸リチウムから凝集窒化ホウ素粒子を取り出す。ホウ酸リチウム及び凝集窒化ホウ素粒子の入ったルツボごとを酸に投入してもよいし、ルツボから取り出した内容物を酸に投入してもよい。ホウ酸リチウムを溶解し、凝集窒化ホウ素粒子をあまり溶解しないという観点から、ホウ酸リチウムを溶解するために使用する酸は希硝酸が好ましい。
[窒化ホウ素粉末]
本発明の窒化ホウ素粉末は、本発明の凝集窒化ホウ素粒子を含む。これにより、本発明の窒化ホウ素粉末を樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性をさらに良好にすることができる。そして、その樹脂組成物を成形して得られた、窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体における窒化ホウ素粉末の充填性が改善し、複合体の熱伝導率をさらに改善することができる。
本発明の効果を阻害しない範囲で、本発明の窒化ホウ素粉末は、本発明の凝集窒化ホウ素粒子以外の窒化ホウ素粒子を含んでもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、本発明の窒化ホウ素粉末は、窒化ホウ素粒子以外のセラミック粒子を含んでもよい。しかし、本発明の窒化ホウ素粉末を樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性をさらに良好にするという観点から、本発明の窒化ホウ素粉末における本発明の凝集窒化ホウ素粒子の含有量は高い方が好ましい。例えば、本発明の窒化ホウ素粉末における本発明の凝集窒化ホウ素粒子の含有量は、10~100質量%が好ましく、20~100質量%がより好ましい。
本発明の窒化ホウ素粉末におけるレーザー回折散乱法により測定した粒度分布の50体積%の累積頻度の粒子径(D50)は好ましくは5.0μm以上である。窒化ホウ素粉末のD50が5.0μm以上であると、樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性をさらに改善することができる。そして、その樹脂組成物を成形して得られた、窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体における窒化ホウ素粉末の充填性がさらに高くなり、複合体の熱伝導率を高めることができる。このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末のD50は、好ましくは5.3μm以上であり、より好ましくは5.5μm以上である。本発明の窒化ホウ素粉末のD50の範囲の上限値は、特に限定されないが、通常20μmであり、好ましくは15μmである。なお、窒化ホウ素粉末のD50は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の窒化ホウ素粉末におけるレーザー回折散乱法により測定した粒度分布の10体積%の累積頻度の粒子径(D10)は、好ましくは1.5μm以上である。窒化ホウ素粉末のD10が1.5μm以上であると、樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性をさらに良好にすることができる。そして、その樹脂組成物を成形して得られた、窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体における窒化ホウ素粉末の充填性が改善し、複合体の熱伝導率をさらに改善することができる。また、複合体中での粒子界面の数が減少することで熱伝導率の向上が見込める。このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末のD10は、より好ましくは2.0μm以上であり、さらに好ましくは2.5μm以上である。本発明の窒化ホウ素粉末のD10の範囲の上限値は、特に限定されないが、通常5.0μmであり、好ましくは4.0μmである。なお、窒化ホウ素粉末のD10は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の窒化ホウ素粉末におけるレーザー回折散乱法により測定した粒度分布の90体積%の累積頻度の粒子径(D90)は好ましくは7.0μm以上である。窒化ホウ素粉末のD90が7.0μm以上であると、樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性をさらに良好にすることができる。そして、その樹脂組成物を成形して得られた、窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体における窒化ホウ素粉末の充填性が改善し、複合体の熱伝導率をさらに改善することができる。また、複合体中での粒子界面の数が減少することで熱伝導率の向上が見込める。このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末のD90は、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは15μm以上である。本発明の窒化ホウ素粉末のD90の範囲の上限値は、特に限定されないが、通常40μmであり、好ましくは30μmである。なお、窒化ホウ素粉末のD10は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の窒化ホウ素粉末におけるレーザー回折散乱法により測定した粒度分布の1.0μmまでの累積頻度は、好ましくは3体積%以下である。窒化ホウ素粉末におけるレーザー回折散乱法により測定した粒度分布の1.0μmまでの累積頻度が3体積%以下であると、樹脂と混合して樹脂組成物を作製した場合、得られた樹脂組成物の流動性をさらに良好にすることができる。そして、その樹脂組成物を成形して得られた、窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体における窒化ホウ素粉末の充填性が改善され、複合体の熱伝導率が向上する場合がある。このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末のレーザー回折散乱法により測定した粒度分布の1.0μmまでの累積頻度は、より好ましくは2.5体積%以下であり、さらに好ましくは2.0体積%以下である。本発明の窒化ホウ素粉末のレーザー回折散乱法により測定した粒度分布の1.0μmまでの累積頻度の範囲の下限値は、特に限定されないが、通常0.1体積%であり、好ましくは0体積%である。なお、窒化ホウ素粉末におけるレーザー回折散乱法により測定した粒度分布の1.0μmまでの累積頻度は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
[窒化ホウ素粉末の製造方法]
上述の凝集窒化ホウ素粒子の製造方法により、本発明の窒化ホウ素粉末も製造することができる。なお、上述の凝集窒化ホウ素粒子の製造方法により、本発明の凝集窒化ホウ素粒子に加えて、本発明の凝集窒化ホウ素粒子以外の凝集窒化ホウ素粒子及び凝集していない窒化ホウ素一次粒子も製造される場合がある。
[窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体]
本発明の窒化ホウ素粉末と樹脂とを含む樹脂組成物を硬化して窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体を作製することができる。窒化ホウ素粉末及び樹脂の複合体には、例えば、放熱シート、基板等が挙げられる。
(樹脂)
樹脂組成物の樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴムを含む)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアミド(例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等)、ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリル-アクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム-スチレン)樹脂などが挙げられる。複合体が放熱シートの場合、これらの中で、シリコーン樹脂が好ましい。また、複合体が基板の場合、これらの中で、エポキシ樹脂が好ましい。
樹脂組成物における窒化ホウ素粉末および樹脂の合計100体積%に対する窒化ホウ素粉末の含有量は、例えば30~85体積%が好ましく、40~80体積%がより好ましい。窒化ホウ素粉末の含有量が30体積%以上の場合、熱伝導率が向上し、十分な放熱性能が得られやすい。また、窒化ホウ素粉末の含有量が85体積%以下の場合、成形時に空隙が生じやすくなることを低減でき、絶縁性や機械強度が低下することを低減できる。また、窒化ホウ素粉末および樹脂の合計100体積%に対する樹脂の含有量は、15~70体積%が好ましく、20~65体積%がより好ましい。
(溶媒)
樹脂組成物の粘度を調節するために、樹脂組成物は溶媒をさらに含んでもよい。溶媒は、樹脂を溶解でき、樹脂組成物を塗布したのち、塗布した樹脂組成物から容易に除去されるものであれば特に限定されない。溶媒には、例えば、トルエン、キシレン、塩素系炭化水素などが挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。除去が容易であるという観点から、これらの溶媒の中でトルエンが好ましい。溶媒の含有量は、樹脂組成物の目的とする粘度により適宜選択することができる。溶媒の含有量は、例えば、樹脂組成物の溶媒以外の成分100質量部に対して40~200質量部である。
なお、樹脂組成物は、窒化ホウ素粉末、樹脂成分および溶媒以外の成分を含んでもよい。その他の成分は、窒化ホウ素粉末以外の無機フィラー、添加剤、不純物等であり、その他の成分の含有量は、窒化ホウ素粉末および樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは3質量部以下であり、さらに好ましくは1質量部以下である。
本発明の複合体では、窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並んでいる凝集窒化ホウ素粒子の内部が樹脂により充填されている。これにより、凝集窒化ホウ素粒子が潰れてしまうことを抑制できる。
[複合体の製造方法]
本発明の窒化ホウ素粉末を含む複合体は、例えば、本発明の窒化ホウ素粉末と樹脂とを配合して樹脂組成物を作製する工程(X)、樹脂組成物を成形して成形体を作製する工程(Y)、及び成形体を加熱及び加圧する工程(Z)を含む製造方法により製造することができる。
(工程(X))
工程(X)では、本発明の窒化ホウ素粉末と樹脂とを配合して樹脂組成物を作製する。工程(X)で使用する窒化ホウ素粉末及び樹脂については、既に説明したので、説明を省略する。
(工程(Y))
工程(Y)では、樹脂組成物を成形して成形体を作製する。例えば、ドクターブレード法によって樹脂組成物を成形することができる。本発明の窒化ホウ素粉末を使用することにより、樹脂組成物の流動性が改善するので、樹脂組成物を容易に成形することができる。また、本発明の窒化ホウ素粉末を使用することにより、成形体における窒化ホウ素粉末の充填性が高くなるので、成形体の熱伝導率を高くすることができる。
(工程(Z))
工程(Z)では、成形体を加熱及び加圧する。これにより、複合体中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができ、複合体の熱伝導性をさらに改善することができる。なお、上述したように、本発明の複合体では、凝集窒化ホウ素粒子の内部が樹脂により充填されているので、成形体を加熱及び加圧したとき、凝集窒化ホウ素粒子が潰れることはない。窒化ホウ素粉末の充填性の改善の観点から、成形体の加熱温度は、好ましくは100~200℃であり、より好ましくは120~180℃である。さらに、成形体を加圧する際の圧力は、好ましくは5~30MPaであり、より好ましくは10~20MPaである。
以下、本発明について、実施例及び比較例により、詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(窒化ホウ素一次粒子の長軸の長さ及びアスペクト比)
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名「JSM-7001F」)を使用して、凝集窒化ホウ素粒子を構成する窒化ホウ素一次粒子のうち、100個の窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ及び面方向の最大長さ(長軸の長さ)を測定した。そして、これらの平均値を、窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ(T)及び面方向の最大長さ(長軸の長さ)(F)とした。そして、その結果からアスペクト比(F/T)を算出した。
(凝集窒化ホウ素粒子の平均粒子径)
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名「JSM-7001F」)を使用して、50個の凝集窒化ホウ素粒子の最大幅を測定した。そして、これらの平均値を凝集窒化ホウ粒子の平均粒子径とした。
(凝集窒化ホウ素粒子の形態)
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名「JSM-7001F」)を使用して、窒化ホウ素粉末中の凝集窒化ホウ素の形態を調べ、以下の基準で評価した。
A:窒化ホウ素一次粒子が閉曲面に沿って並んでいる凝集窒化ホウ素粒子が存在した。なお、窒化ホウ素一次粒子が閉曲面に沿って並ぶことによって形成されるシェル構造は、完全なシェル構造である必要はなく、一部隙間があってもよい。
B:窒化ホウ素一次粒子が閉曲面に沿って並んでいる凝集窒化ホウ素粒子は存在しなかったが、窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並んでいる凝集窒化ホウ素粒子は存在した。
C:凝集窒化ホウ素粒子は存在したが、窒化ホウ素一次粒子は曲面に沿って並んでいなかった、又は、凝集窒化ホウ素粒子は存在しなかった。
(粒度分布)
窒化ホウ素粉末の粒度分布をベックマン・コールター株式会社製レーザー回折散乱法粒度分布測定装置、(LS-13 320)を用いて測定した。そして、得られた粒度分布から、粒度分布の90体積%の累積頻度の粒子径(D90)、粒度分布の50体積%の累積頻度の粒子径(D50)、粒度分布の10体積%の累積頻度の粒子径(D10)、粒度分布の1.0μmまでの累積頻度を求めた。
(流動性)
窒化ホウ素粉末とエポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名「EPICLON830-S」)を、窒化ホウ素粉末及びエポキシ樹脂の合計100体積%に対して、窒化ホウ素粉末の充填量が20体積%となるように秤量した。そして、秤量した窒化ホウ素粉末及びエポキシ樹脂を、攪拌機(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎ARE-310」)に投入し、1500rpmの回転数の条件での1.5分間の混合を2回実施し、樹脂組成物を作製した。レオメーター(アントンパール社製、商品名「MCR92」)を使用して、得られた樹脂組成部の粘度を測定し、1(1/s)のせん断速度における粘度にて、樹脂組成物の流動性を評価した。
(熱伝導性)
JIS R1611:2010に準拠し、レーザーフラッシュ法で複合体の熱伝導率を測定した。測定装置は、株式会社リガク製のLF/TCM-8510B(商品名)を用いた。測定温度は、23±1℃とした。
(実施例1)
<非晶質窒化ホウ素の作製>
100gのホウ酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)及び100gのメラミン(富士フィルム和光純薬株式会社製)を混合して混合粉末を作製した。作製した混合粉末を恒温恒湿機に入れ、80℃、相対湿度95%で1時間加湿し、その後1時間乾燥することでホウ酸メラミン塩を得た。ホウ酸メラミン塩を窒素雰囲気で、1000℃の焼成温度で2時間焼成して、非晶質窒化ホウ素を作製した。作製した非晶質窒化ホウ素のX回折パターンを図1に示す。また、比較のため、六方晶窒化ホウ素粉末(デンカ株式会社製、商品名「SP-3」)のX線回折パターンも図1に示す。X回折パターンから、得られた非晶質窒化ホウ素が非晶質であることを確認できた。
<窒化ホウ素粉末の作製>
窒化ホウ素(BN)及びホウ酸三リチウム(LiBO)換算での非晶質窒化ホウ素及びホウ酸三リチウムのモル比が2:1となるように、得られた非晶質窒化ホウ素及びホウ酸三リチウム(株式会社豊島製作所製)を、低周波共振音響ミキサ(Resodyn Acoustic Mixers, Inc.製、商品名「LabRAM II」)に投入し、混合して混合物を作製した。得られた混合物を窒化ホウ素容器に充填し、混合物を充填した窒化ホウ素容器を管状炉に設置した。そして、窒素雰囲気(窒素ガス流量1L/分)で、1300℃の溶融温度で混合物を20時間溶融して混合物の融液を作製した。その後、650℃の温度まで、5℃/分の冷却速度で融液を冷却し、650℃以降の温度では、自然冷却させ窒化ホウ素粒子を析出及び成長させた。窒化ホウ素容器を室温まで冷却した後、窒化ホウ素容器の内容物を取り出した。5gの窒化ホウ素容器の内容物、22mLの蒸留水及び10mLの60%硝酸をビーカーに投入した後、スターラーを使用してビーカーの内容物を1時間攪拌し、窒化ホウ素容器の内容物中のホウ酸三リチウムを希硝酸で溶解した。そして、吸引ろ過によりビーカーの内容物から窒化ホウ素粒子を取り出した。取り出した窒化ホウ素粒子を100℃の乾燥温度で2時間乾燥して窒化ホウ素粉末を得た。実施例1の窒化ホウ素粉末中の凝集窒化ホウ素粒子の走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。図2の走査型電子顕微鏡写真には、窒化ホウ素一次粒子が球面に沿って並んでいる凝集窒化ホウ素粒子及び窒化ホウ素一次粒子が半球面に沿って並んでいる凝集窒化ホウ素粒子が示されている。
<樹脂組成物の調製>
得られた窒化ホウ素粉末1g、及び得られた窒化ホウ素粉末及びエポキシ樹脂の合計100体積部に対してエポキシ樹脂(DIC株式会社製、製品名:HP4032)30.8体積部と、硬化剤(DIC株式会社製、製品名:VH4150)4.2体積部と、2種の硬化促進剤(硬化触媒)(北興化学工業株式会社製、製品名:TPP)0.2体積部及び(四国化成工業株式会社製、製品名:2PHZ-PW)0.3体積部と、カップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、製品名:Z6040)1.1体積部と、湿潤分散剤(ビックケミージャパン株式会社製、製品名:DIS-111)0.2体積部と、表面調整剤(ビックケミージャパン株式会社製、製品名:BYK-300)0.3体積部を攪拌機(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎ARE-310」)に投入し、1500rpmの回転数の条件で1.5分混合し、樹脂組成物を作製した。
<樹脂組成物の成形>
縦1cm×横1cm×深さ1cmの型に樹脂組成物を流し込んで樹脂組成物を成形して成形体を得た。
<プレス工程>
平板プレス機(株式会社柳瀬製作所製)を用いて、成形体に対して、120℃、圧力10MPaの条件で30分の加熱プレスを行い、その後、180℃、圧力10MPaの条件で60分の加熱プレスを行い、厚さ1.0mmの複合体を作製した。
(実施例2)
窒化ホウ素粉末の作製で、窒化ホウ素(BN)及びホウ酸三リチウム(LiBO)換算での非晶質窒化ホウ素及びホウ酸三リチウムのモル比を2:1から4:1に変更した点を除いて、実施例1と同様にして、窒化ホウ素粉末、樹脂組成物及び複合体を作製した。
(実施例3)
窒化ホウ素粉末の作製で、窒化ホウ素(BN)及びホウ酸三リチウム(LiBO)換算での非晶質窒化ホウ素及びホウ酸三リチウムのモル比を2:1から1:1に変更した点及び混合物の溶融時間を20時間から5時間に変更した点を除いて、実施例1と同様にして、窒化ホウ素粉末、樹脂組成物及び複合体を作製した。
(実施例4)
窒化ホウ素粉末の作製で、窒化ホウ素(BN)及びホウ酸三リチウム(LiBO)換算での非晶質窒化ホウ素及びホウ酸三リチウムのモル比を2:1から1:1に変更した点を除いて、実施例1と同様にして、窒化ホウ素粉末、樹脂組成物及び複合体を作製した。
(実施例5)
窒化ホウ素粉末の作製で、混合物の溶融温度を1300℃から1500℃に変更し、混合物の溶融時間を20時間から1時間に変更した点を除いて、実施例1と同様にして、窒化ホウ素粉末、樹脂組成物及び複合体を作製した。
(実施例6)
窒化ホウ素粉末の作製で、窒化ホウ素(BN)及びホウ酸三リチウム(LiBO)換算での非晶質窒化ホウ素及びホウ酸三リチウムのモル比を2:1から1:1に変更した点及び混合物の溶融時間を20時間から1時間に変更した点を除いて、実施例1と同様にして、窒化ホウ素粉末、樹脂組成物及び複合体を作製した。
(実施例7)
窒化ホウ素粉末の作製で、混合物の溶融時間を20時間から1時間に変更した点を除いて、実施例1と同様にして、窒化ホウ素粉末、樹脂組成物及び複合体を作製した。
(比較例1)
<窒化ホウ素粉末の作製>
炭酸リチウム及びホウ酸のモル比が3:1となり、窒化ホウ素(BN)及びホウ酸三リチウム(LiBO)換算での窒化ホウ素粉末と、炭酸リチウム及びホウ酸の合計とのモル比が2:1となるように、窒化ホウ素粉末(デンカ株式会社製、商品名「SP-3」、六方晶窒化ホウ素)、炭酸リチウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)及びホウ酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)を、低周波共振音響ミキサ(Resodyn Acoustic Mixers, Inc.製、商品名「LabRAM II」)に投入し、混合して混合物を作製した。得られた混合物を窒化ホウ素容器に充填し、混合物を充填した窒化ホウ素容器を管状炉に設置した。そして、窒素雰囲気(窒素ガス流量1L/分)で、1300℃の溶融温度で混合物を1時間溶融して混合物の融液を作製した。その後は、実施例1と同様にして窒化ホウ素粉末を得た。比較例1の窒化ホウ素粉末中の凝集窒化ホウ素粒子の走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。
<樹脂組成物の調製>
実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製した。
<樹脂組成物の成形>
実施例1と同様にして、成形体を得た。
<プレス工程>
実施例1と同様にして、厚さ1.0mmの複合体を作製した。
(比較例2)
<窒化ホウ素粉末の作製>
窒化ホウ素(BN)及びホウ酸三リチウム(LiBO)換算での窒化ホウ素粉末及びホウ酸三リチウムのモル比が2:1となるように、窒化ホウ素粉末(デンカ株式会社製、商品名「SP-3」、六方晶窒化ホウ素)及びホウ酸三リチウム(和光純薬工業株式会社製)を、低周波共振音響ミキサ(Resodyn Acoustic Mixers, Inc.製、商品名「LabRAM II」)に投入し、混合して混合物を作製した。得られた混合物を窒化ホウ素容器に充填し、混合物を充填した窒化ホウ素容器を管状炉に設置した。そして、窒素雰囲気(窒素ガス流量1L/分)で、1300℃の溶融温度で混合物を1時間溶融して混合物の融液を作製した。その後は、実施例1と同様にして窒化ホウ素粉末を得た。
<樹脂組成物の調製>
実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製した。
<樹脂組成物の成形>
実施例1と同様にして、成形体を得た。
<プレス工程>
実施例1と同様にして、厚さ1.0mmの複合体を作製した。
実施例1~7及び比較例1~2の窒化ホウ素粉末、樹脂組成物及び複合体の評価結果を表1に示す。
実施例1~7の窒化ホウ素粉末は、窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子であって、窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ(T)に対する面方向の最大長さ(長軸の長さ)(F)のアスペクト比(F/T)が5.0以下であり、窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並んでいる凝集窒化ホウ素粒子を含んでいたので、実施例1~7の樹脂組成物の流動性は良好であり、複合体の熱伝導率は高かった。一方、比較例1及び比較例2の窒化ホウ素粉末は、窒化ホウ素一次粒子のアスペクト比が5.0よりも大きかったので、樹脂組成物の流動性は悪く、複合体の熱伝導率は低かった。

Claims (9)

  1. 窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子であって、
    前記窒化ホウ素一次粒子の厚さ方向の長さ(T)に対する面方向の最大長さ(長軸の長さ)(F)のアスペクト比(F/T)が5.0以下であり、
    前記窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並ぶ凝集窒化ホウ素粒子。
  2. 平均粒子径が5~20μmである請求項1に記載の凝集窒化ホウ素粒子。
  3. 前記曲面が閉曲面である請求項1又は2に記載の凝集窒化ホウ素粒子。
  4. 前記窒化ホウ素一次粒子の前記長軸の長さが1.0μm以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の凝集窒化ホウ素粒子。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の凝集窒化ホウ素粒子を含む窒化ホウ素粉末。
  6. レーザー回折散乱法により測定した粒度分布の50体積%の累積頻度の粒子径(D50)が5.0μm以上である請求項5に記載の窒化ホウ素粉末。
  7. レーザー回折散乱法により測定した粒度分布の10体積%の累積頻度の粒子径(D10)が1.5μm以上である請求項5又は6に記載の窒化ホウ素粉末。
  8. レーザー回折散乱法により測定した粒度分布の1.0μmまでの累積頻度が3体積%以下である請求項5~7のいずれか1項に記載の窒化ホウ素粉末。
  9. 請求項5~8のいずれか1項に記載の窒化ホウ素粉末及び樹脂を含む樹脂組成物を硬化してなる複合体であり、
    前記窒化ホウ素一次粒子が曲面に沿って並んでいる凝集窒化ホウ素粒子の内部が樹脂により充填されている複合体。
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