JP2018003194A - エアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法、紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤及びエアーバッグ用基布 - Google Patents

エアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法、紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤及びエアーバッグ用基布 Download PDF

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Abstract

【課題】より低温での硬化が可能であり、エアーバッグ用基布に対するシリコーンゴム層の接着性に優れたエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法、紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤及びこの硬化被膜を有するエアーバッグ用基布を提供する。【解決手段】繊維布からなる基材の表面に、(A)25℃で液状のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、(B)25℃でパウダー状の三次元網状オルガノポリシロキサンレジン、(C)BET法比表面積が50m2/g以上のシリカ微粉末、(D)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、(E)200〜500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒、(F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物を含む紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を塗工する工程、及び該塗工面に紫外線を照射する工程を有するエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、エアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法、紫外線照射による硬化において使用するための紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤、及び該コーティング剤の紫外線照射による硬化被膜を有するエアーバッグ用基布に関する。
従来、繊維表面へゴム硬化被膜を形成することを目的としたエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング組成物としては、以下のものが知られている。特開2001−164187号公報(特許文献1)では、湿式シリカを接着成分としたコーティング組成物が、特開平05−025435号公報(特許文献2)では、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物を接着性成分としたコーティング組成物が開示されている。また、特開平05−214295号公報(特許文献3)では、付加硬化型組成物に無機質充填剤とシロキサンレジンを含み、エポキシ基含有ケイ素化合物を接着成分とするエアーバッグ用のコーティング組成物が、特開2002−138249号公報(特許文献4)には、付加硬化型組成物に無機質充填剤とシロキサンレジンを含み、有機チタン化合物及びアルキルシリケートを接着成分とするエアーバッグ用のコーティング組成物が、特開2001−059052号公報(特許文献5)では付加硬化型組成物に無機質充填剤を含み、エポキシ基含有ケイ素化合物を接着成分とするエアーバッグ用のコーティング組成物が開示されている。
しかし、これら組成物を用いてエアーバッグを製造しようとすると、エアーバッグ用基布に該組成物をコーティングした後に、シリコーンゴム組成物を硬化させるために乾燥炉などで高温に加熱する工程を必要とし、また、得られるシリコーンゴム層(シリコーンゴム組成物の硬化物層)の基布に対する接着性を十分満足するものではなかった。
特開2001−164187号公報 特開平05−025435号公報 特開平05−214295号公報 特開2002−138249号公報 特開2001−059052号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、従来法と比較してより低温での硬化が可能であり、なおかつ、エアーバッグ用基布に対する接着性に優れた紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の紫外線照射による硬化物からなるシリコーンゴム層を基布の少なくとも一方の表面に形成させてなるエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法、紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤、及び該コーティング剤の紫外線照射による硬化被膜を有するエアーバッグ用基布を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、下記(A)〜(F)成分を必須成分とした紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物が、エアーバッグ用途に使用した際に従来よりも低温での硬化が可能であり、該組成物を繊維布からなる基材(エアーバッグ用基布)の少なくとも一方の表面に塗布し、紫外線を照射することにより硬化させて、シリコーンゴム層を形成することで、スコット揉み試験において接着性の優れたエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布を定常的に得られることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記に示すエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法、紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤及びエアーバッグ用基布を提供する。
〔1〕
繊維布からなる基材の少なくとも一方の表面に、下記(A)〜(F)成分、
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する25℃で液状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)25℃でパウダー状の三次元網状オルガノポリシロキサンレジン(但し、該オルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子を含まない):0.1〜100質量部、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上のシリカ微粉末:1〜50質量部、
(D)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分の1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1個当たり、1〜10個となる量、
(E)ヒドロシリル化反応用触媒として、200〜500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒:有効量、
(F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1〜10質量部
を含む紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を塗工する工程、及び該塗工面に紫外線を照射する工程を有することを特徴とするエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法。
〔2〕
紫外線照射工程に次いで、40℃〜120℃での硬化促進工程を有することを特徴とする〔1〕に記載のエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法。
〔3〕
紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物に、更に、(G)有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を(A)成分100質量部に対して0.1〜5質量部含有することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法。
〔4〕
前記紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物において、(F)成分が、接着性付与官能基としてエポキシ基及びケイ素原子結合アルコキシ基を1分子中にそれぞれ1個以上有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法。
〔5〕
下記(A)〜(F)成分、
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する25℃で液状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)25℃でパウダー状の三次元網状オルガノポリシロキサンレジン(但し、該オルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子を含まない):0.1〜100質量部、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上のシリカ微粉末:1〜50質量部、
(D)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分の1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1個当たり、1〜10個となる量、
(E)ヒドロシリル化反応用触媒として、200〜500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒:有効量、
(F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1〜10質量部
を含む紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤。
〔6〕
更に、(G)有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を(A)成分100質量部に対して0.1〜5質量部含有する〔5〕に記載の紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤。
〔7〕
〔5〕又は〔6〕に記載の紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤の硬化被膜を有するエアーバッグ用基布。
本発明のエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法は、上述した特定の紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物をエアーバッグ用基布のシリコーンゴム層として使用することで、従来よりも低温での硬化が可能であり、該組成物をエアーバッグ用基布の少なくとも一方の表面に塗布し、紫外線を照射することにより硬化させてシリコーンゴム層を形成することで、基布への密着性の向上、表面じわの抑制に効果を発揮し、スコット揉み試験において接着性の優れたエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布が得られる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。なお、本明細書中において、粘度は、25℃においてJIS K 7117−1:1999に記載の方法で回転粘度計により測定した値である。
<紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物>
本発明にかかるエアーバッグ用の紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物(紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤)は、以下の(A)〜(F)成分を含有してなり、紫外線照射による硬化において使用するための、紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物であって、25℃で液状のものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
[(A)成分]
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有する25℃で液状のオルガノポリシロキサンであり、本発明にかかる組成物のベースポリマー(主剤)である。
(A)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状等が挙げられるが、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。なお、三次元網状(樹脂状)構造は含まない。また、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造が直鎖状又は分岐鎖状である場合、該オルガノポリシロキサンの分子中においてアルケニル基が結合するケイ素原子の位置は、分子鎖末端(即ち、トリオルガノシロキシ基)及び分子鎖途中(即ち、分子鎖非末端に位置する2官能性のジオルガノシロキサン単位又は3官能性のモノオルガノシルセスキオキサン単位)のどちらか一方でも両方でもよい。(A)成分として、特に好ましくは、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基としては、例えば、通常、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜4のものが挙げられる。その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、特にビニル基であることが好ましい。
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合した1価の有機基(即ち、非置換もしくは置換の1価炭化水素基)全体に対して0.001〜10モル%であることが好ましく、特に0.01〜5モル%程度であることが好ましい。
(A)成分のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する1価の有機基としては、例えば、互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の、通常、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜10程度の1価炭化水素基が挙げられる。該1価炭化水素基が置換されている場合、その置換例としては、ハロゲン置換のものが挙げられる。該1価の有機基(非置換もしくは置換の1価炭化水素基)の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、フェニル基であることが好ましい。なお、(A)成分はエポキシ基を含有しない。
(A)成分の25℃における粘度は、100〜500,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に300〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。該粘度がこの範囲内にあると、得られる組成物の取り扱い作業性が良好であり、また、得られるシリコーンゴム硬化物の物理的特性が良好である。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、(A)成分のオルガノポリシロキサンとして、後述するエポキシ基を有する有機ケイ素化合物[(F)成分]を除く。
[(B)成分]
(B)成分は、25℃でパウダー状の三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジンであり、好適には、3官能性のRSiO3/2単位(Rは互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の1価炭化水素基)及び4官能性のSiO2単位から選ばれる少なくとも1種の分岐鎖状シロキサン単位から基本的に構成され、必要に応じて、単官能性のR3SiO1/2単位及び/又は2官能性のR2SiO2/2単位を任意に含有してもよい、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(なお、ここでのオルガノ基はアルケニル基も包含し得る。)である。但し、このオルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子(SiH基)を含まない。また、このオルガノポリシロキサンレジンは、エポキシ基を含有しない。更に、このオルガノポリシロキサンレジンは、25℃でパウダー状である点において、25℃で液状である(A)成分とは明確に差別化されるものである。
この同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基;Rとしては、上記(A)成分中において例示したアルケニル基及び1価の有機基(非置換もしくは置換の1価炭化水素基)と同様のものが挙げられ、具体的には、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、ビニル基、フェニル基であることが好ましい。
(B)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合した1価の有機基(即ち、非置換もしくは置換の1価炭化水素基)全体に対して0〜10モル%であることが好ましく、特に2〜8モル%程度であることが好ましい。
ここで、(B)成分のオルガノポリシロキサンレジンには、上述したようにR3SiO1/2単位及び/又はR2SiO2/2単位を任意に含有してもよいが、その合計含有量は、(B)成分のオルガノポリシロキサンレジン中0〜70モル%、特に0〜50モル%とすることが好ましい。
また、(B)成分のオルガノポリシロキサンレジンのトルエンを展開溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量は、2,000〜50,000、特に、4,000〜20,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると十分な補強効果が得られない場合があり、大きすぎると液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の粘度が高くなり、塗工性が悪化する場合がある。
(B)成分のオルガノポリシロキサンレジンの具体例としては、式:R’3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R’2R”SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R’2SiOで示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R’3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R’2R”SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R’2R”SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R’2SiOで示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R’R”SiOで示されるシロキサン単位と式:R’SiO1.5で示されるシロキサン単位もしくは式:R”SiO1.5で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
上記式中のR’はアルケニル基以外の同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、その例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられる。また、上記式中のR”はアルケニル基であり、その例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基などが挙げられる。
本発明に用いられる(B)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜100質量部であり、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜30質量部であることがより好ましく、1〜10質量部であることが特に好ましい。配合量が少なすぎると十分な補強効果が得られない場合があり、配合量が多すぎると、コスト的に高いものとなり、不経済となる。
(B)成分の三次元網状オルガノポリシロキサンレジンは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
[(C)成分]
本発明に用いられる(C)成分のシリカ微粉末は、補強性充填剤として作用する。即ち、本発明にかかる組成物から得られるシリコーンゴム硬化物に強度を付与するもので、シリカ微粉末を補強性充填剤として使用することにより、本発明に必要な強度を満足するコーティング膜を形成することが可能となる。かかるシリカ微粉末は、比表面積(BET法)が50m2/g以上であり、好ましくは50〜400m2/g、特に好ましくは100〜300m2/gであることが必要であり、比表面積が50m2/g未満では、満足するような強度特性を付与することができない。
本発明において、このようなシリカ微粉末としては、比表面積が上記範囲内であることを条件として、従来からシリコーンゴムの補強性充填剤として使用されている公知のものでよく、例えば、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
上記補強性シリカ微粉末は、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、オルガノシラザン等の(通常、加水分解性の)有機ケイ素化合物などの表面処理剤で、表面が疎水化処理されたシリカ微粉末を用いる。その場合、これらのシリカ微粉末は、予め粉体の状態で、表面処理剤により、直接表面疎水化処理されたものでもよいし、シリコーンオイル(例えば、上記(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン)との混練時に表面処理剤を添加して、表面疎水化処理したものでもよい。
(C)成分の通常の処理法として、一般的周知の技術により処理でき、例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に上記未処理のシリカ微粉末と処理剤を入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において室温(25℃)あるいは熱処理(加熱下)にて混合処理する。場合により、水又は触媒(加水分解促進剤等)を使用して処理を促進してもよい。混練後、乾燥することにより処理シリカ微粉末を製造し得る。処理剤の配合量は、その処理剤の被覆面積から計算される量以上であればよい。
処理剤として、具体的には、へキサメチルジシラザン等のシラザン類、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン及びクロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物が挙げられ、これらで表面処理し、疎水性シリカ微粉末として用いる。処理剤としては、特にシランカップリング剤又はシラザン類が好ましい。
本発明に用いられる(C)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜50質量部であり、特に10〜30質量部であることが好ましい。配合量が少なすぎると、本発明に必要な強度が得られず、配合量が多すぎると、組成物のチキソ性が大きくなり、流動性が低下してコーティング作業が悪くなる。
[(D)成分]
(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分及び(B)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものであり、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている、例えば直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造等各種のものが使用可能であるが、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合した水素原子(SiHで表されるヒドロシリル基)を有する必要があり、また実質的に分子中にケイ素原子に結合した水酸基(即ち、シラノール基)を含有しないものであり、通常、2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個程度のSiH基を有することが望ましい。(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、後述するエポキシ基を有する有機ケイ素化合物[(F)成分]を除く。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
1 abSiO(4-a-b)/2 (1)
上記式(1)中、R1は互いに同一又は異種の、アルケニル基等の脂肪族不飽和結合を除く、好ましくは炭素数1〜10の、ケイ素原子に結合した非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、このR1における非置換もしくは置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。R1の非置換もしくは置換の1価炭化水素基としては、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基である。また、aは0.7〜2.1、bは0.001〜1.0で、かつa+bが0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくはaは1.0〜2.0、bは0.01〜1.0、a+bが1.5〜2.5を満足する正数である。
1分子中に少なくとも2個(通常、2〜300個)、好ましくは3個以上(例えば、3〜200個)、より好ましくは4〜100個程度含有するSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は、通常2〜300個、好ましくは3〜150個、より好ましくは4〜100個程度のものが望ましく、25℃における粘度が、通常0.1〜1,000mPa・s、好ましくは0.5〜500mPa・s程度の、25℃で液状のものが使用される。なお、重合度は、例えば、トルエンを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(数平均分子量)又は重量平均重合度(重量平均分子量)等として求めることができる。
このような(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサンや、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの、式:R2 3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R2 2HSiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R2 2HSiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R2HSiOで示されるシロキサン単位と式:R2SiO1.5で示されるシロキサン単位もしくは式:HSiO1.5で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。上記式中のR2はアルケニル基以外の1価炭化水素基であり、前記R1と同様の基が例示される。
(D)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モル(又は個)に対して(D)成分中のケイ素原子結合水素原子が1〜10モル(又は個)、好ましくは1〜5モル(又は個)の範囲内となる量である。(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(D)成分中のケイ素原子結合水素原子が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、またこれが10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣る。
[(E)成分]
(E)成分のヒドロシリル化反応用触媒である200〜500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒は、光の排除下で不活性であり、かつ200〜500nm、好ましくは250〜400nmの波長の光を照射することにより、活性な白金触媒に変化して(A)、(B)成分中のアルケニル基と、(D)成分中のケイ素原子結合水素原子とのヒドロシリル化反応を促進するための触媒である。ここで、触媒の「活性化」とはアルケニル基とケイ素原子結合水素原子と触媒が存在すると、室温(25℃)以上の温度でヒドロシリル化反応が進行する状態を示す。
このような(E)成分の例として、β−ジケトナト白金錯体化合物、(η5−シクロペンタジエニル)トリアルキル白金錯体化合物又はその誘導体が挙げられる。具体的には、トリメチル(アセチルアセトナト)白金(IV)、トリメチル(3,5−ヘプタンジオネート)白金(IV)、トリメチル(メチルアセトアセテート)白金(IV)、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)白金(II)、ビス(2,4−へキサンジオナト)白金(II)、ビス(2,4−へプタンジオナト)白金(II)、ビス(3,5−ヘプタンジオナト)白金(II)、ビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオナト)白金(II)、ビス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)白金(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)白金(II)、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)、(シクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)、(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)、(シクロペンタジエニル)ジメチルエチル白金(IV)、(シクロペンタジエニル)ジメチルアセチル白金(IV)、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)、(メトキシカルボニルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)、(ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル)トリメチルシクロペンタジエニル白金(IV)などが挙げられる。このうち特に好適なものは、ビス(アセチルアセトナト)白金化合物及びそのアセチルアセトナト基上をアルキル基で修飾した誘導体、シクロペンタジエニルトリメチル白金及びそのシクロペンタジエニル基上をアルキル基で修飾した誘導体である。
これらの触媒の使用にあたっては、それが固体触媒であるときには固体状で使用することも可能であるが、より均一な硬化物を得るためには適切な溶剤に溶解したものを使用することが好ましい。
(E)成分の配合量は、付加反応触媒としての有効量でよく、好ましくは(A)、(B)及び(D)成分の合計質量、又は(F)成分が分子中にアルケニル基やヒドロシリル基(SiH基)を有する場合には(A)、(B)、(D)及び(F)成分の合計質量に対して白金族金属元素の質量換算で、通常、0.5〜1,000ppm、好ましくは1〜500ppmの範囲であり、より好ましくは10〜100ppmの範囲である。この配合量を適切なものとすると、紫外線照射後、付加反応をより効率的に進行させることができる。
[(F)成分]
(F)成分は、接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物であり、接着性官能基として1分子中にエポキシ基とケイ素原子結合アルコキシ基とを有する有機ケイ素化合物であることが好ましく、本発明にかかるシリコーンゴムコーティング剤組成物のエアーバッグ用基布に対する接着性を発現・向上させるために添加するものである。該有機ケイ素化合物としては、接着性付与官能基を有するものであれば、いかなる有機ケイ素化合物でも使用できるが、1分子中にエポキシ基とケイ素原子結合アルコキシ基とをそれぞれ1個以上有する有機ケイ素化合物であることが好ましく、接着発現性の観点からは、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも2個のケイ素原子結合アルコキシ基(例えば、トリアルコキシシリル基、オルガノジアルコキシシリル基等)とを有する有機ケイ素化合物、例えば、オルガノシラン、又はケイ素原子数が2〜100個、好ましくは4〜50個程度の環状もしくは直鎖状のオルガノシロキサンであって、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも2個のケイ素原子結合アルコキシ基とを有するものであることがより好ましい。(F)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エポキシ基は、例えば、グリシドキシプロピル基等のグリシドキシアルキル基;2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基等のエポキシ含有シクロヘキシルアルキル基等の形で、ケイ素原子に結合していることが好ましい。ケイ素原子結合アルコキシ基は、ケイ素原子と結合して、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基等を形成していることが好ましい。
また、(F)成分は、1分子中にエポキシ基及びケイ素原子結合アルコキシ基以外の官能性基として、例えば、ビニル基等のアルケニル基、アクリル基、(メタ)アクリロキシ基、及びヒドロシリル基(SiH基)からなる群より選択される少なくとも1種の官能性基を有するものであっても、有さないものであってもよい。
(F)成分の有機ケイ素化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジエトキシシラン、(2,3−エポキシシクロヘキシルエチル)トリエトキシシラン、(2,3−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジメトキシシラン、(2,3−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジエトキシシラン等のエポキシ官能性基含有シランカップリング剤(即ち、エポキシ官能性基含有オルガノアルコキシシラン)の他、下記の化学式で示されるオルガノシラン、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、これらの2種以上の混合物、あるいはこれらの1種もしくは2種以上の部分加水分解縮合物等が挙げられる。
Figure 2018003194
(式中、hは1〜10の整数、kは0〜40の整数、好ましくは0〜20の整数、pは1〜40の整数、好ましくは1〜20の整数、qは1〜10の整数である。)
(F)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜10質量部であり、好ましくは0.25〜5質量部である。該配合量が0.1質量部未満であると、得られる組成物が十分な接着力を有しない。該配合量が10質量部を超えると、該配合量を増加させても、得られる組成物は接着力が向上しにくくなり、コスト的に高いものとなり、不経済となる。
また、(F)成分がアルケニル基及び/又はSiH基を含む場合、組成物中(具体的には、(A)成分、(B)成分及び(F)成分中)のケイ素原子結合アルケニル基1モル(又は個)に対して組成物中(具体的には、(D)成分及び(F)成分中)のケイ素原子結合水素原子が、好ましくは1〜10モル(又は個)、より好ましくは1〜8モル(又は個)、更に好ましくは1〜6モル(又は個)の範囲内となる量である。組成物中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して組成物中のケイ素原子結合水素原子が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、十分な接着力を有しない場合がある。一方、これが10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣り、接着力が向上しにくくなり、コスト的に高いものとなり、不経済となりやすい。
[その他の成分]
本発明にかかる組成物には、前記(A)〜(F)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
[(G)成分]
(G)成分の縮合触媒は、有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種であり、接着促進のための縮合助触媒として作用するものである。(G)成分は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。(G)成分の具体例としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド等の有機チタン酸エステル、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタンキレート化合物等のチタン系縮合助触媒(チタニウム化合物)、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド等の有機ジルコニウムエステル、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウムキレート化合物等のジルコニウム系縮合助触媒(ジルコニウム化合物)が挙げられる。
(G)成分の有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物は、必要に応じて配合される任意成分であり、その配合量は(A)成分100質量部に対して、通常、5質量部以下(0〜5質量部)程度でよいが、(G)成分を配合する場合には、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜2質量部の範囲である。該配合量が0.1質量部未満であると、得られる硬化物は高温高湿下での接着耐久性が低下しやすくなる場合があり、該配合量が5質量部を超えると、得られる硬化物は耐熱性が低下しやすくなる場合がある。
・充填剤
(C)成分のシリカ微粉末以外の充填剤として、例えば、結晶性シリカ(例えば、BET法比表面積が50m2/g未満の石英粉)、有機樹脂製中空フィラー、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(いわゆるシリコーンレジンパウダー)、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土、ガラス繊維等の充填剤;これらの無機質充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した充填剤;シリコーンゴムパウダー;シリコーンレジンパウダーなどが挙げられる。
・その他の成分
その他にも、例えば、1分子中に1個のケイ素原子結合水素原子を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、1分子中に1個のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子もケイ素原子結合アルケニル基も他の官能性基も含有しない無官能性のオルガノポリシロキサン(いわゆるジメチルシリコーンオイル)、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チキソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤などを配合することができる。
本発明にかかる紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、25℃で液状の組成物であり、JIS K 7117−1:1999に記載の方法で測定した25℃における粘度が1,000〜1,000,000mPa・sであることが好ましく、10,000〜300,000mPa・sであることがより好ましい。この粘度範囲内であれば、エアーバッグ用基布に塗工する際に、塗工むらや硬化後の密着不足などが生じにくいため、好適に用いることができる。
<エアーバッグ用基布>
本発明において、上記組成物の硬化物からなるシリコーンゴム層が形成されるエアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)としては、公知のものが用いられ、その具体例としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、アラミド繊維、各種ポリアミド繊維、各種ポリエステル繊維などの各種合成繊維の織生地が挙げられる。
[製造方法]
上記紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を、エアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)の少なくとも一方の表面、特には一方の表面に塗布した後、紫外線照射装置を用いて紫外線を該紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物へ照射することにより、シリコーンゴム層(硬化物層)を形成させることができる。このようにして得たエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布を用いて、エアーバッグを製造することができる。
ここで、上記組成物により該基材をコーティングする方法としては、常法を採用することができるが、ナイフコーターによるコーティングが好ましい。また、コーティング層の厚さ(又は表面塗布量)は、好ましくは5〜150g/m2、より好ましくは10〜80g/m2、更に好ましくは15〜60g/m2である。
本発明にかかる紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を硬化させるのに有用な紫外線源としては、種々の紫外線波長帯域において紫外線エネルギーを発出するように設計された通常の水銀蒸気ランプや、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)素子が挙げられる。例えば、有用な紫外線波長範囲は200〜500nmであり、好ましくは250〜400nmである。また、硬化に有用な紫外線照射量は、硬化に充分な照射量であれば特に制限されないが、好ましくは200〜100,000mJ/cm2であり、より好ましくは1,000〜30,000mJ/cm2である。
また、この紫外線照射工程は、空気中でも不活性ガス雰囲気下でも行うことができるが、酸素による硬化阻害が少ないという点で不活性ガス雰囲気下が好ましく、窒素ガス、又はアルゴンガス雰囲気下で行うことがより好ましい。
本発明にかかる紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、紫外線を照射することで室温(25℃)でも硬化させることが可能であるが、紫外線照射後に乾燥炉などで加熱を行うことにより、更に硬化を促進させることができる。特にエアーバッグ用基布へシリコーンゴムコーティング層を形成する際は、促進温度は好ましくは40℃〜120℃であり、より好ましくは60℃〜100℃であり、促進時間は好ましくは5〜120秒間、より好ましくは10〜60秒間である。促進温度が高すぎるとエアーバッグ用基布の熱収縮によりシリコーンゴムコーティング層の基布への密着性が悪くなり、接着性の低下が起きる場合がある。
このようにして製造された少なくとも一方の表面にシリコーンゴム層を有するエアーバッグ用基布(エアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布)をエアーバッグに加工する際は、少なくともエアーバッグの内面側がシリコーンゴムでコーティングされているように2枚の平織布の外周部同士を接着剤で貼り合わせ、かつその接着剤層を縫い合わせて作製する方法、織りによって袋部を形成する方法などが挙げられる。
以下、調製例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、以下で用いるメタルハライドランプは、製品名:M06−L61(岩崎電気株式会社製)のランプを用い、波長250〜600nmの紫外線を照射することができるものを使用した。また、以下の実施例において、粘度は回転粘度計により測定した値であり、重量平均分子量はトルエンを展開溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量であり、室温とは25℃であり、粘度はJIS K 7117−1:1999に記載の方法で測定した25℃における値である。
[調製例1]
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A1)65質量部、ヘキサメチルジシラザン8質量部、水2質量部、比表面積がBET法で300m2/gであるシリカ微粉末(C)(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、室温まで降温して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A1)19質量部、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を5モル%、ジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された25℃での粘度が700mPa・sのジメチル−ビニルメチルポリシロキサン(A2)5質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(I)を得た。
上記で得られたベースコンパウンド(I)76.5質量部に、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A1)10質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A3)35.5質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A4)5質量部、(CH33SiO1/2単位39.5モル%と(CH32(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B)(重量平均分子量:6,000)5質量部、25℃における粘度が45mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(D)(ケイ素原子結合水素原子含有量=1.08質量%)6.0質量部、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)を白金原子含有量として0.5質量%含有するトルエン溶液(E1)0.76質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(F)0.3質量部、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド(G)0.2質量部を室温にて1時間混合して、組成物A((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(D)成分中のSiH基のモル比;SiH/SiVi=5、粘度50,000mPa・s)を調製した。
[調製例2]
調製例1のビス(アセチルアセトナト)白金(II)を白金原子含有量として0.5質量%含有するトルエン溶液(E1)の代わりに、メチルシクロペンタジエニルトリメチル白金(IV)を白金原子含有量として0.5質量%含有するトルエン溶液(E2)0.76質量部を使用した以外は全て、調製例1と同一処方にて、組成物B((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(D)成分中のSiH基のモル比;SiH/SiVi=5、粘度50,000mPa・s)を調製した。
[調製例3]
調製例1のビス(アセチルアセトナト)白金(II)を白金原子含有量として0.5質量%含有するトルエン溶液(E1)の代わりに、1−エチニルシクロヘキサノール0.09質量部、及び塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(E3)0.38質量部を使用した以外は全て、調製例1と同一処方にて、組成物C((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(D)成分中のSiH基のモル比;SiH/SiVi=5、粘度50,000mPa・s)を調製した。
[実施例1]
調製例1で調製した組成物Aに対して、室温にて、メタルハライドランプを用い、紫外線強度100mW/cm2で積算照度が30,000mJ/cm2となるように紫外線を照射し、130mm×170mm×2.2mmの硬化物シートを作製した。このシートについてJIS K 6249:2003に従って硬さ、切断時伸び、引張強さを測定した。また、組成物Aをエアーバッグ用66ナイロン基布(210デニール)にコーティング量が25〜30g/m2になるようにコーティングした後に、室温にて、メタルハライドランプを用い、紫外線強度100mW/cm2で積算照度が5,000mJ/cm2となるように、紫外線を照射したコーティング基布を用いて、コーティング基布の収縮の評価、及びスコット揉み試験(装置名:スコット耐揉摩耗試験機、株式会社東洋精機製作所製)を行った。この結果を表1に示す。
[実施例2]
調製例1で調製した組成物Aに対して、室温にて、メタルハライドランプを用い、紫外線強度100mW/cm2で積算照度が2,000mJ/cm2となるように、紫外線を照射した後、乾燥機で100℃×5分間硬化促進を行い、130mm×170mm×2.2mmの硬化物シートを作製し、このシートについてJIS K 6249:2003に従って硬さ、切断時伸び、引張強さを測定した。また、組成物Aをエアーバッグ用66ナイロン基布(210デニール)にコーティング量が25〜30g/m2になるようにコーティングした後に、室温にて、メタルハライドランプを用い、紫外線強度100mW/cm2で積算照度が500mJ/cm2となるように、紫外線を照射した後、乾燥機で100℃×20秒間加熱乾燥を行ったコーティング基布を用いて実施例1と同様にコーティング基布の収縮の評価、及びスコット揉み試験を行った。この結果を表1に示す。
[実施例3]
調製例2で調製した組成物Bに対して、室温にて、メタルハライドランプを用い、紫外線強度100mW/cm2で積算照度が30,000mJ/cm2となるように紫外線を照射し、130mm×170mm×2.2mmの硬化物シートを作製した。このシートについてJIS K 6249:2003に従って硬さ、切断時伸び、引張強さを測定した。また、組成物Bをエアーバッグ用66ナイロン基布(210デニール)にコーティング量が25〜30g/m2になるようにコーティングした後に、室温にて、メタルハライドランプを用い、紫外線強度100mW/cm2で積算照度が5,000mJ/cm2となるように、紫外線を照射したコーティング基布を用いて実施例1と同様にコーティング基布の収縮の評価、及びスコット揉み試験を行った。この結果を表1に示す。
[比較例1]
調製例3で調製した組成物Cに対して、室温にて、メタルハライドランプを用い、紫外線強度100mW/cm2で積算照度が30,000mJ/cm2となるように、紫外線を照射したが、未硬化であった。また、組成物Cをエアーバッグ用66ナイロン基布(210デニール)にコーティング量が25〜30g/m2になるようにコーティングした後に、室温にて、メタルハライドランプを用い、紫外線強度100mW/cm2で積算照度が5,000mJ/cm2となるように、紫外線を照射したが、未硬化であった。この結果を表1に示す。
[比較例2]
調製例3で調製した組成物Cに対して、室温にて、メタルハライドランプを用い、紫外線強度100mW/cm2で積算照度が2,000mJ/cm2となるように、紫外線を照射した後、乾燥機で100℃×5分間硬化促進を行ったが、未硬化であった。また、組成物Cをエアーバッグ用66ナイロン基布(210デニール)にコーティング量が25〜30g/m2になるようにコーティングした後に、室温にて、メタルハライドランプを用い、紫外線強度100mW/cm2で積算照度が500mJ/cm2となるように、紫外線を照射した後、乾燥機で100℃×20秒間加熱乾燥を行ったが、未硬化であった。この結果を表1に示す。
[比較例3]
調製例3で調製した組成物Cを150℃で5分プレスキュアーすることで、130mm×170mm×2.2mmの硬化物シートを作製し、このシートについてJIS K 6249:2003に従って硬さ、切断時伸び、引張強さ、引裂き強さを測定した。また、組成物Cをエアーバッグ用66ナイロン基布(210デニール)にコーティング量が25〜30g/m2になるようにコーティングした後に、乾燥機で180℃×1分間加熱したコーティング基布を用いて実施例1と同様にコーティング基布の収縮の評価、及びスコット揉み試験を行った。この結果を表1に示す。
<コーティング基布の収縮の評価方法>
上記のシリコーンゴム被覆ナイロン基布を50mm×50mmの正方形にカットし、コーティング面が上になるように机上に置き、基布の4隅の接地面からの高さの合計が10mm以下の場合を合格、10mmより大きい場合を不合格と評価した。
<スコット揉み試験方法>
スコット揉み試験は、JIS K 6404−6:1999記載の方法で、スコット揉み試験機(装置名:スコット耐揉摩耗試験機、株式会社東洋精機製作所製)を用いて行った。上記のシリコーンゴム被覆ナイロン基布について、押し圧力19.6Nで1,500回のスコット揉み試験を行った後、コーティング部分の破壊状況を目視で確認し、シリコーンゴム層がコーティング面から剥離していない場合を合格と評価し、剥離している場合を不合格と評価した。
Figure 2018003194
本発明によるエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法によれば、本発明にかかる紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を繊維布からなる基材(エアーバッグ用基布)の少なくとも一方の表面に塗布し、紫外線を照射することにより硬化させることで、従来よりも低温での硬化が可能であり、この方法によりシリコーンゴム層を形成することで、スコット揉み試験において接着性の優れたエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布を得ることができる。

Claims (7)

  1. 繊維布からなる基材の少なくとも一方の表面に、下記(A)〜(F)成分、
    (A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する25℃で液状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)25℃でパウダー状の三次元網状オルガノポリシロキサンレジン(但し、該オルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子を含まない):0.1〜100質量部、
    (C)BET法比表面積が50m2/g以上のシリカ微粉末:1〜50質量部、
    (D)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分の1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1個当たり、1〜10個となる量、
    (E)ヒドロシリル化反応用触媒として、200〜500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒:有効量、
    (F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1〜10質量部
    を含む紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を塗工する工程、及び該塗工面に紫外線を照射する工程を有することを特徴とするエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法。
  2. 紫外線照射工程に次いで、40℃〜120℃での硬化促進工程を有することを特徴とする請求項1に記載のエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法。
  3. 紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物に、更に、(G)有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を(A)成分100質量部に対して0.1〜5質量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法。
  4. 前記紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング剤組成物において、(F)成分が、接着性付与官能基としてエポキシ基及びケイ素原子結合アルコキシ基を1分子中にそれぞれ1個以上有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法。
  5. 下記(A)〜(F)成分、
    (A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する25℃で液状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)25℃でパウダー状の三次元網状オルガノポリシロキサンレジン(但し、該オルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子を含まない):0.1〜100質量部、
    (C)BET法比表面積が50m2/g以上のシリカ微粉末:1〜50質量部、
    (D)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分の1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1個当たり、1〜10個となる量、
    (E)ヒドロシリル化反応用触媒として、200〜500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒:有効量、
    (F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1〜10質量部
    を含む紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤。
  6. 更に、(G)有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を(A)成分100質量部に対して0.1〜5質量部含有する請求項5に記載の紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤。
  7. 請求項5又は6に記載の紫外線硬化型エアーバッグコーティング剤の硬化被膜を有するエアーバッグ用基布。
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