JP2016199680A - カーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コーティング量が少なくても、低燃焼速度性に優れ、低粘度性/高接着性の優れた液状シリコーンゴムコーティング剤組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(A)加熱減量(150℃、3時間)が1%以下のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、
(C)比表面積が50m2/g以上のシリカ微粉末、
(D)シリカ表面処理剤、
(E)水、
(F)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(G)付加反応触媒、
(H)接着性付与官能基含有有機ケイ素化合物
を含み、
〔i〕(A)の一部と、(C)、(D)、(E)の全部とを130℃未満で混練する工程、
〔ii〕この工程で得られた混合物を130〜200℃で熱処理する工程、
〔iii〕この混合物に(A)の一部を混練して均一な混合物とし、特定のチキソ比に制御する工程及び
〔iv〕この混合物に(A)成分の残部と(B)、(F)〜(H)の全量を混練する工程
を有する上記組成物の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】(A)加熱減量(150℃、3時間)が1%以下のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、
(C)比表面積が50m2/g以上のシリカ微粉末、
(D)シリカ表面処理剤、
(E)水、
(F)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(G)付加反応触媒、
(H)接着性付与官能基含有有機ケイ素化合物
を含み、
〔i〕(A)の一部と、(C)、(D)、(E)の全部とを130℃未満で混練する工程、
〔ii〕この工程で得られた混合物を130〜200℃で熱処理する工程、
〔iii〕この混合物に(A)の一部を混練して均一な混合物とし、特定のチキソ比に制御する工程及び
〔iv〕この混合物に(A)成分の残部と(B)、(F)〜(H)の全量を混練する工程
を有する上記組成物の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、6,6−ナイロン、6−ナイロン、ポリエステル等の繊維布にシリコーンゴムコーティング膜を形成させた車両等のエアーバッグを作製するのに好適で、特に運転席や助手席に装着されるエアーバッグとは異なり、フロントピラーからルーフサイドに沿って収納され、衝突時や車両の転倒時に頭部の保護や飛び出しを防ぐために一定膨脹時間を維持することが要求されるカーテンエアーバッグを作製するのに好適な液状シリコーンゴムコーティング剤組成物、特に、カーテンエアーバッグ用途に使用した際にFMVSS−302に規定される低燃焼速度性に優れ、なおかつ、低粘度性/高接着性の優れた液状シリコーンゴムコーティング剤組成物及びその製造方法に関する。
従来、繊維表面へゴム皮膜を形成することを目的としたエアーバッグ用シリコーンゴム組成物としては、以下のものが知られている。即ち、特許文献1(特許第3165312号公報)には、付加硬化型組成物に無機質充填剤とオルガノポリシロキサンレジンとを添加してなる、米国のFMVSS−302(Federal Motor Vehicle Safety Standard−302)に規定される燃焼速度に優れるエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物が開示されている。特許文献2(特開2006−82443号公報)には、付加硬化型組成物を介して繊維表面に積層した樹脂フィルム層とからなるFMVSS−302に規定される燃焼速度に優れるエアーバッグ用の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物が開示されている。特許文献3(特開2010−53493号公報)には、付加硬化型組成物に補強性シリカ微粉末と水酸化アルミニウムとを添加してなる、FMVSS−302に規定される燃焼速度に優れ、また表面粘着性の少ないエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング組成物が開示されている。
しかし、これら組成物は、カーテンエアーバッグ用途に使用した場合には、いずれも近年の燃焼速度に対する高い要求に応えることが難しいという問題があり、特に、近年の基布に対する低被覆量の市場要求に対しても上記低燃焼速度性の要求特性を満足させ得るものではなかった。
また、特許第3945082号公報(特許文献4)では、湿式シリカのみを有するコーティング組成物が、特開平5−25435号公報(特許文献5)では、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物を、特開平5−98579号公報(特許文献6)では、イソシアネート基を有する有機ケイ素化合物をそれぞれ接着性成分としたコーティング組成物が開示されている。特開平5−214295号公報(特許文献7)では、付加硬化型組成物に無機質充填剤とシロキサンレジン、エポキシ基含有ケイ素化合物を添加してなる、基布に対する接着性に優れるエアーバッグ用のシリコーンゴム組成物が開示されている。特開2002−138249号公報(特許文献8)には、付加硬化型組成物に無機質充填剤、シロキサンレジン、有機チタン化合物及びアルキルシリケートを添加してなる、短時間の加熱硬化で基布に対する接着性に優れた硬化物が得られるエアーバッグ用のシリコーンゴム組成物が開示されている。
しかし、これら組成物は、エアーバッグ用途に使用した場合に、エアーバッグコーティング時に必要とされる低粘度性及びエアーバッグ用基布に対する接着性を十分満足するものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、カーテンエアーバッグ用途に使用した際に、カーテンエアーバッグ基布に対するコーティング量(被覆量)が少なくても、FMVSS−302に規定される低燃焼速度性に優れる硬化皮膜(コーティング層)を与え、なおかつ、低粘度性/高接着性の優れた液状シリコーンゴムコーティング剤組成物及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、下記(A)〜(H)成分を必須成分とし、(A)成分の1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンの150℃で3時間加熱後における加熱減量を特定の質量%以下に制御し、なおかつ下記に示す第一〜第四の工程を経て製造されることにより、FMVSS−302に規定される低燃焼速度性に優れ、なおかつ、低粘度性/高接着性の優れた液状シリコーンゴムコーティング剤組成物が定常的に得られることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記に示すカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物及びその製造方法を提供する。
〔1〕
(A)150℃で3時間加熱後の加熱減量が1.0質量%以下に制御された1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)三次元網状オルガノポリシロキサンレジン(但し、該オルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子を含まない):0〜50質量部、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上のシリカ微粉末:10〜30質量部、
(D)シリカ表面処理剤:2〜12質量部、
(E)水:0.5〜3質量部、
(F)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分の1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1個当たり、1〜10個となる量、
(G)付加反応触媒:有効量、
(H)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1〜10質量部
を必須成分としてなるカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法であって、
〔i〕上記(A)成分の一部と、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の全部とを130℃未満の温度で混練する第一の工程、
〔ii〕この第一の工程で得られた混合物を130〜200℃で熱処理する第二の工程、
〔iii〕この熱処理後の混合物に上記(A)成分の一部を混練して均一な混合物とすることにより、該混合物の粘度を25℃で測定した場合のせん断速度10/secでの粘度に対するせん断速度0.9/secでの粘度の比;(せん断速度0.9/secでの粘度)/(せん断速度10/secでの粘度)が3.0〜5.0の範囲のチキソ比に制御する第三の工程及び
〔iv〕この熱処理後の混合物に上記(A)成分の残部と、(B)成分及び(F)〜(H)成分の全量とを混練する第四の工程
を有することを特徴とするカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法。
〔2〕
更に、(I)有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を(A)成分100質量部に対し0.1〜5質量部含有し、上記〔iv〕の第四の工程で添加、混練する〔1〕に記載のカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法。
〔3〕
シリカ表面処理剤がヘキサメチルジシラザンであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法。
〔4〕
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法により製造されたカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物。
〔1〕
(A)150℃で3時間加熱後の加熱減量が1.0質量%以下に制御された1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)三次元網状オルガノポリシロキサンレジン(但し、該オルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子を含まない):0〜50質量部、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上のシリカ微粉末:10〜30質量部、
(D)シリカ表面処理剤:2〜12質量部、
(E)水:0.5〜3質量部、
(F)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分の1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1個当たり、1〜10個となる量、
(G)付加反応触媒:有効量、
(H)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1〜10質量部
を必須成分としてなるカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法であって、
〔i〕上記(A)成分の一部と、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の全部とを130℃未満の温度で混練する第一の工程、
〔ii〕この第一の工程で得られた混合物を130〜200℃で熱処理する第二の工程、
〔iii〕この熱処理後の混合物に上記(A)成分の一部を混練して均一な混合物とすることにより、該混合物の粘度を25℃で測定した場合のせん断速度10/secでの粘度に対するせん断速度0.9/secでの粘度の比;(せん断速度0.9/secでの粘度)/(せん断速度10/secでの粘度)が3.0〜5.0の範囲のチキソ比に制御する第三の工程及び
〔iv〕この熱処理後の混合物に上記(A)成分の残部と、(B)成分及び(F)〜(H)成分の全量とを混練する第四の工程
を有することを特徴とするカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法。
〔2〕
更に、(I)有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を(A)成分100質量部に対し0.1〜5質量部含有し、上記〔iv〕の第四の工程で添加、混練する〔1〕に記載のカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法。
〔3〕
シリカ表面処理剤がヘキサメチルジシラザンであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法。
〔4〕
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法により製造されたカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物。
本発明によれば、カーテンエアーバッグ用基布のシリコーンゴムコーティング層に使用した場合、カーテンエアーバッグ基布に対するコーティング量(被覆量)が少なくても、該コーティング布が、FMVSS−302に規定される低燃焼速度性に優れる硬化皮膜(コーティング層)が得られ、なおかつ、低粘度性/接着性の優れた液状シリコーンゴムコーティング剤組成物が得られる。該基材の少なくとも一方の表面に、該組成物の硬化物からなるシリコーンゴムコーティング層を有するカーテンエアーバッグは、低燃焼速度性及び低粘度性/高接着性に優れる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。なお、本発明において、粘度は、室温(25℃を意味する、以下同じ)において回転粘度計(BL型、BH型、BS型、コーンプレート型等)により測定した値である。
<液状シリコーンゴムコーティング剤組成物>
本発明のカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、以下の(A)〜(H)成分を含有してなるものであって、室温(25℃)で液状のものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
本発明のカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、以下の(A)〜(H)成分を含有してなるものであって、室温(25℃)で液状のものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
[(A)成分]
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有する室温(25℃)で液状のオルガノポリシロキサンであり、本発明組成物のベースポリマー(主剤)である。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有する室温(25℃)で液状のオルガノポリシロキサンであり、本発明組成物のベースポリマー(主剤)である。
(A)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状等が挙げられるが、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。また、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造が直鎖状又は分岐鎖状である場合、該オルガノポリシロキサンの分子中においてアルケニル基が結合するケイ素原子の位置は、分子鎖末端(即ち、トリオルガノシロキシ基)及び分子鎖途中(即ち、分子鎖非末端に位置する2官能性のジオルガノシロキサン単位又は3官能性のモノオルガノシルセスキオキサン単位)のどちらか一方でも両方でもよい。特に好ましくは、(A)成分は、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基としては、例えば、通常、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜4のものが挙げられる。その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、特にビニル基であることが好ましい。
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合した1価の有機基(即ち、非置換もしくは置換の1価炭化水素基)全体に対して0.001〜10モル%であることが好ましく、特に0.01〜5モル%程度であることが好ましい。
(A)成分のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する1価の有機基としては、例えば、互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の、通常、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜10程度の1価炭化水素基が挙げられる。該1価炭化水素基が置換されている場合、その置換例としては、ハロゲン置換のものが挙げられる。該1価の有機基(非置換もしくは置換1価炭化水素基)の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、フェニル基であることが好ましい。なお、(A)成分はエポキシ基を含有しない。
(A)成分の25℃における粘度は、100〜500,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に300〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。該粘度がこの範囲内にあると、得られる組成物の取り扱い作業性が良好であり、また、得られるシリコーンゴムの物理的特性が良好である。本発明において、粘度は、例えば、室温(25℃)において回転粘度計(BL型、BH型、BS型、コーンプレート型等)により測定することができる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、(A)成分のオルガノポリシロキサンとして、後述するエポキシ基を有する有機ケイ素化合物[(H)成分]を除く。
本発明においては、FMVSS−302に規定される低燃焼速度性に優れる硬化皮膜(コーティング層)を与える液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を安定して発現させるために、(A)成分のオルガノポリシロキサン全体に関して、150℃で3時間加熱後の(A)成分の加熱減量が1.0質量%以下(0〜1.0質量%)、好ましくは0.5質量%以下(0〜0.5質量%)に予め制御しておくことが必須である。この加熱減量(即ち、(A)成分全体の加熱減量)が、1.0質量%を超える場合には、目的とするFMVSS−302に規定される低燃焼速度性が安定的に発現しない。なお、150℃で3時間加熱後の加熱減量を上記値とするには、通常、オルガノシクロトリシロキサン、オルガノシクロテトラシロキサン等の環状シロキサンとヘキサオルガノジシロキサンとを酸触媒又はアルカリ触媒の存在下に加熱平衡化重合によって製造された(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを、例えば、約100〜200℃程度の条件で所定時間、加熱処理して揮発成分を除去する方法等が挙げられる。その場合、加熱処理は常圧でもよいが、好ましくは100mmHg以下の減圧下に処理するのが望ましい。処理時間は各処理条件においてサンプリングすることによって、150℃、3時間加熱後の加熱減量をモニタリングすることによって適宜設定すればよい。
[(B)成分]
(B)成分は三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジンであり、好適には、3官能性のRSiO3/2単位(Rは互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の1価炭化水素基)及び4官能性のSiO2単位から選ばれる少なくとも1種の分岐鎖状シロキサン単位から基本的に構成され、必要に応じて、単官能性のRSiO1/2単位及び/又は2官能性のRSiO2/2単位を任意に含有してもよい、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(なお、ここでのオルガノ基はアルケニル基も包含し得る。)である。但し、このオルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子(SiH基)を含まない。また、エポキシ基を含有しない。
(B)成分は三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジンであり、好適には、3官能性のRSiO3/2単位(Rは互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の1価炭化水素基)及び4官能性のSiO2単位から選ばれる少なくとも1種の分岐鎖状シロキサン単位から基本的に構成され、必要に応じて、単官能性のRSiO1/2単位及び/又は2官能性のRSiO2/2単位を任意に含有してもよい、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(なお、ここでのオルガノ基はアルケニル基も包含し得る。)である。但し、このオルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子(SiH基)を含まない。また、エポキシ基を含有しない。
この同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基;Rとしては、上記(A)成分中において例示したアルケニル基及び1価の有機基(非置換もしくは置換の1価炭化水素基)と同様のものが挙げられ、具体的には、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、ビニル基、フェニル基であることが好ましい。
(B)成分のオルガノポリシロキサンレジンの具体例としては、式:R’3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R’2R”SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R’2SiOで示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R’3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R’2R”SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R’2R”SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R’2SiOで示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R’R”SiOで示されるシロキサン単位と式:R’SiO1.5で示されるシロキサン単位もしくは式:R”SiO1.5で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
上記式中のR’はアルケニル基以外の同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、その例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられる。また、上記式中のR”はアルケニル基であり、その例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基などが挙げられる。
本発明に用いられる(B)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0〜50質量部であり、0.5〜30質量部とすることが好ましく、1〜10質量部とすることがより好ましく、1〜5質量部未満(1〜4.9質量部)とすることが更に好ましい。配合量が多すぎると、コスト的に高いものとなり、不経済となりやすい。
(B)成分の三次元網状オルガノポリシロキサンレジンは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
[(C)成分]
本発明に用いられる(C)成分のシリカ微粉末は、補強性充填剤として作用する。即ち、本発明の組成物から得られるシリコーンゴムに高引裂き性を付与するもので、シリカ微粉末を補強性充填剤として使用することにより、本発明に必要な引裂き強度特性を満足するコーティング膜を形成することが可能となる。かかるシリカ微粉末は、比表面積(BET法)が50m2/g以上、好ましくは50〜400m2/g、特に好ましくは100〜300m2/gであることが必要であり、比表面積が50m2/g未満では、満足するような引裂き強度特性を付与することができない。
本発明に用いられる(C)成分のシリカ微粉末は、補強性充填剤として作用する。即ち、本発明の組成物から得られるシリコーンゴムに高引裂き性を付与するもので、シリカ微粉末を補強性充填剤として使用することにより、本発明に必要な引裂き強度特性を満足するコーティング膜を形成することが可能となる。かかるシリカ微粉末は、比表面積(BET法)が50m2/g以上、好ましくは50〜400m2/g、特に好ましくは100〜300m2/gであることが必要であり、比表面積が50m2/g未満では、満足するような引裂き強度特性を付与することができない。
本発明において、このようなシリカ微粉末としては、比表面積が上記範囲内であることを条件として、従来からシリコーンゴムの補強性充填剤として使用されている公知のものでよく、例えば、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明に用いられる(C)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して10〜30質量部であり、特に10〜20質量部とすることが好ましい。配合量が少なすぎると、本発明に必要な強度が得られず、配合量が多すぎると、組成物のチキソ性が大きくなり、流動性が低下してコーティング作業が悪くなる。
[(D)成分]
(D)成分のシリカ表面処理剤は、(C)成分の表面処理を行い、(C)成分の(A)成分及び(B)成分に対する濡れ性、分散性を向上させるウェッターとして作用するばかりでなく、かつ、(H)成分による(C)成分の擬似架橋(クリープハードニング)を抑制し、組成物をFMVSS−302に規定される低燃焼速度化させる役割を担うものであり、なおかつ、低粘度性/高接着性の役割を担うものである。
(D)成分のシリカ表面処理剤は、(C)成分の表面処理を行い、(C)成分の(A)成分及び(B)成分に対する濡れ性、分散性を向上させるウェッターとして作用するばかりでなく、かつ、(H)成分による(C)成分の擬似架橋(クリープハードニング)を抑制し、組成物をFMVSS−302に規定される低燃焼速度化させる役割を担うものであり、なおかつ、低粘度性/高接着性の役割を担うものである。
(D)成分のシリカ表面処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラビニルジシラザン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタメチルトリシラザン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ビニルトリシラザン等のアルキルシラザンやアルケニル基含有アルキルシラザンなどのオルガノシラザンや、ジメチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルビニルシラン等のジメチルアミノ基含有オルガノアミノシランやオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン等のオルガノシラン類などの有機ケイ素化合物が挙げられる。
この(D)成分の添加量は、(A)成分100質量部に対して2〜12質量部であり、好ましくは3〜10質量部、より好ましくは4〜8質量部である。添加量が2質量部より少ないと(C)成分の表面処理が十分行えず、12質量部より多いと過剰となり、経済上好ましくない。(D)成分のシリカ表面処理剤は1種又は2種以上を併用して用いることができる。
[(E)成分]
(E)成分の水は、上記(D)成分の分解を速め、(C)成分の表面処理速度を増大させる役割を担っている。この(E)成分の添加量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜3質量部であり、好ましくは0.8〜2.5質量部、より好ましくは1〜2質量部である。添加量が3質量部より多いと、特性の向上はそれ以上望めず、シリコーンゴム組成物の熱処理後に水を除去する工程が長くなり、生産上好ましいものではない。また、添加量が少ないと(C)成分の表面処理が十分に行えない。
(E)成分の水は、上記(D)成分の分解を速め、(C)成分の表面処理速度を増大させる役割を担っている。この(E)成分の添加量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜3質量部であり、好ましくは0.8〜2.5質量部、より好ましくは1〜2質量部である。添加量が3質量部より多いと、特性の向上はそれ以上望めず、シリコーンゴム組成物の熱処理後に水を除去する工程が長くなり、生産上好ましいものではない。また、添加量が少ないと(C)成分の表面処理が十分に行えない。
[(F)成分]
(F)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分及び(B)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものであり、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている、例えば直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造等各種のものが使用可能であるが、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合した水素原子(SiHで表されるヒドロシリル基)を有する必要があり、また実質的に分子中にケイ素原子に結合した水酸基(即ち、シラノール基)を含有しないものであり、通常、2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個程度のSiH基を有することが望ましい。(F)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、(F)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、後述するエポキシ基を有する有機ケイ素化合物[(H)成分]を除く。
(F)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分及び(B)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものであり、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている、例えば直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造等各種のものが使用可能であるが、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合した水素原子(SiHで表されるヒドロシリル基)を有する必要があり、また実質的に分子中にケイ素原子に結合した水酸基(即ち、シラノール基)を含有しないものであり、通常、2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個程度のSiH基を有することが望ましい。(F)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、(F)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、後述するエポキシ基を有する有機ケイ素化合物[(H)成分]を除く。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
R1 aHbSiO(4-a-b)/2 (1)
R1 aHbSiO(4-a-b)/2 (1)
上記式(1)中、R1は互いに同一又は異種の、アルケニル基等の脂肪族不飽和結合を除く、好ましくは炭素数1〜10の、ケイ素原子に結合した非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、このR1における非置換もしくは置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。R1の非置換もしくは置換の1価炭化水素基としては、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基である。また、aは0.7〜2.1、bは0.001〜1.0で、かつa+bが0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくはaは1.0〜2.0、bは0.01〜1.0、a+bが1.5〜2.5である。
1分子中に少なくとも2個(通常、2〜300個)、好ましくは3個以上(例えば、3〜200個)、より好ましくは4〜100個程度含有するSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は、通常2〜300個、好ましくは3〜150個、より好ましくは4〜100個程度のものが望ましく、25℃における粘度が、通常0.1〜1,000mPa・s、好ましくは0.5〜500mPa・s程度の、室温(25℃)で液状のものが使用される。なお、重合度は、例えば、トルエンを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(数平均分子量)又は重量平均重合度(重量平均分子量)等として求めることができる。
このような(F)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサンや、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの、式:R2 3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R2 2HSiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R2 2HSiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R2HSiOで示されるシロキサン単位と式:R2SiO1.5で示されるシロキサン単位もしくは式:HSiO1.5で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。上記式中のR2はアルケニル基以外の1価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。
(F)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モル(又は個)に対して(F)成分中のケイ素原子結合水素原子が1〜10モル(又は個)、好ましくは1〜5モル(又は個)の範囲内となる量である。(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(F)成分中のケイ素原子結合水素原子が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、またこれが10モルを超えると、得られるシリコーンゴムの耐熱性が極端に劣る。
[(G)成分]
(G)成分の付加反応触媒としては、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と(F)成分中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進するものであればいかなる触媒を使用してもよいが、通常は、白金族金属触媒を好適に使用できる。(G)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。(G)成分としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属や塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属化合物が挙げられるが、特に好ましくは白金化合物である。
(G)成分の付加反応触媒としては、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と(F)成分中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進するものであればいかなる触媒を使用してもよいが、通常は、白金族金属触媒を好適に使用できる。(G)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。(G)成分としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属や塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属化合物が挙げられるが、特に好ましくは白金化合物である。
(G)成分の配合量は、付加反応触媒としての有効量でよく、好ましくは(A)成分、(B)成分及び(F)成分の合計質量に対して触媒金属元素(白金族金属元素)の質量換算で、通常、0.5〜1,000ppm、好ましくは1〜500ppmの範囲であり、より好ましくは10〜100ppmの範囲である。該配合量がこの範囲内にあると、付加反応が十分に促進されやすく、また硬化が十分となりやすく、更に該配合量の増加に応じて付加反応の速度が向上しやすいので、経済的にも有利となりやすい。
[(H)成分]
(H)成分は、1分子中にエポキシ基とケイ素原子結合アルコキシ基とを有する有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物としては、1分子中にエポキシ基とケイ素原子結合アルコキシ基とを有するものであれば、いかなる有機ケイ素化合物でも使用できるが、接着発現性の観点からは、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも2個のケイ素原子結合アルコキシ基(例えば、トリアルコキシシリル基、オルガノジアルコキシシリル基等)とを有する有機ケイ素化合物、例えば、オルガノシラン、又はケイ素原子数が2〜30個、好ましくは4〜20個程度の環状もしくは直鎖状のオルガノシロキサンであって、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも2個のケイ素原子結合アルコキシ基とを有するものであることが好ましい。(H)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(H)成分は、1分子中にエポキシ基とケイ素原子結合アルコキシ基とを有する有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物としては、1分子中にエポキシ基とケイ素原子結合アルコキシ基とを有するものであれば、いかなる有機ケイ素化合物でも使用できるが、接着発現性の観点からは、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも2個のケイ素原子結合アルコキシ基(例えば、トリアルコキシシリル基、オルガノジアルコキシシリル基等)とを有する有機ケイ素化合物、例えば、オルガノシラン、又はケイ素原子数が2〜30個、好ましくは4〜20個程度の環状もしくは直鎖状のオルガノシロキサンであって、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも2個のケイ素原子結合アルコキシ基とを有するものであることが好ましい。(H)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エポキシ基は、例えば、グリシドキシプロピル基等のグリシドキシアルキル基;2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基等のエポキシ含有シクロヘキシルアルキル基等の形で、ケイ素原子に結合していることが好ましい。ケイ素原子結合アルコキシ基は、ケイ素原子と結合して、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基等を形成していることが好ましい。
また、(H)成分は、1分子中にエポキシ基及びケイ素原子結合アルコキシ基以外の官能性基として、例えば、ビニル基等のアルケニル基、アクリル基、(メタ)アクリロキシ基、及びヒドロシリル基(SiH基)からなる群より選択される少なくとも1種の官能性基を有するものであっても、有さないものであってもよい。
(H)成分の有機ケイ素化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジエトキシシラン、(2,3−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、(2,3−エポキシシクロヘキシルエチル)トリエトキシシラン、(2,3−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジメトキシシラン、(2,3−エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジエトキシシラン等のエポキシ官能性基含有シランカップリング剤(即ち、エポキシ官能性基含有オルガノアルコキシシラン)の他、下記の化学式で示されるオルガノシラン、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、これらの2種以上の混合物、あるいはこれらの1種もしくは2種以上の部分加水分解縮合物等が挙げられる。
(H)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜10質量部であり、好ましくは0.25〜5質量部である。該配合量が0.1質量部未満であると、得られる組成物が十分な接着力を有しない。該配合量が10質量部を超えると、該配合量を増加させても、得られる組成物は接着力が向上しにくくなり、コスト的に高いものとなり、不経済となりやすい。
また、(H)成分がアルケニル基及び/又はSiH基を含む場合、(A)成分、(B)成分及び(H)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モル(又は個)に対して(F)成分及び(H)成分中のケイ素原子結合水素原子が1〜10モル(又は個)、好ましくは1〜8モル(又は個)、より好ましくは1〜6モル(又は個)の範囲内となる量である。(A)成分、(B)成分及び(H)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(F)成分及び(H)成分中のケイ素原子結合水素原子が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、十分な接着力を有しない。一方、これが10モルを超えると、得られるシリコーンゴムの耐熱性が極端に劣り、接着力が向上しにくくなり、コスト的に高いものとなり、不経済となりやすい。
[その他の成分]
本発明の組成物には、前記(A)〜(H)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物には、前記(A)〜(H)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
[(I)成分]
(I)成分の縮合触媒は、有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種であり、接着促進のための縮合助触媒として作用するものである。(I)成分は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。(I)成分の具体例としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド等の有機チタン酸エステル、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタンキレート化合物等のチタン系縮合助触媒(チタニウム化合物)、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド等の有機ジルコニウムエステル、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウムキレート化合物等のジルコニウム系縮合助触媒(ジルコニウム化合物)が挙げられる。
(I)成分の縮合触媒は、有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種であり、接着促進のための縮合助触媒として作用するものである。(I)成分は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。(I)成分の具体例としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド等の有機チタン酸エステル、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタンキレート化合物等のチタン系縮合助触媒(チタニウム化合物)、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド等の有機ジルコニウムエステル、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウムキレート化合物等のジルコニウム系縮合助触媒(ジルコニウム化合物)が挙げられる。
(I)成分の有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物は、必要に応じて配合される任意成分であり、その配合量は(A)成分100質量部に対して、通常、5質量部以下(0〜5質量部)程度でよいが、(I)成分を配合する場合には、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜2質量部の範囲である。該配合量が0.1質量部未満であると、得られる硬化物は高温高湿下での接着耐久性が低下しやすくなる場合があり、該配合量が5質量部を超えると、得られる硬化物は耐熱性が低下しやすくなる場合がある。
・反応制御剤
反応制御剤は、上記(G)成分の付加反応触媒に対して硬化抑制効果を有する化合物であれば特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。その具体例としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレンアルコール類等のアセチレン系化合物;アルケニル基を2個以上含む化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体などが挙げられる。
反応制御剤は、上記(G)成分の付加反応触媒に対して硬化抑制効果を有する化合物であれば特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。その具体例としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレンアルコール類等のアセチレン系化合物;アルケニル基を2個以上含む化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体などが挙げられる。
反応制御剤による硬化抑制効果の度合は、その反応制御剤の化学構造によって異なるため、反応制御剤の添加量は、使用する反応制御剤の各々について、最適な量に調整することが好ましい。最適な量の反応制御剤を添加することにより、組成物は室温での長期貯蔵安定性及び硬化性に優れたものとなる。
・無機質充填剤
(C)成分のシリカ微粉末以外の無機質充填剤としては、例えば、結晶性シリカ(例えば、BET法比表面積が50m2/g未満の石英粉)、有機樹脂製中空フィラー、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(いわゆるシリコーンレジンパウダー)、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土、ガラス繊維等の無機質充填剤;これらの無機質充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した充填剤;シリコーンゴムパウダー;シリコーンレジンパウダーなどが挙げられる。
(C)成分のシリカ微粉末以外の無機質充填剤としては、例えば、結晶性シリカ(例えば、BET法比表面積が50m2/g未満の石英粉)、有機樹脂製中空フィラー、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(いわゆるシリコーンレジンパウダー)、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土、ガラス繊維等の無機質充填剤;これらの無機質充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した充填剤;シリコーンゴムパウダー;シリコーンレジンパウダーなどが挙げられる。
・その他の成分
その他にも、例えば、1分子中に1個のケイ素原子結合水素原子を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、1分子中に1個のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子もケイ素原子結合アルケニル基も他の官能性基も含有しない無官能性のオルガノポリシロキサン(いわゆるジメチルシリコーンオイル)、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チキソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤などを配合することができる。
その他にも、例えば、1分子中に1個のケイ素原子結合水素原子を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、1分子中に1個のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子もケイ素原子結合アルケニル基も他の官能性基も含有しない無官能性のオルガノポリシロキサン(いわゆるジメチルシリコーンオイル)、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チキソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤などを配合することができる。
[組成物の調製方法]
本発明の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、上記各成分を常法に準じて混合することにより調製することができるが、カーテンエアーバッグ用途に使用した際にFMVSS−302に規定される低燃焼速度性 なおかつ、低粘度性/高接着性の優れた液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を得るためには、特に(A)成分と(C)成分とのマトリックス中での(C)成分の均一な分散性を確保することが必須であり、この観点から下記〔i〕〜〔iv〕の工程を経て組成物を製造することが必要である。
〔i〕上記(A)成分の一部と、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の全部とを130℃未満の温度、好ましくは10〜125℃、より好ましくは25〜120℃、更に好ましくは25〜100℃、通常、室温(25℃)で、好ましくは0.1〜5時間、より好ましくは0.5〜2時間混練する第一の工程、
〔ii〕この第一の工程で得られた混合物を130〜200℃、好ましくは140〜190℃、より好ましくは145〜180℃で、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜5時間熱処理する第二の工程、
〔iii〕この熱処理後の混合物に上記(A)成分の一部を混練して均一な混合物とすることにより、該混合物の粘度を25℃で測定した場合のせん断速度10/secでの粘度に対するせん断速度0.9/secでの粘度の比;(せん断速度0.9/secでの粘度)/(せん断速度10/secでの粘度)が3.0〜5.0の範囲のチキソ比に制御する第三の工程
及び
〔iv〕この混合物に、上記(A)成分の残部と、(B)成分及び(F)〜(H)成分の全量とを10〜120℃、通常、室温(25℃)において、好ましくは0.1〜3時間、より好ましくは0.5〜1.5時間混練する第四の工程。
第二の工程における熱処理温度が低すぎると、耐燃焼性に優れたシリコーンゴム硬化物を得ることができない。
本発明の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、上記各成分を常法に準じて混合することにより調製することができるが、カーテンエアーバッグ用途に使用した際にFMVSS−302に規定される低燃焼速度性 なおかつ、低粘度性/高接着性の優れた液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を得るためには、特に(A)成分と(C)成分とのマトリックス中での(C)成分の均一な分散性を確保することが必須であり、この観点から下記〔i〕〜〔iv〕の工程を経て組成物を製造することが必要である。
〔i〕上記(A)成分の一部と、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の全部とを130℃未満の温度、好ましくは10〜125℃、より好ましくは25〜120℃、更に好ましくは25〜100℃、通常、室温(25℃)で、好ましくは0.1〜5時間、より好ましくは0.5〜2時間混練する第一の工程、
〔ii〕この第一の工程で得られた混合物を130〜200℃、好ましくは140〜190℃、より好ましくは145〜180℃で、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜5時間熱処理する第二の工程、
〔iii〕この熱処理後の混合物に上記(A)成分の一部を混練して均一な混合物とすることにより、該混合物の粘度を25℃で測定した場合のせん断速度10/secでの粘度に対するせん断速度0.9/secでの粘度の比;(せん断速度0.9/secでの粘度)/(せん断速度10/secでの粘度)が3.0〜5.0の範囲のチキソ比に制御する第三の工程
及び
〔iv〕この混合物に、上記(A)成分の残部と、(B)成分及び(F)〜(H)成分の全量とを10〜120℃、通常、室温(25℃)において、好ましくは0.1〜3時間、より好ましくは0.5〜1.5時間混練する第四の工程。
第二の工程における熱処理温度が低すぎると、耐燃焼性に優れたシリコーンゴム硬化物を得ることができない。
この場合、第一の工程において用いられる(A)成分の量は、(A)成分全体の量の20〜50質量%、特に25〜45質量%とすることが好ましく、第三の工程で用いられる(A)成分の量は、(A)成分全体の量の1〜30質量%、特に5〜25質量%とすることが好ましく、第四の工程で用いられる(A)成分の量は、(A)成分全体の量の35〜65質量%、特に40〜60質量%とすることが好ましい。
第一の工程における(A)成分の配合量が少なすぎても、多すぎても、いずれであっても、(C)成分の表面処理が十分に行えない場合が生じる。
第一の工程における(A)成分の配合量が少なすぎても、多すぎても、いずれであっても、(C)成分の表面処理が十分に行えない場合が生じる。
なお、上記(I)成分の縮合触媒を含めて、(C)成分以外の無機質充填剤をはじめとする他の任意成分は、第四の工程(〔iv〕)において配合、混練されるものである。
このようにして得られる液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の粘度は、25℃において、20〜200Pa・s程度とすることができる。
<エアーバッグ>
このようにして得られる液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、エアーバッグ用基布に対する接着性に優れるため、フロントピラーからルーフサイドに沿って収納され、衝突時や車両の転倒時に頭部の保護や飛び出しを防ぐために一定膨脹時間を維持することが要求されるカーテンエアーバッグを作製するのに好適なものである。
このようにして得られる液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、エアーバッグ用基布に対する接着性に優れるため、フロントピラーからルーフサイドに沿って収納され、衝突時や車両の転倒時に頭部の保護や飛び出しを防ぐために一定膨脹時間を維持することが要求されるカーテンエアーバッグを作製するのに好適なものである。
本発明において、上記組成物の硬化物からなるシリコーンゴムコーティング層が形成されるエアーバッグ、特にカーテンエアーバッグとしては、公知の構成のものが用いられ、その具体例としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、アラミド繊維、各種ポリアミド繊維、各種ポリエステル繊維などの各種合成繊維の織生地を基布とし、内面がゴムコーティングされた2枚の平織り基布の外周部同士を接着剤で貼り合わせ、かつその接着剤層を縫い合わせて作製した平織りタイプのエアーバッグ、前記織生地を基布とし、織りにより袋部を形成した袋織りタイプのエアーバッグが挙げられる。
[製造方法]
上記液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を、繊維布からなる基材の少なくとも一方の表面、特には一方の表面に塗布し、例えば、熱風乾燥炉に入れて加熱して硬化させることにより、シリコーンゴムコーティング層を形成させることができる。このようにして得たカーテンエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布を用いて、カーテンエアーバッグを製造することができる。
上記液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を、繊維布からなる基材の少なくとも一方の表面、特には一方の表面に塗布し、例えば、熱風乾燥炉に入れて加熱して硬化させることにより、シリコーンゴムコーティング層を形成させることができる。このようにして得たカーテンエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布を用いて、カーテンエアーバッグを製造することができる。
ここで、繊維布からなる基材としては、上述した各種合成繊維の織生地を基布とする基材が挙げられる。また、上記組成物により該基材をコーティングする方法としては、常法を採用することができるが、コーティング層の厚さ(又は表面塗布量)は、好ましくは5〜150g/m2、より好ましくは10〜80g/m2、更に好ましくは15〜60g/m2程度である。
本発明の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、公知の硬化条件下で公知の硬化方法により硬化させることができる。具体的には、例えば、120〜180℃において1〜10分加熱することにより、該組成物を硬化させることができる。
以下、調製例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、粘度は回転粘度計により測定した。また、室温は25℃を意味する。
[調製例1]
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン43質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.2質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン17質量部、ヘキサメチルジシラザン8質量部、水2質量部、比表面積がBET法で約300m2/gであるシリカ微粉末(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、室温まで降温して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン24質量部、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を5モル%、ジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された150℃で3時間の加熱減量が0.9質量%である25℃での粘度が約700mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(I)を得た。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。混合物の粘度を25℃で測定した場合、せん断速度0.9/secでの粘度とせん断速度10/secでの粘度との比は4.0であった。
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン43質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.2質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン17質量部、ヘキサメチルジシラザン8質量部、水2質量部、比表面積がBET法で約300m2/gであるシリカ微粉末(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、室温まで降温して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン24質量部、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を5モル%、ジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された150℃で3時間の加熱減量が0.9質量%である25℃での粘度が約700mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(I)を得た。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。混合物の粘度を25℃で測定した場合、せん断速度0.9/secでの粘度とせん断速度10/secでの粘度との比は4.0であった。
[調製例2](比較調製例1)
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン43質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.2質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン17質量部、ヘキサメチルジシラザン3質量部、水0.5質量部、比表面積がBET法で約300m2/gであるシリカ微粉末(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、室温まで降温して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン24質量部、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を5モル%、ジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された150℃で3時間の加熱減量が0.9質量%である25℃での粘度が約700mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(II)を得た。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。混合物の粘度を25℃で測定した場合、せん断速度0.9/secでの粘度とせん断速度10/secでの粘度との比は5.5であった。
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン43質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.2質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン17質量部、ヘキサメチルジシラザン3質量部、水0.5質量部、比表面積がBET法で約300m2/gであるシリカ微粉末(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、室温まで降温して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン24質量部、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を5モル%、ジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された150℃で3時間の加熱減量が0.9質量%である25℃での粘度が約700mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(II)を得た。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。混合物の粘度を25℃で測定した場合、せん断速度0.9/secでの粘度とせん断速度10/secでの粘度との比は5.5であった。
[調製例3](比較調製例2)
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン43質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.2質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン17質量部、ヘキサメチルジシラザン20質量部、水5質量部、比表面積がBET法で約300m2/gであるシリカ微粉末(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、室温まで降温して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン24質量部、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を5モル%、ジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された150℃で3時間の加熱減量が0.9質量%である25℃での粘度が約700mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(III)を得た。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。混合物の粘度を25℃で測定した場合、せん断速度0.9/secでの粘度とせん断速度10/secでの粘度との比は2.0であった。
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン43質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.2質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン17質量部、ヘキサメチルジシラザン20質量部、水5質量部、比表面積がBET法で約300m2/gであるシリカ微粉末(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、室温まで降温して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン24質量部、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を5モル%、ジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された150℃で3時間の加熱減量が0.9質量%である25℃での粘度が約700mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(III)を得た。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。混合物の粘度を25℃で測定した場合、せん断速度0.9/secでの粘度とせん断速度10/secでの粘度との比は2.0であった。
[調製例4](比較調製例3)
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.2質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン43質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.1質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン17質量部、ヘキサメチルジシラザン8質量部、水2質量部、比表面積がBET法で約300m2/gであるシリカ微粉末(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、室温まで降温して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.2質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン24質量部、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を5モル%、ジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された150℃で3時間の加熱減量が1.5質量%である25℃での粘度が約700mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(IV)を得た。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、1.2質量%であった。混合物の粘度を25℃で測定した場合、せん断速度0.9/secでの粘度とせん断速度10/secでの粘度との比は4.0であった。
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.2質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン43質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.1質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン17質量部、ヘキサメチルジシラザン8質量部、水2質量部、比表面積がBET法で約300m2/gであるシリカ微粉末(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、室温まで降温して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.2質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン24質量部、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を5モル%、ジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された150℃で3時間の加熱減量が1.5質量%である25℃での粘度が約700mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(IV)を得た。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、1.2質量%であった。混合物の粘度を25℃で測定した場合、せん断速度0.9/secでの粘度とせん断速度10/secでの粘度との比は4.0であった。
[実施例1]
調製例1で得たベースコンパウンド(I)76.5質量部に、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン10質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.2質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン35.5質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.2質量%である25℃での粘度が約5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン5質量部、25℃における粘度が45mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=1.08質量%)6.4質量部、1−エチニルシクロヘキサノール0.09質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液0.38質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド0.2質量部を室温にて1時間混合して、組成物A((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(F)成分中のSiH基のモル比;SiH/SiVi=5)を調製した。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。
得られた組成物Aを用いて、下記に示す各種試験(硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さの測定、及びスコット揉み試験、燃焼性試験)を行った。
調製例1で得たベースコンパウンド(I)76.5質量部に、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.3質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン10質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.2質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン35.5質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が0.2質量%である25℃での粘度が約5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン5質量部、25℃における粘度が45mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=1.08質量%)6.4質量部、1−エチニルシクロヘキサノール0.09質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液0.38質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド0.2質量部を室温にて1時間混合して、組成物A((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(F)成分中のSiH基のモル比;SiH/SiVi=5)を調製した。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。
得られた組成物Aを用いて、下記に示す各種試験(硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さの測定、及びスコット揉み試験、燃焼性試験)を行った。
<硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さの測定方法>
組成物Aを150℃で5分プレスキュアーし、次に150℃で1時間ポストキュアーすることで、JIS K 6249に準拠したシートを作製し、このシートについてJIS K 6249に従って硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さを測定した。結果を表1に示す。
組成物Aを150℃で5分プレスキュアーし、次に150℃で1時間ポストキュアーすることで、JIS K 6249に準拠したシートを作製し、このシートについてJIS K 6249に従って硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さを測定した。結果を表1に示す。
<スコット揉み試験>
スコット揉み試験は、スコット揉み試験機を用いて行った。上記のシリコーンゴム被覆ナイロン基布について、押し圧力5kgfで500回の揉み試験を行った後、コーティング部分の破壊状況を目視で確認し、シリコーンゴムコーティング層がコーティング面から剥離していない場合を合格と評価し、剥離している場合を不合格と評価した。結果を表1に示す。
スコット揉み試験は、スコット揉み試験機を用いて行った。上記のシリコーンゴム被覆ナイロン基布について、押し圧力5kgfで500回の揉み試験を行った後、コーティング部分の破壊状況を目視で確認し、シリコーンゴムコーティング層がコーティング面から剥離していない場合を合格と評価し、剥離している場合を不合格と評価した。結果を表1に示す。
<燃焼性試験>
上記のシリコーンゴム被覆ナイロン基布の燃焼性をFMVSS−302に規定の方法により評価した。FMVSS−302による炎の燃焼速度は、20mm/min以下であることが好ましい。結果を表1に示す。
上記のシリコーンゴム被覆ナイロン基布の燃焼性をFMVSS−302に規定の方法により評価した。FMVSS−302による炎の燃焼速度は、20mm/min以下であることが好ましい。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の調製例1で得たベースコンパウンド(I)76.5質量部の代わりに、調製例2で得たベースコンパウンド(II)76.5質量部を使用した以外は全て、実施例1と同一処方にて、組成物Bを調製した。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。
得られた組成物Bについて、実施例1と同様にして、硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さの測定、及びスコット揉み試験、燃焼性試験を行った。結果を表1に示す。
実施例1の調製例1で得たベースコンパウンド(I)76.5質量部の代わりに、調製例2で得たベースコンパウンド(II)76.5質量部を使用した以外は全て、実施例1と同一処方にて、組成物Bを調製した。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。
得られた組成物Bについて、実施例1と同様にして、硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さの測定、及びスコット揉み試験、燃焼性試験を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1の調製例1で得たベースコンパウンド(I)76.5質量部の代わりに、調製例3で得たベースコンパウンド(III)76.5質量部を使用した以外は全て、実施例1と同一処方にて、組成物Cを調製した。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。
得られた組成物Cについて、実施例1と同様にして、硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さの測定、及びスコット揉み試験、燃焼性試験を行った。結果を表1に示す。
実施例1の調製例1で得たベースコンパウンド(I)76.5質量部の代わりに、調製例3で得たベースコンパウンド(III)76.5質量部を使用した以外は全て、実施例1と同一処方にて、組成物Cを調製した。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、0.3質量%であった。
得られた組成物Cについて、実施例1と同様にして、硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さの測定、及びスコット揉み試験、燃焼性試験を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
調製例4で得たベースコンパウンド(IV)76.5質量部に、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.2質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン10質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.1質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン35.5質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.1質量%である25℃での粘度が約5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン5質量部、25℃における粘度が45mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=1.08質量%)6.4質量部、1−エチニルシクロヘキサノール0.09質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液0.38質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド0.2質量部を室温にて1時間混合して、組成物D((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(F)成分中のSiH基のモル比;SiH/SiVi=5)を調製した。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、1.2質量%であった。
得られた組成物Dについて、実施例1と同様にして、硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さの測定、及びスコット揉み試験、燃焼性試験を行った。結果を表1に示す。
調製例4で得たベースコンパウンド(IV)76.5質量部に、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.2質量%である25℃での粘度が約30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン10質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.1質量%である25℃での粘度が約1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン35.5質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、150℃で3時間の加熱減量が1.1質量%である25℃での粘度が約5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン5質量部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン5質量部、25℃における粘度が45mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=1.08質量%)6.4質量部、1−エチニルシクロヘキサノール0.09質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液0.38質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド0.2質量部を室温にて1時間混合して、組成物D((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(F)成分中のSiH基のモル比;SiH/SiVi=5)を調製した。なお、(A)成分全体の加熱減量(150℃、3時間)は、1.2質量%であった。
得られた組成物Dについて、実施例1と同様にして、硬さ、切断時伸び、引張り強さ、引裂き強さの測定、及びスコット揉み試験、燃焼性試験を行った。結果を表1に示す。
本発明によれば、エアーバッグ用基布のシリコーンゴムコーティング層に使用した場合、該コーティング布が、FMVSS−302に規定される低燃焼速度性に優れ、なおかつ、低粘度性/高接着性の優れた硬化皮膜(コーティング層)を与える液状シリコーンゴムコーティング剤組成物が得られる。
Claims (4)
- (A)150℃で3時間加熱後の加熱減量が1.0質量%以下に制御された1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)三次元網状オルガノポリシロキサンレジン(但し、該オルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子を含まない):0〜50質量部、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上のシリカ微粉末:10〜30質量部、
(D)シリカ表面処理剤:2〜12質量部、
(E)水:0.5〜3質量部、
(F)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分の1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が、(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1個当たり、1〜10個となる量、
(G)付加反応触媒:有効量、
(H)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1〜10質量部
を必須成分としてなるカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法であって、
〔i〕上記(A)成分の一部と、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の全部とを130℃未満の温度で混練する第一の工程、
〔ii〕この第一の工程で得られた混合物を130〜200℃で熱処理する第二の工程、
〔iii〕この熱処理後の混合物に上記(A)成分の一部を混練して均一な混合物とすることにより、該混合物の粘度を25℃で測定した場合のせん断速度10/secでの粘度に対するせん断速度0.9/secでの粘度の比;(せん断速度0.9/secでの粘度)/(せん断速度10/secでの粘度)が3.0〜5.0の範囲のチキソ比に制御する第三の工程及び
〔iv〕この熱処理後の混合物に上記(A)成分の残部と、(B)成分及び(F)〜(H)成分の全量とを混練する第四の工程
を有することを特徴とするカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法。 - 更に、(I)有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を(A)成分100質量部に対し0.1〜5質量部含有し、上記〔iv〕の第四の工程で添加、混練する請求項1に記載のカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法。
- シリカ表面処理剤がヘキサメチルジシラザンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたカーテンエアーバッグ用液状シリコーンゴムコーティング剤組成物。
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