JP7226529B2 - エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物及びエアーバッグ - Google Patents
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Description
[1]
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を分子鎖両末端に含有する重量平均重合度が100~1,000の直鎖状のジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に0~3個のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する重量平均重合度が3,000~10,000のオルガノポリシロキサン:1~20質量部、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるSiH基が、(A)成分及び(B)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1~10モルとなる量、
(D)BET法比表面積が50m2/g以上であるシリカ微粉末:1~50質量部、
(E)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)成分~(D)成分の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1~500ppm、
(F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物(但し、(A)成分、(B)成分、(C)成分は除く。):0.1~10質量部
を必須成分とすることを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
[2]
更に、(G)成分として、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を、(A)成分100質量部に対して、0.1~5質量部含有することを特徴とする[1]に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
[3]
更に、(H)成分として、パウダー状の三次元網状オルガノポリシロキサンレジン(但し、該オルガノポリシロキサンレジンは、分子中にケイ素原子結合水素原子を含まない。また、(A)成分、(B)成分は除く。)を、(A)成分100質量部に対して、0.1~100質量部含有することを特徴とする[1]又は[2]に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
[4]
(F)成分が、エポキシ基、ケイ素原子結合アルコキシ基(アルコキシシリル基)、ヒドロシリル基、イソシアネート基、アクリル基、及びメタクリル基から選ばれる少なくとも1つの接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
[5]
エアーバッグ用基布上に、[1]~[4]のいずれかに記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の硬化被膜を有することを特徴とするエアーバッグ。
本発明のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物は、以下の(A)~(F)成分を含有してなるものであって、室温(25℃)で液状のものである。以下、各成分について詳細に説明する。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有する25℃で液状のオルガノポリシロキサンであり、本発明にかかる組成物のベースポリマー(主剤)である。
(A)成分の粘度は、25℃において、50~100,000mPa・s、好ましくは100~50,000mPa・sである。
(B)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を0~3個含有する25℃でオイル状又はゴム状のオルガノポリシロキサンであり、耐ブロッキング性及び基布への接着性改善剤として配合される。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、主に(A)成分及び(B)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものである。
(C)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造等各種のものが挙げられるが、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を有する必要があり、通常2~300個、好ましくは3~200個、より好ましくは4~100個のSiH基を有することが望ましく、25℃で液状のものが使用される。このようなSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。
(A)成分及び(B)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モルに対して、(C)成分中に含まれるSiH基が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、またこれが10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣ることがある。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(D)成分のシリカ微粉末は、補強性充填剤として作用する。即ち、本発明にかかる組成物から得られるシリコーンゴム硬化物に強度を付与するもので、シリカ微粉末を補強性充填剤として使用することにより、本発明に必要な強度を満足するコーティング膜を形成することが可能となる。かかるシリカ微粉末は、比表面積(BET法)が50m2/g以上であり、好ましくは50~400m2/g、より好ましくは100~300m2/gであることが必要であり、比表面積が50m2/g未満では、満足するような強度特性を付与することができない。
これは、組成物中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、SiH基が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、十分な接着力を発現しない場合があり、一方、SiH基が10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣ることがあるためである。
(E)成分のヒドロシリル化反応用触媒は、主に(A)成分及び(B)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基と(C)成分中のSiH基との付加反応を促進するものである。このヒドロシリル化反応用触媒は、特に限定されず、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属;塩化白金酸;アルコール変性塩化白金酸;塩化白金酸と、オレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属化合物等が挙げられ、好ましくは白金族金属化合物である。
(F)成分は、接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物であり、接着性付与官能基としては、エポキシ基、ケイ素原子結合アルコキシ基(アルコキシシリル基)、ヒドロシリル基、イソシアネート基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられ、シリコーンゴム組成物のエアーバッグ用基布に対する接着性を発現・向上させるために添加するものである。
有機ケイ素化合物としては、このような接着性付与官能基を有するものであれば、いかなる有機ケイ素化合物でも使用できるが、1分子中にエポキシ基とケイ素原子結合アルコキシ基とをそれぞれ1個以上有する有機ケイ素化合物であることが好ましい。
特に、接着発現性の観点からは、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも1個のケイ素原子結合アルコキシ基(例えば、トリアルコキシシリル基、オルガノジアルコキシシリル基等)とを有するオルガノシラン、又はケイ素原子数が1~100個、好ましくは1~50個程度の環状若しくは直鎖状のオルガノシロキサンであって、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも2個のケイ素原子結合アルコキシ基とを有するものがより好ましい。
ケイ素原子結合アルコキシ基は、ケイ素原子と結合して、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基等を形成していることが好ましい。
主なものを、以下に例示する。
これは、組成物中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、SiH基が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、十分な接着力を発現しない場合があり、一方、SiH基が10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣ることがあるためである。
本発明にかかる組成物には、前記(A)~(F)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(G)成分の縮合触媒は、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種であり、接着促進のために、(F)成分中の接着性付与官能基の縮合助触媒として作用するものである。
(G)成分の具体例としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ-2-エチルヘキソキシド等の有機チタン酸エステル、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタンキレート化合物、等のチタン系縮合助触媒(チタニウム化合物);ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド等の有機ジルコニウムエステル、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウムキレート化合物、等のジルコニウム系縮合助触媒(ジルコニウム化合物);アルミニウムセカンダリーブトキシド等の有機アルミニウム酸エステル、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等の有機アルミニウムキレート化合物、等のアルミニウム系縮合助触媒(アルミニウム化合物)が挙げられる。
(H)成分は、25℃でパウダー状の三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジンであり、好適には、3官能性のR4SiO3/2単位及び4官能性のSiO2単位から選ばれる少なくとも1種の分岐鎖状シロキサン単位から基本的に構成され、必要に応じて、単官能性のR4 3SiO1/2単位及び/又は2官能性のR4 2SiO2/2単位を任意に含有してもよい、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(なお、ここでのオルガノ基はアルケニル基も包含し得る。)であり、難燃性向上剤として作用する。但し、このオルガノポリシロキサンレジンはケイ素原子結合水素原子(SiH基)を含まない。更に、このオルガノポリシロキサンレジンは、25℃で三次元網状(樹脂状)構造を有し、パウダー状である点において、25℃で基本的に直鎖状構造を有し、液状である(A)成分やオイル状又はゴム状である(B)成分とは明確に差別化されるものである。
なお、パウダー状のオルガノポリシロキサンレジンは、球状若しくは略球状のものが好ましい。
ここで、(H)成分のオルガノポリシロキサンレジンには、上述したように、R4 3SiO1/2単位及び/又はR4 2SiO2/2単位を任意に含有してもよいが、その合計含有量は、(H)成分のオルガノポリシロキサンレジン中0~70モル%、特に0~50モル%とすることが好ましい。
(H)成分のオルガノポリシロキサンレジン中のR4SiO3/2単位及び/又はSiO2単位の合計量が20~75モル%の範囲内にあると、十分な難燃性改善効果が得られ、好適である。
例えば、(D)成分のシリカ微粉末が、予め粉体の状態で、アルケニル基を含む表面処理剤により、直接表面疎水化処理されたものを用い、(H)成分がアルケニル基を含み、かつ(F)成分がアルケニル基及び/又はSiH基を含む場合、組成物中の(A)成分、(B)成分、(D)成分、(H)成分及び(F)成分中に含まれるケイ素原子(又は窒素原子)結合アルケニル基の合計1モルに対する(C)成分及び(F)成分中に含まれるSiH基の合計が、1~10モル、好ましくは1.2~9モル、より好ましくは1.5~8モルとなる量とすることが好ましい。
これは、同様に、組成物中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1モルに対して、SiH基の合計が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、十分な接着力を発現しない場合があり、一方、SiH基が10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣ることがあるためである。
反応制御剤は、(E)成分のヒドロシリル化反応用触媒に対して、硬化抑制効果を有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。その具体例としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレンアルコール類等のアセチレン系化合物;アルケニル基を2個以上含む化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体などが挙げられる。
(D)成分のシリカ微粉末以外の充填剤として、例えば、結晶性シリカ(例えば、BET法比表面積が50m2/g未満の石英粉)、有機樹脂製中空フィラー、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、カーボンブラック、ケイ藻土、タルク、カオリナイト、ガラス繊維等の充填剤;これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した充填剤;シリコーンゴムパウダーなどが挙げられる。
その他にも、例えば、1分子中に1個のケイ素原子結合水素原子を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、1分子中に1個のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、重量平均重合度が2,000未満で、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子もケイ素原子結合アルケニル基も他の官能性基も含有しない無官能性のオルガノポリシロキサン(いわゆるジメチルシリコーンオイル)、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チキソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤などを配合することができる。
上記(A)~(F)成分の他、(G)及び(H)成分、更に必要に応じて配合されるその他の成分を均一に混合することにより、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を調製することができる。
こうして得られる付加硬化型液状シリコーンゴム組成物は、25℃で液状の組成物であり、JIS K 7117-1:1999に記載の方法で測定した25℃における粘度は、1~1,000Pa・sであり、好ましくは10~300Pa・sである。25℃において、1~1,000Pa・sの粘度範囲内であれば、エアーバッグ用基布に塗工する際に、塗工むらや硬化後の基布への接着力不足などが生じにくいため、好適に用いることができる。
一般に、シリコーンゴム層が形成されるエアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)としては、公知のものが用いられ、その具体例としては、6,6-ナイロン、6-ナイロン、アラミド繊維などの各種ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの各種ポリエステル繊維などの各種合成繊維の織生地が挙げられる。
上記付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を、エアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)の少なくとも一方の表面、特には一方の表面に塗布した後、乾燥炉などで加熱硬化することにより、シリコーンゴム層(硬化物層)を形成させることができる。このようにして得たエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布を用いて、エアーバッグを製造することができる。
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・s、平均重合度が750のジメチルポリシロキサン(A1)60質量部、ヘキサメチルジシラザン8質量部、水2質量部、比表面積がBET法で300m2/gであるシリカ微粉末(D)(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後、へキサメチルジシラザン8質量部を投入し、更に1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、室温まで降温して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A1)25質量部、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を5モル%、ジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された25℃での粘度が700mPa・s、平均重合度が200のジメチル-ビニルメチルポリシロキサン(A2)5質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(1)を得た。
調製例1で得られたベースコンパウンド(1)75質量部に、25℃での粘度が約1,000mPa・sであり、平均重合度が200である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A3)58.5質量部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され平均重合度が6,000のジメチルポリシロキサン(B1)8質量部、架橋剤として25℃における粘度が45mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0108mol/g)5質量部、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(F)0.28質量部、1-エチニルシクロヘキサノール0.05質量部、塩化白金酸/1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(E)0.23質量部を1時間混合して、組成物A(組成物全体において、SiH基/ビニル基=5.1mol/mol、粘度35Pa・s)を調製した。
組成物Aをエアーバッグ用66ナイロン基布(210デニール)及びPET基布(495デニール)に表面塗布量が25~30g/m2になるようにナイフコーターでコーティングした後に、200℃の乾燥機で1分間の加熱硬化を行い、シリコーンゴム硬化物でコーティングされたエアーバッグ基布を作製した。上記のシリコーンゴム被覆ナイロン基布及びPET基布についてJIS K 6404-6:1999記載の方法で、スコット揉み試験機(装置名:スコット耐揉摩耗試験機、株式会社東洋精機製作所製)を用いて接着性を評価した。押し圧力19.6Nで500回の揉み試験を行った後、コーティング部分の破壊状況を目視で確認し、シリコーンゴム層がコーティング面から剥離していない場合を合格と評価し、剥離している場合を不合格と評価した。
ゴムコーティング層の表面のベタツキ感を評価するための試験として行った。作製したエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布について、幅100mm×長さ200mmに切断し、得られた被膜形成布のシリコーンゴムコーティング面をガラス板に空気が入らないように密着させた。この被膜形成布が密着したガラス板を垂直に立て、該被膜形成布がガラス板から自然落下するまでの経過時間を計測し、以下の評価基準に従って評価した。前記の通り、被膜形成布が密着したガラス板を垂直に立ててから、被膜形成布がガラス板から落下するまでの経過時間が、1秒未満であった場合を「良」と評価し、1秒以上6秒未満であった場合を「可」と評価し、6秒以上であった場合を「不良」と評価した。
実施例1の分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され平均重合度が6,000のジメチルポリシロキサン(B1)を平均重合度が6,000である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(B2)に同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物B(組成物全体において、SiH基/ビニル基=5.0mol/mol、粘度25Pa・s)を調製し、実施例1と同様に接着性試験及び耐ブロッキング試験した結果を表1に示す。
実施例1にジルコニウムテトラアセチルアセトネート(G)を0.3質量部加えた以外は同様にして組成物C(組成物全体において、SiH基/ビニル基=5.1mol/mol、粘度25Pa・s)を調製し、実施例1と同様に接着性試験及び耐ブロッキング試験した結果を表1に示す。
調製例1で得られたベースコンパウンド(1)100質量部に、25℃での粘度が約1,000mPa・sであり、平均重合度が200である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A3)97.5質量部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され平均重合度が6,000のジメチルポリシロキサン(B1)10質量部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなるパウダー状の三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(H)(重量平均分子量:6,000)25質量部、架橋剤として25℃における粘度が45mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0108mol/g)17質量部、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(F)0.9部、1-エチニルシクロヘキサノール0.09質量部、塩化白金酸/1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(E)0.45質量部、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(G)を0.3質量部を1時間混合して、組成物D(組成物全体において、SiH基/ビニル基=5.1mol/mol、粘度25Pa・s)を調製し、実施例1と同様に接着性試験及び耐ブロッキング試験した結果を表1に示す。
実施例1の分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され平均重合度が6,000のジメチルポリシロキサン(B1)を25℃での粘度が約1,000mPa・sであり、平均重合度が200である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A3)に同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物E(組成物全体において、SiH基/ビニル基=4.8mol/mol、粘度10Pa・s)を調製し、実施例1と同様に接着性試験及び耐ブロッキング試験した結果を表1に示す。
実施例1の分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され平均重合度が6,000のジメチルポリシロキサン(B1)を分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され平均重合度が1,500のジメチルポリシロキサンに同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物F(組成物全体において、SiH基/ビニル基=5.1mol/mol、粘度15Pa・s)を調製し、実施例1と同様に接着性試験及び耐ブロッキング試験した結果を表1に示す。
実施例1の分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され平均重合度が6,000のジメチルポリシロキサン(B1)を主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を0.25モル%、ジメチルシロキサン単位を99.75モル%含有し、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された平均重合度が6,000のジメチル-ビニルメチルポリシロキサンに同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物G(組成物全体において、SiH基/ビニル基=4.9mol/mol、粘度22Pa・s)を調製し、実施例1と同様に接着性試験及び耐ブロッキング試験した結果を表1に示す。
Claims (5)
- (A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を分子鎖両末端に含有する重量平均重合度が100~1,000の直鎖状のジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に0~3個のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する重量平均重合度が3,000~10,000のオルガノポリシロキサン:1~20質量部、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるSiH基が、(A)成分及び(B)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1~10モルとなる量、
(D)BET法比表面積が50m2/g以上であるシリカ微粉末:1~50質量部、
(E)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)成分~(D)成分の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1~500ppm、
(F)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物(但し、(A)成分、(B)成分、(C)成分は除く。):0.1~10質量部
を必須成分とすることを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。 - 更に、(G)成分として、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を、(A)成分100質量部に対して、0.1~5質量部含有することを特徴とする請求項1に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
- 更に、(H)成分として、パウダー状の三次元網状オルガノポリシロキサンレジン(但し、該オルガノポリシロキサンレジンは、分子中にケイ素原子結合水素原子を含まない。また、(A)成分、(B)成分は除く。)を、(A)成分100質量部に対して、0.1~100質量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
- (F)成分が、エポキシ基、ケイ素原子結合アルコキシ基(アルコキシシリル基)、ヒドロシリル基、イソシアネート基、アクリル基、及びメタクリル基から選ばれる少なくとも1つの接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
- エアーバッグ用基布上に、請求項1~4のいずれか1項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の硬化被膜を有することを特徴とするエアーバッグ。
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