JP2024040726A - 光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物、コートエアーバッグ用基布及びその製造方法 - Google Patents

光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物、コートエアーバッグ用基布及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶剤を多量に使用することなく、基布にコートした場合に、ブロッキングを起こしにくく、表面が低摩擦性であり、柔軟性に優れ、収納時にコンパクト化することが可能な硬化被膜を与える光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の提供。【解決手段】(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上含有する数平均重合度が10~1,000の直鎖状のオルガノポリシロキサン、(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)メジアン径(D50)が0.5~20μmであるタルク微粉末、及び(D)ヒドロシリル化反応用触媒として、波長200~500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒を含有する光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物、および該組成物の硬化被膜で被覆したエアーバッグ用シリコーンコーティング基布の製造方法に関する。
従来、基布の表面に硬化性シリコーンゴムをコーティングし、基布上にシリコーンゴムの硬化被膜を形成させた基布は、耐熱性、気密性、耐候性、難燃性等に優れるため、自動車用のエアーバッグ基布に好適に使用されてきた。しかし、エアーバッグは車内のピラーの中などに折り畳んだ状態で収納されるため、基布表面上にあるコーティング材同士の好ましくない密着(ブロッキング)が発現することがある。このようなブロッキングが生じる場合や硬化被膜表面が高摩擦性である場合などには、車両衝突時にエアーバッグが十分に展開せず、搭乗者の死傷防止という役割を果たせないおそれがある。加えて、被膜が高摩擦性であると、エアーバッグ展開時に搭乗者がエアーバッグ表面との接触で擦過傷を引き起こすおそれもある。そのため、ブロッキングを起こさず、表面の摩擦係数が低くなるような被覆材料が求められている。更に、エアーバッグ基布を折り畳んで、車内のピラー等に収納する際に、基布の柔軟性が低いと折り畳んだ際のエアーバッグ基布の体積が大きくなり、居室空間を圧迫する。そのため、柔軟性の高いエアーバッグ基布が求められている。
この対策として、付加硬化型シリコーンゴム組成物にアルミナ、タルク及びシリカなどの無機フィラーと有機溶剤を含む低摩擦性シリコーンコート剤組成物及び該組成物を用いるシリコーンゴムコーティング被膜の形成方法が開示されている(特許文献1)。この方法では、組成物中の有機溶剤を加熱硬化時に揮発させることで、無機フィラーの一部をコーティング被膜の表面に露出させ、低摩擦性を達成し、低摩擦性で、表面粗さの大きいシリコーンゴムコーティング被膜を得ることができる。しかし、近年、CO2排出量の低減や、揮発性有機化合物(VOC)による健康被害が懸念されており、有機溶剤を大量に使用する方法は好ましくない。
エアーバッグ基布用のシリコーンコーティング剤として、側鎖のみにビニル基を有するポリシロキサンとヒドロシリル基を有するポリシロキサンとタルクとを含む加熱硬化型被覆用シリコーン組成物が開示されている(特許文献2)。この組成物により、低摩擦性で耐ブロッキング性に優れるエアーバッグ用基布が得られる。しかし、被覆用シリコーン層が硬いため、これをコーティングした基布は柔軟性に乏しく、折り畳み性も悪化するという懸念点がある。
この他のエアーバッグ基布用被覆材料としては、フッ素ポリマー、タルク、アルミナ、水性脂肪族ポリウレタン、界面活性剤及び接着剤を配合したブロッキング防止コーティング材が開示されている(特許文献3)。このコーティング材により、耐ブロッキング性と難燃性に優れるコーティング基布が得られる。しかし、基布上のコーティング層となる樹脂の例がエチレン酢酸ビニル共重合体を含むウレタン樹脂しか具体的な例がない。ウレタン樹脂は一般的に耐熱性及び耐湿熱性が低いため、夏場の車内など高温、高湿な環境での耐久性に懸念がある。また、水溶性有機ポリマーであるポリアクリル酸ナトリウム水溶液に、タルク及びクロライト等を固形潤滑剤として分散させた水性塗膜組成物が開示されている(特許文献4)。この水性塗膜組成物から、低摩擦性で耐ブロッキング性に優れる塗膜を得ることができる。しかし、水溶性有機ポリマーを使用しているため、湿潤な環境下では湿気によって塗膜が膨潤し、摩擦係数の増加や耐ブロッキング特性及び接着性の低下が懸念される。
特開2016-098319号公報 特開2010-083946号公報 特開2016-005953号公報 特表2013-516522号公報
従って、本発明は、有機溶剤を大量に使用することなく、基布にコートした場合に、ブロッキングを起こしにくく、表面が低摩擦性であり、柔軟性に優れ、収納時にコンパクト化することが可能な硬化被膜を与える光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物を提供することを目的とする。また、前記シリコーンゴムコーティング組成物の硬化被膜で被覆したエアーバッグ用シリコーンコーティング基布の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、下記の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
[1]
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上含有する数平均重合度が10~1,000の直鎖状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分の1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1個当たり、0.4~5個となる量、
(C)メジアン径(D50)が0.5~20μmであるタルク微粉末:50~150質量部、及び
(D)ヒドロシリル化反応用触媒として、波長200~500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒:有効量、
を含有する光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物。
[2]
前記(D)成分がビス(アセチルアセトナト)白金(II)又は(トリメチル)メチルシクロペンタジエニル白金(IV)である[1]に記載の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物。
[3]
前記(A)成分が分子鎖両末端のみにビニル基を有するオルガノポリシロキサンである[1]または[2]に記載の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物。
[4]
前記(A)成分が、ケイ素原子に結合した全置換基の0.1~15mol%が炭素数2~8のアルケニル基であるオルガノポリシロキサンである[1]~[3]のいずれかに記載の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の硬化物層を最表層に有するコートエアーバッグ用基布。
[6]
エアーバッグ用基布の最表層に、[1]~[4]のいずれかに記載の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物を塗工する工程、及び
該光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の塗工面に、光照射量100~10,000mJ/cm2の光を照射する工程
を有するコートエアーバッグ用基布の製造方法。
[7]
光を照射する工程に次いで、40~120℃で、5~120秒の硬化促進工程を有する[6]に記載のエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の製造方法。
本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物は、有機溶剤を多量に使用することなく、基布の最表層にコートした場合に、ブロッキングを起こしにくく、表面が低摩擦性であり、柔軟性に優れ、収納時にコンパクト化することが可能な硬化被膜(硬化物層)を与える。よって、特に、エアーバッグの製造において、該組成物で被覆した基布を用いると、エアーバッグ展開時の展開不良や、エアーバッグ表面と搭乗者との接触による擦過傷などを防止することができる。更に、車内に折り畳んで収納する際に、容易にコンパクト化できる。
本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物は、下記(A)~(D)成分:
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上含有する数平均重合度が10~1,000の直鎖状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分の1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1個当たり、0.4~5個となる量、
(C)メジアン径(D50)が0.5~20μmであるタルク微粉末:50~150質量部、及び
(D)ヒドロシリル化反応用触媒として、波長200~500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒:有効量、
を含有する。以下、各成分について詳述する。
[(A)成分]
(A)成分の直鎖状のオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上含有する、数平均重合度が10~1,000のオルガノポリシロキサンであり、本発明にかかる組成物のベースポリマー(主剤)である。
上記(A)成分の分子構造は、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる直鎖状であり、特に、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンが好ましい。また、上記(A)成分の分子中においてアルケニル基が結合するケイ素原子の位置は、分子鎖末端(即ち、トリオルガノシロキシ基)及び分子鎖途中(即ち、分子鎖非末端に位置する2官能性のジオルガノシロキサン単位)のどちらか一方でも両方でもよい。
上記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基は、その炭素数が通常2~8であり、好ましくは炭素数2~4である。その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、特にビニル基であることが好ましい。
上記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の含有量は、上記オルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合した全置換基の、好ましくは0.1~15mol%、更に好ましくは0.5~13mol%、更に好ましくは1.0~11mol%である。アルケニル基の含有量がケイ素原子に結合した全置換基の0.1mol%を下回ると得られる硬化被膜の十分な低摩擦性が得られないことがあり、15mol%を超えると得られる硬化物が脆くなることがある。
上記(A)成分のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する1価の有機基としては、炭素数1~12の1価炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1~10の1価炭化水素基である。1価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基が好ましい。
上記(A)成分の数平均重合度は、10~1,000であり、好ましくは20~800であり、より好ましくは50~500である。数平均重合度が10よりも低いと、得られるシリコーンゴムの機械的特性が悪くなることがあり、また数平均重合度が1,000より大きいと、得られるシリコーンゴムコーティング組成物の粘度が高くなり、コーティング作業性が悪化することがある。
なお、本明細書中において、数平均重合度は、下記条件で測定したトルエンを展開溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析によるポリスチレン換算により得られる数平均分子量の値から数平均重合度として求めた値である。
[測定条件]
展開溶媒:トルエン
流量:0.35mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:10μL(濃度0.5質量%のトルエン溶液)
上記(A)成分は25℃において液状であってよく、上記(A)成分の粘度は、25℃において、好ましくは10~100,000mPa・s、より好ましくは20~30,000mPa・s、さらに好ましくは40~10,000mPa・sである。(A)成分の粘度が10mPa・sを下回ると得られるシリコーンゴムの機械的特性が悪化することがあり、100,000mPa・sを超えると、得られるシリコーンゴムコーティング組成物の粘度が高くなり、コーティング作業性が悪化することがある。
なお、本明細書中において、粘度は、25℃において、JIS K 7117-1:1999に記載の方法で回転粘度計により測定した値である。
上記(A)成分のオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンが、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等の、分子鎖両末端のみにビニル基を有するオルガノポリシロキサンであると、得られる硬化被膜の硬さが下がるため、このような硬化被膜を有するエアーバッグ用基布は柔軟性に優れるものとなる。
上記(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中、(A)成分の含有量は、20~80質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましい。
[(B)成分]
(B)成分のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、主に上記(A)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものである。
上記(B)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造等各種のものが挙げられるが、25℃で液状であるものが好ましい。ケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)は1分子中に2個以上有することを特徴とし、好ましくは3個以上を有する。より具体的には、通常2~300個、好ましくは3~200個、より好ましくは3~100個のヒドロシリル基を有する。このようなヒドロシリル基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、平均組成式として下記式(1)で示されるものを用いることができる。
Figure 2024040726000001
上記式(1)中、Rは独立して炭素数1~10の1価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。Rとしては、より好ましくはアルキル基、アリール基であり、更に好ましくはメチル基である。なお、Rとしては、アルケニル基などの脂肪族不飽和炭化水素基を除く。また、aは0.7~2.1、bは0.001~1.0で、かつa+bが0.8~3.0を満足する正数であることが好ましく、より好ましくは、aは1.0~2.0、bは0.01~1.0で、かつa+bが1.5~2.5を満足する正数である。
上記(B)成分としては、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサンや、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの、式:R3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:RHSiO2/2で示されるシロキサン単位と式:RSiO3/2で示されるシロキサン単位若しくは式:HSiO3/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられるが、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体であることが好ましい。更に(B)成分の数平均重合度は5~200、より好ましくは8~100、更に好ましくは10~50である。数平均重合度が5よりも低いと十分な膜強度を得られないことがあり、200よりも高いと組成物の粘度が高くなりコーティング作業性が悪化することがある。
上記(B)成分の配合量は、上記(A)成分に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基の合計1モル(又は個)に対して、上記(B)成分に含まれるケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)が0.4~5モル(又は個)であり、好ましくは0.8~4モル(又は個)、より好ましくは1.2~3モル(又は個)となる量である。上記(A)成分中に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基の合計1モルに対して、上記(B)成分中に含まれるヒドロシリル基が0.4モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、またこれが5モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に悪化することがある。
なお、本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物において、(A)成分以外にケイ素原子に結合したアルケニル基を有する成分を含有する場合及び/又は(B)成分以外にケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を有する成分を含有する場合のそれぞれにおいて、組成物全体におけるケイ素原子に結合したアルケニル基の合計1モル(又は個)に対して、組成物全体におけるケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)が0.4~5モル(又は個)となるよう各成分の配合量を調整することが好ましい。
上記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
[(C)成分]
(C)成分は、メジアン径(D50)が0.5~20μmであるタルク微粉末であり、得られる硬化被膜表面において低摩擦性を付与するための無機充填材として本発明の組成物に添加される。
(C)成分のタルク微粉末は、メジアン径が0.5~20μmのものであり、好ましくはメジアン径が1~15μm、より好ましくはメジアン径が2~10μmである。メジアン径はレーザー回折法により測定した値である。メジアン径が20μmより大きいと、得られる硬化被膜の表面は粗さが高くなり、その結果、摩擦抵抗が大きくなって目的の特性が得られないことがある。メジアン径が0.5μmより小さいと、該組成物の粘度が高くなりコーティング作業性が悪くなることがある。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し50~150質量部であり、好ましくは60~120質量部、特に好ましくは70~100質量部である。(C)成分の配合量が50質量部より少ないと、得られる硬化被膜表面において低摩擦性が得られないことがあり、150質量部より多いと、得られる組成物の粘度が高くなりコーティング作業性が悪化することがある。
[(D)成分]
(D)成分は、波長200~500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒であり、ヒドロシリル化反応用触媒である。光の排除下で不活性であり、かつ200~500nm、好ましくは300~450nmの波長の光を照射することで活性化し、(A)成分中のアルケニル基と、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子とのヒドロシリル化反応を促進する。ここで、触媒の「活性化」とは、アルケニル基とケイ素原子結合水素原子と触媒とが存在する場合に、室温(25℃)以上の温度でヒドロシリル化反応が進行する状態を示す。
このような(D)成分の例として、β-ジケトナト白金錯体化合物、(η5-シクロペンタジエニル)トリアルキル白金錯体化合物又はその誘導体が挙げられる。具体的には、トリメチル(アセチルアセトナト)白金(IV)、トリメチル(3,5-ヘプタンジオネート)白金(IV)、トリメチル(メチルアセトアセテート)白金(IV)、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)白金(II)、ビス(2,4-へキサンジオナト)白金(II)、ビス(2,4-へプタンジオナト)白金(II)、ビス(3,5-ヘプタンジオナト)白金(II)、ビス(1-フェニル-1,3-ブタンジオナト)白金(II)、ビス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)白金(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)白金(II)、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)、(シクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)、(1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)、(シクロペンタジエニル)ジメチルエチル白金(IV)、(シクロペンタジエニル)ジメチルアセチル白金(IV)、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)、(メトキシカルボニルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)、(ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル)トリメチルシクロペンタジエニル白金(IV)などが挙げられる。このうち特に好適なものは、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)及びそのアセチルアセトナト基の炭素原子に結合した水素原子をアルキル基で置換した誘導体、(シクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)及びそのシクロペンタジエニル基の炭素原子に結合した水素原子をアルキル基で置換した誘導体が挙げられるが、特にビス(アセチルアセトナト)白金(II)又は(トリメチル)メチルシクロペンタジエニル白金(IV)が好ましい。
これらの触媒の使用にあたっては、それが固体触媒であるときには固体状で使用することも可能であるが、より均一な硬化物を得るためには適切な溶剤に溶解したものを使用することが好ましい。
(D)成分の配合量は、付加反応触媒としての有効量でよく、好ましくは(A)成分と(B)成分の合計質量に対して白金族金属元素の質量換算で、通常、0.5~1,000ppm、好ましくは1~500ppmの範囲であり、より好ましくは10~100ppmの範囲である。この配合量を適切なものとすると、光照射後、付加反応をより効率的に進行させることができる。
[その他の成分]
本発明の組成物には、上記(A)~(D)成分に加えて、必要に応じ他の成分を配合することができる。
[シリカ微粉末]
硬化被膜の補強のために、本発明の組成物は、BET法による比表面積が50m2/g以上であるシリカ微粉末を配合することができる。かかるシリカ微粉末は、BET法による比表面積が50m2/g以上であり、好ましくは50~400m2/g、より好ましくは100~300m2/gである。
このようなシリカ微粉末としては、比表面積が上記範囲内であることを条件として、従来からシリコーンゴム硬化物の補強性充填材として使用されている公知のものでよく、例えば、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)などが挙げられる。
上記シリカ微粉末は、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、オルガノシラザン等の(通常、加水分解性の)有機ケイ素化合物などの表面処理剤で、表面が疎水化処理されたシリカ微粉末を用いることができる。その場合、これらのシリカ微粉末は、予め粉体の状態で、表面処理剤により、直接表面疎水化処理されたものを用いてもよい。また、シリコーンオイル(例えば、上記(A)成分のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン)との混練時に表面処理剤を添加して、表面疎水化処理したものを用いてもよい。
シリカ微粉末の表面疎水化処理法としては、公知の技術により表面処理することができる。例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に上記未処理のシリカ微粉末と表面処理剤とを入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において、室温(25℃)あるいは熱処理(加熱)下にて混合処理する方法が挙げられる。場合により、水又は触媒(加水分解促進剤等)を使用して表面処理を促進してもよい。混練後、乾燥することにより、表面処理シリカ微粉末を製造し得る。表面処理剤の配合量は、その表面処理剤の被覆面積から計算される量以上であればよい。
表面処理剤として、具体的には、へキサメチルジシラザン等のシラザン類、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン及びクロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられ、これらで表面処理し、疎水性シリカ微粉末として用いることができる。表面処理剤としては、特にシランカップリング剤又はシラザン類が好ましい。
シリカ微粉末の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは0.5~15質量部、更に好ましくは1~10質量部である。
[接着性付与剤]
本発明の組成物の接着性を更に向上させる必要がある場合には、接着性付与剤を添加することができる。接着性付与剤としては、例えば、アルコキシ基及びビニル基を有するエポキシ基含有オルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子を有するエポキシ基含有オルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子とアルコキシ基とを有するエポキシ基含有オルガノポリシロキサン等のエポキシ基含有オルガノポリシロキサンや、ケイ素原子結合水素原子を有するアルコキシ基含有オルガノポリシロキサン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。
本発明の組成物に接着性付与剤を添加する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対し好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは0.2~10質量部である。
[耐熱性向上剤]
本発明の組成物の耐熱性を更に向上させる必要がある場合には、該組成物に耐熱性向上剤を添加することが好ましい。耐熱性向上剤としては、例えば、カーボン、酸化鉄、酸化チタン、酸化セリウム等が挙げられる。
耐熱性向上剤を添加する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対し0.1~30質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.3~10質量部である。
[ヒドロシリル化反応制御剤]
本発明の組成物には前記成分以外にも必要に応じてヒドロシリル化反応制御剤などを配合してもよい。ヒドロシリル化反応制御剤としては具体的にはトリアリルイソシアヌレート、1-エチニルシクロヘキサノールなどのアセチレンアルコール類などが挙げられる。
[その他の成分]
その他にも、例えば、1分子中に1個のケイ素原子結合水素原子を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、1分子中に1個のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子もケイ素原子結合アルケニル基も他の官能性基も含有しない無官能性のオルガノポリシロキサン(いわゆるジメチルシリコーンオイル)、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チキソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤などを本発明の組成物に配合することができる。
[コートエアーバッグ用基布及びその製造方法]
本発明のコートエアーバッグ用基布は、最表層に本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の硬化物層を有するものである。本発明のコートエアーバッグ用基布は、公知のエアーバッグ用基布の表面に、シリコーンゴムコーティング組成物等をベースコート剤として適用して形成される該ベースコート剤の硬化物層を有し、かつ、該ベースコート剤の硬化物層の表面に、本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物をトップコート剤として適用して形成される該トップコート剤の硬化物層を有するものが好ましい態様として挙げられる。
本発明のコートエアーバッグ用基布は、例えば、エアーバッグ用基布の最表層に、本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物を塗工する工程、及び該光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の塗工面に、光照射量100~10,000mJ/cm2の光を照射する工程を有する方法により製造することができる。特に、本発明のコートエアーバッグ用基布は、公知のエアーバッグ用基布の表面に、ベースコート剤としてシリコーンゴムコーティング組成物等を塗工し、硬化し、ベースコート剤の硬化物層を形成する工程、該ベースコート剤の硬化物層の表面に、トップコート剤として本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物を塗工する工程、及び該光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の塗工面に、光照射量100~10,000mJ/cm2の光を照射する工程を有する方法により製造することが好ましい。
・塗工工程
エアーバッグ用基布としては公知のものを使用することが可能であり、その具体例としては、6,6-ナイロン(PA66)、6-ナイロン(PA6)、アラミド繊維、各種ポリアミド繊維、各種ポリエステル繊維などの各種合成繊維の織生地が挙げられるが、PA66基布又はPET基布であることが好ましい。
エアーバッグ用基布は、実施形態に応じて、例えば予め縫製等により袋状に形成してもよい。
・ベースコート剤
公知のエアーバッグ用基布の表面に塗工するベースコート剤は、本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物とは異なる組成物、特にシリコーンゴムコーティング組成物であり、エアーバッグ用基布に用いられる公知のものを使用することが可能であり、例えば、ビニル基を持つシリコーンオイル、ヒドロシリル基を持つシリコーンオイル、白金触媒、補強性シリカ、接着助剤等を配合した加熱付加硬化型液状シリコーンゴムコーティング組成物、上記の白金触媒を特定の波長の光で活性化する白金触媒に代えた、紫外線硬化型液状シリコーンゴムコーティング組成物、上記の白金触媒の代わりに有機過酸化物を配合した有機過酸化物硬化型シリコーンゴムコーティング組成物などが挙げられる(例えば、特開2019-019196号公報、特開2018―003194号公報等)。
ベースコート剤として用いるシリコーンゴムコーティング組成物は、本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の(C)成分であるタルク微粉末を含有しないものであり、本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物と相違するものの、ベースコート剤のシリコーンゴムコーティング組成物が含有する主剤のオルガノポリシロキサン成分(ビニル基を持つシリコーンオイル、ヒドロシリル基を持つシリコーンオイル等)としては、本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物で上記した(A)成分及び(B)成分と同様のものが例示できる。エアーバッグ用基布の気密性及び難燃性を向上させるため、ベースコート剤として用いるシリコーンゴムコーティング組成物は、補強性シリカ及び接着助剤を含有するものが好ましい。
ベースコート剤のシリコーンゴムコーティング組成物は、エアーバッグ用基布の両面にナイフコーティング等公知の方法で塗布すればよく、上記のエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング材の厚さ(又は表面塗布量)は、好ましくは30~200g/m2であり、より好ましくは40~150g/m2、更に好ましくは50~100g/m2である。
エアーバッグ用基布にベースコート剤のシリコーンゴムコーティング組成物を塗布後、ベースコート剤のシリコーンゴムコーティング組成物の硬化型に合わせて、常法の加熱又は光照射を行うことで、ベースコート剤のシリコーンゴムコーティング組成物を硬化し、ベースコート剤のシリコーンゴムコーティング組成物の硬化物層を形成する。
続いて、エアーバッグ用基布の両面に形成したベースコート剤のシリコーンゴムコーティング組成物の硬化物層上それぞれに、上記本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物を、ナイフコーティング等常法により塗工する。また、光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の塗工量(厚さ)は、好ましくは1~30g/m2であり、より好ましくは3~25g/m2、さらに好ましくは5~20g/m2である。
・光照射工程
塗工工程の後、エアーバッグ用基布の両面に形成したベースコート剤のシリコーンゴムコーティング組成物の硬化物層上に形成した光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の塗工面それぞれに対して、光を照射する。
本発明にかかる光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物を硬化させるのに有用な光源としては、種々の光波長帯域において光エネルギーを発出するように設計された通常の水銀蒸気ランプや、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)素子が挙げられる。例えば、有用な光波長範囲は200~500nmであり、好ましくは300~450nmである。また、硬化に有用な光照射量は、硬化するために十分な照射量であれば特に制限されないが、好ましくは100~10,000mJ/cm2であり、より好ましくは200~5,000mJ/cm2、更に好ましくは300~3,000mJ/cm2である。また、この光照射工程は、空気中でも不活性ガス雰囲気下でも行うことができるが、酸素による硬化阻害が少ないという点で不活性ガス雰囲気下が好ましく、窒素ガス、又はアルゴンガス雰囲気下で行うことがより好ましい。
・硬化促進工程
本発明にかかる光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物は、光を照射することで室温(25℃)でも硬化させることが可能であるが、光照射後に乾燥炉などで加熱を行うことにより、更に硬化を促進させることができ、本発明のコートエアーバッグ用基布の製造方法において、任意に硬化促進工程を有していてもよい。促進温度は好ましくは40~120℃であり、より好ましくは60~100℃であり、促進時間は好ましくは5~120秒、より好ましくは10~90秒である。促進温度が高すぎると光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の硬化被膜、ベースコート剤のシリコーンゴムコーティング組成物の硬化物層及びエアーバッグ用基布の熱収縮率の差から、基布にしわが入ることがある。
以下、調製例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(A)成分として、次の成分を用いた。
(A-1):分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され数平均重合度が75、粘度が100mPa・sの直鎖状ジメチルポリシロキサン(アルケニル基:1.30mol%)
(A-2):分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、数平均重合度が170、粘度が650mPa・sであり、主鎖を構成する2官能性ジオルガノシロキサン単位のうちビニルメチルシロキサン単位を20mol%、ジメチルシロキサン単位を80mol%含有する直鎖状ジメチル-ビニルメチルポリシロキサン(アルケニル基:10.8mol%)
(B)成分として、次の成分を用いた。
(B-1):分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され数平均重合度が40、粘度が20mPa・sである直鎖状メチルハイドロジェンポリシロキサン(前記式(1)においてa=1.10、b=0.95、R=CH3
(B-2):分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され数平均重合度が64、粘度が45mPa・sである直鎖状ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(前記式(1)においてa=1.33、b=0.70、R=CH3
(C)成分として、次の成分を用いた。
(C):メジアン径が8.0μmであるタルク微粉末(商品名:ミクロエース K-1、日本タルク株式会社製)
(D)成分として、次の成分を用いた。
(D-1):ビス(アセチルアセトナト)白金(II)を白金原子含有量として0.5質量%含有するトルエン溶液
(D-2):(トリメチル)メチルシクロペンタジエニル白金を白金原子含有量として0.5質量%含有するトルエン溶液
(D-3):塩化白金酸/1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(波長200~500nmの光によって活性化しない白金族化合物触媒、比較例用)
反応制御剤として、次の成分を用いた。
(反応制御剤):1-エチニルシクロヘキサノール
補強性シリカ微粉末として、次の成分を用いた。
(シリカ微粉末):R-974(日本アエロジル株式会社製、BET法比表面積170g/m2
[実施例・比較例]
表1と表2の配合量でそれぞれの成分を室温(25℃)にてミキサーで30分間混合し、シリコーンゴムコーティング組成物を調製した。
<動摩擦係数>
硬化被膜表面の摩擦性を評価するため、JIS P8147:2010の規格に準じて硬化被膜表面の動摩擦係数を測定した。具体的にはPETフィルム上にシリコーンゴムコーティング組成物を20g/m2になるようにコーティングした後、表1と表2に記載の各条件でシリコーンゴムコーティング組成物を硬化させ、シリコーンゴムコーティング組成物の硬化被膜を表面に有する測定用サンプルを調製した。光照射にはUV-LED照射器HLUV―504UV365(シーシーエス株式会社製、波長365nm)を使用した。得られたサンプルについて動摩擦係数を自動摩擦摩耗解析装置TSF-503(協和界面科学株式会社製)で100g荷重の条件で測定した。N=5で測定しその中央値を表1と表2に示す。
<耐ブロッキング性>
硬化被膜表面の耐ブロッキング性を評価するため、JIS K 6404-3:2020年の規格に準じて下記の試験を行った。まず、前述の動摩擦係数測定用サンプルと同様にシリコーンゴムコーティング組成物の硬化被膜を表面に有するサンプルを作製した。この硬化被膜を表面に有するサンプルから150mm×150mmの大きさの切片を2つ切り出し、2つの切片の硬化被膜同士を貼り合わせた後に同じ大きさの平滑な板(金属またはガラス等)に挟み、硬化被膜に均一に力がかかるように5kgfの錘を乗せ、70℃のオーブン中に3時間静置した後、錘をはずし、オーブンから取り出して自然冷却させ、上下にPETフィルムを有し、その間に2層の硬化被膜同士が貼り合わされたサンプルを得た。その後、このサンプルの一辺から平行に20mm程までの領域を、硬化被膜同士の貼り合わせ面が剥離するようPETフィルムごと手で剥がし、剥離する際のサンプルの一辺のうち、剥がされた一方のPETフィルムの端を固定し、他方のPETフィルムの端に50gfの錘をぶら下げて、貼り合わせ面全体が剥離するまでの時間を測定した。剥離するまでの時間が30秒以内である場合(測定前に既に剥離していた場合を含む。)を合格と評価し、30秒を超える場合を不合格と評価した。
[調製例1]
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・s、平均重合度が750のジメチルポリシロキサン60質量部、ヘキサメチルジシラザン8質量部、水2質量部、比表面積がBET法で300m2/gであるシリカ微粉末(Aerosil 300、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後、該混合物に、更にヘキサメチルジシラザン8質量部を投入し、室温にて1時間混合した。その後、該混合物の混合温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、該混合物を室温まで降温して、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン30質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンドを調製した。
得られたベースコンパウンド128質量部に、粘度が30,000mPa・s、平均重合度が750のジメチルポリシロキサン50質量部、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖され、分子鎖側鎖にケイ素原子に結合した水素原子を平均2個有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(平均重合度:16、SiH基量0.0031mol/g)4.1質量部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、分子鎖側鎖にケイ素原子に結合した水素原子を平均38個有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(平均重合度:38、SiH基量0.017mol/g)0.25質量部、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、チタンテトラアセチルアセトネートのイソプロパノール溶液(商品名:TC-401、マツモトファインケミカル株式会社製)0.36質量部、反応制御剤として1-エチニルシクロヘキサノール0.05質量部、塩化白金酸/1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液0.2質量部を1時間混合して、エアーバッグ用シリコーンゴムコーティング組成物を調製した。
<基布の剛柔度試験>
エアーバッグ用基布の剛柔度を評価するため、ASTM D4032の規格に準じて下記の試験を行った。具体的には、210デニールのPA66基布に、ベースコート剤として調製例1で調製したエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング組成物を、80g/m2になるようにナイフコーティングした。その後、200℃の乾燥機に1分間入れ、ベースコート剤を硬化させた。その後、硬化したベースコート剤の表面に、トップコート剤として表1と表2の各シリコーンゴムコーティング組成物を15g/m2になるようにナイフコーティングし、表1と表2に記載の各条件で硬化させた。得られた各コートエアーバッグ用基布を102mm×204mmの大きさにカットし、剛軟度試験機SASD-672-1(J.A.KING社製)を使用して剛柔度をN=3で試験した。その中央値を表1と表2に示す。
Figure 2024040726000002
Figure 2024040726000003
表1から分かるように、本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物を用いた実施例1~8は、硬化被膜の動摩擦係数が低く、耐ブロッキング性にも優れ、コートエアーバッグ用基布の剛柔度も低かった。
一方、表2から分かるように、本発明の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物を用いなかった比較例1~7は、未硬化であるか、実施例と比べ硬化被膜の動摩擦係数が高く、耐ブロッキング性に劣ったり、コートエアーバッグ用基布の剛柔度も高いものであった。

Claims (7)

  1. (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上含有する数平均重合度が10~1,000の直鎖状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分の1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1個当たり、0.4~5個となる量、
    (C)メジアン径(D50)が0.5~20μmであるタルク微粉末:50~150質量部、及び
    (D)ヒドロシリル化反応用触媒として、波長200~500nmの光によって活性化される白金族化合物触媒:有効量、
    を含有する光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物。
  2. 前記(D)成分がビス(アセチルアセトナト)白金(II)又は(トリメチル)メチルシクロペンタジエニル白金(IV)である請求項1に記載の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物。
  3. 前記(A)成分が分子鎖両末端のみにビニル基を有するオルガノポリシロキサンである請求項1に記載の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物。
  4. 前記(A)成分が、ケイ素原子に結合した全置換基の0.1~15mol%が炭素数2~8のアルケニル基であるオルガノポリシロキサンである請求項1に記載の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の硬化物層を最表層に有するコートエアーバッグ用基布。
  6. エアーバッグ用基布の最表層に、請求項1~4のいずれか1項に記載の光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物を塗工する工程、及び
    該光硬化型シリコーンゴムコーティング組成物の塗工面に、光照射量100~10,000mJ/cm2の光を照射する工程
    を有するコートエアーバッグ用基布の製造方法。
  7. 光を照射する工程に次いで、40~120℃で、5~120秒の硬化促進工程を有する請求項6に記載のコートエアーバッグ用基布の製造方法。
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