JP2017182060A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
懸濁重合法や乳化重合凝集法のように水系媒体中又は有機溶媒中で製造されるトナーは非常にシャープな粒度分布を有する。そのため、高い現像性、高い転写性を実現できることに加え、高収率を達成できることから生産性の観点からも優れている。
湿式で製造されるトナーは、水系媒体中又は有機溶媒中でトナー粒子を形成させ、トナー粒子分散液とした後、濾過装置の様な固液分離装置に代表される分離手段を用いてトナー粒子分散液からトナー粒子を分離し、その後必要に応じ外添剤を添加して得られる。
しかし、急激な温度変化は使用される材料における熱膨張率の違い等により、トナー粒子中での結着樹脂に対する材料の密着性の違いが生じる原因となる。とりわけ着色剤として磁性粉体を含有するトナーでは磁性粉体の熱膨張率がその他材料に対して大きく違う為、その傾向が顕著となる。密着性が低下することによって、トナーが長期にわたってストレスを受けた場合、割れ、欠け等が発生し耐久性に劣る傾向にある。
例えば特許文献1においては、固液分離する際に2種類以上のメッシュを有するフィルターを用いてトナースラリー中の不純物を取り除く方法が提案されている。また、特許文献2においても同様にスクリューデカンタ型連続遠心沈降機を使用することによってトナースラリー中の不純物を取り除く方法が提案されている。
本発明の目的は、上記のような問題点を解決できるトナーを提供することにある。
具体的には、良好な画像濃度が得られ、かつ小型化した画像形成装置を用いて低温低湿度環境において長期耐久使用した条件においても、かぶりや現像スジの発生が無い安定した良好な画像が得られるトナーを提供することにある。
結着樹脂と着色剤とを含有する着色粒子、及び水系媒体を含む未処理スラリーを処理する処理工程を有するトナー粒子の製造方法であって、
該処理工程が、デカンタ型遠心分離機を使用して未処理スラリーを濃縮し、濃縮スラリーを得る工程を含み、
該デカンタ型遠心分離機が、外側回転筒と、該外側回転筒内に相対回転可能に設けられたスクリューコンベアとを有し、
該未処理スラリーを濃縮する工程においては、
i)遠心力が500G以上4000G未満、
ii)該着色粒子のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、温度(Ts)がTg−10℃以上Tg+10℃以下、
の条件下で、未処理スラリーの濃縮が行われ、
濃縮スラリー中の着色粒子の割合を割合Bとしたときに、割合Bが10質量%以上60質量%以下であることを特徴とするトナー粒子の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、結着樹脂と着色剤とを含有する着色粒子、及び水系媒体を含む未処理スラリーを処理する処理工程を有するトナー粒子の製造方法であって、
該処理工程が、デカンタ型遠心分離機を使用して未処理スラリーを濃縮し、濃縮スラリーを得る工程を含み、
該デカンタ型遠心分離機が、外側回転筒と、該外側回転筒内に相対回転可能に設けられたスクリューコンベアとを有し、
該未処理スラリーを濃縮する工程においては、
i)遠心力が500G以上4000G未満、
ii)該着色粒子のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、温度(Ts)がTg−10℃以上Tg+10℃以下、
の条件下で、未処理スラリーの濃縮が行われ、
濃縮スラリー中の着色粒子の割合を割合Bとしたときに、割合Bが10質量%以上60質量%以下であることを特徴とするトナー粒子の製造方法である。
また、生産性の観点から高温状態のスラリーやトナーを常温まで冷却する時間を短くすることがより好ましいが、原材料における熱応答性の違いがより顕著となり密着性が低下する。また、トナー性能を向上させる観点で高い温度から急激に冷却する工程等を有する場合にもより密着性の違いが顕著となる。
トナー粒子の密着性差が存在することによって衝撃に対する靭性が損なわれ、トナー粒子が脆化していく。
Tg−10℃≦Ts≦Tg+10℃
の範囲に制御し、500G以上4000G未満の遠心力で水系媒体と着色粒子とを含む未処理スラリーを濃縮することが重要である。より好ましくは
Tg−5℃≦Ts≦Tg+5℃
の範囲である。
なお、該温度Tsは、処理装置内部のスラリーの温度を測定したものである。
上記温度範囲にあることによって、着色粒子中の結着樹脂がある程度軟化した状態となっていることが予想される。結着樹脂が軟化することにより着色粒子内部に存在する結着樹脂を含む原材料がある程度自由に動くことが可能となる。しかし、上記温度範囲にあるだけでは動くことが可能であるだけで、実際に動く為には物理的な外力やその温度状態を維持するいわゆるアニールのような処理が必要となってくる。
当該遠心力は、好ましくは2000G以上4000G未満である。
本発明には、結晶性材料を用いることが好ましい。結晶性材料としては、ワックスや結晶性ポリエステル等、公知の材料を使用することができるが、必要に応じて一種又は二種以上の結晶性材料を使用してもよい。また、着色粒子が、結晶性材料として、結着樹脂との相溶性の高いエステルワックス又は結晶性ポリエステルを含むことがより好ましい。結着樹脂との相溶性が高い材料を使用することにより、結着樹脂がガラス転移温度付近となった際に軟化が促進され本発明の効果が得られやすくなる。
なお、結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール
、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
1官能のエステルワックスとしては、炭素数6〜12の脂肪族アルコールと長鎖カルボン酸の縮合物や、炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸と長鎖アルコールの縮合物が使用できる。なお、x官能のエステルワックスとは、x価アルコールとモノカルボン酸との縮合物、あるいは、x価カルボン酸とモノアルコールとの縮合物を意味する。
脂肪族アルコールの例としては、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコールが挙げられる。また、脂肪族カルボン酸の例としては、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸が挙げられる。
ジカルボン酸としてアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、デカン二酸、ドデカン二酸が挙げられる。
ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールが挙げられる。なお、ここでは直鎖脂肪酸、直鎖アルコールを例示したが、分岐構造を有していても構わない。中でも、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましく、特に1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが本発明の効果を奏しやすいため好ましい。
ジオールと縮合させるモノカルボン酸としては、脂肪族カルボン酸が好ましい。具体的には、脂肪酸としてラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等が挙げられる。中でも、ベヘン酸は定着性や現像性の観点で好ましい。
能の脂肪族カルボン酸の縮合物、ジグリセリンとカルボン酸の縮合物が挙げられる。5官能のエステルワックスとしては、トリグリセリンと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物が挙げられる。6官能のエステルワックスとしては、ジペンタエリスリトールと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物、テトラグリセリンと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物が挙げられる。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましい。
本発明においては公知の結晶性ポリエステル用いることができるが、下記式(1)で示される直鎖型脂肪族ジカルボン酸と、下記式(2)で示される直鎖型脂肪族ジオールにより生成されるポリエステルであることが好ましい。
HOOC−(CH2)m−COOH 式(1)
[式中、mは4〜14の整数を示す]
HO−(CH2)n−OH 式(2)
[式中、nは4〜16の整数を示す]
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調整等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20.0質量部以下が好ましい。
エステル化又はエステル交換反応の時には、必要に応じて硫酸、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等の通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒、例えば、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
前記触媒としてはチタン触媒を用いると望ましく、キレート型チタン触媒であると更に望ましい。これはチタン触媒の反応性が適当であり、本発明において望ましい分子量分布のポリエステルが得られるためである。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体。これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
本発明において、結着樹脂のガラス転移温度Tgは、47℃以上65℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度Tgが上述の範囲の場合、結晶性材料が十分に結晶化しやすくなるため、好ましい。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、及び、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、及び、C.I.ピグメントブルー66。マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及び、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、及び、C.I.ピグメントレッド254。
、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー191、及び、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラックや、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、シアン系着色剤及び磁性粉体を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及び、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
磁性粉体以外の着色剤の含有量は、結着樹脂を構成する重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下が好ましい。磁性粉体を用いる場合の含有量としては、結着樹脂を構成する重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し、好ましくは20質量部以上200質量部以下、より好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5〜10に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、撹拌条件を選択することにより、磁性粉体の形状及び磁気特
性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性粉体を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性粉体を得ることができる。
RmSiYn (I)
[式中、Rは炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基などの官能基を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、m+n=4である。]
用いるカップリング剤の総処理量は磁性粉体100質量部に対して0.9〜3.0質量部であることが好ましく、磁性粉体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
なお、トナー中の磁性粉体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TG
A7を用いて測定することができる。測定方法は以下の通りである。窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱する。100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性粉体量とする。
負荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
これらを単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
樹脂系帯電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、安息香酸部位を有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。荷電制御剤の配合量は、結着樹脂を構成する重合性単量体100.0質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜20.0質量部、より好ましくは0.05質量部〜10.0質量部である。
まず、粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂、着色剤、必要に応じて結晶性材料、及び荷電制御剤等その他の添加剤をヘンシェルミキサ、ボールミル等の混合器により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行って着色粒子を得ることができる。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕法のように乾式により着色粒子を製造する場合、好ましくは分散剤を分散した水系媒体の中に着色粒子を投入してスラリー(分散液)を得、その後、遠心力によって該スラ
リーを水系媒体と着色粒子とに分離させる構造を持つ装置を使用する特定の処理工程を行えばよい。
水系媒体とは、例えば、以下のものが挙げられる。
水;水と、メタノール、エタノール、又はプロパノールのようなアルコール類の混合溶媒。
懸濁重合法とは、結着樹脂を構成する重合性単量体及び着色剤(更に必要に応じて結晶性材料、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を分散剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散・造粒する。そして、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体の重合反応を行ない、所望の粒径を有する着色粒子を得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布も比較的均一となるために画質の向上が期待できる。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体。
これらの単量体は単独で、又は混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンを単独で、又は他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
具体的な重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチル
パーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえばよい。
さらに、上記処理工程を行う際、着色粒子に無機分散剤が付着している場合、着色粒子同士の合一を大幅に抑制することができ、非常に好ましい。
こうした無機分散剤の例としては、りん酸三カルシウム、りん酸マグネシウム、りん酸アルミニウム、りん酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等のりん酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20.0質量部を使用することが好ましい。
る。
本発明において使用する、遠心力によって水系媒体と着色粒子とに分離させる構造を持つ装置は公知のいずれの装置を使用してもよい。より具体的な分離装置としては、バスケット型遠心分離機、ディスク型遠心分離機、デカンタ型遠心分離機等が好ましい。この中でも上述したように着色粒子の装置内での転がりという観点から、デカンタ型遠心分離機がより好ましい。
デカンタ型遠心分離機の基本構造を図1に示す。図に示したデカンタ型遠心分離機は、外側回転筒、及び該外側回転筒内に相対回転自在に設けられたスクリューコンベアを有する。図に示したデカンタ型遠心分離機では、分離処理前のスラリーは、スクリューコンベア1内に設けられたチューブ3を通って外側回転筒2内に供給される。該回転筒を高速回転させ、該スラリーに高遠心力を与えると、外側回転筒2内壁に該スラリー中の着色粒子が、沈降分離される。沈降分離された着色粒子は、外側回転筒と同軸上で、かつわずかな回転差を有して回転するスクリューコンベア1の羽根4によって掻き寄せられて該外側回転筒内壁を転がりながら順次、排出口5の方向に進み、排出口5から排出される。一方、着色粒子から分離された分離液(水系媒体)は、分離液排出口6からオーバーフローして排出される。この際、遠心力がかかりにくい所望外微小粒子も分離液排出口から排出され、トナー性能の向上が見込まれる。
RCF=11.18(N/1000)2R・・・(1)
(1)式においてRCFは遠心力(G)、Nは一分間あたりの回転数(rpm)、R:外側回転筒の半径(cm)を表す。
のできる装置である。
流動化剤としては、1次粒子の個数平均粒径が好ましくは4〜80nm、より好ましくは6〜40nmの無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナーの帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。無機微粉体の1次粒子個数平均粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真を用いて行う。
無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1〜3.0質量部であることが好ましい。添加量が0.1質量部以上であるとその効果が十分に得られる。また、3.0質量部以下であると、定着性が良好になる。無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
なお、ここでは磁性一成分ジャンピング現像の画像形成装置を示したが、ジャンピング現像又は接触現像のいずれの方法に用いられるものであってもよい。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベ
ックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を5.0.粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャのフラッシュ」機能により、アパーチャチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、着色粒子などのサンプル約10mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30〜
200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。この昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ガラス転移温度とする。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、下記成分を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。
・ビスフェノールAエチレンオキシド(EO)2モル付加物 350質量部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド(PO)2モル付加物 326質量部
・テレフタル酸 250質量部
・チタン系触媒(チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート))
2質量部
次いで、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が0.1mgKOH/g以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸15質量部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂の酸価は1.0mgKOH/gであった。
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.00〜1.10当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で0.15質量%となる量のP2O5、鉄元素に対して珪素元素換算で0.50質量%となる量のSiO2を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.90〜1.20当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを約4.8に調整する。そして、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100部に対し1.6部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、撹拌を十分行い、分散液のpHを8.6にして表面処理を行った。生成した疎水性磁性粉体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径が0.21μmの磁性粉体1を得た。
実施例及び比較例に使用するワックス1〜4の性状を表1に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、カルボン酸モノマーとしてセバシン酸100質量部及びアルコールモノマーとして1,16−ヘキサデカンジオール60質量部を投入した。撹拌しながら140℃に昇温し、窒素雰囲気下で140℃に加熱して常圧下で水を留去しながら8時間反応させた。次いで、ジオクチル酸スズをモノマー総量100質量部に対して1質量部添加加えた後、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させた。更に、200℃に到達してから2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で3時間反応させて結晶性ポリエステル1を得た。得られた結晶性ポリエステル1の重量平均分子量(Mw)は44500、酸価は1.2mgKOH/gであった。
結晶性ポリエステル1の製造において、表2に記載のカルボン酸モノマー、アルコールモノマーを使用すること以外は同様にして、結晶性ポリエステル2、3を得た。結晶性ポリエステル1〜3は、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを有していた。
撹拌機付きオートクレーブに、未処理の乾式シリカ(1次粒子の個数平均粒径=9nm)を投入し、撹拌による流動化状態において、200℃に加熱した。
反応器内部を窒素ガスで置換して反応器を密閉し、シリカ原体100質量部に対し、25質量部のヘキサメチルジシラザンを内部に噴霧し、シリカの流動化状態でシラン化合物処理を行なった。この反応を60分間継続した後、反応を終了した。反応終了後、オートクレーブを脱圧し、窒素ガス気流による洗浄を行い、疎水性シリカから過剰のヘキサメチルジシラザン及び副生物を除去した。
さらに、反応槽内を撹拌しながらシリカ原体100質量部に対し、20質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)を噴霧し、30分間攪拌を続けた後、攪拌しながら300℃まで昇温させてさらに3時間攪拌して後に取り出し、解砕処理を実施し、シリカ微粒子Cを得た。シリカ微粒子Cから得られた物性としては、1次粒子の個数平均粒径9nm、BET130m2/g、見かけ密度30g/Lであった。
<トナー1の製造例>
(水系媒体の調製)
イオン交換水342.8質量部にリン酸ナトリウム12水和物3.1質量部を投入してT.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて撹拌しながら60℃に加温した後、イオン交換水12.7質量部に塩化カルシウム2水和物1.8質量部を添加した塩化カルシウム水溶液を添加して撹拌を進め、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
(重合性単量体組成物の調製)
・スチレン 77.0質量部・n−ブチルアクリレート 23.0質量部・1−6ヘキサンジオールジアクリレート 0.55質量部・サリチル酸アルミニウム化合物(E−101:オリエント化学(株)製)0.3質量部・着色剤:磁性粉体1 65.0質量部・ポリエステル樹脂 20.0質量部
上記材料をアトライタ(三井三池化工機(株)製)を用いて均一に分散混合した後、60℃に加温し、そこに結晶性材料としてワックス1を10.0質量部添加混合し、溶解して重合性単量体組成物を得た。
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物と重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート9.0質量部を投入し、60℃、N2雰囲気下においてT.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)にて12000rpmで10分間撹拌しながら造粒し、重合性単量体組成物の液滴を含む造粒液を得た。
(重合/蒸留/乾燥)
上記造粒液をパドル撹拌翼で撹拌しながら74℃で4時間反応させた。反応終了後、98℃で5時間蒸留した。ここで得られた水系媒体中には、着色粒子が分散しており、着色粒子表面には無機分散剤として、リン酸カルシウムが付着していることを確認した。この時点で、水系媒体に、塩酸を加えてリン酸カルシウムを洗浄して除去した後に濾過・乾燥して着色粒子を分析した。その結果、着色粒子のガラス転移温度Tgは56℃であった。続いて、着色粒子が分散した水系媒体を処理温度(Ts)50℃まで5℃/minの速度で冷却した。その時の着色粒子の割合を測定した結果10質量%であった(割合A)。上記スラリーを遠心力3000G、差動回転数20rpmに調整したスクリューデカンタ型遠心分離機(HS−L型:株式会社IHI製)に投入し、濃縮スラリーを得た。濃縮スラリーの着色粒子の割合は20質量%であった(割合B)。
その後、塩酸を加えて洗浄し、濾過・乾燥して、重量平均粒径が8.0μmのトナー粒子1を得た。
得られたトナー粒子100質量部に対し、シリカ微粒子C0.8質量部をFMミキサ(日本コークス工業株式会社)で混合してトナー1を得た。得られたトナーの粒度分布(D50/D1)は1.12、円形度は0.979であった。
トナー1の製造例において、結晶性材料種、遠心分離機の種類、遠心分離機にかける遠心力、差動回転数、遠心分離処理前の処理温度(Ts)、スラリーの着色粒子の割合を表3に記載の通りに変更した以外は同様にしてトナー2〜10、比較トナー1〜15を得た。
なお、表3にある分離装置種でディスク型とは、ディスク型遠心分離機(ウエストファリアセパレータージャパン(株)製)を使用した。
また、表3にある分離装置種でフィルタープレスは市販のフィルタープレス(ISD型ラースタフィルタ:株式会社石垣製)、シンクロフィルターは市販のシンクロフィルタ(月島機械株式会社製)を使用した。
上記トナー1を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表4に示す。
キヤノン(株)製プリンターLBP3100用を改造して画出し評価に用いた。改造点としては、プロセススピードを従来よりも早回しにした250mm/secとし、図2にある通り現像スリーブが静電潜像担持体と接触するように改造した。なお、現像スリーブと静電潜像担持体の当接部が1.0mmとなるように当接圧を調整した。このように改造することで、トナー供給部材が無いことから、ドラム上カブリに関して厳しく評価できる。
この改造機を用いて、トナー1を200g充填し、低温低湿環境(温度15℃/相対湿度10%RH)にて、印字率が1%の横線を2枚間欠モードで2000枚画出し試験を行った。
低湿度環境下(温度15℃/相対湿度10%RH)において画出し試験を行うことにより、トナーがチャージアップしやすく、カブリの評価を厳しく行える。
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。
静電潜像担持体上のカブリを算出するために、ベタ黒画像の出力直後で、かつ、ベタ白画像転写前の静電潜像担持体上に存在するトナーを採取したマイラーテープを準備した。静電潜像担持体上のカブリは、未使用の紙上に貼った未使用のマイラーテープの反射率から、未使用の紙上にトナーを採取したマイラーテープを貼ったものの反射率を差し引いて算出した。
A:5%以下
B:6%以上10%以下
C:11%以上20%以下
D:21%以上
前述した低温低湿環境にて画出し終了後、同環境で画像濃度の評価を行った。画像濃度はベタ黒画像部を形成し、このベタ黒画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。ベタ黒画像の反射濃度の判断基準は以下の通りである。
A:1.46以上
B:1.41以上1.45以下
C:1.36以上1.40以下
D:1.35以下
前述した低温低湿環境にて画出し終了後、同環境で現像スジの評価を行った。
現像スジの評価は、耐久使用後に現像スリーブ上のトナーをエアブローで除去し、現像スリーブの融着状況を目視確認した結果と、ハーフトーン画像を出力し、画像を目視観察した結果を合わせて下記基準に照らして行った。
A:現像スリーブ上にスジは無く、画像にもスジは認められない。
B:現像スリーブ上に軽微なスジが認められるが、画像には現れない。
C:現像スリーブ上に軽微なスジが多数認められるが、画像には現れない。
D:現像スリーブ上に明確なスジが認められる。あるいは、画像上にスジが生じている。
トナーとして、トナー2〜10、及び比較トナー1〜15を使用し、実施例1と同様の条件でトナー評価を行った。評価結果を表4に示す。
100:静電潜像担持体(感光体)、102:現像担持体、114:転写部材(転写帯電ローラー)、116:クリーナー、117:帯電部材(帯電ローラー)、121:レーザー発生装置(潜像形成手段、露光装置)、123:レーザー、124:ピックアップローラー、126:定着器、140:現像器、141:攪拌部材、142:トナー規制部材
Claims (4)
- 結着樹脂と着色剤とを含有する着色粒子、及び水系媒体を含む未処理スラリーを処理する処理工程を有するトナー粒子の製造方法であって、
該処理工程が、デカンタ型遠心分離機を使用して未処理スラリーを濃縮し、濃縮スラリーを得る工程を含み、
該デカンタ型遠心分離機が、外側回転筒と、該外側回転筒内に相対回転可能に設けられたスクリューコンベアとを有し、
該未処理スラリーを濃縮する工程においては、
i)遠心力が500G以上4000G未満、
ii)該着色粒子のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、温度(Ts)がTg−10℃以上Tg+10℃以下、
の条件下で、未処理スラリーの濃縮が行われ、
濃縮スラリー中の着色粒子の割合を割合Bとしたときに、割合Bが10質量%以上60質量%以下であることを特徴とするトナー粒子の製造方法。 - 未処理スラリー中の着色粒子の割合を割合Aとしたときに、割合Aが、5質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
- 前記着色粒子が、エステルワックス又は結晶性ポリエステルを含む請求項1又は2に記載のトナー粒子の製造方法。
- 前記着色剤が磁性粉体を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
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