JP7500260B2 - トナー - Google Patents

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Description

本開示は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法などの方法によって形成される静電潜像を現像してトナー画像を形成するために用いられるトナーに関する。
近年、複写機やプリンター、ファックスにおいては、省資源化・省エネルギー化への注目は高く、画像形成させるための消耗品の長寿命化やトナー画像を得る際の画像定着時の低エネルギー化が強く望まれている。
したがって、トナーにおいては、劣化による流動性低下が招く画質低下を抑制した「高耐久性」や、より低エネルギーでの画像定着が可能な、いわゆる「低温定着性」のニーズが高まっている。
しかしながら、「高耐久性」と「低温定着性」の両立はトレードオフの関係になりやすく、大きな技術課題が多く存在する。
特許文献1には、低温定着性をできるだけ損なわずに高い耐久性を得るために、トナー粒子表面が有機ケイ素重合体の表層で覆われたトナーの提案がある。
また、特許文献2には、この有機ケイ素重合体の表層を形成する際に、有機ケイ素重合体のネットワーク構造を形成することでより優れた耐久性を発現させる技術が提案されている。これによって耐久劣化による帯電の不均一性が引き起こす高温高湿下で顕著に発生する転写ボソの大幅改善が達成された。
特開2014-130238号公報 特開2018-194836号公報
しかしながら、より長寿命化を図った際にはトナーの流動性の低下による画像濃度の追従性が満足できないという課題がある。この画像濃度の追従性という課題に対して、有機ケイ素重合体表層の被覆を高めネットワークを強固にすることで解決はできたが、一方で低温定着性が損なわれてしまうということが判った。
本開示は、低温定着性に優れ、連続印刷しても高い流動性を維持することで長期にわたって画像濃度の均一性に優れた画像が提供できるトナーに関する。
本開示は、
トナー母粒子、及び、該トナー母粒子を被覆する有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の最表面における、該有機ケイ素重合体で被覆されていない非被覆部の総面積をS1(μm)とし、
該トナー粒子の最表面における、該有機ケイ素重合体で被覆されている被覆部の総面積をS2(μm)とし、
該有機ケイ素重合体で被覆されていない該非被覆部における、0.10μm以下の非被覆部ドメインD1の面積の総和をSA1(μm)としたときに、
下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とするトナーに関する。
0.45≦〔S2/(S1+S2)〕≦0.65 (1)
(SA1/S1)≧0.50 (2)
ただし、
該トナー粒子の最表面の走査電子顕微鏡観察において、
該トナー粒子の最表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、該反射電子像を構成する各ピクセルの輝度を輝度0から輝度255の256階調に振り分けて、横軸を輝度、縦軸をピクセル数とする輝度ヒストグラムを得たとき、
該輝度ヒストグラムにおいて、二つの極大値P1及びP2、並びに、該P1及び該P2の間に極小値Vが存在し、極大値P1を与える輝度<極大値P2を与える輝度であり、
該P2を含むピークが、該有機ケイ素重合体で被覆されている該被覆部に由来するピークであり、
該P1を含むピークが、該有機ケイ素重合体で被覆されていない該非被覆部に由来するピークであり、
該反射電子像を、該極小値Vを境界に該P1を含むピークに由来する領域W及び該P2を含むピークに由来する領域Bに二値化して得られた二値化画像において、
該有機ケイ素重合体で被覆されていない該非被覆部に由来するドメインを非被覆部ドメインD1とし、
該有機ケイ素重合体で被覆されている該被覆部に由来するドメインを被覆部ドメインD2とし、
該非被覆部ドメインD1の面積の総和がS1(μm)であり、該被覆部ドメインD2の面積の総和がS2(μm)である。
本開示によれば、低温定着性に優れ、連続印刷しても高い流動性を維持することで長期にわたって画像濃度の均一性に優れた画像が提供できるトナーを得ることができる。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点において下限及び上限を含む数値範囲である。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
本開示は、
トナー母粒子、及び、該トナー母粒子を被覆する有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の最表面における、該有機ケイ素重合体で被覆されていない非被覆部の総面積をS1(μm)とし、
該トナー粒子の最表面における、該有機ケイ素重合体で被覆されている被覆部の総面積をS2(μm)とし、
該有機ケイ素重合体で被覆されていない該非被覆部における、0.10μm以下の非被覆部ドメインD1の面積の総和をSA1(μm)としたときに、
下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とするトナーである。
0.45≦〔S2/(S1+S2)〕≦0.65 (1)
(SA1/S1)≧0.50 (2)
ただし、
該トナー粒子の最表面の走査電子顕微鏡観察において、
該トナー粒子の最表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、該反射電子像を構成する各ピクセルの輝度を輝度0から輝度255の256階調に振り分けて、横軸を輝度、縦軸をピクセル数とする輝度ヒストグラムを得たとき、
該輝度ヒストグラムにおいて、二つの極大値P1及びP2、並びに、該P1及び該P2の間に極小値Vが存在し、極大値P1を与える輝度<極大値P2を与える輝度であり、
該P2を含むピークが、該有機ケイ素重合体で被覆されている該被覆部に由来するピークであり、
該P1を含むピークが、該有機ケイ素重合体で被覆されていない該非被覆部に由来するピークであり、
該反射電子像を、該極小値Vを境界に該P1を含むピークに由来する領域W及び該P2を含むピークに由来する領域Bに二値化して得られた二値化画像において、
該有機ケイ素重合体で被覆されていない該非被覆部に由来するドメインを非被覆部ドメインD1とし、
該有機ケイ素重合体で被覆されている該被覆部に由来するドメインを被覆部ドメインD2とし、
該非被覆部ドメインD1の面積の総和がS1(μm)であり、該被覆部ドメインD2の面積の総和がS2(μm)である。
後述するが、本開示における反射電子像の取得条件は、トナー粒子の最表面を反映するように設定する。当該取得条件における、Kanaya-Okayamaの式から概算される各元素についての電子線の進入領域及びX線の発生領域は、およそ数十nmである。
本開示では、トナー母粒子、及び、該トナー母粒子を被覆する有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の最表面を、走査電子顕微鏡を用いて観察し、該トナー粒子の最表面1.5μm四方の反射電子像を取得する。
得られた反射電子像を構成する各ピクセルの輝度を輝度0から輝度255の256階調に振り分けて、横軸を輝度、縦軸をピクセル数とする輝度ヒストグラムを得る。
このとき、該輝度ヒストグラムにおいて、二つの極大値P1及びP2、並びに、該P1及びP2の間に極小値Vが存在する。
該輝度ヒストグラムにおいて、輝度の低い方が暗く(黒)、高い方が明るい(白)。
走査電子顕微鏡から得られる反射電子像は“組成像”とも呼ばれており、原子番号の小さいものほど暗く、大きいものほど明るく検出される。
本開示のトナー粒子の最表面には、トナー母粒子を被覆する有機ケイ素重合体が存在する。そのため、輝度の高い極大値P2を含むピークが、トナー粒子の最表面における、有機ケイ素重合体で被覆されている被覆部に由来するピークである。
一方、輝度の低い極大値P1を含むピークが、トナー粒子の最表面における、有機ケイ素重合体で被覆されていない非被覆部に由来するピークである。すなわち、トナー母粒子の表面であって、有機ケイ素重合体で被覆されていない部分に由来するピークである。
ここで、トナー母粒子は、一般的に、樹脂成分及び離型剤などの炭素を主成分とする組成物を主として含有する樹脂粒子である。そして、該トナー母粒子の表面を有機ケイ素重合体で被覆してなる粒子がトナー粒子である。
該反射電子像を、該極小値Vを境界に該P1を含むピークに由来する領域W及び該P2を含むピークに由来する領域Bに二値化して二値化画像を得る。
該二値化画像において、有機ケイ素重合体で被覆されていない非被覆部に由来するドメインを非被覆部ドメインD1とし、有機ケイ素重合体で被覆されている被覆部に由来するドメインを被覆部ドメインD2とする。
非被覆部ドメインD1の面積の総和がS1(μm)であり、被覆部ドメインD2の面積の総和がS2(μm)である。また、(S1+S2)は、反射電子像の総面積である。
したがって、上記式(1)は、トナー母粒子が有機ケイ素重合体によりどれだけ被覆されているかを示した被覆率に相当する。被覆率が高ければ優れた流動性が付与され、高い耐久性を得られる反面、定着時のトナー母粒子と紙面との接触面積が低下するために低温定着性に劣る。
一方、上記式(2)は、二値化画像における、有機ケイ素重合体で被覆されていない非被覆部に由来する非被覆部ドメインD1の面積の総和に対する、0.10μm以下の非被覆部ドメインD1の面積の総和の面積割合を示している。
この面積割合が大きいこと、すなわち、0.50以上であることは、有機ケイ素重合体によりネットワーク構造がより緻密に形成されていることを示している。
このように、ネットワーク構造が緻密であるほど優れた流動性が発現し、耐久使用による流動性の低下を抑制することができる。
一方で、この面積割合が低い、すなわち、ネットワーク構造が緻密でない場合、トナー母粒子間において、トナー母粒子表面同士の接触頻度が増すために、耐久使用を通じて流動性が損なわれる。
また、低温定着性と耐久性をより向上させる観点から、下記式(3)を満たすことが好ましい。
0.50≦〔S2/(S1+S2)〕≦0.60 (3)
一方、より優れた流動性を発現させる観点から、下記式(4)を満たすことが好ましい。
(SA1/S1)≧0.65 (4)
該(SA1/S1)の上限値は特に限定されないが、0.90以下であることが好ましく、0.85以下であることがより好ましい。
また、有機ケイ素重合体で被覆されていない非被覆部における、0.50μm以上の非被覆部ドメインD1の面積の総和をSB1(μm)としたときに、下記式(5)を満たすことが好ましい。
(SB1/S1)≦0.20 (5)
大きな非被覆部ドメインの面積割合を少なくすることで、より優れた流動性を発現することができる。該(SB1/S1)は、0.15以下であることがより好ましくより好ましくは0.08以下である。一方、その下限値は特に限定されないが、0.03以上であることが好ましい。
さらに、有機ケイ素重合体で被覆されていない非被覆部における、0.01μm以下の非被覆部ドメインD1の面積の総和をSC1(μm)としたときに、下記式(6)を満たすことが好ましい。
(SA1-SC1)/S1≧0.35 (6)
(SA1-SC1)/S1は、0.40以上であることがより好ましい。一方、その上限値は特に限定されないが、0.50以下であることが好ましい。
(SA1-SC1)は非被覆部ドメインD1の面積が0.01μmより大きく0.10μm以下である非被覆部ドメインD1の面積の総和を示している。
したがって、上記式(6)は、二値化画像における、有機ケイ素重合体で被覆されていない非被覆部に由来する非被覆部ドメインD1の面積の総和に対する、0.01μmより大きく0.10μm以下である非被覆部ドメインD1の面積の総和の面積割合を示している。
該(SA1-SC1)/S1の値が大きいほど、トナー粒子の最表面に均一な非被覆部ドメインが分布していることを示している。すなわち、トナー粒子の最表面に有機ケイ素重合体によるネットワーク構造が均一に形成できていることを示している。
有機ケイ素重合体によるネットワーク構造が均一であればあるほど、より少ない有機ケイ素重合体の含有量でも高い耐久性と優れた流動性を得ることができる。
すなわち、同等の耐久性と流動性を発現させつつ、被覆率を下げることができるため、低温定着性との両立がより容易になる。
上記式(1)~(6)は、後述するように有機ケイ素化合物を縮重合させる際の縮重合
条件及び有機ケイ素化合物の添加量などにより、上記範囲に調整することができる。
該有機ケイ素重合体が、ケイ素原子と酸素原子とが交互に結合した構造を有し、
有機ケイ素重合体が、下記式(7)で表されるT3単位構造を有することが好ましい。
-SiO3/2 (7)
(該式(7)中、Rが炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。Rが炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましい。Rが炭素数1又は2のアルキル基であることがさらに好ましい。)
該有機ケイ素重合体は、有機ケイ素重合体粒子であってもよい。
該有機ケイ素重合体は、アルキル基の鎖長及びSi-O-Siの結合様式が適切であり、有機ケイ素重合体の固さと柔軟性の観点から優れており、優れた耐久性と流動性の発現が可能である。
該式(7)の構造を有する有機ケイ素重合体において、Si原子の4個の原子価のうち1個はRと、残り3個はO原子と結合している。O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si-O-Si)を構成する。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、-SiO3/2と表現される。この有機ケイ素重合体の-SiO3/2構造(T3単位構造)は、多数のシロキサン結合で構成されるシリカ(SiO)と類似の性質を有することが考えられる。
該式(7)で表されるT3単位構造において、Rは、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。また、Rは、炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましく、炭素数が1~3のアルキル基であることがさらに好ましく、炭素数1又は2のアルキル基であることが特に好ましい。
炭素数が1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく例示できる。より好ましくは、Rはメチル基又はエチル基である。
さらに、非被覆部ドメインD1の面積の個数平均値、及び、非被覆部ドメインD1の最大フェレ径の個数平均値が以下の数値範囲であれば、前述した効果を発現する上でなお好ましい。
非被覆部ドメインのD1の面積の個数平均値は、1.0×10-3μm~1.0×10-2μmであることが好ましい。より好ましくは、3.0×10-3μm~5.0×10-3μmである。
一方、非被覆部ドメインD1の最大フェレ径の個数平均値は、30nm~250nmであることが好ましい。より好ましくは、50nm~150nmである。
該非被覆部ドメインD1の面積の個数平均値、及び、非被覆部ドメインD1の最大フェレ径の個数平均値は、有機ケイ素重合体形成時の反応性を調整することによって制御することができる。例えば、有機ケイ素化合物の加水分解の温度及びpH、並びに、有機ケイ素化合物の加水分解液の添加量などを制御することにより、上記範囲に調整することができる。
有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
Figure 0007500260000001
(式(Z)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6(好ましくは1~4、より好ましくは1又は2)のアルキル基、フェニル基、又は反応基(例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は(好ましくは炭素数1~6、より好ましくは炭素数1~3の)アルコキシ基)を表す。)
有機ケイ素重合体を得るには、以下のようにするとよい。
式(Z)の一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)を用いる。
式(Z)中のRがアルキル基又はフェニル基であり、3つの反応基(R、R、R)を有する有機ケイ素化合物(三官能性シラン)を用いる。
式(Z)中のR、Rがアルキル基又はフェニル基であり、2つの反応基(R、R)を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)を用いる。
式(Z)中のR、R、Rがアルキル基又はフェニル基であり、1つの反応基(R)を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)を用いる。
例えば、T3単位構造に由来するピークの面積の割合を、0.60~0.90とするためには、有機ケイ素化合物として三官能性シランを50モル%以上使用することが好ましい。
上記反応基が加水分解、付加重合及び縮合重合させて架橋構造を形成し、有機ケイ素重合体を得ることができる。R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
四官能性シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソシアネートシランなどが挙げられる。
三官能性シランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、
フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシラン、ペンチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
二官能性シランとしては、ジ-tert-ブチルジクロロシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジエトキシシラン、ジブチルジクロロシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジクロロデシルメチルシラン、ジメトキシデシルメチルシラン、ジエトキシデシルメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一官能性シランとしては、t-ブチルジメチルクロロシラン、t-ブチルジメチルメトキシシラン、t-ブチルジメチルエトキシシラン、t-ブチルジフェニルクロロシラン、t-ブチルジフェニルメトキシシラン、t-ブチルジフェニルエトキシシラン、クロロジメチルフェニルシラン、メトキシジメチルフェニルシラン、エトキシジメチルフェニルシラン、クロロトリメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、エトキシトリメチルシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリペンチルメトキシシラン、トリフェニルクロロシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどが挙げられる。
有機ケイ素重合体は、疎水性を付与する目的で、表面処理されていてもよい。
疎水化処理剤としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどのクロロシラン類;
テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o-メチルフェニルトリメトキシシラン、p-メチルフェニルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i-ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン類;
ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザンなどのシラザン類;
ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル;
ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチ
ルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンなどのシロキサン類;
脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸、前記脂肪酸と亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシシラン類、シラザン類、シリコーンオイルは、疎水化処理を実施しやすいため、好ましく用いられる。これらの疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量は、2.00質量%~5.00質量%であることが好ましい。該含有量が上記範囲であることで十分な有機ケイ素重合体の被覆率が十分に高くかつネットワーク構造が形成できる。一方、該含有量が5.00質量%以下であれば低温定着性の観点において、好適な被覆率となる。
該有機ケイ素重合体の29Si-NMRの測定において、有機ケイ素重合体に含有される全ケイ素元素に由来するピークの合計面積に対する、上記式(7)で表されるT3単位構造を有するケイ素に由来するピークの面積の割合が、0.60~0.90であることが好ましい。
該割合が0.60~0.90であれば、有機ケイ素重合体の縮合度が十分であり、有機ケイ素重合体の固さと柔軟性が優れているため、流動性と耐久性がより向上する。
トナー母粒子を被覆する有機ケイ素重合体を有するトナー粒子を得るためには、トナー母粒子表面で該有機ケイ素化合物を縮重合させることが好ましい。また、有機ケイ素化合物を縮重合させる際の縮合条件及び有機ケイ素化合物の添加量などで、被覆状態を調整できる。
有機ケイ素化合物の縮重合する際に、有機ケイ素化合物と水又は緩衝液などとを混合して、加水分解を行ってから添加することができる。
その際、加水分解の条件によっても、有機ケイ素化合物の縮重合を調整することができる。加水分解の条件としては、有機ケイ素化合物と水又は緩衝液との混合比、pH、温度、攪拌速度及び緩衝液などを用いる際の塩濃度などがあげられる。トナー母粒子を有機ケイ素重合体により均一被覆する上では加水分解を進めることが好ましい。しかし、有機ケイ素化合物の加水分解を過剰に行った場合には縮重合反応も進行するため、トナー母粒子に対する有機ケイ素重合体の被覆量が低下することがある。
また、有機ケイ素化合物の縮重合条件としては温度、pH、有機ケイ素化合物の加水分解液の添加速度、加水分解液の添加量及び加水分解液の添加時期などが挙げられる。
有機ケイ素重合体の均一な被覆状態を得るために、有機ケイ素化合物を縮重合する前に、トナー母粒子の表面を修飾することが好ましい。この操作により、有機ケイ素重合体のネットワークの構造を制御することができる。例えば、水系媒体中でトナー母粒子を製造する場合、トナー母粒子の造粒時に、界面活性剤及び無機微粒子などでトナー母粒子を修飾することが挙げられる。なお、有機ケイ素重合体を形成した後に、該修飾物をトナー母粒子から取り除くことを容易に行うためには、無機微粒子を用いることが好ましい。
トナー母粒子造粒時の修飾物として無機微粒子を用いる場合、無機微粒子の粒径、被覆率及びトナー母粒子表面での分散状態を制御することで、有機ケイ素重合体のネットワーク構造が緻密に制御できる。
該トナー母粒子は、樹脂、離型剤及び着色剤などを含んでいてもよい。
樹脂としては、従来公知のトナー用の樹脂を用いることができるが、ビニル系重合体やポリエステル系重合体を用いることが好ましい。
該ビニル系重合体は、ビニル基を有する単量体(以下単に「ビニル基系単量体」ともいう)をラジカル重合して得られた樹脂を指す。ビニル系樹脂は、1種のビニル基系単量体を重合して得られる単独重合体であっても、2種以上のビニル基系単量体を重合して得られる共重合体であってもよい。
該ビニル系樹脂としては、例えば、スチレン骨格を有する単量体(例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレンなど)、(メタ)アクリル酸エステル骨格を有する単量体(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシルなど)、エチレン性不飽和ニトリル骨格を有する単量体(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、ビニルエーテル骨格を有する単量体(例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなど)、ビニルケトン骨格を有する単量体(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトンなど)、オレフィン骨格を有する単量体(例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエンなど)などの単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体などが挙げられる。
該スチレン(メタ)アクリル樹脂は、スチレン骨格を有する単量体と、(メタ)アクリル酸エステル骨格を有する単量体とを共重合した樹脂であることが好ましい。
該スチレン(メタ)アクリル樹脂は、スチレン骨格を有する単量体と(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、を少なくとも共重合した共重合体であることが好ましい。上述のように「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」のいずれをも含む表現である。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」のいずれをも含む表現である。
スチレン骨格を有する単量体(以下、「スチレン系単量体」ともいう)としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレンなど)、ハロゲン置換スチレン(例えば、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレンなど)、ビニルナフタレンなどが挙げられる。スチレン系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの中で、スチレン系単量体としては、反応し易さ、反応の制御の容易さ、さらに入手性の点で、スチレンが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体(以下、「(メタ)アクリル系単量体」ともいう)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸n-メチル、(メタ)アクリル酸n-エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イ
ソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル等)、(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル等)、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
これらのうち、スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体とのスチレンアクリル系共重合体が好ましい。該スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体との共重合比(質量基準、スチレン系単量体/(メタ)アクリル系単量体)は、例えば、100/0~65/35であることが好ましく、85/15~70/30であることがより好ましい。
ここで、スチレンアクリル系共重合体は、スチレンアクリル系共重合体のみから構成された状態で樹脂中に含有されていてもよいし、他の重合体などとのブロック共重合体、グラフト共重合体、又はそれらの混合物の状態で樹脂中に含有されていてもよい。
樹脂が、スチレンアクリル系共重合体を含有することで、トナーの現像特性及び耐久性が向上する。
ビニル系重合体を重合する際に用いる重合開始剤としては、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤など様々なものが使用できる。
有機系の過酸化物系重合開始剤としては、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドが挙げられる。
有機過酸化物系重合開始剤の具体例としては、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ヘキシルパーオキシアセテート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネートなどのパーオキシエステル;
ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;1,1-ジ-t-ヘキシルパーオキシシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;ジ-t-ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;その他としてt-ブチルパーオキシアリルモノカーボネートなどが挙げられる。
無機系の過酸化物系重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素などが挙げられる。
また、アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)などが例示される。
なお、必要に応じてこれら重合開始剤を2種以上同時に用いることもできる。
該重合開始剤の使用量は、重合性単量体100.0質量部に対して、0.10質量部~20.0質量部であることが好ましい。
ポリエステル系重合体としては、特に限定されないが、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分との縮重合体が挙げられる。
カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。
アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノー
ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、ポリエステル系重合体は、ウレア基を含有したポリエステル系重合体であってもよい。ポリエステル系重合体は末端などのカルボキシ基はキャップしないことが好ましい。
また、これらビニル系重合体及びポリエステル系重合体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。これらビニル系重合体及びポリエステル系重合体の重量平均分子量は、5000~200000程度であることが好ましい。
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、25℃~65℃であることが好ましい。
ビニル系重合体のガラス転移温度(Tg)は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体の重合比率を調整することにより所望の範囲とすることができる。
ポリエステル系重合体は樹脂を構成するアルコール成分及びカルボン酸成分の組成によって調整することができる。
該樹脂は、極性を有する樹脂(以下単に、極性樹脂ともいう)を含有していてもよい。
極性樹脂としては、前述したビニル系重合体及びポリエステル系重合体のうち、極性を与える官能基を含むものが挙げられる。「極性を与える」とは、具体的には、極性を付与する目的で酸価及び水酸基価を調整したものが該当する。
極性樹脂の酸価は、0.5mgKOH/g~50.0mgKOH/gであることが好ましく、極性樹脂の水酸基価は、0.0mgKOH/g~30.0mgKOH/gであることが好ましい。
極性樹脂として用いられるビニル系重合体としては、前述したビニル系重合体を用いるとよいが、上記単量体の中でも、酸価調整のためには、アクリル酸、メタクリル酸などを用いるとよい。一方、水酸基価調整のためには、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどを用いるとよい。
極性樹脂として用いられるポリエステル系重合体としては、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合体が挙げられる。
アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン。
一方、カルボン酸成分としては、以下のものが挙げられる。
フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6~18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物。
また、その他にも以下の成分などを使用することが可能である。
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルなどの多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物などの多価カルボン酸類。
それらの中でも、帯電特性の観点からは、下記式(I)で表されるビスフェノール誘導体と、2価以上のカルボン酸との縮重合体が好ましい。
Figure 0007500260000002
式(I)中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2~10である。
該極性樹脂の含有量は、樹脂又は樹脂を生成する重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部~20.0質量部であることが好ましく、2.0質量部~10.0質量部であることがより好ましい。
有機ケイ素重合体、又は有機ケイ素重合体粒子の製造方法について説明する。
有機ケイ素重合体(粒子)は、従来公知のゾルゲル法などによって製造することが可能である。
一例としては、以下の通りである。
撹拌機を具備した温度制御可能な容器、pH調整された純水を温度制御しながら、前述した有機ケイ素化合物を添加し加水分解を行う。
次いで、得られた加水分解物をトナー母粒子の分散体に添加し、分散体を有機ケイ素化合物の縮重合に適した温度及びpHに再調整する。その後、有機ケイ素化合物の縮重合反応を進行させ、有機ケイ素重合体を、トナー母粒子の表面に析出させることで、トナー母粒子を被覆する有機ケイ素重合体(粒子)を形成させる。
加水分解を行うpHは、1.0~7.0程度が好ましく、縮重合するpHは、3.0~11.0程度が好ましい。pHによって、縮重合の進み方が違うため、目的の有機ケイ素重合体を得るために、pHを制御するとよい。
例えば、pHが5.0に近い場合、縮重合が進みにくくなり、pH11.0に近い場合、縮重合が進みやすい。一方、加水分解を行う温度として50℃以下であることが好ましく、縮重合する温度は、分散体の温度によって調整するとよい。温度が高いほど縮重合の速度が速いため、小さな粒子を得られる傾向があり、反対に温度が低い場合、大きい粒子が得られる傾向がある。
以下、さらに具体的な製造方法について説明するが、これらに限定されるわけではない。
トナー母粒子の製造方法としては、従来公知の製造方法を用いるとよいが、溶融混錬粉砕法、溶解懸濁法及び懸濁重合法が挙げられる。これらの製造方法では、製造工程において原材料を均一に混合し樹脂粒子を得ることができる。
トナー母粒子を被覆する有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を得る場合、水系媒体中で製造することが好ましい。例えば、懸濁重合法及び溶解懸濁法が挙げられ、中でも懸濁重合法が好ましい。懸濁重合法では、有機ケイ素重合体(又は、有機ケイ素重合体粒子)がトナー母粒子の表面に均一に析出しやすく、上記式(1)~(6)の数値範囲に調整しやすい。また、トナー母粒子における有機ケイ素重合体の均一な被覆状態を得るためには、トナー母粒子の造粒時に、無機微粒子を用いてトナー母粒子表面を修飾しておくことが好ましい。無機微粒子による修飾により、トナー母粒子表面を適切に露出させることができるため、有機ケイ素重合体の形成時に、被覆部と非被覆部とを所定の関係で形成させることができる。
以下、懸濁重合法についてさらに詳細に説明する。
例えば、トナー粒子の製造方法は、
水系媒体中で、トナー母粒子を形成しうる重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する工程(I)、
重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を、水系媒体中で重合しトナー母粒子を形成する工程(II)、及び、
該トナー母粒子と有機ケイ素化合物とを接触させ、該有機ケイ素化合物を縮重合し、トナー母粒子の表面を有機ケイ素重合体で被覆する工程(III)を含む。
有機ケイ素重合体の形態としては、有機ケイ素重合体の層、有機ケイ素重合体の粒子、表面に有機ケイ素重合体を有する樹脂粒子、及び表面に有機ケイ素重合体を有する無機微粒子などであってもよい。例えば、有機ケイ素重合体は、有機ケイ素重合体粒子であることが好ましい。
上記式(1)~(6)は、例えば、
上記工程(I)又は(II)における、無機微粒子の添加量及び添加時期;
有機ケイ素化合物を添加し重合する際の、有機ケイ素化合物の添加速度、反応温度、反応時間、反応時のpH、及び、pH調整のタイミング;
などを調整することにより上記範囲に制御することができる。
該工程(I)において、重合性単量体組成物は、トナー母粒子を形成しうる重合性単量体、及び、必要に応じて、極性樹脂などのその他の樹脂成分、着色剤、離型剤、重合開始剤、荷電制御剤、連鎖移動剤、重合禁止剤及び架橋剤などの添加剤を含有させることもできる。
得られた重合性単量体組成物は水系媒体に分散され、トナー母粒子を形成しうる重合性単量体などを含有する重合性単量体組成物の粒子が形成される。
該水系媒体は、分散剤として無機微粒子を含むものを用いるとよい。
無機微粒子を含む水系媒体は、無機微粒子、及び、水を含む水系媒体を含有させて構成することができる。また、該水系媒体は、無機微粒子以外に、無機微粒子を生成する際に生じる対イオンや、pH調整用に添加する酸(例えば、塩酸及び硫酸)やアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウム)などを含むことができる。
水系媒体の調製に用いられる水は、例えば、イオン交換水を用いることができる。なお、水系媒体は、重合性単量体100質量部に対して、100質量部以上の水を用いて調製するとよい。
無機微粒子は、水系媒体中に存在する重合性単量体組成物の粒子の分散安定化剤としての役割を果たすとともに、トナー母粒子表面を適切に露出させるための修飾剤としての役
割を果たす。
無機微粒子としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどの微粒子が挙げられる。この中でも、粒子径の制御の簡便さから、リン酸カルシウムを用いるとよい。これら無機微粒子は1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
一方、、ノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の併用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
無機微粒子を含む水系媒体を調製する場合、細かく均一な粒度を有する無機微粒子を得るために、水中にて高速撹拌下で、無機微粒子を生成させて調製するとよい。
例えば、リン酸カルシウムを無機微粒子として使用する場合、以下のように調製することができる。すなわち、高速撹拌下かつ60℃以下の低温領域で、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸カルシウムの微粒子を水中に形成させることで無機微粒子を得ることができる。
次いで、無機微粒子を含む水系媒体に重合性単量体組成物を分散させて、重合性単量体組成物の粒子を造粒する。これにより、分散安定化剤及び修飾剤として働く、無機微粒子と、重合性単量体組成物の粒子とを含む分散体を得ることができる。
また、無機微粒子を重合性単量体組成物の粒子に均一に付着させ、修飾させるために、無機微粒子の添加量、添加のタイミング及び撹拌機の速度などを調整するとよい。
例えば、高速剪断機を用いて造粒を行う場合には、造粒時間と高速剪断機の回転数で調整するとよい。また、無機微粒子を分割して添加することも有効である。
例えば、工程(I)において、無機微粒子を含む水系媒体の添加を多段に分けることで、重合性単量体組成物の粒子表面の無機微粒子による修飾を均一かつ適切に実施することができる。
より具体的には、無機微粒子を含む水系媒体と重合成単量体組成物を高速剪断機下で混合し、重合性単量体組成物の粒子を形成する第一の造粒工程;
次いで、無機微粒子を含む水系媒体をさらに添加した後、引き続き高速剪断機下で攪拌を続ける第二の造粒工程;
その後、重合開始剤を添加し、工程(II)の重合反応を実施することで、無機微粒子により均一かつ適切に修飾されたトナー母粒子を得ることができる。なお、重合開始剤は、第二の造粒工程において添加してもよい。重合性単量体組成物の粒子を形成する際には、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)などの撹拌装置を用いるとよい。
工程(II)は、得られた重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を、水系媒体中で重合しトナー母粒子を形成する工程である。重合の際には、重合開始剤として、上述した重合開始剤を用いるとよい。
工程(III)は、トナー母粒子と有機ケイ素化合物とを接触させ、該有機ケイ素化合物を縮重合し、トナー母粒子の表面を有機ケイ素重合体で被覆する工程である。
有機ケイ素化合物、例えば、有機ケイ素化合物の加水分解液とトナー母粒子分散液とを混合して、縮合に適したpH(好ましくは3.0~11.0、より具体的には、3.0~9.0、及び、8.0~11.0)に調整するとよい。加水分解液量はトナー母粒子100質量部に対して有機ケイ素化合物が5.0質量部~30.0質量部程度に調整するとよい。また、pHを2段階に分けて縮重合してもよい。例えば、1段目の縮重合pHを3.
0~9.0とし、2段目の縮重合pHを8.0~11.0とするとよい。
縮重合の温度は35℃~99℃程度であり、縮重合時間は30分~72時間程度にするとよい。
工程(III)が終了した後は、生成した粒子を洗浄(特に、無機微粒子を溶解するために、初期洗浄液のpHを1.5以下程度まで低下させるとよい)及び濾過を繰り返した後に回収し、乾燥してトナー粒子を得るとよい。なお、上記重合工程の後半には昇温してもよい。さらに未反応の重合性単量体又は副生成物を除去する為に、重合工程後半又は重合工程終了後に一部分散媒体を反応系から留去することも可能である。
得られたトナー粒子はそのままトナーとして用いてもよく、また、従来公知の外添剤を添加してトナーとしてもよい。
離型剤としては、以下のものが挙げられる。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ-ン樹脂。
なお、誘導体には酸化物や、ビニル系単量体とのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。これらは、単独又は混合して使用できる。
離型剤の含有量は、樹脂又は樹脂を生成する重合性単量体100質量部に対して、5.0質量部~30.0質量部であることが好ましい。
トナー母粒子を構成する樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、連鎖移動剤を添加してもよい。該連鎖移動剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、0.001質量部~15.000質量部程度である。
同様に、トナー母粒子を構成する樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
多官能の架橋性単量体としては以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート。
該架橋性単量体の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、0.001質量部~15.000質量部程度である。
着色剤としては、特に限定されず、以下に示す公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。
具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。
具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤の含有量は、樹脂又は樹脂を生成する重合性単量体100質量部に対して、3.0質量部~15.0質量部であることが好ましい。
荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。
該荷電制御剤の添加量としては、樹脂又は樹脂を生成する重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部~10.00質量部であることが好ましい。
トナー粒子には、各種有機又は無機微粒子を含む外添剤が外添されていてもよい。該有機又は無機微粒子は、トナー粒子に添加した時の耐久性から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
有機又は無機微粒子としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:金属酸化物(例えばチタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロム)、窒化物(例えば窒化ケイ素)、炭化物(例えば炭化ケ
イ素)、金属塩(例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)。
(3)滑剤:フッ素系樹脂微粒子(例えばフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム)。
(4)荷電制御性粒子:金属酸化物(例えば酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ)、カーボンブラック。
有機又は無機微粒子は、トナーの流動性の改良及びトナーの帯電均一化のために、表面を疎水化処理されていてもよい。有機又は無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いられてもよい。
有機又は無機微粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部~10質量部であることが好ましく、0.05質量部~5質量部であることがより好ましい。有機又は無機微粒子は1種類を単独で用いてもよいし、また複数種類を併用してもよい。
以下、本開示に関係する各種測定方法を述べる。
トナーに有機微粒子又は無機微粒子が外添されている場合は、下記方法などによって、有機微粒子又は無機微粒子を除去したものを試料として用いる。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に、上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れる。ここにトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。遠心分離用チューブをシェイカー(AS-1N アズワン株式会社より販売)にて300spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。
この操作により、トナー粒子と外添剤とが分離される。トナー粒子と水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナー粒子をスパチュラなどで採取する。採取したトナー粒子を減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、測定用試料を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
<トナー粒子の表面の反射電子像の取得方法>
トナー粒子の表面の反射電子像は、走査電子顕微鏡(SEM)により取得した。SEMの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置:カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
加速電圧:1.0kV
WD:2.0mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:EsB(エネルギー選択式反射電子)
EsB Grid:800V
観察倍率:50,000倍
コントラスト:63.0±5.0%(参考値)
ブライトネス:38.0±5.0%(参考値)
解像度:1024×768
前処理:トナー粒子をカーボンテープに散布(蒸着は行わない)
以下の手順に従って、コントラスト及びブライトネスを決定する。まず、輝度ヒストグ
ラム上で二つの極大値P1、極大値P2がそれぞれ可能な限り大きなピクセル数をもち、極大値P1を与える輝度及び極大値P2を与える輝度ができるだけ離れるようにコントラストを設定する(なお、後述のように、極大値P1を与える輝度<極大値P2を与える輝度である)。次に、極大値P1及び極大値P2を極大値とする二つのピークの裾が輝度ヒストグラム内に収まるように、ブライトネスを設定する。これらコントラスト及びブライトネスは、使用装置の状態に合わせ、前記手順に沿って適宜設定する。また、加速電圧及びEsB Gridは、トナー粒子の最表面の構造情報の取得、未蒸着試料のチャージアップ防止、エネルギーの高い反射電子の選択的検出、といった項目を達成するように設定する。観察視野は、トナー粒子の曲率が最も小さくなる頂点付近を選択する。
<極大値P2を含むピークが有機ケイ素重合体由来であることの確認方法>
極大値P2を含むピークが有機ケイ素重合体由来であることは、走査電子顕微鏡(SEM)で取得できるエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素マッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせることで確認する。
SEM/EDSの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置(SEM):カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
使用装置(EDS):サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製 NORAN
System 7、Ultra Dry EDS Detecter
加速電圧:5.0kV
WD:7.0mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:SE2(二次電子)
観察倍率:50,000倍
モード:Spectral Imaging
前処理:トナー粒子をカーボンテープに散布し、白金スパッタ
本手法で取得したケイ素元素のマッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせ、マッピング像のケイ素原子部と反射電子像の明部とが一致することを確認する。
<輝度ヒストグラムの取得方法>
輝度ヒストグラムは、上記手法で得られたトナー粒子の最表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで取得する。以下に手順を示す。
まず、ImageメニューのTypeから、解析対象の反射電子像を8-bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle
Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。
次に、AnalyzeメニューのHistgramを選択し、輝度ヒストグラムを新規ウインドウに表示させる。前記ウインドウのListから、輝度ヒストグラムの数値を取得する。必要に応じて、輝度ヒストグラムのフィッティングを行ってもよい。
ここから、極大値P1を与える輝度、極大値P2を与える輝度及びそのピクセル数、並びに、極小値Vを与える輝度及びそのピクセル数を得る。
そして、極小値Vを与える輝度をB1、
輝度範囲0以上B1以下における合計ピクセル数をA1、
輝度範囲(B1+1)以上255以下における合計ピクセル数をA2とする。
ここで、例えば、「極大値P1を与える輝度」又は「極大値P2を与える輝度」とは、ピクセル数が、それぞれ極大値P1又は極大値P2を取るときの輝度を意味する。
上記手順を、評価対象のトナー粒子につき10視野について行い、それぞれの平均値を輝度ヒストグラムから得られるトナー粒子の物性値とする。
<非被覆部ドメインD1及び被覆部ドメインD2の解析方法>
非被覆部ドメインD1及び被覆部ドメインD2の解析は、上記手法で得られたトナー粒子の最表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて行う。以下に手順を示す。
まず、ImageメニューのTypeから、解析対象の反射電子像を8-bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle
Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。
次に、ImageメニューのAdjustから、Thresholdを選択する。手動操作において、輝度B1に該当する全ピクセルを選び、Applyをクリックして二値化画像を得る。この操作によって、A1に該当するピクセルが黒で表示され(ピクセル群A1)、A2に該当するピクセルが白で表示される(ピクセル群A2)。再度、反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。
次に、ツールバーの直線ツール(Straight Line)を用い、反射電子像下部に表示されている観察条件表示部中のスケールバーを選択しておく。その状態でAnalyzeメニューのSet Scaleを選択すると、新規ウインドウが開き、Distance in Pixels欄に選択されている直線のピクセル距離が入力される。
前記ウインドウのKnown Distance欄に前記スケールバーの値(例えば100)を入力し、Unit of Mesurement欄に前記スケールバーの単位(例えばnm)を入力し、OKをクリックするとスケール設定が完了する。
続いて、AnalyzeメニューのSet Mesurementsを選択し、AreaとFeret’s diameterにチェックを入れる。AnalyzeメニューのAnalyze Particlesを選択し、Display Resultにチェックを入れてOKをクリックするとドメイン解析が行われる。
新規に開いたResultsウインドウから、ピクセル群A1で形成される非被覆部ドメインD1及びピクセル群A2で形成される被覆部ドメインD2に該当する各ドメインについての面積(Area)と最大フェレ径(Feret)を取得する。
得られた、非被覆部ドメインD1の面積の総和をS1(μm)とし、
被覆部ドメインD2の面積の総和をS2(μm)とする。
また、非被覆部ドメインD1のうち、0.10μm以下の非被覆部ドメインD1の面積の総和をSA1(μm)とし、
非被覆部ドメインD1のうち、0.50μm以上の非被覆部ドメインD1の面積の総和をSB1(μm)とし、
非被覆部ドメインD1のうち、0.01μm以下の非被覆部ドメインD1の面積の総和をSC1(μm)とする。
また、非被覆部ドメインD1の面積の個数平均値(μm)及び最大フェレ径の個数平均値(nm)を算出する。
上記手順を、評価対象のトナー粒子につき10視野について行い、それぞれの相加平均値を用いる。
<トナー粒子の体積平均粒径の測定方法>
トナー粒子の体積平均粒径は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Vers
ion3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス(株)製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、体積平均粒径を算出する。
<有機ケイ素重合体の同定及びT3単位構造の確認方法>
トナーに含まれる有機ケイ素重合体の構成化合物の組成及び比率の同定には、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計(以下、「熱分解GC/MS」とも称する)及びNMRを用いる。
トナーに、有機ケイ素重合体以外のケイ素含有物や外添剤が含まれる場合、トナーをクロロホルムなどの溶媒に分散させ、その後に遠心分離等で比重の差で有機ケイ素重合体を分離する。その方法は以下の通りである。
まず、トナー1gをバイアル瓶に入れたクロロホルム31gに添加して分散し、有機ケイ素重合体や他の外添剤などをトナーから分離させる。分散には超音波式ホモジナイザー
を用いて30分間処理して分散液を作製する。処理条件は以下の通りである。
超音波処理装置:超音波式ホモジナイザーVP-050(タイテック株式会社製)
マイクロチップ:ステップ型マイクロチップ、先端直径2mm
マイクロチップの先端位置:ガラスバイアルの中央部、且つバイアル底面から5mmの高さ
超音波条件:強度30%、30分
このとき、分散液が昇温しないようにバイアルを氷水で冷却しながら超音波を掛ける。
分散液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R;株式会社コクサン社製)にて、58.33S-1、30分間の条件で遠心分離を行う。
遠心分離後のガラスチューブ内では、比重により有機ケイ素重合体を主として含む画分が分離できる。得られた画分を真空条件下(40℃/24時間)で乾燥し、サンプルを得る。なお、有機ケイ素重合体を単独で入手できる場合は、有機ケイ素重合体を単独で測定することもできる。
上記サンプル又は有機ケイ素重合体を用いて有機ケイ素重合体の構成化合物の存在量比、及び、有機ケイ素重合体のT3単位構造の割合を、以下の条件及び手順で算出する。
なお、Rで表されるアルキル基及びフェニル基の有無は、13C-NMRにより確認する。また、T3単位構造の詳細は、H-NMR、13C-NMR及び29Si-NMRにより確認する。
一方、有機ケイ素重合体の構成化合物の種類の分析には熱分解GC/MSも用いる。
有機ケイ素重合体を550℃~700℃程度で熱分解させた際に生じる、有機ケイ素重合体由来の分解物の成分のマススペクトルを分析することで、有機ケイ素重合体の構成化合物の種類を同定する。
<熱分解GC/MSの測定条件>
熱分解装置:JPS-700(日本分析工業)
分解温度:590℃
GC/MS装置:Focus GC/ISQ (Thermo Fisher)
カラム:HP-5MS 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
注入口温度:200℃
フロー圧:100kPa
スプリット:50mL/min
MSイオン化:EI
イオン源温度:200℃ Mass Range 45-650
13C-NMR(固体)の測定条件>
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる
測定核周波数:125.77MHz
基準物質:Glycine(外部標準:176.03ppm)
観測幅:37.88kHz
測定法:CP/MAS
コンタクト時間:1.75ms
繰り返し時間:4s
積算回数:2048回
LB値:50Hz
該方法にて、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si-CH)、エチル基(Si-C)、プロピル基(Si-C)、ブチル基(Si-C)、ペンチル基(Si-C11)、ヘキシル基(Si-C13)又はフェニル基(Si-C-)などに起因するシグナルの有無により、上記Rで表される炭化水素基を確認する。
一方、固体29Si-NMRでは、有機ケイ素重合体の構成化合物のSiに結合する官能基の構造によって、異なるシフト領域にピークが検出される。
各ピーク位置は標準サンプルを用いて特定することでSiに結合する構造を特定することができる。また、得られたピーク面積から各構成化合物の存在量比を算出することができる。全ピーク面積に対してT3単位構造のピーク面積の割合を計算によって求める。
固体29Si-NMRの測定条件は、具体的には下記の通りである。
29Si-NMR(固体)の測定条件>
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる
測定核周波数:99.36MHz
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
観測幅:29.76kHz
測定法:DD/MAS、CP/MAS
29Si 90° パルス幅:4.00μs@-1dB
コンタクト時間:1.75ms~10ms
繰り返し時間:30s(DD/MASS)、10s(CP/MAS)
積算回数:2048回
LB値:50Hz
該測定後に、サンプル又は有機ケイ素重合体の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記X1構造、X2構造、X3構造、及びX4構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
なお、下記X3構造がT3単位構造である。
X1構造:(Ri)(Rj)(Rk)SiO1/2 (A1)
X2構造:(Rg)(Rh)Si(O1/2 (A2)
X3構造:RmSi(O1/2 (A3)
X4構造:Si(O1/2 (A4)
Figure 0007500260000003
該式(A1)、(A2)及び(A3)中のRi、Rj、Rk、Rg、Rh、Rmはケイ素に結合している、炭素数1~6のアルキル基などの有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。
<トナーにおける有機ケイ素重合体の含有量の定量方法>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の含有量は、蛍光X線を用いて測定する。
蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.5.0L」(PANalytical社製)を用いる。
なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mmとする。測定は、Omnianのメソッドを用いて元素FからUまでの範囲を測定し、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
また、X線発生装置の加速電圧、電流値は、出力2.4kWとなるように設定する。測
定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
上記条件で成形したペレットにX線を照射して、発生する特性X線(蛍光X線)を分光素子にて分光する。次に、サンプルに含まれる各元素固有の波長に対応する角度に分光された蛍光X線の強度を、FP法(ファンダメンタルパラメータ法)により分析し、トナーに含まれる各元素の含有比率を分析結果として得て、トナー中のケイ素原子の含有量を求める。
蛍光X線で求めたトナー中のケイ素の含有量と、固体29SiNMR及び熱分解GC/MSなどを用いて構造を特定した有機ケイ素重合体の構成化合物中のケイ素の含有量比の関係から、計算によってトナー中の有機ケイ素重合体の含有量を求める。
トナー中に、有機ケイ素重合体以外のケイ素含有物が含まれる場合、上記と同様の方法で、トナーから有機ケイ素重合体以外のケイ素含有物を除去したサンプルを得て、トナー中に含まれる有機ケイ素重合体を定量する。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本開示は何らこれに制約されるものではない。実施例及び比較例中で使用する「部」は特に断りのない限り質量基準である。
[トナー1の製造例]
<無機微粒子分散剤水溶液の調製>
反応容器中のイオン交換水640部に、リン酸ナトリウム(ラサ工業社製、12水和物)70部を投入し、窒素パージしながら65℃で30分間保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水220部に27部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を8部投入した後、60分間調整を続けて、無機微粒子分散剤水溶液を得た。
<重合性単量体組成物の調製>
・スチレン: 60.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3: 6.5部
前記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させ、ジルコニア粒子を取り除き、顔料分散液を調製した。前記顔料分散液に下記材料を加えた。
・スチレン: 10.0部
・n-ブチルアクリレート: 30.0部
・架橋剤(ジビニルベンゼン): 0.4部
・飽和ポリエステル樹脂: 7.0部
〔プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との縮重合物(モル比;10:12)、ガラス転移温度(Tg)が68℃、重量平均分子量(Mw)が10000、分子量分布(Mw/Mn)が5.12〕
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃): 8.0部
・荷電制御剤: 0.5部
(3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
<有機ケイ素化合物の加水分解水溶液の調製>
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを4.0に調整した。これを撹拌しながら水浴中で、温度を30℃にした。その後、メチルトリエトキシシラン40.0部を添加し、温度を一定に保ちながら150分間撹拌し、有機ケイ素化合物の加水分解水溶液を得た。
<造粒工程>
撹拌機、温度計及び還留管を取受けた反応容器を用意し、無機微粒子分散剤水溶液150部及びイオン交換水300部を投入し、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、10000rpmにて攪拌しながら温度を60℃に昇温した。
攪拌及び温度を前記状態に保ったまま、重合性単量体組成物を投入し、10分間造粒した(第一の造粒)。
次いで、無機微粒子分散剤水溶液50部、及び、重合開始剤(t-ブチルパーオキシピバレート)9.0部を添加した。そのまま、該高速撹拌装置にて10000rpmを維持しつつ5分間造粒した(第二の造粒)。
<重合工程及び有機ケイ素重合体で被覆する工程>
高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を換え、150rpmで攪拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行った。その後、95℃に昇温して2.0時間保持することで重合反応を行い、トナー母粒子のスラリーを得た。
その後、該スラリーの温度を60℃まで冷却してpHを測定したところ、5.0だった。
該スラリーの温度を60℃にした後、10%塩酸を加えpHを3.5に調整した。次いで撹拌を継続したまま、前記有機ケイ素化合物の加水分解水溶液を27.5部添加した。得られた混合液の温度を60℃、pHを3.5に維持し、撹拌を継続した状態で30分間保持した。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合液のpHを10.0に調整してさらに300分間保持して、トナー母粒子の表面に有機ケイ素重合体を形成させた。
<洗浄、乾燥工程>
有機ケイ素重合体で被覆する工程の終了後、得られたスラリーを冷却した。得られた冷却物に塩酸を加え、pHを1.5以下に調整して、1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。得られたトナーケーキを気流乾燥機ジョットターボドライヤー(ユーロテック株式会社製)にて乾燥し、さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子1を得た。
乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
得られたトナー粒子1を外添せずにそのままトナー1として用いた。また、トナー粒子1が、トナー母粒子を被覆する有機ケイ素重合体を含有することを、前述の方法により確認した。得られたトナー1の製造条件を表1に、物性を表2に示す。
[トナー2~15、及び、比較トナー1~5の製造例]
有機ケイ素化合物の種類及びその加水分解条件、重合性単量体組成物粒子の造粒工程の条件、並びに、有機ケイ素化合物の縮重合工程の条件を、表1の記載のように変更すること以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2~15、及び、比較トナー1~5を得た。また、それらの物性は表2に示す。
Figure 0007500260000004
Figure 0007500260000005

表中、
Aは、非被覆部ドメインD1の面積の個数平均値(単位:×10-3μm)、
Bは、非被覆部ドメインD1の最大フェレ径の個数平均値(単位:nm)、
Cは、有機ケイ素重合体の29Si-NMRの測定において、有機ケイ素重合体に含有される全ケイ素元素に由来するピークの合計面積に対する、上記式(7)で表されるT3単位構造を有するケイ素に由来するピークの面積の割合、
Dは、トナー粒子の体積平均粒径(単位:μm)、
Eは、トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量(単位:質量%)、をそれぞれ表す。
<実施例1>
得られたトナー1について、以下の方法に従って性能評価を行った。
[低温定着性の評価]
定着ユニットを外したカラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet
3525dn、HP社製)を準備し、シアンカートリッジからトナーを取り出し、代わりに評価するトナーを70g充填した。
次いで、受像紙(HP Laser Jet90、HP社製、90g/m)上に、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(トナーの載り量:0.9mg/cm)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。
次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃/相対湿度60%)、プロセススピードを280m/sに設定し、初期温度を120℃として設定温度を2℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下の通りである。
低温側定着開始点(以下、「定着可能温度」ともいう)とは、低温オフセット現象(トナーの一部が定着器に付着してしまう現象)が観察されない下限温度のことである。
(評価基準)
A:低温側定着開始点が150℃未満
B:低温側定着開始点が150℃以上160℃未満
C:低温側定着開始点が160℃以上170℃未満
D:低温側定着開始点が170℃以上
<ベタ追従性(流動性)評価:画像濃度均一性試験>
低温定着性評価で用いたカートリッジをカラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)に装着し、印字率が3%の線幅1.5mmの格子上の画像を3500枚印字し耐久出力にかかる評価を行った(表中、耐久後評価)。耐久試験は、15℃/相対湿度10%の環境下において、転写材は、A4サイズのGF-C081(キヤノン社製、81.4g/m)を用いて行った。
その後、上記カートリッジについて耐久出力前後の画像内の濃度均一性をもって、トナーの流動性の評価とした。
該カラーレーザープリンタで、ベタ画像を連続で10枚印字した。得られたベタ画像に関して、上部、中部及び下部のベタ画像濃度の平均値を測定した。各ベタ画像の画像濃度の平均値の最大値と最小値の差から画像濃度安定性を評価した。なお、転写材は、A4サイズのGF-C081(キヤノン社製、81.4g/m)を用い、濃度測定にはX-rite exact advance(X-rite社製)を用いて行った。なお、上記耐久出力を実施しない場合を、初期評価とした。
評価基準は以下のとおりである。
A:画像濃度の平均値の最大値と最小値の差が、0.05以下
B:画像濃度の平均値の最大値と最小値の差が、0.05を超え0.10以下
C:画像濃度の平均値の最大値と最小値の差が、0.10を超え0.15以下
D:画像濃度の平均値の最大値と最小値の差が、0.15を超える
トナー1の結果について、表3に示す。
<実施例2~15、及び、比較例1~5>
トナー1を表3に記載のトナーに変更すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
Figure 0007500260000006


Claims (7)

  1. トナー母粒子、及び、該トナー母粒子を被覆する有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナー粒子の最表面における、該有機ケイ素重合体で被覆されていない非被覆部の総面積をS1(μm)とし、
    該トナー粒子の最表面における、該有機ケイ素重合体で被覆されている被覆部の総面積をS2(μm)とし、
    該有機ケイ素重合体で被覆されていない該非被覆部における、0.10μm以下の非被覆部ドメインD1の面積の総和をSA1(μm)としたときに、
    下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とするトナー。
    0.45≦〔S2/(S1+S2)〕≦0.65 (1)
    (SA1/S1)≧0.50 (2)
    ただし、
    該トナー粒子の最表面の走査電子顕微鏡観察において、
    該トナー粒子の最表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、該反射電子像を構成する各ピクセルの輝度を輝度0から輝度255の256階調に振り分けて、横軸を輝度、縦軸をピクセル数とする輝度ヒストグラムを得たとき、
    該輝度ヒストグラムにおいて、二つの極大値P1及びP2、並びに、該P1及び該P2の間に極小値Vが存在し、極大値P1を与える輝度<極大値P2を与える輝度であり、
    該P2を含むピークが、該有機ケイ素重合体で被覆されている該被覆部に由来するピークであり、
    該P1を含むピークが、該有機ケイ素重合体で被覆されていない該非被覆部に由来するピークであり、
    該反射電子像を、該極小値Vを境界に該P1を含むピークに由来する領域W及び該P2を含むピークに由来する領域Bに二値化して得られた二値化画像において、
    該有機ケイ素重合体で被覆されていない該非被覆部に由来するドメインを非被覆部ドメインD1とし、
    該有機ケイ素重合体で被覆されている該被覆部に由来するドメインを被覆部ドメインD2とし、
    該非被覆部ドメインD1の面積の総和がS1(μm)であり、該被覆部ドメインD2
    の面積の総和がS2(μm)である。
  2. 前記有機ケイ素重合体で被覆されていない前記非被覆部における、0.50μm以上の非被覆部ドメインD1の面積の総和をSB1(μm)としたときに、下記式(5)を満たす、請求項1に記載のトナー。
    (SB1/S1)≦0.20 (5)
  3. 前記有機ケイ素重合体で被覆されていない前記非被覆部における、0.01μm以下の非被覆部ドメインD1の面積の総和をSC1(μm)としたときに、下記式(6)を満たす、請求項1又は2に記載のトナー。
    (SA1-SC1)/S1≧0.35 (6)
  4. 前記トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量が、2.00質量%~5.00質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記有機ケイ素重合体が、ケイ素原子と酸素原子とが交互に結合した構造を有し、
    有機ケイ素重合体が、下記式(7)で表されるT3単位構造を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
    -SiO3/2 (7)
    (該式(7)中、Rが炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基である。)
  6. 前記有機ケイ素重合体の29Si-NMRの測定において、該有機ケイ素重合体に含有される全ケイ素元素に由来するピークの合計面積に対する、前記T3単位構造を有するケイ素に由来するピークの面積の割合が、0.60~0.90である、請求項5に記載のトナー。
  7. 下記式(4)を満たす、請求項1~6のいずれか1項に記載のトナー。
    (SA1/S1)≧0.65 (4)
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