JP2017150545A5 - - Google Patents
Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017150545A5 JP2017150545A5 JP2016032398A JP2016032398A JP2017150545A5 JP 2017150545 A5 JP2017150545 A5 JP 2017150545A5 JP 2016032398 A JP2016032398 A JP 2016032398A JP 2016032398 A JP2016032398 A JP 2016032398A JP 2017150545 A5 JP2017150545 A5 JP 2017150545A5
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- movable sheave
- crankshaft
- boss
- cam member
- holding plate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 description 38
- 230000002093 peripheral Effects 0.000 description 12
- 238000002485 combustion reaction Methods 0.000 description 10
- 239000004519 grease Substances 0.000 description 9
- 238000004804 winding Methods 0.000 description 6
- 230000000875 corresponding Effects 0.000 description 4
- 238000005096 rolling process Methods 0.000 description 4
- 238000001816 cooling Methods 0.000 description 3
- 239000000446 fuel Substances 0.000 description 2
- 238000006073 displacement reaction Methods 0.000 description 1
- 238000002347 injection Methods 0.000 description 1
- 239000007924 injection Substances 0.000 description 1
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 1
- 238000005192 partition Methods 0.000 description 1
Images
Description
本発明は電子制御Vベルト式無段変速機に関する。
特許文献1はVベルト式無段変速機を開示する。Vベルト式無段変速機では可動シーブの駆動にあたって遠心ウエイトが用いられる。遠心ウエイトはカム部材およびウエイト保持プレートの間に挟まれる。カム部材は、駆動軸の軸心から遠心方向に遠ざかるにつれて固定シーブに近づくカム面で遠心ウエイトに接触する。締結部材は可動シーブのボスに結合されて可動シーブのボス上にウエイト保持プレートを保持する。駆動軸が回転すると、遠心力により遠心ウエイトは遠心方向にカム面に倣って移動し、軸方向にウエイト保持プレートを移動させる。こうして可動シーブは固定シーブから遠ざかる。
シフト機構は多数の部品から構成される。部品点数が多い。部品点数が多いと、機構は大型化しやすい。小さな小型化の工夫がいくつも積み重なって機構全体の小型化は実現される。
本発明は、できる限り小型化を実現することができる電子制御Vベルト式無段変速機を提供することを目的とする。
本発明の第1側面によれば、駆動軸に固定される固定シーブと、前記駆動軸を受け入れる可動シーブボスを有し、前記固定シーブに向き合わせられながら前記駆動軸の軸方向に移動可能に前記駆動軸に支持される可動シーブと、前記固定シーブおよび前記可動シーブの間に巻き掛けられるVベルトと、カム面を有するカム部材を含み、当該カム部材に対向配置されるウエイト保持プレートおよび前記カム面の間に遠心ウエイトを挟み、前記駆動軸の回転に伴う遠心力により前記遠心ウエイトを駆動して前記可動シーブを前記軸方向に移動させる第1シフト機構と、転がり軸受けを介して前記可動シーブボスに相対回転自在かつ軸方向移動不能に装着される駆動アームを含み、前記駆動アームに連結されるアクチュエーターの駆動力を前記可動シーブに伝達することで前記可動シーブを前記軸方向に移動させる第2シフト機構と、前記カム部材および前記ウエイト保持プレートの間に配置されて、前記可動シーブボスに結合されて前記可動シーブボス上に前記カム部材または前記ウエイト保持プレートを保持する締結部材とを備えた電子制御Vベルト式無段変速機において、前記締結部材の内周面に、前記可動シーブボスに螺合するねじ溝を有する螺合部と、オイルシール部材が圧入される圧入部とを備える電子制御Vベルト式無段変速機は提供される。
第2側面によれば、第1側面の構成に加えて、前記カム部材は、少なくとも部分的に前記締結部材および前記オイルシール部材を収容する収容凹部を有する。
第3側面によれば、第1または第2側面の構成に加えて、前記締結部材には、前記カム部材に対応して逃げ部が形成される。
第4側面によれば、第1〜第3側面のいずれかの構成に加えて、前記可動シーブボスの内周面または該内周面に接触する部材の外周面のうち少なくとも一方には駆動軸周りで全周にわたって溝が形成される。
第5側面によれば、第1〜第4側面のいずれかの構成に加えて、前記締結部材と前記可動シーブボスとの間に配置されるOリングを備える。
第1側面によれば、オイルシール部材は可動シーブボスに圧入されるのではなく、締結部材に圧入される。締結部材は、可動シーブボス上にカム部材またはウエイト保持プレートを保持しながら、可動シーブボスに代わって駆動軸周りにオイルシール部材を保持する。内側にオイルシール部材が圧入されない分、可動シーブボスの径方向の大きさは縮小されることができる。こうしてできる限り電子制御Vベルト式無段変速機の小型化は実現される。
第2側面によれば、カム部材およびウエイト保持プレートの間に締結部材およびオイルシール部材が配置されても、カム部材およびウエイト保持プレートは相互に近接して配置されることができる。こうして駆動軸の軸方向すなわち車幅方向に電子制御Vベルト式無段変速機の大きさは縮小されることができる。
第3側面によれば、逃げ部は締結部材とカム部材との干渉を回避する。したがって、締結部材の存在に拘わらず、カム部材およびウエイト保持プレートは相互に近接して配置されることができる。こうして駆動軸の軸方向すなわち車幅方向に電子制御Vベルト式無段変速機の大きさは縮小されることができる。
第4側面によれば、可動シーブボスの内周面または該内周面に接触する部材の外周面には駆動軸周りで全周にわたって溝が形成されることから、溝にはグリースが滞留することができる。グリースは可動シーブボスの全周にわたって行き渡ることができる。
第5側面によれば、可動シーブボスに滞留するグリースの漏洩は防止されることができる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は鞍乗り型車両の一実施形態に係るスクーター型自動二輪車を概略的に示す。自動二輪車11は車体フレーム12および車体カバー13を備える。車体フレーム12は、その前端のヘッドパイプ14と、前端でヘッドパイプ14に結合されるメインフレーム15と、メインフレーム15の後部に結合されて車幅方向に延びるクロスパイプ16と、該クロスパイプ16の両端部に前端部がそれぞれ接続されて車両前後方向に延びる左右一対のリアフレーム17とを備える。ヘッドパイプ14には、水平軸回りに回転自在に前輪WFを支持するフロントフォーク18と棒状の操向ハンドル19とが操向可能に支持される。
車体カバー13は車体フレーム12に装着される。車体カバー13にはリアフレーム17の上方で乗員シート21が搭載される。車体カバー13は、ヘッドパイプ14を前方から覆うフロントカバー22と、フロントカバー22から連続するレッグシールド23と、レッグシールド23の下端から連続して、乗員シート21および前輪WRの間でメインフレーム15の上方に配置されるステップフロア24とを備える。
リアフレーム17の下方の空間にはユニットスイング式のパワーユニット25が配置される。パワーユニット25は、リアフレーム17の前端に結合されるブラケット26に、リンク27を介して上下方向に揺動自在に連結される。パワーユニット25の後端には水平軸回りで回転自在に後輪WRが支持される。リンク27およびブラケット26から離れた位置でリアフレーム17とパワーユニット25との間にはリアクッションユニット28が配置される。パワーユニット25は、空冷式単気筒の内燃機関29と、内燃機関29および後輪WRに接続されて、内燃機関29の出力を後輪WRに伝達する伝動装置31とを備える。内燃機関29のエンジン本体29aに伝動装置31の伝動ケース31aが結合される。
内燃機関29のエンジン本体29aは、回転軸線回りで回転自在にクランクシャフト32を支持するクランクケース33と、クランクケース33に結合されるシリンダーブロック34と、シリンダーブロック34に結合されるシリンダーヘッド35と、シリンダーヘッド35に結合されるヘッドカバー36とを備える。シリンダーヘッド35には吸気装置37および排気装置38が接続される。吸気装置37は、伝動ケース31aに支持されるエアクリーナー39と、エアクリーナー39およびシリンダーヘッド35の間に配置されるスロットルボディ41とを備える。シリンダーヘッド35の上部側壁には燃料噴射弁42が取り付けられる。排気装置38は、シリンダーヘッド35の下部側壁からエンジン本体29aの下方を通って後方に延びる排気管43と、排気管43の下流端に接続されてクランクケース33に連結される排気マフラー(図示されず)とを備える。
図2に示されるように、シリンダーブロック34にはシリンダーボア44が区画される。シリンダーボア44にはシリンダー軸線Cに沿ってスライド自在にピストン45が嵌め込まれる。シリンダー軸線Cはわずかに前上がりに傾斜する。ピストン45にクランクシャフト32は連結される。クランクシャフト32の回転軸線Xisは車幅方向に向けられる。
シリンダーヘッド35には燃焼室46が区画される。燃焼室46はシリンダーボア44から連続する。ピストン45はシリンダーヘッド35に向き合ってシリンダーヘッド35との間に燃焼室46を仕切る。燃焼室46には吸気装置37を経て混合気が導入される。燃焼室46内の排ガスは排気装置38を経て排出される。
クランクケース33は第1ケース半体33aおよび第2ケース半体33bに分割される。第1ケース半体33aおよび第2ケース半体33bは協働でクランク室47を区画する。クランク室47にクランクシャフト32のクランクが収容される。第1ケース半体33aは回転自在にクランクシャフト32を支持する軸受け48aを有する一方で、第2ケース半体33bは回転自在にクランクシャフト32を支持する軸受け48bを有する。
クランクケース33には発電機49が結合される。発電機49は、クランクケース33の第1ケース半体33aを貫通して第1ケース半体33aから突き出るクランクシャフト32に固定される筒形のローター51と、ローター51に囲まれてクランクシャフト32周りに配置されるステーター52とを備える。ステーター52は第1ケース半体33aに締結される支持板53に固定される。ローター51とステーター52との相対回転に応じて発電機49は電流を生成する。
第1ケース半体33aには、発電機49を囲む筒状の発電機カバー54が結合される。発電機カバー54の開放端に空気導入口54aが区画される。空気導入口54aにはラジエーター55が配置される。ローター51の外面には冷却ファン56が結合される。クランクシャフト32の回転に応じて冷却ファン56は回転し、ラジエーター55に冷却風は流通する。
伝動装置31は、伝動ケース31a内に収容されて、クランクシャフト32から伝達される回転動力を無段階に変速する電子制御Vベルト式無段変速機(以下「変速機」という)57と、伝動ケース31a内に収容されて、変速機57の回転動力を減速して後輪WRの車軸58に伝達する減速ギア機構59とを備える。後輪WRは伝動ケース31aと支持アーム61との間に配置される。支持アーム61はクランクケース33から連続して車両後方に向かって延びる。支持アーム61に前述の排気マフラーは取り付けられる。後輪WRの車軸58は軸心回りに回転自在に伝動ケース31aおよび支持アーム61に両持ち支持される。
伝動ケース31aは、クランクケース33の第2ケース半体33bから連続するケース主体62と、ケース主体62に締結されて、ケース主体62との間に変速機室63を区画するケースカバー64と、ケース主体62に締結されて、ケース主体62との間にギア室65を区画するギアカバー66とを備える。変速機室63には変速機57が収容される。ギア室65には減速ギア機構59が収容される。ケース主体62およびケースカバー64は協働でミッションケースを構成する。
変速機57は、変速機室63内に配置されて、駆動軸としてのクランクシャフト32に取り付けられる駆動プーリー67と、変速機室63内に配置されて、変速機室63からギア室65に突き出る従動軸68に取り付けられる従動プーリー69とを備える。駆動プーリー67および従動プーリー69には途切れなく連続するVベルト71が巻き掛けられる。後述されるように、アクチュエーターユニット72の働きで駆動プーリー67ではベルト巻き掛け半径は可変に電子制御される。駆動プーリー67のベルト巻き掛け半径の変化に応じて従動プーリー69のベルト巻き掛け半径は変化する。
駆動プーリー67は、クランクシャフト32に固定される固定シーブ73と、固定シーブ73に向き合わせられながらクランクシャフト32の軸方向に移動可能にクランクシャフト32に支持される可動シーブ74とを備える。可動シーブ74はクランクケース33の第2ケース半体33bと固定シーブ73との間に配置される。固定シーブ73および可動シーブ74の間にVベルト71は巻き掛けられる。可動シーブ74は、クランクシャフト32を受け入れる可動シーブボス74aを有する。可動シーブボス74aは、Vベルト71を受け止めるシーブ体からクランクケース24の第2ケース半体33bに向かって延びる。変速機57は、第1シフト機構75aと、前述のアクチュエーターユニット72を含む第2シフト機構75bとを備える。第1シフト機構75aおよび第2シフト機構75bの働きに応じて、可動シーブ74の軸方向移動は実現され、Vベルト71の巻き掛け半径は変化する。第1シフト機構75aおよび第2シフト機構75bの詳細は後述される。
従動プーリー69は、従動軸68に同軸の円筒形を有し、同軸に従動軸68に装着される内筒76と、従動軸68に同軸の円筒形を有し、同軸に内筒76に装着される外筒77とを備える。内筒76は従動軸68に相対回転自在に支持される。外筒77は内筒76に相対回転自在かつ軸方向相対変位自在に支持される。内筒76に固定シーブ73は同軸に固定される。外筒77に可動シーブ74は同軸に固定される。可動シーブ74は固定シーブ73に向き合わせられ、外筒77および内筒76の軸方向相対変位に応じて可動シーブ74は固定シーブ73に近づいたり固定シーブ73から遠ざかったりする。固定シーブ73および可動シーブ74の間にVベルト71が巻き掛けられる。
従動軸68には遠心クラッチ81が装着される。遠心クラッチ81は内筒76に固定されるクラッチプレート81aを備える。クラッチプレート81aと可動シーブ74との間には弦巻ばね82が配置される。弦巻ばね82は固定シーブ73に向かって可動シーブ74を押し付ける弾性力を発揮する。駆動プーリー67でVベルト71の巻き掛け半径が増大すると、従動プーリー69では弦巻ばね82の弾性力に抗して可動シーブ74は固定シーブ73から遠ざかり、Vベルト71の巻き掛け半径は減少する。
遠心クラッチ81は従動軸68に固定されるアウタープレート81bを備える。アウタープレート81bはクラッチプレート81aに向き合わせられる。クラッチプレート81aが回転すると、遠心力の働きでクラッチプレート81aにアウタープレート81bは結合される。こうして従動プーリー69の回転は従動軸68に伝達される。エンジン回転数が設定回転数を超えると、遠心クラッチ81は動力伝達状態を確立する。
減速ギア機構59は、ギア室65に突き出る従動軸68に固定されるドライブギア83と、後輪WRの車軸58に固定されるファイナルギア84と、ドライブギア83およびファイナルギア84の間に配置されるアイドルギア85a、85bとを備える。アイドルギア85a、85bは共通の中間軸86に固定される。アイドルギア85aにドライブギア83が噛み合い、アイドルギア85bにファイナルギア84が噛み合う。こうして従動軸68の回転は減速されて後輪WRの車軸58に伝達される。
図3に示されるように、第1シフト機構75aは、固定シーブ73およびクランクケース33の第2ケース半体33bの間に配置されるカム部材87を含む。カム部材87は、固定シーブ73およびスリーブ88とともにクランクシャフト32の小径部32aに装着される。小径部32aの先端にはナット89が結合される。ナット89の締め付けに応じて、小径部32aの段差面32bとナット89との間に固定シーブ73、スリーブ88およびカム部材87は挟まれる。この挟み込みにあたってナット89と固定シーブ73との間にはワッシャー91が配置されてもよい。こうして固定シーブ73およびカム部材87は軸方向相対変位不能にクランクシャフト32上に固定される。
可動シーブボス74aにはウエイト保持プレート92が装着される。ウエイト保持プレート92は可動シーブ74に相対変位不能に固定されればよい。ウエイト保持プレート92はカム部材87のカム面87aに向き合わせられる。ウエイト保持プレート92はカム部材87よりも車幅方向外側に配置される。カム面87aとウエイト保持プレート92との間に遠心ウエイト93は挟まれる。カム面87aは、クランクシャフト32の回転軸線Xisから遠心方向に遠ざかるにつれて固定シーブ73に近づく。クランクシャフト32の回転に伴って遠心ウエイト93には遠心力が生成される。遠心ウエイト93は遠心力により遠心方向に変位する。遠心ウエイト93がカム面87aに転がり接触しながら遠心方向に変位するにつれて、ウエイト保持プレート92は固定シーブ73に向かって駆動される。こうしてクランクシャフト32の回転に応じて可動シーブ74は固定シーブ73に向かって軸方向に移動する。なお、ウエイト保持プレート92はカム部材87よりも車幅方向内側に配置されてもよい。
カム部材87はカム面87aの裏側に外表面87bを有する。外表面87bには、クランクシャフト32周りで車幅方向外側に向かって凹む環状の凹面94と、凹面94の径方向外側に位置して車幅方向内側に膨出する膨出面95と、凹面の径方向内側に位置して軸方向に沿ってクランクシャフト32に突き当てられる突き当て面96とが形成される。突き当て面96は小径部32aの段差面32bに密接する。膨出面95は、カム面87aに対応するカム部材87の外表面に形成される。
第2ケース半体33bの軸受け48bとカム部材87との間にはオイルシール部材97が配置される。オイルシール部材97は第2ケース半体33bに形成される勘合部98に嵌め込まれる。勘合部98は、車幅方向外側に位置するカム部材87の凹面94に向かって突出しつつオイルシール部材97を支持する。オイルシール部材97は、クランクシャフト32の回転に曝されながら、クランクシャフト32とクランクケース33との間でオイル漏れを防止する。膨出面95は凹面94および突き当て面96よりも車幅方向内側に位置する。
勘合部98は、凹面94と相対する位置に設けられる。膨出面95の車幅方向内側で、かつ、膨出面95に相対する域で第2ケース半体33bには、勘合部98から車幅方向内側に凹むミッションケース凹部99が形成される。ミッションケース凹部99とカム部材87の膨出面95とが相対する。
可動シーブボス74aの第1端101aには締結部材102が結合される。締結部材102はカム部材87およびウエイト保持プレート92の間に配置される。締結部材102は可動シーブ74のシーブ本体に向かって締め付けられて可動シーブボス74a上にウエイト保持プレート92を保持する。また、ウエイト保持プレート92はカム部材87よりも車幅方向内側に配置される構造では、締結部材102は可動シーブ74のシーブ本体に向かって締め付けられて可動シーブボス74a側にカム部材87を保持する。
締結部材102は、内周面に可動シーブボス74aに螺合するねじ溝を有する環状の螺合部103と、螺合部103から連続しつつ可動シーブボス74aから軸方向に外れた位置に配置される環状の圧入部104とを備える。圧入部104にはクランクシャフト32周りでオイルシール部材105が圧入される。オイルシール部材105は圧入部104の内周面とスリーブ88との間に挟まれる。オイルシール部材105は可動シーブボス74aの端面に密接すればよい。
カム部材87は、少なくとも部分的に締結部材102およびオイルシール部材105を収容する収容凹部106を有する。収容凹部106はカム面87aよりも径方向内側に配置される。締結部材102にはカム部材87に対応して逃げ部107が形成される。逃げ部107の形成にあたって締結部材102の外周には小径部が区画される。
可動シーブボス74aの第2端101b(第1端の反対側)には可動シーブボス74aの内周面およびクランクシャフト32の間にオイルシール部材108が配置される。可動シーブボス74aとスリーブ88との接触面は両端(第1端101aおよび第2端101b)のオイルシール部材105、108でシールされる。可動シーブボス74aとスリーブ88との接触面に導入されるグリースは両端のオイルシール部材105、108で密封される。
オイルシール部材105、108の間でスリーブ88の外周面にはクランクシャフト32周りで全周にわたって溝109が形成される。可動シーブボス74aとスリーブ88との接触面に導入されるグリースは溝109に滞留することができる。グリースは溝109を通じて可動シーブボス74aの全周にわたって行き渡ることができる。
締結部材102と可動シーブボス74aとの間にはOリング110が配置される。Oリング110は締結部材102と可動シーブボス74aとの間でシールを確立する。可動シーブボス74aに滞留するグリースの漏洩は防止されることができる。
第2シフト機構75bは、前述のアクチュエーターユニット72に加えて、可動シーブボス74aに相対回転自在かつ軸方向移動不能に装着される駆動アーム111を含む。装着にあたって可動シーブボス74aには転がり軸受けであるボールベアリング112が装着される。ボールベアリング112は内輪で可動シーブボス74aに嵌め合わせられる。ボールベアリング112の外輪には駆動アーム111が嵌め合わせられる。こうして可動シーブ74と駆動アーム111との間では相対回転は許容され軸方向の相対移動は阻止される。
アクチュエーターユニット72は、ケースカバー64に取り付けられるユニットケーシング113を備える。ユニットケーシング113には出力ロッド114が支持される。出力ロッド114はクランクシャフト32の回転軸線Xisに平行に延びる。出力ロッド114の先端は駆動アーム111に連結される。駆動アーム111の先端は出力ロッド114の軸心に直交する方向に出力ロッド114に嵌め合わせられる。出力ロッド114はユニットケーシング113に対して軸方向に相対変位自在にユニットケーシング113上に保持される。
アクチュエーターユニット72はアクチュエーターとしての電動モーター115およびギア機構116を備える。電動モーター115およびギア機構116はユニットケーシング113内に収容される。ギア機構116は出力ロッド114に電動モーター115の駆動軸を連結する。電動モーター115の回転力はギア機構116から出力ロッド114回りの回転力に伝達される。出力ロッド114回りの回転力は出力ロッド114の軸方向駆動力に変換される。こうして電動モーター115の駆動力に基づき可動シーブ74の軸方向移動は実現される。
変速機57では、締結部材102は、内周面に可動シーブボス74aに螺合するねじ溝を有する螺合部103と、クランクシャフト32周りでオイルシール部材105が圧入される圧入部104とを備える。オイルシール部材105は可動シーブボス74aに圧入されるのではなく、締結部材102に圧入される。締結部材102は、可動シーブボス74a上にウエイト保持プレート92を保持しながら、可動シーブボス74aに代わってクランクシャフト32(スリーブ88)周りにオイルシール部材105を保持する。内側にオイルシール部材が圧入されない分、可動シーブボス74aの径方向の大きさは縮小される。こうしてできる限り変速機57の小型化は実現される。
カム部材87は、少なくとも部分的に締結部材102およびオイルシール部材105を収容する収容凹部106を有する。したがって、カム部材87およびウエイト保持プレート92の間に締結部材102およびオイルシール部材105が配置されても、カム部材87およびウエイト保持プレート92は相互に近接して配置されることができる。こうしてクランクシャフト32の軸方向すなわち車幅方向に変速機57の大きさは縮小されることができる。
加えて、締結部材102には、カム部材87に対応して逃げ部107が形成される。逃げ部107は締結部材102とカム部材87との干渉を回避する。したがって、締結部材102の存在に拘わらず、カム部材87およびウエイト保持プレート92は相互に近接して配置されることができる。こうしてクランクシャフト32の軸方向すなわち車幅方向に変速機57の大きさは縮小されることができる。
変速機57ではクランクシャフト32にスリーブ88が装着される。スリーブ88は可動シーブボス74aの内周面に接触する。スリーブ88の外周面にはクランクシャフト32周りで全周にわたって溝109が形成される。溝109にはグリースが滞留することができる。グリースは可動シーブボス74aの全周にわたって行き渡ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明の電子制御Vベルト式無段変速機は、スクーター型自動二輪車に搭載されるものに限定されるものでなく、どのような形態の車両にも用いることができる。また、本発明の第1シフト機構75aでは、ウエイト保持プレート92を可動シーブボス74aに装着し、このウエイト保持プレート92に対向して車幅方向内側にカム部材87を配置する構造に限定されるものではなく、カム部材87を可動シーブボス74aに装着し、このカム部材87に対向して車幅方向内側にウエイト保持プレート92を配置することで、ウエイト保持プレート92とカム部材87とを反対に配置してもよい。
32…駆動軸(クランクシャフト)、62…ミッションケースを構成するケース主体、64…ミッションケースを構成するケースカバー、71…Vベルト、73…固定シーブ、74…可動シーブ、74a…可動シーブボス、75a…第1シフト機構、75b…第2シフト機構、87…カム部材、87a…カム面、88…部材(スリーブ)、92…ウエイト保持プレート、93…遠心ウエイト、102…締結部材、103…螺合部、104…圧入部、105…オイルシール部材、106…収容凹部、107…逃げ部、109…溝、110…Oリング、111…駆動アーム、112…転がり軸受け(ボールベアリング)、115…アクチュエーター(電動モーター)。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016032398A JP6594791B2 (ja) | 2016-02-23 | 2016-02-23 | 電子制御vベルト式無段変速機 |
PCT/JP2017/006652 WO2017146112A1 (ja) | 2016-02-23 | 2017-02-22 | 電子制御vベルト式無段変速機 |
EP17756550.4A EP3421839B1 (en) | 2016-02-23 | 2017-02-22 | Electronically controlled v-belt continuously variable transmission |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016032398A JP6594791B2 (ja) | 2016-02-23 | 2016-02-23 | 電子制御vベルト式無段変速機 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017150545A JP2017150545A (ja) | 2017-08-31 |
JP2017150545A5 true JP2017150545A5 (ja) | 2019-02-21 |
JP6594791B2 JP6594791B2 (ja) | 2019-10-23 |
Family
ID=59686306
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016032398A Active JP6594791B2 (ja) | 2016-02-23 | 2016-02-23 | 電子制御vベルト式無段変速機 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP3421839B1 (ja) |
JP (1) | JP6594791B2 (ja) |
WO (1) | WO2017146112A1 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020209214A1 (ja) * | 2019-04-12 | 2020-10-15 | ヤマハ発動機株式会社 | エンジンユニット |
CN113245072B (zh) * | 2021-04-29 | 2024-05-17 | 昆山金牛动力机械有限公司 | 一种具备螺旋加速的单向心碟式离心机及离心设备 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2949204B2 (ja) * | 1989-06-20 | 1999-09-13 | ヤマハ発動機株式会社 | Vベルト式無段変速機 |
JP2005264990A (ja) * | 2004-03-17 | 2005-09-29 | Yamaha Motor Co Ltd | ベルト式無段変速装置、ベルト式無段変速装置用シーブ、及びベルト式無段変速装置を搭載した車両 |
JP4879149B2 (ja) * | 2007-09-07 | 2012-02-22 | 本田技研工業株式会社 | Vベルト式無段変速機 |
JP5654389B2 (ja) * | 2011-03-03 | 2015-01-14 | 本田技研工業株式会社 | 無断変速機構造 |
JP5864388B2 (ja) * | 2012-09-13 | 2016-02-17 | 本田技研工業株式会社 | Vベルト式無段変速機 |
JP2015172382A (ja) * | 2014-03-11 | 2015-10-01 | 武蔵精密工業株式会社 | ベルト式無段変速機 |
-
2016
- 2016-02-23 JP JP2016032398A patent/JP6594791B2/ja active Active
-
2017
- 2017-02-22 WO PCT/JP2017/006652 patent/WO2017146112A1/ja active Application Filing
- 2017-02-22 EP EP17756550.4A patent/EP3421839B1/en active Active
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6594791B2 (ja) | 電子制御vベルト式無段変速機 | |
JP2017150545A5 (ja) | ||
WO2009098913A4 (ja) | 車両のパワーユニット | |
JP6605354B2 (ja) | 電子制御vベルト式無段変速機 | |
KR100635968B1 (ko) | V 벨트식 무단 변속기 | |
US7210851B2 (en) | Arrangement structure of bearings | |
JP2017150544A5 (ja) | ||
JP4825324B2 (ja) | 駆動装置 | |
JP6594792B2 (ja) | 電子制御vベルト式無段変速機 | |
JPWO2018168575A1 (ja) | ベルト式無段変速機 | |
JP2006022928A (ja) | Vベルト式無段変速機 | |
JP2018168737A (ja) | 内燃機関 | |
JP4490992B2 (ja) | Vベルト式無段変速機 | |
JP2017150546A5 (ja) | ||
JP4781335B2 (ja) | 車両搭載パワーユニット | |
JP6746798B2 (ja) | 内燃機関 | |
JP6552539B2 (ja) | エンジン | |
JP4490993B2 (ja) | Vベルト式無段変速機及び車両用パワーユニット | |
JP6542828B2 (ja) | 内燃機関 | |
JP7061205B2 (ja) | ベルト式無段変速装置 | |
WO2020066296A1 (ja) | 鞍乗り型車両のパワーユニットのカバー構造 | |
JP2009079691A (ja) | パワーユニット | |
JP2018133936A (ja) | 内燃機関の発電装置 | |
JP2019027513A (ja) | ベルト式無段変速機 | |
JP2008185087A (ja) | エンジンユニットおよびそれを備えた鞍乗型車両 |