高密度配線は、スルーホールを有するプリント回路板の製作における重要な設計である。これらのデバイスの小型化は、より薄いコア材料、低減された線幅、及びより小さい直径のスルーホールの組み合わせに依存する。スルーホールの直径は、75μm〜125μmの範囲である。アスペクト比がより高くなるにつれて、銅めっきによるスルーホールの充填がますます困難になっている。結果として、より大きいボイド及びより深いディンプルがもたらされる。スルーホール充填の別の問題は、それらの充填傾向である。一端が閉鎖されたビアとは異なり、スルーホールは、基板を貫通し、両端が開放している。ビアは下から上まで充填している。対照的に、スルーホールが銅で充填される場合、銅は、スルーホールの中心の壁上に堆積し始める傾向があり、そこで、それが中心を塞いで「バタフライウイング」または2つのビアを形成する。これらの2つのビアが充填されて、これらのホールの堆積が完了する。したがって、ビアを充填するために使用される銅めっき浴は、典型的には、スルーホールを充填するために使用されるものとは異なる。めっき浴水平化剤及び他の浴添加物を選択して、正しい種類の充填を可能にする。添加物の正しい組み合わせが選択されない場合、銅めっきは、望ましくない銅の等角堆積をもたらす。図1は、スルーホールを充填するための基板に対する従来の直流印加の電流密度(ASD)対時間(分)の図表である。カソード電流が基板に印加される。スルーホールが充填されるまで電流密度を変化させることなく、電流密度が100分間等の所与の期間印加される。
多くの場合、銅は、スルーホールを完全に充填することができず、両端が充填されていないままである。中心に銅堆積物が充填されており、両端が充填されていない不完全なスルーホールは、「ドッグボーニング」と称されることもある。それらのホールの上及び下の空間は、ディンプルと称される。スルーホール充填中の全ディンプル排除は珍しく、予測不可能である。ディンプルの深さは、恐らく、スルーホール充填性能を定量化するために最も一般に使用される測定基準である。ディンプル要件は、スルーホールの直径及び厚さに依存し、製造業者によって異なる。ディンプルに加えて、ボイドと称されるギャップまたはホールも、銅スルーホール充填物内に生じ得る。より大きいディンプルがパネルのさらなる加工に影響を及ぼし、より大きいボイドがデバイス性能に影響を及ぼす。理想的なプロセスは、ボイドを有することなく、高度の平面性で、すなわち、一貫性をもたせて、スルーホールを完全に充填して、最適な信頼性及び電気特性、ならびに電気デバイスにおける最適な線幅及びインピーダンス制御のための可能な限り薄い表面厚さを提供する。
前述の問題に対処するために、本産業は、スルーホールを塞いで充填しようと試みる場合に、典型的には、2つの異なる電気めっき浴を使用する。上述のように2つのビアがスルーホール内に形成されるまでスルーホールを充填するために、第1の銅浴が使用される。第1の浴を、特にビアの充填を対象とする実質的に異なる製剤を有する第2の浴に置き換えて、充填プロセスを完了する。しかしながら、このプロセスは、多大な時間を必要とするのみならず、非効率的でもある。このスルーホール充填プロセスは、第1の浴がビア充填浴で置き換えられなければならないときを判断するために注意深く監視されなければならない。正しい時点で浴を取り換えることができなければ、典型的には、ディンプル及びボイド形成がもたらされる。さらに、2つの別個のめっき浴を単一のプロセスに使用することにより、製造業者及び顧客の両方にかかる費用が増大する。このめっきプロセスは、浴を取り換えるために停止されなければならず、それ故にプロセス効率をさらに低減する。
加えて、プリント回路板等の基板の厚さも増加している。多くの従来のプリント回路板は、現在、100μmを越える厚さを有する。従来の直流めっきが、ある状況下での100μm以下の厚さを有するプリント回路板への許容されるスルーホール充填の提供に成功している一方で、200μm以上等の100μmを超える厚さ範囲を有する板のスルーホールを充填しようとする試みは、満足できるものではない。多くの場合、これらのスルーホールは、深さ10μmを超える許容されない量のディンプルを有し、スルーホールにおける平均ボイド面積は、10%〜15%超過している。
金属めっきの際に直面する別の問題は、金属堆積物上でのノジュールの形成である。ノジュールは、めっきされる金属の結晶であると考えられており、めっきされた表面から生じる。ノジュールの直径は、1ミクロン未満〜最大数ミリメートルの範囲であり得る。ノジュールは、様々な電気的、機械的、及び審美的理由から望ましくない。例えば、ノジュールは、電子物品筺体の内部及び外部の両方で電子組立体への空気流を冷却することによって、容易に引き離され、運搬されるが、そこでそれらは短絡不良を引き起こし得る。したがって、ノジュールは、めっきされた基板が電子物品に組み立てられる前に除去されなければならない。ノジュールを除去する従来の方法は、各金属めっきされた基板のレーザー検査、続いて、顕微鏡を使用した労働者によるノジュールの手動での除去を含む。かかる従来の方法は、労働者によるエラーの余地を残し、非効率的である。
したがって、プリント回路板等の基板のスルーホール充填を改善する方法の必要性が存在する。
本明細書を通して使用されるとき、下記の略語は、文脈が別途明らかに示さない限り、以下の意味を有する:g=グラム、mL=ミリリットル、L=リットル、cm=センチメートル、μm=ミクロン、ppm=mg/Lの100万分、℃=摂氏温度、g/L=1リットル当たりのグラム、DC=直流、ASD=アンペア/dm2、DI=脱イオン化、wt%=重量パーセント、Tg=ガラス転移温度、ボイド=別様に銅金属で充填されたスルーホール内の銅を含まない空隙、ディンプル深さ=ディンプルの最深点から基板の表面上にめっきされた銅のレベルまでの距離、単一のスルーホールのボイド面積=0.5A×0.5B×π(式中、Aがボイドの高さであり、Bがボイドのスルーホール内のその最大幅点での直径である)、スルーホール面積=スルーホールの高さ×スルーホールの直径、%ボイド面積=ボイド面積/スルーホール面積×100%。
「プリント回路板」及び「プリント配線板」という用語は、本明細書を通して同義に使用される。「めっき」及び「電気めっき」という用語は、本明細書を通して同義に使用される。「つきまわり性」という用語は、より高い電流密度領域と同じ厚さを有する低電流密度領域におけるめっきする能力を意味する。「サイクル」という用語は、同じ順序で繰り返される一連の事象を意味する。「即座に」という用語は、ステップが介在しないことを意味する。すべての量は、別途述べられない限り、重量パーセントである。すべての数値範囲は、その上限及び下限を含み、任意の順序で組み合わせ可能であるが、かかる数値範囲が合計100%にされることが論理的である場合を除く。
本発明は、複数のスルーホールを含む基板を含む銅電気めっき浴に直流またはDCを印加することにより、スルーホールを銅で電気めっきすることを対象とする。本発明の複数のスルーホールを有する基板の直流電気めっきサイクルは、最初に第1の所定電流密度を銅電気めっき浴中に浸漬された基板に第1の所定期間印加し、続いて、電流密度が0ASDになるように直流を第2の所定期間オフにし、続いて、直流をオンにして、第1の所定電流密度よりも低い第2の所定電流密度を第3の所定期間印加することによって開始される。任意に、このDCサイクルは、異なる高電流密度及び異なる第1の所定期間、続いて、電流密度の異なる第2の所定期間のオフ、続いて、各々の個別のサイクルがその後の第2の電流密度よりも高い第1の電流密度で始まり、直流がより高い電流密度の印加とより低い電流密度の印加との間でオフにされる限り、異なる低電流密度及び異なる第3の所定期間を有し得る。高電流密度期間は、好ましくは、低電流密度期間よりも短い。好ましくは、初期電流密度の直後に直流を第2の所定期間オフにし、その直後に直流をオンにして、その後、より低い電流密度を第3の所定期間即座に印加する。この方法は、スルーホール内のボイド形成を低減または排除し、ディンプルサイズを低減し、ノジュール形成を抑制または排除する。
図2は、本発明のスルーホール充填法の概略図である。高電流密度が最初に印加される電気めっき法の初期段階のスルーホールIが図解されている。ある期間後に、スルーホールの壁が等角めっきされる(II)。高電流密度期間の終わりまでには、スルーホールは、その中心に、またはその中心近くに充填され(III)、ビア様形状を形成する。その後、電流がある期間オフにされ、次いで、より低い電流密度でオンにされて、全スルーホールが充填されて(V)ボイドを含まなくなるまでビア様形状を充填し始める(IV)。このスルーホールは、ディンプル及びノジュールも含まない。
一般に、電流密度は、0.5ASD〜最大5ASDの範囲であり得るが、但し、めっきサイクルの第1の電流密度がめっきサイクルの第2の電流密度よりも常に高いことを条件とする。好ましくは、初期または第1の電流密度は、1ASD〜5ASDであり、第2のまたは低電流密度は、0.5ASD〜3ASDである。より好ましくは、高電流密度は、1.5ASD〜4ASDであり、低電流密度は、0.5ASD〜2ASDである。
めっき時間は異なり得る。好ましくは、高電流密度は、低電流密度よりも短い期間を有する。好ましくは、高電流密度めっき時間は、5分間〜30分間、より好ましくは、10分間〜25分間である。好ましくは、低電流密度期間は、60分間〜200分間、より好ましくは、90分間〜180分間である。好ましくは、電流が遮断される期間は、0.5分間〜10分間、より好ましくは、1分間〜5分間の範囲であり得る。
好ましくは、銅電気めっき浴は、スルーホールを充填する電気めっき法中に撹拌されて、銅浴添加物が基板の表面及びスルーホール上に均一に堆積するように促進する。任意の従来のめっき浴撹拌装置を使用することができる。高電流密度が印加されているとき、撹拌速度は、低電流密度の印加中よりも遅い。一般に、浴撹拌は、高電流密度中では4L/分〜8L/分、低電流密度中では8L/分〜24L/分である。めっき温度は、室温〜60℃の範囲である。
スルーホールを充填する前に、基板は、好ましくは、無電解銅が基板の表面及びスルーホールの壁に隣接するように、無電解銅層でめっきされる。従来の無電解銅めっき浴、ならびに従来の無電解めっき法を使用して、銅層を堆積させることができる。かかる無電解銅浴及び方法は、当該技術分野及び文献で周知である。市販の無電解銅浴の一例は、CIRCUPOSIT(商標)880無電解プロセスめっき製剤及び方法(Dow Electronic Materials,Marlborough,MAから入手可能)である。無電解銅は、典型的には、0.25μm〜6μm、より典型的には、0.25μm〜3μmの厚さを有し得る。任意に、無電解銅は、電解フラッシュ銅層でめっきされて、それを腐食から保護する。無電解銅層に隣接する電気めっきされたフラッシュ銅の厚さは、0.5μm〜15μm、典型的には、1μm〜10μm、より典型的には、1μm〜5μmの範囲である。従来の電解銅浴を使用して、フラッシュ銅層をめっきすることができる。かかる銅浴は、当該技術分野及び文献で周知である。
基板のスルーホールの直径は、典型的には、75μm〜125μmの範囲である。スルーホールは、基板の幅を横断し、その深さは、典型的には、100μm〜400μmである。基板の厚さは、100μm以上、典型的には、200μm〜300μmの範囲であり得る。
基板としては、繊維ガラス等の繊維及び前述の含浸実施形態を含む、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及びそれらの組み合わせを含み得るプリント回路板が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、アセタール樹脂、アクリル、例えば、アクリル酸メチル、セルロース樹脂、例えば、酢酸エチル、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、及び硝酸セルロース、ポリエーテル、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブレンド、例えば、アクリロニトリルスチレン及びコポリマーならびにアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、及びビニルポリマー及びコポリマー、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルブチラール、塩化ビニル、塩化酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、及びビニルホルマールが挙げられるが、これらに限定されない。
熱硬化性樹脂としては、フタル酸アリル、フラン、メラミンホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、及びフェノールフルフラールコポリマー(単独で、またはブタジエンアクリロニトリルコポリマーもしくはクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーと配合して)、ポリアクリル酸エステル、シリコーン、尿素ホルムアルデヒド、エポキシ樹脂、アリル樹脂、フタル酸グリセリル、及びポリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
プリント配線板は、低または高Tg樹脂を含み得る。低Tg樹脂は160℃未満のTgを有し、高Tg樹脂は160℃以上のTgを有する。典型的には、高Tg樹脂は、160℃〜280℃または170℃〜240℃等のTgを有する。高Tgポリマー樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリテトラフルオロエチレンブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。かかるブレンドとしては、例えば、ポリフェネレンオキシド及びシアン酸エステルを有するPTFEが挙げられる。高Tgを有する樹脂を含むポリマー樹脂の他のクラスとしては、エポキシ樹脂、例えば、二官能性及び多官能性エポキシ樹脂、ビマレイミド/トリアジン及びエポキシ樹脂(BTエポキシ)、エポキシ/ポリフェニレンオキシド樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェネレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリサルフォン(PS)、ポリアミド、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)及びポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、エポキシーズ、及びそれらの複合体が挙げられるが、これらに限定されない。
スルーホールを塞いで充填するための従来のエポキシ電気めっき浴が使用され得る。スルーホール充填を対象とする1つの浴製剤のみが使用され、最初の浴製剤がビア充填浴製剤に変更されてスルーホール充填を完了する従来のプロセスが回避される。銅イオン源に加えて、好ましくは、銅電気めっき浴は、1つ以上の光沢剤、水平化剤、及び抑制剤を含む。従来の光沢剤、水平化剤、及び抑制剤が使用され得る。
銅イオン源としては、水溶性ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、ならびに他の有機及び無機銅塩が挙げられるが、これらに限定されない。かかる銅塩のうちの1つ以上の混合物を使用して、銅イオンを提供することができる。例としては、硫酸銅五水和物等の硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、水酸化銅、及びスルファミン酸銅が挙げられる。銅塩の従来の量がこれらの組成物に使用され得る。銅塩は、50g/L〜350g/L、典型的には、100g/L〜250g/Lの量で浴中に含まれる。
酸としては、硫酸、塩酸、フッ化水素酸、リン酸、硝酸、スルファミン酸、及びアルキルスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。かかる酸は、従来の量で含まれる。典型的には、かかる酸は、エポキシ浴中に25g/L〜350g/Lの量で含まれる。
光沢剤としては、3−メルカプト−プロピルスルホン酸及びそのナトリウム塩、2−メルカプト−エタンスルホン酸及びそのナトリウム塩、ならびにビススルホプロピルジスルフィド及びそのナトリウム塩、3−(ベンズチアゾイル−2−チオ)−プロピルスルホン酸ナトリウム塩、3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸ナトリウム塩、エチレンジチオジプロピルスルホン酸ナトリウム塩、ビス−(p−スルホフェニル)−ジスルフィドジナトリウム塩、ビス−(ω−スルホブチル)−ジスルフィドジナトリウム塩、ビス−(ω−スルホヒドロキシプロピル)−ジスルフィドジナトリウム塩、ビス−(ω−スルホプロピル)−ジスルフィドジナトリウム塩、ビス−(ω−スルホプロピル)−スルフィドジナトリウム塩、メチル−(ω−スルホプロピル)−ジスルフィドナトリウム塩、メチル−(ω−スルホプロピル)−トリスルフィドジナトリウム塩、O−エチル−ジチオ炭酸−S−(ω−スルホプロピル)−エステル、チオグリコール酸カリウム塩、チオリン酸−O−エチル−ビス−(ω−スルホプロピル)−エステルジナトリウム塩、チオリン酸−トリス(ω−スルホプロピル)−エステル三ナトリウム塩、N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(3−スルホプロピル)エステルナトリウム塩、(O−エチルジチオカルボナト)−S−(3−スルホプロピル)−エステルカリウム塩、3−[(アミノ−イミノメチル)−チオ]−1−プロパンスルホン酸、及び3−(2−ベンズチアゾリルチオ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、光沢剤は、ビススルホプロピルジスルフィドまたはそのナトリウム塩である。典型的には、光沢剤は、1ppb〜500ppm、好ましくは、50ppb〜10ppmの量で含まれる。
スルーホール充填のためにエポキシ電気めっき浴中に含まれる水平化剤は、好ましくは、複素環式芳香族化合物とエポキシ化合物の反応生成物である。かかる化合物の合成は、米国特許第8,268,158号等の文献に開示されている。より好ましくは、水平化剤は、以下の式の少なくとも1つのイミダゾール化合物の反応生成物であり、
式中、R1、R2、及びR3は独立して、H、(C1−C12)アルキル、(C2−C12)アルケニル、及びアリールから選択されるが、但し、R1及びR2の両方がHではないことを条件とする。すなわち、これらの反応生成物は、R1及びR2のうちの少なくとも1つが、(C1−C12)アルキル、(C2−C12)アルケニル、またはアリールである、少なくとも1つのイミダゾールを含有する。かかるイミダゾール化合物は、4位及び/または5位で、(C1−C12)アルキル、(C2−C12)アルケニル、またはアリールで置換される。好ましくは、R1、R2、及びR3は独立して、H、(C1−C8)アルキル、(C2−C7)アルケニル、及びアリール、より好ましくは、H、(C1−C6)アルキル、(C3−C7)アルケニル、及びアリール、さらにより好ましくは、H、(C1−C4)アルキル、(C3−C6)アルケニル、及びアリールである。(C1−C12)アルキル基及び(C2−C12)アルケニル基は各々任意に、ヒドロキシル基、ハロゲン、及びアリール基のうちの1つ以上で置換されてもよい。好ましくは、置換(C1−C12)アルキル基は、アリール置換(C1−C12)アルキル基であり、より好ましくは、(C1−C4)アルキルである。例示の(C1−C4)アルキル基としては、ベンジル、フェネチル、及びメチルナフチルが含まれるが、これらに限定されない。あるいは、(C1−C12)アルキル基及び(C2−C12)アルケニル基の各々は、それぞれ、アリール基と縮合した環状アルキルまたは環状アルケニル基を含有し得る。本明細書で使用されるとき、「アリール」という用語は、水素原子の除去により芳香族または複素環式芳香族部分から誘導される任意の有機ラジカルを指す。好ましくは、このアリール基は、6〜12個の炭素原子を含有する。本発明におけるこのアリール基は、任意に、(C1−C4)アルキル及びヒドロキシルのうちの1つ以上で置換されてもよい。例示のアリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、ヒドロキシトリル、フェノリル、ナフチル、フラニル、及びチオフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。このアリール基は、好ましくは、フェニル、キシリル、またはナフチルである。例示の(C1−C12)アルキル基及び置換(C1−C12)アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−(2−メチル)ブチル、2−(2,3−ジメチル)ブチル、2−(2−メチル)ペンチル、ネオペンチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、シクロペンチル、ヒドロクスシクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、ヒドロキシクロヘキシル、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、テトラヒドロナフタレニル、及びテトラヒドロナフチルメチルが挙げられるが、これらに限定されない。例示の(C2−C8)アルケニル基としては、アリル、スチレニル、シクロペンテニル、シクロペンチルメチル、シクロペンテニルエチル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルメチル、及びインデニルが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、少なくとも1つのイミダゾール化合物は、4位または5位で、(C1−C8)アルキル、(C3−C7)アルケニル、またはアリールで置換される。より好ましくは、少なくとも1つのイミダゾールは、4位または5位で、(C1−C6)アルキル、(C3−C7)アルケニル、またはアリールで置換される。さらにより好ましくは、少なくとも1つのイミダゾールは、4位または5位で、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アリル、またはアリールで置換される。このイミダゾール化合物は、一般に、Sigma−Aldrich(St.Louis,Missouri)等の様々な供給源から市販されているか、または文献の方法から調製することができる。
上述のイミダゾール化合物のうちの1つ以上が、以下の式を有する1つ以上のエポキシ化合物と反応し、
式中、Y1及びY2は独立して、水素及び(C1−C4)アルキルから選択され、R4及びR5は独立して、水素、CH3、及びOHから選択され、pは、1〜6であり、qは、1〜20である。好ましくは、Y1及びY2の両方がHである。pが2である場合、各R4がHであり、R5がH及びCH3から選択され、qが1〜10であることが好ましい。pが3である場合、少なくとも1つのR5がCH3及びOHから選択され、qが1であることが好ましい。pが4である場合、R4及びR5の両方がHであり、qが1であることが好ましい。式(II)の例示の化合物としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル化合物、グリセロールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、及びポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル化合物が挙げられるが、これらに限定されない。式IIのポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル化合物は、R4及びR5の各々がHであり、pが2であり、qが3〜20であり、好ましくは、qが3〜15であり、より好ましくは、qが3〜12であり、さらにより好ましくは、qが3〜10である化合物である。例示のポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル化合物としては、トリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ペンタ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ノナ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、デカ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、及びドデカ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルが挙げられる。式IIのポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル化合物は、R4の各々がHであり、R5のうちの1つがCH3であり、pが2であり、qが3〜20であり、好ましくは、qが3〜15であり、より好ましくは、qが3〜12であり、さらにより好ましくは、qが3〜10である化合物である。例示のポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル化合物としては、トリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、テトラ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、ペンタ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、ヘキサ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、ノナ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、デカ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、及びドデカ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルが挙げられる。好適なポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル化合物及びポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル化合物は、350〜10000、好ましくは、380〜8000の数平均分子量を有するものである。
エポキシ電気めっき浴中に含まれ得る他の添加物は、1つ以上の錯化剤、1つ以上の塩化物イオン源、安定剤、例えば、機械的特性を調整し、速度制御を提供し、粒状構造を精製し、かつ堆積応力を修正するもの等、緩衝剤、抑制剤、及び担体である。それらは、従来の量でエポキシ電気めっき浴中に含まれ得る。
これらの方法は、スルーホール充填中のボイド及びディンプル形成を低減または抑制する。スルーホールの%ボイド面積が低減または排除される。高電流密度を印加し、続いて、電流をオフにし、その後、オンにし、次いで、低電流密度を印加する方法は、スルーホール充填に0%〜2%等の10%〜15%以下のボイドを提供することができる。ディンプル形成は10μm以下であり、好ましくは、ディンプルサイズは5μm以下であり、スルーホール中にボイドは存在しない。ディンプル及びボイドの深さを低減することにより、つきまわり性が改善され、それ故に、基板の表面上に実質的に均一の銅層を提供する。
以下の実施例は、本発明をさらに例証するために包含されており、その範囲を限定するようには意図されていない。
実施例1
複数のスルーホールを有するFR4/ガラスエポキシ切り取り試片(幅5cm、長さ15cm、及び厚さ200μm)は、Tech Circuitによって提供されたものであった。スルーホールは、100μmの平均直径を有した。切り取り試片をCIRCUPOSIT(商標)880無電解プロセスめっき製剤及び方法(Dow Electronic Materials,Marlborough,MAから入手可能)でめっきして、切り取り試片の一面及びスルーホールの壁上に銅層を形成した。切り取り試片上の銅層の厚さは、0.3μmであった。従来の銅洗浄剤を使用して切り取り試片を事前洗浄した。その後、切り取り試片を以下の表に示される式を有する銅電気めっき浴を収容したハーリングセル内に設置した。
切り取り試片を従来のDC整流器に接続した。ハーリングセル内の対極は、DT−4イリジウムでコーティングされたチタン不溶性アノードであった。電気めっき中、めっき浴を4L/分で空気撹拌した。電流密度を2ASDに設定した。銅電気めっきを室温で15分間行い、図3に示されるものと実質的に同じビア様形状を形成した。従来の光学顕微鏡をLeica Application Suit V3(Leica Microsystemsから入手可能)と組み合わせて使用して、区分した試料をディンプル及びボイドについて試験した。図3は、上記の表の銅電気めっき浴を使用して、2ASDの高電流密度で、室温で15分間めっきされた、FR4/ガラスエポキシ切り取り試片(幅5cm、長さ15cm、及び厚さ200μm)の断面画像である。15分後、電流を5分間遮断し、銅電気めっきを中止した。5分後、電流をオンにし、電流密度は1ASDであり、8L/分で浴撹拌し、銅電気めっきを90分間の総サイクル時間継続した。めっき後、切り取り試片をDI水ですすぎ、区分し、従来の光学顕微鏡でスルーホール充填について試験した。図4は、完全に充填されたスルーホールのうちの1つの断面画像である。試験されたスルーホールはすべて、ボイドを含まないように見えた。加えて、試験されたディンプルはすべて、5μm未満であった。ノジュールは観察されなかった。図5は、スルーホールを充填するために使用された電流密度対時間(分)のDCサイクルの図表である。
実施例2(比較)
複数のスルーホールを有するFR4/ガラスエポキシ切り取り試片(幅5cm、長さ15cm、及び厚さ200μm)は、Tech Circuitによって提供されたものであった。スルーホールは、100μmの平均直径を有した。切り取り試片をCIRCUPOSIT(商標)880無電解プロセスめっき製剤及び方法(Dow Electronic Materials,Marlborough,MA)でめっきして、切り取り試片の一面及びスルーホールの壁上に銅層を形成した。各切り取り試片の銅層の厚さは、0.3μmであった。従来の銅洗浄剤を使用して切り取り試片を事前洗浄した。その後、切り取り試片を実施例1の表に示される式を有する銅電気めっき浴を収容したハーリングセル内に設置した。
切り取り試片を従来のDC整流器に接続した。ハーリングセル内の対極は、不溶性アノードであった。電気めっき中、めっき浴を4L/分で空気撹拌した。めっきを室温で63分間行った。電流密度を1.5ASDに設定し、変更しなかった。
電気めっき後、切り取り試片をハーリングセルから取り除き、DI水ですすぎ、スルーホール充填の分析のために区分した。従来の光学顕微鏡をLeica Application Suit V3と組み合わせて使用して、区分した試料をボイド、ディンプル、及びノジュールについて試験した。ノジュールが観察されず、ディンプルが5μm以下のように見えたが、図6及び7に示されるように、観察されたスルーホールのうちの実質的にすべてが主要なボイド形成を有した。