JP2017125176A - 低誘電性樹脂組成物、硬化物、ドライフィルム、フィルム、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線基板および電子機器 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明者らの検討によれば、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー、マレイミド樹脂、およびポリブタジエン樹脂等により構成される絶縁性樹脂材料には、得られる硬化物の誘電特性および耐熱性をバランスよく向上させるという観点において、改善の余地があることが明らかになった。
ポリイミド樹脂、液晶ポリマー、マレイミド樹脂、およびポリブタジエン樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の樹脂(A)と、環状オレフィン(共)重合体(B)と、を含む低誘電性樹脂組成物であって、
当該低誘電性樹脂組成物中の上記環状オレフィン(共)重合体(B)の含有量に対する上記樹脂(A)の含有量の比((A)/(B))が5超過50以下である低誘電性樹脂組成物。
[2]
上記[1]に記載の低誘電性樹脂組成物において、
上記環状オレフィン(共)重合体(B)が、
下記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の繰り返し単位(a)と、
下記一般式(II)で表される繰り返し単位、下記一般式(III)で表される繰り返し単位および下記一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、を含有する低誘電性樹脂組成物。
[3]
上記[2]に記載の低誘電性樹脂組成物において、
上記環状オレフィン(共)重合体(B)中の上記環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)が、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンおよびテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンから選ばれる少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し単位である低誘電性樹脂組成物。
[4]
上記[2]または[3]に記載の低誘電性樹脂組成物において、
上記環状オレフィン(共)重合体(B)が、下記一般式(V)で表される繰り返し単位、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位および下記一般式(VII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)をさらに含有する低誘電性樹脂組成物。
[5]
上記[4]に記載の低誘電性樹脂組成物において、
上記環状オレフィン(共)重合体(B)中の上記非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)が、上記一般式(VII)で表される環状非共役ジエン由来の繰り返し単位を含む低誘電性樹脂組成物。
[6]
上記[4]または[5]に記載の低誘電性樹脂組成物において、
上記環状オレフィン(共)重合体(B)中の上記非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)が5−ビニル−2−ノルボルネンおよび8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンから選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する繰り返し単位である低誘電性樹脂組成物。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の低誘電性樹脂組成物において、
上記環状オレフィン(共)重合体(B)の、135℃のデカリン中での極限粘度[η]が0.01dl/g以上1.0dl/g以下である低誘電性樹脂組成物。
[8]
上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の低誘電性樹脂組成物において、
上記樹脂(A)と上記環状オレフィン(共)重合体(B)とを相溶化させる相溶化剤(C)をさらに含有する低誘電性樹脂組成物。
[9]
上記[8]に記載の低誘電性樹脂組成物において、
上記相溶化剤(C)が変性ポリオレフィンおよび変性エラストマーから選択される少なくとも一種を含む低誘電性樹脂組成物。
[10]
上記[8]または[9]に記載の低誘電性樹脂組成物において、
上記相溶化剤(C)の含有量が、当該低誘電性樹脂組成物中の上記樹脂(A)を100質量部としたとき、0.1質量部以上10質量部以下である低誘電性樹脂組成物。
[11]
上記[1]乃至[10]のいずれか一つに記載の低誘電性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
[12]
上記[1]乃至[10]のいずれか一つに記載の低誘電性樹脂組成物からなるドライフィルム。
[13]
上記[12]に記載のドライフィルムを硬化してなるフィルム。
[14]
上記[1]乃至[10]のいずれか一つに記載の低誘電性樹脂組成物とシート状繊維基材とを含むプリプレグ。
[15]
上記[12]に記載のドライフィルム、上記[13]に記載のフィルム、および上記[14]に記載のプリプレグから選択される少なくとも一種と、金属箔と、を積層してなる金属張積層板。
[16]
上記[12]に記載のドライフィルム、上記[13]に記載のフィルム、および上記[14]に記載のプリプレグから選択される少なくとも一種により形成された電気絶縁層と、上記電気絶縁層上に設けられた導体層とを備えるプリント配線基板。
[17]
上記[16]に記載のプリント配線基板を備えた電子機器。
まず、本発明に係る実施形態の低誘電性樹脂組成物について説明する。
本実施形態に係る低誘電性樹脂組成物は、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー、マレイミド樹脂、およびポリブタジエン樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の樹脂(A)と、環状オレフィン(共)重合体(B)と、を含む。そして、当該低誘電性樹脂組成物中の上記環状オレフィン(共)重合体(B)の含有量に対する上記樹脂(A)の含有量の比((A)/(B))が5超過50以下であり、好ましくは5超過20以下であり、より好ましくは5.2以上10以下である。
(A)/(B)が上記下限値以上または超過であることにより、得られる硬化物について、耐熱性を向上させることができる。また、(A)/(B)が上記上限値以下であることにより、得られる硬化物について、良好な耐熱性を満たしながら誘電特性を向上させることができる。
以上から、(A)/(B)が上記範囲内であることにより、プリント配線基板に好適な耐熱性を満足しながら誘電特性により優れた硬化物を得ることが可能となる。
以下、各成分について具体的に説明する。
本実施形態に係る樹脂(A)としては、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー、マレイミド樹脂、およびポリブタジエン樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を用いる。
より具体的には、以下のとおりである。
また、本実施形態に係るポリイミド樹脂としては、線状ポリイミドが好ましい。
テトラカルボン酸の無水物等としては、マレイン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル等の無水物、ジイミド又はモノイミドが挙げられる。これらの中でもテトラカルボン酸ジイミドが好ましく、ビスマレイミドが特に好ましい。
上記ジアミンは、例えば、テトラカルボン酸無水物等1モル当たりジアミン0.3〜1.2モルの比率で、テトラカルボン酸無水物等と反応させることが好ましく、0.5〜1.0モルの比率で反応させることがより好ましい。
より具体的には、以下のとおりである。
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上からなるポリエステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオールおよびその誘導体の少なくとも1種又は2種以上、とからなるポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンおよびその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミド;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンおよびその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオールおよびその誘導体の少なくとも1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミド等が挙げられる。さらに上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
より具体的には、以下のとおりである。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(B)は、環状オレフィンに由来する繰り返し単位を必須構成単位とする(共)重合体である。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(B)を構成する環状オレフィン化合物は特に限定はされないが、例えば、国際公開第2006/0118261号の段落0037〜0063に記載の環状オレフィンモノマーを挙げることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(B)の共重合原料の一つであるオレフィンモノマーは付加共重合して上記一般式(I)で表される構成単位を形成するものである。具体的には上記一般式(I)に対応する下記一般式(Ia)で表されたオレフィンモノマーが用いられる。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(B)中に含まれる、オレフィンモノマー由来の繰り返し単位(a)と、環状オレフィンモノマー(b)由来の繰り返し単位(b)と、側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の繰り返し単位(c)との合計モル数を100モル%としたとき、オレフィン由来の繰り返し単位(a)の割合が、好ましくは40モル%以上90モル%以下、より好ましくは45モル%以上85モル%以下、さらに好ましくは50モル%以上80モル%以下である。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(B)の共重合原料の一つである環状オレフィンモノマー(b)は付加共重合して上記一般式(II)、上記一般式(III)または上記一般式(IV)で表される環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)を形成するものである。具体的には、上記一般式(II)、上記一般式(III)、および上記一般式(IV)にそれぞれ対応する一般式(IIa)、(IIIa)、および(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)が用いられる。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(B)の共重合原料の一つである側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)は付加共重合して上記一般式(V)、上記一般式(VI)、または上記一般式(VII)の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)を形成するものである。具体的には、上記一般式(V)、上記一般式(VI)、上記一般式(VII)にそれぞれ対応する一般式(Va)、(VIa)、(VIIa)で表される側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)が用いられる。
側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の構成単位(c)の割合を上記上限値以下とすることにより、環状オレフィン(共)重合体(B)の成形性や溶解性を向上させつつ、硬化物の誘電特性の経時的安定性をより一層向上させることができる。また、側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の構成単位(c)の割合を上記下限値以上とすることにより、硬化物の耐熱性、機械的特性をより一層向上させることができる。
なお、環状オレフィン(共)重合体(B)の極限粘度[η]は、重合触媒、助触媒、H2添加量、重合温度等の重合条件により制御することが可能である。
これらの誘導体の環に置換される置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基等が挙げられる。なお、置換基は、1個または2個以上を有することができる。このような環に置換基を有する誘導体としては、例えば、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等が挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウム等の金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒;チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒;等を用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環の環状オレフィン系単量体等を挙げることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(B)は、例えば、国際公開第2012/046443号の段落0075〜0219に記載の環状オレフィン(共)重合体の製造方法や国際公開第2006/118261号の段落0095〜0234に記載の環状オレフィン(共)重合体の製造方法にしたがって製造することができる。ここでは詳細は省略する。
本実施形態に係る低誘電性樹脂組成物は、樹脂(A)と環状オレフィン(共)重合体(B)との相溶性を向上させ、誘電特性、耐熱性等の性能バランスにより一層優れた硬化物を得る観点から、樹脂(A)と環状オレフィン(共)重合体(B)とを相溶化させる相溶化剤(C)をさらに含有することが好ましい。
相溶化剤(C)としては、例えば、変性ポリオレフィン、変性エラストマー、分子内に極性基と重合反応に寄与することのできる不飽和炭素結合とを備えた化合物等が挙げられる。
これらの中でも極性基を有する単量体をグラフトさせたポリオレフィンが好ましい。ここで、「グラフト」とは、主鎖である幹ポリマーに、極性基を有する化合物を導入することをいう。「グラフト重合させた」とは、主鎖である幹ポリマーに、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することをいう。
極性基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、アミド基、エステル基、酸無水物等が挙げられる。これらは単独または2種以上の組み合わせで用いられる。これらの中でも、得られる硬化物の機械的強度をより一層向上できる観点から、カルボキシル基および酸無水物から選択される少なくとも一種が好ましい。
また、メタクリル酸誘導体の例としてはメタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、メタクリロニトリル等が挙げられる。
これらの中でも、得られる硬化物の機械的強度をより一層向上できる観点から、メタクリル酸グリシジルが好ましい。
相溶化剤(C)の含有量は、当該低誘電性樹脂組成物中の樹脂(A)を100質量部としたとき、好ましくは0.1質量部以上10質量部以下、より好ましくは1量部以上5質量部以下であり、特に好ましくは2質量部以上5質量部以下である。
本実施形態に係る低誘電性樹脂組成物は、溶媒と混合することによりワニスとすることができる。上記ワニスを調整するための溶媒としては、樹脂(A)および環状オレフィン(共)重合体(B)に対して溶解性または親和性を損なわないものであれば特に限定されない。溶媒として好ましく用いられるものは、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。より好ましくはトルエン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレンである。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
なお、環状オレフィン(共)重合体(B)が得られた際の反応溶液をそのまま溶媒として用い、そこへ樹脂(A)を溶解させることによりワニスを調製してもよい。また、環状オレフィン(共)重合体(B)を精製した後、別途樹脂(A)および溶媒を添加することによりワニスを調製してもよい。
本実施形態に係る硬化物は、本実施形態に係る低誘電性樹脂組成物の硬化物であり、低誘電性樹脂組成物を硬化することにより得られる。低誘電性樹脂組成物の硬化方法としては特に制限はないが、ラジカル重合開始剤、電子線や他の放射線を用いて、任意の形に成形しながら、または成形後に硬化する方法等が挙げられる。
これらの中でも、ジビニルベンゼンが好ましい。
アンチモン系難燃剤としては、酸化アンチモン、五酸化アンチモン、四酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等が挙げられる。
上記ハロゲン系難燃剤としては、塩素系および臭素系の種々の難燃剤が使用可能であるが、難燃化効果、成形時の耐熱性、樹脂への分散性、樹脂の物性への影響等の面から、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモジフェニル、ヘキサブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、デカブロモジフェニルオキサイド、ペンタブロモシクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールA、およびその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)等]、テトラブロモビスフェノールS、およびその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールS−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等]、テトラブロモ無水フタル酸、およびその誘導体[例えば、テトラブロモフタルイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド等]、エチレンビス(5,6−ジブロモノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)、トリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イソシアヌレート、ヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応の付加物、トリブロモフェニルグリシジルエーテル、トリブロモフェニルアクリレート、エチレンビストリブロモフェニルエーテル、エチレンビスペンタブロモフェニルエーテル、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキサイド、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリカーボネート、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、オクタブロモナフタレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン等の臭素系難燃剤;塩素化パラフィン等の塩素系難燃剤を使用するのが好ましい。
特に、誘電特性および耐熱性だけでなく、機械的特性等にも優れるので、高周波プリント配線基板、該高周波プリント配線基板の絶縁層を形成するために用いられるフィルムやシート、プリプレグ、積層体等に好適に用いることができる。
本実施形態に係る低誘電性樹脂組成物はドライフィルム、フィルムまたはシートに成形して各種用途に用いることができる。本実施形態に係る低誘電性樹脂組成物を用いて、ドライフィルム、フィルムまたはシートを形成する方法としては、各種公知の方法が適用可能である。例えば、熱可塑性樹脂フィルム等の支持基材上に上述したワニスを塗布して乾燥後、加熱処理等して低誘電性樹脂組成物を硬化することにより形成する方法が挙げられる。ワニスの支持基材への塗布方法は特に限定されないが、例えば、スピンコーターを用いた塗布、スプレーコーターを用いた塗布、バーコーターを用いた塗布等を挙げることができる。
また、本実施形態の低誘電性樹脂組成物を溶融成形して、ドライフィルム、フィルムまたはシートを得る方法も挙げることができる。
本実施形態の上記フィルムは基材に積層することにより積層体として各種用途に用いることができる。本実施形態の積層体を形成する方法は各種公知の方法が適用可能である。
例えば、導体層に対し、上述の方法により製造したドライフィルム、フィルムまたはシートを積層し、必要に応じてプレス等により加熱硬化することにより積層体を作製することができる。
また、表面に導体層を有する基板に対して、本実施形態に係る硬化物を含む電気絶縁層を積層することにより積層体を作製することもできる。
また、本実施形態に係るプリプレグは、本実施形態の低誘電性樹脂組成物とシート状繊維基材とを複合して形成されたものである。
プリプレグの製造方法としては特に限定されず、各種公知の方法が適用可能である。例えば、上述したワニスをシート状繊維基材に含浸し含浸体を得る工程と、得られた含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程とを含む方法が挙げられる。
上記ワニスのシート状繊維基材への含浸は、例えば、所定量のワニスを、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法によりシート状繊維基材に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラー等で押圧することにより行うことができる。
また、上記含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程はとくに限定されないが、例えば、バッチ式で送風乾燥機により空気中あるいは窒素中で乾燥する、あるいは、連続工程で加熱炉を通すことによって乾燥する、等の方法を挙げることができる。
本実施形態においては、ワニスをシート状繊維基材に含浸させた後、得られた含浸体を所定温度に加熱することにより、上記ワニスに含まれる溶媒が蒸発し、プリプレグが得られる。
シート状繊維基材へのワニスの含浸は、例えば、浸漬および塗布によって実施される。含浸は必要に応じて複数回繰り返してもよい。
これらのシート状繊維基材は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、所望により適宜選択されるが、プリプレグあるいは積層体中の、通常、10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%の範囲である。この範囲にあれば、得られる積層体の誘電特性と機械強度が高度にバランスされ、好適である。
金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、金箔、銀箔、ステンレス箔等が挙げられる。
上述したように、本実施形態に係る低誘電性樹脂組成物は、誘電特性および耐熱性の性能バランスに優れることから、プリント配線基板に好適に用いることができる。
プリント配線基板製造方法としては一般的に公知の方法を採用でき特に限定されないが、例えば、前述の方法により製造したドライフィルム、フィルム、シートまたはプリプレグを積層プレス等により加熱硬化し、電気絶縁層を形成する。次いで、得られた電気絶縁層に導体層を公知の方法で積層し、積層体を作製する。その後、該積層体中の導体層を回路加工等することにより、プリント配線基板を得ることができる。
このような電子機器としては、例えば、サーバ、ルータ、スーパーコンピューター、メインフレーム、ワークステーション等のICTインフラ機器;GPSアンテナ、無線基地局用アンテナ、ミリ波アンテナ、RFIDアンテナ等のアンテナ類;携帯電話、スマートフォン、PHS、PDA、タブレット端末等の通信機器;パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、POS端末、ウェアラブル端末、デジタルメディアプレーヤー等のデジタル機器;電子制御システム装置、車載通信機器、カーナビゲーション機器、ミリ波レーダー、車載カメラモジュール等の車載電子機器;半導体試験装置、高周波計測装置等;等が挙げられる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
特開2004−331965号公報に記載の方法により合成した。
シアン酸エステル化合物1:2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン(東京化成工業社製)
マレイミド化合物1:ビス(4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−H、ケイ・アイ化成社製)
マレイミド化合物2:ビス(3−エチル−5−メチル―4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−70、ケイ・アイ化成社製)
ジアミン1:4,4'-ジアミノジフェニルメタン(東京化成工業社製)
環状オレフィン(共)重合体(B−1):以下の合成例1に従って合成した環状オレフィン共重合体([η]=0.40dl/g)
相溶化剤(C−1):以下の合成例2に従って合成した。
MMAO(東ソー・ファインケム社製)
5−ビニル−2−ノルボルネン(東京化成工業株式会社製)
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(三井化学株式会社製)
ジクミルパーオキシド(日油社製、パークミルD)
オクチル酸亜鉛(2−エチルヘキサン酸亜鉛、和光純薬株式会社製)
十分に窒素置換した内容積4LのSUS製オートクレーブに、キシレン1670ml、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)212ml、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(TD)120ml、MMAO(東ソーファインケム社製)のトルエン溶液をAl換算で4mmol、水素1984mlを投入した後、系中にエチレンを全圧0.6MPaになるまで導入した。遷移金属化合物(1)0.04mmolをトルエン10mlに溶解させて添加し、重合を開始した。エチレンガスを連続的に供給しながら圧力を保ち、25℃で60分間重合を行った後、5mlのメタノールを圧入することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を、20mlの濃塩酸を加えたアセトン15Lとメタノール5Lの混合溶媒に投入してポリマーを全量析出させ、撹拌後濾紙でろ過した。本操作を反応物がなくなるまで繰り返して得られた全ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン/TD/VNB共重合体を得た。極限粘度[η]は0.40(dL/g)、NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は25.7mol%、TD由来構造の組成比は10.6mol%であった。
撹拌翼を備えた容量1.0Lのガラス製オートクレーブに、ポリスチレン/ポリブタジエン/ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(シェル化学社製、クレイトンG1652、数平均分子量:8.5×104、スチレン含量:30質量%)105g、および脱水トルエン340mlを入れ、165℃に加熱して溶解させた。つづいて、無水マレイン酸3.46gを脱水トルエン40mlに溶解させた溶液、およびジ−t−ブチルパーオキサイド0.31gを脱水トルエン40mlに溶解させた溶液を調製し、両溶液を4時間かけて逐次滴下した。滴下終了後、165℃で2時間後反応を行った。
得られた変性共重合体の無水マレイン酸グラフト量を酸素分析により測定したところ、3.5質量%であった。
シアン酸エステル化合物1、マレイミド化合物1、マレイミド化合物2を表1に記載の配合割合(表中の数値は質量部を示す)で160℃に溶融させ、撹拌しながら6時間反応させ、ビスマレイミドトリアジン樹脂オリゴマーを得た。
得られたビスマレイミドトリアジン樹脂オリゴマーをトルエンに溶解させ、100質量部のビスマレイミドトリアジン樹脂オリゴマーに対し、環状オレフィン共重合体(B−1)、相溶化剤(C−1)、硬化促進剤(オクチル酸亜鉛)およびラジカル重合開始剤(ジクミルパーオキサイド)を表1に記載の配合割合で添加し、混合することにより樹脂ワニスをそれぞれ調製した。
マレイミド化合物1およびジアミン1を表1に記載の配合割合(表中の数値は質量部を示す)でトルエンに溶解し、110℃で90分間反応させた。その後、室温で環状オレフィン共重合体(B−1)、相溶化剤(C−1)、ラジカル重合開始剤(ジクミルパーオキサイド)を表1に記載の配合割合で添加し、混合することにより樹脂ワニスを調製した。
実施例1と同様の方法でビスマレイミドトリアジン樹脂オリゴマーを得た。得られたビスマレイミドトリアジン樹脂オリゴマーをトルエンに溶解させ、100質量部のビスマレイミドトリアジン樹脂オリゴマーに対し、硬化促進剤(オクチル酸亜鉛)およびラジカル重合開始剤(ジクミルパーオキサイド)を表1記載の配合割合で添加し、混合することにより樹脂ワニスを調製した。
実施例3と同様の方法でマレイミド化合物1およびジアミン1を表1に記載の配合割合(表中の数値は質量部を示す)でトルエンに溶解し、反応させることにより樹脂ワニスを調製した。
得られた樹脂ワニスを、離形処理されたPETフィルム上に10mm/秒の速度で塗工した後、窒素気流下送風乾燥機中で、110℃、10分間乾燥し、得られたフィルムをPETフィルムから剥がし、フィルムをそれぞれ得た。
150mm角に切り出したフィルムを8枚重ね、真空プレス機にて圧力3.5MPa、200℃で120分加熱することで積層体を作製した。得られた積層体の誘電正接評価をそれぞれ行った。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
150mm角に切り出したフィルムを8枚重ね、さらにその両側に銅箔を重ね、真空プレス機にて圧力3.5MPa、200℃で120分加熱することで銅箔が接着された銅張積層板をそれぞれ作製した。得られた銅張積層板のはんだ耐熱性評価をそれぞれ行った。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
評価はJIS K6911に準拠し、試験装置にはprecision LCR meter HP4284A(アジレントテクノロジー(株)製)を用い、1MHzにおける積層体の誘電正接を測定した。
銅張積層板を288℃の半田槽中に20秒間浸漬し、その後、銅張積層板の状態を観察した。以下の基準で銅張積層板のはんだ耐熱性を評価した。
○:変形および膨れの両方が発生しなかった
×:変形および膨れの少なくとも一方が発生した
また、ポリイミド樹脂に対し、環状オレフィン(共)重合体(B)を特定量配合した実施例3のフィルムは、環状オレフィン(共)重合体(B)を含まない比較例2のポリイミド樹脂フィルムよりも誘電正接が低く、誘電特性が向上していることがわかった。
Claims (17)
- ポリイミド樹脂、液晶ポリマー、マレイミド樹脂、およびポリブタジエン樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の樹脂(A)と、環状オレフィン(共)重合体(B)と、を含む低誘電性樹脂組成物であって、
当該低誘電性樹脂組成物中の前記環状オレフィン(共)重合体(B)の含有量に対する前記樹脂(A)の含有量の比((A)/(B))が5超過50以下である低誘電性樹脂組成物。 - 請求項1に記載の低誘電性樹脂組成物において、
前記環状オレフィン(共)重合体(B)が、
下記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の繰り返し単位(a)と、
下記一般式(II)で表される繰り返し単位、下記一般式(III)で表される繰り返し単位および下記一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、を含有する低誘電性樹脂組成物。
- 請求項2に記載の低誘電性樹脂組成物において、
前記環状オレフィン(共)重合体(B)中の前記環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)が、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンおよびテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンから選ばれる少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し単位である低誘電性樹脂組成物。 - 請求項2または3に記載の低誘電性樹脂組成物において、
前記環状オレフィン(共)重合体(B)が、下記一般式(V)で表される繰り返し単位、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位および下記一般式(VII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)をさらに含有する低誘電性樹脂組成物。
- 請求項4に記載の低誘電性樹脂組成物において、
前記環状オレフィン(共)重合体(B)中の前記非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)が、前記一般式(VII)で表される環状非共役ジエン由来の繰り返し単位を含む低誘電性樹脂組成物。 - 請求項4または5に記載の低誘電性樹脂組成物において、
前記環状オレフィン(共)重合体(B)中の前記非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)が5−ビニル−2−ノルボルネンおよび8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンから選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する繰り返し単位である低誘電性樹脂組成物。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の低誘電性樹脂組成物において、
前記環状オレフィン(共)重合体(B)の、135℃のデカリン中での極限粘度[η]が0.01dl/g以上1.0dl/g以下である低誘電性樹脂組成物。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の低誘電性樹脂組成物において、
前記樹脂(A)と前記環状オレフィン(共)重合体(B)とを相溶化させる相溶化剤(C)をさらに含有する低誘電性樹脂組成物。 - 請求項8に記載の低誘電性樹脂組成物において、
前記相溶化剤(C)が変性ポリオレフィンおよび変性エラストマーから選択される少なくとも一種を含む低誘電性樹脂組成物。 - 請求項8または9に記載の低誘電性樹脂組成物において、
前記相溶化剤(C)の含有量が、当該低誘電性樹脂組成物中の前記樹脂(A)を100質量部としたとき、0.1質量部以上10質量部以下である低誘電性樹脂組成物。 - 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の低誘電性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の低誘電性樹脂組成物からなるドライフィルム。
- 請求項12に記載のドライフィルムを硬化してなるフィルム。
- 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の低誘電性樹脂組成物とシート状繊維基材とを含むプリプレグ。
- 請求項12に記載のドライフィルム、請求項13に記載のフィルム、および請求項14に記載のプリプレグから選択される少なくとも一種と、金属箔と、を積層してなる金属張積層板。
- 請求項12に記載のドライフィルム、請求項13に記載のフィルム、および請求項14に記載のプリプレグから選択される少なくとも一種により形成された電気絶縁層と、前記電気絶縁層上に設けられた導体層とを備えるプリント配線基板。
- 請求項16に記載のプリント配線基板を備えた電子機器。
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