JP6770854B2 - 積層体、金属張積層体、プリント配線基板および電子機器 - Google Patents

積層体、金属張積層体、プリント配線基板および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、積層体、金属張積層体、プリント配線基板および電子機器に関する。
環状オレフィン共重合体は耐熱性、機械的特性、透明性、誘電特性、耐溶剤性、成形性、寸法安定性等に優れており、種々の分野に利用されている(特許文献1および2)。
また近年、環状オレフィン共重合体は耐熱性および誘電特性のバランスに優れていることから、例えば、プリント配線基板等の電子部品用の絶縁層を形成する絶縁性材料としても検討され始めている(特許文献2)。
特許文献2(国際公開第2012/046443号)には、架橋性基を有する環状オレフィン共重合体が記載されている。特許文献2には、この環状オレフィン共重合体の架橋体は誘電特性の経時安定性に優れ、かつ、耐熱性、透明性、機械的特性等にも優れるので、高周波回路基板等の高周波用途に好適に用いることができると記載されている。
国際公開第2006/118261号 国際公開第2012/046443号 特開2009−277693号公報 特開2015−189165号公報
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1および2に記載されているような環状オレフィン共重合体を含むプリプレグやその硬化物は、高温下に長時間置いた場合、その表層が変色し、熱劣化してしまう場合があることが明らかになった。
ここで、特許文献3(特開2009−277693号公報)には、環状オレフィン系樹脂、有機過酸化物、架橋助剤および無機充填剤を含む樹脂組成物をガラスクロスに含浸させた基体と、基体上に設けられた酸化防止樹脂層とを備えることを特徴とする基板材料が開示されている。
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献3に記載のような基板材料は、はんだ耐熱性が十分に満足するものではないことが明らかになった。
また、特許文献4(特開2015−189165号公報)には、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び架橋助剤を含有する重合性組成物(1)を塊状重合して得られる架橋性樹脂組成物層、及び、少なくとも1つのラジカル重合性基を有する、ポリフェニレンエーテル樹脂又はフェノール樹脂を含有する重合性組成物(2)から得られる酸化防止層を有する積層体であって、当該積層体の最外層の少なくとも一方が上記酸化防止層であることを特徴とする積層体が記載されている。
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献4に記載のような積層体は、架橋性樹脂組成物層中に重合触媒が多く残ってしまう場合があり、残存する金属成分によって、積層体の色相悪化、透明性低下、電気特性悪化、および積層した他の層への金属成分の移動による積層体の性能低下等の問題があることが明らかになった。
すなわち、本発明者らの検討によれば、従来の環状オレフィン共重合体を含む積層体には、誘電特性、耐熱性、および熱安定性の性能バランスに優れたプリント配線基板等の電子部品用の絶縁層を実現できるものはないことが明らかになった。すなわち、本発明者らの検討によれば、環状オレフィン共重合体を含む積層体には、得られる絶縁層の誘電特性、耐熱性、および熱安定性をバランスよく向上させるという観点において、改善の余地があることが明らかになった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、プリント配線基板等の電子部品用の絶縁層に好適な高周波領域での誘電特性および耐熱性を満足しながら熱安定性にも優れた積層体を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ガラス転移温度が150℃以上の環状オレフィン共重合体および繊維基材を含む樹脂繊維複合層に対し、特定の樹脂を含む酸化防止層を積層することにより、プリント配線基板等の電子部品用の絶縁層に好適な高周波領域での誘電特性および耐熱性を満足しながら、熱安定性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下に示すとおりである。
[1]
ガラス転移温度が150℃以上の環状オレフィン共重合体(A)を含む樹脂組成物(P)をシート状繊維基材に含浸させてなる樹脂繊維複合層(Q)と、
主鎖に芳香族環を有する基本単位を含み、融点又はガラス転移温度が100℃以上250℃以下の樹脂(B)を含む酸化防止層(Y)と、
を有する積層体であって、
当該積層体の最外層の少なくとも一方が上記酸化防止層(Y)である積層体。
[2]
上記[1]に記載の積層体において、
上記環状オレフィン共重合体(A)は、
下記一般式(I)で表される少なくとも1種のα−オレフィン由来の繰り返し単位(a)と、
下記一般式(II)で表される繰り返し単位、下記一般式(III)で表される繰り返し単位および下記一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、を含有する積層体。
Figure 0006770854
(上記一般式(I)において、R300は水素原子又は炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。)
Figure 0006770854
(上記一般式(II)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
Figure 0006770854
(上記一般式(III)において、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
Figure 0006770854
(上記一般式(IV)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)
[3]
上記[1]または[2]に記載の積層体において、
上記環状オレフィン共重合体(A)中に含まれる繰り返し単位の合計を100モル%としたとき、
下記一般式(V)で表される繰り返し単位、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位および下記一般式(VII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)の含有量が0.05モル%以下である積層体。
Figure 0006770854
(上記一般式(V)において、R201からR206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。)
Figure 0006770854
(上記一般式(VI)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
Figure 0006770854
(上記一般式(VII)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
[4]
上記[2]または[3]に記載の積層体において、
上記環状オレフィン共重合体(A)中の上記α−オレフィン由来の繰り返し単位(a)が、上記一般式(I)においてR300が炭素原子数2以上10以下の直鎖状の炭化水素基である繰り返し単位を含む積層体。
[5]
上記[2]乃至[4]いずれか一つに記載の積層体において、
上記環状オレフィン共重合体(A)中の上記環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)が、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンおよびテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンから選ばれる少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し単位である積層体。
[6]
上記[1]乃至[5]いずれか一つに記載の積層体において、
上記樹脂(B)がポリフェニレンエーテル樹脂を含む積層体。
[7]
上記[1]乃至[6]いずれか一つに記載の積層体において、
上記樹脂(B)がラジカル重合性基を有する積層体。
[8]
上記[1]乃至[7]いずれか一つに記載の積層体において、
上記樹脂組成物(P)が架橋剤をさらに含む積層体。
[9]
上記[1]乃至[8]いずれか一つに記載の積層体において、
上記樹脂繊維複合層(Q)および上記酸化防止層(Y)のうち少なくとも一方が密着性向上剤(C)を含む積層体。
[10]
上記[9]に記載の積層体において、
上記密着性向上剤(C)がスチレン系エラストマー、変性ポリオレフィンおよび変性エラストマーからなる群から選択される一種または二種以上を含む積層体。
[11]
上記[9]または[10]に記載の積層体において、
上記密着性向上剤(C)の含有量が、上記樹脂繊維複合層(Q)中の環状オレフィン共重合体(A)または上記酸化防止層(Y)中の上記樹脂(B)を100質量部としたとき、1質量部以上10質量部以下である積層体。
[12]
上記[1]乃至[11]いずれか一つに記載の積層体と、上記積層体の少なくとも一方の面に積層された金属箔と、を備える金属張積層体。
[13]
上記[1]乃至[11]いずれか一つに記載の積層体と、上記積層体上に設けられた導体層とを備えるプリント配線基板。
[14]
上記[13]に記載のプリント配線基板を備えた電子機器。
本発明によれば、プリント配線基板等の電子部品用の絶縁層に好適な高周波領域での誘電特性および耐熱性を満足しながら熱安定性にも優れた積層体を提供することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本実施形態では、数値範囲を示す「A〜B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
[積層体]
本実施形態に係る積層体は、ガラス転移温度が150℃以上の環状オレフィン共重合体(A)を含む樹脂組成物(P)をシート状繊維基材に含浸させてなる樹脂繊維複合層(Q)と、主鎖に芳香族環を有する基本単位を含み、融点又はガラス転移温度が100℃以上250℃以下の樹脂(B)を含む酸化防止層(Y)と、を有する。
そして、当該積層体の最外層の少なくとも一方が酸化防止層(Y)である。
本実施形態に係る積層体は、ガラス転移温度が150℃以上の環状オレフィン共重合体(A)を含む樹脂組成物(P)をシート状繊維基材に含浸させてなる樹脂繊維複合層(Q)を備えることにより、得られる絶縁層について、誘電特性および耐熱性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る積層体は、少なくとも一方の最外層に酸化防止層(Y)を備えることにより、得られる絶縁層について、良好な誘電特性および耐熱性を満たしながら熱安定性を向上させることができる。すなわち、本実施形態に係る積層体は、高温(例えば、200℃程度)下に長時間置かれた場合であっても、表面が劣化してクラックが発生することを抑制することができる。
以上から、本実施形態によれば、プリント配線基板等の電子部品用の絶縁層に好適な高周波領域での誘電特性および耐熱性を満足しながら熱安定性にも優れた積層体を得ることが可能となる。
本実施形態に係る積層体において、樹脂繊維複合層(Q)(以下、(Q)層とも呼ぶ。)及び酸化防止層(Y)(以下、(Y)層とも呼ぶ。)はそれぞれ単層であっても、2層以上であってもよい。
本実施形態に係る積層体の構成例としては以下のものが挙げられる。ただし、本実施形態に係る積層体は下記の層構成を有するものに限定されるものではない。
(1)(Q)層/(Y)層
(2)(Y)層/(Q)層/(Y)層
(3)(Q)層/(Y)層/(Q)層/(Y)層
(4)(Y)層/(Q)層/(Q)層/(Y)層
本実施形態に係る積層体の厚みは特に限定されないが、例えば、0.01〜5mm以下、好ましくは0.05〜2mmである。
酸化防止層(Y)の厚み(2層以上の場合は合計厚み)は特に限定されないが、積層体の総厚みの1%以上30%以下の厚みであることが好ましい。
本実施形態に係る積層体の製造方法は特に限定されないが、例えば、樹脂繊維複合層(Q)および酸化防止層(Y)を所定の順序に積層し、全体を熱プレスする方法が挙げられる。
熱プレスするときの温度は特に限定されないが、例えば、150〜350℃、好ましくは170〜330℃、より好ましくは180〜300℃である。
熱プレスするときの圧力は特に限定されないが、例えば、0.5〜20MPa、好ましくは2〜10MPaである。熱プレスは真空又は減圧雰囲気下で行ってもよい。熱プレスは公知のプレス機を用いて行なうことができる。
<樹脂組成物(P)>
まず、本実施形態に係る樹脂組成物(P)について説明する。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)はガラス転移温度が150℃以上の環状オレフィン共重合体(A)を必須成分として含んでいる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物(P)中の環状オレフィン共重合体(A)の含有量は、得られる絶縁層の誘電特性およびはんだ耐熱性の性能バランスをより向上させる観点から、樹脂組成物(P)の全体を100質量%としたとき、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上99質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上97質量%以下である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)は、例えば、モノマーの種類やモノマーの仕込み比によりガラス転移温度(Tg)をコントロールできる。本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)のTgは150℃以上であるが、好ましくは150℃以上250℃未満であり、より好ましくは170℃以上230℃未満であり、さらに好ましくは180℃以上220℃未満である。Tgが上記上限値未満であると、環状オレフィン共重合体(A)の成形性をより一層向上させることができる。また、Tgが上記下限値以上であると、得られる絶縁層の耐熱性や機械的特性が向上する。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)は、下記一般式(I)で表される少なくとも1種のα−オレフィン由来の繰り返し単位(a)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位、下記一般式(III)で表される繰り返し単位および下記一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、を含有するものが好ましい。
また、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)は、得られる積層体やプリプレグ、絶縁層の耐熱性(特にはんだ耐熱性)、誘電特性およびシート状繊維基材への含浸性をさらに向上させる観点から、下記一般式(I)で表される少なくとも1種のα−オレフィン由来の繰り返し単位(a)と、下記一般式(II)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、を含むことがより好ましい。
ただし、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)は、環状オレフィン共重合体(A)中に含まれる繰り返し単位の合計を100モル%としたとき、下記一般式(V)で表される繰り返し単位、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位および下記一般式(VII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)の含有量が、環状オレフィン共重合体(A)のガラス転移温度を向上させる観点から、例えば、0.05モル%以下であり、好ましくは0.01モル%以下である。
Figure 0006770854
上記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。環状オレフィン共重合体(A)のガラス転移温度を向上させ、得られる絶縁層の耐熱性をより向上させる観点から、R300は炭素原子数2以上10以下の直鎖状または分岐状の炭化水素基が好ましく、炭素原子数2以上10以下の直鎖状の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数4以上10以下の直鎖状の炭化水素基がさらに好ましい。
Figure 0006770854
上記一般式(II)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 0006770854
上記一般式(III)において、xおよびdは0または1以上の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
Figure 0006770854
上記一般式(IV)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。
Figure 0006770854
上記一般式(V)において、R201からR206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。
Figure 0006770854
上記一般式(VI)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 0006770854
上記一般式(VII)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
(オレフィンモノマー)
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)の共重合原料の一つであるオレフィンモノマーは付加共重合して上記一般式(I)で表される構成単位を形成するものである。具体的には上記一般式(I)に対応する下記一般式(Ia)で表されたオレフィンモノマーが用いられる。
Figure 0006770854
上記一般式(Ia)において、R300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。環状オレフィン共重合体(A)のガラス転移温度を向上させ、得られる絶縁層の耐熱性をより向上させる観点から、R300は炭素原子数2以上10以下の直鎖状または分岐状の炭化水素基が好ましく、炭素原子数2以上10以下の直鎖状の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数4以上10以下の直鎖状の炭化水素基がさらに好ましい。
具体的には、R300が炭素原子数2以上10以下の直鎖状または分岐状の炭化水素基である上記一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマーとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。中でも、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンが好ましい。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)は、環状オレフィン共重合体(A)中に含まれる繰り返し単位の合計を100モル%としたとき、α−オレフィン由来の繰り返し単位(a)の割合が、好ましくは10モル%以上90モル%以下、より好ましくは15モル%以上85モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上80モル%以下である。
(環状オレフィンモノマー(b))
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)の共重合原料の一つである環状オレフィンモノマー(b)は付加共重合して上記一般式(II)、上記一般式(III)または上記一般式(IV)で表される環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)を形成するものである。具体的には、上記一般式(II)、上記一般式(III)、および上記一般式(IV)にそれぞれ対応する一般式(IIa)、(IIIa)、および(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)が用いられる。
Figure 0006770854
上記一般式(IIa)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 0006770854
上記一般式(IIIa)において、xおよびdは0または1以上の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
Figure 0006770854
上記一般式(IVa)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。
共重合成分として、上述した一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマー、一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)を用いることにより、環状オレフィン共重合体(A)の溶媒への溶解性がより向上するため成形性が良好となり、製品の歩留まりが向上する。
一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)の具体例については国際公開第2006/0118261号の段落0037〜0063に記載の化合物を用いることができる。
具体的には、ビシクロ−2−ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素数3〜20のシクロアルキレン誘導体が挙げられる。
一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)の中でも、一般式(IIa)で表される環状オレフィンが好ましい。
上記一般式(IIa)で表される環状オレフィンモノマー(b)として、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネンとも呼ぶ。)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)を用いることが好ましく、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンを用いることがより好ましい。これらの環状オレフィンは剛直な環構造を有するため共重合体および絶縁層の弾性率が保持され易く、また異種二重結合構造を含まないため架橋の制御をし易くなる利点がある。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)は、環状オレフィン共重合体(A)中に含まれる繰り返し単位の合計を100モル%としたとき、環状オレフィンモノマー(b)由来の繰り返し単位(b)の割合が、好ましくは10モル%以上90モル%以下、より好ましくは15モル%以上85モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上80モル%以下である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)の、135℃中デカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.01〜1dl/gであり、好ましくは0.05〜0.9dl/gであり、より好ましくは0.1〜0.8dl/gである。極限粘度[η]が上記上限値以下であると、成形性が向上する。また、極限粘度[η]が上記下限値以上であると、得られる絶縁層の耐熱性や機械的特性が向上する。
なお、環状オレフィン共重合体(A)の極限粘度[η]は、重合触媒、助触媒、H添加量、重合温度等の重合条件により制御することが可能である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)は、例えば、国際公開第2012/046443号の段落0075〜0219に記載の環状オレフィン(共)重合体の製造方法や国際公開第2006/118261号の段落0095〜0234に記載の環状オレフィン(共)重合体の製造方法にしたがって製造することができる。ここでは詳細は省略する。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)はさらに架橋剤を含んでもよい。これにより、架橋剤を用いて樹脂組成物(P)を硬化させることができる。
架橋剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合開始剤による硬化は、ポリオレフィンで適用されている通常のラジカル重合開始剤による硬化方法をそのまま適用できる。すなわち樹脂組成物(P)にジクミルパーオキシドのようなラジカル重合開始剤を配合し、加熱、硬化する。架橋剤の配合割合は特に制限がないものの、環状オレフィン共重合体(A)100質量部あたり通常は0.02〜20質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。架橋剤の配合割合が上記上限値以下であると、得られる絶縁層の誘電特性が向上し、上記下限値以上であると、得られる絶縁層の耐熱性および機械的特性を向上させることができる。
上記ラジカル重合開始剤としては、公知の熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤およびこれらを併用することができる。これらのラジカル重合開始剤のうち、熱ラジカル重合開始剤を使用する場合は、保存安定性の観点から10時間半減期温度が通常80℃以上、好ましくは120℃以上のものである。このような開始剤として、例えば、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)2,5−ジメチルヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキシド、イソプロピルクミル−t−ブチルパーオキシド、ビス(α−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、エチル−3,3−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル−1,2,4,5−テトラオキシシクロノナン等のパーオキシケタール類;ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル類;t−ブチルハイドロパーオキシド、t−ヘキシルハイドロパーオキシド、クミンハイドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類;2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等のビベンジル化合物類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、イソプロピルチオキサントンおよびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
また、これらの光ラジカル重合開始剤とともに増感剤を使用することもできる。増感剤の例としては、アントラキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン,ベンズアントロン、p,p'−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、クロラニル等のカルボニル化合物、ニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン、2−ニトロフルオレン等のニトロ化合物、アントラセン、クリセン等の芳香族炭化水素、ジフェニルジスルフィド等の硫黄化合物、ニトロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、5−ニトロ−2−アミノトルエン、テトラシアノエチレン等の窒素化合物等を挙げることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)をラジカル重合開始剤硬化する場合、硬化する温度は、例えば、100〜350℃、好ましくは120〜330℃、さらに好ましくは150〜300℃の温度で行い、温度を段階的に変化させて硬化を行ってもよい。上記下限値以上であると、硬化を十分に進行させることができる。また、上記上限値以下であると、得られる絶縁層の着色が抑制できたり、プロセスを簡略化できたりする。
電子線や他の放射線を用いて硬化する方法は、成形時の温度、流動性の制限を伴わないという利点があり、放射線としては、電子線の他、γ線、UV等を挙げることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、架橋反応を促進させる観点から、架橋助剤を含んでもよい。
架橋助剤としては特に制限はないが、例えば、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、及びo−ジイソプロペニルベンゼン等のイソプロペニル基を2以上有する多官能性化合物;p−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシム等のオキシム類;エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレート、及びペンタエリトリトールトリメタクリレート等のメタクリル基を2以上有する多官能性化合物;ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルピリジン等のビニルモノマー類;ヘキサメチレンジアリルナジイミド、ジアリルイソフタレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメリット酸トリアリル等のアリル化合物類;N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、N,N'−(4,4'−メチレンジフェニレン)ジマレイミド等のマレイミド化合物類;ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン類;ポリブタジエン等が挙げられる。これらの架橋助剤は単独で用いてもよいし、組み合わせて使用することもできる。
これらの中でも、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメリット酸トリアリル等のイソシアヌレート類;ジビニルベンゼン;ポリブタジエンがより好ましい。
本実施形態に係るポリブタジエンとしては特に限定はされないが、例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、末端アクリレート変性ポリブタジエン、末端ウレタンメタクリレート変性ポリブタジエン等が挙げられる。
また、架橋助剤(C)としては、上記一般式(I)で表される少なくとも1種のα−オレフィン由来の繰り返し単位(a)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位、上記一般式(III)で表される繰り返し単位および上記一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、上記一般式(V)で表される繰り返し単位、上記一般式(VI)で表される繰り返し単位および上記一般式(VII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)と、を含有する環状オレフィン共重合体を用いてもよい。
架橋助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)における架橋助剤の含有量は、環状オレフィン共重合体(A)100質量部に対して、例えば、0.1〜100質量部、好ましくは0.5〜50質量部、より好ましくは1〜30質量部である。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)には、必要に応じて、難燃剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機充填剤、無機充填剤、環状オレフィン共重合体(A)および樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂等を本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。任意成分として配合される安定剤として、具体的には、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′−オキザミドビス〔エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)〕プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらは単独で配合してもよいし、組合せて配合してもよく、例えば、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンとステアリン酸亜鉛およびグリセリンモノステアレートとの組合せ等を例示できる。
難燃剤としては特に限定されないが、例えば、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、塩素化ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、高塩素化ポリプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールS、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン)、ペンタブロモトルエン等のハロゲン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物系難燃剤;ジメチルホスフィン酸アルミニウム等の含リン難燃剤;含窒素難燃剤;三酸化アンチモン等のアンチモン化合物等の非ハロゲン系難燃剤;等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)における難燃剤の含有量は、環状オレフィン共重合体(A)100質量部に対して、例えば、1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部である。
無機充填剤としては特に限定されないが、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物系充填剤;シリカバルーン、アルミナ、酸化鉄、酸化スズ、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカ)等の金属酸化物系充填剤;塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の金属塩化物系充填剤;硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム等の金属硫酸塩系充填剤;硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム等の金属硝酸塩系充填剤;リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の金属リン酸塩系充填剤;チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の金属チタン酸塩系充填剤;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の金属炭酸塩系充填剤;炭化硼素、炭化ケイ素等の炭化物系充填剤;窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物系充填剤;アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、銅、亜鉛、鉄、金、銀、鉛、タングステン等の金属粒子系充填剤;タルク、クレー、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーンマイカ、カオリン、フライアッシュ等のケイ酸塩系充填剤;ガラス粉末;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;等が挙げられる。
有機充填剤としては特に限定されないが、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、廃プラスチック等の化合物粒子が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)における無機充填剤および有機充填剤の含有量は、環状オレフィン共重合体(A)100質量部に対して、例えば、1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部である。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、得られる積層体における樹脂繊維複合層(Q)と酸化防止層(Y)の密着性を向上させる観点から、密着性向上剤(C)をさらに含むことが好ましい。
密着性向上剤(C)の含有量は、樹脂繊維複合層(Q)中の環状オレフィン共重合体(A)を100質量部としたとき、得られる積層体の誘電特性および耐熱性を良好に保ちつつ、樹脂繊維複合層(Q)と酸化防止層(Y)の密着性を向上させる観点から、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
密着性向上剤(C)としては、例えば、スチレン系エラストマー、変性ポリオレフィンおよび変性エラストマーからなる群から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
スチレン系エラストマーは、例えば、スチレン・共役ジエンブロック共重合樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエンブロック共重合樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック共重合樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック共重合樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)等が挙げられる。
変性ポリオレフィンとしては、極性基を有する単量体をグラフトまたはグラフト重合させたポリオレフィン、オレフィンと極性基を有する単量体との共重合体等が挙げられる。
これらの中でも極性基を有する単量体をグラフトさせたポリオレフィンが好ましい。ここで、「グラフト」とは、主鎖である幹ポリマーに、極性基を有する化合物を導入することをいう。「グラフト重合させた」とは、主鎖である幹ポリマーに、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することをいう。
極性基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、アミド基、エステル基、酸無水物等が挙げられる。これらは単独または2種以上の組み合わせで用いられる。これらの中でも、得られる絶縁層の機械的強度をより一層向上できる観点から、カルボキシル基および酸無水物から選択される少なくとも一種が好ましい。
このような極性基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オキサゾリン等が挙げられる。上記化合物は、単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。
また、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、ポリ−4−メチルペンテン、ポリブテン等のポリオレフィン類またはオリゴマー類、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、クロロスルフィン化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩素化ポリエチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。これらの単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。
変性エラストマーとしては、極性基を有する単量体をグラフトまたはグラフト重合させたエラストマー等が挙げられる。
極性基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、アミド基、エステル基、酸無水物等が挙げられる。これらは単独または2種以上の組み合わせで用いられる。これらの中でも、得られる絶縁層の機械的強度をより一層向上できる観点から、カルボキシル基および酸無水物から選択される少なくとも一種が好ましい。
このような極性基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オキサゾリン等が挙げられる。上記化合物は、単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。
また、上記変性エラストマーのエラストマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックゴム、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックゴム、スチレン・共役ジエンブロック共重合樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエンブロック共重合樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック共重合樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック共重合樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)等のスチレン系エラストマー;天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルイソプレンゴム等の合成ゴム;ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー等が挙げられる。これらの単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)の調製方法は、環状オレフィン共重合体(A)と、必要に応じてその他の成分と、を混合することにより調製できる。混合方法としては、押出機等で溶融ブレンドする方法、または適当な溶媒、例えばヘプタン、ヘキサン、デカン、シクロヘキサンのような飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素等に溶解または分散させて行う溶液ブレンド法等を採用することができる。
硬化反応は、本実施形態に係る樹脂組成物(P)と、上記したラジカル重合開始剤の如き硬化に与る化合物との混合物の溶融状態で行うこともできる。また、該混合物を溶媒に溶解、または分散させた溶液状態で行うこともできるし、溶媒に溶解した溶液状態から溶媒を揮発させフィルムまたは任意の形に成形した後にさらに硬化反応を進行させることもできる。
溶融状態で反応を行う場合はミキシングロール、バンバリーミキサー、押出機、ニーダ、連続ミキサー等の混練装置を用いて、原料の混合物を溶融混練して反応させる。また、任意の手法で成形した後に、さらに硬化反応を進行させることもできる。
溶液状態で反応を行う場合に使用する溶媒としては上記溶液ブレンド法で用いた溶媒と同様の溶媒が使用できる。
電子線またはその他の放射線、UVを用いて硬化反応を行う場合には、任意の方法で付形した後に、反応を行うことができる。
<ワニス>
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、溶媒と混合することによりワニスとすることができる。上記ワニスを調製するための溶媒としては、環状オレフィン共重合体(A)に対して溶解性または親和性を損なわないものであれば特に限定されない。溶媒として好ましく用いられるものは、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。より好ましくはトルエン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレンである。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態において、ワニスの調製は、いかなる方法で実施してもよいが、通常は樹脂組成物(P)と溶媒とを混合する工程を含む。各成分の混合については、その順序に制限はなく、一括または分割等のいかなる方式でも実施することができる。ワニスを調製する装置としても制限はなく、撹拌および混合が可能な、バッチ式、もしくは連続式の装置を用いることができる。ワニスを調製する際の温度は、室温から溶媒の沸点までの範囲で任意に選択することができる。
<樹脂繊維複合層(Q)>
本実施形態に係る樹脂繊維複合層(Q)は、本実施形態に係る樹脂組成物(P)とシート状繊維基材とを複合して形成されたものである。ここで、樹脂繊維複合層(Q)の中で半硬化状態(Bステージ状態)のものをプリプレグとも呼び、硬化状態(Cステージ状態)のものを絶縁層とも呼ぶ。
樹脂繊維複合層(Q)の製造方法としては特に限定されず、各種公知の方法が適用可能である。例えば、上述したワニスをシート状繊維基材に含浸し含浸体を得る工程と、得られた含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程とを含む方法が挙げられる。
上記ワニスのシート状繊維基材への含浸は、例えば、所定量のワニスを、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法によりシート状繊維基材に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラー等で押圧することにより行うことができる。
また、上記含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程は特に限定されないが、例えば、バッチ式で送風乾燥機により空気中あるいは窒素中で乾燥する、あるいは、連続工程で加熱炉を通すことによって乾燥する、等の方法を挙げることができる。
本実施形態においては、ワニスをシート状繊維基材に含浸させた後、得られた含浸体を所定温度に加熱することにより、上記ワニスに含まれる溶媒が蒸発し、樹脂繊維複合層(Q)が得られる。
本実施形態に係るシート状繊維基材を構成する繊維としては特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維等の有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維等の無機繊維:等を挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、Hガラス、Tガラス等の繊維が好適に用いることができる。
シート状繊維基材へのワニスの含浸は、例えば、浸漬および塗布によって実施される。含浸は必要に応じて複数回繰り返してもよい。
これらのシート状繊維基材は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は所望により適宜選択されるが、例えば、樹脂繊維複合層(Q)中の10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%の範囲である。この範囲にあれば、得られる積層体の誘電特性と機械強度が高度にバランスされ、好適である。
本実施形態に係る樹脂繊維複合層(Q)の厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、0.001〜10mmであり、好ましくは0.005〜1mmであり、より好ましくは0.01〜0.5mmである。この範囲にあれば、積層時の賦形性、また、硬化して得られる絶縁層の機械強度や靭性等の特性が充分に発揮され好適である。
<酸化防止層(Y)>
本実施形態に係る酸化防止層(Y)は、主鎖に芳香族環を有する基本単位を含み、融点又はガラス転移温度が100℃以上250℃以下の樹脂(B)を含む樹脂組成物(X)から得られる層である。
また、本実施形態に係る樹脂組成物(X)中の樹脂(B)の含有量は、得られる絶縁層の熱安定性、誘電特性およびはんだ耐熱性の性能バランスをより向上させる観点から、樹脂組成物(X)の全体を100質量%としたとき、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上99質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上97質量%以下である。
樹脂(B)の融点又はガラス転移温度は100℃以上250℃以下であるが、130℃以上250℃以下がより好ましい。
樹脂(B)としては、例えば、フェノール樹脂(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、(半)芳香族系ポリアミドイミド、(半)芳香族系ポリイミド、(半)芳香族系ポリエーテルイミド、及び(半)芳香族系ポリアミド等が挙げられる。
樹脂(B)としては、少なくとも1つのラジカル重合性基を有する樹脂が好ましく、少なくとも1つのラジカル重合性基を有するポリフェニレンエーテル樹脂がより好ましい。
ポリフェニレンエーテル樹脂のゲルパーミエーション・クロマトグラフィー測定(GPC)におけるスチレン換算による数平均分子量は特に限定されないが、500〜7000であることが好ましく、1000〜5000であることがより好ましい。
ポリフェニレンエーテル樹脂は、従来公知の方法(例えば、特開2010−111758号公報)で製造することができる。また、ポリフェニレンエーテル樹脂として、市販品をそのまま使用することもできる。
ラジカル重合性基としては、ラジカル重合性を有するものであれば特に限定されるものではないが、エチレン性不飽和二重結合基が好ましく、末端エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。上記末端エチレン性不飽和結合を含む基としては、例えば、スチリル基を含むビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられる。これらの中でもビニル基が好ましい。
また、ラジカル重合性基の置換位置は、特に制約されず、高分子主鎖の片末端であっても、両末端であってもよく、側鎖(高分子の繰り返し単位中の任意の位置)であってもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物(X)は、得られる積層体における樹脂繊維複合層(Q)と酸化防止層(Y)の密着性を向上させる観点から、密着性向上剤(C)をさらに含むことが好ましい。
密着性向上剤(C)の含有量は、酸化防止層(Y)中の樹脂(B)を100質量部としたとき、得られる積層体の誘電特性および耐熱性を良好に保ちつつ、樹脂繊維複合層(Q)と酸化防止層(Y)の密着性を向上させる観点から、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物(X)は、必要に応じて、架橋剤、架橋助剤、難燃剤、硫黄系化合物、加硫促進剤、加硫促進助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機充填剤、無機充填剤、環状オレフィン共重合体(A)および樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂等を本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。
これらの成分の具体例としては、樹脂組成物(P)に含有させる成分で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物(X)における架橋剤の含有量は特に制限がないものの、樹脂(B)100質量部あたり、例えば、0.02〜20質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜10質量部である。
本実施形態に係る樹脂組成物(X)における架橋助剤の含有量は、樹脂(B)100質量部に対して、例えば、1〜100質量部、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜50質量部である。
本実施形態に係る樹脂組成物(X)における難燃剤の含有量は、樹脂(B)100質量部に対して、例えば、1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部である。
本実施形態に係る樹脂組成物(X)における無機充填剤および有機充填剤の含有量は、樹脂(B)100質量部に対して、例えば、1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部である。
本実施形態に係る酸化防止層(Y)は、樹脂組成物(X)により形成されるものである。例えば、樹脂組成物(X)を基材に塗布し、その後重合することによって得ることができる。
また、本実施形態に係る酸化防止層(Y)を、Bステージ(半硬化)の樹脂繊維複合層(Q)上に積層し、加熱プレスして完全硬化させることによって本実施形態に係る積層体を得ることができる。
上記基材としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等を用いることができる。
重合温度は、例えば、30〜250℃であり、重合時間は、例えば、10秒間から1時間である。
重合後は、基材を剥離することにより、酸化防止層(Y)を得ることができる。
酸化防止層(Y)の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.5〜500μmであり、より好ましくは1〜60μmであり、さらに好ましくは5〜50μmである。
[金属張積層体]
本実施形態に係る積層体は、少なくとも一方の面に金属箔を積層して積層プレス等により加熱硬化することにより金属張積層体としてもよい。
金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、金箔、銀箔、ステンレス箔等が挙げられる。
本実施形態の金属張積層体を作製する方法は各種公知の方法が適用可能である。
例えば、本実施形態に係る積層体に対し、金属箔を積層し、必要に応じてプレス等により加熱硬化することにより金属張積層体を作製することができる。
本実施形態に係る金属張積層体は、本実施形態に係る積層体を用いるものであるため、プリント配線基板に好適な高周波領域での誘電特性および耐熱性を満足しながら熱安定性にも優れている。
そのため、本実施形態に係る金属張積層体は、プリント配線基板の絶縁層用材料として好適に使用することができる。
[プリント配線基板]
上述したように、本実施形態に係る積層体は、誘電特性、耐熱性および熱安定性の性能バランスに優れることから、プリント配線基板に好適に用いることができる。
プリント配線基板の製造方法としては一般的に公知の方法を採用でき特に限定されないが、例えば、前述の方法により製造した積層体を積層プレス等により加熱硬化し、絶縁層を形成する。次いで、得られた絶縁層に導体層を公知の方法で積層し、積層体を作製する。その後、該積層体中の導体層を回路加工等することにより、プリント配線基板を得ることができる。
導体層となる金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、ステンレス等の金属を用いることができる。導体層の形成方法としては、該金属類を箔等にして絶縁層に熱融着させる方法以外にも、接着剤を用いて張り合わせる方法、もしくはスパッタ、蒸着、めっき等の方法で積層して形成する方法で作製することができる。積層体の態様としては、片面板、両面板のいずれでもよい。
このようなプリント配線基板は、例えば、半導体素子等の電子部品を搭載することにより、電子機器として使用することができる。電子機器は公知の情報に基づいて作製することができる。
このような電子機器としては、例えば、サーバ、ルータ、スーパーコンピューター、メインフレーム、ワークステーション等のICTインフラ機器;GPSアンテナ、無線基地局用アンテナ、ミリ波アンテナ、RFIDアンテナ等のアンテナ類;携帯電話、スマートフォン、PHS、PDA、タブレット端末等の通信機器;パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、POS端末、ウェアラブル端末、デジタルメディアプレーヤー等のデジタル機器;電子制御システム装置、車載通信機器、カーナビゲーション機器、ミリ波レーダー、車載カメラモジュール等の車載電子機器;半導体試験装置、高周波計測装置等;が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明を合成例、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。
実施例および比較例によって得られた積層体は次に述べる方法で評価を行った。
(1)はんだ耐熱性
銅張積層体を288℃の半田槽中に20秒間浸漬し、その後、銅張積層体の状態を観察した。以下の基準で銅張積層体のはんだ耐熱性を評価した。
○:変形および膨れの両方が発生しなかった
×:変形および膨れの少なくとも一方が発生した
(2)誘電正接
円筒空洞共振器法により、12GHzにおける積層体の誘電正接を測定した。具体的には、ネットワーク・アナライザー(YHP社製の8510B)、シンセサイズドスイーパー(YHP社製の8340B)、テストセット(8515A)を用い、12GHzにおける積層体の誘電正接を測定した。
(3)熱安定性
積層体を温度200℃のオーブンに静置し、100時間後に取り出した。取り出した積層体の状態から熱安定性を評価した。
○:積層体に異常なし
×:積層体にクラックが入った
実験には以下の原材料を用いた。
遷移金属化合物(1):CpTiCl(N=CBu
J.Am.Chem.Soc.2000,122,5499−5509.に記載の方法により合成した。
MAO(日本アルキルアルミ株式会社製)
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(三井化学株式会社製)
ポリブタジエン(日本曹達社製、B−3000、Tg:−21℃)
架橋剤1:2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(東京化成工業株式会社製、1分半減期温度:330℃)
架橋剤2:ジクミルパーオキシド(日油社製、パークミルD、1分半減期温度:175℃)
(環状オレフィン共重合体(A))
環状オレフィン共重合体(A−1):1−オクテン(以下、C8とも呼ぶ。)とテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(以下、TDとも呼ぶ。)とからなる共重合体(C8/TD=34/66(モル比)、Tg:246℃)
環状オレフィン共重合体(A−2): 1−ヘキセン(以下、C6とも呼ぶ。)とテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(C6/TD=46/54(モル比)、Tg:220℃)
環状オレフィン共重合体(A−3): 1−ヘキセンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(C6/TD=65/35(モル比)、Tg:188℃)
環状オレフィン共重合体(A−4): 1−ヘキセンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(C6/TD=77/23(モル比)、Tg:151℃)
環状オレフィン共重合体(A−5):エチレンとビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンとからなる共重合体(製品名:トパス6013S−04、ポリプラスチック社製、Tg:138℃)
[合成例1:環状オレフィン共重合体(A−1)の合成]
十分に窒素置換したガラス製反応器にトルエン40mLを装入し、液相及び気相を30L/hの流量の窒素で飽和させた。続いて、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(TD)20.0mL、α−オレフィンとして1−オクテン5.5mL、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で10mmolを添加した。トルエンに溶解させた遷移金属化合物(1)0.010mmolを添加し、重合を開始した。25℃で15分間重合を継続した後、イソブチルアルコールを添加することで重合を停止した。反応物を0.5mLの濃塩酸を加えたアセトン/メタノール(それぞれ500ml)混合溶媒に投入してポリマーを全量析出し、撹拌後グラスフィルターでろ過した。ポリマーを130℃、10時間で減圧乾燥した後、TD/1−オクテン共重合体を得た。NMRにより決定したポリマー中のモノマー組成は、TD66mol%、1−オクテン34mol%、DSCで測定したガラス転移温度は246℃であった。
ここで、NMR分析法はMacromolecules 2016,49,59−70.に記載の方法に従った。
[合成例2:環状オレフィン共重合体(A−2)の合成]
α−オレフィンを1−ヘキセン14.0mLとした以外は、合成例1と同様の方法でTD/1−ヘキセン共重合体を合成した。NMRにより決定したポリマー中のモノマー組成は、TD54mol%、1−ヘキセン46mol%、DSCで測定したガラス転移温度は220℃であった。
[合成例3:環状オレフィン共重合体(A−3)の合成]
α−オレフィンを1−ヘキセン28.2mLとした以外は、合成例1と同様の方法でTD/1−ヘキセン共重合体を合成した。NMRにより決定したポリマー中のモノマー組成は、TD35mol%、1−ヘキセン65mol%、DSCで測定したガラス転移温度は188℃であった。
[合成例4:環状オレフィン共重合体(A−4)の合成]
α−オレフィンを1−ヘキセン55.0mLとした以外は、合成例1と同様の方法でTD/1−ヘキセン共重合体を合成した。NMRにより決定したポリマー中のモノマー組成は、TD23mol%、1−ヘキセン77mol%、DSCで測定したガラス転移温度は151℃であった。
(樹脂(B))
少なくとも1つのラジカル重合性基を有するポリフェニレンエーテル樹脂(B−1):以下の合成例5に従って合成した変性ポリフェニレンエーテル(Tg:158℃)
少なくとも1つのラジカル重合性基を有するポリフェニレンエーテル樹脂(B−2):ポリフェニレンエーテルの末端水酸基をメタクリル基で変性した変性ポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティブプラスチックス社製SA9000、Tg:160℃)
(密着性向上剤(C))
密着性向上剤(C−1):以下の合成例6に従って合成した。
(架橋助剤)
架橋助剤1:トリアリルイソシアヌレート
架橋助剤2:ジビニルベンゼン
[合成例5:ポリフェニレンエーテル樹脂(B−1)の合成]
国際公開第2014/203511号に記載の方法により合成した。具体的には、以下のとおりである。
まず、トルエン200gを装入したガラス製反応器に、ポリフェニレンエーテルオリゴマー(SABIC社製SA90)100g、クロロメチルスチレン15g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.6gを加え、撹拌しながら75℃に加熱し溶解させた。次いで50wt%の水酸化ナトリウム水溶液20gを滴下し75℃で4時間撹拌した。その後、塩酸で中和し、メタノールを投入して生成物を析出させた。析出した生成物を、メタノールと水を重量比80:20で混合した溶液で洗浄した後、80℃、減圧下で10時間乾燥させ、末端ビニル変性ポリフェニレンエーテル(数平均分子量Mn=2300)を得た。
[合成例6:密着性向上剤(C−1)の合成]
撹拌翼を備えた容量1.0Lのガラス製オートクレーブに、ポリスチレン/ポリブタジエン/ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(シェル化学社製、クレイトンG1652、数平均分子量:8.5×10、スチレン含量:30質量%)105g、および脱水トルエン340mlを入れ、165℃に加熱して溶解させた。続いて、無水マレイン酸3.46gを脱水トルエン40mlに溶解させた溶液、およびジ−t−ブチルパーオキサイド0.31gを脱水トルエン40mlに溶解させた溶液を調製し、両溶液を4時間かけて逐次滴下した。滴下終了後、165℃で2時間後反応を行った。
得られた変性共重合体の無水マレイン酸グラフト量を酸素分析により測定したところ、3.5質量%であった。
(樹脂組成物(P−1)〜(P−7)ワニスの調製)
まず、環状オレフィン共重合体(A−1)、密着性向上剤(C−1)、および架橋剤1を表1に記載の配合割合で(表中の数値は質量部を示す)、トルエンに添加し、混合することによりワニス状の樹脂組成物(P−1)を調製した。
樹脂組成物(P)の組成を表1に示す組成に変えた以外は、樹脂組成物(P−1)と同様にしてワニス状の樹脂組成物(P−2)〜(P−7)をそれぞれ調製した。
(樹脂繊維複合層(Q)の調製)
得られたワニス状の樹脂組成物(P−1)をガラスクロス(有沢製作所社製、1031NT S640)に含浸し、送風乾燥機中110℃で10分間乾燥することにより、厚さ0.1mmのプリプレグ(Q−1)を作製した。
ワニス状の樹脂組成物(P−1)の代わりにワニス状の樹脂組成物(P−2)〜(P−7)を用いた以外は、プリプレグ(Q−1)と同様にしてプリプレグ(Q−2)〜プリプレグ(Q−7)を得た。
(樹脂組成物(X−1)〜(X−3)の調製)
ポリフェニレンエーテル樹脂(B−1)、架橋助剤1、および架橋剤1を表2に記載の配合割合で(表中の数値は質量部を示す)、トルエンに添加し、混合することによりワニス状の樹脂組成物(X−1)を調製した。
樹脂組成物(X)の組成を表2に示す組成に変えた以外は、樹脂組成物(X−1)と同様にして樹脂組成物(X−2)〜(X−3)をそれぞれ得た。
(酸化防止層(Y−1)の作製)
樹脂組成物(X−1)をポリイミドフィルム上にダイコーターにより塗布し、次いで、110℃、5分の条件にて加熱を行い、溶剤を除去した後、ポリイミドフィルムを剥離して、厚さ12μmの酸化防止層(Y−1)を得た。
樹脂組成物(X−1)の代わりに樹脂組成物(X−2)〜(X−3)をそれぞれ用いた以外は、酸化防止層(Y−1)と同様にして酸化防止層(Y−2)〜(Y−3)をそれぞれ得た。
[実施例1]
(積層体の作製)
プリプレグ(Q−1)を2枚積層し、その両面を未硬化の厚さ12μmの酸化防止層(Y−1)で挟み、真空プレスにより、3MPaに加圧し、室温(25℃)から一定速度で昇温し、280℃で60分保持し、積層体を得た。得られた積層体に対し、誘電正接測定および熱安定性評価を実施した。得られた結果を表3に示す。
(銅張積層体の作製)
プリプレグ(Q−1)を2枚積層し、その両面を未硬化の厚さ12μmの酸化防止層(Y−1)で挟み、これをさらに厚み18μmの銅箔で挟み、真空プレスにより、3MPaに加圧し、室温(25℃)から一定速度で昇温し、280℃で60分保持し、銅張積層体を得た。得られた銅張積層体に対し、はんだ耐熱性評価を実施した。得られた結果を表3に示す。
[実施例2〜3および比較例1〜2]
層構成を表3に示す層構成に変えた以外は、実施例1と同様に積層体および銅張積層体をそれぞれ作製し、評価をそれぞれ実施した。
[実施例4]
層構成を表3に示す層構成に変え、真空プレスの条件を250℃で90分に変えた以外は、実施例1と同様に積層体および銅張積層体をそれぞれ作製し、評価をそれぞれ実施した。
[実施例5および比較例3〜4]
層構成を表3に示す層構成に変え、真空プレスの条件を200℃で120分に変えた以外は、実施例1と同様に積層体および銅張積層体をそれぞれ作製し、評価をそれぞれ実施した。
Figure 0006770854
Figure 0006770854
Figure 0006770854
表3からわかるように、実施例1〜5の積層体は、プリント配線基板の絶縁層に好適な高周波領域での誘電特性およびはんだ耐熱性を満足しながら熱安定性にも優れていることがわかった。
これに対し、酸化防止層(Y)を含まない比較例1および樹脂(B)を含まない酸化防止層を用いた比較例2の積層体は熱安定性に劣っていた。また、ガラス転移温度が150℃未満の環状オレフィン共重合体を用いた比較例3の積層体ははんだ耐熱性が劣っていた。さらに、ポリフェニレンエーテル樹脂を含む樹脂繊維複合層を用いた比較例4の積層体は誘電特性が劣っていた。

Claims (13)

  1. ガラス転移温度が150℃以上の環状オレフィン共重合体(A)を含む樹脂組成物(P)をシート状繊維基材に含浸させてなる樹脂繊維複合層(Q)と、
    主鎖に芳香族環を有する基本単位を含み、融点又はガラス転移温度が100℃以上250℃以下の樹脂(B)を含む酸化防止層(Y)と、
    を有する積層体であって、
    当該積層体の最外層の少なくとも一方が前記酸化防止層(Y)であり、
    前記環状オレフィン共重合体(A)中に含まれる繰り返し単位の合計を100モル%としたとき、
    下記一般式(V)で表される繰り返し単位、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位および下記一般式(VII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)の含有量が0.05モル%以下である積層体。
    Figure 0006770854
    (上記一般式(V)において、R 201 からR 206 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。)
    Figure 0006770854
    (上記一般式(VI)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R 61 〜R 76 ならびにR a1 およびR b1 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R 102 とR 103 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R 75 およびR 76 は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
    Figure 0006770854
    (上記一般式(VII)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R 61 〜R 76 ならびにR a1 およびR b1 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R 104 は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R 75 およびR 76 は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
  2. 請求項1に記載の積層体において、
    前記環状オレフィン共重合体(A)は、
    下記一般式(I)で表される少なくとも1種のα−オレフィン由来の繰り返し単位(a)と、
    下記一般式(II)で表される繰り返し単位、下記一般式(III)で表される繰り返し単位および下記一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、を含有する積層体。
    Figure 0006770854
    (上記一般式(I)において、R300は水素原子又は炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。)
    Figure 0006770854
    (上記一般式(II)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
    Figure 0006770854
    (上記一般式(III)において、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
    Figure 0006770854
    (上記一般式(IV)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)
  3. 請求項2に記載の積層体において、
    前記環状オレフィン共重合体(A)中の前記α−オレフィン由来の繰り返し単位(a)が、前記一般式(I)においてR300が炭素原子数2以上10以下の直鎖状の炭化水素基である繰り返し単位を含む積層体。
  4. 請求項2または3に記載の積層体において、
    前記環状オレフィン共重合体(A)中の前記環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)が、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンおよびテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンから選ばれる少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し単位である積層体。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層体において、
    前記樹脂(B)がポリフェニレンエーテル樹脂を含む積層体。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体において、
    前記樹脂(B)がラジカル重合性基を有する積層体。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の積層体において、
    前記樹脂組成物(P)が架橋剤をさらに含む積層体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の積層体において、
    前記樹脂繊維複合層(Q)および前記酸化防止層(Y)のうち少なくとも一方が密着性向上剤(C)を含む積層体。
  9. 請求項に記載の積層体において、
    前記密着性向上剤(C)がスチレン系エラストマー、変性ポリオレフィンおよび変性エラストマーからなる群から選択される一種または二種以上を含む積層体。
  10. 請求項またはに記載の積層体において、
    前記密着性向上剤(C)の含有量が、前記樹脂繊維複合層(Q)中の環状オレフィン共重合体(A)または前記酸化防止層(Y)中の前記樹脂(B)を100質量部としたとき、1質量部以上10質量部以下である積層体。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の積層体と、前記積層体の少なくとも一方の面に積層された金属箔と、を備える金属張積層体。
  12. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の積層体と、前記積層体上に設けられた導体層とを備えるプリント配線基板。
  13. 請求項12に記載のプリント配線基板を備えた電子機器。
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