JP2018037525A - プリント配線基板および電子機器 - Google Patents

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Takashi Oikawa
隆 及川
森田 淳
Atsushi Morita
淳 森田
裕彦 村瀬
Hirohiko Murase
裕彦 村瀬
斎藤 純治
Junji Saito
純治 斎藤
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Abstract

【課題】高周波領域での誘電特性および信頼性に優れたプリント配線基板を提供する。【解決手段】本発明のプリント配線基板は、環状オレフィン共重合体(A)を含む樹脂組成物(P)とシート状繊維基材とを含むプリプレグにより形成された絶縁層と、上記絶縁層上に設けられた導体層と、を備え、上記絶縁層の誘電正接が0.0030以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線基板および電子機器に関する。
昨今、高周波帯域を使用する無線通信機器等の増加に加え、通信速度の高速化によって、必然的に高い帯域の周波数帯が用いられることが多くなってきた。これに伴い、高周波における伝送ロスを極限まで軽減するために誘電正接が小さいプリント配線基板が求められている。
また、プリント配線基板の要求特性はさらに高まっており、信頼性と誘電特性を兼ね備えたプリント配線基板が求められている。
ここで、高周波帯域を使用する場合、誘電体の内部空間では、比誘電率εの1/2乗に反比例して波長λが短縮され、速度も同様に遅くなる。したがって、プリント配線基板を高周波の信号電送用配線として使用する用途、例えば、スーパーコンピューター用の基板等の場合には、プリント配線基板の低誘電率化が特に求められる。
このようなプリント配線基板に用いる絶縁性樹脂材料としては、例えば、特許文献1に記載された環状オレフィン共重合体を含む樹脂組成物が挙げられる。
特許文献1(国際公開第2012/046443号)には、架橋性基を有する環状オレフィン共重合体が記載されている。特許文献1には、この環状オレフィン共重合体の架橋体は、誘電特性の経時安定性に優れ、かつ、耐熱性、透明性、機械的特性等にも優れるので、高周波回路基板等の高周波用途に好適に用いることができると記載されている。
国際公開第2012/046443号
上記背景技術の項で述べたように、近年、プリント配線基板の要求特性はさらに高まっており、プリント配線基板の誘電特性および信頼性のさらなる向上が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高周波領域での誘電特性および信頼性に優れたプリント配線基板を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、プリント配線基板用絶縁層に対して、環状オレフィン共重合体を含ませることにより、プリント配線基板の高周波領域での誘電特性および信頼性を高いレベルで向上できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下に示すとおりである。
[1]
環状オレフィン共重合体(A)を含む樹脂組成物(P)とシート状繊維基材とを含むプリプレグにより形成された絶縁層と、上記絶縁層上に設けられた導体層と、を備えるプリント配線基板であって、
上記絶縁層の誘電正接が0.0030以下であるプリント配線基板。
[2]
上記[1]に記載のプリント配線基板を備えた電子機器。
[3]
上記[2]に記載の電子機器において、
スーパーコンピューター、メインフレーム、サーバー、およびルーターからなる群から選択される電子機器。
本発明によれば、高周波領域での誘電特性および信頼性に優れたプリント配線基板を提供することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本実施形態では、数値範囲を示す「A〜B」はとくに断りがなければ、A以上B以下を表す。
[プリント配線基板]
まず、本発明に係る実施形態のプリント配線基板について説明する。
本実施形態に係るプリント配線基板は、環状オレフィン共重合体(A)を含む樹脂組成物(P)とシート状繊維基材とを含むプリプレグにより形成された絶縁層と、上記絶縁層上に設けられた導体層と、を備え、上記絶縁層の誘電正接が0.0030以下であり、好ましくは0.0025以下であり、より好ましくは0.0022以下である。上記絶縁層の誘電正接が上記上限値以下であると、交流電圧を加えた際の伝送損失が小さく、高周波用のプリント配線基板に適するため好ましい。
本実施形態に係るプリント配線基板によれば、環状オレフィン共重合体(A)を含む樹脂組成物(P)により形成された絶縁層を備えることにより高周波領域での誘電特性および信頼性を良好にすることができる。
プリント配線基板の製造方法としては一般的に公知の方法を採用でき特に限定されないが、例えば、後述の方法により製造したプリプレグを積層プレス等により加熱硬化し、絶縁層を形成する。次いで、得られた絶縁層に導体層を公知の方法で積層し、積層板を作製する。その後、該積層板中の導体層を回路加工等することにより、プリント配線基板を得ることができる。
導体層となる金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、ステンレス等の金属を用いることができる。導体層の形成方法としては、該金属類を箔等にして絶縁層に熱融着させる方法以外にも、接着剤を用いて張り合わせる方法、もしくはスパッタ、蒸着、めっき等の方法で積層して形成する方法で作製することができる。プリント配線基板の態様としては、片面板、両面板のいずれでもよい。
このようなプリント配線基板は、例えば、半導体素子等の電子部品を搭載することにより、電子機器として使用することができる。電子機器は公知の情報に基づいて作製することができる。
本実施形態に係るプリント配線基板は高周波領域での誘電特性および信頼性に優れているため、高周波帯域を使用する電子機器に好適に用いることができる。
このような高周波帯域を使用する電子機器としては、スーパーコンピューター、メインフレーム、サーバー、およびルーターが好ましい。
[樹脂組成物(P)]
つぎに、本実施形態に係る実施形態の樹脂組成物(P)について説明する。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は環状オレフィン共重合体(A)を含み、必要に応じて後述の環状オレフィン重合体(n)や極性基含有環状オレフィン重合体(X)、架橋剤(B)、架橋助剤(C)、その他の成分を含む。
また、本実施形態に係る樹脂組成物(P)中の環状オレフィン共重合体(A)の含有量は、得られるプリント配線基板の高周波領域での誘電特性および信頼性の性能バランスをより向上させる観点から、当該樹脂組成物(P)の全体を100質量%としたとき、好ましくは20質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上97質量%以下である。
以下、各成分について具体的に説明する。
<環状オレフィン共重合体(A)>
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)は、低誘電率の環状オレフィン共重合体であれば特に限定はされないが、例えば、後述の環状オレフィン共重合体(A1)および側鎖部分に架橋性二重結合を有する環状オレフィン共重合体(A2)(ただし、環状オレフィン共重合体(A1)を除く)から選択される少なくとも一種を含む。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)の、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は、例えば、0.01〜1dl/gであり、好ましくは0.05〜0.7dl/gであり、より好ましくは0.1〜0.5dl/gである。極限粘度[η]が上記上限値以下であると、成形性が向上する。また、極限粘度[η]が上記下限値以上であると、得られる絶縁層の耐熱性や機械的特性が向上する。
なお、環状オレフィン共重合体(A)の極限粘度[η]は、重合触媒、助触媒、H添加量、重合温度等の重合条件により制御することが可能である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A)は、例えば、国際公開第2012/046443号の段落0075〜0219に記載の環状オレフィン(共)重合体の製造方法や国際公開第2006/118261号の段落0095〜0234に記載の環状オレフィン(共)重合体の製造方法にしたがって製造することができる。ここでは詳細は省略する。
(環状オレフィン共重合体(A1))
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A1)は環状オレフィンに由来する繰り返し単位を必須構成単位とする共重合体である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A1)を構成する環状オレフィン化合物は特に限定はされないが、例えば、国際公開第2006/0118261号の段落0037〜0063に記載の環状オレフィンモノマーを挙げることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A1)は、下記一般式(I)で表される少なくとも1種のα−オレフィン由来の繰り返し単位(a)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位、下記一般式(III)で表される繰り返し単位および下記一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、を含有するものが好ましい。
また、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A1)は、得られる樹脂組成物(P)の加工性、はんだ耐熱性、誘電特性およびシート状繊維基材への含浸性をさらに向上させる観点から、下記一般式(I)で表される少なくとも1種のα−オレフィン由来の繰り返し単位(a)と、下記一般式(II)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、を含むことがより好ましい。
ただし、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A1)は、環状オレフィン共重合体(A1)中に含まれる繰り返し単位の合計を100モル%としたとき、下記一般式(V)で表される繰り返し単位、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位および下記一般式(VII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)の含有量が、環状オレフィン共重合体(A1)のガラス転移温度を向上させる観点から、例えば、0.05モル%以下であり、好ましくは0.01モル%以下である。
Figure 2018037525
上記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。環状オレフィン共重合体(A1)のガラス転移温度を向上させ、得られる絶縁層の耐熱性をより向上させる観点から、R300は炭素原子数2以上10以下の直鎖状または分岐状の炭化水素基が好ましく、炭素原子数2以上10以下の直鎖状の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数4以上10以下の直鎖状の炭化水素基がさらに好ましい。
Figure 2018037525
上記一般式(II)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2018037525
上記一般式(III)において、xおよびdは0または1以上の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
Figure 2018037525
上記一般式(IV)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。
Figure 2018037525
上記一般式(V)において、R201からR206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。
Figure 2018037525
上記一般式(VI)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2018037525
上記一般式(VII)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
(オレフィンモノマー)
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A1)の共重合原料の一つであるオレフィンモノマーは付加共重合して上記一般式(I)で表される構成単位を形成するものである。具体的には上記一般式(I)に対応する下記一般式(Ia)で表されたオレフィンモノマーが用いられる。
Figure 2018037525
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A1)において、上記一般式(Ia)におけるR300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。環状オレフィン共重合体(A1)のガラス転移温度を向上させ、得られる絶縁層の耐熱性をより向上させる観点から、R300は炭素原子数2以上10以下の直鎖状または分岐状の炭化水素基が好ましく、炭素原子数2以上10以下の直鎖状の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数4以上10以下の直鎖状の炭化水素基がさらに好ましい。
具体的には、R300が炭素原子数2以上10以下の直鎖状または分岐状の炭化水素基である上記一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマーとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。中でも、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンが好ましい。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A1)は、環状オレフィン共重合体(A1)中に含まれる繰り返し単位の合計を100モル%としたとき、α−オレフィン由来の繰り返し単位(a)の割合が、好ましくは10モル%以上90モル%以下、より好ましくは15モル%以上85モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上80モル%以下である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A1)の共重合原料の一つである環状オレフィンモノマー(b)は付加共重合して上記一般式(II)、上記一般式(III)または上記一般式(IV)で表される環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)を形成するものである。具体的には、上記一般式(II)、上記一般式(III)、および上記一般式(IV)にそれぞれ対応する一般式(IIa)、(IIIa)、および(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)が用いられる。
Figure 2018037525
上記一般式(IIa)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2018037525
上記一般式(IIIa)において、xおよびdは0または1以上の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
Figure 2018037525
上記一般式(IVa)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。
共重合成分として、上述した一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマー、一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)を用いることにより、環状オレフィン共重合体(A1)の溶媒への溶解性がより向上するため成形性が良好となり、製品の歩留まりが向上する。
一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)の具体例については国際公開第2006/0118261号の段落0037〜0063に記載の化合物を用いることができる。
具体的には、ビシクロ−2−ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素数3〜20のシクロアルキレン誘導体が挙げられる。
一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)の中でも、一般式(IIa)で表される環状オレフィンが好ましい。
上記一般式(IIa)で表される環状オレフィンモノマー(b)として、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネンとも呼ぶ。)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)を用いることが好ましく、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンを用いることがより好ましい。これらの環状オレフィンは剛直な環構造を有するため共重合体および絶縁層の弾性率が保持され易く、また異種二重結合構造を含まないため架橋の制御をし易くなる利点がある。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A1)は、環状オレフィン共重合体(A1)中に含まれる繰り返し単位の合計を100モル%としたとき、環状オレフィンモノマー(b)由来の繰り返し単位(b)の割合が、好ましくは10モル%以上90モル%以下、より好ましくは15モル%以上85モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上80モル%以下である。
(環状オレフィン共重合体(A2))
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)は、上記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の繰り返し単位(a)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位、上記一般式(III)で表される繰り返し単位および上記一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、上記一般式(V)で表される繰り返し単位、上記一般式(VI)で表される繰り返し単位および上記一般式(VII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)と、を含有する。
また、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)は、得られる積層板やプリプレグ、絶縁層の耐熱性(特にはんだ耐熱性)、誘電特性およびシート状繊維基材への含浸性をさらに向上させる観点から、上記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の繰り返し単位(a)と、上記一般式(II)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、上記一般式(VII)で表される少なくとも1種の非共役ジエン系環状オレフィン由来の繰り返し単位(c)と、を含むことがより好ましい。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)の共重合原料の一つであるオレフィンモノマーは付加共重合して上記一般式(I)で表される構成単位を形成するものである。具体的には上記一般式(I)に対応する上記一般式(Ia)で表されたオレフィンモノマーが用いられる。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)において、上記一般式(Ia)におけるR300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。具体的には、上記一般式(Ia)で表されたオレフィンモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。より優れた耐熱性、機械的特性、誘電特性、および透明性を有する絶縁層を得る観点から、これらのなかでも、エチレンとプロピレンが好ましく、エチレンが特に好ましい。上記一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマーは2種類以上を用いてもよい。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)中に含まれる、オレフィンモノマー由来の繰り返し単位(a)と、環状オレフィンモノマー(b)由来の繰り返し単位(b)と、側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の繰り返し単位(c)との合計モル数を100モル%としたとき、オレフィン由来の繰り返し単位(a)の割合が、好ましくは40モル%以上90モル%以下、より好ましくは45モル%以上85モル%以下、さらに好ましくは50モル%以上80モル%以下である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)の共重合原料の一つである環状オレフィンモノマー(b)は付加共重合して上記一般式(II)、上記一般式(III)または上記一般式(IV)で表される環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)を形成するものである。具体的には、上記一般式(II)、上記一般式(III)、および上記一般式(IV)にそれぞれ対応する上記一般式(IIa)、(IIIa)、および(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)が用いられる。
共重合成分として、上述した一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマー、一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)を用いることにより、環状オレフィン共重合体(A2)の溶媒への溶解性がより向上するため成形性が良好となり、製品の歩留まりが向上する。
一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)の具体例については国際公開第2006/0118261号の段落0037〜0063に記載の化合物を用いることができる。
具体的には、ビシクロ−2−ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素数3〜20のシクロアルキレン誘導体が挙げられる。
一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンモノマー(b)の中でも、一般式(IIa)で表される環状オレフィンが好ましい。
上記一般式(IIa)で表される環状オレフィンモノマー(b)として、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネンとも呼ぶ。)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)を用いることが好ましく、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンを用いることがより好ましい。これらの環状オレフィンは剛直な環構造を有するため共重合体および絶縁層の弾性率が保持され易く、また異種二重結合構造を含まないため架橋の制御をし易くなる利点がある。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)中に含まれる、オレフィンモノマー由来の繰り返し単位(a)と環状オレフィンモノマー(b)由来の繰り返し単位(b)と側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の繰り返し単位(c)との合計モル数を100モル%としたとき、環状オレフィンモノマー(b)由来の繰り返し単位(b)の割合が、好ましくは1モル%以上50モル%以下、より好ましくは3モル%以上45モル%以下、さらに好ましくは5モル%以上40モル%以下である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)の共重合原料の一つである側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)は付加共重合して上記一般式(V)、上記一般式(VI)、または上記一般式(VII)の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)を形成するものである。具体的には、上記一般式(V)、上記一般式(VI)、上記一般式(VII)にそれぞれ対応する一般式(Va)、(VIa)、(VIIa)で表される側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)が用いられる。
Figure 2018037525
上記一般式(Va)において、R201からR206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。
上記一般式(Va)で表される直鎖状ポリエンとして、特に限定されるものではないが、例えば、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、DMDT、1,3−ブタジエン,1,5−ヘキサジエン等が挙げられる。また1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン等のポリエンから環化した環化性のポリエンを用いてもよい。
Figure 2018037525
上記一般式(VIa)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
上記一般式(VIa)で表される側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)としては、特に限定されるものではないが、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−n−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−6−メチル−2−ノルボルネン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。このうち5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
Figure 2018037525
上記一般式(VIIa)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
上記一般式(VIIa)で表される側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記化学式で表される側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)を挙げることができる。これらのうち5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネンが特に好ましい。
Figure 2018037525
Figure 2018037525
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)は、上記側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の繰り返し単位(c)を含むことによって、側鎖部分、すなわち共重合の主鎖以外の部分に二重結合を有することできる。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)中に含まれる、上記オレフィンモノマー由来の繰り返し単位(a)と、上記環状オレフィンモノマー(b)由来の繰り返し単位(b)と、上記側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の繰り返し単位(c)との合計モル数を100モル%としたとき、側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の繰り返し単位(c)の割合が、好ましくは1モル%以上50モル%以下、より好ましくは3モル%以上45モル%以下、さらに好ましくは5モル%以上40モル%以下である。
特に、上記側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の繰り返し単位(c)の割合が上記範囲内であると、得られる絶縁層は、誘電特性の経時的安定性がより一層優れるとともに耐熱性にも優れる。さらに、機械特性、誘電特性、および透明性にも優れた絶縁層を得ることができる。言い換えればこれらの物性のバランスに優れた絶縁層を得ることができる。
側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の構成単位(c)の割合を上記上限値以下とすることにより、環状オレフィン共重合体(A)の成形性や溶解性を向上させつつ、絶縁層の誘電特性の経時的安定性をより一層向上させることができる。また、側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)由来の構成単位(c)の割合を上記下限値以上とすることにより、絶縁層の耐熱性、機械的特性をより一層向上させることができる。
繰り返し単位(c)あたりの二重結合の数は用途により適宜設定することができるが、その由来となる側鎖部分に架橋性二重結合を有するモノマー(c)としては、反応制御等の観点から5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ジシクロペンタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のジエン化合物が好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ジシクロペンタジエンがより好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンがさらに好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネンが特に好ましい。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)は目的とする用途に応じて、モノマーの仕込み比により、そのコモノマー含有量、およびガラス転移温度(Tg)をコントロールできる。本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(A2)のTgは、通常は50℃以上300℃以下であり、好ましくは60℃以上250℃以下であり、特に好ましくは70℃以上200℃以下である。Tgが上記上限値以下であると、環状オレフィン共重合体(A2)の成形性をより一層向上させることができる。また、Tgが上記下限値以上であると、得られる絶縁層の耐熱性や機械的特性が向上する。
<環状オレフィン重合体(n)>
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、環状オレフィン共重合体(A)とは異なる環状オレフィン重合体(n)をさらに含んでもよい。具体的には、環状オレフィン重合体(n)は、エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体(n1)および環状オレフィンの開環重合体(n2)から選択される少なくとも一種を含む。本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、環状オレフィン重合体(n)を含むことにより、得られる絶縁層の誘電特性をより一層良好なものとすることができる。
ここで、上記共重合体(n1)は上記一般式(V)で表される繰り返し単位、上記一般式(VI)で表される繰り返し単位および上記一般式(VII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)を含まない。本実施形態において、上記共重合体(n1)が非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)を含まないとは、上記共重合体(n1)中の繰り返し単位の合計モル数を100モル%とした場合に、非共役ジエン系オレフィン由来の繰り返し単位(c)の含有量が0.05モル%以下であることを意味する。
エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体(n1)としては、例えば、国際公開第2008/047468号の段落0030〜0123に記載の重合体を用いることができる。
例えば、繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体(以下、単に「脂環族構造を有する重合体」ともいう)であり、重合体の繰り返し単位の少なくとも一部に脂環族構造を有するものであればよく、具体的には下記一般式(3)で表される1種ないし2種以上の構造を有する重合体を含むことが好ましい。
Figure 2018037525
(式(3)中、x、yは共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。x、yはモル基準である。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
は、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COOR(Rは、水素原子、または炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。
、R、RおよびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。)
また上記一般式(3)において、Rは、好ましくは、炭素原子数2〜12の炭化水素基から選ばれる1種ないし2種以上の2価の基であり、さらに好ましくはn=0の場合、下記一般式(7)で表される2価の基であり、最も好ましくは、下記一般式(7)において、pが0または1である2価の基である。Rの構造は1種のみ用いても、2種以上を併用しても構わない。
Figure 2018037525
ここで、式(7)中、pは、0〜2の整数である。
また、エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体(n1)としては、下記一般式(4)で表現される環状オレフィン系共重合体である。例えば、エチレンまたは炭素原子数が3〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン由来の構成単位(A)と、環状オレフィン由来の構成単位(B)とからなる。
Figure 2018037525
(式(4)中、Rは、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2価の基である。
は、水素原子、または炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
およびRは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
x、yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5を満たす実数である。好ましくは50/50≦y/x≦95/5、さらに好ましくは、55/45≦y/x≦80/20である。x、yはモル基準である。
エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体(n1)は、エチレンおよび環状オレフィンからなる共重合体が好ましく、環状オレフィンがビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン、シクロペンタジエン−ベンザイン付加物およびシクロペンタジエン−アセナフチレン付加物からなる群から選ばれる一種または二種以上であるものが好ましく、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンおよびテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンから選択される少なくとも一種であるものがより好ましい。
エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体(n1)としては、上記一般式(3)で表される1種ないし2種以上の構造を有する重合体または上記一般式(4)で表現される環状オレフィン系共重合体が水素添加処理された重合体であってもよい。
また、環状オレフィン重合体(n)としては、環状オレフィンの開環重合体(n2)を用いることができる。
環状オレフィンの開環重合体(n2)としては、例えば、ノルボルネン系単量体の開環重合体およびノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体、ならびにこれらの水素化物等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)およびその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)およびその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)およびその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(慣用名:テトラシクロドデセン)およびその誘導体、等が挙げられる。
これらの誘導体の環に置換される置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基等が挙げられる。なお、置換基は、1個または2個以上を有することができる。このような環に置換基を有する誘導体としては、例えば、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等が挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、またはノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体は、単量体成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。
開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウム等の金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒;チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒;等を用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環の環状オレフィン系単量体等を挙げることができる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物や、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体の水素化物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
本実施形態において環状オレフィン重合体(n)は1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<極性基含有環状オレフィン重合体(X)>
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、プリント配線基板における絶縁層と導体層との密着性をより良好にし、プリント配線基板の信頼性をより向上させる観点から、極性基含有環状オレフィン重合体(X)をさらに含んでもよい。極性基含有環状オレフィン重合体(X)は、例えば、環状オレフィン重合体(n)を極性基により変性した変性体である。このような極性基含有環状オレフィン重合体(X)としては、例えば、極性基を有する単量体を環状オレフィン重合体(n)にグラフトまたはグラフト重合させた共重合体、環状オレフィンと極性基を有する単量体との共重合体等が挙げられる。
これらの中でも極性基含有環状オレフィン重合体(X)としては、極性基を有する単量体を環状オレフィン重合体(n)にグラフトさせた共重合体が好ましい。ここで、「グラフト」とは、主鎖である幹ポリマーに、極性基を有する化合物を導入することをいう。「グラフト重合させた」とは、主鎖である幹ポリマーに、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することをいう。
極性基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、アミド基、エステル基、酸無水物等が挙げられる。これらは単独または2種以上の組み合わせで用いられる。これらの中でも、得られる架橋体の機械的強度をより一層向上できる観点から、カルボキシル基および酸無水物から選択される少なくとも一種が好ましい。
このような極性基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オキサゾリン等が挙げられる。上記化合物は、単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。
極性基含有環状オレフィン重合体(X)中の極性基の含有量は、極性基含有環状オレフィン重合体(X)の全体を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
<架橋剤(B)>
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は架橋剤(B)を含むことが好ましい。これにより、得られる絶縁層のはんだ耐熱性を向上させることができる。
架橋剤(B)としては、例えば、ラジカル重合開始剤等が挙げられる。ラジカル重合開始剤による硬化は、ポリオレフィンで適用されている通常のラジカル重合開始剤による硬化方法をそのまま適用できる。すなわち樹脂組成物(P)にジクミルパーオキシドのようなラジカル重合開始剤を配合し、加熱、硬化する。
上記ラジカル重合開始剤としては、公知の熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤およびこれらを併用することができる。これらのラジカル重合開始剤のうち、熱ラジカル重合開始剤を使用する場合は、保存安定性の観点から10時間半減期温度が通常80℃以上、好ましくは120℃以上のものである。このような開始剤として、例えば、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)2,5−ジメチルヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキシド、イソプロピルクミル−t−ブチルパーオキシド、ビス(α−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、エチル−3,3−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル−1,2,4,5−テトラオキシシクロノナン等のパーオキシケタール類;ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル類;t−ブチルハイドロパーオキシド、t−ヘキシルハイドロパーオキシド、クミンハイドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類;2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等のビベンジル化合物類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、イソプロピルチオキサントンおよびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
また、これらの光ラジカル重合開始剤とともに増感剤を使用することもできる。増感剤の例としては、アントラキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン,ベンズアントロン、p,p'−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、クロラニル等のカルボニル化合物、ニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン、2−ニトロフルオレン等のニトロ化合物、アントラセン、クリセン等の芳香族炭化水素、ジフェニルジスルフィド等の硫黄化合物、ニトロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、5−ニトロ−2−アミノトルエン、テトラシアノエチレン等の窒素化合物等を挙げることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)をラジカル開始剤硬化する場合、硬化する温度は、例えば、150〜350℃、好ましくは180〜320℃、さらに好ましくは200〜300℃の温度で行い、温度を段階的に変化させて硬化を行ってもよい。上記下限値以上であると、硬化を十分に進行させることができる。また、上記上限値以下であると、得られる絶縁層の着色が抑制できたり、プロセスを簡略化できたりする。
<架橋助剤(C)>
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、架橋反応を促進させる観点や得られる絶縁層のはんだ耐熱性をさらに向上させる観点から、炭素−炭素不飽和結合を有する架橋助剤(C)をさらに含むことが好ましい。
架橋助剤(C)としては特に制限はないが、例えば、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、及びo−ジイソプロペニルベンゼン等のイソプロペニル基を2以上有する多官能性化合物;エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレート、及びペンタエリトリトールトリメタクリレート等のメタクリル基を2以上有する多官能性化合物;ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルピリジン等のビニルモノマー類;ヘキサメチレンジアリルナジイミド、ジアリルイソフタレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメリット酸トリアリル等のアリル化合物類;N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、N,N'−(4,4'−メチレンジフェニレン)ジマレイミド等のマレイミド化合物類;ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン類;ポリブタジエン等が挙げられる。これらの架橋助剤(C)は単独で用いてもよいし、組み合わせて使用することもできる。
これらの中でも、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメリット酸トリアリル等のイソシアヌレート類;ジビニルベンゼン;ポリブタジエンがより好ましい。
本実施形態に係るポリブタジエンとしては特に限定はされないが、例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、末端アクリレート変性ポリブタジエン、末端ウレタンメタクリレート変性ポリブタジエン等が挙げられる。
架橋助剤(C)は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本実施形態に係る樹脂組成物(P)における架橋助剤(C)の含有量は、環状オレフィン共重合体(A)100質量部に対して、例えば、0.1〜100質量部、好ましくは0.5〜50質量部、より好ましくは1〜30質量部である。
<その他の成分>
本実施形態に係る樹脂組成物(P)には、必要に応じて、難燃剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機充填剤、無機充填剤、環状オレフィン共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂等を本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。任意成分として配合される安定剤として、具体的には、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′−オキザミドビス〔エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)〕プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらは単独で配合してもよいし、組合せて配合してもよく、例えば、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンとステアリン酸亜鉛およびグリセリンモノステアレートとの組合せ等を例示できる。
難燃剤としては特に限定されないが、例えば、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、塩素化ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、高塩素化ポリプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールS、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン)、ペンタブロモトルエン等のハロゲン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物系難燃剤;ジメチルホスフィン酸アルミニウム等の含リン難燃剤;含窒素難燃剤;三酸化アンチモン等のアンチモン化合物等の非ハロゲン系難燃剤;等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)における難燃剤の含有量は、環状オレフィン共重合体(A)100質量部に対して、例えば、1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部である。
無機充填剤としては特に限定されないが、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物系充填剤;シリカバルーン、アルミナ、酸化鉄、酸化スズ、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカ)等の金属酸化物系充填剤;塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の金属塩化物系充填剤;硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム等の金属硫酸塩系充填剤;硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム等の金属硝酸塩系充填剤;リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の金属リン酸塩系充填剤;チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の金属チタン酸塩系充填剤;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の金属炭酸塩系充填剤;炭化硼素、炭化ケイ素等の炭化物系充填剤;窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物系充填剤;アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、銅、亜鉛、鉄、金、銀、鉛、タングステン等の金属粒子系充填剤;タルク、クレー、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーンマイカ、カオリン、フライアッシュ等のケイ酸塩系充填剤;ガラス粉末;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;等が挙げられる。
有機充填剤としては特に限定されないが、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、廃プラスチック等の化合物粒子が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)における無機充填剤および有機充填剤の含有量は、環状オレフィン共重合体(A)100質量部に対して、例えば、1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部である。
<樹脂組成物(P)の調製方法>
本実施形態に係る樹脂組成物(P)の調製方法は、環状オレフィン共重合体(A)と、必要に応じてその他の成分と、を混合することにより調製できる。混合方法としては、押出機等で溶融ブレンドする方法、または適当な溶媒、例えばヘプタン、ヘキサン、デカン、シクロヘキサンのような飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素等に溶解または分散させて行う溶液ブレンド法等を採用することができる。
[ワニス]
本実施形態に係る樹脂組成物(P)は、溶媒と混合することによりワニスとすることができる。上記ワニスを調製するための溶媒としては、環状オレフィン共重合体(A)に対して溶解性または親和性を損なわないものであれば特に限定されない。溶媒として好ましく用いられるものは、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。より好ましくはトルエン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレンである。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態において、ワニスの調製は、いかなる方法で実施してもよいが、通常は樹脂組成物(P)と溶媒とを混合する工程を含む。各成分の混合については、その順序に制限はなく、一括または分割等のいかなる方式でも実施することができる。ワニスを調製する装置としても制限はなく、撹拌および混合が可能な、バッチ式、もしくは連続式の装置を用いることができる。ワニスを調製する際の温度は、室温から溶媒の沸点までの範囲で任意に選択することができる。
[プリプレグ]
本実施形態に係るプリプレグは、本実施形態に係る樹脂組成物(P)とシート状繊維基材とを複合して形成されたものである。
プリプレグの製造方法としては特に限定されず、各種公知の方法が適用可能である。例えば、上述したワニスをシート状繊維基材に含浸し含浸体を得る工程と、得られた含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程とを含む方法が挙げられる。
上記ワニスのシート状繊維基材への含浸は、例えば、所定量のワニスを、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法によりシート状繊維基材に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラー等で押圧することにより行うことができる。
また、上記含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程は特に限定されないが、例えば、バッチ式で送風乾燥機により空気中あるいは窒素中で乾燥する、あるいは、連続工程で加熱炉を通すことによって乾燥する、等の方法を挙げることができる。
本実施形態においては、ワニスをシート状繊維基材に含浸させた後、得られた含浸体を所定温度に加熱することにより、上記ワニスに含まれる溶媒が蒸発し、プリプレグが得られる。
本実施形態に係るシート状繊維基材を構成する繊維としては特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維等の有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維等の無機繊維:等を挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、Hガラス、Tガラス等の繊維が好適に用いることができる。
シート状繊維基材へのワニスの含浸は、例えば、浸漬および塗布によって実施される。含浸は必要に応じて複数回繰り返してもよい。
これらのシート状繊維基材は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は所望により適宜選択されるが、例えば、プリプレグ中の10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%の範囲である。この範囲にあれば、得られる絶縁層の誘電特性と機械強度が高度にバランスされ、好適である。
本実施形態に係るプリプレグの厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、0.001〜10mmであり、好ましくは0.005〜1mmであり、より好ましくは0.01〜0.5mmである。この範囲にあれば、積層時の賦形性、また、硬化して得られる絶縁層の機械強度や靭性等の特性が充分に発揮され好適である。
[金属張積層板]
本実施形態に係るプリプレグは、少なくとも一方の面に金属箔を積層して積層プレス等により加熱硬化することにより金属張積層板としてもよい。
金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、金箔、銀箔、ステンレス箔等が挙げられる。
本実施形態の金属張積層板を作製する方法は各種公知の方法が適用可能である。
例えば、本実施形態に係るプリプレグに対し、金属箔を積層し、必要に応じてプレス等により加熱硬化することにより金属張積層板を作製することができる。
本実施形態に係る金属張積層板は、本実施形態に係る樹脂組成物(P)を用いるものであるため、プリント配線基板に好適な高周波領域での誘電特性を満足しながら、はんだ耐熱性にも優れている。
そのため、本実施形態に係る金属張積層板は、プリント配線基板の絶縁層用材料として好適に使用することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明を合成例、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。
実施例および比較例で用いた環状オレフィン共重合体(A)の組成および極限粘度[η]は、次に述べる方法でそれぞれ測定した。
組成;H−NMR測定を行い、二重結合炭素に直接結合している水素由来のピークとそれ以外の水素のピークの強度により環状非共役ジエン含量を算出した。
極限粘度[η];135℃デカリン中で測定した。
実施例および比較例によって得られたプリプレグおよび銅張積層板は次に述べる方法で評価を行った。
<プリプレグの評価>
(樹脂流れ性)
JIS C6521法に準じ、以下の方法にてプリプレグの樹脂流れ性を評価した。
試験片としてプリプレグを用いた。試験片を100±5mm角に切断後、総量20gとなるように秤量した。次いで、170℃に設定したプレス機に試験片を入れ、1.35±0.15MPaの圧力で20分間加圧した。その後、流れ出た樹脂を取り除き、再び試験片を秤量した。
以下の式により、プリプレグの樹脂流れを算出した。
樹脂流れ(%)=(a−b)/a×100
ここで、aはプレス前の試験片の質量、bはプレス後の試験片の質量である。
以下の基準でプリプレグの樹脂流れ性を評価した。
◎:樹脂流れが20%以上
○:樹脂流れが10%以上20%未満
×:樹脂流れが10%未満
<積層板および銅張積層板の評価>
(誘電正接および誘電率の評価)
円筒空洞共振器法により、12GHzにおける積層板の誘電正接および誘電率を測定した。具体的には、ネットワーク・アナライザー(YHP社製の8510B)を用い、12GHzにおける積層板の誘電正接および誘電率をそれぞれ測定した。以下の基準で積層板の誘電正接および誘電率を評価した。
◎ :誘電正接が0.0022以下
○ :誘電正接が0.0022超過0.0030以下
× :誘電正接が0.0030超過0.0050以下
××:誘電正接が0.0050超過
◎ :誘電率が3.0以下
○ :誘電率が3.0超過3.3以下
× :誘電率が3.3超過3.8以下
××:誘電率が3.8超過
(銅箔密着性)
JIS C6481に基づいて、銅張積層板から銅箔を剥離し、その時の引き剥がし強度を測定した。
強度が0.6kN/m以上となるものを◎、0.4kN/mm以上0.6kN/m未満となるものを○、0.4kN/mm未満のものを×とした。
(基板反り性)
試験片として銅張積層板を用い、鉛フリー半田リフロー処理後の基板反り性を評価した。
反りは、水平面からのプラス方向の反りとマイナス方向の反りとの反り幅で規定し、以下の基準で評価した。
◎◎:反り幅が150μm以下
◎:反り幅が150μm超過300μm以下
○:反り幅が300μm超過450μm以下
×:反り幅が450μm超過
(耐トラッキング性の評価)
プリント配線基板に高電圧が印加された場合の絶縁層のトラッキング破壊を以下の方法により評価した。
耐トラッキング性の評価は白金電極を用いたIEC法(60112第4版)に準拠し行った。評価サンプルとしては銅張積層板を用いた。
まず、絶縁層表面に電極を配置し、電解液(0.1%NHCl水溶液)を30秒に1回の割合で滴下し、合計で50滴(25分間)を滴下した。
次いで、上記滴下を種々の電圧にて実施し、各条件下でサンプルが絶縁破壊した滴下数を測定した。そして、滴下数と電圧の相関図を作成し、電解液50滴に相当する印加電圧を調べ、以下の基準で評価した。
◎:電解液50滴に相当する印加電圧が500V以上
○:電解液50滴に相当する印加電圧が400V以上500V未満
△:電解液50滴に相当する印加電圧が300V以上400V未満
×:電解液50滴に相当する印加電圧が300V未満
(スルーホール信頼性試験)
銅張積層板の絶縁層の線膨張係数および冷熱衝撃試験前後のスルーホール抵抗からスルーホール信頼性の評価を行った。
<線膨張係数の測定>
銅張積層板の絶縁層を用い、z軸方向の線膨張係数を測定した。測定モードは引っ張りとし、30-300℃の平均値を各サンプルについて評価した。
◎:線膨張係数が40ppm/K以下
○:線膨張係数が40ppm/K超過50ppm/K以下
△:線膨張係数が50ppm/K超過60ppm/K以下
×:線膨張係数が60ppm/K超過
<冷熱衝撃試験後のスルーホール抵抗値測定>
評価サンプルとしては銅張積層板を用いた。試験条件として、高温側100℃30分、低温側−65℃30分、サイクル数300回での冷熱衝撃試験後、熱履歴の過程で生じた銅張積層板からの銅箔の剥離やクラック等を試験前後の抵抗値を測定することで評価した。
◎:試験後の抵抗値が280mΩ以下
○:試験後の抵抗値が280mΩ超過350mΩ以下
×:試験後の抵抗値が350mΩ超過
なお、試験前の各サンプルの抵抗値は275〜320mΩである。
(ドリル加工性)
評価サンプルとしては銅張積層板を用いた。また、ドリルとして、ユニオンツール社製ST30(PWB加工用超硬ストレートドリル)を用いた。
銅張積層板を4層重ねて評価板を作製し、内・外層のスルーホール位置に1.4mmφの孤立ランドパターンを作製した。得られた板を2枚重ね、1.0mmφスルーホールを2000穴ドリリングした。ドリル加工条件4,0000rpm、送り速度2.0m/分前後でのドリルの摩耗量を重量減少により評価した。
◎:2000穴ドリリング後のドリルの摩耗量が20%以下
○:2000穴ドリリング後のドリルの摩耗量が20%超過40%以下
×:2000穴ドリリング後のドリルの摩耗量が40%超過
実験には以下の原材料を用いた。
遷移金属化合物(1)
(特開2004−331965号公報に記載の方法により合成。)
Figure 2018037525
遷移金属化合物(2):CpTiCl(N=CBu
J.Am.Chem.Soc.2000,122,5499−5509.に記載の方法により合成した。
MMAO(東ソー・ファインケム社製)
5−ビニル−2−ノルボルネン(東京化成工業株式会社製)
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(三井化学株式会社製)
(環状オレフィン共重合体(A))
環状オレフィン共重合体(A−1):以下の合成例1に従って合成した環状オレフィン共重合体([η]=0.43dl/g)
環状オレフィン共重合体(A−2):以下の合成例2に従って合成した環状オレフィン共重合体([η]=0.17dl/g)
〔合成例1:環状オレフィン共重合体(A−1)の合成〕
十分に窒素置換した内容積4LのSUS製オートクレーブに、キシレン1670ml、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)212ml、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(TD)120ml、MMAO(東ソーファインケム社製)のトルエン溶液をAl換算で4mmol、水素1984mlを投入した後、系中にエチレンを全圧0.6MPaになるまで導入した。遷移金属化合物(1)0.04mmolをトルエン10mlに溶解させて添加し、重合を開始した。エチレンガスを連続的に供給しながら圧力を保ち、25℃で60分間重合を行った後、5mlのメタノールを圧入することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を、20mlの濃塩酸を加えたアセトン15Lとメタノール5Lの混合溶媒に投入してポリマーを全量析出させ、撹拌後濾紙でろ過した。本操作を反応物がなくなるまで繰り返して得られた全ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン/TD/VNB共重合体を得た。極限粘度[η]は0.40(dL/g)、NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は25.7mol%、TD由来構造の組成比は10.6mol%であった。
〔合成例2:環状オレフィン共重合体(A−2)の合成〕
十分に窒素置換したガラス製反応器にトルエン40mLを装入し、液相及び気相を30L/hの流量の窒素で飽和させた。つづいて、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(TD)20.0mL、1−ヘキセン28.2mL、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で10mmolを添加した。トルエンに溶解させた遷移金属触媒(2)0.010mmolをさらに添加し、重合を開始した。25℃で15分間重合を継続した後、イソブチルアルコールを添加することで重合を停止した。反応物を0.5mLの濃塩酸を加えたアセトン/メタノール(それぞれ500ml)混合溶媒に投入してポリマーを全量析出し、撹拌後グラスフィルターでろ過した。ポリマーを130℃、10時間で減圧乾燥した後、TD/1−ヘキセン共重合体を得た。NMR分析法により決定したポリマー中のモノマー組成は、TD35mol%、1−ヘキセン65mol%であった。
ここで、NMR分析法はMacromolecules 2016,49,59−70.に記載の方法に従った。
(環状オレフィン重合体(n))
環状オレフィン重合体(n−1):エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(製品名:アペル6509T、三井化学社製)
(極性基含有環状オレフィン重合体(X))
極性基含有環状オレフィン重合体(X−1):以下の合成例3に従って合成した無水マレイン酸変性環状オレフィン重合体
〔合成例3:極性基含有環状オレフィン重合体(X−1)の合成〕
環状オレフィン重合体(n−1)(エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(製品名:アペル6509T、三井化学社製))100質量部に対し、無水マレイン酸を1質量部、パーヘキシン25Bを0.2質量部配合し、250℃に設定した二軸押出機で溶融混練して極性基環状オレフィン重合体(X−1)を得た。得られた極性基含有環状オレフィン重合体(X−1)中の無水マレイン酸グラフト量は1.0質量%であった。
(架橋剤(B))
架橋剤1:ジクミルパーオキシド(日本油脂社製、パークミルD)
架橋剤2:1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)
(架橋助剤(C))
架橋助剤1:トリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製)
(ポリフェニレンエーテル)
ポリフェニレンエーテル1:以下の合成例4に従って合成した変性ポリフェニレンエーテル
〔合成例4:ポリフェニレンエーテル1の合成〕
国際公報第2014/203511号の変性ポリフェニレンエーテル1(変性PPE1)の合成に準じて合成した。具体的には以下のとおりである。
トルエン200gを装入したガラス製反応器に、ポリフェニレンエーテルオリゴマー(SABIC社製SA90)100g、クロロメチルスチレン15g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.6gを加え、撹拌しながら75℃に加熱し溶解させた。次いで50wt%の水酸化ナトリウム水溶液20gを滴下し75℃で4時間撹拌した。その後、塩酸で中和し、メタノールを投入して生成物を析出させた。析出した生成物を、メタノールと水を重量比80:20で混合した溶液で洗浄した後、80℃、減圧下で10時間乾燥させ、末端ビニル変性ポリフェニレンエーテル(数平均分子量Mn=2300)を得た。
(ポリイミド樹脂)
マレイミド化合物1:ビス(4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−H、ケイ・アイ化成社製)
ジアミン1:4,4'-ジアミノジフェニルメタン(東京化成工業社製)
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名JER828、三菱化学社製)
(その他の成分)
無機充填剤1:破砕シリカ(龍森社製、AS−1)
[実施例1〜4、比較例1および3]
(スラリー状の樹脂ワニスの調製)
表1に記載の配合割合(表中の数値は質量部を示す)で、無機充填剤1以外の各成分を溶媒に添加して混合することにより各成分を溶媒(実施例1〜4はキシレン、比較例1および3はトルエン)に溶解した。次いで、得られた樹脂ワニスに無機充填剤1を撹拌混合することでスラリー状の樹脂ワニスをそれぞれ得た。
(プリプレグの作製)
得られたスラリー状の樹脂ワニスをガラスクロス(有沢製作所社製、1031NT S640)に含浸し、送風乾燥機中で145℃、10分間乾燥することにより、厚さ0.1mmのプリプレグをそれぞれ作製した。得られたプリプレグに対して、各評価をおこなった。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
(積層板の作製)
150mm角に切り出したプリプレグを8枚重ね、真空プレス機にて圧力3.5MPa、200℃で2時間加熱することで積層板をそれぞれ作製した。
得られた積層板に対して、誘電正接および誘電率の評価をおこなった。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
(銅張積層板の作製)
150mm角に切り出したプリプレグを8枚重ね、さらにその両側に銅箔(古川電気工業社製、F1−WS)を重ね、真空プレス機にて圧力3.5MPa、200℃で2時間加熱することで銅箔が接着された銅張積層板をそれぞれ作製した。
得られた銅張積層板に対して、各評価をおこなった。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
[比較例2]
表1に記載の配合割合(表中の数値は質量部を示す)で、マレイミド化合物1およびジアミン1をトルエンに溶解し、110℃で90分間反応させた。その後、架橋剤1、架橋助剤1および無機充填剤1を表1に記載の配合割合で添加し、混合することによりスラリー状の樹脂ワニスを調製した。次いで、得られた樹脂ワニスを用いた以外は実施例1〜4、比較例1および3と同様にしてプリプレグおよび銅張積層板を作製し、各評価をおこなった。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
Figure 2018037525
表1からわかるように、実施例1〜4のプリプレグ、積層板および銅張積層板は高周波領域での誘電特性、信頼性および加工性に優れていた。
これに対し、比較例1〜3の積層板は高周波領域での誘電特性に劣っていた。

Claims (3)

  1. 環状オレフィン共重合体(A)を含む樹脂組成物(P)とシート状繊維基材とを含むプリプレグにより形成された絶縁層と、前記絶縁層上に設けられた導体層と、を備えるプリント配線基板であって、
    前記絶縁層の誘電正接が0.0030以下であるプリント配線基板。
  2. 請求項1に記載のプリント配線基板を備えた電子機器。
  3. 請求項2に記載の電子機器において、
    スーパーコンピューター、メインフレーム、サーバー、およびルーターからなる群から選択される電子機器。
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JP2018039950A (ja) * 2016-09-09 2018-03-15 京セラ株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板および配線基板
JP2020105328A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 三井化学株式会社 環状オレフィン系共重合体、環状オレフィン系共重合体組成物および架橋体
JP2020158558A (ja) * 2019-03-25 2020-10-01 三井化学株式会社 環状オレフィン系共重合体組成物、ワニス、架橋体、及び、プリプレグ

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