JP7218176B2 - 環状オレフィン系共重合体、環状オレフィン系共重合体組成物および架橋体 - Google Patents
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Description
特許文献3には、架橋性シクロオレフィンポリマーを含有する架橋性樹脂成形体について加熱時の流動性に優れる架橋性樹脂成形体が開示されている。
また、特許文献3に記載の架橋性シクロオレフィンポリマーを含有する架橋性樹脂成形体は、流動性が良好であるものの、十分な耐熱性や機械強度が得られない傾向にあることが明らかになった。
以上から、架橋性基を有する環状オレフィン系共重合体には、環状オレフィン系共重合体の優れた誘電特性を維持しながら耐熱性を向上させるという点で改善の余地があった。
下記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位(A)と、
下記一般式(III)で表される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位(B)と、
下記一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)と、を含む環状オレフィン系共重合体(m)であって、
前記環状オレフィン系共重合体中の繰り返し単位の合計モル数を100モル%とした場合に、
前記環状非共役ジエン由来の繰り返し単位(B)の含有量と前記環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)の含有量の合計が40.0モル%以上50.0モル%以下の範囲である環状オレフィン系共重合体。
[2]
前記環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)の含有量が1.0モル%以上16.0モル%以下である[1]に記載の環状オレフィン系共重合体。
[3]
数平均分子量Mnが3,000以上30,000以下である[1]または[2]に記載の環状オレフィン系共重合体。
[4]
[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の環状オレフィン系共重合体において、
前記環状非共役ジエン由来の繰り返し単位(B)を構成する環状非共役ジエンが5-ビニル-2-ノルボルネンを含み、前記環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)を構成する環状オレフィンがテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンを含む環状オレフィン系共重合体。
[5]
[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の環状オレフィン系共重合体(m)を含む環状オレフィン系共重合体組成物。
[6]
[5]に記載の環状オレフィン系共重合体組成物と、溶媒と、を含有するワニス。
[7]
[5]に記載の環状オレフィン系共重合体組成物を架橋して得られる架橋体。
[8]
[7]に記載の架橋体を含むフィルムまたはシート。
[9]
[7]に記載の架橋体を含む積層体。
[10]
[7]に記載の架橋体を含む電気絶縁層と、前記電気絶縁層上に設けられた導体層とを含む回路基板。
[11]
[10]に記載の回路基板を備えた電子機器。
[12]
[5]に記載の環状オレフィン系共重合体組成物と、シート状繊維基材と、を含むプリプレグ。
まず、本発明に係る実施形態の環状オレフィン系共重合体(m)について説明する。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(m)は、下記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位(A)と、下記一般式(III)で表される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位(B)と、下記一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)と、を含む架橋性基を有する環状オレフィン系共重合体である。
環状非共役ジエン由来の繰り返し単位(B)の含有量と環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)の含有量の合計が上記範囲内であると、環状オレフィン系共重合体(m)から得られる架橋体(Q)は、誘電特性に優れるとともに耐熱性にも優れる。さらに、機械特性、誘電特性、透明性およびガスバリア性にも優れた架橋体(Q)を得ることができる。言い換えればこれらの物性のバランスに優れた架橋体を得ることができる。
環状非共役ジエン由来の繰り返し単位(B)の含有量と環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)の含有量の合計が上記上限値以下であると、環状オレフィン系共重合体(m)の成形性や溶解性が向上し、架橋体(Q)の誘電特性の経時的安定性が向上する。環状非共役ジエン由来の繰り返し単位(B)の含有量と環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)の含有量の合計が上記下限値以上であると、環状オレフィン系共重合体(m)を架橋することによって得られる架橋体(Q)の耐熱性および機械的特性が向上する。
環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)の含有量が上記範囲内であると、環状オレフィン系共重合体(m)から得られる架橋体(Q)は、誘電特性の経時的安定性に優れるとともに耐熱性にも優れる。さらに、機械特性、誘電特性、透明性およびガスバリア性にも優れた架橋体(Q)を得ることができる。言い換えればこれらの物性のバランスに優れた架橋体(Q)を得ることができる。
環状オレフィン系共重合体(m)中の繰り返し単位の各含有量が上記範囲内であると、環状オレフィン系共重合体(m)から得られる架橋体(Q)は、誘電特性の経時的安定性に優れるとともに耐熱性にも優れる。さらに、機械特性、誘電特性、透明性およびガスバリア性にも優れた架橋体(Q)を得ることができる。言い換えればこれらの物性のバランスに優れた架橋体(Q)を得ることができる。
また、環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量Mnは30,000以下、好ましくは25,000以下、より好ましくは20,000以下である。環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量Mnが上記上限値以下であると、環状オレフィン系共重合体(m)または本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物の回路基板作製時の繊維基材への含浸性や配線埋め込み性等の成形性を良好にすることができる。
環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量Mnは、重合触媒、助触媒、H2添加量、重合温度等の重合条件により制御することが可能である。
ここで、従来の環状オレフィン共重合体では、数平均分子量が上記のような範囲内であると、比較的低分子量となるので、得られる架橋体の耐熱性や、誘電特性、機械特性等が低下する傾向にある。しかし、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(m)は数平均分子量Mnが上記範囲内であっても、繊維基材への含浸性が良好で、また無機フィラー、難燃剤等の添加剤との混合性が向上するため、機械強度の低下を抑制することができる。
上記一般式(Va)で表される環状オレフィンとしては、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(ノルボルネンとも呼ぶ。)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)が好ましく、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンがより好ましい。これらの環状オレフィンは剛直な環構造を有するため共重合体および架橋体の弾性率が保持され易く、また異種二重結合構造を含まないため架橋の制御をし易くなる利点がある。
この場合、環状オレフィン系共重合体(m)の共重合原料として、一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマー、一般式(IIIa)で表される環状非共役ジエンモノマー、一般式(Va)で表される環状オレフィンモノマーに加えて、一般式(IIIa)で表される環状非共役ジエンモノマーおよび一般式(Va)で表される環状オレフィンモノマー以外の環状オレフィンモノマー、および/または鎖状ポリエンモノマーを用いることができる。
このような環状オレフィンモノマーおよび鎖状ポリエンモノマーとしては下記一般式(VIa)または(VIIa)で表される環状オレフィン、または下記一般式(VIIIa)で表される鎖状ポリエンである。これらの環状オレフィンや鎖状ポリエンは異なる二種以上を用いてもよい。
また、環状オレフィン系共重合体(m)の、135℃中デカリン中で測定した極限粘度[η]は、好ましくは0.45dl/g未満、より好ましくは0.40dl/g以下、さらに好ましくは0.35dl/g以下である。極限粘度[η]が上記上限値未満または以下であると、環状オレフィン系共重合体(m)または本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物の回路基板作製時の繊維基材への含浸性や配線埋め込み性等の成形性をより一層良好にすることができる。
環状オレフィン系共重合体(m)の極限粘度[η]は、重合触媒、助触媒、水素添加量、重合温度等の重合条件により制御することが可能である。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(m)は、例えば、国際公開第2012/046443号の段落0075~0219に記載の環状オレフィン系共重合体の製造方法にしたがって製造することができる。ここでは詳細は省略する。
次に、本発明に係る実施形態の環状オレフィン系共重合体組成物について説明する。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(m)を必須成分として含む。また、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は環状オレフィン系共重合体(m)とは異なる環状オレフィン系重合体(n)をさらに含有することができる。
本実施形態の環状オレフィン系共重合体組成物に含まれる環状オレフィン系共重合体(m)と環状オレフィン系重合体(n)との合計量を100質量%としたとき、環状オレフィン系共重合体(m)の含有量が好ましくは5質量%以上95質量%以下、より好ましくは10質量%以上90質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上80質量%以下、特に好ましくは25質量%以上75質量%以下であり、環状オレフィン系重合体(n)の含有量が好ましくは5質量%以上95質量%以下、より好ましくは10質量%以上90質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上80質量%以下、特に好ましくは25質量%以上75質量%以下である。
以下、各成分について具体的に説明する。
環状オレフィン系重合体(n)は、環状オレフィン系共重合体(m)とは異なる環状オレフィン系重合体である。具体的には、環状オレフィン系重合体(n)は、エチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体(n1)および環状オレフィンの開環重合体(n2)から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、環状オレフィン系重合体(n)を含むことにより、環状オレフィン系共重合体組成物を架橋して得られる架橋体の誘電特性をより一層良好なものとすることができる。
ここで、上記共重合体(n1)は上記一般式(III)で表される環状非共役ジエン由来の繰り返し単位を含まないことが好ましい。本実施形態において、上記共重合体(n1)が上記一般式(III)で表される環状非共役ジエン由来の繰り返し単位を含まないとは、上記共重合体(n1)中の繰り返し単位の合計モル数を100モル%とした場合に、上記一般式(III)で表される環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量が0.05モル%以下であることを意味する。
また、環状オレフィン系重合体(n)の数平均分子量Mnは、好ましくは10,000以上である。環状オレフィン系重合体(n)の数平均分子量Mnが上記下限値以上であると、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物を架橋することによって得られる架橋体(Q)の誘電特性や耐熱性、機械的特性をより一層良好にすることができる。
また、環状オレフィン系重合体(n)の数平均分子量Mnは、好ましくは60,000以下、より好ましくは57,000以下、さらに好ましくは55,000以下である。環状オレフィン系重合体(n)の数平均分子量Mnが上記上限値以下であると、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物の回路基板作製時の繊維基材への含浸性や配線埋め込み性等の成形性をより一層良好にすることができる。
環状オレフィン系重合体(n)の数平均分子量Mnは、重合触媒、助触媒、H2添加量、重合温度等の重合条件により制御することが可能である。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
Raは、炭素原子数2~20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
Rbは、水素原子、又は炭素原子数1~10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
Rcは、炭素原子数2~10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COORd(Rdは、水素原子、または炭素原子数1~10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。
Ra、Rb、RcおよびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。)
Rbは、水素原子、または炭素原子数1~10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
RaおよびRbは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
x、yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5を満たす実数である。好ましくは50/50≦y/x≦95/5、さらに好ましくは、55/45≦y/x≦80/20である。x、yはモル基準である。
エチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体(n1)としては、上記一般式(3)で表される1種ないし2種以上の構造を有する重合体または上記一般式(4)で表現される環状オレフィン系共重合体が水素添加処理された重合体であってもよい。
015/178145号の段落0056~0070に記載の重合体を用いることができる。
炭素数4~12のα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体を構成する環状オレフィンとしては、例えば、ノルボルネン及び置換ノルボルネンが挙げられ、ノルボルネンが好ましい。上記環状オレフィンは、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、本実施形態に係る炭素数4~12のα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体は、当該共重合体中に含まれる繰り返し単位の合計を100モル%としたとき、環状オレフィン由来の繰り返し単位の割合が、好ましくは10モル%以上90モル%以下、より好ましくは20モル%以上85モル%以下、さらに好ましくは30モル%以上80モル%以下である。
環状オレフィンの開環重合体(n2)としては、例えば、ノルボルネン系単量体の開環重合体およびノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体、ならびにこれらの水素化物等が挙げられる。
これらの誘導体の環に置換される置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基等が挙げられる。なお、置換基は、1個または2個以上を有することができる。このような環に置換基を有する誘導体としては、例えば、8-メトキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチル-8-メトキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチリデン-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン等が挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウム等の金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒;チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒;等を用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環の環状オレフィン系単量体等を挙げることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、得られる架橋体の機械的特性を向上させつつ、高周波領域での誘電特性を良好にする観点から、エラストマーをさらに含んでもよい。
エラストマーの含有量は、環状オレフィン系共重合体組成物の全体を100質量部としたとき、得られる架橋体の機械的特性を向上させつつ、高周波領域での誘電特性をより良好にする観点から、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
上記エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、エチレン・プロピレンエラストマー、およびジエン系エラストマーから選ばれる一種または二種以上を含むことが好ましい。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物には、目的に応じて、各種添加剤を添加してもよい。添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて適宜選択される。
上記添加剤としては、耐熱安定剤、耐候安定剤、耐放射線剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、摩擦磨耗性向上剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、着色剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、耐衝撃剤、表面ぬれ改善剤、充填材、塩酸吸収剤および金属不活性化剤からなる群から選択される一種または二種以上の添加剤が挙げられる。
チル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6,-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12-テトラキス〔4,6-ビス{N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2-第三オクチルアミノ-4,6-ジクロロ-s-トリアジン/N,N' -ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N' -ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物、2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-N-オキシル、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-N-オキシルピペリジン)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-N-オキシピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-(トリス(2,2,6,6-テトラメチル-N-オキシルピペリジル-4-オキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ)エチル)2,4,6,10-テトラオキサロスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとトリデシルアルコールと1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸との縮合物、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールと1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸との縮合物、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとトリデシルアルコールと1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸との縮合物、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールと1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸との縮合物、1-[2-〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]-4-〔3-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル〕プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(例えば、サノールLS-2626、三共社製))、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸-ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)(例えば、Tinuvin144、BASF社製)、ビス(2,2',6,6'-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(例えば、TINUVIN770、BASF社製)、ポリ[6- (1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ](例えば、CHIMASSORB944、BASF社製)等が挙げられる。
フェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジメチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等が特に好ましい。
,3,3-テトラメチルブチル)-6-[(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]]等が挙げられる。
上記ハロゲン系難燃剤としては、塩素系および臭素系の種々の難燃剤が使用可能であるが、難燃化効果、成形時の耐熱性、樹脂への分散性、樹脂の物性への影響等の面から、ペンタブロモジフェニルエーテルなどが挙げられる。また、国際公開第2017/150218号パンフレット 段落[0105]に例示される難燃剤が使用できる。
上記無機充填材としては、例えば、シリカなどが挙げられる。また、国際公開第2017/150218号パンフレット 段落[0117]に例示される充填材が使用できる。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物の調製方法は、環状オレフィン系共重合体(m)と、必要に応じて環状オレフィン系重合体(n)と、エラストマーと、各種添加剤と、を混合することにより調製できる。混合方法としては、押出機等で溶融ブレンドする方法、または適当な溶媒、例えばヘプタン、ヘキサン、デカン、シクロヘキサンのような飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素等に溶解、分散させて行う溶液ブレンド法等を採用することができる。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、溶媒と混合することによりワニスとすることができる。
上記ワニスを調製するための溶媒としては、環状オレフィン系共重合体(m)に対して溶解性または親和性を損なわないものであれば特に限定されない。溶媒として好ましく用いられるものは、例えば、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の飽和炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環状炭化水素;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、プソイドクメン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノール等のアルコール;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチル等のエステル類;トリクロルエチレン、ジクロルエチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が用いられる。好ましくはヘプタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、プソイドクメンが用いられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
架橋体(Q)は、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物の架橋体であり、上述の環状オレフィン系共重合体組成物中の環状オレフィン系共重合体(m)を架橋することにより得られる。環状オレフィン系共重合体(m)の架橋方法としては特に制限はないが、ラジカル重合開始剤や硫黄、ヒドロシリル基含有化合物、電子線や他の放射線を用いて、任意の形に成形しながら、または成形後に架橋する方法等が挙げられる。
架橋反応を起こすため使用される硫黄系化合物は公知の種々のものが使用でき、一例を挙げると硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン等がある。また加硫促進剤も種々のものを使用でき、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ベンゾチアジル-ジスルフィド等のチアゾール系;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジ-オルソ-トリルグアニジン、オルソートリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン系;アセトアルデヒド-アニリン反応物;ブチルアルデヒド-アニリン縮合物;ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミン、またはアルデヒド-アンモニア系;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系;チオカルバニリド、ジエチルチオユリアジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソートリルチオユリア等のチオユリア系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系;等を挙げることができる。加硫促進助剤としては、酸化亜鉛、活性亜鉛華、炭酸亜鉛、複合亜鉛華、酸化マグネシウム、リサージ、鉛丹、塩基性炭酸鉛等の金属酸化物系、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸鉛等の脂肪酸系、トリエタノールアミン、ジエチレングリコール等の有機アミン・グリコール系等を挙げることができる。
本実施形態に係る架橋体(Q)は、優れた誘電特性及び耐熱性を有する。
本実施形態に係る架橋体(Q)のTgは、140℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、例えば300℃以下とすることができる。
本実施形態に係る架橋体(Q)の10GHzにおける誘電正接は、例えば、0.0001以上、0.0050以下とすることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物の架橋体はフィルムまたはシートに成形して各種用途に用いることができる。本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物を用いて、フィルムまたはシートを形成する方法としては、各種公知の方法が適用可能である。例えば、熱可塑性樹脂フィルム等の支持基材上に上述したワニスを塗布して乾燥後、加熱処理等して環状オレフィン系共重合体組成物を架橋することにより形成する方法が挙げられる。ワニスの支持基材への塗布方法は特に限定されないが、例えば、スピンコーターを用いた塗布、スプレーコーターを用いた塗布、バーコーターを用いた塗布等を挙げることができる。
また、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物を溶融成形して、フィルムまたはシートを得る方法も挙げることができる。
本実施形態に係る上記フィルムまたはシートは基材に積層することにより、積層体として各種用途に用いることができる。本実施形態に係る積層体を形成する方法は各種公知の方法が適用可能である。
例えば、基材に対し、上述の方法により製造したフィルムまたはシートを積層し、必要に応じてプレス等により加熱硬化することにより積層体を作製することができる。
また、導体層に対して、前述した架橋体を含む電気絶縁層を積層することにより積層体を作製することもできる。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、各種の多層成形体または多層積層フィルムの表層に形成してもよい。このとき、環状オレフィン系共重合体組成物により形成された樹脂層は100μm以下であるのが好ましい。
各種の多層成形体または多層積層フィルムとしては、例えば、樹脂光学レンズ表面に本実施形態の環状オレフィン系共重合体組成物が形成された光学レンズ用多層成形体や、PETフィルムやPEフィルム等の樹脂フィルム表面にガスバリア性付与のために本実施形態の環状オレフィン系共重合体組成物が形成された多層ガスバリアフィルム等が挙げられる。
また、本実施形態に係るプリプレグは、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物とシート状繊維基材とを複合して形成されたものである。
プリプレグの製造方法としては特に限定されず、各種公知の方法が適用可能である。例えば、上述したワニスをシート状繊維基材に含浸し含浸体を得る工程と、得られた含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程とを含む方法が挙げられる。
上記ワニスのシート状繊維基材への含浸は、例えば、所定量のワニスを、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の方法によりシート状繊維基材に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラー等で押圧することにより行うことができる。
また、上記含浸体を加熱し、上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程はとくに限定されないが、例えば、バッチ式で送風乾燥機により空気中あるいは窒素中で乾燥する、あるいは、連続工程で加熱炉を通すことによって乾燥する、等の方法を挙げることができる。
本実施形態においては、ワニスをシート状繊維基材に含浸させた後、得られた含浸体を所定温度に加熱することにより、上記ワニスに含まれる溶媒が蒸発し、プリプレグが得られる。
シート状繊維基材へのワニスの含浸は、例えば、浸漬および塗布によって実施される。含浸は必要に応じて複数回繰り返してもよい。
これらのシート状繊維基材は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、所望により適宜選択されるが、プリプレグあるいは積層体中の、通常、10~90質量%、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~70質量%の範囲である。この範囲にあれば、得られる積層体の誘電特性と機械強度が高度にバランスされ、好適である。
上述したように、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、誘電特性、耐熱性、機械的特性等に優れることから、回路基板に好適に用いることができる。
回路基板の製造方法としては一般的に公知の方法を採用でき特に限定されないが、例えば、前述の方法により製造したフィルム、シートまたはプリプレグを積層プレス等により加熱硬化し、電気絶縁層を形成する。次いで、得られた電気絶縁層に導体層を公知の方法で積層し、積層体を作製する。その後、該積層体中の導体層を回路加工等することにより、回路基板を得ることができる。
このような電子機器としては、例えば、サーバ、ルータ、スーパーコンピューター、メインフレーム、ワークステーション等のICTインフラ機器;GPSアンテナ、無線基地局用アンテナ、ミリ波アンテナ、RFIDアンテナ等のアンテナ類;携帯電話、スマートフォン、PHS、PDA、タブレット端末等の通信機器;パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、POS端末、ウェアラブル端末、デジタルメディアプレーヤー等のデジタル機器;電子制御システム装置、車載通信機器、カーナビゲーション機器、ミリ波レーダー、車載カメラモジュール等の車載電子機器;半導体試験装置、高周波計測装置等;等が挙げられる。
また、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物を架橋するとともに発泡せしめることにより発泡体とすることができる。このとき、環状オレフィン系共重合体組成物に前述した発泡剤を添加してもよい。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(m)、環状オレフィン系共重合体組成物および架橋体(Q)は、耐溶剤性、耐熱性、機械的強度、透明性に優れるので、当該架橋体からなる成形体は、例えば光ファイバー、光導波路、光ディスク基盤、光フィルター、レンズ、光学用接着剤、PDP用光学フィルター、有機EL用コーティング材料、航空宇宙分野における太陽電池のベースフィルム基材、太陽電池や熱制御システムのコーティング材、半導体素子、発光ダイオード、各種メモリー類等の電子素子、ハイブリッドIC、MCM、回路基板、回路基板の絶縁層を形成するために用いられるプリプレグや積層体、表示部品等のオーバコート材料あるいは層間絶縁材料、液晶ディスプレイや太陽電池の基板、医療用器具、自動車用部材、離型剤、樹脂改質剤、ディスプレイ用透明基板、リチウムイオン電池用部材、半導体プロセス部材、フィルムコンデンサ、ガスバリアコート材、電線被服材、自動車用部材、航空宇宙用部材、半導体用プロセス材、電線被覆材、リチウムイオン電池用部材、燃料電池用部材、コンデンサーフィルム、フレキシブルディスプレイ部材、アンカーコート材、透明接着剤、改質材、架橋助剤、医療用容器、医療用カテーテル部材、防水シール材、離型材、ハードコート材、発泡改質剤といった用途で使用することができる。
特に、誘電特性の経時安定性に優れ、耐溶剤性、耐熱性、透明性、機械的特性等にも優れるので、高周波回路基板等の高周波用途に好適に用いることができる。さらに、ガスバリア性にも優れるため、液晶ディスプレイや太陽電池の基板やフィルムまたはシートとして好適に用いることができる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
環状オレフィン系共重合体(m)の数平均分子量(Mn)は、GPC測定により測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。GPC測定は以下の条件で行った。
装置:GPC HLC-8321(東ソー株式会社製)
溶剤:o-ジクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMH6-HT×2、TSKgel GMH6-HTL×2(何れも東ソー社製)
流速:1.0ml/分
試料:1mg/mL o-ジクロロベンゼン溶液
温度:140℃
装置:RSA-III(ティー・エイ・インスツルメント社製)
変形モード:引張
昇温速度:3℃/分
周波数:1Hz
設定歪:0.1%
環境:窒素下
特開2004-331965号公報に記載の方法により合成した。
トルエン(和光純薬工業株式会社製:和光特級)
5-ビニル-2-ノルボルネン(東京化成工業株式会社製)
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(三井化学株式会社製)
アセトン(和光純薬工業株式会社製:和光特級)
メタノール(和光純薬工業株式会社製:和光特級)
架橋剤1:パークミルD(日本油脂社製)
シリカ:
シリカ1:SFP-30M(デンカ社製)
難燃剤:
難燃剤1:SAYTEX BT93(アルベマール社製)
酸化防止剤
酸化防止剤1:Irganox1010(BASF社製)
ガラスクロス:
ガラスクロス1:1013NT-S640(有沢製作所社製)
〔合成例1(環状オレフィン系共重合体(m-1)(Mn=11,900))〕
十分に窒素置換した内容積1LのSUS製オートクレーブに、トルエン380mL、5-ビニル-2-ノルボルネン(以下、VNBとも呼ぶ。)94mL、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(以下、TDとも呼ぶ。)26mL、MMAO(東ソーファインケム社製)のトルエン溶液をAl換算で1.5mmol、水素868mLを挿入した後、系中にエチレンを全圧0.78MPaGになるまで導入した。トルエンに溶解した遷移金属化合物(1)33μmolを添加し、35℃で180分間重合を行った後、得られたポリマー溶液を、0.1vol%の濃塩酸を加えたアセトン/メタノール(=3/1)混合溶媒に投入してポリマーを析出させ、撹拌後濾紙でろ過した。得られた固体を80℃、10時間で減圧乾燥し、エチレン(表中ではEと表記)/TD/VNB共重合体を得た。NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は35.9モル%、TD由来構造の組成比は6.5モル%、GPC測定より求めた数平均分子量(Mn)は11,900であった。また、極限粘度[η]が0.08dl/gであった。
トルエンを376mL、VNBを90mL、TDを34mL、水素744mLとした以外は合成例1と同様にして、エチレン/TD/VNB共重合体を得た。
NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は33.4モル%、TD由来構造の組成比は9.6モル%、GPC測定より求めた数平均分子量(Mn)は11,900であった。また、極限粘度[η]が0.07dl/gであった。
トルエンを378mL、VNBを79mL、TDを43mL、水素744mLとした以外は合成例1と同様にして、エチレン/TD/VNB共重合体を得た。NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は29.9モル%、TD由来構造の組成比は13.1モル%、GPC測定より求めた数平均分子量(Mn)は11,300であった。また、極限粘度[η]が0.04dl/gであった。
トルエンを377mL、VNBを73mL、TDを50mL、水素744mLとした以外は合成例1と同様にして、エチレン/TD/VNB共重合体を得た。NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は27.7モル%、TD由来構造の組成比は15.0モル%、GPC測定より求めた数平均分子量(Mn)は10,500であった。また、極限粘度[η]が0.07dl/gであった。
トルエンを418mL、VNBを65.0mL、TDを17.5mL、水素1339mLとした以外は合成例1と同様にして、エチレン/TD/VNB共重合体を得た。NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は33.2モル%、TD由来構造の組成比は5.9モル%、GPC測定より求めた数平均分子量(Mn)は11,600であった。
トルエンを447mL、VNBを45.3mL、TDを8.2mL、水素1339mLとした以外は合成例1と同様にして、エチレン/TD/VNB共重合体を得た。NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は32.7モル%、TD由来構造の組成比は3.9モル%、GPC測定より求めた数平均分子量(Mn)は14,900であった。
(ワニス1の調製)
合成例1で得られた環状オレフィン系共重合体(m-1)、ラジカル重合(架橋)開始剤として架橋剤1(日本油脂社製パークミルD)、酸化防止剤として、酸化防止剤1(BASF社製Irganox1010)、溶媒としてトルエンを用い、表1の配合組成に従い秤量した。秤量したサンプルを、200mLのセパラブルフラスコに装入し、回転数200rpmの撹拌翼で4時間、十分に溶解するまで撹拌し、目的とするワニス状の環状オレフィン系共重合体組成物を得た。なお、表1中における各原料の配合割合の単位は質量部である。
得られたワニス状の環状オレフィン系共重合体組成物を、離型処理されたPETフィルム上に10mm/秒の速度で塗工した後、窒素気流下送風乾燥機中で、150℃で4分乾燥した。得られたフィルムを2枚重ね、真空プレスにより、3.5MPaに加圧し、室温(25℃)から一定速度で昇温し、180℃で120分保持し、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて誘電正接測定、Tg測定を行った。得られた結果を表1に示す。
表1に示す配合組成に代えた以外は、実施例1と同様にフィルムをそれぞれ作製し、それぞれ評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
以下の方法でプリプレグ及びその積層体を作製し、はんだ耐熱性の評価を実施した。
環状オレフィン共重合体(m-1)42部、シリカ(デンカ社製、SFP-30M)28部、難燃剤(アルベマール社製、SAYTEX BT93)30部、酸化防止剤(BASF社製、Irganox1010)0.024部、架橋剤(日油製、パークミルD)0.88部の割合でトルエンに添加し、混合することによりワニス状の架橋性樹脂組成物(P-1)を調整した。
得られたワニス状の架橋性樹脂組成物(P-1)を、ガラスクロス(有沢製作所社製、1031NT S640)に含浸し、送風乾燥機中125℃で150秒間乾燥することにより、プリプレグ(Q-1)を作製した。
プリプレグ(Q-1)を4枚積層し、その両面を銅箔(古川電工社製、F1-WS)で挟み、真空プレスにより、3MPaに加圧し、室温(25℃)から一定速度で昇温し、180℃で120分保持し、銅張積層体を得た。得られた銅張積層体に対し、はんだ耐熱試験を実施した。
得られた銅張積層板の片面の銅箔をエッチングし、121℃、100%RH雰囲気下で120分処理した試験片を、288℃のはんだに3分間浸漬し、はんだ耐熱性評価を行った。評価の結果、銅箔の膨れ等の異常はみられず、得られた銅張積層板ははんだ耐熱性に優れていると判断した。
Claims (11)
- 下記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位(A)と、
下記一般式(III)で表される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位(B)と、
下記一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)と、を含む環状オレフィン系共重合体(m)であって、
前記環状オレフィン系共重合体中の繰り返し単位の合計モル数を100モル%とした場合に、
前記環状非共役ジエン由来の繰り返し単位(B)の含有量と前記環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)の含有量の合計が42.4モル%以上50.0モル%以下の範囲である環状オレフィン系共重合体であって、
前記環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)の含有量が1.0モル%以上16.0モル%以下である環状オレフィン系共重合体。
- 数平均分子量Mnが3,000以上30,000以下である請求項1に記載の環状オレフィン系共重合体。
- 請求項1または2に記載の環状オレフィン系共重合体において、
前記環状非共役ジエン由来の繰り返し単位(B)を構成する環状非共役ジエンが5-ビニル-2-ノルボルネンを含み、前記環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)を構成する環状オレフィンがテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンを含む環状オレフィン系共重合体。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の環状オレフィン系共重合体(m)を含む環状オレフィン系共重合体組成物。
- 請求項4に記載の環状オレフィン系共重合体組成物と、溶媒と、を含有するワニス。
- 請求項4に記載の環状オレフィン系共重合体組成物を架橋して得られる架橋体。
- 請求項6に記載の架橋体を含むフィルムまたはシート。
- 請求項6に記載の架橋体を含む積層体。
- 請求項6に記載の架橋体を含む電気絶縁層と、前記電気絶縁層上に設けられた導体層とを含む回路基板。
- 請求項9に記載の回路基板を備えた電子機器。
- 請求項4に記載の環状オレフィン系共重合体組成物と、シート状繊維基材と、を含むプリプレグ。
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