JP2017112093A - 端子圧着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧着端子と電線との圧着加工精度を向上させること。
【解決手段】圧着加工の実施前の圧着端子1を電線50との圧着位置まで供給する端子供給装置101と、圧着位置まで供給された圧着端子1を第1金型112及び第2金型113で電線50の端部に圧着させる圧着装置102と、電線50の端部を圧着端子1の電線接続部12の上方に配置した状態で当該電線50を保持する電線保持機構と、を備え、電線保持機構は、電線50が載置される端子切断体121の上面121dと、その上面121dに向けて下降させ、その上面121dに載置された電線50を押さえ付けて保持する電線押さえ118と、を備え、上面121dと電線押さえ118の下面との間には、第2金型113の第1金型112に向けた下降に伴い傾倒する電線50の端部の傾倒方向と同じ向きに傾斜させ、その傾斜状態で電線50を保持する電線保持空間118Aを形成すること。
【選択図】図12

Description

本発明は、端子圧着装置に関する。
従来、電線の端部に対して圧着されることで、この電線との間の電気的な接続が為される圧着端子が知られている(特許文献1−6)。その圧着端子と電線の端部との圧着加工は、例えば特許文献2−6に開示されている端子圧着装置によって実施される。その端子圧着装置は、連鎖状態の圧着端子(端子連鎖体)における先頭の圧着端子を所定位置まで供給し、この圧着端子と電線とを第1金型と第2金型とで挟み込むことによって圧着させると共に、この圧着端子を端子切断機で端子連鎖体から切り離す。
特開2014−182957号公報 特開2014−182953号公報 特開2000−252035号公報 特開2001−230043号公報 特開平8−111275号公報 特開2014−203735号公報
ところで、端子切断機には、端子連鎖体の連結片が挿入されるスリットを有し、このスリットの上端における開口エッジを圧着端子の切断刃として利用する端子切断体が設けられている。この端子切断体は、圧着加工の進行と共に第1金型に沿って下降し、端子連鎖体から圧着端子を切り離す。ここで、圧着加工の実施前には、端子切断体の上面に電線が載置され、この上面から電線が浮き上がらないように電線押さえで電線を押さえている。このときの電線は、電線接続部の上方に端部を浮かせた状態で端子切断体と電線押さえとの間に保持されている。電線の端部は、圧着加工の進行(第2金型の第1金型に向けた下降)と共に、電線接続部に向けて押し下げられる。このため、電線においては、端子切断体及び電線押さえで保持されている部分と第2金型によって押し下げられている部分との間に曲げが発生し、その曲げ部分に負荷が掛かる。そして、その電線に掛かる負荷は、電線接続部に対する電線の端部の位置ズレを引き起こしてしまう可能性がある。
そこで、本発明は、圧着端子と電線との圧着加工精度を向上させ得る端子圧着装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、圧着加工の実施前の圧着端子を電線との圧着位置まで供給する端子供給装置と、前記圧着位置まで供給された前記圧着端子を第1金型及び第2金型で前記電線の端部に圧着させる圧着装置と、前記電線の端部を前記圧着端子の電線接続部の上方に配置した状態で当該電線を保持する電線保持機構と、を備え、前記電線保持機構は、前記電線の端部を前記圧着端子の電線接続部の上方に配置した状態で当該電線が載置される電線載置部と、前記電線載置部に向けて下降させ、該電線載置部に載置された前記電線を押さえ付けて保持する電線押さえと、を備え、前記電線載置部と前記電線押さえの下面との間には、前記第2金型の前記第1金型に向けた下降に伴い傾倒する前記電線の端部の傾倒方向と同じ向きに傾斜させ、その傾斜状態で前記電線を保持する電線保持空間を形成することを特徴としている。
ここで、前記電線保持空間は、前記電線載置部に形成した凹部と、前記電線押さえの下面に形成した凹部と、によって構成することが望ましい。
また、前記電線載置部の前記凹部は、前記電線押さえの下面に向けて側壁間の間隔が広がるV字状の溝であり、前記電線の端部に近づくにつれて前記電線押さえの下面側から離れるように溝底を傾斜させ、前記電線押さえの前記凹部は、前記電線載置部に向けて側壁間の間隔が広がるV字状の溝であり、前記電線の端部に近づくにつれて前記電線載置部側に近づくように溝底を傾斜させることが望ましい。
また、前記電線押さえの前記凹部における前記電線保持空間で保持された前記電線の軸線方向に沿う長さは、前記第2金型によって前記電線が先端の剥き出しの芯線側から順に前記電線接続部の底部に向けて押し下げられた際に、前記電線保持空間で前記電線が前記傾斜状態で保持される長さとすることが望ましい。
また、前記電線押さえの下降を係止し、前記圧着加工が完了した際の前記電線押さえの前記凹部との上下方向における最小間隔を前記電線の直径よりも大きくする係止部を設けることが望ましい。
また、前記電線保持空間の傾斜角は、前記圧着加工が行われているときの前記電線接続部に対する前記電線の端部の傾斜角に一致させることが望ましい。
また、前記電線押さえは、前記圧着加工が実際に始まる前までに又は前記圧着加工が実際に始まると同時に、前記電線が前記電線保持空間に保持されるよう下降させることが望ましい。
また、複数の前記圧着端子が各々の繋ぎ部を介して連結片に繋がれており、かつ、前記圧着位置まで供給された前記圧着端子の前記繋ぎ部を2つの端子切断部で挟み込んで切断する端子切断機に前記電線載置部を設ける場合、前記端子切断機には、一方の前記端子切断部を有し、該一方の端子切断部を他方の前記端子切断部に向けて移動させるべく下降するものであり、前記圧着位置まで供給されてきた前記圧着端子と繋がる前記繋ぎ部の一部を突出させた状態で前記連結片が挿入されるスリットと、前記スリットの前記圧着端子側の開口における前記一方の端子切断部としての上側のエッジ部と、を備えた端子切断体を設け、前記端子切断機は、前記端子切断体の上面を前記電線載置部として利用することが望ましい。
本発明に係る端子圧着装置は、傾斜させた電線保持空間によって保持されている部分と第2金型によって押し下げられている部分との間に掛かる電線の負荷を軽減させることができる。このため、この端子圧着装置は、圧着加工中に、電線の負荷を軽減しつつ、電線載置部からの電線の浮き上がりを抑えることができるので、電線接続部に対する先端の芯線や被覆の位置ズレを抑制することができる。従って、この端子圧着装置は、その電線保持空間によって所望の圧着加工が可能になるので、圧着加工精度を向上させることができる。
図1は、実施形態の圧着端子を示す斜視図であり、電線に接続される前の状態を表している。 図2は、実施形態の圧着端子を示す側面図であり、電線接続部がU字状に成形された状態を表している。 図3は、実施形態における圧着完了後の圧着端子を示す斜視図である。 図4は、実施形態における圧着完了後の圧着端子を示す側面図である。 図5は、実施形態の圧着端子の端子金具を示す斜視図であり、止水部材の貼付前の状態を表している。 図6は、実施形態の圧着端子の端子金具を示す上面図であり、止水部材の貼付後の状態を表している。 図7は、端子連鎖体について説明する図である。 図8は、実施形態の端子圧着装置について説明する図である。 図9は、実施形態の第1及び第2の金型について説明する斜視図である。 図10は、実施形態の端子切断体を示す側面図である。 図11は、実施形態の端子切断体を示す背面図である。 図12は、圧着端子と電線が端子圧着装置にセットされた状態について説明する図である。 図13は、電線保持機構について説明する図である。 図14は、図13のX−X線で切った電線保持機構の断面図である。 図15は、電線保持機構による電線の保持状態について説明する図である。 図16は、実施形態における別形態の端子切断体を示す背面図である。 図17は、図16のZ−Z線で切った端子切断体の断面図である。 図18は、変形例の電線押さえを示す斜視図である。 図19は、変形例の電線保持機構について説明する図である。 図20は、変形例の電線保持機構による電線の保持状態について説明する図である。 図21は、変形例の端子圧着装置で圧着加工が完了したときの状態について説明する図である。 図22は、変形例における電線押さえの係止部を示す正面図である。
以下に、本発明に係る端子圧着装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る端子圧着装置の実施形態の1つを図1から図17に基づいて説明する。
先ず、電線との圧着対象となる圧着端子について説明する。図1から図4の符号1は、本実施形態の圧着端子を示す。この圧着端子1は、電線50に対して電気的に接続され、この電線50と一体になった状態のままで相手側端子(図示略)に対して電気的に接続されるものである。ここで、電線50は、その端部において、芯線51を所定の長さ露出させるべく、その長さ分だけ被覆52を剥いて取り除いている。芯線51は、複数本の素線の集合体であってもよく、同軸ケーブルの如き単線であってもよい。圧着端子1は、電線50に対して電気的に接続させるために、この電線50の端部に圧着させることで、露出している先端の芯線(以下、単に「先端の芯線」という。)51との間で電気的に接続される。
具体的に、圧着端子1は、端子金具10と、止水部材20と、を備える。
端子金具10は、この例示の圧着端子1における主体部分である。この端子金具10は、母材となる導電性の金属板(例えば銅板)に打ち抜き加工や折り曲げ加工等を施して、相手側端子や電線50との接続が可能な所定の形状に成形される。この端子金具10は、図5に示すように、相手側端子に対して電気的に接続される端子接続部11と、電線50に対して電気的に接続される電線接続部12と、を有する。端子接続部11と電線接続部12は、これらの間に介在させた連結部13によって連結されている。
端子金具10は、雄端子であってもよく、雌端子であってもよい。端子接続部11は、端子金具10が雄端子の場合、雄型に成形され、端子金具10が雌端子の場合、雌型に成形される。本実施形態では、雌端子を例として挙げている。
ここで、この圧着端子1においては、相手側端子との間の接続方向(挿入方向)を長手方向としての第1方向Lと定義する。また、この圧着端子1の後述する並列配置方向については、圧着端子1の幅方向としての第2方向Wと定義する。また、この圧着端子1においては、その第1方向Lと第2方向Wとに各々直交する方向を高さ方向としての第3方向Hと定義する。
電線接続部12は、先ずは1枚の板状に成形されており(図5)、電線50との接続直前の状態としてのU字状に成形される(図1)。そして、この電線接続部12は、電線50の端部が載せ置かれた状態で当該電線50に巻き付けることによって、この電線50の端部に圧着され、先端の芯線51に接触する。
この電線接続部12は、底部14の領域と第1バレル片部15の領域と第2バレル片部16の領域とに区画することができる(図1及び図6)。底部14は、U字状の電線接続部12の底壁となる部位であり、圧着加工の際に電線50の端部が載置される。第1及び第2のバレル片部15,16は、U字状の電線接続部12の側壁となる部位であり、底部14における第2方向Wの両端に各々延在させている。U字状の電線接続部12においては、底部14の両端から電線50の端部を囲うように第1及び第2のバレル片部15,16が延在している。
第1バレル片部15と第2バレル片部16は、底部14側の根元から先端15a,16aの端面までの距離が各々同じ長さに形成されたものであってもよく、その距離が一方に対して他方が長くなるように形成されたものであってもよい。本実施形態では、前者を例示している。また、第1バレル片部15と第2バレル片部16は、互いに重なり合いながら電線50の端部に巻き付けていくものであってもよく、それぞれを底部14側に折り返して先端15a,16aを電線50の端部に加締めていくもの(例えば所謂B型クリンプ)であってもよい。本実施形態では、後述するように止水部材20を設けているので、前者の形態を用いている。また、本実施形態の第1バレル片部15と第2バレル片部16は、それぞれに、後述する芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとの間に連結圧着部12Cを介在させた1枚の片部として形成している。但し、この圧着端子1は、芯線圧着部12Aにおけるバレル片部と被覆圧着部12Bにおけるバレル片部とが互いに間隔を空けて配置されたもの、つまり芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとが底部14における連結部(図示略)のみで連結されたものであってもよい。
ここで、電線50の端部は、電線接続部12のU字の開口側(それぞれの先端15a,16aの端面間に形成されている開口)からU字状の内側の空間に挿入される。このため、電線接続部12は、電線50の端部が挿入されやすくなるように、底部14側から開口側(先端15a,16a側)に向かうにつれて第1バレル片部15と第2バレル片部16の間隔が広くなっている。
更に、この電線接続部12は、芯線圧着部12Aの領域と被覆圧着部12Bの領域と連結圧着部12Cの領域とに区画することができる(図2、図4−図6)。芯線圧着部12Aは、先端の芯線51に対して圧着させる部位であり、連結部13に連接している。被覆圧着部12Bは、先端の芯線51の露出部分における根元に連なる被覆52に対して圧着させる部位である。連結圧着部12Cは、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとを連結させると共に電線50の端部に圧着させる部位である。
電線接続部12には、その内壁面(電線50を覆う側の壁面)に、圧着した先端の芯線51を保持するための芯線保持領域(以下、「セレーション領域」という。)17が設けられている(図5及び図6)。そのセレーション領域17は、電線接続部12の内壁面の内、先端の芯線51に対して巻き付ける部分に少なくとも配置する。この例示のセレーション領域17は、先端の芯線51を全体的に覆うように形成する。具体的に、本実施形態のセレーション領域17とは、複数の凹部、複数の凸部又は複数の凹部と凸部の組み合わせが矩形状に並べられたものであり、凹部や凸部によって電線接続部12と先端の芯線51との間の接触面積を増やし、この間の密着強度を高めるものである。この例示では、複数の凹部17aによって矩形状のセレーション領域17が形成されている。
ここで、電線接続部12と先端の芯線51は、その相互間で電気的に接続されている必要がある。このため、その間への水の浸入は、耐久性を低下させてしまう可能性があるので好ましくない。例えば、電線接続部12と芯線51とがイオン化傾向の大小異なる異種金属材料(銅とアルミニウム等)で成形されている場合、その間においては、水の浸入によって、殊にアルミニウム側が腐食してしまう可能性がある。そこで、この圧着端子1には、電線接続部12と先端の芯線51との間への水の浸入を抑えるための止水部材20が設けられている(図1及び図6)。その止水部材20は、変性アクリル系粘着剤等の粘着剤を主とするシート状に形成されたものである。例えば、止水部材20としては、シート状の不織布に粘着剤を染み込ませて、シートの両面に粘着効果を有するものを用いる。尚、その止水部材20は、例えば、電線接続部12と芯線51とが同種の金属材料(銅等)で成形されている場合、敢えて設けずともよい。
止水部材20は、所定形状に形成した上で、図5に示す平板状の電線接続部12の内壁面に貼り付ける。この例示の止水部材20は、第1止水部21と第2止水部22と第3止水部23とを有する(図6)。第1止水部21は、少なくとも圧着完了後の第1バレル片部15と第2バレル片部16との重なり合っている部分(つまりオーバラップ領域)に止水領域を形成する部分であり、その間からの電線接続部12と先端の芯線51との間への水の浸入を抑える領域である。第2止水部22は、少なくとも圧着完了後の電線接続部12の内方における先端の芯線51の先端位置よりも端子接続部11側に止水領域を形成する部分であり、その端子接続部11側からの電線接続部12と先端の芯線51との間への水の浸入を抑える領域である。第3止水部23は、少なくとも圧着完了後の電線接続部12(具体的には被覆圧着部12B)の内壁面と被覆52との間に止水領域を形成する部分であり、その間からの電線接続部12と先端の芯線51との間への水の浸入を抑える領域である。この止水部材20は、電線接続部12にて電線50の端部と外部との連通を遮断させるものとなるので、電線接続部12と先端の芯線51との間への水の浸入を抑えることができる。
以上示した端子金具10は、母材となる1枚の金属板に対するプレス工程を経て、図5に示す平板状の電線接続部12を有する形態に加工され、その後の止水部材貼付工程において、その平板状の電線接続部12に止水部材20が貼付される。しかる後、この端子金具10は、折り曲げ工程において、端子接続部11が形成され、かつ、U字状の電線接続部12が形成される。
上述した工程を経た圧着端子1は、複数個並べられた連鎖体(以下、「端子連鎖体」という。)30として形成されている(図7)。端子連鎖体30とは、各々が同一方向を向いた状態で並列に等間隔で配置され且つ連鎖状に繋がれた複数の圧着端子1の集合体のことをいう。端子連鎖体30においては、全ての圧着端子1における一方の端部が連結片31によって繋がれている。連結片31は、例えば矩形の板状に成形され、全ての圧着端子1の電線接続部12に対して所定の間隔を空けて配置される。その電線接続部12の底部14と連結片31は、圧着端子1毎に例えば矩形の板状の繋ぎ部32を介して繋がれている。連結片31には、端子連鎖体30を端子圧着装置100の圧着位置まで送るための貫通孔(以下、「端子送り孔」という。)31aが端子連鎖体30の送り方向に沿って等間隔に形成されている。このように形成された端子連鎖体30は、リール状に巻き取られた状態で端子圧着装置100に配置される(図示略)。そして、圧着端子1は、電線50に圧着された後、端子連鎖体30から切り離される。
端子圧着装置100について説明する。
端子圧着装置100は、図8に示すように、所定の圧着位置まで圧着端子1を供給する端子供給装置101と、その圧着位置で圧着端子1を電線50に圧着する圧着装置102と、端子供給装置101及び圧着装置102を動作させるための駆動装置103と、を備える。端子供給装置101と圧着装置102は、この技術分野においてアプリケータと称される装置である。
端子供給装置101は、リール状に巻き取られている端子連鎖体30の外周側における先頭の圧着端子1を引き出して、順次圧着位置まで供給する。この端子供給装置101は、その先頭の圧着端子1の電線50への圧着と端子連鎖体30からの切断とを終えた後、新たに先頭となった圧着端子1を圧着位置まで供給する。この端子供給装置101では、その動作が圧着加工と切断加工を行う度に順次繰り返される。
この端子供給装置101は、この技術分野において周知の構成を有しており、連結片31の端子送り孔31aに挿入される端子送り部材101aと、駆動装置103の動力によって端子送り部材101aを駆動させる動力伝達機構101bと、を備える。動力伝達機構101bは、圧着装置102の圧着動作(後述するラム114A等の上下動)に連動するリンク機構として構成する。この例示の端子供給装置101は、圧着装置102の圧着動作に連動して、端子送り部材101aを上下方向及び左右方向に駆動させることによって、圧着端子1を圧着位置まで供給する。
圧着装置102は、供給された圧着端子1の電線50への圧着と、この圧着端子1の端子連鎖体30からの切り離しと、を行う。このため、この圧着装置102は、圧着機110と端子切断機120とを備える。
圧着機110は、圧着位置まで供給された圧着端子1を電線50の端部に加締めることによって、この圧着端子1を電線50に圧着させる装置である。この例示の圧着機110は、圧着端子1における第1バレル片部15と第2バレル片部16とを電線50における先端の芯線51と被覆52とに各々加締めることによって、この圧着端子1を電線50に圧着させる。この圧着機110は、フレーム111と、互いに対を成す第1金型112及び第2金型113と、動力伝達機構114と、を備える。
フレーム111は、基台111Aと、アンビル支持体111Bと、動力伝達機構114の支持体(以下、「伝達部支持体」という。)111Cと、を備える。基台111Aは、例えば、端子圧着装置100を載せ置く載置台(図示略)の上に固定される。アンビル支持体111Bと伝達部支持体111Cは、基台111Aの上に固定される。伝達部支持体111Cは、アンビル支持体111Bに対して後方(図8の紙面右方)かつ上方(図8の紙面上方)に配置する。具体的に、この伝達部支持体111Cは、アンビル支持体111Bの後方で基台111Aから上方に向けて立設された立設部111Cと、この立設部111Cの上部に保持されたラム支持部111Cと、を有する。ラム支持部111Cは、後述するラム114Aを支持する支持部であり、アンビル支持体111Bの上方に所定の間隔を空けて配置する。
第1金型112と第2金型113は、上下方向に間隔を空けて配置され、その間に配置された圧着端子1と電線50の端部とを挟み込んでいくことで圧着端子1を電線50の端部に圧着させる圧着成形型である(図9)。第1金型112は、2つの下型が形成されたものであり、その下型として第1アンビル112Aと第2アンビル112Bとを有する。第2金型113は、2つの上型が形成されたものであり、その上型として第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bとを有する。第1アンビル112Aと第1クリンパ113Aは、上下方向で互いに対向させて配置されており、その相互間の間隔を狭めていくことによって、U字状の芯線圧着部12Aを先端の芯線51に圧着させる。また、第2アンビル112Bと第2クリンパ113Bは、上下方向で互いに対向させて配置されており、その相互間の間隔を狭めていくことによって、U字状の被覆圧着部12Bを被覆52に圧着させる。
駆動装置103は、その動力を動力伝達機構114に伝えることによって、そのような圧着加工時に第1アンビル112Aと第1クリンパ113Aとの間及び第2アンビル112Bと第2クリンパ113Bとの間を狭め、圧着加工後に第1アンビル112Aと第1クリンパ113Aとの間及び第2アンビル112Bと第2クリンパ113Bとの間を広げる。この例示では、第2金型113を第1金型112に対して上下動させることによって、第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bを同時に第1アンビル112Aと第2アンビル112Bに対して上下動させる。但し、第1アンビル112Aと第2アンビル112Bと第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bは個別に成形された成形体であってもよく、この場合、駆動装置103と動力伝達機構114は、第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bを別々に上下動させるように構成してもよい。この例示では、第1アンビル112Aと第1クリンパ113Aにより芯線圧着部12Aの圧着が始まった後に、第2アンビル112Bと第2クリンパ113Bによる被覆圧着部12Bの圧着が始まる。
本実施形態の動力伝達機構114は、駆動装置103から出力された動力を第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bに伝えるものであり、図8に示すように、ラム114Aと、ラムボルト114Bと、シャンク114Cと、を備える。
ラム114Aは、ラム支持部111Cに対して上下動自在に支持された可動部材である。このラム114Aには、第2金型113が固定されている。このため、第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111Cに対して上下動することができる。例えば、このラム114Aは、方体状に成形している。このラム114Aには、雌螺子部(図示略)が形成されている。その雌螺子部は、ラム114Aの内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成する。
ラムボルト114Bは、ラム114Aの雌螺子部に螺合される雄螺子部(図示略)を有する。このため、このラムボルト114Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111Cに対して上下動することができる。また、このラムボルト114Bは、その雄螺子部の上方に配置されたボルト頭部114Bを有する。そのボルト頭部114Bには、雌螺子部(図示略)が形成されている。その雌螺子部は、ボルト頭部114Bの内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成する。
シャンク114Cは、円柱状の中空部材であり、それぞれの端部に雄螺子部114Cと接続部(図示略)とを有する。このシャンク114Cの雄螺子部114Cは、中空部材の下側に形成されており、ラムボルト114Bのボルト頭部114Bの雌螺子部に螺合される。このため、シャンク114Cは、ラム114Aやラムボルト114Bと一体になってラム支持部111Cに対して上下動することができる。接続部は、駆動装置103に接続される。
駆動装置103は、駆動源(図示略)と、駆動源の駆動力を上下方向の動力に変換する動力変換機構(図示略)と、を有する。シャンク114Cの接続部は、その動力変換機構の出力軸に連結されている。このため、第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bは、駆動装置103の出力(動力変換機構の出力)によって、ラム114Aとラムボルト114Bとシャンク114Cと一体になってラム支持部111Cに対して上下動する。駆動源としては、電動機などの電動アクチュエータ、油圧シリンダなどの油圧アクチュエータ、エアシリンダなどの空気圧アクチュエータ等が適用可能である。
ここで、第1アンビル112Aに対する第1クリンパ113Aの上下方向における相対位置と第2アンビル112Bに対する第2クリンパ113Bの上下方向における相対位置は、ボルト頭部114Bの雌螺子部とシャンク114Cの雄螺子部114Cのねじ込み量を調整することによって、変化させることができる。ナット114Dは、ラムボルト114Bの上方でシャンク114Cの雄螺子部114Cに螺合させており、ボルト頭部114Bの雌螺子部と共に所謂ロックナットの機能を成す。このため、このナット114Dは、上記の相対位置の調整完了後にラムボルト114B側へと締め付けることによって、その相対位置に第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bを固定することができる。
第1アンビル112Aと第2アンビル112Bは、それぞれの上側の先端に、下方に向けて凹ませた凹状面112A,112Bが形成されている(図9)。それぞれの凹状面112A,112Bは、U字状の芯線圧着部12AとU字状の被覆圧着部12Bのそれぞれの底部14の形状に合わせて弧状に形成される。この圧着機110においては、そのそれぞれの凹状面112A,112Bが圧着位置となる。底部14を下側にして供給されてきた圧着端子1は、芯線圧着部12Aの底部14が第1アンビル112Aの上端の凹状面112Aに載置され、被覆圧着部12Bの底部14が第2アンビル112Bの上端の凹状面112Bに載置される。第1金型112は、それぞれに凹状面112A,112Bを上方に露出させた状態でアンビル支持体111Bに支持される。
第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bには、それぞれに、上方に向けて凹ませた凹状部113A,113Bが形成されている(図9)。各凹状部113A,113Bは、第1アンビル112Aと第2アンビル112Bのそれぞれの凹状面112A,112Bに対して上下方向で対向させて配置されている。各凹状部113A,113Bは、互いに対向する第1及び第2の壁面115,116と、第1及び第2の壁面115,116の上端を繋ぐ第3壁面117と、を有する。各凹状部113A,113Bは、第1から第3の壁面115,116,117を第1バレル片部15と第2バレル片部16に接触させつつ、第1バレル片部15と第2バレル片部16を電線50の端部に巻き付けながら加締めていく。各凹状部113A,113Bは、このような加締め動作を行えるように形成する。
このような圧着機110で圧着加工された圧着端子1は、端子切断機120によって連結片31から切り離される。端子切断機120は、圧着位置まで供給された圧着端子1の繋ぎ部32を2つの端子切断部で挟み込んで切断するものであり、その切り離しを圧着工程の進行と同時に行う。端子切断機120は、第2アンビル112Bよりも前側(図8の紙面左側)に配置する。端子切断機120は、端子切断体121と押下部材122と弾性部材123とを備える。
端子切断体121は、方体状に成形され、第2アンビル112Bの前面に沿って上下方向に摺動し得るように配置される。この端子切断体121には、その第2アンビル112Bとの摺接面121aから内方に向けてスリット121bが形成されている(図10及び図11)。スリット121bは、圧着対象の圧着端子1が圧着位置まで供給されてきた際に、この圧着端子1と繋がる繋ぎ部32の一部を突出させた状態で連結片31が挿入される内部空間である。ここでは、そのスリット121bへの連結片31等の挿入が可能な位置を端子切断体121の上下方向における初期位置とする。繋ぎ部32における電線接続部12側の端部は、スリット121bの摺接面121a側(つまり圧着端子1側)の開口を介して、スリット121bの内部から突出させる(図12)。端子切断体121においては、その開口における上側のエッジ部(以下、「開口エッジ」という。)121cが一方の端子切断部として利用される。
押下部材122は、ラム114Aに固定されており、ラム114Aと一体になって上下動する。この押下部材122は、端子切断体121の上方に配置され、下降していって端子切断体121を押し下げる。押下部材122は、方体状に成形される。弾性部材123は、端子切断体121に対して上方への付勢力を加えるものであり、バネ部材等から成る。この弾性部材123は、押下部材122からの押下力が解除されたときに、端子切断体121を上下方向における初期位置に戻す。
この端子切断機120においては、圧着加工時の第2金型113の下降と共に押下部材122が下降し、端子切断体121を押し下げることによって、スリット121bの開口エッジ121cと第2アンビル112Bにおける他方の端子切断部としての上面エッジ112a(図12)との間に繋ぎ部32を挟み込む。この端子切断機120においては、その開口エッジ121cと上面エッジ112aとが鋏の如き作用を為す。このため、この端子切断機120においては、端子切断体121が更に押し下げられることによって、開口エッジ121cと上面エッジ112aとで繋ぎ部32を切断し、圧着端子1を端子連鎖体30から切り離す。尚、切断性を高めるため、開口エッジ121cは、摺接面121a上で上面エッジ112aに対して傾斜させている。
圧着対象となる電線50は、端子切断体121と押下部材122との間における所定の位置に配置される(図12)。電線50は、具体的に、端子切断体121の上面121dに載置される。このため、端子切断体121の上部と押下部材122の下部の内の少なくとも一方には、その間で電線50が押し潰されないように、電線50の逃げのための空間を設けている。
ここで、所定の位置とは、圧着加工前の電線50の端部を平板状の電線接続部12の底部14の上方に存在させ、圧着加工の開始と共に押し下げられた先端の芯線51の先端位置が芯線圧着部12Aから食み出さないように、この芯線51を芯線圧着部12Aの底部14に載置させることが可能な位置のことである。先端の芯線51の先端位置は、圧着加工に伴い、載置されている位置よりも軸線方向に伸びることがある。所定の位置は、その伸びも考慮に入れて決めることが望ましい。
一方、電線50は、その端部(先端の芯線51や被覆52)が第2金型113で電線接続部12の内壁面側に押し下げられるので、何ら保持されていないと、端子切断体121の上面121dから浮き上がり、先端の芯線51や被覆52が電線接続部12の底部14に載置されていない状態で圧着されてしまう虞がある。このため、本実施形態の端子圧着装置100には、端子切断体121の上部との間で電線50を所定の位置に保持し、圧着加工中における電線接続部12に対する電線50の端部の位置ズレを抑える電線保持機構を設けている。電線保持機構は、電線載置部としての端子切断体121の上面121dに載置された電線50を当該上面121dに向けて押さえ付けて保持する電線押さえ118を備える(図12)。その電線押さえ118は、端子切断体121の上方で、かつ、第2金型113と押下部材122との間に配置される。端子切断体121の上面121dと電線押さえ118の下面との間には、電線50の被覆52を保持する空間(以下、「電線保持空間」という。)118Aが形成される(図13及び図14)。その電線保持空間118Aは、圧着工程における端子切断体121の上面121dからの電線50の浮き上がりを抑え、電線接続部12に対する先端の芯線51や被覆52の位置ズレを抑制するものである。電線押さえ118は、端子切断体121の上面121dに対して上下動可能なものであり、下降していくことによって、端子切断体121の上部との間に電線保持空間118Aを形成する。電線押さえ118は、例えば、ラム114Aに固定され、このラム114Aと一体になって上下動する。電線50は、電線押さえ118の下降と共に形成された電線保持空間118Aに保持される。
その圧着工程においては、第2金型113によって、電線50が先端の芯線51側から順に電線接続部12の底部14に向けて押し下げられ、芯線圧着部12Aから被覆圧着部12Bへと徐々に圧着加工位置が移っていく。このため、電線50の端部は、第2金型113によって押し下げられることで、その根元(端子切断体121と第1及び第2の金型112,113との境界部分)から電線接続部12の底部14側(下方)に傾倒する。ここで、電線50においては、電線保持空間118Aによって保持されている部分と第2金型113によって押し下げられている部分との間で曲げが生じた場合、その曲げ部分に負荷が掛かり、その負荷が耐久性低下の要因となる虞がある。また、この電線50においては、端子切断体121の上面121dからの浮き上がりを抑えているにも関わらず、その曲げ部分の負荷によって、電線接続部12に対する先端の芯線51や被覆52の位置ズレを生じさせてしまう虞がある。そして、その位置ズレは、電線接続部12からの先端の芯線51の食み出し等を引き起こしてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態の端子圧着装置100は、押し下げに伴い傾倒している電線50の端部と同じ向きに電線保持空間118Aを傾斜させる。これにより、この端子圧着装置100は、電線保持空間118Aによって保持されている部分と第2金型113によって押し下げられている部分との間に掛かる電線50の負荷を軽減させることができる。このため、この端子圧着装置100は、電線50の耐久性の低下を抑えることができる。更に、この端子圧着装置100は、その電線保持空間118Aによって、圧着加工中に、電線50の負荷を軽減しつつ、端子切断体121の上面121dからの電線50の浮き上がりを抑えることができるので、電線接続部12に対する先端の芯線51や被覆52の位置ズレを抑制することができる。従って、この端子圧着装置100は、その電線保持空間118Aによって所望の圧着加工が可能になるので、圧着加工精度を向上させることができる。
ここで、電線保持空間118Aの傾斜角は、圧着加工が行われているときの電線接続部12の底部14に対する電線50の端部の傾斜角に一致又は近づけることが望ましい。また、その電線50の端部の傾斜角が圧着加工中に変化する場合には、その様々な傾斜角の内の何れかに電線保持空間118Aの傾斜角を一致又は近づけることが望ましい。例えば、電線保持空間118Aの傾斜角は、先端の芯線51が電線接続部12の底部14に当接したときの電線50の端部の傾斜角に一致させる。本実施形態の端子圧着装置100は、このように電線保持空間118Aの傾斜角を設定することで、適切に電線50の負荷を軽減することができる。
具体的に、電線保持空間118Aは、端子切断体121の上面121dに形成した凹部121eと、電線押さえ118の下面に形成した凹部118aと、によって構成する。端子切断体121の凹部121eは、例えば、電線押さえ118の下面に向けて側壁間の間隔が広がるV字状の溝であり、電線50の端部(先端)に近づくにつれて電線押さえ118の下面側から離れるように溝底を傾斜させる。電線押さえ118の凹部118aは、例えば、端子切断体121の上面121dに向けて側壁間の間隔が広がるV字状の溝であり、電線50の端部(先端)に近づくにつれて端子切断体121の上面121d側に近づくように溝底を傾斜させる。それぞれの凹部121e,118aの溝底は、例えば端子切断体121の上面121dに対する傾斜角が同等になるように形成することが望ましい。電線50は、それぞれの凹部121e,118aに挟み込まれることによって、押し下げに伴い傾倒する電線50の端部と同じ向きに傾斜させられ、その状態で電線保持空間118Aに保持される(図15)。
ここで、この端子圧着装置100においては、圧着加工が実際に始まる(第1バレル片部15と第2バレル片部16が第1壁面115と第2壁面116に接触する)前までに又は圧着加工が実際に始まると同時に、電線50が所定の位置で電線保持空間118Aに保持されるよう電線押さえ118を下降させることが望ましい。これにより、この端子圧着装置100においては、圧着加工が実際に始まったときに、先端の芯線51の先端位置が芯線圧着部12Aから食み出さないように、この芯線51が芯線圧着部12Aの底部14に載置されているので、電線接続部12に対する電線50の端部の位置ズレの更なる抑制が可能になる。
この電線保持空間118Aにおいては、それぞれの凹部118a,121eが開口側を互いに向かい合わせたV字状に形成されているので、保持前の電線50が端子切断体121の上面121dに沿って位置ズレしていたとしても、その電線50を電線押さえ118の下降と共にそれぞれの凹部121e,118aの溝底に案内することができる。このため、本実施形態の端子圧着装置100は、電線50が端子切断体121の上面121dに沿って位置ズレしていたとしても、この電線保持空間118Aで所定の位置に保持することができる。
ところで、この端子圧着装置100において、電線押さえ118は、上部118bを押下部材122の内方の空間122aに収容し、その押下部材122に対して上下方向(ラム114Aの上下動の方向)へと相対移動できるように配置してもよい(図16及び図17)。このように構成することで、電線保持空間118Aにおいては、電線50が保持状態となったときに、電線50から電線押さえ118に対して押さえ方向とは逆向きの反作用の力が加わると、電線押さえ118が押下部材122に対して上方へと相対移動し、電線50に加わる力を逃がすことができる。従って、電線50は、この電線保持空間118Aで保持されている場所での変形が抑えられるので、耐久性が向上する。
ここで、この場合の電線押さえ118には、それ以上押下部材122に対して下方へと相対移動させないよう係止される被係止部118cを設けることが望ましい(図16)。その被係止部118cは、例えば、電線押さえ118の上部118bに形成し、押下部材122の内方の空間122aの下方の壁部122bに係止させる。ここでは、その被係止部118cで係止されている電線押さえ118の位置を電線押さえ118の押下部材122に対する初期位置とする。また、押下部材122の内方の空間122aにおいては、この空間122aの上方の壁部122cと電線押さえ118の上部118bとの間に弦巻バネ等の弾性部材130を介在させることが望ましい。この弾性部材130に依れば、電線押さえ118は、凹部118aに対して上方側に向けた力が作用し、押下部材122に対して上方へと相対移動したとしても、その力の作用が無くなったときに初期位置へと戻ることができる。
[変形例]
本変形例は、実施形態で示した端子圧着装置100において、電線押さえ118を下記の電線押さえ218(図18)に置き換えることで、電線保持空間118Aを下記の電線保持空間218A(図19)に変更している。
本変形例の電線押さえ218は、実施形態の電線押さえ118と同じように、下面に凹部218aを有している。その凹部218aは、端子切断体121の凹部121eと共に電線保持空間218Aを構成するものであり、その電線保持空間218Aの傾斜角に合わせて溝底を端子切断体121の上面121dに対して傾けている。この例示でも、電線押さえ218の凹部218aは、V字状の溝として形成している。
ここで、電線保持空間218Aにおいては、端子切断体121の凹部121eや電線押さえ218の凹部218aの溝底の長さ(保持している電線50の軸線方向に沿う長さ)が短いと、第2金型113によって電線50が先端の芯線51側から順に電線接続部12の底部14に向けて押し下げられ、これに伴い電線50の端部が傾倒したとしても、その傾斜状態に応じて傾斜角を設定しているにも拘わらず、その傾斜角で電線50を保持することができない可能性がある。そこで、本変形例の端子圧着装置100では、実施形態のものに対して、端子切断体121の凹部121eと電線押さえ218の凹部218aのそれぞれの溝底の内の少なくとも一方を延伸させ、それぞれの溝底から成る電線保持空間218Aの傾斜角に沿わせた電線50の保持が行われ易くなるように構成する。
但し、本変形例の端子圧着装置100では、例えば、端子切断体121の凹部121eの溝底を延伸させる場合、端子切断体121の上面121dの基準位置(凹部121eを除いた平面部分の上下方向における位置であって、第2金型113によって押動される前に電線50が載せ置かれている部分の位置)を上方に上げざるを得ない。このため、この場合、電線50は、凹部121eの溝底の延伸と共に、電線接続部12から離れた位置で上面121dに載置されることになるので、電線保持空間218Aよりも第1金型112及び第2金型113側への突出長さを長くしなければ、電線接続部12に対して所望の位置に載せ置くことができなくなる。この端子圧着装置100においては、方体状の空間(端子保持部)119aを介して圧着端子1が端子押さえ119で保持されており、圧着端子1の位置を変えることが難しいので、圧着加工に際しての圧着端子1と電線50の位置を合わせるために、電線50の位置を変えて対応する必要があるからである。そして、電線50の端部においては、電線保持空間218Aで保持されない先端側が長くなることで、圧着加工に際して、電線接続部12に対する位置ズレを引き起こしてしまう可能性がある。従って、本変形例では、電線押さえ218の凹部218aの溝底を延伸させる(図19)。
この例示の凹部218aは、実施形態の電線押さえ118の凹部118aと比較して、第2金型113の位置とは逆側に向けて延伸させたものである。この凹部218aの溝底の長さは、第2金型113によって電線50が先端の芯線51側から順に電線接続部12の底部14に向けて押し下げられた際に、電線保持空間218Aで電線50が所望の傾斜状態で保持される長さとする。これにより、本変形例の端子圧着装置100は、電線保持空間218Aにおいて電線50を所望の傾斜状態で保持し易くなるので(図20)、電線保持空間218Aによって保持されている部分と第2金型113によって押し下げられている部分との間に掛かる電線50の負荷が軽減され易くなり、電線50の耐久性の低下を更に抑えることができる。また、この端子圧着装置100は、その電線保持空間218Aによって、圧着加工中に、電線接続部12に対する先端の芯線51や被覆52の位置ズレをより抑制され易くなるので、圧着加工精度を更に向上させることができる。従って、圧着端子1においては、止水部材20が圧着加工中に所望の位置に配置されるので、止水性の更なる向上も可能になる。更に、この端子圧着装置100は、その電線保持空間218Aによって電線50が所望の傾斜状態で保持され易くなっているので、圧着加工中に電線接続部12の底部14からの電線50の浮き上がり量が抑制され、圧着加工中の第1バレル片部15の先端15aや第2バレル片部16の先端16aによる芯線51の横差しや被覆52の噛み込み等の発生を抑えることができる。よって、本変形例の端子圧着装置100は、圧着加工中に第1バレル片部15と第2バレル片部16とで電線50を巻き込んでいくことができるので、この点からも圧着加工精度の向上が可能になり、止水性の向上に寄与することになる。
ところで、本変形例の端子圧着装置100においては、端子切断体121を上下方向(圧着加工に際しての第1金型112と第2金型113との間の相対移動方向)に相対移動可能な状態で保持する保持体224が設けられている(図20及び図21)。その保持体224は、実施形態でも示した弾性部材123を介して端子切断体121を保持するものであり、第1金型112との間で端子切断体121を挟み込む板状部224aを有する。
その板状部224aは、上下方向に沿う平面を有している。端子切断体121は、その平面に沿って上下方向に摺動する。端子切断体121は、圧着加工の開始前の初期位置で、板状部224aの上端面224aよりも上方に突出させており、電線保持空間218Aによって電線50が所望の傾斜状態で保持された後、圧着加工の進行と共に、押下部材122と電線押さえ218とによって押し下げられる。このため、電線50は、圧着加工の進行と共に端子切断体121の凹部121eから離れながら傾斜状態が徐々に解消されていき、圧着加工が完了した際に、端子切断体121の上面121dとその上面121dから電線接続部12の板厚分だけ離れた位置との間に配置される(図21)。
ここで、圧着加工が完了した際には、電線押さえ218の凹部218aと当該凹部218aに上下方向で対向する部分との間に空間が形成され、その空間に電線50が存在している。このため、その空間における上下方向の最小間隔が電線50の直径よりも狭い場合、電線50には、過大な力が作用してしまう可能性がある。例えば、その凹部218aと対向する部分としては、端子切断体121の上面121dが考えられる。しかしながら、端子切断体121は、電線押さえ218に対して上下方向に相対移動することができるので、力が加わることで下降する。このため、電線押さえ218の凹部218aと端子切断体121の上面121dとの間においては、圧着加工が完了した際に、電線50に対する過大な力の作用を抑えることができる。一方、この端子圧着装置100においては、保持体224の板状部224aの上端面224aについても上下方向で電線押さえ218の凹部218aと対向しており、圧着加工が完了した際に、その間で空間225を形成する。圧着加工が完了した際の電線50は、その空間225を介して端子圧着装置100の外方に引き出された状態にある。この端子圧着装置100においては、保持体224が基台111Aに固定されており、電線押さえ218の下降が止まるまで、空間225における上下方向の間隔が狭まっていく。このため、その空間225における上下方向の最小間隔が電線50の直径よりも狭い場合には、電線50に過大な力が作用してしまう可能性がある。
そこで、この端子圧着装置100においては、電線押さえ218の下降を係止し、圧着加工が完了した際の電線押さえ218の凹部218aとの上下方向における最小間隔を電線50の直径よりも大きくする係止部224bを設ける(図20及び図22)。
この例示の係止部224bは、板状部224aの上端面224aに設け、空間225における上下方向の最小間隔が電線50の直径よりも大きくなるように、圧着加工が完了するまでに電線押さえ218の下降を係止するものである。この係止部224bは、圧着加工が完了した際に電線50が間に配置されるよう上端面224aから上方に向けて2箇所に突出させる。このため、板状部224aにおいては、それぞれの係止部224bの間に、上端面224aを溝底とする溝部224cが形成される。この端子圧着装置100においては、それぞれの係止部224bによって空間225が上方に拡大することになり、この空間225での電線50に対する過大な力の作用を抑えることができる。従って、電線50は、その空間225での変形が抑えられるので、耐久性が向上する。更に、この端子圧着装置100においては、圧着加工が完了するまでの間、その空間225での電線50に対する過大な力の作用が抑制されるので、その空間225での力に起因する電線接続部12の底部14からの電線50の浮き上がりを抑えることができる。よって、この端子圧着装置100は、この点からも圧着加工精度を向上させることができる。
ここで、電線押さえ218は、図示しないが、実施形態で説明したものと同じように、上部218b(図18)が弾性部材130を介して押下部材122に保持されており、押下部材122に対して上下方向に相対移動することができる。このため、この端子圧着装置100においては、それぞれの係止部224bで電線押さえ218の下降が止められたとしても、押下部材122を更に下降させることができるので、圧着加工(繋ぎ部32等の切断加工も含む)を完了させることができる。尚、電線押さえ218は、実施形態の電線押さえ118と同じように、押下部材122に対して下方へと相対移動させないよう押下部材122の壁部122bで係止される被係止部218cが設けられている。
尚、係止部224bは、傾斜状態で電線50を保持させない端子圧着装置にも適用可能であり、そのような端子圧着装置であっても同様の効果を得ることができる。
1 圧着端子
10 端子金具
12 電線接続部
14 底部
15 第1バレル片部
16 第2バレル片部
20 止水部材
30 端子連鎖体
31 連結片
32 繋ぎ部
50 電線
51 芯線
52 被覆
100 端子圧着装置
101 端子供給装置
102 圧着装置
103 駆動装置
110 圧着機
112 第1金型
112A 第1アンビル
112B 第2アンビル
112a 上面エッジ(他方の端子切断部)
113 第2金型
113A 第1クリンパ
113B 第2クリンパ
118,218 電線押さえ
118a,218a 凹部
118A,218A 電線保持空間
120 端子切断機
121 端子切断体
121a 摺接面
121b スリット
121c 開口エッジ(一方の端子切断部、上側のエッジ部)
121d 上面(電線載置部)
121e 凹部
122 押下部材
123 弾性部材
224b 係止部
225 空間

Claims (8)

  1. 圧着加工の実施前の圧着端子を電線との圧着位置まで供給する端子供給装置と、
    前記圧着位置まで供給された前記圧着端子を第1金型及び第2金型で前記電線の端部に圧着させる圧着装置と、
    前記電線の端部を前記圧着端子の電線接続部の上方に配置した状態で当該電線を保持する電線保持機構と、
    を備え、
    前記電線保持機構は、前記電線の端部を前記圧着端子の電線接続部の上方に配置した状態で当該電線が載置される電線載置部と、前記電線載置部に向けて下降させ、該電線載置部に載置された前記電線を押さえ付けて保持する電線押さえと、を備え、
    前記電線載置部と前記電線押さえの下面との間には、前記第2金型の前記第1金型に向けた下降に伴い傾倒する前記電線の端部の傾倒方向と同じ向きに傾斜させ、その傾斜状態で前記電線を保持する電線保持空間を形成することを特徴とした端子圧着装置。
  2. 前記電線保持空間は、前記電線載置部に形成した凹部と、前記電線押さえの下面に形成した凹部と、によって構成することを特徴とした請求項1に記載の端子圧着装置。
  3. 前記電線載置部の前記凹部は、前記電線押さえの下面に向けて側壁間の間隔が広がるV字状の溝であり、前記電線の端部に近づくにつれて前記電線押さえの下面側から離れるように溝底を傾斜させ、
    前記電線押さえの前記凹部は、前記電線載置部に向けて側壁間の間隔が広がるV字状の溝であり、前記電線の端部に近づくにつれて前記電線載置部側に近づくように溝底を傾斜させることを特徴とした請求項2に記載の端子圧着装置。
  4. 前記電線押さえの前記凹部における前記電線保持空間で保持された前記電線の軸線方向に沿う長さは、前記第2金型によって前記電線が先端の剥き出しの芯線側から順に前記電線接続部の底部に向けて押し下げられた際に、前記電線保持空間で前記電線が前記傾斜状態で保持される長さとすることを特徴とした請求項2又は3に記載の端子圧着装置。
  5. 前記電線押さえの下降を係止し、前記圧着加工が完了した際の前記電線押さえの前記凹部との上下方向における最小間隔を前記電線の直径よりも大きくする係止部を設けることを特徴とした請求項2,3又は4に記載の端子圧着装置。
  6. 前記電線保持空間の傾斜角は、前記圧着加工が行われているときの前記電線接続部に対する前記電線の端部の傾斜角に一致させることを特徴とした請求項1から5の内の何れか1つに記載の端子圧着装置。
  7. 前記電線押さえは、前記圧着加工が実際に始まる前までに又は前記圧着加工が実際に始まると同時に、前記電線が前記電線保持空間に保持されるよう下降させることを特徴とした請求項1から6の内の何れか1つに記載の端子圧着装置。
  8. 複数の前記圧着端子が各々の繋ぎ部を介して連結片に繋がれており、かつ、前記圧着位置まで供給された前記圧着端子の前記繋ぎ部を2つの端子切断部で挟み込んで切断する端子切断機に前記電線載置部を設ける場合、
    前記端子切断機には、一方の前記端子切断部を有し、該一方の端子切断部を他方の前記端子切断部に向けて移動させるべく下降するものであり、前記圧着位置まで供給されてきた前記圧着端子と繋がる前記繋ぎ部の一部を突出させた状態で前記連結片が挿入されるスリットと、前記スリットの前記圧着端子側の開口における前記一方の端子切断部としての上側のエッジ部と、を備えた端子切断体を設け、
    前記端子切断機は、前記端子切断体の上面を前記電線載置部として利用することを特徴とした請求項1から7の内の何れか1つに記載の端子圧着装置。
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