JP6806613B2 - 圧着端子 - Google Patents

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本発明は、圧着端子に関する。
従来、端子圧着装置によって電線に対して圧着端子を圧着する際の圧着不良を防ぐ技術が提案されている。特許文献1には、端子金具のバレルの外側に潤滑油を吹き付ける潤滑油供給装置の技術が開示されている。
特開平9−35847号公報
ここで、圧着端子の圧着不良を抑制することについて、なお改良の余地がある。例えば、圧着端子の側壁部が金型によって変形させられる場合に、側壁部の先端部分と金型との摩擦抵抗を軽減させることができれば、圧着不良の発生を効果的に抑制できると考えられる。
本発明の目的は、圧着不良の発生を抑制することができる圧着端子を提供することである。
本発明の圧着端子は、底壁部と、前記底壁部の幅方向の両端からそれぞれ突出している一対の側壁部と、を有し、電線に対して圧着される電線接続部を備え、前記一対の側壁部は、前記電線に対して巻き付けられる第一側壁部と、前記第一側壁部の外側に巻き付けられる第二側壁部と、を有し、前記第一側壁部の外側面における突出方向の先端部には、潤滑剤を保持する凹部が形成されていることを特徴とする。
上記圧着端子において、前記第一側壁部の先端部には、外側に向けて凸となる屈曲部が設けられており、前記凹部は、前記屈曲部から前記第一側壁部の先端までの領域に設けられていることが好ましい。
上記圧着端子において、前記凹部は、前記第一側壁部の突出方向に対して傾斜した方向に延在している溝であり、前記外側面の先端の辺に沿って前記溝が複数配置されていることが好ましい。
本発明に係る圧着端子は、底壁部と、底壁部の幅方向の両端からそれぞれ突出している一対の側壁部と、を有し、電線に対して圧着される電線接続部を備える。一対の側壁部は、電線に対して巻き付けられる第一側壁部と、第一側壁部の外側に巻き付けられる第二側壁部と、を有する。第一側壁部の外側面における突出方向の先端部には、潤滑剤を保持する凹部が形成されている。本発明に係る圧着端子によれば、凹部に保持された潤滑剤によって、第一側壁部と金型との摩擦抵抗を軽減することや、第一側壁部と第二側壁部との摩擦抵抗を軽減することができる。これにより、圧着不良の発生を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、実施形態に係る圧着端子の圧着前の状態を示す斜視図である。 図2は、実施形態に係る圧着端子の圧着前の状態を示す側面図である。 図3は、実施形態に係る圧着端子の圧着後を示す斜視図である。 図4は、実施形態に係る圧着端子の圧着後を示す側面図である。 図5は、実施形態に係る圧着端子において、電線接続部の曲げ加工がなされる前の状態を示す斜視図である。 図6は、実施形態に係る圧着端子において止水部材が貼付された状態を示す平面図である。 図7は、実施形態の端子連鎖体を示す平面図である。 図8は、実施形態に係る端子圧着装置の側面図である。 図9は、実施形態に係る端子圧着装置の正面図である。 図10は、実施形態に係る第一および第二の金型を示す斜視図である。 図11は、実施形態に係る端子切断体を示す側面図である。 図12は、実施形態に係る端子切断体を示す背面図である。 図13は、電線および圧着端子が実施形態の端子圧着装置にセットされた状態を示す断面図である。 図14は、実施形態に係る圧着端子の側面図である。 図15は、実施形態に係る圧着端子の断面図である。 図16は、実施形態に係る第一バレル片部の側面図である。 図17は、実施形態の潤滑油供給部を説明する断面図である。 図18は、実施形態の圧着工程の初期を示す断面図である。 図19は、実施形態の圧着工程の中期を示す断面図である。 図20は、実施形態の圧着工程の終期を示す断面図である。 図21は、実施形態に係る凹部の拡大図である。
以下に、本発明の実施形態に係る圧着端子につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図21を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、圧着端子に関する。なお、図13には、図9のXIII−XIII断面が示されている。図15には、図14のXV−XV断面が示されている。
まず、本実施形態に係る圧着端子1について説明する。図1等に示す圧着端子1は、電線50に対して圧着される端子である。圧着端子1は、電線50と一体になった状態で相手側端子(図示略)に対して電気的に接続される。圧着対象の電線50は、端部の被覆52が取り除かれて芯線51が所定の長さ露出している。芯線51は、複数本の素線の集合体であってもよく、同軸ケーブルのような単線であってもよい。圧着端子1は、電線50の端部に圧着されることで、露出している芯線51に対して電気的に接続される。
圧着端子1は、端子金具10および止水部材20を有する。端子金具10は、圧着端子1の主体部分である。端子金具10は、母材としての導電性の金属板(例えば銅板、銅合金板)から形成される。端子金具10は、母材に対する打ち抜き加工や折り曲げ加工等により、相手側端子や電線50との接続が可能な所定の形状に形成される。端子金具10は、端子接続部11および電線接続部12を有する。端子接続部11は、相手側端子に対して電気的に接続される部分である。電線接続部12は、電線50に対して圧着される部分であり、芯線51に対して電気的に接続される。端子接続部11と電線接続部12との間には、連結部13が設けられている。言い換えると、端子接続部11と電線接続部12とは連結部13を介して連結されている。連結部13は、端子接続部11の側壁11a,11aと、電線接続部12の側壁であるバレル片部15,16とを繋ぐ側壁13a,13aを有する。一方の側壁13aは、一方の側壁11aと第一バレル片部15とを繋ぎ、他方の側壁13aは、他方の側壁11aと第二バレル片部16とを繋ぐ。側壁13aの高さは、バレル片部15,16や側壁11aの高さよりも低くなっている。より詳しくは、側壁13aの高さは、端子接続部11から電線接続部12へ向かうに従って低くなっている。
端子金具10は、雄端子であっても雌端子であってもよい。端子接続部11は、端子金具10が雄端子である場合、雄型に成型され、端子金具10が雌端子である場合、雌型に成型される。
圧着端子1の説明において、相手側端子との接続方向、すなわち相手側端子との挿入方向を第一方向Lと称する。第一方向Lは、圧着端子1の長手方向である。圧着端子1の並列配置方向を第二方向Wと称する。並列配置方向は、後述するように端子連鎖体30において圧着端子1が並列配置される方向であり、圧着端子1の幅方向である。圧着端子1において、第一方向Lおよび第二方向Wの何れとも直交する方向を第三方向Hと称する。第三方向Hは、圧着端子1の高さ方向である。
成型工程において、圧着端子1は、平板な板状に成型され、この状態から、端子接続部成形工程において、端子接続部11が図1に示すように筒状に形成される。端子接続部成形工程では、端子接続部11に対する折り曲げ加工等がなされる。本実施形態の端子接続部11は、断面形状が矩形の筒形状に形成される。電線接続部12は、電線接続部成形工程において、断面形状がU字状となるように成型される。電線接続部成形工程では、電線接続部12に対する折り曲げ加工等がなされる。また、電線接続部12には、貼付工程において、止水部材20が貼付けられる。貼付工程は、電線接続部成形工程よりも前に実行されても、電線接続部成形工程の後で実行されてもよい。
図1および図6に示すように、電線接続部12は、底部14、第一バレル片部15、および第二バレル片部16を有する。底部14は、U字状に形成された電線接続部12の底壁となる部位である。底部14には、圧着加工の際に電線50の端部が載置される。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、U字状に形成された電線接続部12の側壁となる部位である。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14における第二方向Wの端部につながっている。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14の幅方向の端部から、幅方向と交差する方向に向けて突出している。U字状に形成された電線接続部12では、底部14に電線50の端部が載置されると、第一バレル片部15および第二バレル片部16が第二方向Wの両側から電線50を囲む。
第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14側の根元から先端部15a,16aの端面までの長さが互いに等しくてもよく、一方の長さが他方の長さよりも長くてもよい。本実施形態の圧着端子1では、第一バレル片部15における根元から先端部15aまでの長さよりも、第二バレル片部16における根元から先端部16aまでの長さが長い。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、例えば、互いに重なり合いながら電線50に対して巻き付けられる。本実施形態では、第一バレル片部15の外側に第二バレル片部16が重なる。なお、第一バレル片部15および第二バレル片部16は、所謂Bクリンプと称する加締めがなされてもよい。Bクリンプでは、第一バレル片部15および第二バレル片部16のそれぞれが底部14側に向けて折り曲げられて先端部15a,16aが電線50に向けて押しつけられるように加締められる。本実施形態の圧着端子1には、後述する止水部材20が設けられることから、前者の加締め処理が採用される。
電線50の端部は、電線接続部12のU字の開口部、すなわち先端部15a,16aの隙間からU字状の内側の空間に挿入される。電線接続部12は、電線50の端部が挿入されやすいように形成されている。具体的には、電線接続部12は、底部14側から先端部15a,16aの端面へ向かうにつれて第一バレル片部15と第二バレル片部16との第二方向Wの間隔が広がっている。
第一バレル片部15および第二バレル片部16は、図2乃至図6に示すように、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとの間に連結圧着部12Cが介在している。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、それぞれ圧着部12A,12C,12Bがこの順序で第一方向Lに沿って連続している一枚の片部である。
芯線圧着部12Aは、電線50の先端の芯線51に対して圧着される部位である。芯線圧着部12Aは、各バレル片部15,16における最も連結部13寄りの部位である。被覆圧着部12Bは、被覆52の端部に対して圧着される部位である。被覆圧着部12Bは、各バレル片部15,16における最も連結部13側から遠い側に位置する部位である。連結圧着部12Cは、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとを繋ぐ部位である。連結圧着部12Cは、電線50における芯線51と被覆52との境界部分に対して圧着される。電線接続部12は、電線50に対して圧着されることで芯線51および被覆52を一体に覆う。
図5および図6に示すように、電線接続部12の内壁面、すなわち電線50を覆う側の壁面には、セレーション領域17が設けられている。セレーション領域17は、芯線51を保持する芯線保持領域である。セレーション領域17は、電線接続部12の内壁面において、芯線51に対して巻き付けられる部分を含む領域である。セレーション領域17には、複数の凹部、複数の凸部、または凹部と凸部の組み合わせが配置される。凹部や凸部は、電線接続部12と芯線51との接触面積を増やし、両者の密着強度を高める。本実施形態のセレーション領域17は、矩形の領域であり、第一方向Lの互いに異なる位置に複数の凹部17aが形成されている。
ここで、芯線51と、芯線51に対して圧着された電線接続部12との間に水が浸入してしまうことは好ましくない。例えば、芯線51の金属材料と電線接続部12の金属材料とがイオン化傾向の大きさの異なるものである場合、腐食の可能性がある。一例として、芯線51の材料がアルミニウム、電線接続部12の材料が銅である場合、芯線51が腐食してしまう可能性がある。本実施形態の圧着端子1には止水部材20が設けられている。止水部材20は、電線接続部12と芯線51との間への水の浸入を抑制する。
止水部材20は、例えば、アクリル系粘着剤等の粘着剤を主とするシート状に形成された部材である。本実施形態の止水部材20としては、シート状の不織布に粘着剤を染み込ませて形成された粘着シートであって、両面に粘着効果を有するものが用いられる。
止水部材20は、例えば、図5に示す平板状の電線接続部12の内壁面に対して貼付けられる。止水部材20は、図6に示すように、所定形状に形成されており、第一止水部21、第二止水部22、および第三止水部23を有する。第一止水部21は、圧着完了後に第一バレル片部15と第二バレル片部16とが重なり合う部分を止水する。つまり、第一止水部21は、互いに重なり合う第一バレル片部15と第二バレル片部16との間に挟み込まれてバレル片部15,16の間に止水領域を形成する。本実施形態の第一止水部21は、第二バレル片部16に配置されており、第一方向Lに沿って延在している。
第二止水部22は、芯線51の先端よりも端子接続部11側を止水する。第二止水部22は、電線接続部12における端子接続部11側の端部に配置されており、第二方向Wに沿って延在している。第二止水部22の少なくとも一部は、芯線51が載置される領域に設けられることが望ましい。第二止水部22は、例えば、重なり合うバレル片部15,16の間に挟み込まれることにより、バレル片部15,16の隙間に止水領域を形成する。第二止水部22は、圧着工程において互いに重なり合うことにより、芯線51の先端よりも端子接続部11側の隙間を塞ぐこともできる。第二止水部22は、電線接続部12と芯線51との間への端子接続部11側からの浸水を抑制する。
第三止水部23は、電線接続部12と被覆52との隙間からの水の浸入を抑制する。第三止水部23は、電線接続部12における端子接続部11側と反対側の端部に配置されており、第二方向Wに沿って延在している。第三止水部23は、被覆52と電線接続部12との間に挟み込まれることにより、被覆52と電線接続部12との間に止水領域を形成する。
以上示した端子金具10は、母材となる一枚の金属板に対するプレス工程を経て、図5に示す平板状の電線接続部12を有する形態に加工される。その後の止水部材貼付工程において、その平板状の電線接続部12に止水部材20が貼付される。しかる後、この端子金具10は、折り曲げ工程において、端子接続部11が形成され、かつ、U字状の電線接続部12が形成される。
本実施形態では、プレス工程や折り曲げ工程によって、図7に示す端子連鎖体30が形成される。端子連鎖体30は、複数の圧着端子1が連鎖したものであり、一枚の金属板から形成される。端子圧着装置100には、端子連鎖体30が供給される。端子圧着装置100は、端子連鎖体30に対して圧着工程および端子切断工程を実行する。圧着工程は、端子連鎖体30の圧着端子1を電線50に対して加締めて圧着させる工程である。端子切断工程は、電線50に対して加締められた圧着端子1を端子連鎖体30から切り離す工程である。
端子連鎖体30は、圧着端子1の集合体である。端子連鎖体30は、連結片31、複数の圧着端子1、および複数の繋ぎ部32を有する。連結片31、圧着端子1、および繋ぎ部32は、同一の母材から形成されており、一体である。端子連鎖体30において、それぞれの圧着端子1は同一方向を向いており、かつ等間隔で並列に配置されている。端子連鎖体30では、各圧着端子1の一方の端部が連結片31によって互いに繋がれている。連結片31の形状は、例えば、矩形の細長い板状である。連結片31は、第二方向Wに沿って延在している。電線接続部12は、繋ぎ部32を介して連結片31とつながっている。より詳しくは、繋ぎ部32は、底部14における端子接続部11側とは反対側の端部を連結片31に繋いでいる。
連結片31には、複数の端子送り孔31aが形成されている。端子送り孔31aは、端子連鎖体30の送り方向に沿って等間隔で配置されている。端子送り孔31aは、連結片31を板厚方向に貫通している貫通孔である。端子送り孔31aによって、後述する圧着装置102に対する圧着端子1の位置決めがなされる。端子連鎖体30は、リール状に巻き取られた状態で端子圧着装置100に対してセットされる。
図8に示すように、端子圧着装置100は、端子供給装置101、圧着装置102、および駆動装置103を有する。端子圧着装置100は、この技術分野においてアプリケータと称される装置である。端子供給装置101は、所定の圧着位置に圧着端子1を供給する装置である。圧着装置102は、所定の圧着位置で電線50に対して圧着端子1を圧着する装置である。駆動装置103は、端子供給装置101および圧着装置102を動作させる装置である。
端子供給装置101は、リール状に巻き取られている端子連鎖体30を外周側から順次引き出す。端子供給装置101は、引き出した端子連鎖体30の圧着端子1を先頭側から順に圧着位置に供給する。端子供給装置101は、先頭の圧着端子1が電線50に対して圧着され、かつ連結片31から切り離されると、新たに先頭となった圧着端子1を圧着位置に供給する。端子供給装置101は、一つの圧着端子1の圧着工程および端子切断工程が完了する毎に供給動作を行って次の圧着端子1を圧着位置に供給する。
端子供給装置101は、端子送り部材101aおよび動力伝達機構101bを有する。端子送り部材101aは、連結片31の端子送り孔31aに挿入される突起部を有する。端子送り部材101aは、端子送り孔31aに突起部が挿入された状態で端子連鎖体30を送り方向に移動させる。動力伝達機構101bは、圧着装置102による圧着動作(後述するラム114A等の上下動)に連動して端子送り部材101aを動作させる。端子供給装置101は、圧着装置102の圧着動作に連動して、端子送り部材101aを上下方向および送り方向に移動させることによって圧着端子1を圧着位置に供給する。
圧着装置102は、供給された圧着端子1を電線50に圧着させる圧着工程と、この圧着端子1を連結片31から切り離す端子切断工程とを実行する。圧着装置102は、圧着機110および端子切断機構120を有する。
圧着機110は、圧着端子1を電線50の端部に加締めることにより、圧着端子1を電線50に圧着させる装置である。本実施形態の圧着機110は、圧着端子1の第一バレル片部15および第二バレル片部16を電線50の芯線51および被覆52に対して巻き付けるように加締めることで圧着端子1を電線50に圧着させる。圧着機110は、フレーム111、第一金型112、第二金型113、および動力伝達機構114を有する。
フレーム111は、基台111A、アンビル支持体111B、伝達部支持体111C、および支持台111Dを有する。基台111Aは、端子圧着装置100の土台をなす部材である。基台111Aは、端子圧着装置100が載置される載置台に対して固定される。アンビル支持体111B、伝達部支持体111C、および支持台111Dは、基台111Aの上に固定される。
伝達部支持体111Cは、アンビル支持体111Bに対して後方(図8の紙面右方)かつ上方(図8の紙面上方)に配置される。より具体的には、伝達部支持体111Cは、立設部111Cおよびラム支持部111Cを有する。立設部111Cは、アンビル支持体111Bの後方に配置されており、基台111Aから上方に向けて立設されている。ラム支持部111Cは、立設部111Cの上部に保持されている。ラム支持部111Cは、後述するラム114Aを支持する支持部である。ラム支持部111Cは、アンビル支持体111Bの上方に、アンビル支持体111Bとの間に所定の間隔をあけて配置されている。支持台111Dは、圧着端子1の端子接続部11を支持する台である。支持台111Dの上面の高さ位置は、第一金型112の上面の高さ位置と略同様の位置である。
第一金型112と第二金型113とは対をなしている。第一金型112と第二金型113とは上下方向において間隔をあけて配置されている。第一金型112および第二金型113は、図10に示すように圧着端子1および電線50を間に挟み込むことで、圧着端子1を電線50に対して圧着させる。第一金型112は、圧着端子1を下方から支持する金型である。第一金型112は、二つの下型が形成されたものであり、第一の下型としての第一アンビル112Aおよび第二の下型としての第二アンビル112Bを有する。第一アンビル112Aと第二アンビル112Bとは、例えば、一体に成形される。第二金型113は、第一金型112に対して上方に配置されている。第二金型113は、二つの上型が形成されたものであり、第一の上型としての第一クリンパ113Aおよび第二の上型としての第二クリンパ113Bを有する。
第一アンビル112Aと第一クリンパ113Aとは上下方向において互いに対向している。第一アンビル112Aおよび第一クリンパ113Aは、芯線圧着部12Aを圧着させる。すなわち、第一アンビル112Aおよび第一クリンパ113Aは、その相互間の間隔を狭めていくことにより、U字状の芯線圧着部12Aを電線50の芯線51に対して巻き付け、芯線51に圧着させる。
第二アンビル112Bと第二クリンパ113Bとは上下方向において互いに対向している。第二アンビル112Bおよび第二クリンパ113Bは、被覆圧着部12Bを圧着させる。すなわち、第二アンビル112Bおよび第二クリンパ113Bは、その相互間の間隔を狭めていくことによって、U字状の被覆圧着部12Bを被覆52に対して巻き付け、被覆52に圧着させる。
駆動装置103は、動力を動力伝達機構114に伝えることによって、圧着工程では第一金型112と第二金型113との間隔を狭め、電線接続部12を電線50に対して圧着させる。一方、駆動装置103は、圧着工程が完了すると第一金型112と第二金型113との間隔を広げる。本実施形態の圧着装置102では、第二金型113が第一金型112に対して上下動することにより、一対の金型112,113の間隔が変化する。
なお、第一金型112において、第一アンビル112Aと第二アンビル112Bとが別体とされ、第二金型113において第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bとが別体とされてもよい。この場合、駆動装置103および動力伝達機構114は、第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bとを別々に上下動させるように構成されてもよい。
動力伝達機構114は、駆動装置103から出力された動力を第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bに伝達する。図8に示すように、動力伝達機構114は、ラム114A、ラムボルト114B、およびシャンク114Cを有する。
ラム114Aは、ラム支持部111Cに対して上下動自在に支持された可動部材である。ラム114Aには、第二金型113が固定されている。このため、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111Cに対して上下動する。ラム114Aの形状は、例えば、方体状である。ラム114Aには、雌ネジ部(図示略)が形成されている。その雌ネジ部は、ラム114Aの内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成されている。
ラムボルト114Bは、雄ネジ部(図示略)を有し、この雄ネジ部がラム114Aの雌ネジ部に螺合されている。このため、ラムボルト114Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111Cに対して上下動する。また、ラムボルト114Bは、その雄ネジ部の上方に配置されたボルト頭部114Bを有する。ボルト頭部114Bには、雌ネジ部(図示略)が形成されている。ボルト頭部114Bの雌ネジ部は、ボルト頭部114Bの内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成されている。
シャンク114Cは、円柱状の中空部材であり、それぞれの端部に雄ネジ部114Cと接続部(図示略)とを有する。シャンク114Cの雄ネジ部114Cは、中空部材の下側に形成されており、ラムボルト114Bのボルト頭部114Bの雌ネジ部に螺合されている。従って、シャンク114Cは、ラム114Aやラムボルト114Bと一体になってラム支持部111Cに対して上下動する。シャンク114Cの接続部は、駆動装置103に接続される。
駆動装置103は、駆動源(図示略)と、駆動源の駆動力を上下方向の動力に変換する動力変換機構(図示略)と、を有する。シャンク114Cの接続部は、その動力変換機構の出力軸に連結されている。従って、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bは、駆動装置103の出力(動力変換機構の出力)によって、ラム114A、ラムボルト114B、およびシャンク114Cと一体になってラム支持部111Cに対して上下動する。駆動装置103の駆動源としては、電動機などの電動アクチュエータ、油圧シリンダなどの油圧アクチュエータ、エアシリンダなどの空気圧アクチュエータ等が適用可能である。
第一アンビル112Aに対する第一クリンパ113Aの上下方向における相対位置、および第二アンビル112Bに対する第二クリンパ113Bの上下方向における相対位置は、ボルト頭部114Bの雌ネジ部とシャンク114Cの雄ネジ部114Cのねじ込み量を調整することによって、変化させることができる。ナット114Dは、ラムボルト114Bの上方でシャンク114Cの雄ネジ部114Cに螺合されている。従って、ナット114Dは、ボルト頭部114Bの雌ネジ部と共に所謂ロックナットの機能を成す。ナット114Dは、上記の相対位置の調整完了後にラムボルト114B側へと締め付けられることによって、その相対位置に第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bを固定することができる。
図10に示すように、第一アンビル112Aおよび第二アンビル112Bには、それぞれの上側の先端に、下方に向けて凹ませた凹状面112A,112Bが形成されている。それぞれの凹状面112A,112Bは、U字状の芯線圧着部12AとU字状の被覆圧着部12Bのそれぞれの底部14の形状に合わせて、断面形状が弧状となるように形成されている。この圧着機110においては、それぞれの凹状面112A,112Bが圧着位置となる。底部14を下側にして供給されてきた圧着端子1は、芯線圧着部12Aの底部14が第一アンビル112Aの凹状面112Aに載置され、被覆圧着部12Bの底部14が第二アンビル112Bの凹状面112Bに載置される。第一金型112は、凹状面112A,112Bを上方に露出させた状態でアンビル支持体111Bによって支持されている。
図10に示すように、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bには、それぞれに、上方に向けて凹ませた凹状部113A,113Bが形成されている。各凹状部113A,113Bは、第一アンビル112Aおよび第二アンビル112Bのそれぞれの凹状面112A,112Bに対して上下方向で対向させて配置されている。各凹状部113A,113Bは、第一及び第二の壁面115,116と、第3壁面117と、を有する。第一壁面115と第二壁面116とは第二方向Wにおいて互いに対向している。第三壁面117は、第一及び第二の壁面115,116の上端を繋いでいる。各凹状部113A,113Bは、第一から第三の壁面115,116,117を第一バレル片部15および第二バレル片部16に接触させつつ、第一バレル片部15および第二バレル片部16を電線50の端部に巻き付けながら加締めていく。各凹状部113A,113Bは、このような加締め動作を行えるように形成されている。
圧着機110で圧着加工された圧着端子1は、端子切断機構120によって連結片31から切り離される。端子切断機構120は、圧着位置に供給された圧着端子1の繋ぎ部32を二つの端子切断部で挟み込んで切断するものであり、その切り離しを圧着工程の進行と連動して行う。図8に示すように、端子切断機構120は、第二アンビル112Bよりも前側(図8の紙面左側)に配置されている。端子切断機構120は、端子切断体121、押下部材122、および弾性部材123を備える。
端子切断体121は、方体状に成形され、第二アンビル112Bの前面に沿って上下方向に摺動し得るように配置される。端子切断体121には、図11および図12に示すように、第二アンビル112Bとの摺接面121aから内方に向けてスリット121bが形成されている。スリット121bは、端子連鎖体30の連結片31の通路である。圧着対象の圧着端子1が圧着位置まで供給されてきた際に、この圧着端子1と繋がる繋ぎ部32の一部がスリット121bから突出する。圧着位置に供給された圧着端子1は、第一金型112によって下方から支持されている。
端子切断体121は、第一金型112および圧着端子1に対して相対的に上下動しながら繋ぎ部32を切断する。ここでは、スリット121bへの連結片31等の挿入が可能な位置を端子切断体121の上下方向における初期位置とする。図13に示すように、繋ぎ部32における電線接続部12側の端部は、スリット121bの摺接面121a側(つまり圧着端子1側)の開口を介して、スリット121bから突出する。端子切断体121においては、その開口における上側のエッジ部(以下、「開口エッジ」という。)121cが一方の端子切断部として利用される。他方の端子切断部は、第二アンビル112Bの上面エッジ112aである。
押下部材122は、ラム114Aに固定されており、ラム114Aと一体になって上下動する。押下部材122は、端子切断体121の上方に配置され、下降していって端子切断体121を押し下げる。押下部材122は、方体状に成形されている。弾性部材123は、端子切断体121に対して上方への付勢力を加えるものであり、バネ部材等からなる。この弾性部材123は、押下部材122からの押下力が解除されたときに、端子切断体121を上下方向における初期位置に戻す。
この端子切断機構120においては、圧着加工時の第二金型113の下降と共に押下部材122が下降し、端子切断体121を押し下げる。端子切断体121が下降することによって、スリット121bの開口エッジ121cと第二アンビル112Bの上面エッジ112a(図13)との間に繋ぎ部32が挟み込まれる。この端子切断機構120においては、開口エッジ121cと上面エッジ112aとが鋏の如き作用を為し、繋ぎ部32に対して剪断力を加える。端子切断体121が更に押し下げられることによって、開口エッジ121cと上面エッジ112aとが繋ぎ部32を切断し、圧着端子1を連結片31から切り離す。尚、切断性を高めるため、開口エッジ121cは、摺接面121a上で上面エッジ112aに対して傾斜させている。
図13に示すように、圧着対象となる電線50は、端子切断体121と押下部材122との間における所定の位置に配置される。電線50は、具体的に、端子切断体121の上面121dに載置される。このため、端子切断体121の上部と押下部材122の下部の内の少なくとも一方には、その間で電線50が押し潰されないように、電線50の逃げのための空間が設けられている。
ここで、所定の位置とは、圧着加工前の電線50の端部を平板状の電線接続部12の底部14の上方に存在させる位置である。また、所定の位置は、圧着加工の開始と共に押し下げられた芯線51の先端が芯線圧着部12Aからはみ出さないように、この芯線51を芯線圧着部12Aの底部14に載置させることが可能な位置のことである。芯線51が圧着加工に伴って軸線方向に伸び、芯線51の先端位置が軸線方向に沿って移動することがある。所定の位置は、その伸びも考慮に入れて決めることが望ましい。
一方、電線50は、その端部(先端の芯線51や被覆52)が第二金型113で電線接続部12の内壁面側に押し下げられる。このため、何ら保持されていないと、端子切断体121の上面121dから電線50が浮き上がり、先端の芯線51や被覆52が電線接続部12の底部14に載置されていない状態で圧着されてしまう虞がある。このため、本実施形態の端子圧着装置100には、端子切断体121の上部との間で電線50を所定の位置に保持し、圧着加工中における電線接続部12に対する電線50の端部の位置ズレを抑える電線保持機構が設けられている。
電線保持機構は、電線載置部としての端子切断体121の上面121dに載置された電線50を当該上面121dに向けて押さえ付けて保持する電線押さえ118を備える(図13)。電線押さえ118は、端子切断体121の上方で、かつ、第二金型113と押下部材122との間に配置される。端子切断体121の上面121dと電線押さえ118の下面との間には、電線50の被覆52を保持する空間(以下、「電線保持空間」という。)118Aが形成される。電線保持空間118Aは、圧着工程における端子切断体121の上面121dからの電線50の浮き上がりを抑え、電線接続部12に対する先端の芯線51や被覆52の位置ズレを抑制する。電線押さえ118は、端子切断体121の上面121dに対して上下動可能なものであり、下降していくことによって、端子切断体121の上部との間に電線保持空間118Aを形成する。電線押さえ118は、例えば、ラム114Aに固定され、このラム114Aと一体になって上下動する。電線50は、電線押さえ118の下降と共に形成された電線保持空間118Aに保持される。
上記のように、本実施形態の圧着端子1では、電線接続部12の2枚のバレル片部15,16が重なり合いながら電線50に対して巻き付けられる。ここで、第二金型113によってバレル片部15,16が折り曲げられるときに、第一バレル片部15の折り曲げがスムーズに進行することが望ましい。第一バレル片部15の折り曲げがスムーズになされれば、第一バレル片部15が第二バレル片部16の内側に入り込みやすくなる。その結果、巻き付けの途中で第一バレル片部15と第二バレル片部16とがぶつかり合ってしまうことによる圧着不良の発生が抑制される。
本実施形態の圧着端子1では、図16に示すように、第一バレル片部15に凹部152が形成されている。凹部152が形成される部位は、図14および図15に示す第一バレル片部15の凹部形成領域151aである。凹部形成領域151aは、第一バレル片部15の外側面151における突出方向の先端部の領域である。外側面151は、圧着前の第一バレル片部15において第二バレル片部16側とは反対側を向く面であり、電線50に対して圧着されたときに外側を向く面である。凹部形成領域151aは、外側面151における底部14から最も遠い側の縁部の領域、すなわち底部14から突出する第一バレル片部15の突出方向先端の縁部の領域である。
図15に示すように、本実施形態の第一バレル片部15の先端部15aには、屈曲部15bが設けられている。圧着前の第一バレル片部15は、屈曲部15bよりも先端側が第二バレル片部16側、すなわち内側に向かうように、屈曲部15bにおいて折れ曲がっている。言い換えると、屈曲部15bは、外側に向けて凸となっている。第一バレル片部15において、屈曲部15bよりも先端側は、第二バレル片部16に向けて傾斜している。
図15および図16に示すように、凹部形成領域151aは、屈曲部15bから第一バレル片部15の先端までの範囲である。図16に示すように、凹部152は、芯線圧着部12Aおよび被覆圧着部12Bに形成されている。凹部152は、更に、連結圧着部12Cに形成されてもよい。本実施形態の凹部152は、溝であり、例えば、一定の幅で延在している。凹部152は、屈曲部15bから第一バレル片部15の先端まで連続的に延在している。つまり、本実施形態の凹部152は、その一端が屈曲部15bに位置しており、他端が第一バレル片部15の先端に位置している。凹部152は、第一バレル片部15の先端面に開口していてもよい。
図16に示すように、凹部152は、第一凹部152aおよび第二凹部152bを有する。第一凹部152aおよび第二凹部152bは、それぞれ第一バレル片部15の突出方向に対して傾斜した方向に延在している。つまり、図16に示すように第一バレル片部15を側方から見た場合に、第一凹部152aおよび第二凹部152bは第三方向Hに対して傾斜している。第一凹部152aの傾斜方向と第二凹部152bの傾斜方向は逆方向となっている。第一凹部152aは、底部14へ向かうに従って繋ぎ部32側へ向かうように傾斜している。一方、第二凹部152bは、底部14へ向かうに従って連結部13側へ向かうように傾斜している。
凹部形成領域151aには、第一凹部152aおよび第二凹部152bがそれぞれ複数形成されている。より詳しくは、凹部形成領域151aには、第一凹部152aおよび第二凹部152bが第一方向Lに沿って交互に配置されている。第一凹部152aおよび第二凹部152bは、それぞれ潤滑剤を保持することができるように形成されている。第一凹部152aおよび第二凹部152bの幅、溝深さ、および長さは、供給される潤滑剤を保持することが可能なように定められている。第一凹部152aおよび第二凹部152bは、少なくとも圧着工程において第二金型113に接触するまでの間は潤滑剤を保持しておくことができる。本実施形態の潤滑剤は、潤滑油である。
図17に示すように、潤滑油の供給は、潤滑油供給部104によってなされる。潤滑油供給部104は、第一バレル片部15の凹部形成領域151aに対して潤滑油18を供給する。潤滑油供給部104は、端子供給装置101によって圧着端子1が圧着装置102に向けて送られる際の電線接続部12の移動経路に配置されている。つまり、潤滑油供給部104は、圧着される直前の電線接続部12に対して潤滑油18を供給する。
図17に示すように、潤滑油供給部104は、塗布部104aおよびオイルポット104bを有する。オイルポット104bは、潤滑油18が貯留される容器である。塗布部104aは、可撓性を有し、かつ潤滑油18が浸透可能な部材である。塗布部104aは、例えば、刷毛であり、第一バレル片部15と対向するように配置されている。塗布部104aの下端部は、オイルポット104bの潤滑油18に浸っている。塗布部104aは、オイルポット104bから吸い上げた潤滑油18を第一バレル片部15の凹部形成領域151aに塗布する。塗布部104aによって塗布された潤滑油18は、凹部形成領域151aの凹部152に保持される。
図18には、圧着工程において下降してきた第二金型113が電線接続部12に接触するときの状態が示されている。電線接続部12は、第一金型112の凹状面112Bに載置され、凹状面112Bによって支持されている。電線接続部12の内側には、電線50が配置されている。電線50は、例えば、底部14に接触するように保持されている。圧着工程において下降してきた第二金型113は、第一バレル片部15および第二バレル片部16に接触してバレル片部15,16に対する曲げ加工を開始する。このときに、第二金型113の第一壁面115は、第一バレル片部15の凹部形成領域151aに接触する。凹部形成領域151aの凹部152に保持されていた潤滑油18は、外側面151と第一壁面115との間の摩擦係数を低減させる。
第一バレル片部15には、第一壁面115から、摩擦力F1および押圧力F2が作用する。押圧力F2によって、第一バレル片部15が内側に向けて折り曲げられ、電線50に対して巻き付けられていく。潤滑油18によって外側面151と第一壁面115との間の摩擦係数が低減されることで、第一バレル片部15に作用する摩擦力F1が低減する。これにより、第一バレル片部15の折り曲げ、すなわち内側へ向けての第一バレル片部15の傾斜がスムーズになされる。
図19には、図18の状態よりも更に第二金型113が下降した状態が示されている。
第二金型113の第一壁面115は、第一バレル片部15を第二バレル片部16側に向けて押し込む。第一バレル片部15の主体部分は、第三方向Hに沿って延在している。第一バレル片部15の先端部15aは、第二バレル片部16側へ傾斜している。第二金型113の第二壁面116は、第二バレル片部16を内側に向けて押圧し、第一バレル片部15側へ傾斜させる。第二壁面116によって押圧される第二バレル片部16は、第一バレル片部15に対して上方から覆い被さるように傾斜していく。
第二金型113が更に下降すると、第二バレル片部16が第一バレル片部15に接触する。第一バレル片部15の先端部15aは、第二バレル片部16側に傾斜した誘い込み形状となっている。従って、第一バレル片部15の先端部15aが第二バレル片部16の内側面に接触すると、第一バレル片部15は第二バレル片部16側に向けて倒れ込み、第二バレル片部16と電線50との間に入り込む。第一バレル片部15が倒れ込んでいくときに、第一バレル片部15の先端部15aは、第二バレル片部16の内側面と摺動する。ここで、本実施形態の第一バレル片部15は、先端部15aの凹部形成領域151aが潤滑油18を保持している。凹部形成領域151aに保持された潤滑油18は、第二バレル片部16の内側面と第一バレル片部15の外側面151との間の摩擦係数を低減する。
よって、第一バレル片部15は、スムーズに第二バレル片部16の内側に倒れ込んで電線50に対して巻き付けられる。また、第一バレル片部15の折り曲げがスムーズに進行することで、第二バレル片部16の折り曲げの進行が阻害されにくい。第一バレル片部15および第二バレル片部16の折り曲げがスムーズに進行することで、電線50に対する電線接続部12の巻き付け強度が向上する。また、第一バレル片部15と第二バレル片部16とのラップ量が適切に確保されることで、シール性や電気性能の低下が生じにくい。
図20には、電線50に対する電線接続部12の圧着が完了した状態が示されている。第一バレル片部15は電線50対して巻き付けられて電線50に密着しており、第二バレル片部16は第一バレル片部15の外側に適切に巻き付けられて第一バレル片部15に密着している。従って、電線接続部12の芯線圧着部12Aは、電線50の芯線51に対して適切に電気的に接続される。また、電線接続部12の被覆圧着部12Bは、電線50の被覆52に対して強固に巻き付けられる。電線接続部12が電線50に対して圧着され、圧着端子1が端子連鎖体30から切り離されることで、電線付き圧着端子が製造される。
本実施形態の圧着端子1を製造する圧着端子の製造方法は、例えば、打ち抜き工程、溝形成工程、および折り曲げ工程を含む。打ち抜き工程は、金属製の平板状の母材から電線接続部12を有する圧着端子1を打ち抜く工程である。溝形成工程は、電線接続部12の凹部形成領域151aに凹部152を形成する工程である。溝形成工程では、例えば、プレス加工や切削加工等によって凹部152が形成される。折り曲げ工程は、電線接続部12をU字状に形成する工程である。
本実施形態の電線付き圧着端子の製造方法は、圧着端子供給工程、潤滑油供給工程、電線設置工程、圧着工程、および端子切断工程を含む。圧着端子供給工程は、端子供給装置101によって端子連鎖体30の各圧着端子1を圧着位置に供給する工程である。潤滑油供給工程は、潤滑油供給部104によって電線接続部12の凹部形成領域151aに潤滑油18を供給する工程である。電線設置工程は、U字状の電線接続部12の内部空間に電線50の先端を設置する工程である。圧着工程は、圧着装置102によって電線50に対して電線接続部12を圧着する工程である。端子切断工程は、端子切断機構120によって端子連鎖体30から圧着端子1を切り離す工程である。本実施形態では、圧着端子供給工程と並行して潤滑油供給工程が実行される。
以上説明したように、本実施形態に係る圧着端子1は、凹部152が形成された電線接続部12を有する。電線接続部12は、底壁部としての底部14と、底部14の幅方向の両端からそれぞれ突出している一対のバレル片部15,16とを有し、電線50に対して圧着される。一対のバレル片部15,16は、電線50に対して巻き付けられる第一バレル片部15と、第一バレル片部15の外側に巻き付けられる第二バレル片部16とを有する。第一バレル片部15の外側面151における突出方向の先端部15aには、潤滑剤を保持する凹部152が形成されている。本実施形態の圧着端子1は、凹部152が保持する潤滑剤によって第一バレル片部15と第二金型113との間の摩擦係数を低減することや、第一バレル片部15と第二バレル片部16との間の摩擦係数を低減することができる。よって、電線50に対して圧着端子1が圧着される際の圧着不良の発生が抑制される。また、凹部形成領域151aに凹部152が形成されていることで、圧着工程において凹部形成領域151aが曲がりやすくなるという効果が期待できる。
また、第一バレル片部15の先端部15aには、外側に向けて凸となる屈曲部15bが設けられている。凹部152は、屈曲部15bから第一バレル片部15の先端までの領域に設けられている。第一バレル片部15の外側面151において、屈曲部15bから先端にかけての領域は、第二金型113の第一壁面115に対して最初に接触する部分、第一壁面115との接触期間が長い部分、または第一壁面115との接触圧が高い部分である。また、外側面151において、屈曲部15bから先端にかけての領域は、第二バレル片部16の内側面に対して最初に接触する部分、上記内側面との接触期間が長い部分、または上記内側面との接触圧が高い部分である。よって、屈曲部15bから先端にかけての領域に凹部152が設けられていることで、第一壁面115と第一バレル片部15との摩擦抵抗や第二バレル片部16と第一バレル片部15との摩擦抵抗を低減して電線50に対する圧着をスムーズに進行させることができる。
また、本実施形態の凹部152は、溝である。溝状の凹部152は、第一壁面115や第二バレル片部16の内側面に対して連続的、安定的に潤滑油18を供給することができる。よって、第一壁面115と第一バレル片部15との摩擦係数や第二バレル片部16と第一バレル片部15との摩擦係数を低減させる上で有利である。
また、溝状の凹部152は、第一バレル片部15の突出方向に対して傾斜した方向に延在している。これにより、凹部152によって保持された潤滑油18を第一壁面115や第二バレル片部16の内側面の広い範囲に行きわたらせることが可能となる。図21に示すように、凹部152が傾斜していることで、第一方向Lにおける凹部152の有効幅Wd1を広くすることが可能である。また、傾斜している凹部152は、凹部形成領域151aの滑りを邪魔しにくい。例えば、凹部152が第一方向Lと平行に延在する溝である場合、凹部152が引っかかりとなり、第一壁面115や第二バレル片部16に対して凹部形成領域151aが滑りにくくなってしまう可能性がある。本実施形態のように第一バレル片部15の突出方向に対して傾斜する方向に延在する凹部152は、第一バレル片部15と第一壁面115との滑りや第一バレル片部15と第二バレル片部16との滑りを阻害しにくい。
また、凹部152は、外側面151の先端の辺に沿って複数配置されている。凹部152が先端の辺に沿って複数配置されることで、第一バレル片部15の摩擦抵抗が適切に低減される。凹部152は、第一方向Lに沿って適度に間隔をあけて配置されることが好ましい。例えば、第一凹部152aおよび第二凹部152bがそれぞれ第一方向Lに沿って等間隔で配置されてもよい。
本実施形態の圧着後の圧着端子1は、図20に示すように、底部14と、底部14の幅方向の両端にそれぞれつながった一対のバレル片部15,16とを有する。第一バレル片部15は、電線50に対して巻き付けられている。第二バレル片部16は、第一バレル片部15の外側に巻き付けられている。第一バレル片部15の先端部15aには、凹部形成領域151aが存在する。凹部形成領域151aは、第二バレル片部16の内側面と対向している。凹部形成領域151aには、凹部152が形成されており、凹部152には潤滑油18が保持されている。このような電線付き圧着端子は、本実施形態の圧着端子1が電線50に対して圧着されて製造されたものである。
なお、電線50の芯線51の材料はアルミニウムには限定されない。芯線51は、例えば、銅や銅合金であってもよく、その他の導電性を有する金属等であってもよい。圧着端子1の材料は、銅や銅合金には限定されず、その他の導電性を有する金属等であってもよい。
[実施形態の変形例]
潤滑剤は、潤滑油18には限定されず、オイル以外の液状の潤滑剤であってもよい。潤滑剤は、液状のものに限らず、粉末状のものであってもよい。つまり、潤滑剤は、凹部152によって保持可能なもの、凹部152に貯留可能なものであればその種類は限定されない。
凹部152の形状や配置は、例示したものには限定されない。例えば、上記実施形態では凹部152は傾斜方向の異なる第一凹部152aおよび第二凹部152bを有していたが、これに代えて、溝状の凹部152が全て同じ方向に傾斜していてもよい。溝状の凹部152は、複数に分割されていてもよい。例えば、溝状の凹部152は、その長さ方向において複数に分割されていてもよい。この場合、同一直線状に間隔をあけて複数の溝が配置されることになる。溝状の凹部152が延在する方向は、第一バレル片部15の突出方向と平行であってもよい。また、溝状の凹部152は、第一方向Lと平行に延在していてもよい。凹部152の形状は、溝には限定されない。凹部152は、平面視における形状が円や多角形等の凹みであってもよい。
凹部152は、第一バレル片部15だけでなく、第二バレル片部16に設けられてもよい。第二バレル片部16に設けられる凹部152は、第二バレル片部16の先端部16aに形成されることが好ましい。
潤滑油18は、凹部形成領域151aに吹き付けられてもよい。凹部152は、吹き付けられた潤滑油18が流れ落ちてしまうことを抑制し、潤滑油18を保持して凹部形成領域151aに潤滑油18をとどめておくことができる。潤滑油18は、凹部形成領域151aだけでなく、第一バレル片部15の先端面に供給されてもよい。
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
1 圧着端子
10 端子金具
11 端子接続部
11a 側壁
12 電線接続部
12A 芯線圧着部
12B 被覆圧着部
12C 連結圧着部
13 連結部
13a 側壁
14 底部
15 第一バレル片部
15a 先端部
15b 屈曲部
16 第二バレル片部
16a 先端部
17 セレーション領域
17a 凹部
20 止水部材
21 第一止水部
22 第二止水部
23 第三止水部
30 端子連鎖体
31 連結片
31a 端子送り孔
32 繋ぎ部
50 電線
51 芯線
52 被覆
100 端子圧着装置
101 端子供給装置
101a 端子送り部材
101b 動力伝達機構
102 圧着装置
103 駆動装置
104 潤滑油供給部
104a 塗布部
104b オイルポット
110 圧着機
111 フレーム
111A 基台
111B アンビル支持体
111C 伝達部支持体
111C 立設部
111C ラム支持部
111D 支持台
112 第一金型
112a 上面エッジ
112A 第一アンビル
112A 凹状面
112B 第二アンビル
112B 凹状面
113 第二金型
113A 第一クリンパ
113A 凹状部
113B 第二クリンパ
113B 凹状部
114 動力伝達機構
114A ラム
114B ラムボルト
114B ボルト頭部
114C シャンク
114C 雄ネジ部
114D ナット
115 第一壁面
116 第二壁面
117 第三壁面
118 電線押さえ
118A 電線保持空間
120 端子切断機構
121 端子切断体
121a 摺接面
121b スリット
121c 開口エッジ
121d 上面
122 押下部材
123 弾性部材
151 外側面
151a 凹部形成領域
152 凹部
152a 第一凹部
152b 第二凹部
L 第一方向
W 第二方向
H 第三方向

Claims (3)

  1. 底壁部と、前記底壁部の幅方向の両端からそれぞれ突出している一対の側壁部と、を有し、電線に対して圧着される電線接続部を備え、
    前記一対の側壁部は、前記電線に対して巻き付けられる第一側壁部と、前記第一側壁部の外側に巻き付けられる第二側壁部と、を有し、
    前記第一側壁部の外側面における突出方向の先端部には、潤滑剤を保持する凹部が形成されている
    ことを特徴とする圧着端子。
  2. 前記第一側壁部の先端部には、外側に向けて凸となる屈曲部が設けられており、
    前記凹部は、前記屈曲部から前記第一側壁部の先端までの領域に設けられている
    請求項1に記載の圧着端子。
  3. 前記凹部は、前記第一側壁部の突出方向に対して傾斜した方向に延在している溝であり、
    前記外側面の先端の辺に沿って前記溝が複数配置されている
    請求項1または2に記載の圧着端子。
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