JP2017088604A - 透明化粧水 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスタキサンチンの安定性に優れ、肌に適用した際に、良好な保湿感が得られ、乾燥時のべたつき感が抑制された透明化粧水を提供する。
【解決手段】(i)透明化粧水の全量に対する含有量が2.3質量%〜3.7質量%であるグリセリン、(ii)透明化粧水の全量に対する含有量が2.3質量%〜3.7質量%であるポリエチレングリコール、(iii)アスタキサンチン、(iv)透明化粧水の全量に対する含有量が0.1質量%〜3質量%であり、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、(v)フェルラ酸、及び(vi)透明化粧水の全量に対する含有量が50質量%以上である水を含む透明化粧水。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明化粧水に関する。
アスタキサンチンは、一重項酸素の消去能が高く、一重項酸素に起因した皮膚の光老化を抑制する効果を有することが知られており、化粧水に使用されることも多い。アスタキサンチンは、優れた抗酸化能を有する反面、自身の安定性が悪いため、化粧水にアスタキサンチンを配合する際には、抗酸化剤と併用することで、安定性の向上が試みられてきた。アスタキサンチンの安定化のための抗酸化剤としては、アスコルビン酸リン酸エステル塩等のイオン性抗酸化剤が用いられることが多い。
ところで、一般的に、化粧水には、肌に適用した際の効果として保湿感が求められる。 透明化粧水では、透明度を損なわず、良好な保湿感を得るために、保湿剤としてグリセリンを用いることが知られている。
例えば、特許文献1には、グリセリンを含む化粧水として、アスタキサンチン、イオン性抗酸化剤、グリセリン等を含むスキンケア用化粧水が開示されている。
特許第5046756号公報
ところで、アスタキサンチンを含む透明化粧水において、アスタキサンチンの安定性向上のために一定量以上のイオン性抗酸化剤を含ませると、塩濃度の上昇に伴い、透明化粧水を肌に適用した際に、乾燥時のべたつき感が生じることがある。
また、透明化粧水において、透明度を損なわず、良好な保湿感を得るために一定量以上のグリセリンを含ませると、保湿感の向上に伴い、乾燥時のべたつき感が生じることがある。
例えば、特許文献1に開示された化粧水では、アスタキサンチンの安定性向上のためにイオン性抗酸化剤を多く含ませたり、良好な保湿感を得るためにグリセリンを多く含ませたりすると、乾燥時のべたつき感が生じることが想定される。
すなわち、アスタキサンチン、イオン性抗酸化剤、及びグリセリンを含む透明化粧水では、アスタキサンチンの安定性に優れ、かつ、肌に適用した際に良好な保湿感が得られるといった効果は奏されるものの、更に、肌に適用した際に生じ得る乾燥時のべたつき感を抑制することは困難であると考えられる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、アスタキサンチンの安定性に優れ、肌に適用した際に、良好な保湿感が得られ、乾燥時のべたつき感が抑制された透明化粧水を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1> (i)〜(vi)を含む透明化粧水。
(i)透明化粧水の全量に対する含有量が2.3質量%〜3.7質量%であるグリセリン
(ii)透明化粧水の全量に対する含有量が2.3質量%〜3.7質量%であるポリエチレングリコール
(iii)アスタキサンチン
(iv)透明化粧水の全量に対する含有量が0.1質量%〜3質量%であり、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(v)フェルラ酸
(vi)透明化粧水の全量に対する含有量が50質量%以上である水
<2> 透明化粧水中における、ポリエチレングリコールの含有量に対するグリセリンの含有量の比率が、質量基準で、0.6〜1.2である<1>に記載の透明化粧水。
<3> pHが5.4〜6.0である<1>又は<2>に記載の透明化粧水。
<4> アスタキサンチンが、オキアミ由来のアスタキサンチンである<1>〜<3>のいずれか1つに記載の透明化粧水。
<5> アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸硫酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム、及びパルミチン酸アスコルビルリン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の透明化粧水。
本発明によれば、アスタキサンチンの安定性に優れ、肌に適用した際に、良好な保湿感が得られ、乾燥時のべたつき感が抑制された透明化粧水を提供することができる。
タック性の評価結果を示す図である。 実施例及び比較例の透明化粧水を肌に適用した際の、保湿感と乾燥時のべたつき感との相関性を示す図である。 フェルラ酸による脂肪酸の酸化抑制効果の検証結果を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書において、透明化粧水中の各成分の量は、各成分に該当する物質が透明化粧水中に複数種存在する場合には、特に断らない限り、透明化粧水中に存在する複数種の物質の合計量を意味する。
本明細書において、乳化物を得る際に使用する「水相」とは、溶媒の種類にかかわらず「油相」に対する語として使用する。水相は、水及び水溶性成分から構成される。
「水溶性成分」とは、25℃における水への溶解度が1質量%以上、即ち、10g/L以上である成分を意味する。
本明細書において「油性成分」とは、25℃における水への溶解度が1質量%未満であり、化粧料の分野で一般に油性成分として使用される成分を意味する。
[透明化粧水]
本発明の透明化粧水は、(i)透明化粧水の全量に対する含有量が2.3質量%〜3.7質量%であるグリセリンと、(ii)透明化粧水の全量に対する含有量が2.3質量%〜3.7質量%であるポリエチレングリコールと、(iii)アスタキサンチンと、(iv)透明化粧水の全量に対する含有量が0.1質量%〜3質量%であり、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、適宜「アスコルビン酸化合物」と総称する。)と、(v)フェルラ酸と、(vi)透明化粧水の全量に対する含有量が50質量%以上である水と、を含む。
本発明の透明化粧水は、アスタキサンチンを含む。アスタキサンチンを含む透明化粧水では、アスタキサンチンの安定性向上のために一定量以上のイオン性抗酸化剤を含ませると、塩濃度の上昇に伴い、透明化粧水を肌に適用した際に、乾燥時のべたつき感が生じることがある。
本発明の透明化粧水では、アスコルビン酸化合物の含有量を特定の割合に抑え、アスコルビン酸化合物とフェルラ酸とを併用することで、肌に適用した際に生じ得る乾燥時のべたつき感を抑制しつつ、アスタキサンチンを安定化することができる。
本発明の透明化粧水は、グリセリンを含む。透明化粧水では、透明度を損なわず、良好な保湿感を得るために一定量以上のグリセリンを含ませると、保湿感の向上に伴い、乾燥時のべたつき感が生じることがある。
本発明の透明化粧水では、化粧水に使用される保湿剤の中でも保湿力に優れるが、べたつきが生じ易いグリセリンと、グリセリンと比べて保湿力は劣るものの、べたつきが生じ難いポリエチレングリコールと、を特定の含有量にて併用することで、肌に適用した際に生じ得る乾燥時のべたつき感を抑制しつつ、良好な保湿感を得ることができる。
グリセリン及びポリエチレングリコールは、程度は異なるものの、いずれも透明化粧水中の含有量が増加すると、保湿感の向上に伴い、乾燥時のべたつき感が高まる傾向にある。
本発明者らの検討によれば、グリセリンとポリエチレングリコールとを併用すると、それぞれ単独での挙動とは異なり、乾燥時のべたつき感を高めることなく、保湿感を向上させることができる、特定の含有量の組み合わせがあることが明らかとなった。このような知見は、従来得られていなかったことである。
本明細書において、「透明化粧水」とは、透明な外観を呈する化粧水であることを意味する。透明度の指標としては、吸光度が用いられる。本発明の透明化粧水の場合、透明とは、分光光度計及び光路長5mmのセルを用いて測定した、アスタキサンチンの吸収波長である波長625nmの光の吸光度が0.3以下であることを指し、0.2以下であることが好ましい。分光光度計としては、例えば、(株)日立製作所のU−3310が挙げられる。
なお、本発明の透明化粧水は、上記の透明度(吸光度)を満たすために、アスタキサンチンをはじめとする油性成分を水相に分散した乳化物(以下、「アスタキサンチン乳化物」ともいう。)の形態で含むことが好ましい。
本発明の透明化粧水における油性成分の含有量は、水相に分散する乳化粒子の大きさによって異なるが、上記の吸光度を満たすために、透明化粧水の全量に対して3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
以下、本発明の透明化粧水に含まれる成分について、詳細に説明する。
<グリセリン>
本発明の透明化粧水は、グリセリンを、透明化粧水の全量に対して2.3質量%〜3.7質量%の含有量で含む。
グリセリンは、透明であることに加え、保水量が多く、安全性が高く、肌への適用性にも優れることから、保湿剤として多用される。本発明の透明化粧水において、グリセリンは、肌に適用した際の保湿感の向上に寄与する。
グリセリンの含有量は、透明化粧水の全量に対して、2.3質量%〜3.7質量%であり、2.5質量%〜3.7質量%であることが好ましく、2.5質量%〜3.5質量%であることがより好ましく、肌に適用した際の、保湿感の向上と乾燥時のべたつき感の抑制とのより良好なバランスの観点から、2.7質量%〜3.3質量%であることが更に好ましい。
<ポリエチレングリコール>
本発明の透明化粧水は、ポリエチレングリコール(PEG)を、透明化粧水の全量に対して2.3質量%〜3.7質量%の含有量で含む。
ポリエチレングリコールは、前述したグリセリンと同様に、保湿剤としてよく用いられる。なお、透明化粧水におけるポリエチレングリコールの保湿剤としての効果は、グリセリンに比べて劣るものの、肌に適用した際に感じられる乾燥時のべたつきは、グリセリンに比べて少ない。
本発明の透明化粧料においては、肌に適用した際の保湿感を向上させるために、特定量のグリセリンを、特定量のポリエチレングリコールと組み合わせて用いることで、乾燥時のべたつき感の高まりを抑制しつつ、保湿感の向上を実現し得る。
ポリエチレングリコールの平均分子量は、特に限定されず、例えば、肌に適用した際の保湿感の観点から、800以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1300以上であることが更に好ましい。
また、ポリエチレングリコールの平均分子量は、例えば、水に対する溶解性、配合時の粘度変化等を考慮した、取り扱い性の観点から、10000以下であることが好ましく、8000以下であることがより好ましく、2000以下であることが更に好ましい。
本発明の透明化粧水は、ポリエチレングリコールを、1種単独で、又は2種以上組み合わせて含んでもよい。
ポリエチレングリコールとしては、市販品を使用することができる。
ポリエチレングリコールの市販品の例としては、日油(株)のPEG♯1000(商品名、規格成分名:ポリエチレングリコール 1000、平均分子量:1000)、PEG♯1540(商品名、規格成分名:ポリエチレングリコール 1540、平均分子量:1540)、PEG♯2000(商品名、規格成分名:ポリエチレングリコール 2000、平均分子量:2000)、PEG♯4000(商品名、規格成分名:ポリエチレングリコール 4000、平均分子量:3100)、PEG♯6000(商品名、規格成分名:ポリエチレングリコール 6000、平均分子量:8800)等、東邦化学工業(株)のトーホーポリエチレングリコール1000(商品名、規格成分名:ポリエチレングリコール 1000、平均分子量:1000)などが挙げられる。
ポリエチレングリコールの含有量は、透明化粧水の全量に対して、2.3質量%〜3.7質量%であり、2.5質量%〜3.7質量%であることが好ましく、2.5質量%〜3.5質量%であることがより好ましく、肌に適用した際の、保湿感の向上と乾燥時のべたつき感の抑制とのより良好なバランスの観点から、2.7質量%〜3.3質量%であることが更に好ましい。
透明化粧水中における、ポリエチレングリコールの含有量に対するグリセリンの含有量の比率(グリセリンの含有量/ポリエチレングリコールの含有量)は、特に限定されず、例えば、肌に適用した際の、保湿感の向上と乾燥時のべたつき感の抑制とのより良好なバランスの観点から、質量基準で、0.6〜1.2であることが好ましく、0.7〜1.2であることがより好ましく、0.8〜1.2であることが更に好ましい。
好ましい態様としては、ポリエチレングリコールの平均分子量が1000〜2000であり、かつ、透明化粧水中における、ポリエチレングリコールの含有量に対するグリセリンの含有量の比率(グリセリンの含有量/ポリエチレングリコールの含有量)が、質量基準で、0.7〜1.2である態様が挙げられる。
<アスタキサンチン>
本発明の透明化粧水は、アスタキサンチンを含む。
アスタキサンチンは、アスタキサンチン及びアスタキサンチンのエステル等の誘導体の少なくとも一方を包含する。本発明では、特に断らない限り、アスタキサンチン及びその誘導体を総称して「アスタキサンチン」という。
アスタキサンチンとしては、植物類、藻類、甲殻類、バクテリア等の天然物に由来するアスタキサンチンの他、常法に従って得られるアスタキサンチンの合成品を用いることもできる。
アスタキサンチンは、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌、オキアミ等の培養物から抽出することができる。
本発明の透明化粧水において、アスタキサンチンは、アスタキサンチンを含有する天然物又はその培養物からの分離物又は抽出物として得られるアスタキサンチン含有油として含まれていてもよい。
アスタキサンチン又はアスタキサンチン含有油としては、品質及び生産性の観点から、ヘマトコッカス藻からの抽出物(以下、「ヘマトコッカス藻抽出物」と称する。)、又はオキアミからの抽出物(以下、「オキアミ抽出物」と称する。)に由来するアスタキサンチンが好ましく、オキアミ抽出物に由来するアスタキサンチンが特に好ましい。
オキアミ抽出物に由来するアスタキサンチン(オキアミ由来のアスタキサンチン)は、化粧品に分類される化粧水だけでなく、医薬部外品に分類される化粧水にも使用することができる。
アスタキサンチンとしては、市販品を使用することができる。
ヘマトコッカス藻抽出物の市販品の例としては、富士フイルム(株)のASTOTS(登録商標)−S、ASTOTS(登録商標)−ST、ASTOTS(登録商標)−2.5 O、ASTOTS(登録商標)−5 O、ASTOTS(登録商標)−10 O等、富士化学工業(株)のアスタリール(登録商標)オイル50F、アスタリール(登録商標)オイル5F等、東洋酵素化学(株)のBioAstin(登録商標)SCE7などが挙げられる。
オキアミ抽出物の市販品の例としては、(株)マリン大王のAstax−ST(商品名)等が挙げられる。
アスタキサンチン含有油中のアスタキサンチンの含有量は、透明化粧水の製造時の取り扱いの観点から、0.001質量%〜50質量%であることが好ましく、0.01質量%〜25質量%であることがより好ましい。
透明化粧水中のアスタキサンチンの含有量は、一重項酸素の消去能(抗酸化効果)の発現、外観(透明度)の良好性等から決定することができる。例えば、アスタキサンチンの含有量は、透明化粧水の全量に対して、0.000001質量%〜0.01質量%(0.01ppm〜100ppm)であることが好ましく、0.000005質量%〜0.0075質量%(0.05ppm〜75ppm)であることがより好ましく、0.0001質量%〜0.005質量%(1ppm〜50ppm)であることが更に好ましい。
本発明の透明化粧水におけるアスタキサンチンの含有形態は、特に限定されないが、例えば、アスタキサンチンを高濃度で配合できる点、アスタキサンチンを透明化粧水中で安定に含有させることができる点、及び、化粧水の透明度が得易い点から、アスタキサンチンは、水相に分散する乳化粒子に含まれることが好ましい。
特に、製造容易性等の観点から、本発明の透明化粧水は、アスタキサンチンを、アスタキサンチンをはじめとする油性成分が水相に分散した乳化物(アスタキサンチン乳化物)の形態で含むことが好ましい。
以下、アスタキサンチン乳化物に含まれる成分について説明する。
(アスタキサンチン乳化物)
−アスタキサンチン以外の油性成分−
アスタキサンチン乳化物は、アスタキサンチン以外の油性成分を含むことが好ましい。
油性成分としては、25℃で液体である油性成分であることが好ましい。ここで、「25℃で液体」とは、常圧での融点又は軟化点が25℃未満であることを意味する。
油性成分としては、油脂、炭化水素、ロウ、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、25℃で液体の成分が好ましい。
アスタキサンチン乳化物は、アスタキサンチン以外の油性成分を、1種単独で、又は2種以上組み合わせて含んでもよい。
油脂としては、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、牛油、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、シアバター、タートル油、椿油、パーシック油、ヒマシ油、ブドウ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、卵黄油、ヤシ油、モクロウ、ローズヒップ油、ダイズ油、硬化油(硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、硬化カカオ油、硬化タートル油、硬化ミンク油等)、ラノリン(羊毛脂)、中鎖脂肪酸トリグリセライド(トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル等)、植物油脂から抽出されるトコフェロール(ミックストコフェロール)、トコトリエノールなどが挙げられる。
炭化水素としては、流動パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等が挙げられる。
ロウとしては、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、モンタンロウ、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、ホホバ油、オレンジラフィー油、水素添加ラノリン、水素添加ホホバ油、水素添加カルナバロウ等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、炭素数が12以上の脂肪酸であれば特に限定されず、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、オキシステアリン酸、リノール酸、ラノリン脂肪酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソトリデカン酸等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、高級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、高級脂肪酸と中級又は高級アルコールとのエステル、高級脂肪酸と多価アルコールとのエステル、環状アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
高級脂肪酸と低級(炭素数2以上4以下)アルコールとのエステルとしては、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等が挙げられる。
高級脂肪酸と中級(炭素数5以上11以下)又は高級(炭素数12以上)アルコールとのエステルとしては、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル等が挙げられる。
高級脂肪酸と多価アルコールとのエステルとしては、トリミリスチン酸グリセリル、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリル等が挙げられる。
環状アルコール脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル等が挙げられる。
これらの中でも、油性成分としては、アスタキサンチンとの相溶性及び安定性に優れる点から、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、トコフェロールが好ましく、トコフェロールとトリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリルとを併用することが好ましい。
アスタキサンチン乳化物における油性成分の含有量は、特に限定されず、例えば、アスタキサンチン乳化物の分散安定化の観点から、アスタキサンチンの質量に対して、1倍量以上150倍量以下であることが好ましく、5倍量以上50倍量以下であることがより好ましい。
−レシチン−
アスタキサンチン乳化物は、レシチンを含むことが好ましい。
レシチンとしては、大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物、卵黄、牛等の動物、大腸菌等の微生物などに由来する各種レシチンが挙げられる。
具体的には、レシチンとしては、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ビスホスファチジン酸、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等のグリセロレシチン、スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチンなどが挙げられる。
レシチンとしては、レシチン純度が80%以上(より好ましくは90%以上)の一般に高純度レシチンと称されるレシチンの他、水素添加レシチン、酵素分解レシチン、酵素分解水素添加レシチン、ヒドロキシレシチン等を使用することもできる。
アスタキサンチン乳化物は、レシチンを、1種単独で、又は2種以上組み合わせて含んでもよい。
アスタキサンチン乳化物において、レシチンの含有量は、アスタキサンチンの質量に対して、0.1倍量以上10倍量以下であることが好ましく、0.5倍量以上8倍量以下であることがより好ましく、1倍量以上5倍量以下であることが更に好ましい。
本発明の透明化粧水におけるレシチンの含有量は、経時による着色防止の観点から、透明化粧水の全量に対して、0.0000001質量%以上0.1質量%以下であることが好ましく、0.00015質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。
−水溶性乳化剤−
アスタキサンチン乳化物は、水溶性乳化剤を含むことが好ましい。
水溶性乳化剤は、アスタキサンチン乳化物の水相を構成する水溶性成分に含まれる。
水溶性乳化剤としては、25℃における水への溶解度が1質量%以上(10g/L以上)である乳化剤であれば、特に限定されない。例えば、水溶性乳化剤としては、ノニオン界面活性剤が好ましく、十分な乳化力を得る観点から、HLB(Hydrophile Lipophile Balance)が10以上(好ましくは12以上)のノニオン界面活性剤がより好ましい。
HLBは、通常、界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスを意味する。HLBは、通常用いる計算式、例えば川上式を使用して計算することができる。川上式を以下に示す。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo)
ここで、Mwは親水基の分子量、Moは疎水基の分子量を示す。
なお、HLBは、カタログ等に記載されている数値を採用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の乳化剤を得ることができる。
ノニオン界面活性剤の例としては、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、ノニオン界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとを併用することが特に好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2以上、好ましくは6〜15、より好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等とのエステルが挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、市販品を使用することができる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12〜20のものがより好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、市販品を使用することができる。
アスタキサンチン乳化物は、水溶性乳化剤を、1種単独で、又は2種以上組み合わせて含んでもよい。
アスタキサンチン乳化物における水溶性乳化剤の含有量は、微細な乳化粒子を形成し易い点、アスタキサンチン乳化物を安定化できる点、及び泡立ちを抑制できる点から、アスタキサンチンの質量に対して、1倍量以上100倍量以下であることが好ましく、2倍量以上50倍量以下であることがより好ましく、5倍量以上25倍量以下であることが更に好ましい。
本発明の透明化粧水における水溶性乳化剤の含有量は、肌への刺激防止及び泡立ち抑制の観点から、透明化粧水の全量に対して、0.0001質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。
本発明の透明化粧水は、アスタキサンチン乳化物の安定性の観点から、レシチン及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、レシチンとポリグリセリン脂肪酸エステルとの両方をそれぞれ1種以上用いることがより好ましい。
−水−
アスタキサンチン乳化物は、水を含むことが好ましい。
アスタキサンチン乳化物に用いられる水は、後述する、透明化粧水を構成する水と同様の水が用いられる。
水は水相を構成する成分の1つとなる。
アスタキサンチン乳化物において、水の含有量は、アスタキサンチンの質量に対して、5倍量以上1000倍量以下であることが好ましく、10倍量以上800倍量以下であることがより好ましく、20倍量以上100倍量以下であることが更に好ましい。
−多価アルコール−
アスタキサンチン乳化物は、水相を構成する水溶性成分の1つとして、多価アルコールを含むことが好ましい。
多価アルコールとしては、グリセリンの他、後述する、炭素数6以下の2価のアルコールが挙げられる。
これらの中でも、グリセリンは、アスタキサンチンを含む乳化粒子の平均粒子径を小さくし、かつ、粒子径を小さいまま長期に亘り安定に保持し易くなることから、好ましく用いられる。
アスタキサンチン乳化物において、多価アルコールの含有量は、アスタキサンチンの質量に対して、5倍量以上1000倍量以下であることが好ましく、10倍量以上800倍量以下であることがより好ましく、20倍量以上200倍量以下であることが更に好ましい。
<アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩>
本発明の透明化粧水は、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、透明化粧水の全量に対して0.1質量%〜3質量%の含有量で含む。
本発明の透明化粧水において、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物は、後述するフェルラ酸とともに、アスコルビン酸自体の抗酸化能、又は、透明化粧水中で経時に生成されるアスコルビン酸の抗酸化能によって、アスタキサンチンを安定化させ得る。
本明細書において、「アスコルビン酸誘導体」とは、pH、熱、光、酸化、酵素等に起因する分解によってアスコルビン酸が生成する化合物を指す。なお、アスコルビン酸誘導体は、水溶性であることが好ましい。
アスコルビン酸の塩としては、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム等が挙げられる。
アスコルビン酸誘導体及びその塩としては、アスコルビン酸リン酸エステル及びその塩(アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム(APM)、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム等)、アスコルビン酸硫酸エステル及びその塩(アスコルビン酸硫酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム等)、パルミチン酸アスコルビルリン酸エステル及びその塩(パルミチン酸アスコルビルリン酸ナトリウム等)などが挙げられる。
アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物としては、アスタキサンチンの安定性の観点から、アスコルビン酸及びその塩と、アスコルビン酸リン酸エステル及びその塩と、パルミチン酸アスコルビルリン酸エステル及びその塩と、からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸硫酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム、及びパルミチン酸アスコルビルリン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
更に、経時安定性(例えば、経時での着色の抑制)及びカラメル様臭の発生抑制の観点から、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物としては、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、及びパルミチン酸アスコルビルリン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
なお、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムの、化粧品成分表示名称は、「リン酸アスコルビルMg」であり、医薬部外品成分表示名称は、「リン酸L−アスコルビルマグネシウム」である。
アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムの、化粧品成分表示名称は、「リン酸アスコルビルNa」であり、医薬部外品成分表示名称は、「リン酸L−アスコルビルナトリウム」である。
パルミチン酸アスコルビルリン酸ナトリウムの化粧品成分表示名称は、「パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na」である。
本発明の透明化粧水は、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる化合物を、1種単独で、又は2種以上組み合わせて含んでもよい。
アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の含有量は、アスタキサンチンの安定性の観点から、透明化粧水の全量に対して、0.1質量%〜3質量%であり、これらの化合物の低温における経時での析出を抑制する観点から、0.1質量%〜2質量%であることが好ましく、0.1質量%〜1質量%であることがより好ましく、0.15質量%〜1質量%であることが更に好ましい。
<フェルラ酸>
本発明の透明化粧水は、フェルラ酸を含む。
フェルラ酸は、植物の細胞壁等に存在する有機化合物であり、抗酸化能を有する。
本発明の透明化粧水において、フェルラ酸は、上述のアスコルビン酸化合物とともに、アスタキサンチンの安定性に寄与する。
アスタキサンチンの安定性には、上述のアスコルビン酸化合物も寄与するが、アスタキサンチンを含む化粧水において、例えば、アスコルビン酸リン酸エステルの塩等のイオン性抗酸化剤を多く用いると、肌に適用した際にべたつきが感じられるようになる。
本発明の透明化粧水では、フェルラ酸と、特定量のアスコルビン酸化合物とを併用することで、肌に適用した際の、乾燥時のべたつき感を抑制しつつ、アスタキサンチンの安定性を確保し得る。
また、フェルラ酸は、オキアミ由来のアスタキサンチンに含まれる脂肪酸の酸化抑制に寄与する。
オキアミ由来のアスタキサンチンは、原料であるオキアミ中に含まれる脂肪酸に由来する臭いを有している。この臭いは、経時による脂肪酸の酸化によって悪化する。したがって、オキアミ由来のアスタキサンチンは、化粧水に配合するアスタキサンチンとしては、使用しづらいことがある。
フェルラ酸を含む本発明の透明化粧水では、フェルラ酸が脂肪酸の酸化を抑制するため、オキアミ由来のアスタキサンチンでも問題なく使用することができる。
また、フェルラ酸は、アスタキサンチン由来の脂肪酸以外の脂肪酸の酸化を抑制することができる。
細胞膜を構成するリン脂質に含まれる脂肪酸は、紫外線等により発生した活性酸素等の影響を受けて酸化し、過酸化脂質を生成すること、さらに、生成した過酸化脂質を介して、アクロレイン、4−ヒドロキシノネナール等の代謝物が生成すること、が知られている。これらの代謝物は、アルデヒド基を有するため、皮膚中のコラーゲン、エラスチン等の構成タンパク質に結合し、タンパク質を変性させる。このようなタンパク質の変性が皮膚において発生した場合、皮膚には、シワ、たるみ、さらには肌色の変化等が引き起こされる。
フェルラ酸は、両親媒性を示す化合物であり、脂肪酸との親和性も良好である。したがって、フェルラ酸を含む本発明の透明化粧水を肌に適用することにより、上述したような脂肪酸の酸化の抑制効果、特に、真皮における上記代謝物の発生によって生じる肌色の変化(所謂、真皮の黄ぐすみ)の低減効果が期待できる。
フェルラ酸の含有量は、特に限定されず、例えば、アスタキサンチンの安定性の観点から、透明化粧水の全量に対して、0.000001質量%以上であることが好ましく、0.000007質量%以上であることがより好ましく、0.00001質量%以上であることが更に好ましい。
また、フェルラ酸の含有量は、例えば、着色の観点から、透明化粧水の全量に対して、1質量%以下であることが好ましい。
<水>
本発明の透明化粧水は、水を含む。
水としては、特に制限はなく、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水(Milli−Q水等)などを使用することができる。なお、Milli−Q水とは、メルク(株)メルクミリポアのMilli−Q水製造装置により得られる超純水である。
本発明の透明化粧水に含まれる水としては、不純物が少ないという観点から、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、又は超純水が好ましい。
本発明の透明化粧水における水の含有量は、透明化粧水の全量に対して、50質量%以上であり、55質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることが更に好ましい。
また、本発明の透明化粧水における水の含有量は、良好な保湿感の付与の観点から、透明化粧水の全量に対して、85質量%以下であることが好ましい。
上記の水の含有量は、透明化粧水に含まれる水の総含有量を意味し、前述したアスタキサンチン乳化物の調製に用いられる水も含むものである。
<他の成分>
本発明の透明化粧水は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前述の成分以外の他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、2価のアルコール、各種の添加剤等が挙げられる。
(2価のアルコール)
本発明の透明化粧水は、保湿感の向上及びべたつき感の抑制の観点から、炭素数6以下の2価のアルコールを含むことが好ましい。
炭素数6以下の2価のアルコールとしては、1,3−ブチレングリコール(BG)、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール(DPG)等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数6以下の2価のアルコールとしては、肌への刺激性の観点から、1,3−ブチレングリコール(BG)及びジプロピレングリコール(DPG)から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明の透明化粧水は、炭素数6以下の2価のアルコールを含む場合、炭素数6以下の2価のアルコールを1種単独で、又は2種以上組み合わせて含んでもよい。
本発明の透明化粧水が炭素数6以下の2価のアルコールを含む場合、炭素数6以下の2価のアルコールの含有量は、保湿感の向上及びべたつき感の抑制の観点から、透明化粧水の全量に対して、3質量%〜20質量%であることが好ましく、5質量%〜15質量%であることがより好ましい。
本発明の透明化粧水は、炭素数6以下の2価のアルコールを含む場合、水と炭素数6以下の2価のアルコールとの合計含有量が、透明化粧水の全量に対して、55質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
また、本発明の透明化粧水における水と炭素数6以下の2価のアルコールとの合計含有量は、透明化粧水の全量に対して、95質量%以下であることが好ましい。
(添加剤)
本発明の透明化粧水は、各種の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、通常、化粧水に配合可能な各種の成分を、目的に応じて、用いることができる。
添加剤としては、具体的には、有用な美容効果を示す機能性成分(抗にきび剤、美白剤、角質軟化剤、抗炎症剤、血行促進剤等)、保湿成分(水溶性コラーゲン、加水分解コラーゲン、海藻エキス、ツボクサエキス、ヒアルロン酸ナトリウム等)、キレート剤、pH調整剤、pH緩衝剤、紫外線吸収剤、香料、着色剤、有機溶剤、防腐剤(フェノキシエタノール等)などが挙げられる。なお、機能性成分としては、βカロテン、ゼアキサンチン、リコピン、ルテイン等のアスタキサンチン以外のカロテノイドを用いてもよい。
添加剤は、水溶性成分であってもよいし、油性成分であってもよい。添加剤は、水溶性成分である場合には水相に含まれる形で添加され、油性成分である場合には水相に可溶化する形で添加されるか、或いは、乳化粒子(油相)中に含まれる形で添加されることが好ましい。
本発明の透明化粧水が添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、化粧水の透明性を維持できる量であることを要する。
添加剤として用いられる美白剤、抗炎症剤等の機能性成分、及びキレート剤としては、以下に示す成分が具体例として挙げられる。
本発明の透明化粧水に用いることができる美白剤としては、トラネキサム酸、トラネキサム酸の二量体、トラネキサム酸のアミド体、トラネキサム酸とハイドロキノンとのエステル、トラネキサム酸とゲンチシン酸とのエステル、アルブチン、プラセンタエキス、エラグ酸、コウジ酸、ルシノール等が挙げられる。
これらの中でも、美白剤としては、アルブチンが特に好ましい。
本発明の透明化粧水に用いることができる抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその塩、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾン、サリチル酸メチル、アラントイン、アズレン、甘草エキス、シコンエキス、アロエエキス等が挙げられる。
これらの中でも、抗炎症剤としては、グリチルリチン酸ジカリウム、サリチル酸メチル、甘草エキス、及びアロエエキスからなる群より選ばれる少なくとも1種の成分が好ましく、グリチルリチン酸ジカリウムがより好ましい。
本発明の透明化粧水に用いることができるキレート剤としては、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチドロン酸、ポリリン酸、フィチン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は、添加量によってはpH調整剤としても作用させることができる。
これらの中でも、キレート剤としては、クエン酸が特に好ましい。
<透明化粧水の物性>
本発明の透明化粧水のpHは、アスタキサンチンの安定性の観点から、5.4〜6.0であることが好ましい。
本発明の透明化粧水のpHが5.4〜6.0の範囲内であると、アスタキサンチンの安定性に寄与する、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる化合物、並びにフェルラ酸を、透明化粧水中に安定に含むことができるため、アスタキサンチンの安定性がより向上する。
本発明の透明化粧水のpHの測定方法は、特に限定されない。本発明の透明化粧水のpHは、例えば、東亜ディーケーケー(株)のHM−30R型(商品名)を用いて測定することができ、25℃にて測定した値を採用する。
<透明化粧水の用途>
本発明の透明化粧水の用途は、特に限定されない。
本発明の透明化粧水は、化粧品又は医薬部外品として適用することができる。
本発明の透明化粧水は、スキンケア、ボディケア、頭皮ケア等に好適に用いることができる。
<透明化粧水の調製方法>
本発明の透明化粧水の調製方法は、特に制限されない。本発明の透明化粧水は、公知の方法に従って調製することができる。
本発明の透明化粧水の調製方法の一例として、本発明の透明化粧水が、アスタキサンチンを乳化物の形態で含む場合における調製方法について説明する。
まず、水相にアスタキサンチンを含む乳化粒子(油相)が分散した水中油型乳化物(アスタキサンチン乳化物)を調製する。
得られたアスタキサンチン乳化物と、グリセリンと、ポリエチレングリコールと、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、フェルラ酸と、水と、必要に応じて、他の成分と、を混合する。
以上の方法により、透明化粧水を調製することができる。
−アスタキサンチン乳化物の調製方法−
アスタキサンチン乳化物は、アスタキサンチンを含む油相組成物と、水相組成物と、を混合し、常法により乳化することを含む製造方法により調製することができる。
油相組成物中には、アスタキサンチンとともに、アスタキサンチン以外の油性成分及びレシチンが含まれることが好ましい。
一方、水相組成物中には、水、水溶性乳化剤、及び多価アルコールが含まれることが好ましい。
アスタキサンチン乳化物の好ましい調製方法の一例を説明する。
まず、水、多価アルコール、及び水溶性乳化剤を混合し溶解して、水相組成物を得る。 アスタキサンチン、アスタキサンチン以外の油性成分、及びレシチンを混合し溶解して、油相組成物を得る。
撹拌下で、水相組成物と油相組成物とを混合して、乳化分散を行う。
以上の方法により、アスタキサンチン乳化物を調製することができる。
乳化分散は、1ステップの乳化操作で行ってもよいが、2ステップ以上の乳化操作を行うことが、均一で微細な分散粒子を得る観点から好ましい。例えば、スターラー、インペラー撹拌、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等の剪断作用を利用する通常の乳化装置を用いた乳化処理の後、チャンバー型高圧ホモジナイザー、均質バルブ型高圧ホモジナイザー等の高圧乳化装置を用いた高圧乳化処理を行うことが好ましい。高圧乳化装置を用いることで、乳化粒子を更に均一に近い粒子径に揃えることができる。なお、更なる粒子径の均一化を図る目的で、乳化分散を複数回行ってもよい。
チャンバー型高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社)、ナノマイザー(吉田機械興業(株))、アルティマイザー((株)スギノマシン)等が挙げられる。
均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社)、ホモジナイザー(三和機械(株))、高圧ホモジナイザー(イズミフードマシナリ(株))、超高圧ホモジナイザー(イカ社)等が挙げられる。
高圧ホモジナイザーの圧力は、好ましくは50MPa以上、より好ましくは50MPa以上250MPa以下、更に好ましくは100MPa以上250MPa以下である。
乳化分散された乳化物は、チャンバー通過直後30秒以内、好ましくは3秒以内に何らかの冷却器を通して冷却することが、乳化粒子の粒子径保持の観点から好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔アスタキサンチン乳化物の調製〕
下記の成分を、70℃で1時間加熱し、溶解させることにより、水相組成物Aを得た。
−水相組成物Aの組成−
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 33.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 67.0g
・グリセリン 450.0g
・純水 300.0g
下記の成分を、70℃で1時間加熱し、溶解させることにより、油相組成物Aを得た。
−油相組成物Aの組成−
・アスタキサンチン含有油 15.0g
(オキアミ抽出物、商品名:Astax−ST、(株)マリン大王、アスタキサンチン5質量%含有)
・ミックストコフェロール 32.0g
(理研Eオイル800、理研ビタミン(株))
・中鎖脂肪酸トリグリセライド 93.0g
(ココナード(登録商標)MT、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、花王(株))
・レシチン 10.0g
(レシオン(登録商標)P、大豆由来、理研ビタミン(株))
得られた水相組成物Aを、70℃に保ったまま、超音波ホモジナイザー(型式:HP93、(株)エスエムテー)を用いて10000rpm(round per minute)で撹拌し、撹拌した水相組成物Aに油相組成物Aを添加して、粗乳化物を得た。
次いで、得られた粗乳化物を約40℃まで冷却し、超高圧乳化装置(機種名:アルティマイザーHJP−25005、(株)スギノマシン)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。その後、得られた高圧乳化物を、平均孔径1μmのミクロフィルターを用いてろ過し、アスタキサンチン乳化物(アスタキサンチン含有量:0.3質量%)を得た。
得られたアスタキサンチン乳化物を1質量%の濃度となるように超純水にて希釈し、粒径アナライザー(型式:FPAR−1000、大塚電子(株))を用いて、乳化粒子の粒径を測定したところ、58nm(メジアン径(d))であった。
[透明化粧水の調製:実施例1〜8、比較例1〜26]
下記の表1〜表6に記載の成分を混合し、溶解させることにより、透明化粧水を調製した。なお、表1〜表6に記載の成分のうち、室温で固体のものについては、約60℃に加温し、溶解させた後、他の成分と混合させた。
表1〜表6中に記載の主な成分の詳細は、以下の通りである。
・グリセリン(化粧品用濃グリセリン、花王(株))
・ポリエチレングリコール 1540(規格成分名、製品名:PEG♯1540、平均分子量:1540、日油(株))
・ポリエチレングリコール 1000(規格成分名、製品名:トーホーポリエチレングリコール1000、平均分子量:1000、東邦化学工業(株))
・ポリエチレングリコール 4000(規格成分名、製品名:PEG♯4000、平均分子量:3100、日油(株))
・ポリエチレングリコール 6000(規格成分名、製品名:PEG♯6000、平均分子量:8800、日油(株))
・アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム(NIKKOL(登録商標)VC−PMG、日光ケミカルズ(株))
・フェルラ酸(築野食品工業(株))
・メチルグルセス−20(マクビオブライド(登録商標)MG−20E、日油(株))
・PEG−60水添ヒマシ油(NIKKOL(登録商標)HCO−60、日光ケミカルズ(株)、HLB値:14)
・水溶性コラーゲン(コラーゲンP(PF)、新田ゼラチン(株))
表1〜表6において、「アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム」は「APM」と略記する。
表1〜表6中の組成の欄に記載の「−」は、該当成分を含まないことを意味する。
表1、表2、表3及び表6に記載の実施例1は、比較の便宜のため、重複して記載したものであり、いずれも同じものである。また、表4及び表5に記載の比較例11、並びに、表1及び表5に記載の比較例3についても同様である。
[評価]
1.アスタキサンチンの安定性
上記にて得られた各透明化粧水を60℃で2週間暗所保管し、保管前のアスタキサンチンの量を100としたときの、保管後のアスタキサンチンの残存率(%)を求めた。
透明化粧水中のアスタキサンチンの量は、(株)島津製作所の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析し、絶対検量線法により定量した。
分析条件は以下の通りである。
−分析条件−
カラム:カプセルパックC8(内径:4.6mm×長さ:150mm、(株)資生堂)
移動相:A液)メタノール:水=75:25、B液)メタノール=100
グラジエントサイクル:A液+B液=100%とし、B液の組成を示す。
B液=20%→100%(0分→15分)
B液=100%→100%(15分→20分)
B液=100%→20%(20分→21分)
B液=20%→20%(21分→30分)
流量:1mL/分
カラム温度:40℃
注入量:1μL
検出波長:470nm
得られた残存率に基づき、以下の評価基準に従って、アスタキサンチンの安定性を評価した。結果を表1〜表6に示す。
以下の評価基準における「A」が、実用上許容されるレベルである。
−評価基準−
A:保管後のアスタキサンチンの残存率が90%以上である。
B:保管後のアスタキサンチンの残存率が80%以上90%未満である。
C:保管後のアスタキサンチンの残存率が80%未満である。
2.使用感
(1)保湿感
上記にて得られた各透明化粧水50μlを、化粧品評価の専門パネラー10人に、上腕内側に塗布してもらい、塗布してから5分後に、保湿感の程度を判断してもらった。そして、パネラーには、保湿感が足りないと感じた場合には「1」と採点し、保湿感がやや足りないと感じた場合には「2」と採点し、保湿感があると感じた場合には「3」と採点し、保湿感がやや高いと感じた場合には「4」と採点し、保湿感が高いと感じた場合には「5」と採点してもらった。
専門パネラー10人の採点値を平均し、小数点以下2桁目を切り捨て、小数点以下1桁まで求めた値(採点値の平均値)に基づき、以下の評価基準に従って、透明化粧水の保湿感を評価した。結果を表1〜表6に示す。なお、表1〜表6では、採点値の平均値を併せて示す。
以下の評価基準における「AA」及び「A」が、実用上許容されるレベルである。
−評価基準−
AA:採点値の平均値が4.0以上である。
A:採点値の平均値が3.0以上4.0未満である。
B:採点値の平均値が2.5以上3.0未満である。
C:採点値の平均値が2.5未満である。
10人のパネラーの内、任意で選んだ1人のパネラーについて、透明化粧水の塗布前後の上腕内側の肌水分量を、コルネオメーター(商品名、インテグラル社)を用いて測定したところ、採点値の平均値が「3.3」であった実施例1の透明化粧水の塗布では、肌水分量変化が20であり、採点値の平均値が「1.1」であった比較例12の透明化粧水の塗布では、肌水分量変化が12であった。
(2)乾燥時のべたつき感
上記にて得られた各透明化粧水50μlを、化粧品評価の専門パネラー10人に、上腕内側に塗布してもらい、乾燥時におけるべたつきの程度を判断してもらった。そして、パネラーには、乾燥時にべたつかないと感じた場合には「1」と採点し、乾燥時のべたつきが少ないと感じた場合には「2」と採点し、乾燥時にべたつくと感じた場合には「3」と採点し、乾燥時のべたつき感が強いと感じた場合には「4」と採点してもらった。
専門パネラー10人の採点値を平均し、小数点以下2桁目を切り捨て、小数点以下1桁まで求めた値(採点値の平均値)に基づき、以下の評価基準に従って、透明化粧水の乾燥時のべたつき感を評価した。結果を表1〜表6に示す。なお、表1〜表6では、採点値の平均値を併せて示す。
以下の評価基準における「AA」及び「A」が、実用上許容されるレベルである。
−評価基準−
AA:採点値の平均値が2.0未満である。
A:採点値の平均値が2.0以上2.3未満である。
B:採点値の平均値が2.3以上2.6未満である。
C:採点値の平均値が2.6以上である。
3.タック性
透明化粧水を塗布した肌の垂直応力を測定することで、肌の上で透明化粧水が乾いた際のべたつき(タック性)を確認した。
上記にて得られた実施例1、比較例3、比較例5、及び比較例6の透明化粧水10μlを、化粧品評価の専門パネラー1人の上腕内側に塗布し、塗布部の垂直応力を、静動摩擦測定機(トライボマスター、Type:TL−201Ts、(株)トリニティーラボ)にて測定した。
静動摩擦測定機の駆動ユニットを垂直方向に摺動させ、接触子と塗布部との接触サイクルスピードを4sec/cycl(サイクル)に設定し、接触子を引き上げた際の垂直応力(タック力)を測定した。
測定開始後300秒間、垂直応力を測定し、1サイクルにおける垂直応力の最大値を抽出した。測定開始から240秒〜300秒の間の抽出した垂直応力の最大値を平均化し、得られた値をプロットしたものを図1に示す。
測定開始から240秒〜300秒における垂直応力の平均値が20gf(196.133mN、1gf=9.80665mN)以下であれば、乾燥時にべたつかないか、或いは、乾燥時のべたつき感が少ないと判断できる。
図1では、垂直応力を「gf」単位で表記する。
4.透明性
上記にて得られた各透明化粧水の波長625nmにおける吸光度を、以下のようにして測定した。
透明化粧料2mlを光路長5mmのセルに入れ、この光路長5mmのセルを用い、(株)日立製作所の分光光度計U−3310にて、625nmにおける吸光度を計測した。なお、計測は25℃の温度条件下にて行った。結果を表1〜表6に示す。
なお、上述の通り、本発明では、波長625nmにおける吸光度が0.3以下の化粧水を透明化粧水といい、吸光度の数値が小さいほど、透明性が高い透明化粧水であることを示す。
5.におい
上記にて得られた実施例1の透明化粧水及び比較例9の透明化粧水を、40℃で1ヶ月暗所保管した。保管後の透明化粧水について、パネラー1人に生臭いにおいの有無を確認してもらった。なお、保管前の透明化粧水には、香料の効果により生臭いにおいは感じられない。
その結果、実施例1の透明化粧水には、生臭いにおいは感じられなかったが、フェルラ酸を含まない比較例9の透明化粧水には、生臭いにおいが感じられた。
以上の結果から、オキアミ由来のアスタキサンチンを含む透明化粧水では、オキアミ由来のアスタキサンチンとフェルラ酸と併用することで、経時での生臭いにおいの発生が抑制されることがわかった。
表1及び表2から分かるように、実施例1〜実施例8の透明化粧水は、アスタキサンチンの安定性に優れ、肌に適用した際に、良好な保湿感が得られ、かつ、乾燥時のべたつき感が抑制された透明化粧水であった。
一方、表1及び表3〜表6から分かるように、比較例1〜比較例26の透明化粧水は、アスタキサンチンの安定性、保湿感、及び乾燥時のべたつき感の抑制のうち、少なくとも1つ以上の点で、実施例1〜実施例8と比較して劣っていた。
図1に示すように、実施例1の透明化粧水は、タック性の結果からも、乾燥時のべたつき感が抑制されていることが分かる。なお、図1に示す実施例1、比較例3、比較例5、及び比較例6の結果は、乾燥時のべたつき感の評価結果(専門モニターによる官能評価)と相関していることがわかる。
図2に、実施例及び比較例の透明化粧水を肌に適用した際の、保湿感と乾燥時のべたつき感との相関性を示す。
表4及び図2に示す比較例11〜比較例17の結果から、グリセリンを含まない透明化粧水において、グリセリンの代わりにポリエチレングリコールを使用すると、保湿感を得ることはできるが、保湿感の向上に伴い、乾燥時のべたつき感が高まることが分かる。
また、表5及び図2に示す比較例3、比較例11、及び比較例18〜比較例22の結果から、ポリエチレングリコールを含まない透明化粧水において、ポリエチレングリコールの代わりにグリセリンを使用すると、保湿感を得ることができるが、保湿感の向上に伴い、乾燥時のべたつき感が高まることが分かる。
これらの結果から、グリセリン又はポリエチレングリコールのいずれか一方のみを含む透明化粧水では、良好な保湿感を得ることと、乾燥時のべたつき感を抑制することとは両立し難いと考えられる。
但し、表1に示す比較例1〜比較例7及び表6に示す比較例23〜比較例26の結果から、透明化粧水がグリセリン及びポリエチレングリコールの両方を含んでいても、グリセリン及びポリエチレングリコールの少なくとも一方の含有量が、透明化粧水の全量に対して、2.3質量%未満であるか、或いは、3.7質量%を超える場合には、良好な保湿感を得られないか、或いは、乾燥時のべたつき感が抑制されないことが分かる。
すなわち、図2に示すグラフの結果から、特定量のグリセリンと特定量のポリエチレングリコールとを併用することで、乾燥時のべたつき感の高まりを抑制しつつ、保湿感を向上させることができることが分かる。
表3から分かるように、フェルラ酸を含まない比較例8の透明化粧水、及びアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムを含まない比較例9の透明化粧水は、フェルラ酸及びアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムの両方を含む実施例1の透明化粧水と比較して、アスタキサンチンの安定性が劣っていた。
フェルラ酸及びアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムの両方を含むものの、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムの含有量が、透明化粧水の全量に対して3質量%を超える比較例10の透明化粧水は、実施例1の透明化粧水のように、乾燥時のべたつき感を抑制することができなかった。
6.フェルラ酸による脂肪酸の酸化抑制効果の検証
以下に示す方法により、フェルラ酸による脂肪酸の酸化抑制効果を検証した。検証では、脂肪酸としてアラキドン酸を用い、アクロレイン(アラキドン酸への紫外線照射により発生した過酸化脂質に由来)の濃度を脂肪酸の酸化抑制効果の指標とした。
(1)アラキドン酸(東京化成工業(株))をエタノールに添加し、混合することにより、50mMのアラキドン酸を含むエタノール溶液を調製した。また、アラキドン酸及びフェルラ酸(築野食品工業(株))をエタノールに添加し、混合することにより、50mMのアラキドン酸及び50mMのフェルラ酸を含むエタノール溶液と、50mMのアラキドン酸及び100mMのフェルラ酸を含むエタノール溶液と、を調製した。
(2)12ウェルプレート(Costar(登録商標)cell culture plates 3513、Corning社)のウェルに、4ウェルずつ、上記にて調製した50mMのアラキドン酸を含むエタノール溶液、50mMのアラキドン酸及び50mMのフェルラ酸を含むエタノール溶液、並びに、50mMのアラキドン酸及び100mMのフェルラ酸を含むエタノール溶液を採取し、次いで、マイクロプレートシール(商品名:タイタースティックHE、カジックス(株))を用いてウェルを密閉し、検証用サンプルを作製した。なお、後述の擬似太陽光照射のため、マイクロプレートシールは、紫外線(UV)透過性を有するものを用いた。
(3)上記の(1)及び(2)の手順に沿って、合計3枚の検証用サンプルを作製した。
(4)次に、各検証用サンプルに対して、太陽光シュミレーター(商品名:Q-SUN Xe−1-BC Xenon Test Chamber、Q-LABab Corporation社)を用いて、擬似太陽光を一定時間、具体的には、照射合計時間が、それぞれ0.5hr、1hr、及び3hrとなるように照射した。そして、照射前(照射合計時間:0hr)及び照射後(照射合計時間:0.5hr、1hr、3hr)の各エタノール溶液中におけるアクロレインの濃度を、(株)島津製作所の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析し、絶対検量線法により定量した。結果を図3に示す。
なお、分析条件は以下の通りである。
−分析条件−
カラム:カプセルパックC18(内径:4.6mm×長さ:250mm、(株)資生堂)
移動相:A液)0.1質量%リン酸水溶液
B液)0.1質量%リン酸を含むアセトニトリル
グラジエントサイクル:A液+B液=100%とし、B液の組成を示す。
B液=0%→20%(0分→10分)
B液=20%→80%(15分→23分)
B液=80%→100%(23分→40分)
B液=100%→0%(41分→65分)
流量:1mL/分
カラム温度:40℃
注入量:20μL
検出波長:210nm
検出器:UV−Vis(紫外可視分光)検出器
図3では、アラキドン酸を「AA」と表記し、フェルラ酸を「Fer」と表記する。
また、図3では、擬似太陽光の照射合計時間を、単に「光照射時間」と表記する。
図3に示すように、フェルラ酸によれば、紫外線を含む太陽光の照射によるアラキドン酸からのアクロレインの生成を抑制できることが明らかとなった。

Claims (5)

  1. (i)〜(vi)を含む透明化粧水。
    (i)透明化粧水の全量に対する含有量が2.3質量%〜3.7質量%であるグリセリン
    (ii)透明化粧水の全量に対する含有量が2.3質量%〜3.7質量%であるポリエチレングリコール
    (iii)アスタキサンチン
    (iv)透明化粧水の全量に対する含有量が0.1質量%〜3質量%であり、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    (v)フェルラ酸
    (vi)透明化粧水の全量に対する含有量が50質量%以上である水
  2. 透明化粧水中における、ポリエチレングリコールの含有量に対するグリセリンの含有量の比率が、質量基準で、0.6〜1.2である請求項1に記載の透明化粧水。
  3. pHが5.4〜6.0である請求項1又は請求項2に記載の透明化粧水。
  4. アスタキサンチンが、オキアミ由来のアスタキサンチンである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の透明化粧水。
  5. アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸硫酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム、及びパルミチン酸アスコルビルリン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の透明化粧水。
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